説明

電気機器の漏電遮断装置

【課題】 従来より、電気の使用は、エネルギーとして、又最近では、ITの発展により、コンピュータ等の情報通信に使用されますます重要になってきている。
反面、回路の絶縁不良があると、漏れ電流が発生し、電気火災の発生や、感電事故、又は、突然の停電などによる灯具等の電気機器の故障や、コンピュータのコントロール不能や、記録されてないデータの喪失等のIT系統の大事故が起こる危険があった。
しかるに従来のI電流遮断装置は、停電させて、絶縁不良電流値を絶縁抵抗系で図らねばならず、通電状態での計測はできなかった。又、従来より電気機器に流れる電流は、始動時に過大な突入電流が発生し、回路内の使用機器に問題を与えていた。
【解決手段】 アイジーアール(IGR)方式漏電遮断器を、設けることにより機器を保護することを特徴とするIGR漏電遮断装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流の電流制御装置において、漏れ電流を計測し基準値を超えた場合に、回路を遮断する電気機器の漏電遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気の使用は、エネルギー源として、又最近では、ITの発展により、コンピュータ等の情報通信に使用されますます重要になってきている。
反面、回路の絶縁不良があると、漏れ電流が発生し、電気火災の発生や、感電事故、又は、突然の停電などによる灯具等の電気機器の不具合、故障や、コンピュータのコントロール不能や、記録されてないデータの喪失等のIT系統の大事故が起こる危険があった。
【0003】
しかるに従来のアイゼロ(以下Iと記す)漏電遮断装置は、停電させて、絶縁不良電流値を絶縁抵抗計で測らねばならず、通電状態での計測はできなかった。
漏れ電流アイゼロ(I)電流には、対地絶縁抵抗に起因するアイシー(以下Icと記す)電流と、絶縁抵抗に直接関与しているアイジーアール(以下Igrと記す)電流とが含まれている。
この漏れ電流の絶縁抵抗に直接関与しているアイジーアール(Igr)電流を測定し、それを基準とした管理電流Ikを限界値として超過した部分の機器のみ回路遮断を行えば、全体回路系の遮断による事故を回避することができる。又、どの機器が漏電したかで、漏電した機器の絶縁状態をチェックすることができる。
【0004】
又漏れ電流I電流には、インバータを搭載した機器においては、高調波のひずみ電流も発生し付加される。
しかるに、Igr電流を基準としたIgr漏電遮断装置を使用すれば、回路を停電せずに測定でき、高調波その他の前述の弊害を除去することができるのである。
【0005】
又、電流制御には、別途の課題がある。
それは、電気機器の始動時の突入電流制御であって、従来より電気機器に流れる電流は、始動時に過大な突入電流が発生し、回路内の使用機器に問題を与えていた。
【0006】
特に機器単体では影響度は少ないが、多数の機器が結線された回路に電流を投入すると過大な突入電流が流れ、テレビや蛍光灯等の灯具のちらつきが起きたり、配電盤のブレーカーが働き電源カットが起きるという問題が発生していた。
【0007】
特に最近は、コンピュータが多用されるようになり、突入電流、又は突入電流による電源電圧の大変動により、コンピュータの電源が突然切れ、保存していないデータが全部消失するという大きな問題が発生していた。そのため突入電流の抑制制御装置が望まれていた。
また、安定してきた通常領域においても、定常ノイズと呼ばれる外乱があり、これも同時に除くことがさらに望まれていた。
その対策として、本発明の特許出願人は、本発明に含まれる「突入電流の抑制制御装置(出願日平成22年9月17日)」を、出願しており、本発明はそれを改良するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これらに起因する問題を解決することのできるIgr電流を基準としたIgr漏電遮断装置、及びIgr漏電遮断装置と結合した突入電流の抑制制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
交流の電流制御装置において、
電気機器の上流には、アイジーアール(以下Igrで示す)漏電遮断装置が設けられ、電源Sは、Igr漏電遮断装置の内部に設けられたIgr測定部に連結されており、Igr電流を測定し、前記Igr測定部は、漏電判断部4に連結され、Igr電流があらかじめ設定された基準電流値を超えると、回路遮断部に信号が発せられ、回路の電流が、遮断されることを特徴とする漏電遮断装置を提供する。
【0010】
交流の電流制御装置において、
電気機器の上流には、Igr漏電遮断装置が設けられ、電源Sは、Igr漏電遮断装置の内部に設けられたIgr測定部に連結されており、Igr電流を測定し、前記Igr測定部は、漏電判断部4に連結され、Igr電流があらかじめ設定された基準電流値を超えると、回路遮断部に信号が発せられ、回路の電流が遮断される、
