説明

電気掃除機

【課題】旋回室の2箇所でごみが分離される際に、その双方に十分な旋回力を与えることにより捕集性能を向上させることを可能にした電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸込口体1と、電動送風機53と、吸込口体1と電動送風機53との間に配され、流入口11、旋回室12及び排出口体15を備えたサイクロン部10とを備える。旋回室12の側壁は、円筒部12bと円錐部12aとで構成され、排出口体15の側壁は、円筒メッシュ15bと円錐メッシュ15aとで構成される。更に、円筒部12bの側壁を開口して形成された0次開口部113と、円錐部12aの一部を開口して形成された一次開口部13と、0次開口部113を介して旋回室12と連通する0次のダストケース114と、一次開口部13を介して旋回室12と連通する一次ダストケース14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特にサイクロン分離装置を備えた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機として、例えば「微粒子を含む流体の取入れ手段と清浄にされた流体の排出手段を有するハウジングを備えて、流入流体に一次の渦流を発生させる手段を有し、かつ前記ハウジングがそれぞれ微粒子の収集手段に連結した第一分離室と第二分離室を含む分離領域と前記第二分離室内に二次の渦流を発生させる連結手段を備えて、異なる重量の微粒子にかかる慣性力の違いにより第一分離室と第二分離室とに微粒子を分離する装置…」が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−503541号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1で示される従来技術においては、ハウジング(微粒子が旋回する旋回室)内の空気を排気するための流出口がハウジングに対して軸方向に開口しているため、気流は大きな軸方向の速度を持って旋回室へと流入することから、第一分離室で分離するごみと第二分離室で分離するごみの双方に十分な旋回力を与えることができず、遠心力が不足して捕集性能が低いという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、旋回室の2箇所でごみが分離される際に、その双方に十分な旋回力を与えることにより捕集性能を向上させることを可能にした電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気掃除機は、外部から含塵空気を吸入する吸込口体と、吸気を発生させる電動送風機と、前記吸込口体と前記電動送風機との間に配され、流入口、旋回室及び排出口体を備え、前記流入口から流入した含塵空気を前記旋回室にて旋回し、塵埃を分離した後に排出口体より排気するサイクロン部とを備える。前記旋回室の側壁は、前記流入口が接続された略円筒形状の円筒部と、前記円筒部の前記流入口側とは反対側に連結され、前記流入口から離れる方向に先端部が配置された略円錐形状の円錐部とで構成され、前記排出口体の側壁は、前記円筒部の前記流入口側に覆われ、孔を持つ略円筒形状の円筒体と、前記円筒部に覆われた状態で前記円筒体の前記流入口側とは反対側に連結され、前記流入口から離れる方向で前記円錐部に到達しない位置に先端部が配置され、孔を持つ略円錐形状の円錐体とで構成される。電気掃除機は、前記流入口と前記円筒体とよりも前記円錐部側で前記旋回室の円筒部の側壁を開口して形成された第1の開口部と、前記旋回室の円錐部の一部を開口して形成された第2の開口部と、前記第1の開口部を介して前記旋回室と連通する第1のダストケースと、前記第2の開口部を介して前記旋回室と連通する第2のダストケースとを更に備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電気掃除機によれば、上記の構成を採用したことにより、ごみを効率良く遠心分離して第1のダストケース及び第2のダストケースにそれぞれ捕集することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る電気掃除機の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示された電気掃除機の掃除機本体5の上面図である。
【図3】図2に示された掃除機本体5のa−a断面図である。
【図4】図2に示された掃除機本体5のb−b断面図である。
【図5】図1に示された電気掃除機の掃除機本体5の要部であるサイクロン集塵装置50の外観を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る電気掃除機のサイクロン集塵装置50の前面図である。
