電気掃除機
【課題】応答性の高いインバータにより吸込み圧力を制御することにより、作業性の高い掃除機を実現すること。
【解決手段】交流電源1より与えられる交流電力は直流に変換された後、インバータ回路4に入力され任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモータ5およびファン6を任意の回転数で駆動する。電流制御手段9は、モータ5に流れる電流を所望の電流値になるように制御する。さらに圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値を外部より与えられる目標圧力指示値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を設定することにより、モータ5に流れる電流を制御することによって、掃除機の吸込み圧力を掃除作業性に最適な圧力値に制御することができる。
【解決手段】交流電源1より与えられる交流電力は直流に変換された後、インバータ回路4に入力され任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモータ5およびファン6を任意の回転数で駆動する。電流制御手段9は、モータ5に流れる電流を所望の電流値になるように制御する。さらに圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値を外部より与えられる目標圧力指示値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を設定することにより、モータ5に流れる電流を制御することによって、掃除機の吸込み圧力を掃除作業性に最適な圧力値に制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機における特に集塵のための空気の吸込み力を制御して掃除能力を制御する電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機において、その出力を制御することにより、その吸込み口に異物が張り付いた場合に、掃除機のモータの負担を低減し、異物の除去を簡単に実施するのに好適な電気掃除機として、電気掃除機の吸込み側の圧力を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段の出力に基づいて真空モータの出力を制御する手段を備えた電気掃除機が考案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この電気掃除機においては、電気掃除機の負荷変動に対して真空モータの出力を制御し、一定の圧力で吸込み仕事をさせることにより、掃除機の吸込み口に異物が付着して掃除機本体内部の吸込み口側の圧力が異常に低くなり、モータの回転数が上昇することにより、吸い込み口に着いた異物を取り除くことが困難となることを防止するとともに、吸い込み口の真空度が高いことによりノズルが床面に吸い付き作業性が悪くなることを防止するものであった。
【0004】
また、真空モータの出力の制御方法としては、検出された吸い込み圧力の検出値に基づいて、真空モータであるブラシモータの駆動回路におけるトライアックの点呼タイミングを制御する、いわゆる位相制御によるパワー制御方法が利用されていた(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−129823号公報
【特許文献2】特開昭60−114231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような電気掃除機においては、吸い込み圧力を検出してブラシモータの出力を制御することにより吸い込み圧力を制御しているが、ブラシモータの位相制御による圧力制御では、制御の応答性が低く圧力の変動が大きくなるものであった。そのため、制御の目的の一つである異物の除去には、非常に時間が必要となり掃除作業性能は低かった。
【0007】
また、吸い込み圧力を掃除対象に合わせて掃除の作業性を上げることに関しても、圧力制御の低い制御性のために圧力変動が大きく、制御性を向上させることは困難であった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸い込み圧力を検出もしくは推定し、その圧力値をファンモータであるブラシレスモータに流れるモータ電流を、それを駆動するインバータにより高速に制御することにより、掃除対象に合わせて最適な圧力値に制御することにより掃除の作業性の高い電気掃除機を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気掃除機は、ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気
掃除機において、前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、前記電気掃除機内の吸込み負圧を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたものである。
このことにより、高速応答性を持った吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、高速応答性を持った吸込み圧力の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の主な回路構成を示すブロック図
【図2】一般的な電気掃除機における真空度圧力Pと風量Qとの関係図
【図3】本発明の実施の形態1における電気掃除機の真空度圧力Pと風量QとのPQ特性図
【図4】同、電気掃除機の全体構成を示す外観図
【図5】(a)同、電気掃除機における圧力制御なしの場合での電動送風機のモータに流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値、電動送風機のモータの回転数の推移を示した特性図、(b)同、電気掃除機における圧力制御ありの場合での電動送風機のモータに流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値、電動送風機のモータの回転数の推移を示した特性図
【図6】同、電気掃除機の詳細回路構成を示すブロック図
【図7】一般的なブラシレスモータの損失の特性の一例を示した特性図
【図8】同、電気掃除機の電流指令作成手段の電流位相角の設定原理を示した特性図
【図9】同、電気掃除機の回転数の変動特性の一例を示した特性図
【図10】本発明の実施の形態2に係る電気掃除機の詳細回路構成を示すブロック図
【図11】同、電気掃除機におけるモータの回転数一定条件下でのモータ電流と真空度圧力の関係の一例を示した特性図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、前記電気掃除機内の吸込み負圧を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたものである。
このことにより、高速応答性を持った吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0013】
第2の発明は、ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記ブラシレス電動送風機の回転数を検出する回転数検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、前記電気掃除機内の吸込み負圧を前記電流検出手段により検出された電流値と前記回転数検出
手段により検出された回転数とから推定する圧力推定手段と、前記圧力推定手段により推定された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたものである。
