説明

電気接続箱

【課題】コネクタ部の端子間のリークを防ぐことができるとともに、電子制御ユニットを収容したケース体の内部への雨水などの浸入を確実に防ぐことができる電気接続箱を提供する。
【解決手段】コネクタ部4が、端子7を保持するコネクタホルダ41と、該コネクタホルダから突出する端子7を収容するコネクタハウジング43とを備え、該コネクタハウジング43が、底部43aに水抜き孔43dを備え、電子制御ユニット5を収容するケース体6が、前記電子制御ユニット5の基板2の板面方向に沿って二つ割構造に形成された第1ケース体61と第2ケース体62とを備え、該第1ケース体61と第2ケース体62との各上壁部61c、62cが、前記コネクタホルダ41に周囲から嵌合する嵌合部8を備えるとともに、前記第1ケース体61と第2ケース体62との各突き合わせ部61f、62fが、互いに嵌合する嵌合部9を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電気的制御を行う電子制御ユニットを収容する電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載されている。該電子機器に電力を供給するために、前記自動車には、ヒューズやリレーなどの電気回路ユニットを集約して構成されたジャンクションブロックが適宜箇所に配置されている。
【0003】
前記ジャンクションブロックは、ヒューズ、リレー及びブスバーなどを有することから、ヒューズボックス、リレーボックス、または総称して電気接続箱と呼ばれる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
前記特許文献1などに示された電気接続箱は、基板上にヒューズやリレーなどの電子部品が装着されるとともに、基板の少なくとも一端部に相手側コネクタを受け入れるコネクタ部が設けられた電子制御ユニットと、該電子制御ユニットが、設置状態で前記コネクタ部を上方にして収容されるケース体とを備えている。
【0005】
前記コネクタ部には、一端部が前記基板に接続された端子の他端部が収容され、コネクタ部の底壁部には、水抜き孔が形成されている。そして、前記水抜き孔によりコネクタ部の内部に溜まった雨水などをコネクタ部の外部に排出して、溜まった雨水などに起因する端子間のリークを防ぐようになっている。
【特許文献1】特許第3334642号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記した電気接続箱は、コネクタ部の水抜き孔から排出される雨水が電子制御ユニットを収容したケース体の内部に直接排出されるため、雨水が電子制御ユニットの基板に直接かかるおそれがあり、電子制御ユニットが被水した場合には誤作動などを引き起こすという問題点があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、コネクタ部の端子間のリークを防ぐことができるとともに、電子制御ユニットを収容したケース体の内部への雨水などの浸入を確実に防ぐことができる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の電気接続箱は、基板上に電子部品が装着されるとともに、前記基板の少なくとも一端部に相手側コネクタを受け入れるコネクタ部が設けられた電子制御ユニットと、該電子制御ユニットが、設置状態で前記コネクタ部を上方にして収容されるケース体とを備える電気接続箱であって、前記コネクタ部が、端子を保持するコネクタホルダと、該コネクタホルダから突出する端子を収容するコネクタハウジングとを備え、該コネクタハウジングが、底部に水抜き孔を備え、前記ケース体が、前記基板の板面方向に沿って二つ割構造に形成された第1ケース体と第2ケース体とを備え、該第1ケース体と第2ケース体との各上壁部が、前記コネクタホルダに周囲から嵌合する嵌合部を備えるとともに、前記第1ケース体と第2ケース体との各分割部が、互いに嵌合する嵌合部を備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明の電気接続箱は、請求項1に記載の電気接続箱において、前記コネクタハウジングの水抜き孔と連通する通