【図7】本発明に係る電気掃除機のサイクロン集塵装置50の背面図である。
【図8】本発明に係る電気掃除機のサイクロン集塵装置50の平面図である。
【図9】実施の形態1における図7のA−A矢視断面図である。
【図10】実施の形態1における図7のB−B矢視断面図である。
【図11】実施の形態1における図8のC−C矢視断面図である。
【図12】実施の形態1における図7のD−D矢視断面図である。
【図13】実施の形態1における図7のE−E矢視断面図である。
【図14】実施の形態1における図7のF−F矢視断面図である。
【図15】実施の形態1におけるサイクロン集塵装置50の分解斜視図である。
【図16】実施の形態2における図7のE−E矢視断面図である。
【図17】実施の形態2における図7のD−D矢視断面図である。
【図18】実施の形態2における図7のA−A矢視部分断面図である。
【図19】実施の形態2における図7のA−A矢視部分断面図である。
【図20】実施の形態2における図7のA−A矢視部分断面図である。
【図21】実施の形態2における図7のA−A矢視部分断面図である。
【図22】実施の形態2に該当しない図7のA−A矢視部分断面図である。
【図23】実施の形態2に該当しない図7のA−A矢視部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電気掃除機の全体構成を示す図である。
図1に示されるように、電気掃除機100は、吸込口体1と、吸引パイプ2と、接続パイプ3と、ホース4と、サイクロン式の掃除機本体5とを備えている。吸込口体1は、床面上の塵埃及び含塵空気を吸い込む。吸込口体1の出口側には、真直な円筒状の吸引パイプ2の一端が接続されている。吸引パイプ2の他端には、取手2aが設けられており、中途にて若干折れ曲がった接続パイプ3の一端が接続されている。接続パイプ3の他端には、可撓性を有する蛇腹状のホース4の一端が接続されている。さらに、ホース4の他端には、掃除機本体5が接続されている。吸込口体1、吸引パイプ2、接続パイプ3及びホース4は、含塵空気を掃除機本体5の外から内部に流入させるための流通路の一部を構成する。
【0010】
図2は、図1に示された電気掃除機の掃除機本体5の上面図である。また、図3は、図2に示された掃除機本体5のa−a断面図であり、図4は、図2に示された掃除機本体5のb−b断面図である。
図2〜図4に示されるように、電気掃除機100の掃除機本体5は、吸入風路49と、サイクロン集塵装置50と、排気風路51と、フィルタ52と、電動送風機53と排気口54とを備えている。その他、掃除機本体5は、その後部には、車輪55、図示しないコードリール部などを備えている。サイクロン集塵装置50は、サイクロン部10と、このサイクロン部10と並設して設けられた第二サイクロン部20とを備えている。
また、サイクロン部10は、流入口11と、旋回室12と、0次ダストケース114と、一次ダストケース14と、排出口体15とを備えている。第二サイクロン部20は、第二流入口21と、第二旋回室22と、二次ダストケース24と、第二排出口25とを備えている。なお、この一次ダストケース14と二次ダストケース24とは1つのケース部品として形成されている。また、0次ダストケース114、一次ダストケース14及び二次ダストケース24の下端部の開口部は、ダストケース蓋31により開閉される構成になっている。
【0011】
サイクロン部10の上部には、排出口体15と第二流入口21とを連通する中間風路32が設けられている。さらに、第二サイクロン部20の上部には、第二排出口25と連続して排気風路51が設けられている。これにより、掃除機本体5の外から流入した空気は、吸入風路49、流入口11、旋回室12、排出口体15、中間風路32、第二流入口21、第二旋回室22、第二排出口25を順に通過した後、排気風路51、フィルタ52、電動送風機53及び排気口54からなる排気経路を経て掃除機本体5に排出されるよう構成されている。
【0012】
図5は、図1に示された電気掃除機の掃除機本体5の要部であるサイクロン集塵装置50の外観を示す斜視図である。また、図6は、サイクロン集塵装置50の前面図、図7は、サイクロン集塵装置50の背面図、図8は、サイクロン集塵装置50の平面図である。また、図9は、図7のA−A矢視断面図、図10は、図7のB−B矢視断面図、図11は、図8のC−C矢視断面図、図12は、図7のD−D矢視断面図、図13は、図7のEE矢視断面図、図14は、図7のF−F矢視断面図である。また、図15は、サイクロン集塵装置50の分解斜視図である。
【0013】
次に、サイクロン集塵装置50の構成について図5〜図15を用いて説明する。
