説明

電気式脱イオン水製造装置

【課題】電気式脱イオン水製造装置の大型化および圧力損失の増加を回避しつつ、処理水量を増加させる。
【解決手段】濃縮室C1、C2を形成する濃縮室枠体1A、1Bと、濃縮室C1、C2の間に脱塩室D1を形成する脱塩室枠体2Aと、これら枠体の間に配置されたイオン交換膜3とを有し、脱塩室枠体2Aには、その開口部の近傍に連通孔11、12、13、14が形成され、連通孔11、12の双方を介して脱塩室D1へ被処理水が供給され、連通孔13、14の双方を介して脱塩室D1から処理水が排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式脱イオン水製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陰極と陽極の間に複数の脱塩処理部が設けられた電気式脱イオン水製造装置が知られている。一般的に、各脱塩処理部は、一対の濃縮室と、該一対の濃縮室の間に配置された脱塩室とから構成されている。図8は、一般的な電気式脱イオン水製造装置の構造を模式的に示す分解斜視図である。なお、図8では陰極と陽極の図示は省略してある。
【0003】
図8に示す電気式脱イオン水製造装置は、第一の濃縮室C1を形成する第一の濃縮室枠体1A、第一の脱塩室D1を形成する第一の脱塩室枠体2A、第二の濃縮室C2を形成する第二の濃縮室枠体1B、第二の脱塩室D2を形成する第二の脱塩室枠体2Bおよび第三の濃縮室C3を形成する第三の濃縮室枠体1Cを有している。
【0004】
図8に示されているように、脱塩室枠体2Aは濃縮室枠体1Aに隣接し、濃縮室枠体1Bは脱塩室枠体2Aに隣接している。また、脱塩室枠体2Bは濃縮室枠体1Bに隣接し、濃縮室枠体1Cは脱塩室枠体2Bに隣接している。
【0005】
さらに、濃縮室枠体1Aと脱塩室枠体2Aの間にはカチオン交換膜c1が介在しており、このカチオン交換膜c1によって、両枠体1A、2Aの開口部の一面がそれぞれ塞がれている。また、脱塩室枠体2Aと濃縮室枠体1Bの間にはアニオン交換膜a1が介在しており、このアニオン交換膜a1によって、両枠体2A、1Bの開口部の一面がそれぞれ塞がれている。すなわち、脱塩室枠体2Aの開口部は、その一面がカチオン交換膜c1によって塞がれ、他の一面がアニオン交換膜a1によって塞がれている。このように、脱塩室枠体2Aの開口部が対向する2つのイオン交換膜によって塞がれることにより、該脱塩室枠体2Aの内側に外部から区画された空間(室)が形成されている。そして、この空間内にイオン交換体が充填され、第一の脱塩室D1が構成されている。
【0006】
また、濃縮室枠体1Bと脱塩室枠体2Bの間にはカチオン交換膜c2が介在しており、このカチオン交換膜c2によって、両枠体1B、2Bの開口部の一面がそれぞれ塞がれている。また、脱塩室枠体2Bと濃縮室枠体1Cの間にはアニオン交換膜a2が介在しており、このアニオン交換膜a2によって両枠体2B、1Cの開口部の他の一面が塞がれている。すなわち、脱塩室枠体2Bの開口部は、その一面がカチオン交換膜c2によって塞がれ、他の一面がアニオン交換膜a2によって塞がれている。このように、脱塩室枠体2Bの開口部が対向する2つのイオン交換膜によって塞がれることにより、該脱塩室枠体2Bの内側に外部から区画された空間(室)が形成されている。そして、この空間内にイオン交換体が充填され、第二の脱塩室D2が構成されている。すなわち、図8に示す電気式脱イオン水製造装置では、陰極と陽極の間に2つの脱塩処理部が設けられている。なお、以下の説明では、濃縮室枠体および脱塩室枠体を“枠体”と総称する場合がある。
【0007】
各枠体よびイオン交換膜には、それぞれ4つの連通孔が形成されている。図8に示されている各枠体およびイオン交換膜の左上にそれぞれ形成されている第一の連通孔は、互いに連通することによって被処理水の供給路を形成している。各枠体およびイオン交換膜の右下にそれぞれ形成されている第二の連通孔は、互いに連通することによって処理水の排出路を形成している。各枠体およびイオン交換膜の上部中央にそれぞれ形成されている第三の連通孔は、互いに連通することによって濃縮水の供給路を形成している。各枠体およびイオン交換膜の下部中央にそれぞれ形成されている第四の連通孔は、互いに連通することによって濃縮水の排出路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−218382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電気式脱イオン水製造装置の処理水量を増加させるためには、被処理水の流量を増加させる必要がある。しかし、被処理水の流量を増加させると、圧力損失が増加する(通水差圧が上昇する)。また、通水差圧が上昇することによって漏水の危険性も高まる。
【0010】
よって、圧力損失を増加させることなく、被処理水の流量を増加させる必要があり、そのためには、被処理水の供給路を拡大する必要がある。ここで、上記のとおり、被処理水の供給路は各枠体およびイオン交換膜に設けられている連通孔によって形成されている。よって、被処理水の供給路を拡大するためには、連通孔の径を拡大する必要がある。しかし、連通孔の径を拡大するためには、各枠体およびイオン交換膜のサイズを拡大しなくてはならず、装置全体の大型化を招く。