路が、前記コネクタハウジングの底部と前記第1ケース体及び第2ケース体の上壁部との間に形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明の電気接続箱は、請求項1又は請求項2に記載の電気接続箱において、前記コネクタハウジングの水抜き孔が、前記第1ケース体及び第2ケース体と前記コネクタホルダとの嵌合部の外側に配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明の電気接続箱は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電気接続箱において、前記第1ケース体及び第2ケース体の上壁部が、前記コネクタホルダとの嵌合部から外側に離れるにしたがって設置状態で下方に傾斜した傾斜面に形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明の電気接続箱は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電気接続箱において、前記コネクタハウジングの底部が、前記端子の周囲を囲み、底部から前記ケース体の上端面に向けて突出するリブを備え、該リブの先端面が前記ケース体の上端面に当接していることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の本発明の電気接続箱は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱において、前記コネクタハウジング内に突出する端子が、コネクタハウジングの底部内面に形成された凸状の保持部により保持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1に記載の本発明の電気接続箱によれば、基板上に電子部品が装着されるとともに、前記基板の少なくとも一端部に相手側コネクタを受け入れるコネクタ部が設けられた電子制御ユニットと、該電子制御ユニットが、設置状態で前記コネクタ部を上方にして収容されるケース体とを備える電気接続箱であって、前記コネクタ部が、端子を保持するコネクタホルダと、該コネクタホルダから突出する端子を収容するコネクタハウジングとを備え、該コネクタハウジングが、底部に水抜き孔を備え、前記ケース体が、前記基板の板面方向に沿って二つ割構造に形成された第1ケース体と第2ケース体とを備え、該第1ケース体と第2ケース体との各上壁部が、前記コネクタホルダに周囲から嵌合する嵌合部を備えるとともに、前記第1ケース体と第2ケース体との各分割部が、互いに嵌合する嵌合部を備えているので、第1ケース体及び第2ケース体とコネクタホルダ、並びに、第1ケース体と第2ケース体が隙間無く嵌合されるようになり、コネクタハウジングの水抜き孔から排出される雨水などが電子制御ユニットを収容したケース体の内部に直接排出されることがなく、電子制御ユニットの被水による誤作動を防ぐことができる。また、コネクタハウジングの内部に溜まった雨水などが水抜き孔を介して外部に排出されるので、コネクタハウジングに収容された端子間のリークを防ぐことができる。
【0015】
請求項2に記載の本発明の電気接続箱によれば、前記コネクタハウジングの水抜き孔と連通する通路が、前記コネクタハウジングの底部と前記第1ケース体及び第2ケース体の上壁部との間に形成されているので、コネクタハウジングから排出される雨水が前記通路を介して確実にケース体の外部に排出され、雨水がケース体の内部に直接排出されることがなく、そのために、電子制御ユニットの被水による誤作動を防ぐことができるとともに、コネクタハウジングに収容された端子間のリークを防ぐことができる。
【0016】
請求項3に記載の本発明の電気接続箱によれば、前記コネクタハウジングの水抜き孔が、前記第1ケース体及び第2ケース体と前記コネクタホルダとの嵌合部の外側に配置されているので、コネクタハウジングから排出される雨水が第1ケース体及び第2ケース体とコネクタホルダとの嵌合部にかかることがなく、ケース体の内部に雨水が侵入することを確実に防ぐことができる。
【0017】