電気掃除機100のサイクロン集塵装置50は、上記のように、サイクロン部10と、このサイクロン部10と並設された第二サイクロン部20とを備えている。また、サイクロン部10の上部には中間風路32が設けられており、この中間風路32が第二サイクロン部20の上部に設けられた第二流入口21と連続的に接続されている。なお、第二サイクロン部20はサイクロン部10と同等以上の分離性能を有している。
【0014】
上記のように、サイクロン部10の下流位置に第二サイクロン部20が設置されており、このため、第二サイクロン部20がサイクロン部10では捕集しきれなかったごみを捕集し、電気掃除機から排出される空気をさらに清浄化することができる。
【0015】
サイクロン部10は、吸入風路49から含塵空気を取り込む流入口11と、流入口11をおおよそ接線方向に接続することで流入口11から導入した含塵空気が旋回する旋回室12とを備え、流入口11から流入した吸気を旋回して塵埃を分離した後に該吸気を排出口体15から排気する構成になっている。また、排出口体15は、その側壁が、多数の微細孔を持つ略円筒形状の円筒メッシュ15bと、多数の微細孔を持つ略円錐形状の円錐メッシュ15aとで構成されている。また、旋回室12は、その側壁が、略円筒形状の円筒部12bと、略円錐形状の円錐部12aとで構成されている。サイクロン部10は、円筒部12bの一部が開口して形成された0次開口部113と、円錐部12aの一部が開口して形成された一次開口部13と、0次開口部113を介して旋回室12と連通する0次ダストケース114と、一次開口部13を介して旋回室12と連通する一次ダストケース14とを備えている。円錐メッシュ15a及び円筒メッシュ15bの微細孔は、厚みを持った壁面の内部と外部を連通する孔からなる。
なお、0次開口部113は本発明の第1の開口部に、0次ダストケース114は本発明の第1のダストケースにそれぞれ相当する。円筒メッシュ15bは本発明の円筒体、円錐メッシュ15aは本発明の円錐体、一次開口部13は本発明の第2の開口部、一次ダストケース14は本発明の第2のダストケースにそれぞれ相当する。
【0016】
ここで、サイクロン部10の動作についてその概要を説明する。
サイクロン部10は、吸入風路49を経て流入口11から含塵空気を取り込むと、含塵空気は、旋回室12の側壁に沿ってほぼ水平に流入するため旋回気流となり、中心軸近傍の強制渦領域とその外周側の準自由渦領域とを形成しながら、その経路構造と重力とにより下向きに流れていく。このとき、遠心力が塵埃に作用するため、例えば髪の毛・飴袋・砂(比較的大きな砂)等のサイズも比重も比較的大きなごみ(以下、「ごみA」という)が旋回室12の内壁に押し付けられて吸気から分離され、0次開口部113を介して0次ダストケース114に捕捉されて堆積する。また、残りの塵埃は下降する旋回流に乗って旋回室12の下方に進む。これにより、軽くて気流に乗りやすく且つ嵩の多い、綿ごみや細かい砂ごみ(以下、「ごみB」という)が一次開口部13を介して一次ダストケース14内に送られ、さらに、風圧により一次ダストケース14の上方に追いやられ、そこで堆積し圧縮される。ごみA及びごみBが除去された空気は、サイクロン部10の円筒の中心軸に沿って上昇し、排出口体15から排出される。排出口体15から排出された空気は、中間風路32を介して第二サイクロン部20の第二流入口21を介して第二旋回室22に流入し、第二旋回室22に流入した空気は旋回しながら下降し、二次ダストケース24を通過し、その後、上昇して第二排出口25から排出された後、排気風路51、フィルタ52、電動送風機53及び排気口54からなる排気経路を経て掃除機本体5から排出される。
【0017】
サイクロン部10の排出口体15は、上記のように構成されており、円筒部12bで形成される旋回領域を旋回して0次ダストケース114にて捕集されるごみAと、円錐部12aで形成される旋回領域を旋回して一次ダストケース14にて捕集されるごみBとの双方に十分な遠心力を与えることができる。さらには、旋回室12の下方まで旋回しながら到達した気流が反転して旋回室12の中央を上昇する流れを円錐メッシュ15aによりスムーズに取り入れることができるので、旋回気流を乱さず、捕集性能を向上することができる。また、円錐メッシュ15aが略円錐形状であるために、髪の毛等の長い糸状のごみが排出口体15の側壁に絡んだ際に、絡んだごみを円錐の先端方向に沿って動かすことにより容易に除去できるという利点もある。
【0018】
なお、排出口体15の側壁においては、円錐メッシュ15aの微細孔の開口面積の総和を円筒メッシュ15bの微細孔の開口面積の総和よりも小さくしている。