このことにより、低コストで高速応答性を持った吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0014】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが減少する値に設定すると共に、所定の目標圧力値に対して負圧が小であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが増加する値に設定することを特徴としたものである。
このことにより、応答性の高い吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0015】
第4の発明は、特に、第3の発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値を、ブラシレス電動送風機の制動トルクを発生させる値に設定することを特徴としたものである。
このことにより、制動トルクを用いた応答性の高い吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0016】
第5の発明は、特に、第4の発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、制動トルクを発生させる電流指令値が設定された電流制御手段は、ブラシレス電動送風機が発生する回生電力を低減させる電流位相に電流を制御することを特徴としたものである。
このことにより、信頼性の高い回路構成により、制動トルクを用いた応答性の高い吸込み負圧の制御を行うことにより、信頼性および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0017】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、前記ブラシレス電動送風機の減速時の電動送風機の回転数の減速率は、加速時の電動送風機の加速率よりも大とすることを特徴としたものである。
このことにより、吸込み圧力の増加減少方向毎に応答性の異なる吸込み負圧の制御を行うことにより、被掃除物の張り付きのない作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0018】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、被掃除面に対応した適切な目標圧力値を外部から入力するための目標圧力値入力手段を備えたものである。
このことにより、適切な吸込み圧力を設定入力することにより、どのような被掃除面に対しても掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の主な回路構成を示すブロック図である。交流電源1より与えられる交流電力は、全波整流用のダイオードブリッジで構成される整流回路2により直流に変換される。この整流回路2により変換された直流電力は、平滑コンデンサ3により構成される平滑回路を通して、インバータ回路4に入力される。インバータ回路4においては、任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモー
タ5に供給される。これにより、モータ5に接続されたファン6を任意の回転数で駆動することができる。
【0021】
電流制御手段9はインバータ回路4を制御し、モータ5に流れる電流を検出する電流検出手段7で検出されたモータ電流が所望の電流値になるように制御する。さらに圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値を入力とし、その値が外部より与えられる目標圧力指示値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を前記電流制御手段9に設定する。
【0022】
このような構成により掃除機の吸込み圧力をモータ5に流れる電流を制御することによりモータ5のトルクを制御し、それにより掃除作業性に最適な圧力値に制御することができ、これにより掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0023】
一般的な電気掃除機においては、掃除機の真空度圧力Pと風量Qとの関係は、図2のようになる。この曲線は、掃除機のPQ特性を示すものであり、掃除機の吸込み口が開放状態の場合には点S2が動作点となり、風量はQ2、圧力の真空度はP2となる。このときには、風量が最大、圧力の真空度が最小となる。逆に、吸込み口にごみや布類などの被掃除物が詰まり閉塞した場合、その動作点は点S1に移動し、風量はQ1、圧力の真空度はP1となる。風量Q1はQ2よりも小さく、逆に圧力の真空度P1はP2よりも大きく、低風量で圧力の真空度が大きくなる。
【0024】
このように掃除機の吸込み状態に従って、その動作点は大きく変化し、それにより例えば、点S2においては、風量が最大となり消費電力が最大となるため、掃除仕事に関係のない無駄なエネルギーを消費していることとなる。一方、点S1においては、ごみや被掃除物が詰まっている、もしくはノズルが床面に吸い付いている閉塞状態であるため、掃掃除機の作業性が低いという状態となっている。
【0025】
これに対し、本発明の電気掃除機においては、図3に示すようなPQ特性を示す。つまり、無駄な電力を消費せずに掃除性が最適となるような圧力の真空度がPrであるとすると、PQ特性においては図2と同じ吸込み口の状態の場合、点Srが掃除性において最適な状態となるため、ファンの風量をインバータ回路4で制御し風量をQrとする。さらに吸込み口の状態が変化した場合においても、ファンの風量をその圧力の真空度に対して変化させることにより、その圧力の真空度を最適な値Pr近傍で推移させることができる。
【0026】
本発明の電気掃除機においては、モータ5に流れる電流を高速に制御することにより、その圧力の真空度の変化量、ここで示す(Pr1−Pr2)の値を少なくすることができ、その結果、作業性を損なうことなく掃除を実現することができる。
【0027】
図4に本発明の電気掃除機の外観構成図を示す。掃除機筺体内には、電動送風機13およびそれを駆動するインバータ基板14が備えられる。インバータ基板14へは、交流電源ケーブル15より電力が供給される。電動送風機13の風路の上流側には、圧力センサ8が備えられ、吸込み風路の圧力真空度を検出し、インバータ基板14に備えられた電流制御手段、圧力制御手段が圧力真空度の制御を目標圧力値に制御する。目標圧力値は、掃除機に備えられた目標圧力値入力手段11により使用者により掃除に最適な値が入力される。
【0028】
図5(a)、(b)に本発明の電気掃除機による動作の推移の一例を表した特性図を示す。図5(a)が、本発明による電気掃除機の圧力制御なしの場合の、電動送風機のモータ5に流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値、電動送風機のモータ5の回転数の推移の一例を示したものである。
【0029】
時刻t1において電動掃除機の吸込み口を閉塞し、さらに時刻t2において電動送風機の吸込み口を解放した時の特性である。このように、電動掃除機のブラシレス電動送風機が一定回転で回転している場合に、被掃除物が詰まるなどの要因で吸込み口が閉塞されると、吸込み風路内の圧力の真空度は上昇し、さらに逆に被掃除物が外れるなどの要因で吸込み口が開放されると、吸込み風路内の圧力の真空度は低下するといった推移を示す。
【0030】