請求項4に記載の本発明の電気接続箱によれば、前記第1ケース体及び第2ケース体の上壁部が、前記コネクタホルダとの嵌合部から外側に離れるにしたがって設置状態で下方に傾斜した傾斜面に形成されているので、コネクタハウジングから排出される雨水を確実にケース体の外部に排出することができ、ケース体の内部に雨水が侵入することを防ぐことができる。
【0018】
請求項5に記載の本発明の電気接続箱によれば、前記コネクタハウジングの底部が、前記端子の周囲を囲み、底部から前記ケース体の上端面に向けて突出するリブを備え、該リブの先端面が前記ケース体の上端面に当接しているので、コネクタハウジングから排出される雨水が端子側に流れるような場合でも、前記リブで雨水を堰き止めることができ、端子の被水を防いで端子間のリークを防ぐことができる。
【0019】
請求項6に記載の本発明の電気接続箱によれば、前記コネクタハウジング内に突出する端子が、コネクタハウジングの底部内面に形成された凸状の保持部により保持されているので、コネクタハウジングの内部に雨水が溜まるような場合でも、コネクタハウジングの底部内面より一段高い保持部で端子が保持されることにより、端子の保持部分の被水を防ぐことができ、また、前記凸状の保持部で端子を保持することにより、隣り合う端子間の沿面距離を確保することができ、端子間でのリークを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る電気接続箱の一実施の形態を、図1〜図9の図面を参照して説明する。本実施形態に係る電気接続箱1は、自動車の電源と、自動車に搭載される各種電子機器との間に配置され、前記電源から電子機器に供給される電力をコントロールするようになっている。
【0021】
図1に示すように、電気接続箱1は、基板2上にリレー3や図示しないヒューズなどの電子部品が装着されるとともに、基板2の上端部及び下端部に出力コネクタ部4、4’が設けられた電子制御ユニット5と、該電子制御ユニット5が、設置状態で前記出力コネクタ部4、4’が上下に位置するように収容されるケース体6とを備え、例えば、エンジンルーム内に縦方向(図1のY方向)に配置されている。
【0022】
前記電子制御ユニット5の基板2の上端部及び下端部には、それぞれ、図示しない相手側コネクタを受け入れる出力コネクタ部4、4’が設けられている。該出力コネクタ部4、4’は、基本的には同じ構成なので、以下基板2の上端部に設けられた出力コネクタ部4について説明する。
【0023】
前記出力コネクタ部4は、コネクタホルダ41と、後述するコネクタハウジング43とを備えている。前記コネクタホルダ41は、導電性板金をプレス成形してなる端子7が絶縁性の合成樹脂材料にインサート成形されて構成されたもので、略直方体状に形成されている。本実施形態の場合、前記コネクタホルダ41には、コネクタホルダ41の奥行き方向(図1のZ方向)に8対の端子7がインサート成形されている(図3参照)。なお、前記コネクタホルダ41に端子7を圧入するようにしてもよく、また、端子7の数は適宜変更できる。
【0024】
前記コネクタホルダ41は、前記基板2に螺子42などにより固定されている。前記コネクタホルダ41にインサート成形されて保持された端子7は、L字状に屈曲形成され、端子7の一方の端部7aが基板2に半田付けされて固定、接続されるとともに、端子7の他方の端部7bがコネクタホルダ41の上端面41aより上方に突出して形成されている。
【0025】
前記コネクタホルダ41の上端面41aには、相手側コネクタを嵌合させるためのコネクタハウジング43が設けられている。該コネクタハウジング43は、絶縁性の合成樹脂で構成され、周知の射出成形により形成されている。前記コネクタハウジング43は、上端が開放した有底箱状に形成され、コネクタハウジング43の底部43aには、コネクタハウジング43の奥行き方向(図1のZ方向)に前記端子7の数に合わせて8対の端子孔43bが形成されている。そして、前記コネクタホルダ41の上端面41aから突出する端子7の端部7bが前記端子孔43bに圧入されて、前記端子7がコネクタハウジング43の内部に突出するようになっている。なお、前記コネクタホルダ41とコネクタハウジング43とを前記したように別体でなく、絶縁性の合成樹脂で一体に形成してもよい。
【0026】