ごみAはごみBに比べて表面積が大きく空気抵抗が大きく作用するため、向心方向の吸込み力の影響が比較的小さいために円筒メッシュ15bの微細孔の開口面積の総和を大きくしてもごみAの捕集性能に対する影響が小さい。したがって、円筒メッシュ15bの微細孔の開口面積の総和を大きくして微細孔を通過する際の気流の風速を抑制し圧損低減を図ることができる。
【0019】
また、図9に示されるように、旋回室12の中央軸に対する円錐部12aの傾斜角度θを、旋回室12の中央軸に対する円錐メッシュ15aの傾斜角度θとほぼ同等かそれ以下としている。
このように傾斜角度θ、θに設定することにより、旋回室12における旋回風路(排出口体15を除く風路)の風路断面積を、円錐部12aにおいて縮小させることなく、圧力損失を抑制するとともに、旋回室12中央の上昇流の風路を確保し、旋回流と上昇流との干渉を防ぎ気流が乱れないようにすることができ、捕集性能を向上することができる。また、円錐部12aの壁面と円錐メッシュ15aとの間の距離を近づけないようにして、円錐部12aの内壁面に沿って旋回するごみBが円錐メッシュ15aから吸い込まれるのを抑制することができる。
【0020】
また、旋回室12の下部に形成された一次開口部13は、その開口面積が0次開口部113の開口面積よりも小さくなるように構成されている。
これにより、一次開口部13を通って一次ダストケース14へ流入する空気の量を抑え、一次ダストケース14に到達したごみBの再飛散を抑制する効果が得られる。
【0021】
なお、上述の実施の形態1では、サイクロン部10の下流位置に、第二サイクロン部20、フィルタ52、電動送風機53を順に配置する構成について説明したが、本発明は、実施の形態1の構成例に限定されるものではなく、例えば第二サイクロン部20がない構成においても一定の効果を有するものである。
【0022】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を図16〜図23に基づいて説明する。なお、実施の形態1にて説明した構造と同じ構造については、同じ名称及び符号を用いる。
図16は、本実施の形態2における図7のE−E矢視断面図、図17は、本実施の形態2における図7のD−D矢視断面図である。
【0023】
図16に示されるように、排出口体15は、その側壁の一部を構成する円錐メッシュ15aにおいて、0次開口部113付近の一部、例えば符号15cで示される部位を除いた領域に微細孔が設けられた構成になっている。
【0024】
上記のように、円錐メッシュ15aにおいて、0次開口部113付近の一部15cを除いた領域に微細孔を設けることで、軸方向の吸込み力を抑制してごみに作用する旋回力を大きくさせつつも、ごみAに対する排出口体15の側壁の微細孔からの吸引力が抑制されるため、ごみAを確実に0次ダストケース114に捕集することが可能となる。これに対し、0次開口部113付近に微細孔を設けた場合には、排出口体15の側壁の微細孔からの吸引力がごみAに対して大きく作用するために、ごみAが0次ダストケース114に捕集されにくくなるとともに、一旦0次ダストケース114に捕集されたごみAの再飛散も生じやすくなってしまう。
【0025】
また、本実施の形態2に示されるような反転式のサイクロン部10においては、排出口体15は旋回室12の上部から突出する構成となるが、ごみAに対する排出口体15の側壁の微細孔からの吸引力が抑制されるため、0次開口部113を排出口体15に近い高さに設置してもごみAを確実に0次ダストケース114に捕集することができるため、0次ダストケース114の深さを深くすることができ、ごみAの再飛散を更に抑制して捕集性能を高めることができる。
【0026】
また、図17に示されたように、排出口体15は、その側壁の一部を成す円筒メッシュ15bにおいて、流入口11付近の一部、例えば符号15dで示された部位を除いた領域に微細孔が設けられている。
これにより、流入口11から流入した吸気が排出口体15に直接吸い込まれることを抑制し、より一層旋回方向への流れを強めてごみAに作用する遠心力を高め、捕集性能を更に向上することができる。これに対し、流入口11付近に微細孔を設けた場合には、気流の一部が旋回室12内を旋回せずに直接排出口体15から排出されるとともに、旋回方向とは逆の方向に向かう気流も発生するため、ごみAに作用する遠心力が小さくなりごみAが捕集されにくくなる。
【0027】
図18は、円錐メッシュ15aと0次開口部113との軸方向の位置関係及び流入口11と円筒メッシュ15bとの軸方向の位置関係を示したものである。なお、図18において、Aは0次開口部113の軸方向における開口範囲、Bは流入口11の軸方向における高さ範囲、Cは円筒メッシュ15bの軸方向における高さ範囲、Dは円錐メッシュ15aの大端の軸方向における高さ位置、Eは円筒メッシュ15bの小端の軸方向における高さ位置である。