図5(b)が、本発明による電気掃除機の圧力制御ありの場合の、電動送風機のモータ5に流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値と目標圧力値、電動送風機のモータ5の回転数の推移の一例を示したものである。時刻t3において電動掃除機の吸込み口を閉塞し、さらに時刻t4において電動送風機の吸込み口を解放した時の特性である。このように、電動掃除機に被掃除物が詰まるなどの要因で吸込み口が閉塞されると、吸込み風路内の圧力の真空度は急激に上昇するが、本発明による電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数が急速に低減されることにより、吸込み風路内の圧力の真空度は、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。この際、電動送風機のモータ5に流れる電流は増加するが、この電流は電動送風機のモータ5を制動するための制動電流である。
【0031】
さらに、逆に被掃除物が外れるなどの要因で吸込み口が開放されると、吸込み風路内の圧力の真空度は瞬間的には低下するが、電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数が急速に増加することにより、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。この際、電動送風機のモータ5に流れる電流は増加するが、この電流は電動送風機のモータ5を駆動するための駆動電流である。
【0032】
以上のように、本発明による電気掃除機によれば、吸込み風路内の圧力の真空度を圧力制御手段により制御し、電動送風機のモータ5に流れる電流を電流制御手段により制御することにより、吸込み風路内の真空度圧力値を最適な目標圧力値に制御することができるものである。
【0033】
図6は、本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の詳細回路構成を示すブロック図である。交流電源1より与えられる交流電力は、全波整流用のダイオードブリッジで構成される整流回路2により直流に変換される。この整流回路2により変換された直流電力は、平滑コンデンサ3により構成される平滑回路を通して、インバータ回路4に入力される。平滑回路には、分圧抵抗31、32とから構成される直流電圧検出部が備えられ、検出電圧値は、電流制御手段9に出力される。
【0034】
さらにインバータ回路4においては、任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモータ5に供給される。インバータ回路4には、スイッチング素子400〜405と環流ダイオード410〜415とが対になった回路、それをドライブするドライバ420が備えられる。
【0035】
圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を前記電流制御手段9に設定する。まず、外部より与えられる目標圧力値を実現するべく、圧力制御手段10内に設けられた圧力制御演算手段100は、現在の圧力値との誤差から以下に示す(数1)によって電流指令I*が演算される。演算方法としては、一般的なPI制御方式によるものである。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】
【数3】
【0039】
一方、モータ5に流れる電流を検出する電流センサ7a、7bにより検出されたモータ5の相電流Iu、Ivは、電流制御手段9内に備えられた2軸電流変換手段91により、回転角センサ50により検出されたモータの回転角情報を用いて、以下に示す(数4)によりモータ5のマグネットトルクに寄与するq軸電流Iqと、それに直交するd軸電流Idの2軸電流に変換される。このq軸電流Iqは、モータ5の出力に略比例する値であり、このことから、q軸電流を制御することは、モータトルクを制御することになる。
【0040】
【数4】
【0041】
【数5】
【0042】
【数6】
【0043】
さらに求められた2方向の出力VdとVqから、出力波形が正弦波となるように3相の出力電圧Vu、Vv、Vwが、推定されたモータ回転角θを用いて一般的な2相3相変換により以下に示す(数7)により変換して求められる。
【0044】
【数7】
【0045】
さらに正弦波電圧出力手段92は、出力電圧Vu、Vv、Vwを出力するべく、分圧抵抗31、32とから構成される直流電圧検出部から与えられる直流電圧値を用いて、モータ5を駆動するためのパルスパターン信号をドライバ420に出力し、ドライバ420は、そのドライブ信号に従って、スイッチング素子400〜405を駆動するための信号を出力する。
【0046】
以上のような構成により、モータ5およびそれに接続されたファン6は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるようにモータ5に流れる電流、およびそれに対応したモータトルクを調整することにより制御される。
【0047】
次に、電流指令作成手段101において設定される電流位相角βの設定方法について説明する。平滑コンデンサ3により構成される平滑回路部の直流電圧値は、モータ5を急速に制動させる場合には、その回生電力により上昇する。直流電圧が過大に上昇した場合には、回路内の素子、平滑コンデンサ3、スイッチング素子400〜405などが破壊する可能性があるため、直流電圧値を破壊電圧以下に抑える必要がある。そこで、電流指令作成手段101においては、直流部の電圧値に応じて設定される電流位相角βを変化させる。
【0048】
図7は、一般的なブラシレスモータの損失の特性を表した特性図の一例である。ブラシレスモータの励磁方向であるd軸電流の大きさに対する、モータ5の損失特性を表した特性図である。この図に示されているようにモータ5の損失は、d軸電流により変化し、損失が最小となるようなd軸電流値が存在する。従って、通常運転時には、モータ5の損失を最小にするようにd軸電流を制御すればよい。
【0049】
一方、d軸電流を最適値からずれた値にすると、モータ5の効率が低下することがわかる。また、d軸電流を増加させると界磁を低下させることとなり、誘起電圧値が低下することが分かっている。
【0050】
従って、直流部の電圧を低下させるためには、モータ5のd軸電流を最適値からずらして効率を低下させ、回生電力の量を減らすと共に、弱め界磁効果により誘起電圧値を低下させればよい。本発明による電流指令作成手段101においては、検出された直流部の電圧が標準値(例えば、AC200Vの電源入力を全波整流する場合では、約280V)に対して、要素部品に影響を与えないように+20Vの範囲を超えた場合には、その電流位相角を操作することにより、d軸電流を変化させ、弱め界磁効果によって直流部の電圧を
低減する制御を実施している。
【0051】
図8は、本実施の形態1における電流指令作成手段101の電流位相角の設定原理を表す特性図である。直流部の電圧が基準となる280V+20V=300V以下の場合には、モータ5に流れる電流の位相を制御し、電圧が300Vを超えるに従って、電流位相角を大きく設定する。これにより、電圧が300Vを超えるに従って弱め界磁効果により、電圧が下がる方向に制御が実施される。これにより、モータ5およびファン6を急速に減速させた場合でも、直流部の電圧を所定の範囲に収めることが可能となる。
【0052】
図9は、本実施の形態1における圧力制御実施時のモータ5の回転数の変動特性の一例を表す特性図である。圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を前記電流制御手段9に設定することにより、モータ5の回転数を変更している。本発明の圧力制御手段10においては、この電動送風機の減速時の回転数の減速率は、加速時の電動送風機の加速率よりも大とすることを特徴としている。
【0053】
図9における時刻t5において電動掃除機に被掃除物が詰まるなどの要因で吸込み口が閉塞されると、吸込み風路内の圧力の真空度は急激に上昇するので、電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数がR1からR2まで急速に低減されることにより、吸込み風路内の圧力の真空度は、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。
