説明

電気機器のヒートシンク機構

【課題】少ない部品点数によるヒートシンク取付機構を提供することである。
【解決手段】電気部品と該電気部品に対応して配設されたヒートシンク装置とを具備した電気機器のヒートシンク機構であって、前記電気機器の本体は筒体を具備し、前記筒体は凹部(又は凸部)を具備してなり、前記ヒートシンク装置は前記筒体に挿入された挿入部を具備し、前記挿入部は前記凹部(又は凸部)に嵌合した凸部(又は凹部)を具備してなり、一端が前記電気機器本体側に掛止し、他端が前記ヒートシンク装置側に掛止して該ヒートシンク装置を前記電気部品側に付勢する付勢部材を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器のヒートシンク機構に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の実装は、現在、高密度であり、電気機器は小型化している。そして、高機能な電気機器にあっては、電気部品(電子部品)の発熱量が増え、ヒートシンクによる放熱が必要となっている。ヒートシンクの固定には、電気部品に接着剤を用いて貼付する方法、電気部品が搭載されている基板にヒートシンクをネジで固定する方法、電気機器本体にヒートシンクを引っ掛けて固定する方法、或は電気部品が搭載されている基板と電気機器本体とでヒートシンクを挟み込む方法が提案されている。しかしながら、接着剤による貼付は剥離の懸念が有る。ネジによる固定は基板の実装範囲が減少する恐れが有る。更に、前記手法は、部品の寸法公差やソリ、部品の反力の影響で、基板への負荷が掛かる恐れが有る。
【0003】
このようなことから、コイルバネによってヒートシンクを基板側に押圧付勢して取り付けることが考えられた(図4参照)。尚、図4中、21は、電気機器のケース本体である。22は、ケース本体21に内装(固定)されている基板である。23は、基板22に搭載されている電気部品(電子部品)である。24a,24bは、ケース本体21に設けられた筒体である。25はヒートシンクである。26はヒートシンクの基板である。27はヒートシンク25の放熱板である。28a,28bは、ヒートシンクの基板26に設けられた軸である。軸28a,28bは筒体24a,24bに対応して設けられており、軸28a,28bは筒体24a,24b内に挿入される。29a,29bはコイルバネである。コイルバネ29a,29bは筒体24a,24bの周囲に配設されている。コイルバネ29a,29bの一端側は筒体24a,24bに掛止しており、他端側はヒートシンク基板26に掛止している。そして、コイルバネ29a,29bの力により、ヒートシンク25を電気部品(電子部品)23側に押圧付勢している。尚、30は、ヒートシンク25と電気部品(電子部品)23との間に設けられた伝熱板である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3153773号
【特許文献2】特開2004−103675号公報
【特許文献3】特開2004−193387号公報
【特許文献4】特開2007−188998号公報
【特許文献5】特表2002−500827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上記図4のヒートシンク取付機構では、次のような問題点が有る。
ヒートシンクの取付けには、電気部品(電子部品)23が搭載されている基板22の一つに対して、複数(少なくとも二つ)の軸28a,28b及び筒体24a,24bを必要としている。そして、少なくとも二つの軸28a,28bを必要としている為、ヒートシンク25が大きくなってしまう。又、二つの軸28a,28bを必要とすることから、二つの筒体24a,24bを必要とし、それだけ大きな空間を必要とし、大きなものになってしまう。尚、二つの軸28a,28b及び二つの筒体24a,24bが無い場合、即ち軸および筒体を一つにすると、該軸(筒体)の回りでヒートシンクが回動してしまい、不都合が起きる。従って、軸および筒体が複数個必要であった。そして、二つの軸28a,28bが設けられていることから、基板22への部品の搭載数が少なくなり、部品の高密度実装が出来難い。又、部品数が多くなり、それだけコストが高く付く。かつ、部品管理も厄介になる。
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は上記問題点を解決することである。特に、少ない部品点数によるヒートシンク取付機構を提供することである。電気部品(電子部品)の高密度実装が可能なヒートシンク取付機構を提供することである。低廉なコストで部品管理も容易なヒートシンク取付機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、