【0011】
本発明の目的は、電気式脱イオン水製造装置の大型化および圧力損失の増加を回避しつつ、処理水量を増加させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電気式脱イオン水製造装置には、脱塩室に被処理水を供給するための流路が2つ以上設けられている。本発明の電気式脱イオン水製造装置の一態様では、2つ以上の流路を介して各脱塩室に被処理水が供給される。
【0013】
本発明の電気式脱イオン水製造装置の他の態様では、一群の脱塩室に対しては第一の流路を介して、他の一群の脱塩室に対しては第二の流路を介して被処理水がそれぞれ供給される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電気式脱イオン水製造装置の大型化および圧力損失の増加を回避しつつ、処理水量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電気式脱イオン水製造装置の実施形態の一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す脱塩室枠体の拡大図である。
【図3】図1に示す濃縮室枠体の拡大図である。
【図4】図1に示すイオン交換膜の拡大図である。
【図5】図1に示す濃縮室および脱塩室の具体的構造の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の電気式脱イオン水製造装置の実施形態の他例を示す分解斜視図である。
【図7】図6に示す脱塩室枠体の拡大図である。
【図8】従来の電気式脱イオン水製造装置の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
以下、本発明の電気式脱イオン水製造装置の第1の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の構造を模式的に示す分解斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置では、陰極と陽極の間に2つの脱塩処理部A、Bが設けられている。脱塩処理部Aは、第一の濃縮室C1および第二の濃縮室C2と、濃縮室C1、C2の間に設けられた第一の脱塩室D1とから構成されている。脱塩処理部Bは、第二の濃縮室C2および第三の濃縮室C3と、濃縮室C2、C3の間に設けられた第二の脱塩室D2とから構成されている。
【0018】
なお、図1では陰極と陽極の図示は省略してある。実際には、濃縮室C1の外側に、陰極を備えた陰極室が設けられている。また、濃縮室C3の外側に、陽極を備えた陽極室が設けられている。もっとも、濃縮室C1内に陰極を設けてもよく、濃縮室C3内に陽極を設けてもよい。これらの場合、濃縮室が電極室を兼ねることになる。
【0019】
上記各室は、積層された複数の枠体と、それら枠体の間に配置されたイオン交換膜とによって形成されている。以下、具体的に説明する。
【0020】
本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置は、濃縮室C1を形成する第一の濃縮室枠体1A、脱塩室D1を形成する第一の脱塩室枠体2A、濃縮室C2を形成する第二の濃縮室枠体1B、脱塩室D2を形成する第二の脱塩室枠体2Bおよび濃縮室C3を形成する第三の濃縮室枠体1Cを有している。脱塩室枠体2Aは濃縮室枠体1Aに隣接し、濃縮室枠体1Bは脱塩室枠体2Aに隣接し、脱塩室枠体2Bは濃縮室枠体1Bに隣接し、濃縮室枠体1Cは脱塩室枠体2Bに隣接している。換言すれば、脱塩室枠体2Aは、濃縮室枠体1A、1Bの間に配置され、脱塩室枠体2Bは、濃縮室枠体1B、1Cの間に配置されている。
【0021】
さらに、濃縮室枠体1Aと脱塩室枠体2Aの間には第一のイオン交換膜(カチオン交換膜c1)が介在しており、このカチオン交換膜c1によって、両枠体1A、2Aの開口部の一面がそれぞれ塞がれている。また、脱塩室枠体2Aと濃縮室枠体1Bの間には第二のイオン交換膜(アニオン交換膜a1)が介在しており、このアニオン交換膜a1によって、両枠体2A、1Bの開口部の一面がそれぞれ塞がれている。すなわち、脱塩室枠体2Aの開口部は、その一面がカチオン交換膜c1によって塞がれ、他の一面がアニオン交換膜a1によって塞がれている。このように、脱塩室枠体2Aの開口部が対向する2つのイオン交換膜によって塞がれることにより、該脱塩室枠体2Aの内側に、外部から区画された空間(室)が形成されている。そして、この空間内にイオン交換体が充填され、第一の脱塩室D1が形成されている。
【0022】