【0054】
さらに時刻t7において、被掃除物が外れるなどの要因で吸込み口が開放されると、吸込み風路内の圧力の真空度は瞬間的には低下するが、電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数がR2からR1に増加されることにより、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。この減速時間(t6−t5)と加速時間(t8−t7)は、減速時間の方が加速時間よりも短くなるように制御される。
【0055】
このことにより、吸込み口を閉塞している被掃除物は、容易に取り除くことが可能となっている。つまり、閉塞時の風路内の圧力の真空度は瞬間的には低下するため、被掃除物は弱い力で取り外すことができると共に、回復時の圧力の真空度は比較的遅く増加するため、再び閉塞された状態に陥る可能性は少なくなるからである。
【0056】
本制御は、具体的には圧力制御手段における圧力制御比例ゲイン、積分ゲインGpP、GiPを制御方向に従い大きさを変更することにより実現する。つまり、減速時には、圧力制御ゲインを加速時の圧力制御ゲインよりも大きく設定するものである。
【0057】
以上のような構成により、モータ5およびそれに接続されたファン6は、圧力センサ8で検出された掃除機の吸込み圧力を、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるように高応答で制御され、これにより掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0058】
さらに電流指令作成手段101において設定される電流位相角βが、直流部の電圧に応じて変更されることにより、平滑回路部の直流電圧値は、モータ5を急速に制動させた場合でも、過大に上昇することがなく、回路内の素子の破壊のない高信頼性の作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0059】
また、モータ5の減速時間の方が加速時間よりも短くなるように制御されることにより、吸込み口を閉塞している被掃除物は、容易に取り除くことが可能となる作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0060】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る電気掃除機の詳細構成を示すブロック図である。交流電源1より与えられる交流電力は、全波整流用のダイオードブリッジで構成される整流回路2により直流に変換された後、平滑コンデンサ3により構成される平滑回路を通して、インバータ回路4に入力され、さらにインバータ回路4においては、任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモータ5に供給される。この基本構成に関しては実施の形態1と同じであるので説明を省略し、実施の形態1と異なる部分に関してのみ説明を行う。
【0061】
本実施の形態2の電気掃除機においては、圧力センサの代わりに圧力推定手段51が備えられる。圧力推定手段51は、電流センサ7a、7bにより検出されたモータ5に流れる電流値と、回転角センサ50により検出されるモータ5の回転角から演算されるモータ5の回転数の情報とから掃除機の風路内の真空度圧力値を推定する。圧力制御手段10は、推定された圧力値を用いて、それが目標値になるように制御を実行する。
【0062】
図11は、本実施の形態2の発明にかかる電気掃除機における電動送風機のモータ5の回転数一定条件下でのモータ電流と真空度圧力の関係の一例を示した特性図である。
【0063】
図11に示すように、電動送風機のモータ5の回転数が、5万回転/分の一定条件において、電動送風機に通じる風路を開放状態から閉塞状態に絞り、風路開放度を変化させて行くと、風路の真空度圧力が大きくなるに従って、モータ5を流れる電流値は低下し、その関係は略線形の関係になっていることが分かる。圧力推定手段51においては、この関係式を、各回転数毎に予め設定しておくことにより、モータ5を流れる電流値から逆に真空度圧力の値の推定を行う。
【0064】
以上のような圧力推定手段51の動作により、圧力センサなしでも掃除機の吸込み圧力を推定することができ、さらにモータ5およびそれに接続されたファン6は、圧力推定手段51の推定値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるように高応答で制御され、これにより低コストで掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0065】
尚、上記実施の形態1および2における、圧力制御手段10および電流制御手段9は、マイコンのようなソフトウェア論理で動作するもので実現されてもよいし、ハードウェア論理回路により実現されても良いことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように本発明は電気掃除機における、特に集塵のための空気の吸込み力を制御して、掃除対象の変化にかかわらず常に作業性の高い掃除を実現する電気掃除機に関して有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 交流電源
2 整流回路
3 平滑コンデンサ
4 インバータ回路
5 モータ
6 ファン
7 電流検出手段
8 圧力センサ(圧力検出手段)
9 電流制御手段
10 圧力制御手段
13 電動送風機
51 圧力推定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機における特に集塵のための空気の吸込み力を制御して掃除能力を制御する電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機において、その出力を制御することにより、その吸込み口に異物が張り付いた場合に、掃除機のモータの負担を低減し、異物の除去を簡単に実施するのに好適な電気掃除機として、電気掃除機の吸込み側の圧力を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段の出力に基づいて真空モータの出力を制御する手段を備えた電気掃除機が考案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この電気掃除機においては、電気掃除機の負荷変動に対して真空モータの出力を制御し、一定の圧力で吸込み仕事をさせることにより、掃除機の吸込み口に異物が付着して掃除機本体内部の吸込み口側の圧力が異常に低くなり、モータの回転数が上昇することにより、吸い込み口に着いた異物を取り除くことが困難となることを防止するとともに、吸い込み口の真空度が高いことによりノズルが床面に吸い付き作業性が悪くなることを防止するものであった。
【0004】
また、真空モータの出力の制御方法としては、検出された吸い込み圧力の検出値に基づいて、真空モータであるブラシモータの駆動回路におけるトライアックの点呼タイミングを制御する、いわゆる位相制御によるパワー制御方法が利用されていた(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−129823号公報
【特許文献2】特開昭60−114231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような電気掃除機においては、吸い込み圧力を検出してブラシモータの出力を制御することにより吸い込み圧力を制御しているが、ブラシモータの位相制御による圧力制御では、制御の応答性が低く圧力の変動が大きくなるものであった。そのため、制御の目的の一つである異物の除去には、非常に時間が必要となり掃除作業性能は低かった。