【0028】
図18に示されるように、円錐メッシュ15aは、その略円錐形状面の少なくとも一部の軸方向における高さ位置が前記0次開口部113の軸方向における開口範囲A内になるように構成されている。
これにより、軸方向の吸込み力を抑制してごみに作用する旋回力を大きくさせつつも、0次開口部113と排出口体15の側壁の微細孔との距離を確保してごみAに対する排出口体15の側壁の微細孔からの吸引力が抑制され、ごみAを確実に0次ダストケース114で捕集することができる。また、本実施の形態2に示されるような反転式のサイクロン部10においては、排出口体15は旋回室12の上部から突出する構成となるが、ごみAに対する排出口体15の側壁の微細孔からの吸引力が抑制されるため、0次開口部113を排出口体15に近い高さに設置してもごみAを確実に0次ダストケース114に捕集することができる。このため、0次ダストケース114の深さを深くすることができ、ごみAの再飛散を更に抑制して捕集性能を高めることができる。(このような効果を効果Aと称する)
【0029】
また、図18に示されるように、流入口11は、その軸方向における高さ範囲Bが円筒メッシュ15bの軸方向における高さ範囲C内となるようにし、且つ円錐メッシュ15aの大端の軸方向における高さ位置Dが、0次開口部113の軸方向における開口範囲A外になるよう構成されている。
これにより、流入口11から入った気流がスムーズに旋回することができるため、ごみに作用する遠心力が高まり捕集性能を向上することができる。また、0次開口部113の軸方向における開口範囲Aには円錐メッシュ15aのみが配置することになるため、より確実に0次開口部113と排出口体15の側壁の微細孔との距離を確保することができ、0次ダストケース114に飛ばすごみAに対する排出口体15の側壁の微細孔からの吸引力を抑制しつつ、ごみAに作用する遠心力を大きくして捕集性を高めることができる。
【0030】
なお、円錐メッシュ15aの小端及び大端の軸方向における高さ位置E、Dと0次開口部113の軸方向における開口範囲Aとの関係は上記に限るものではない。
例えば、図19に示されるように、円錐メッシュ15aの小端と大端の両方の軸方向における高さ位置E、Dを0次開口部113の軸方向における開口範囲A内としてもよい。 また、図20に示されるように、円錐メッシュ15aの大端の軸方向における高さ位置Dを0次開口部113の軸方向における開口範囲A内としつつ、円錐メッシュ15aの小端の軸方向における高さ位置Eを0次開口部113の軸方向における開口範囲A外としてもよい。
また、図21に示されるように、円錐メッシュ15aの小端と大端の両方の軸方向における高さ位置E、Dを0次開口部113の軸方向における開口範囲A外としつつ、円錐メッシュ15aの小端の軸方向における高さ位置Eを0次開口部113の下端の軸方向における高さ位置より低くしてもよい。
すなわち、円錐メッシュ15aの略円錐形状面の少なくとも一部の軸方向における高さ位置を0次開口部113の軸方向における開口範囲A内とすれば、0次開口部113と排出口体15の側壁の微細孔との距離を確保することができるとともに0次開口部113を極力高い位置に配置することができ、上記の効果Aと同様な効果が得られる。
【0031】
これに対し、図22(比較例1)では、円錐メッシュ15aの略円錐形状面の軸方向における高さ位置が0次開口部113の軸方向における開口範囲A外になっており、0次開口部113と排出口体15の側壁の微細孔との距離を確保することができない。また、図23(比較例2)では0次開口部113を高い位置に配置することができない。このため、図22及び図23の構成例においては、上述の効果を得ることができない。
【0032】
なお、上述の実施の形態1及び実施の形態2では、第二サイクロン部20を設けたものを示したが、サイクロン部10だけでもよく、あるいは複数のサイクロン(第二サイクロン部、第三サイクロン部、…)を設けてもよい。また、本発明はサイクロン集塵装置の構造に関するものであることから、実施の形態1及び実施の形態2で説明したキャニスタータイプの電気掃除機に限られるものではない。
【0033】
また、上述の実施の形態1及び実施の形態2では、円錐メッシュ15a及び円筒メッシュ15bの微細孔を、厚みを持った壁面の内部と外部を連通する孔として記述したが、構成はこの限りではなく、例えば、枠体にメッシュフィルタを貼り付けたような構成としてもよい。
【0034】
また、実施の形態1及び実施の形態2では各部品間のシール構造及びロック構造については言及していないが、該シール構造及びロック構造がサイクロン集塵装置50内の気流の流れを乱すことのないよう設置されるのが望ましい。
【符号の説明】
【0035】