前記出力コネクタ部4のコネクタホルダ41や、各種電子部品が取り付けられた前記基板2を備える前記電子制御ユニット5は、設置状態で出力コネクタ部4を上方にして基板2が縦方向(図1のY方向)に向くようにケース体6に収容されている。前記ケース体6は、絶縁性の合成樹脂で周知の射出成形により形成され、直方体状に形成されている。前記ケース体6は、図2及び図3に示すように、前記基板2の板面2aの方向(図2のY方向)に沿った二つ割り構造に形成され、第1ケース体61と第2ケース体62とを備えている。
【0027】
図2に示すように、前記第1ケース体61と第2ケース体62とは、ケース体6の分割部6aが開放されている。第1ケース体61と第2ケース体62とは基本的に同じ構成なので、第1ケース体61について説明すると、第1ケース体61は、底壁61aと、該底壁61aの外縁が立設した周壁61bとを備えた有底箱状に形成されている。第1ケース体61の内部には、分割部6aの開放部分から前記電子制御ユニット5の基板2が組み込まれ、前記底壁61aに立設した図示しない取付ボスに基板2が載置されて螺子などで固定される。第1ケース体61に基板2が収容された状態で第1ケース体61に第2ケース体62が組み付けられ、ケース体6が構成される。
【0028】
なお、前記第1ケース体61と第2ケース体62との組み付け状態は、例えば、図示しない第1ケース体61に設けられた係止突起が、第2ケース体62に設けられた係止孔に係止することにより保持されるが、第1ケース体61に係止孔を設けるとともに、第2ケース体62に係止突起を設けるようにしてもよい。
【0029】
ここで、前記第1ケース体61に第2ケース体62を組み付けてケース体6の内部に電子制御ユニット5の基板2を収容する際に、図1及び図3に示すように、第1ケース体61と第2ケース体62との上壁部61c、62cには、基板2のコネクタホルダ41に周囲から嵌合する嵌合部8が形成されている。該嵌合部8は、図3に示すように、第1ケース体61と第2ケース体62との各上壁部61c、62cに形成された凹部61d、62dを備えている。該凹部61d、62dの内周面には、図4に示すように、凹溝61e、62eがコネクタホルダ41の周囲に形成され、該凹溝61e、62eにコネクタホルダ41の周囲に突設されたフランジ部41bが入り込むようになっている。これにより、第1ケース体61に基板2を収容して第2ケース体62を組み付けた際に、第1ケース体61と第2ケース体62との上壁部61c、62cがコネクタホルダ41の周囲と隙間無く嵌合するようになる。なお、コネクタホルダ41の周囲に凹溝を形成し、該凹溝に入り込む凸条部を前記上壁部61c、62cの凹部61d、62dの内周面に形成するようにしてもよい。
【0030】
また、図2に示すように、前記コネクタホルダ41の周囲を除いた第1ケース体61と第2ケース体62との間の突き合わせ部61f、62f(ケース体6の分割部6aである第1ケース体61と第2ケース体62との分割部)にも嵌合部9が形成されている。即ち、図5に示すように、第1ケース体61の突き合わせ端面61gには、凹溝61hが形成され、第2ケース体62の突き合わせ端面62gには、前記凹溝61hに入り込む凸部62iが形成されている。これにより、第1ケース体61に第2ケース体62を組み付けた際に、前記コネクタホルダ41の周囲を除いた第1ケース体61と第2ケース体62との間の突き合わせ部61f、62fが隙間無く互いに嵌合するようになる。なお、第1ケース体61に凸部を形成し、該凸部が入り込む凹溝を第2ケース体62に形成するようにしてもよい。
【0031】
前記したように、第1ケース体61に第2ケース体62を組み付けてケース体6の内部に電子制御ユニット5の基板2を収容し、さらに、後述するようにして最終的に電気接続箱1を組み立てたとしても、図1及び図6に示すように、ケース体6の下壁部6bには、ケース体6の周壁6cに沿って複数の水抜き孔6dが形成されている。該水抜き孔6dは、ケース体6の内部に結露した水滴などをケース体6の外部に排出するためのものである。そのために、コネクタホルダ41の周囲とケース体6(第1ケース体61と第2ケース体62との上壁部61c、62c)との嵌合部8、及びケース体6の分割部6a(第1ケース体61と第2ケース体62との間の突き合わせ部61f、62f)の嵌合部9において隙間無く嵌合され、該嵌合部8、9でのケース体6の内部と外部との通気が十分にされないような状態であっても、前記下壁部6bに形成された水抜き孔6dを介してケース体6の内部と外部とが通気するようになっている。