【0007】
また、吸い込み圧力を掃除対象に合わせて掃除の作業性を上げることに関しても、圧力制御の低い制御性のために圧力変動が大きく、制御性を向上させることは困難であった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸い込み圧力を検出もしくは推定し、その圧力値をファンモータであるブラシレスモータに流れるモータ電流を、それを駆動するインバータにより高速に制御することにより、掃除対象に合わせて最適な圧力値に制御することにより掃除の作業性の高い電気掃除機を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気掃除機は、ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気
掃除機において、前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、前記電気掃除機内の吸込み負圧を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたものである。
このことにより、高速応答性を持った吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、高速応答性を持った吸込み圧力の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の主な回路構成を示すブロック図
【図2】一般的な電気掃除機における真空度圧力Pと風量Qとの関係図
【図3】本発明の実施の形態1における電気掃除機の真空度圧力Pと風量QとのPQ特性図
【図4】同、電気掃除機の全体構成を示す外観図
【図5】(a)同、電気掃除機における圧力制御なしの場合での電動送風機のモータに流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値、電動送風機のモータの回転数の推移を示した特性図、(b)同、電気掃除機における圧力制御ありの場合での電動送風機のモータに流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値、電動送風機のモータの回転数の推移を示した特性図
【図6】同、電気掃除機の詳細回路構成を示すブロック図
【図7】一般的なブラシレスモータの損失の特性の一例を示した特性図
【図8】同、電気掃除機の電流指令作成手段の電流位相角の設定原理を示した特性図
【図9】同、電気掃除機の回転数の変動特性の一例を示した特性図
【図10】本発明の実施の形態2に係る電気掃除機の詳細回路構成を示すブロック図
【図11】同、電気掃除機におけるモータの回転数一定条件下でのモータ電流と真空度圧力の関係の一例を示した特性図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、前記電気掃除機内の吸込み負圧を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段により検出された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたものである。
このことにより、高速応答性を持った吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0013】
第2の発明は、ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記ブラシレス電動送風機の回転数を検出する回転数検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、前記電気掃除機内の吸込み負圧を前記電流検出手段により検出された電流値と前記回転数検出
手段により検出された回転数とから推定する圧力推定手段と、前記圧力推定手段により推定された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたものである。
このことにより、低コストで高速応答性を持った吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0014】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが減少する値に設定すると共に、所定の目標圧力値に対して負圧が小であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが増加する値に設定することを特徴としたものである。
このことにより、応答性の高い吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0015】
第4の発明は、特に、第3の発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値を、ブラシレス電動送風機の制動トルクを発生させる値に設定することを特徴としたものである。
このことにより、制動トルクを用いた応答性の高い吸込み負圧の制御により作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0016】
第5の発明は、特に、第4の発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、制動トルクを発生させる電流指令値が設定された電流制御手段は、ブラシレス電動送風機が発生する回生電力を低減させる電流位相に電流を制御することを特徴としたものである。
このことにより、信頼性の高い回路構成により、制動トルクを用いた応答性の高い吸込み負圧の制御を行うことにより、信頼性および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0017】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、前記ブラシレス電動送風機の減速時の電動送風機の回転数の減速率は、加速時の電動送風機の加速率よりも大とすることを特徴としたものである。
このことにより、吸込み圧力の増加減少方向毎に応答性の異なる吸込み負圧の制御を行うことにより、被掃除物の張り付きのない作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0018】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、被掃除面に対応した適切な目標圧力値を外部から入力するための目標圧力値入力手段を備えたものである。
このことにより、適切な吸込み圧力を設定入力することにより、どのような被掃除面に対しても掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の主な回路構成を示すブロック図である。交流電源1より与えられる交流電力は、全波整流用のダイオードブリッジで構成される整流回路2により直流に変換される。この整流回路2により変換された直流電力は、平滑コンデンサ3により構成される平滑回路を通して、インバータ回路4に入力される。インバータ回路4においては、任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモー
タ5に供給される。これにより、モータ5に接続されたファン6を任意の回転数で駆動することができる。
【0021】
電流制御手段9はインバータ回路4を制御し、モータ5に流れる電流を検出する電流検出手段7で検出されたモータ電流が所望の電流値になるように制御する。さらに圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値を入力とし、その値が外部より与えられる目標圧力指示値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を前記電流制御手段9に設定する。