と共に電流値の経過情報、及び/又は電流遮断時の情報、及び/又は注意情報が、記録・表示部6に伝達されることを特徴とする電気機器の漏電遮断装置を提供する。
【0011】
Igr漏電遮断装置の内部には、IC基板が設けられ、該IC基板内に設けられ配線により前記Igr測定部に連結されており、前記Igr測定部は、漏電判断部に連結され、Igr電流があらかじめ設定された基準電流値を超えると、回路遮断部に信号が発せられ、回路の電流が遮断される構成となっており、前記Igr測定部、及び/又は前記漏電判断部、及び/又は前記回路遮断部、及び/又は記録・表示部のいずれかの一部又は全部が、前記IC基板内に設置されたことを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の電気機器の漏電遮断装置を提供する。
【0012】
Igr漏電遮断装置は、元電源の配電盤の全体ブレーカー、及び/又は個別ブレーカー、及び/又はコンセント、及び/又はコードリール、及び/又は設置された個別機器の上流に設けられたことを特徴とする請求項1、又は請求項2記載、又は請求項3記載の電気機器の漏電遮断装置を提供する。
【0013】
Igr漏電遮断装置の上流側、及び/又は下流側には、電源投入時に発生する突入電流を抑制する電気機器の突入電流制御装置が、挿入配置されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載、又は請求項3、又は請求項4記載の電気機器の漏電遮断装置を提供する。
【0014】
Igr漏電遮断装置の上流側、及び/又は下流側には、電源投入時に発生する突入電流を抑制する電気機器の突入電流制御装置が、挿入配置されており、更に前記突入電流制御装置の上流側に、ノイズフィルタFが、挿入配置されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5記載の電気機器の漏電遮断装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
(1)従来のI電流遮断装置は、停電させて、絶縁不良電流値を絶縁抵抗計で図らねばならず、通電状態での計測はできなかったがIgr漏電遮断装置を使用すれば、回路を停電せずに測定できる。
(2)この漏れ電流の絶縁抵抗に直接関与しているIgr電流を測定し、それを基準とした管理電流Ikを限界値として、超過した部分の機器のみ回路遮断を行えば、事故を起こさずに、全体回路系の停電を防ぐことができる。
(3)Igr漏電遮断器を、設けることにより、過熱事故、漏電事故を防止することにより機器を保護することが出来る。
(4)インバータを搭載した機器においては、高調波のひずみ電流も発生し付加されるが高調波その他の前述の弊害を除去することができる。
(5)従来、主に元電源の全体ブレーカーに漏電遮断装置が設けられてきたが、
本発明においては、その構成が小型のため元電源の配電盤の全体ブレーカーだけでなく小型の個別ブレーカーや、コンセント、コードリール、延長コード、又は設置された個別機器の上流に設けることができる。
(6)そのため、万一機器の絶縁が不良で、漏電が発生しても、その機器の回路だけ遮断できるので、他のコンピュータやIC機器に障害を与えることが防げるのである。
(7)始動時の過大な突入電流を抑制し、テレビや蛍光灯等の灯具のちらつきを防止することができる。
(8)過大な突入電流による配電盤のブレーカーが作動し電源カットが起きるという問題を防止することができる。
(9)特に突入電流の増大、又は突入電流による電源電圧の大幅低下により、コンピューター電源が突然切れ、保存していないデータが全部消失するという大きな問題を防止でき
(10)過大な突入電流による悪影響を抑制することで、外乱に敏感な各種の省電力型機器を適用できることより省エネルギー対策となる。
(11)ノイズフィルタを併設することにより、通常領域においても、定常ノイズと呼ばれる外乱も同時に除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の概略回路図である。
【図2】I電流と、Ic電流と、Igr電流のベクトル関係図である。
【図3】従来のI電流による漏電遮断と、Igr電流による漏電遮断の比較図である。
【図4】Igr漏電遮断装置の作動状況を示したブロック図である。
【図5】実施例2の構成を示した概略図である。
【図6】実施例3の構成を示した概略図である。
【図7】実施例4の構成を示した概略回路図である。
【図8】実施例5の構成を示した概略回路図である。
【図9】従来の突入電流発生状況を示す状態図である。
【図10】本発明の突入電流発生状況を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、発明の効果等に前述した如く、これらに起因する問題を解決することのできるアイジーアール(Igr)電流を基準としたIgr漏電遮断装置を提供するものである。
又、突入電流の前記抑制制御装置を提供するものである。