【0032】
従って、ケース体6の内部と外部との通気は、ケース体6の下壁部6bに形成された水抜き孔6dを介して行われ、洪水などにより自動車が長時間にわたって浸水するような場合には、前記ケース体6の水抜き孔6dから雨水がケース体6の内部に侵入するようになるが、前記嵌合部8、9によるケース体6の内部と外部との通気性が悪いためにケース体6の内部の空気がケース体6の外部に抜けにくく、よって、ケース体6の内部に空気が充満した状態となってケース体6の水抜き孔6dからケース体6の内部へ侵入しようとする雨水の流入を防ぐことができ、ケース体6内に収容した電子制御ユニット5が雨水に浸かって誤作動することを防ぐことができる。
【0033】
図1及び図6に示すように、前記したように電子制御ユニット5の基板2を収容したケース体6の外部には、さらに、ケース体6と間隔をあけたフレームケース10が設けられている。該フレームケース10は、有底筒体状の内ケース11と、筒体状の外ケース12とを備え、絶縁性の合成樹脂で周知の射出成形により形成されている。
【0034】
内ケース11の下壁部11aには、前記電子制御ユニット5の基板2の下端部に設けられた出力コネクタ部4’を構成するコネクタハウジング43’が一体に形成されている。該コネクタハウジング43’の内部には、前記基板2の下端部に設けられたコネクタホルダ41’に保持された端子7’が突出している。また、内ケース11の下壁部11aには、コネクタハウジング43’の周囲に沿って複数の水抜き孔11bが形成されている。該水抜き孔11bは、図6に示すように、前記ケース体6の水抜き孔6dに対して周方向に異なる位置に形成され、両水抜き孔6d、11bは、互い違いに配置されている。
【0035】
従って、フレームケース11の水抜き孔11bから雨水が侵入するような場合でも、フレームケース11の水抜き孔11bとケース体6の水抜き孔6dとが互い違いに配置されているために、フレームケース11の水抜き孔11bから侵入した雨水はケース体6の下壁部6bに突き当たるようになり、よって、フレームケース11の水抜き孔11bから直ちにケース体6の水抜き孔6dを通じてケース体6の内部に雨水が侵入することがなく、ケース体6の内部に直接雨水が侵入することを防ぐことができるようになっている。
【0036】
前記内ケース11の外側には、図1及び図6に示すように、複数のリブ13で支持された外ケース12が設けられている。該外ケース12も、前記コネクタハウジング43’と同様に内ケース11と一体に形成されている。なお、前記フレームケース10の内ケース11内に配置される前記ケース体6は、図示しない保持部材によって内ケース11内の所定位置に保持されるようになっている。
【0037】
前記ケース体6が配置された内ケース11の上端開放部には、図1に示すように、カバー部材14が嵌合されている。該カバー部材14には、前記したコネクタホルダ41の上端面41aに設けられたコネクタハウジング43が一体に形成されている。前記コネクタハウジング43の底部43aには、図7に示すように、コネクタハウジング43の周壁43cに沿って、複数の水抜き孔43dが形成されている。
【0038】
前記コネクタハウジング43には、図示しない相手側のコネクタハウジングが嵌合されるようになっているので、相手側のコネクタハウジングから電気接続箱1の外部に導出される図示しない電線の周囲を伝わって、雨水がコネクタハウジング43の内部まで浸入してくることがある。そのために、前記水抜き孔43dにより、コネクタハウジング43の内部に溜まった雨水をコネクタハウジング43の外部に排出して、溜まった雨水に起因する端子7間のリークを防止するようにしている。
【0039】