【0022】
このような構成により掃除機の吸込み圧力をモータ5に流れる電流を制御することによりモータ5のトルクを制御し、それにより掃除作業性に最適な圧力値に制御することができ、これにより掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0023】
一般的な電気掃除機においては、掃除機の真空度圧力Pと風量Qとの関係は、図2のようになる。この曲線は、掃除機のPQ特性を示すものであり、掃除機の吸込み口が開放状態の場合には点S2が動作点となり、風量はQ2、圧力の真空度はP2となる。このときには、風量が最大、圧力の真空度が最小となる。逆に、吸込み口にごみや布類などの被掃除物が詰まり閉塞した場合、その動作点は点S1に移動し、風量はQ1、圧力の真空度はP1となる。風量Q1はQ2よりも小さく、逆に圧力の真空度P1はP2よりも大きく、低風量で圧力の真空度が大きくなる。
【0024】
このように掃除機の吸込み状態に従って、その動作点は大きく変化し、それにより例えば、点S2においては、風量が最大となり消費電力が最大となるため、掃除仕事に関係のない無駄なエネルギーを消費していることとなる。一方、点S1においては、ごみや被掃除物が詰まっている、もしくはノズルが床面に吸い付いている閉塞状態であるため、掃掃除機の作業性が低いという状態となっている。
【0025】
これに対し、本発明の電気掃除機においては、図3に示すようなPQ特性を示す。つまり、無駄な電力を消費せずに掃除性が最適となるような圧力の真空度がPrであるとすると、PQ特性においては図2と同じ吸込み口の状態の場合、点Srが掃除性において最適な状態となるため、ファンの風量をインバータ回路4で制御し風量をQrとする。さらに吸込み口の状態が変化した場合においても、ファンの風量をその圧力の真空度に対して変化させることにより、その圧力の真空度を最適な値Pr近傍で推移させることができる。
【0026】
本発明の電気掃除機においては、モータ5に流れる電流を高速に制御することにより、その圧力の真空度の変化量、ここで示す(Pr1−Pr2)の値を少なくすることができ、その結果、作業性を損なうことなく掃除を実現することができる。
【0027】
図4に本発明の電気掃除機の外観構成図を示す。掃除機筺体内には、電動送風機13およびそれを駆動するインバータ基板14が備えられる。インバータ基板14へは、交流電源ケーブル15より電力が供給される。電動送風機13の風路の上流側には、圧力センサ8が備えられ、吸込み風路の圧力真空度を検出し、インバータ基板14に備えられた電流制御手段、圧力制御手段が圧力真空度の制御を目標圧力値に制御する。目標圧力値は、掃除機に備えられた目標圧力値入力手段11により使用者により掃除に最適な値が入力される。
【0028】
図5(a)、(b)に本発明の電気掃除機による動作の推移の一例を表した特性図を示す。図5(a)が、本発明による電気掃除機の圧力制御なしの場合の、電動送風機のモータ5に流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値、電動送風機のモータ5の回転数の推移の一例を示したものである。
【0029】
時刻t1において電動掃除機の吸込み口を閉塞し、さらに時刻t2において電動送風機の吸込み口を解放した時の特性である。このように、電動掃除機のブラシレス電動送風機が一定回転で回転している場合に、被掃除物が詰まるなどの要因で吸込み口が閉塞されると、吸込み風路内の圧力の真空度は上昇し、さらに逆に被掃除物が外れるなどの要因で吸込み口が開放されると、吸込み風路内の圧力の真空度は低下するといった推移を示す。
【0030】
図5(b)が、本発明による電気掃除機の圧力制御ありの場合の、電動送風機のモータ5に流れる電流値、吸込み風路内の真空度圧力値と目標圧力値、電動送風機のモータ5の回転数の推移の一例を示したものである。時刻t3において電動掃除機の吸込み口を閉塞し、さらに時刻t4において電動送風機の吸込み口を解放した時の特性である。このように、電動掃除機に被掃除物が詰まるなどの要因で吸込み口が閉塞されると、吸込み風路内の圧力の真空度は急激に上昇するが、本発明による電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数が急速に低減されることにより、吸込み風路内の圧力の真空度は、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。この際、電動送風機のモータ5に流れる電流は増加するが、この電流は電動送風機のモータ5を制動するための制動電流である。
【0031】
さらに、逆に被掃除物が外れるなどの要因で吸込み口が開放されると、吸込み風路内の圧力の真空度は瞬間的には低下するが、電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数が急速に増加することにより、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。この際、電動送風機のモータ5に流れる電流は増加するが、この電流は電動送風機のモータ5を駆動するための駆動電流である。
【0032】
以上のように、本発明による電気掃除機によれば、吸込み風路内の圧力の真空度を圧力制御手段により制御し、電動送風機のモータ5に流れる電流を電流制御手段により制御することにより、吸込み風路内の真空度圧力値を最適な目標圧力値に制御することができるものである。
【0033】
図6は、本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の詳細回路構成を示すブロック図である。交流電源1より与えられる交流電力は、全波整流用のダイオードブリッジで構成される整流回路2により直流に変換される。この整流回路2により変換された直流電力は、平滑コンデンサ3により構成される平滑回路を通して、インバータ回路4に入力される。平滑回路には、分圧抵抗31、32とから構成される直流電圧検出部が備えられ、検出電圧値は、電流制御手段9に出力される。
【0034】
さらにインバータ回路4においては、任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモータ5に供給される。インバータ回路4には、スイッチング素子400〜405と環流ダイオード410〜415とが対になった回路、それをドライブするドライバ420が備えられる。
【0035】
圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を前記電流制御手段9に設定する。まず、外部より与えられる目標圧力値を実現するべく、圧力制御手段10内に設けられた圧力制御演算手段100は、現在の圧力値との誤差から以下に示す(数1)によって電流指令I*が演算される。演算方法としては、一般的なPI制御方式によるものである。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】
【数3】
【0039】
一方、モータ5に流れる電流を検出する電流センサ7a、7bにより検出されたモータ5の相電流Iu、Ivは、電流制御手段9内に備えられた2軸電流変換手段91により、回転角センサ50により検出されたモータの回転角情報を用いて、以下に示す(数4)によりモータ5のマグネットトルクに寄与するq軸電流Iqと、それに直交するd軸電流Idの2軸電流に変換される。このq軸電流Iqは、モータ5の出力に略比例する値であり、このことから、q軸電流を制御することは、モータトルクを制御することになる。
【0040】
【数4】
【0041】
【数5】
【0042】
【数6】
【0043】