また、濃縮室枠体1Bと脱塩室枠体2Bの間には第三のイオン交換膜(カチオン交換膜c2)が介在しており、このカチオン交換膜c2によって、両枠体1B、2Bの開口部の一面がそれぞれ塞がれている。また、脱塩室枠体2Bと濃縮室枠体1Cの間には第四のイオン交換膜(アニオン交換膜a2)が介在しており、このアニオン交換膜a2によって両枠体2B、1Cの開口部の他の一面が塞がれている。すなわち、脱塩室枠体2Bの開口部は、その一面がカチオン交換膜c2によって塞がれ、他の一面がアニオン交換膜a2によって塞がれている。このように、脱塩室枠体2Bの開口部が対向する2つのイオン交換膜によって塞がれることにより、該脱塩室枠体2Bの内側に、外部から区画された空間(室)が形成されている。そして、この空間内にイオン交換体が充填され、第二の脱塩室D2が形成されている。
【0023】
各濃縮室枠体1A、1B、1Cの内側にも外部から区画された空間(室)がそれぞれ形成されおり、これら空間内に網目状部材がそれぞれ収容されている。具体的には、濃縮室枠体1Aの開口部は、カチオン交換膜c1およびカチオン交換膜c1と対向する不図示のイオン交換膜によって塞がれている。濃縮室枠体1Bの開口部は、対向するアニオン交換膜a1およびカチオン交換膜c2によって塞がれている。濃縮室枠体1Cの開口部は、アニオン交換膜a2およびアニオン交換膜a2と対向する不図示のイオン交換膜によって塞がれている。
【0024】
以下、各枠体およびイオン交換膜について具体的に説明する。なお、以下の説明では、濃縮室枠体1A、1B、1Cおよび脱塩室枠体2A、2Bを“枠体”と総称する場合がある。また、濃縮室枠体1A、1B、1Cを“濃縮室枠体1”と総称し、脱塩室枠体2A、2Bを“脱塩室枠体2”と総称する場合がある。さらに、イオン交換膜c1、c2、a1、a2を“イオン交換膜3”と総称する場合がある。
【0025】
図2は、脱塩室枠体2の拡大図である。図3は濃縮室枠体1の拡大図であり、(a)は濃縮室枠体1Aの拡大図、(b)は濃縮枠体1Bの拡大図、(c)は濃縮室枠体1Cの拡大図である。図4はイオン交換膜3の拡大図であり、(a)はカチオン交換膜c1の拡大図、(b)はアニオン交換膜a1およびカチオン交換膜c2の拡大図、(c)はアニオン交換膜a2の拡大図である。
【0026】
図2に示すように、脱塩室枠体2は、略長方形の開口部10が形成されたプレート部材であり、開口部10の近傍(周囲)には6つの連通孔が形成されている。具体的には、開口部10の一対の短辺の一方に沿って第一および第二の連通孔(連通孔11、12)が形成されており、一対の短辺の他方に沿って第三および第四の連通孔(連通孔13、14)が形成されている。また、連通孔11、12の間には連通孔15が形成されており、連通孔13、14の間には連通孔16が形成されている。
【0027】
図3に示すように、濃縮室枠体1は、略長方形の開口部20が形成されたプレート部材である。図3(a)に示すように、濃縮室枠体1Aには、脱塩室枠体2の連通孔11、12にそれぞれ連通する連通孔21、22が形成されている。また、図3(c)に示すように、濃縮枠体1Cには、脱塩室枠体2の連通孔13、14にそれぞれ連通する連通孔23、24が形成されている。さらに、図3(b)に示すように、濃縮室枠体1Bには、脱塩室枠体2の連通孔11〜14にそれぞれ連通する連通孔21〜24が形成されている。加えて、全ての濃縮室枠体1に、脱塩室枠体2の連通孔15、16とそれぞれ連通する連通孔25、26が形成されている。
【0028】
図4(a)に示すように、カチオン交換膜c1には、枠体の連通孔11、21にそれぞれ連通する連通孔31と、枠体の連通孔12、22にそれぞれ連通する連通孔32が形成されている。また、図4(c)に示すように、アニオン交換膜a2には、枠体の連通孔13、23にそれぞれ連通する連通孔33と、枠体の連通孔14、24にそれぞれ連通する連通孔34が形成されている。さらに、図3(b)に示すように、アニオン交換膜a1およびカチオン交換膜c2には、上記の連通孔33〜34の全てが形成されている。加えて、全てのイオン交換膜3に、脱塩室枠体2の連通孔15および濃縮室枠体1の連通孔25とそれぞれ連通する連通孔35と、脱塩室枠体2の連通孔16および濃縮室枠体1の連通孔26とそれぞれ連通する連通孔36とが形成されている。
【0029】
再び図1を参照する。濃縮室枠体1の連通孔21、イオン交換膜3の連通孔31および脱塩室枠体2の連通孔11は、互いに連通して被処理水のための第一の供給路を形成している。また、濃縮室枠体1の連通孔22、イオン交換膜3の連通孔32および脱塩室枠体2の連通孔12は、互いに連通して被処理水のための第二の供給路を形成している。
【0030】
一方、脱塩室枠体2の連通孔13、イオン交換膜3の連通孔33および濃縮室枠体1の連通孔23は、互いに連通して処理水のための第一の排出路を形成している。また、脱塩室枠体2の連通孔14、イオン交換膜3の連通孔34および濃縮室枠体1の連通孔24は、互いに連通して処理水のための第二の排出路を形成している。
【0031】
さらに、濃縮室枠体1の連通孔25、イオン交換膜3の連通孔35および脱塩室枠体2の連通孔15は、互いに連通して濃縮水のための供給路を形成している。また、濃縮室枠体1の連通孔26、イオン交換膜3の連通孔36および脱塩室枠体2の連通孔16は、互いに連通して濃縮水のための排出路を形成している。
【0032】