図1に示すように、前記カバー部材14を内ケース11に嵌合させた状態で、前記コネクタハウジング43の底部43aは、前記コネクタホルダ41の上端面41a(前記コネクタホルダ41を備えた基板2を収容したケース体6の上端面6e)との間に僅かな間隙xを有している。該間隙xは、前記水抜き孔43dと連通し、前記コネクタハウジング43の底部43aと前記第1ケース体61及び第2ケース体62の上壁部61c、62cとの間に形成された通路17として機能し、前記コネクタハウジング43の水抜き孔43dから排出される雨水が前記通路17を通ってケース体6の外部に排出される。なお、前記通路17は、前記した間隙xのかわりに、複数の水路状に形成してもよい。
【0040】
前記コネクタハウジング43の水抜き孔43dは、図7に示すように、前記第1ケース体61及び第2ケース体62と前記コネクタホルダ41との嵌合部8の外側に配置されている。これにより、コネクタハウジング43から排出される雨水が第1ケース体61及び第2ケース体62とコネクタホルダ41との嵌合部8にかかることがない。
【0041】
また、前記第1ケース体61及び第2ケース体62の上壁部61c、62cが、前記コネクタホルダ41との嵌合部8から外側に離れるにしたがって、設置状態で下方に傾斜した傾斜面に形成されている。これにより、コネクタハウジング43から排出される雨水を確実にケース体6の外部に排出することができるようになる。
【0042】
図1及び図8に示すように、前記コネクタハウジング43の底部43aには、前記ケース体6の上端面6e(コネクタホルダ41の上端面41a)側に向けてリブ43eが突出形成されている。前記リブ43eは、コネクタホルダ41から突出してコネクタハウジング43に圧入される端子7の周囲を囲むように形成され、リブ43eの先端がコネクタホルダ41の上端面41aと当接するようになっている。これにより、コネクタハウジング43から排出される雨水が端子7側に流れるような場合でも、前記リブ43eで雨水を堰き止めることができる。なお、本実施形態の場合、コネクタハウジング43の端子孔43bの周縁にリブ43eを形成したが、コネクタハウジング43から排出される雨水が端子7側に流れないようにするものであれば、その位置はどこでもよい。
【0043】
図9に示すように、前記コネクタハウジング43の底部43aからコネクタハウジング43内に突出する端子7は、コネクタハウジング43の底部内面43fに形成された凸状の保持部43gにより保持されている。これにより、コネクタハウジング43の内部に雨水が溜まるような場合でも、コネクタハウジング43の底部43aの底部内面43fより一段高い保持部43gで端子7が保持され、端子7の保持部分の被水を防ぐことができ、また、前記凸状の保持部43gで端子7を保持することにより、隣り合う端子7間の沿面距離yを確保することができ、端子7間でのリークを防ぐことができる。
【0044】
前記電子制御ユニット5の基板2が収容されたケース体6が配置されたフレームケース10の外ケース12には、図1に示すように、その上下両端の開放部を覆うようにそれぞれカバー部材としてのアッパカバー15とロアカバー16とが嵌合されている。該アッパカバー15とロアカバー16とは、それぞれ、絶縁性の合成樹脂で周知の射出成形により形成されている。そして、前記フレームケース10の外ケース12がブラケットなどの図示しない固定手段によりエンジンルームに固定されることにより、電気接続箱1がエンジンルーム内の所定位置に配置される。そして、前記電気接続箱1の出力コネクタ部4、4’に図示しない相手側コネクタが嵌合されることにより、電源から電子機器に供給される電力が電気接続箱1でコントロールされるようになっている。
【0045】
本実施形態の電気接続箱1によれば、コネクタ部4が、端子7を保持するコネクタホルダ41と、該コネクタホルダから突出する端子7を収容するコネクタハウジング43とを備え、該コネクタハウジング43が、底部43aに水抜き孔43dを備え、電子制御ユニット5を収容するケース体6が、前記電子制御ユニット5の基板2の板面方向に沿って二つ割構造に形成された第1ケース体61と第2ケース体62とを備え、該第1ケース体61と第2ケース体62との各上壁部61c、62cが、前記コネクタホルダ41に周囲から嵌合する嵌合部8を備えるとともに、前記第1ケース体61と第2ケース体62との各突き合わせ部61f、62fが、互いに嵌合する嵌合部9を備えているので、第1ケース体61及び第2ケース体62とコネクタホルダ41、並びに、第1ケース体61と第2ケース体62が隙間無く嵌合されるようになり、コネクタハウジング43の水抜き孔43dから排出される雨水などが電子制御ユニット5を収容したケース体6の内部に直接排出されることがなく、電子制御ユニット5の被水による誤作動を防ぐことができる。また、コネクタハウジング43の内部に溜まった雨水などが水抜き孔43dを介して外部に排出されるので、コネクタハウジング43に収容された端子7間のリークを防ぐことができる。