さらに求められた2方向の出力VdとVqから、出力波形が正弦波となるように3相の出力電圧Vu、Vv、Vwが、推定されたモータ回転角θを用いて一般的な2相3相変換により以下に示す(数7)により変換して求められる。
【0044】
【数7】
【0045】
さらに正弦波電圧出力手段92は、出力電圧Vu、Vv、Vwを出力するべく、分圧抵抗31、32とから構成される直流電圧検出部から与えられる直流電圧値を用いて、モータ5を駆動するためのパルスパターン信号をドライバ420に出力し、ドライバ420は、そのドライブ信号に従って、スイッチング素子400〜405を駆動するための信号を出力する。
【0046】
以上のような構成により、モータ5およびそれに接続されたファン6は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるようにモータ5に流れる電流、およびそれに対応したモータトルクを調整することにより制御される。
【0047】
次に、電流指令作成手段101において設定される電流位相角βの設定方法について説明する。平滑コンデンサ3により構成される平滑回路部の直流電圧値は、モータ5を急速に制動させる場合には、その回生電力により上昇する。直流電圧が過大に上昇した場合には、回路内の素子、平滑コンデンサ3、スイッチング素子400〜405などが破壊する可能性があるため、直流電圧値を破壊電圧以下に抑える必要がある。そこで、電流指令作成手段101においては、直流部の電圧値に応じて設定される電流位相角βを変化させる。
【0048】
図7は、一般的なブラシレスモータの損失の特性を表した特性図の一例である。ブラシレスモータの励磁方向であるd軸電流の大きさに対する、モータ5の損失特性を表した特性図である。この図に示されているようにモータ5の損失は、d軸電流により変化し、損失が最小となるようなd軸電流値が存在する。従って、通常運転時には、モータ5の損失を最小にするようにd軸電流を制御すればよい。
【0049】
一方、d軸電流を最適値からずれた値にすると、モータ5の効率が低下することがわかる。また、d軸電流を増加させると界磁を低下させることとなり、誘起電圧値が低下することが分かっている。
【0050】
従って、直流部の電圧を低下させるためには、モータ5のd軸電流を最適値からずらして効率を低下させ、回生電力の量を減らすと共に、弱め界磁効果により誘起電圧値を低下させればよい。本発明による電流指令作成手段101においては、検出された直流部の電圧が標準値(例えば、AC200Vの電源入力を全波整流する場合では、約280V)に対して、要素部品に影響を与えないように+20Vの範囲を超えた場合には、その電流位相角を操作することにより、d軸電流を変化させ、弱め界磁効果によって直流部の電圧を
低減する制御を実施している。
【0051】
図8は、本実施の形態1における電流指令作成手段101の電流位相角の設定原理を表す特性図である。直流部の電圧が基準となる280V+20V=300V以下の場合には、モータ5に流れる電流の位相を制御し、電圧が300Vを超えるに従って、電流位相角を大きく設定する。これにより、電圧が300Vを超えるに従って弱め界磁効果により、電圧が下がる方向に制御が実施される。これにより、モータ5およびファン6を急速に減速させた場合でも、直流部の電圧を所定の範囲に収めることが可能となる。
【0052】
図9は、本実施の形態1における圧力制御実施時のモータ5の回転数の変動特性の一例を表す特性図である。圧力制御手段10は、掃除機の吸込み圧力を検出する圧力センサ8の検出値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるようにモータ5に流れる電流値の目標値を前記電流制御手段9に設定することにより、モータ5の回転数を変更している。本発明の圧力制御手段10においては、この電動送風機の減速時の回転数の減速率は、加速時の電動送風機の加速率よりも大とすることを特徴としている。
【0053】
図9における時刻t5において電動掃除機に被掃除物が詰まるなどの要因で吸込み口が閉塞されると、吸込み風路内の圧力の真空度は急激に上昇するので、電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数がR1からR2まで急速に低減されることにより、吸込み風路内の圧力の真空度は、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。
【0054】
さらに時刻t7において、被掃除物が外れるなどの要因で吸込み口が開放されると、吸込み風路内の圧力の真空度は瞬間的には低下するが、電流制御手段、圧力制御手段により電動送風機のモータ5の回転数がR2からR1に増加されることにより、作業性が最適になるように設定された目標圧力値に制御される。この減速時間(t6−t5)と加速時間(t8−t7)は、減速時間の方が加速時間よりも短くなるように制御される。
【0055】
このことにより、吸込み口を閉塞している被掃除物は、容易に取り除くことが可能となっている。つまり、閉塞時の風路内の圧力の真空度は瞬間的には低下するため、被掃除物は弱い力で取り外すことができると共に、回復時の圧力の真空度は比較的遅く増加するため、再び閉塞された状態に陥る可能性は少なくなるからである。
【0056】
本制御は、具体的には圧力制御手段における圧力制御比例ゲイン、積分ゲインGpP、GiPを制御方向に従い大きさを変更することにより実現する。つまり、減速時には、圧力制御ゲインを加速時の圧力制御ゲインよりも大きく設定するものである。
【0057】
以上のような構成により、モータ5およびそれに接続されたファン6は、圧力センサ8で検出された掃除機の吸込み圧力を、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるように高応答で制御され、これにより掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0058】
さらに電流指令作成手段101において設定される電流位相角βが、直流部の電圧に応じて変更されることにより、平滑回路部の直流電圧値は、モータ5を急速に制動させた場合でも、過大に上昇することがなく、回路内の素子の破壊のない高信頼性の作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0059】
また、モータ5の減速時間の方が加速時間よりも短くなるように制御されることにより、吸込み口を閉塞している被掃除物は、容易に取り除くことが可能となる作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0060】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る電気掃除機の詳細構成を示すブロック図である。交流電源1より与えられる交流電力は、全波整流用のダイオードブリッジで構成される整流回路2により直流に変換された後、平滑コンデンサ3により構成される平滑回路を通して、インバータ回路4に入力され、さらにインバータ回路4においては、任意の周波数の3相交流に変換され、接続されたモータ5に供給される。この基本構成に関しては実施の形態1と同じであるので説明を省略し、実施の形態1と異なる部分に関してのみ説明を行う。
【0061】
本実施の形態2の電気掃除機においては、圧力センサの代わりに圧力推定手段51が備えられる。圧力推定手段51は、電流センサ7a、7bにより検出されたモータ5に流れる電流値と、回転角センサ50により検出されるモータ5の回転角から演算されるモータ5の回転数の情報とから掃除機の風路内の真空度圧力値を推定する。圧力制御手段10は、推定された圧力値を用いて、それが目標値になるように制御を実行する。
【0062】
図11は、本実施の形態2の発明にかかる電気掃除機における電動送風機のモータ5の回転数一定条件下でのモータ電流と真空度圧力の関係の一例を示した特性図である。