ここで、図2に示すように、脱塩室枠体2の各連通孔11〜14と、該脱塩室枠体2の開口部10(脱塩室D1、D2)とは、該脱塩室枠体表面に形成された溝を介して連通している。具体的には、連通孔11と開口部10は溝41を介して連通し、連通孔12と開口部10は溝42を介して連通している。また、開口部10と連通孔13は溝43を介して連通し、開口部10を連通孔14は溝44を介して連通している。
【0033】
よって、上記第一の供給路を通水する被処理水は、脱塩室枠体2Aの連通孔11および溝41を介して第一の脱塩室D1に流入し、上記第二の供給路を通水する被処理水は、脱塩室枠体2Aの連通孔12および溝42を介して第一の脱塩室D1に流入する。
【0034】
その後、第一の脱塩室D1を通過した処理水の一部は、脱塩室枠体2Aの溝43および連通孔13を介して上記第一の排出路へ流出し、処理水の残りの一部は、脱塩室枠体2Aの溝44および連通孔14を介して上記第二の排出路へ流出する。
【0035】
同じく、上記第一の供給路を通水する被処理水は、脱塩室枠体2Bの連通孔11および溝41を介して第二の脱塩室D2に流入し、上記第二の供給路を通水する被処理水は、脱塩室枠体2Bの連通孔12および溝42を介して第二の脱塩室D2に流入する。
【0036】
その後、第二の脱塩室D2に通過した処理水の一部は、脱塩室枠体2Bの溝43および連通孔13を介して上記第一の排出路へ流出し、処理水の残りの一部は、脱塩室枠体2Bの溝44および連通孔14を介して上記第二の排出路へ流出する。
【0037】
上記のように、脱塩室枠体2の連通孔11、12は、脱塩室D1、D2との関係では、被処理水の供給口(流入口)である。また、脱塩室枠体2の連通孔13、14は、脱塩室D1、D2との関係では、処理水の排出口(流出口)である。すなわち、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置では、各脱塩室に対して、被処理水の供給口が二つ設けられ、処理水の排出口が二つ設けられている。換言すれば、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置では、各脱塩室に対して、被処理水の供給路が2つ設けられ、処理水の排出路も2つ設けられている。もっとも、供給路や排出路の数は2つに限定されるものではなく、連通孔を適宜増設して第三、第四の供給路や排出路を設けてもよい。
【0038】
再び図2を参照する。脱塩室枠体2の連通孔(供給口)11と開口部(脱塩室)10との間に延在している溝41は、連通孔11から開口部10へ向けて幅が次第に拡大している。連通孔(供給口)12と開口部(脱塩室)10との間に延在している溝42も、連通孔12から開口部10へ向けて幅が次第に拡大している。よって、各供給口から流入した被処理水は、開口部10の短辺方向に拡散される。換言すれば、被処理水は脱塩室D1、D2の幅方向に拡散され、該脱塩室D1、D2内に均一に供給される。すなわち、溝41、42は、供給口と脱塩室の間に、被処理水を脱塩室内に均一に拡散させるための拡散領域を形成している。
【0039】
一方、開口部(脱塩室)10と連通孔(排出口)13との間に延在している溝43は、開口部10から連通孔13へ向けて幅が次第に縮小している。開口部(脱塩室)10と連通孔(排出口)14との間に延在している溝44も、開口部10から連通孔14へ向けて幅が次第に縮小している。よって、脱塩室D1、D2を通過した処理水は、排出口に向けて集められる。すなわち、溝43、44は、脱塩室と排出口の間に、処理水を排出口に集めるための収集領域を形成している。
【0040】
次に、本実施形態に係る脱イオン水製造装置における各室の構造について説明する。図5は、本実施形態に係る脱イオン水製造装置における各室の構造を模式的に示す断面図である。なお、図5では上記流路の図示は省略してある。
【0041】
図5に示すように、陰極室E1および陽極室E2には、脱イオン水製造装置の電気抵抗を抑えるために、イオン交換体がそれぞれ充填されている。具体的には、陰極室E1にはアニオン交換体Aが単床形態で充填され、陽極室E2にはカチオン交換体Kが単床形態で充填されている。
【0042】
濃縮室C1、C2、C3は、脱塩室D1、D2から排出されるアニオン成分またはカチオン成分を取り込み、それらを系外に放出するために設けられている。各濃縮室C1、C2、C3には、スケールの発生を抑制すべくアニオン交換体Aが単床形態で充填されている。
【0043】
脱塩室D1、D2には、アニオン交換体Aとカチオン交換体Kとが複床形態で充填されている。具体的には、アニオン交換体Aの層(以下“アニオン層A”と呼ぶ。)と、カチオン交換体Kの層(以下“カチオン層K”と呼ぶ)とが、被処理水の通水方向に沿って交互に積層されている。より具体的には、通水方向前段に第1のアニオン層A1が配置され、通水方向中段にカチオン層Kが配置され、通水方向後段に第2のアニオン層A2が配置されている。すなわち、脱塩室D1、D2にそれぞれ流入した被処理水は、アニオン層A1、カチオン層Kおよびアニオン層A2をこの順で通過する。要するに、脱塩室D1、D2内には、被処理水が最後に通過するイオン交換体がアニオン交換体となる順序で3層以上のイオン交換体層が積層されている。
【0044】