【0046】
また、コネクタハウジング43の水抜き孔43dと連通する通路17が、前記コネクタハウジング43の底部43aと前記第1ケース体61及び第2ケース体62の上壁部61c、62cとの間に形成されているので、コネクタハウジング43から排出される雨水が前記通路17を介して確実にケース体6の外部に排出され、雨水がケース体6の内部に直接排出されることがなく、そのために、電子制御ユニット5の被水による誤作動を防ぐことができるとともに、コネクタハウジング43に収容された端子7間のリークを防ぐことができる。
【0047】
また、前記コネクタハウジング43の水抜き孔43dが、前記第1ケース体61及び第2ケース体62と前記コネクタホルダ41との嵌合部8の外側に配置されているので、コネクタハウジング43から排出される雨水が第1ケース体61及び第2ケース体62とコネクタホルダ41との嵌合部8にかかることがなく、ケース体6の内部に雨水が侵入することを確実に防ぐことができる。
【0048】
また、前記第1ケース体61及び第2ケース体62の上壁部61c、62cが、前記コネクタホルダ41との嵌合部8から外側に離れるにしたがって設置状態で下方に傾斜した傾斜面に形成されているので、コネクタハウジング43から排出される雨水を確実にケース体6の外部に排出することができ、ケース体6の内部に雨水が侵入することを防ぐことができる。
【0049】
また、前記コネクタハウジング43の底部43aが、前記端子7の周囲を囲み、底部43aから前記ケース体6の上端面6e(コネクタホルダ41の上端面41a)側に向けて突出するリブ43eを備え、該リブ43eの先端面が前記ケース体6の上端面6e(コネクタホルダ41の上端面41a)に当接しているので、コネクタハウジング43から排出される雨水が端子7側に流れるような場合でも、前記リブ43eで雨水を堰き止めることができ、端子7の被水を防いで端子7間のリークを防ぐことができる。
【0050】
さらに、前記コネクタハウジング43内に突出する端子7が、コネクタハウジング43の底部内面43fに形成された凸状の保持部43gにより保持されているので、コネクタハウジング43の内部に雨水が溜まるような場合でも、コネクタハウジング43の底部内面43fより一段高い保持部43gで端子7が保持されることにより、端子7の保持部分の被水を防ぐことができ、また、前記凸状の保持部43gで端子7を保持することにより、隣り合う端子7間の沿面距離yを確保することができ、端子7間でのリークを防ぐことができる。
【0051】
前記した実施形態では、第1ケース体61及び第2ケース体62とコネクタホルダ41との嵌合部8、並びに、第1ケース体61と第2ケース体62との嵌合部9には、ゴムなどの弾性部材からなるシール部材としてのパッキンを配置することを記載していない。しかしながら、本発明では、前記嵌合部8、9にそれぞれシール部材としてのパッキンを配置するようにしてもよい。このようにすれば、前記嵌合部8、9におけるシール性をより高めることができる。
【0052】
前記した実施形態では、出力コネクタ部4、4’が基板2の上端部と下端部に設けられているが、下端部の出力コネクタ部4’は設けなくてもよい。また、前記基板2の上下端部に設けられた出力コネクタ部を、入力コネクタ部として構成してもよい。
【0053】
前記した第1ケース体61及び第2ケース体62とコネクタホルダ41との嵌合部8、並びに、第1ケース体61と第2ケース体62との嵌合部9の構成は、前記した構成に限定されることなく種々変更することができる。
【0054】
なお、前記した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気接続箱の側断面図である。