1 吸込口体、2 吸引パイプ、3 接続パイプ、4 ホース、5 掃除機本体、10 サイクロン部、11 流入口、12 旋回室、12a 円錐部、12b 円筒部、13 一次開口部、14 一次ダストケース、15 排出口体、15a 円錐メッシュ、15b 円筒メッシュ、20 第二サイクロン部、21 第二流入口、22 第二旋回室、24 二次ダストケース、25 第二排出口、31 ダストケース蓋、32 中間風路、49 吸入風路、 50 サイクロン集塵装置、 51 排気風路、 52 フィルタ、53 電動送風機、54 排気口、55 車輪、100 電気掃除機、113 0次開口部、114 0次ダストケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から含塵空気を吸入する吸込口体と、
吸気を発生させる電動送風機と、
前記吸込口体と前記電動送風機との間に配され、流入口、旋回室及び排出口体を備え、前記流入口から流入した含塵空気を前記旋回室にて旋回し、塵埃を分離した後に排出口体より排気するサイクロン部と
を備え、
前記旋回室の側壁は、
前記流入口が接続された略円筒形状の円筒部と、
前記円筒部の前記流入口側とは反対側に連結され、前記流入口から離れる方向に先端部が配置された略円錐形状の円錐部と
で構成され、
前記排出口体の側壁は、
前記円筒部の前記流入口側に覆われ、孔を持つ略円筒形状の円筒体と、
前記円筒部に覆われた状態で前記円筒体の前記流入口側とは反対側に連結され、前記流入口から離れる方向で前記円錐部に到達しない位置に先端部が配置され、孔を持つ略円錐形状の円錐体と
で構成され、
前記流入口と前記円筒体とよりも前記円錐部側で前記旋回室の円筒部の側壁を開口して形成された第1の開口部と、
前記旋回室の円錐部の一部を開口して形成された第2の開口部と、
前記第1の開口部を介して前記旋回室と連通する第1のダストケースと、
前記第2の開口部を介して前記旋回室と連通する第2のダストケースと
を更に備えたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記円錐体は、その孔の開口面積の総和が、前記円筒体の孔の開口面積の総和よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記旋回室の前記円錐部は、その中央軸に対する傾斜角度が、前記排出口体の前記円錐体の前記中央軸に対する傾斜角度とほぼ同等かそれ以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記第2の開口部は、その開口面積が前記第1の開口部の開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記排出口体は、その側壁において、前記第1の開口部付近の一部を除いた領域に前記孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記排出口体は、その側壁において、前記流入口付近の一部を除いた領域に前記孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記円錐体は、その略円錐形状面の少なくとも一部の軸方向における高さ位置が前記第1の開口部の軸方向における開口範囲内になるように配置されたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記流入口は、前記サイクロン部の軸方向における高さ範囲が前記円筒体の軸方向における高さ範囲内となるように配置されたことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記円錐体は、その大端の軸方向における高さ位置が、前記第1の開口部の軸方向における開口範囲外となるように配置されたことを特徴とする請求項8記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記サイクロン部と前記電動送風機との間に配置され、該サイクロン部の排出口体から排気された含塵空気から塵埃を分離して排気する第二サイクロン部を
更に備えたことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−56166(P2013−56166A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232503(P2012−232503)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2009−254915(P2009−254915)の分割
【原出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】