さらに、脱塩室D1、D2内には、2つのバイポーラ膜BPが配置されている。バイポーラ膜BPとは、アニオン交換膜1とカチオン交換膜2とが貼り合わされて一体化されたイオン交換膜であって、アニオン交換膜1とカチオン交換膜2の接合面において水の解離反応が非常に促進されるという特徴を有する。
【0045】
図5に示すように、脱塩室D1では、アニオン層A1とカチオン交換膜c1との間に、第1のバイポーラBP1が配置されており、アニオン層A2とカチオン交換膜c1との間に、第2のバイポーラ膜BP2が配置されている。また、脱塩室D2では、アニオン層A1とカチオン交換膜c2との間に、第1のバイポーラBP1が配置されており、アニオン層A2とカチオン交換膜c2との間に、第2のバイポーラ膜BP2が配置されている。なお、カチオン層Kとカチオン交換膜c1、c2との間にはバイポーラ膜は配置されていない。
【0046】
ここで、脱塩室内に異符号のイオン交換体層が積層されていると偏流が発生する。また、カチオン層とアニオン層の電気抵抗を比較した場合、一般的に、アニオン層の電気抵抗の方がカチオン層の電気抵抗よりも高い。よって、図5に示すアニオン層Aの電気抵抗は、同図に示すカチオン層Kよりも高い。そこで、本実施形態に係る脱イオン水製造装置では、各脱塩室Dのアニオン層Aと、該アニオン層Aに隣接しているカチオン交換膜との間に、バイポーラ膜BPが配置されている。さらに、各バイポーラ膜BPは、そのアニオン交換膜1がアニオン層Aに接するようにして配置されている。すなわち、各脱塩室D内の2つのアニオン層A1、A2は、カチオン交換膜ではなく、バイポーラ膜BP1、BP2のアニオン交換膜1とそれぞれ接している。これらの結果、アニオン層A1、A2に流れる電流量が増加し、偏流が解消ないし低減される。
【0047】
さらに、本実施形態に係る脱イオン水製造装置では、各脱塩室Dに流入した被処理水は、第1のアニオン層A1を通過した後にカチオン層Kを通過し、次いで第2のアニオン層A2を通過する。要するに、本実施形態に係る脱イオン水製造装置では、被処理水は、アニオン層とカチオン層を交互に通過する。
【0048】
ここで、アニオン交換体のアニオン成分の捕捉能力は、被処理水のpHが低い場合に高まり、カチオン交換体のカチオン成分の捕捉能力は、被処理水のpHが高い場合に高まる。よって、被処理水が、アニオン層A1、カチオン層K、アニオン層A2の順で通過することになる本実施形態の構成によれば、アニオン層A1を通過することによってアニオン成分が除去され、pHが上昇した被処理水が続けてカチオン層Kを通過する。よって、カチオン層Kにおけるカチオン除去反応が促進される。さらに、カチオン層Kを通過することによってカチオン成分が除去され、pHが低下した被処理水が続けてアニオン層A2を通過する。よって、アニオン層A2におけるアニオン除去反応が促進される。すなわち、アニオン成分およびカチオン成分の双方の除去能力が向上し、処理水の純度がより一層向上する。
【0049】
本実施形態に係る脱イオン水製造装置では、所定のイオン交換膜の上にバイポーラ膜が設置されている。しかし、イオン交換膜の一部をバイポーラ膜で置換することも可能であり、かかる置換によっても上記と同様の作用効果が得られる。例えば、図5に示す第1のカチオン交換膜c1の一部分(アニオン層A1、A2と接している部分)をバイポーラ膜に置換してもよい。
【0050】
(比較試験)
本発明の効果を確認すべく、次のような比較試験を行った。本試験では、本発明に係る電気式脱イオン水製造装置(実施例1)を次のようにして準備した。まず、陰極室および陽極室を形成する一対の枠体を用意した。また、図1に示す脱塩室枠体2を30個、濃縮室枠体1を31個用意した。そして、陰極室を形成する枠体と陽極室を形成する枠体との間に、濃縮室枠体1と脱塩室枠体2をイオン交換膜を介して交互に配置して30個の脱塩処理部を設けた。
【0051】
なお、脱塩室枠体2は、高さ(H)300mm、幅(W)100mm、厚み(D)8mmである。濃縮室枠体1は、高さ(H)300mm、幅(W)100mm、厚み(D)4mmである。陰極室および陽極室を形成する枠体は、高さ(H)300mm、幅(W)100mm、厚み(D)4mmである。各枠体の素材は、絶縁性および防水性を備えた素材であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリカーボネート、m−PPE(変性ポリフェニレンエーテル)等の樹脂を挙げることができる。
【0052】
また、比較例としての電気式脱イオン水製造装置(比較例1)を次のようにして準備した。まず、陰極室および陽極室を形成する一対の枠体を用意した。また、図8に示す脱塩室枠体2を30個、濃縮室枠体1を31個用意した。そして、陰極室を形成する枠体と陽極室を形成する枠体との間に、濃縮室枠体1と脱塩室枠体2をイオン交換膜を介して交互に配置して30個の脱塩処理部を設けた。各枠体の寸法や素材は実施例1のそれと同一である。
【0053】
なお、今回の比較試験では、実施例1においても比較例1においても、濃縮室、脱塩室および電極室にイオン交換体は充填しなかった。
【0054】
以上の条件をまとめた表1を次に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