電気部品と該電気部品に対応して配設されたヒートシンク装置とを具備した電気機器のヒートシンク機構であって、
前記電気機器の本体は筒体を具備し、
前記筒体は凹部(又は凸部)を具備してなり、
前記ヒートシンク装置は前記筒体に挿入された挿入部を具備し、
前記挿入部は前記凹部(又は凸部)に嵌合した凸部(又は凹部)を具備してなり、
一端が前記電気機器本体側に掛止し、他端が前記ヒートシンク装置側に掛止して該ヒートシンク装置を前記電気部品側に付勢する付勢部材を具備してなる
ことを特徴とする電気機器のヒートシンク機構によって解決される。
【0008】
又、電気部品と該電気部品に対応して配設されたヒートシンク装置とを具備した電気機器のヒートシンク機構であって、
前記ヒートシンク装置は筒体を具備し、
前記筒体は凹部(又は凸部)を具備してなり、
前記電気機器の本体は前記筒体に挿入された挿入部を具備し、
前記挿入部は前記凹部(又は凸部)に嵌合した凸部(又は凹部)を具備してなり、
一端が前記電気機器本体側に掛止し、他端が前記ヒートシンク装置側に掛止して該ヒートシンク装置を前記電気部品側に付勢する付勢部材を具備してなる
ことを特徴とする電気機器のヒートシンク機構によって解決される。
【発明の効果】
【0009】
少ない部品点数でヒートシンク取付機構が構成される。電気部品(電子部品)の高密度実装が可能になる。部品点数が少ないことから、部品管理が容易である。かつ、コストも低廉である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態になる電気機器のヒートシンク機構の要部断面図
【図2】第1実施形態になる電気機器のヒートシンク機構の分解状態図
【図3】他の実施形態になる電気機器のヒートシンク機構の要部斜視図
【図4】電気機器のヒートシンク機構の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は電気機器のヒートシンク機構である。特に、電気部品(電気部品は電子部品を含む)と該電気部品に対応して配設されたヒートシンク装置とを具備した電気機器のヒートシンク機構である。前記電気機器の本体は筒体を具備する。例えば、電気機器のケース本体に取り付けられた筒体を具備する。この筒体は凹部(又は凸部)を具備する。前記ヒートシンク装置は前記筒体に挿入(例えば、筒体の内側および/または外側に挿入)された挿入部(例えば、軸とか筒体)を具備する。例えば、ヒートシンクに取り付けられた挿入部(例えば、軸とか筒体)を具備する。この挿入部は前記凹部(又は凸部)に嵌合した凸部(又は凹部)を具備する。この凹部と凸部との嵌合により、一つの筒体(挿入部)でヒートシンク装置が取り付けられるものであっても、ヒートシンク装置は回動が起きない(固定される)。更に、一端が前記電気機器本体側に掛止し、他端が前記ヒートシンク装置側に掛止して該ヒートシンク装置を前記電気部品側に付勢する付勢部材を具備する。付勢部材としては、例えばコイルスプリングとか板バネなどが挙げられる。勿論、これに限られない。上記にあっては、筒体が電気機器の本体側に、かつ、挿入部がヒートシンク装置側に取り付けられたものであるが、筒体がヒートシンク装置側に、かつ、挿入部が電気機器の本体側に取り付けられたものであっても良い。
【0012】
以下、更に詳しく説明する。
【0013】
図1,2は本発明になるヒートシンク機構の第1実施形態を示すもので、図1は組立後におけるヒートシンク機構を備えた電気機器の要部断面図、図2は分解状態図である。
【0014】
各図中、1は、電気機器のケース本体である。2は、ケース本体1に内装(固定)されている基板である。3は、基板2に搭載されている電気部品(電子部品)である。4は、ケース本体1に設けられた筒体である。5は、筒体4の外壁に上下方向に設けられた凸条である。6は、筒体4に形成された凹部(溝部:スリット:切欠部)である。
【0015】
7はヒートシンク装置である。8は、ヒートシンク装置7の基板である。9は、ヒートシンク装置7の放熱板である。10は、ヒートシンク装置7の基板8に設けられた筒体である。この筒体10は前記筒体4の内部に挿入できるよう構成されている。11は、筒体10の外壁に上下方向に設けられた凸条である。そして、筒体10が筒体4の内部に挿入された場合、凸条11が凹部6に嵌合し、筒体10の空回りが防止されるようになっている。
【0016】