【図2】電気接続箱のケース体の内部に収容される基板とケース体との関係を説明する図である。
【図3】電気接続箱のケース体の平面図である。
【図4】図3のI−I線断面図である。
【図5】図3のII−II線断面図である。
【図6】図1の電気接続箱の底面図である。
【図7】電気接続箱のカバー部材の平面図である。
【図8】図7に示したカバー部材の底面図である。
【図9】コネクタハウジング内に突出する端子部分を示した拡大図である。
【符号の説明】
【0056】
1 電気接続箱
2 基板
2a 基板の板面
3 リレー
4、4’ 出力コネクタ部
41、41’ コネクタホルダ
41a 上端面
41b フランジ部
43、43’ コネクタハウジング
43a 底部
43b 端子孔
43c 周壁
43d 水抜き孔
43e リブ
43g 保持部
5 電子制御ユニット
6 ケース体
6a 分割部
6b 下壁部
6c 周壁
6d 水抜き孔
6e 上端面
61 第1ケース体
62 第2ケース体
61c、62c 上壁部
61d、62d 凹部
61e、62e 凹溝
61f、62f 突き合わせ部
61g、62g 突き合わせ端面
61h 凹溝
62i 凸部
7、7’ 端子
8 コネクタホルダと第1ケース体及び第2ケース体との嵌合部
9 第1ケース体と第2ケース体との嵌合部
10 フレームケース
11 内ケース
11a 下壁部
11b 水抜き孔
12 外ケース
13 リブ
14 カバー部材
15 アッパカバー
16 ロアカバー
17 通路
y 端子間の沿面距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に電子部品が装着されるとともに、前記基板の少なくとも一端部に相手側コネクタを受け入れるコネクタ部が設けられた電子制御ユニットと、
該電子制御ユニットが、設置状態で前記コネクタ部を上方にして収容されるケース体とを備える電気接続箱であって、
前記コネクタ部が、端子を保持するコネクタホルダと、該コネクタホルダから突出する端子を収容するコネクタハウジングとを備え、
該コネクタハウジングが、底部に水抜き孔を備え、
前記ケース体が、前記基板の板面方向に沿って二つ割構造に形成された第1ケース体と第2ケース体とを備え、
該第1ケース体と第2ケース体との各上壁部が、前記コネクタホルダに周囲から嵌合する嵌合部を備えるとともに、前記第1ケース体と第2ケース体との各分割部が、互いに嵌合する嵌合部を備えていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記コネクタハウジングの水抜き孔と連通する通路が、前記コネクタハウジングの底部と前記第1ケース体及び第2ケース体の上壁部との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記コネクタハウジングの水抜き孔が、前記第1ケース体及び第2ケース体と前記コネクタホルダとの嵌合部の外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記第1ケース体及び第2ケース体の上壁部が、前記コネクタホルダとの嵌合部から外側に離れるにしたがって設置状態で下方に傾斜した傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記コネクタハウジングの底部が、前記端子の周囲を囲み、底部から前記ケース体の上端面に向けて突出するリブを備え、該リブの先端面が前記ケース体の上端面に当接していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記コネクタハウジング内に突出する端子が、コネクタハウジングの底部内面に形成された凸状の保持部により保持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−336730(P2007−336730A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167044(P2006−167044)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】