上記の条件の下で、実施例1の電気式脱イオン水製造装置および比較例1の電気式脱イオン水製造装置に、被処理水、濃縮水および電極水を通水させ、圧力損失を測定した。具体的には、被処理水(2段RO透過水5±1μS/cm)を1時間当り4500リットル通水させた。濃縮水(2段RO透過水5±1μS/cm)を1時間当り450リットル通水させた。電極水(2段RO透過水5±1μS/cm)を1時間当り10リットル通水させた。圧力損失は、各装置における被処理水の入口と処理水の出口で圧力をそれぞれ測定し、その差を算出することによって求めた。
【0057】
比較試験の結果をまとめた表2を次に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
(実施形態2)
以下、本発明の電気式脱イオン水製造装置の第2の実施形態について詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の基本構成は、実施形態1に係る電気式脱イオン水製造装置と共通である。具体的には、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置は、脱塩室枠体に関してのみ実施形態1に係る電気式脱イオン水製造装置と異なる。そこで、共通する構成については適宜説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
【0060】
図6は、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の構造を模式的に示す分解斜視図である。図6に示すように、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置にも2つの脱塩処理部A、Bが設けられている。脱塩処理部Aは、第一の濃縮室C1および第二の濃縮室C2と、濃縮室C1、C2の間に設けられた第一の脱塩室D1とから構成されている。脱塩処理部Bは、第二の濃縮室C2および第三の濃縮室C3と、濃縮室C2、C3の間に設けられた第二の脱塩室D2とから構成されている。
【0061】
また、第一の脱塩室D1は、第一の濃縮室枠体1Aおよび第二の濃縮室枠体1Bと、これら濃縮室枠体1A、1Bの間に配置された第一の脱塩室枠体2Aとによって形成されている。第二の脱塩室D2は、第二の濃縮室枠体1Bおよび第三の濃縮室枠体1Cと、これら濃縮室枠体1B、1Cの間に配置された第二の脱塩室枠体2Bとにとって形成されている。
【0062】
さらに、濃縮室枠体1Aの連通孔21、イオン交換膜c1の連通孔31および脱塩室枠体2Aの連通孔11は、互いに連通して被処理水のための第一の供給路を形成している。一方、脱塩室枠体2Aの連通孔13、イオン交換膜a1の連通孔33、濃縮室枠体1Bの連通孔23、イオン交換膜c2の連通孔33、脱塩室枠体2Bの連通孔13、イオン交換膜a2の連通孔33および濃縮室枠体1Cの連通孔23は、互いに連通して処理水のための第一の排出路を形成している。
【0063】
また、濃縮室枠体1Aの連通孔22、イオン交換膜c1の連通孔32、脱塩室枠体2Aの連通孔12、イオン交換膜a1の連通孔32、濃縮室枠体1Bの連通孔22、イオン交換膜c2の連通孔32および脱塩室枠体2Bの連通孔12は、互いに連通して被処理水のための第二の供給路を形成している。一方、脱塩室枠体2Bの連通孔14、イオン交換膜a2の連通孔34(図4)および濃縮室枠体1Cの連通孔24(図3)は、互いに連通して処理水のための第二の排出路を形成している。
【0064】
なお、本実施形態に係る脱イオン水製造装置では、上記以外の連通孔は流路形成に寄与していない。よって、本実施形態に係る脱イオン水製造装置においては、上記以外の連通孔を省略してもよい。もっとも、脱塩処理部を増設する場合には、上記以外の連通孔が流路形成に寄与することは自明である。
【0065】
いずれにしても、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置にも、被処理水のための供給路が2つ以上設けられ、処理水のための排出路が2つ以上設けられている。
【0066】
しかし、図7(a)に示すように、第一の脱塩室枠体2Aにおいては、連通孔11、13は開口部10に連通しているが、連通孔12、14は開口部10に連通していない。一方、第二の脱塩室枠体2Bにおいては、連通孔12、14は開口部10に連通しているが、連通孔11、13は開口部10に連通していない。具体的には、脱塩室枠体2Aには、連通孔11と開口部10を連通させる溝41および開口部10と連通孔13を連通させる溝43は設けられているが、図2に示す溝42、44に相当する溝は設けられていない。一方、脱塩室枠体2Bには、連通孔12と開口部10を連通させる溝42および開口部10と連通孔14を連通させる溝44は設けられているが、図2に示す溝41、43に相当する溝は設けられていない。
【0067】
再び図6を参照する。本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置においては、第一の脱塩室D1には第一の供給路からのみ被処理水が供給され、第二の脱塩室には第二の供給路からのみ被処理水が供給される。また、第一の脱塩室D1を通過した処理水は第一の排出路にのみ排出され、第二の脱塩室D2を通過した処理水は第二の排出路にのみ排出される。