12は、ヒートシンク装置7と電気部品(電子部品)3との間に設けられた伝熱板である。
【0017】
13はコイルスプリングである。コイルスプリング13は筒体4の周囲に嵌挿されている。この嵌挿されたコイルスプリング13の上端が凸条5の側壁に当接し、かつ、コイルスプリング13の上端近傍部が凸条5の下端面に当接しており、コイルスプリング13の上端部は筒体4によって規制を受けている。コイルスプリング13の下端はヒートシンク装置7の基板8に当接しており、コイルスプリング13の下端部は基板8によって規制を受けている。そして、コイルスプリング13の弾撥力によって、ヒートシンク装置7は下方向に付勢されている。すなわち、コイルスプリング13の作用により、ヒートシンク装置7は、伝熱板12を介して、電気部品(電子部品)3に押圧付勢(圧着)されている。
【0018】
上記のようにヒートシンク取付機構を構成させていると、電気部品(電子部品)3に電流が流れたことによって発生した熱は、効率良く、ヒートシンク装置7によって放熱が行われる。しかも、ケース本体1やヒートシンク装置7或は基板2に外力が作用しても、この外力はコイルスプリング13によって吸収・緩和される。又、部品に寸法公差が有っても、この寸法公差はコイルスプリング13によって吸収され、許容される。その結果、電気部品(電子部品)3や基板2が損傷(ストレス)を受け難い。すなわち、ネジや接着剤を用いてヒートシンク装置を電気部品(電子部品)3に対して固定していると、ヒートシンク装置に作用した外力が直ちに電気部品(電子部品)3に伝わり、損傷を受け易いものの、上記実施形態のものでは斯かる懸念が小さい。又、ヒートシンク装置は、一つの筒体4と一つの筒体10と一つのコイルスプリング13によって取り付けられたものであるから、二つの筒体24a,24bと二つの軸28a,28bと二つのコイルバネ29a,29bとが用いられた場合よりも、部品点数が少ない。従って、取付部品点数が少ないことから、取付スペースも小さくて済み、省スペース化(或は、小型化・軽量化)が実現される。その結果、電気部品(電子部品)3の搭載数を増やすことが可能になる。すなわち、高密度実装が可能になる。又、軽量化も実現される。
【0019】
図3は、本発明になるヒートシンク機構の第2実施形態を示す要部の概略図である。本実施形態は、上記第1実施形態におけるコイルスプリング13の代わりに、板バネ15が用いられた例である。
【符号の説明】
【0020】
1 電気機器のケース本体
2 基板
3 電気部品(電子部品)
4 筒体
5 凸条
6 凹部
7 ヒートシンク装置
8 基板
9 放熱板
10 筒体
11 凸条
12 伝熱板
13 コイルスプリング
15 板バネ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品と該電気部品に対応して配設されたヒートシンク装置とを具備した電気機器のヒートシンク機構であって、
前記電気機器の本体は筒体を具備し、
前記筒体は凹部(又は凸部)を具備してなり、
前記ヒートシンク装置は前記筒体に挿入された挿入部を具備し、
前記挿入部は前記凹部(又は凸部)に嵌合した凸部(又は凹部)を具備してなり、
一端が前記電気機器本体側に掛止し、他端が前記ヒートシンク装置側に掛止して該ヒートシンク装置を前記電気部品側に付勢する付勢部材を具備してなる
ことを特徴とする電気機器のヒートシンク機構。
【請求項2】
電気部品と該電気部品に対応して配設されたヒートシンク装置とを具備した電気機器のヒートシンク機構であって、
前記ヒートシンク装置は筒体を具備し、
前記筒体は凹部(又は凸部)を具備してなり、
前記電気機器の本体は前記筒体に挿入された挿入部を具備し、
前記挿入部は前記凹部(又は凸部)に嵌合した凸部(又は凹部)を具備してなり、
一端が前記電気機器本体側に掛止し、他端が前記ヒートシンク装置側に掛止して該ヒートシンク装置を前記電気部品側に付勢する付勢部材を具備してなる
ことを特徴とする電気機器のヒートシンク機構。
【請求項3】
付勢部材がバネである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の電気機器のヒートシンク機構。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−155226(P2011−155226A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17316(P2010−17316)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】