【0063】
図11に示すように、電動送風機のモータ5の回転数が、5万回転/分の一定条件において、電動送風機に通じる風路を開放状態から閉塞状態に絞り、風路開放度を変化させて行くと、風路の真空度圧力が大きくなるに従って、モータ5を流れる電流値は低下し、その関係は略線形の関係になっていることが分かる。圧力推定手段51においては、この関係式を、各回転数毎に予め設定しておくことにより、モータ5を流れる電流値から逆に真空度圧力の値の推定を行う。
【0064】
以上のような圧力推定手段51の動作により、圧力センサなしでも掃除機の吸込み圧力を推定することができ、さらにモータ5およびそれに接続されたファン6は、圧力推定手段51の推定値が、外部より与えられる掃除作業に最適な目標圧力値になるように高応答で制御され、これにより低コストで掃除能力および作業性の高い電気掃除機が実現される。
【0065】
尚、上記実施の形態1および2における、圧力制御手段10および電流制御手段9は、マイコンのようなソフトウェア論理で動作するもので実現されてもよいし、ハードウェア論理回路により実現されても良いことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように本発明は電気掃除機における、特に集塵のための空気の吸込み力を制御して、掃除対象の変化にかかわらず常に作業性の高い掃除を実現する電気掃除機に関して有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 交流電源
2 整流回路
3 平滑コンデンサ
4 インバータ回路
5 モータ
6 ファン
7 電流検出手段
8 圧力センサ(圧力検出手段)
9 電流制御手段
10 圧力制御手段
13 電動送風機
51 圧力推定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、
前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、
前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、
前記電気掃除機内の吸込み負圧を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、
前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、
前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記ブラシレス電動送風機の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、
前記電気掃除機内の吸込み負圧を前記電流検出手段により検出された電流値と前記回転数検出手段により検出された回転数とから推定する圧力推定手段と、
前記圧力推定手段により推定された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが減少する値に設定すると共に、所定の目標圧力値に対して負圧が小であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが増加する値に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値を、ブラシレス電動送風機の制動トルクを発生させる値に設定することを特徴とする請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、制動トルクを発生させる電流指令値が設定された電流制御手段は、ブラシレス電動送風機が発生する回生電力を低減させる電流位相に電流を制御することを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、前記ブラシレス電動送風機の減速時の電動送風機の回転数の減速率は、加速時の電動送風機の加速率よりも大とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
被掃除面に対応した適切な目標圧力値を外部から入力するための目標圧力値入力手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項1】
ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、
前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、
前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、
前記電気掃除機内の吸込み負圧を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
ブラシレス電動送風機と、前記ブラシレス電動送風機を駆動するインバータ回路と、
前記ブラシレス電動送風機と前記インバータ回路を有した電気掃除機において、
前記ブラシレス電動送風機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記ブラシレス電動送風機の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流を前記インバータ回路を制御する電流指令値として送信制御する電流制御手段と、
前記電気掃除機内の吸込み負圧を前記電流検出手段により検出された電流値と前記回転数検出手段により検出された回転数とから推定する圧力推定手段と、
前記圧力推定手段により推定された圧力値と所定の目標圧力値との差に応じて前記電流制御手段における前記電流指令値を変更することにより圧力値を所定の目標圧力値に制御する圧力制御手段とを備えたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが減少する値に設定すると共に、所定の目標圧力値に対して負圧が小であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値をブラシレス電動送風機の回転トルクが増加する値に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、検出された圧力値が所定の目標圧力値に対して負圧が大であれば、前記電流制御手段に出力する電流指令値を、ブラシレス電動送風機の制動トルクを発生させる値に設定することを特徴とする請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、制動トルクを発生させる電流指令値が設定された電流制御手段は、ブラシレス電動送風機が発生する回生電力を低減させる電流位相に電流を制御することを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記圧力制御手段により圧力値を制御する際、前記ブラシレス電動送風機の減速時の電動送風機の回転数の減速率は、加速時の電動送風機の加速率よりも大とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
被掃除面に対応した適切な目標圧力値を外部から入力するための目標圧力値入力手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−90814(P2013−90814A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234868(P2011−234868)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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