【0068】
すなわち、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置には、一群の脱塩室に被処理水を供給するための第一の供給路と、他の一群の脱塩室に被処理水を供給するための第二の供給路とが別々に設けられている。また、上記一群の脱塩室を通過した処理水を排出するための第一の排出路と、上記他の一群の脱塩室を通過した処理水を排出するための第二の排出路とが別々に設けられている。
【0069】
本発明の電気式脱イオン水製造装置における各流路内の通水方向は図示されている方向に限定されるものではない。例えば、図1、図6に示す電気式脱イオン水製造装置では、第一の供給路における被処理水の通水方向と第二の供給路における被処理水の通水方向とが同一である。具体的には、図1、図6に示す電気式脱イオン水製造装置では、第一の供給路および第二の供給路の双方において、紙面左側から右側に向かって被処理水が流れている。しかし、被処理水を図1、図6の紙面右側から左側に向けて流してもよい。また、第一の供給路における被処理水の通水方向と第二の供給路における被処理水の通水方向を逆向きにしてもよい。さらに、一つの供給路において異なる二方向へ被処理水を流してもよい。例えば、図1、図6に示されている第一の供給路および第二の供給路の一部においては、紙面左側から紙面右側へ向けて被処理水を流すとともに、他の一部においては、紙面右側から紙面左側へ向けて被処理水を流してもよい。
【0070】
同様に、処理水を図1、図6の紙面右側から左側に向けて流してもよい。また、第一の排水路における処理水の通水方向と第二の排水路における処理水の通水方向を逆向きにしてもよい。さらに、一つの排水路において異なる二方向へ処理水を流してもよい。例えば、図1、図6に示されている第一の排水路および第二の排水路の一部においては、紙面左側から紙面左側へ向けて処理水を流すとともに、他の一部においては、紙面右側から紙面左側へ向けて処理水を流してもよい。
【0071】
上記のように被処理水や処理水の通水方向を変更するためには、枠体やイオン交換膜に設けられる連通孔の配置を適宜変更したり、数を適宜増減したりすればよい。
【0072】
さらに、本発明の電気式脱イオン水製造装置を構成する脱塩室や濃縮室は、その厚みを自由に変更することができる。例えば、上記各実施形態では、各室が1つの枠体によって形成されていたが、任意の室を積層された複数の枠体によって形成することによって、当該室の厚みを増すことができる。
【符号の説明】
【0073】
C1、C2、C3 濃縮室
D1、D2 脱塩室
1、1A、1B、1C 濃縮室枠体
2、2A、2B 脱塩室枠体
3、c1、c2、a1、a2 イオン交換膜
11、12、13、14、15、16 (脱塩室枠体の)連通孔
21、22、23、24、25、26 (濃縮枠体の)連通孔
31、32、33、34、35、36 (イオン交換膜の)連通孔
41、42、43、44 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極と陽極の間に、一対の濃縮室と該一対の濃縮室の間に配置された脱塩室とから構成される脱塩処理部が2つ以上設けられている電気式脱イオン水製造装置であって、
前記脱塩室に被処理水を供給する第一の供給路および第二の供給路と、
前記脱塩室を通過した処理水を排出する第一の排出路および第二の排出路と、を有し、
各脱塩室が前記第一の供給路および前記第二の供給路の双方に連通し、
各脱塩室が前記第一の排出路および前記第二の排出路の双方に連通していることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項2】
交互に積層された濃縮室枠体および脱塩室枠体と、
隣接する前記濃縮室枠体と前記脱塩室枠体との間に介在して両枠体の開口部を塞ぐことにより、前記濃縮室および前記脱塩室を形成するイオン交換膜とを有し、
前記脱塩室枠体には少なくとも第一から第四の連通孔が設けられており、
前記第一の連通孔は、前記第一の供給路の一部を形成するとともに、該第一の供給路を前記脱塩室に連通させ、
前記第二の連通孔は、前記第二の供給路の一部を形成するとともに、該第二の供給路を前記脱塩室に連通させ、
前記第三の連通孔は、前記第一の排出路の一部を形成するとともに、該第一の排出路を前記脱塩室に連通させ、
前記第四の連通孔は、前記第二の排出路の一部を形成するとともに、該第二の排出路を前記脱塩室に連通させることを特徴とする請求項1に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項3】
前記第一の連通孔および前記第二の連通孔は、前記脱塩室枠体の前記開口部の一辺の近傍に設けられており、
前記第三の連通孔および前記第四の連通孔は、前記開口部の前記一辺と対向する他の一辺の近傍に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項4】
前記第一の連通孔および前記第二の連通孔と、前記開口部との間には、前記脱塩室へ流入する被処理水を拡散させる拡散領域が形成され、
前記開口部と、前記第三の連通孔および前記第四の連通孔との間には、前記脱塩室から流出した処理水を集める収集領域が形成されている、請求項3に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項5】
前記拡散領域には、前記第一の連通孔または前記第二の連通孔と前記開口部との間に延在し、前記開口部に向かって次第に幅が拡大する溝が形成され
前記収集領域には、前記開口部と前記第三の連通孔または前記第四の連通孔との間に延在し、前記第三の連通孔または前記第四の連通孔に向かって次第に幅が縮小する溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項6】
陰極と陽極の間に、一対の濃縮室と該一対の濃縮室の間に配置された脱塩室とから構成される脱塩処理部が2つ以上設けられている電気式脱イオン水製造装置であって、
前記脱塩室に被処理水を供給する第一の供給路および第二の供給路と、
前記脱塩室を通過した処理水を排出する第一の排出路および第二の排出路と、を有し、
一群の脱塩室が前記第一の供給路に連通し、他の一群の脱塩室が前記第二の供給路に連通し、
前記一群の脱塩室が前記第一の排出路に連通し、前記他の一群の脱塩室が前記第二の排出路に連通していることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項7】
交互に積層された濃縮室枠体および脱塩室枠体と、
隣接する前記濃縮室枠体と前記脱塩室枠体との間に介在して両枠体の開口部を塞ぐことにより、前記濃縮室および前記脱塩室を形成するイオン交換膜とを有し、
前記一群の脱塩室に属する脱塩室を形成している第一の脱塩室枠体には、少なくとも第一の連通孔および第三の連通孔が設けられており、
前記他の一群の脱塩室に属する脱塩室を形成している第二の脱塩室枠体には、少なくとも第二の連通孔および第四の連通孔が設けられており、
前記第一の脱塩室枠体の前記第一の連通孔は、前記第一の供給路の一部を形成するとともに、該第一の供給路を前記一群の脱塩室に属する脱塩室に連通させ、
前記第一の脱塩室枠体の前記第三の連通孔は、前記第一の排出路の一部を形成するとともに、該第一の排出路を前記一群の脱塩室に属する脱塩室に連通させ、
前記第二の脱塩室枠体の前記第二の連通孔は、前記第二の供給路の一部を形成するとともに、該第二の供給路を前記他の一群の脱塩室に属する脱塩室に連通させ、
前記第二の脱塩室枠体の前記第四の連通孔は、前記第二の排出路の一部を形成するとともに、該第二の排出路を前記他の一群の脱塩室に属する脱塩室に連通させることを特徴とする請求項6に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項8】
前記第一の脱塩室枠体の前記第一の連通孔は、該第一の脱塩室枠体の前記開口部の一辺の近傍に設けられ、前記第三の連通孔は、前記開口部の前記一辺と対向する他の一辺の近傍に設けられており、
前記第二の脱塩室枠体の前記第二の連通孔は、該第二の脱塩室枠体の前記開口部の一辺の近傍に設けられ、前記第四の連通孔は、前記開口部の前記一辺と対向する他の一辺の近傍に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項9】
前記第一の脱塩室枠体の前記第一の連通孔と該第一の脱塩室枠体の前記開口部との間、および前記第二の脱塩室枠体の前記第二の連通孔と該第二の脱塩室枠体の前記開口部との間には、それぞれの脱塩室に流入する被処理水を拡散させる拡散領域が形成され、
前記第一の脱塩室枠体の前記開口部と該第一の脱塩室枠体の前記第三の連通孔との間、および前記第二の脱塩室枠体の前記開口部と該第二の脱塩室枠体の前記第四の連通孔との間には、それぞれの脱塩室から流出した処理水を集める収集領域が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項10】
前記第一の脱塩室枠体の前記拡散領域には、前記第一の連通孔と前記開口部との間に延在し、該開口部に向かって次第に幅が拡大する溝が形成され、
前記第二の脱塩室枠体の前記拡散領域には、前記第二の連通孔と前記開口部との間に延在し、該開口部に向かって次第に幅が拡大する溝が形成され、
前記第一の脱塩室枠体の前記収集領域には、前記開口部と前記第三の連通孔との間に延在し、前記第三の連通孔に向かって次第に幅が縮小する溝が形成され、
前記第二の脱塩室枠体の前記収集領域には、前記開口部と前記第四の連通孔との間に延在し、前記第四の連通孔に向かって次第に幅が縮小する溝が形成されていることを特徴する請求項9に記載の電気式脱イオン水製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−34920(P2013−34920A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171070(P2011−171070)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】