【0018】
なお、本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
以下、本発明の実施例について、説明する。
特に、本発明の根幹となる特徴は、最近急激に発展してきたICチップを用いるもので、IC基板上に、抵抗、コンデンサー、遮断器、電気回路等を設置したものである。
【0020】
従来の漏電遮断装置に対し、ICチップを用いるため、大幅に小型化され、回路のゆるみや、損傷がほとんどなく、小型となるので、小さな空間に設置でき、又発熱量が少ないという特徴を有するのである。この特徴は、突入電流の前記抑制制御装置においても同様である。
【0021】
従来、主に元電源の全体ブレーカーに漏電遮断装置が設けられてきたが、本発明においては、その構成が小型のため元電源の全体ブレーカーだけでなく、小型の個別ブレーカーや、コンセント、コードリール、延長コード、又は設置された個別機器の上流に設けることができる。
【0022】
そのため、万一機器の絶縁が不良で、漏電が発生しても、その機器の回路だけ遮断できるので、他のコンピュータやIC機器に障害を与えることが防げるのである。
又、I電流の場合のように停電をしなくてもIgr電流の測定ができるので極めて多様性に富んでいるのである。
【実施例1】
【0023】
図1は、実施例1の概略回路図である。
Igr漏電遮断装置1の内部には、IC基板2が設けられており、交流の電源Sは、
Igr漏電遮断装置1の内部に設けられたIGr測定部3に連結されており、Igr電流を測定する。
IGr測定部3は、漏電判断部4に連結され、基準電流値Ikを超えると、回路遮断部5に信号が発せられ、回路の電流は遮断される。
それと同時に遮断時の情報が、記録・表示部6に伝達され記録、表示されるのである。
【0024】
前記Igr測定部、及び/又は前記漏電判断部、及び/又は前記回路遮断部、及び/又は記録・表示部のいずれかの一部又は全部が、前記IC基板2内に設けられる。
【0025】
最近の著しい電子機器の開発に従って、その適用は更に進められ、電流容量の大きな場合も、漏電遮断装置1の小型化が可能となるのである。
【0026】
図2は、漏れ電流アイゼロ(以下Iで示す)電流と、対地絶縁抵抗に起因するアイシー(以下Icで示す)電流と、絶縁抵抗に直接関与しているIgr電流のベクトル関係を示すものである。
Igr電流は、Ic電流に対し90°の位相差を有している。
電流は、それらのベクトル和となっているので値が大きくなるのである。
【0027】
図3は、従来のI電流による漏電遮断の状況と、本発明のIgr電流による漏電遮断の状況を示すものである。
ここで、I電流が、基準電流Ikを超過した範囲10を、−45°斜線で示す。
又Igr電流が、基準電流Ikを超過した範囲11を、45°斜線で示している。
【0028】
図2、図3を見て理解できるように、I電流は、大きな値となるので、基準電流Ikを超過した範囲10の頻度は高くなるのに対し、Igr電流が、基準電流Ikを超過した範囲11は、頻度が少なく、従って漏電を起こしている機器を、選別して遮断することができるのである。
【0029】
図4は、Igr漏電遮断装置の作動状況を示した、ブロック図である。
スタートし、Igr漏電遮断装置1が起動すると、IGr測定部3がIgr電流を測定し、IGr測定部3は、漏電判断部4に連結され、基準電流Ikを超過した時は、「漏電」と判断し、回路遮断部5に信号が発せられ、回路の電流は遮断される。
それと同時に遮断時の情報が、記録・表示部6に伝達され、記録、表示されるのである。
但し記録・表示部6は、Igr漏電遮断装置1内に設けず、監視しやすい別途の位置に設けてもよい。
【0030】
Igr電流が、基準電流Ikを超過しない時は、「漏電でない」と判断し通常状態に復帰するのである。
回路の電流が、遮断された時は、状態を確認し、手動、又はコンピュータによる判断で再復帰させる。
【実施例2】
【0031】
図5は、実施例2の構成を示した概略図である。
元電源の配電盤12の全体ブレーカー13には、Igr漏電遮断装置1が設けられている。これは、回路全体の漏電状態を監視する。
【0032】
枝分けした個別ブレーカー14には、それぞれに、Igr漏電遮断装置1が設けられている。そのため、小分けした機器単位での漏電遮断が行えるのである。
更に、記録・表示部6が、全体ブレーカー13及び/又は個別ブレーカー14に設けられる。
【0033】
前記記録・表示部6は、液晶パネルで電流の状況を表示するパネル部6aと、基準電圧Ikに、達するまでは、正常状態を示す、例えばグリーンに点灯しており、遮断状態になると赤に変わるよう設定されている遮断状況ランプ6b、及び基準電流Ik日数た時に危険を予報する予報ランプ6cが、設けられている。
【0034】
又、コンセント15には、それぞれにIgr漏電遮断装置1が設けられている。
従って、個別ブレーカー14の下流と、コンセント15間の通常天井や壁内部に隠閉状態の配線の漏電を検知できる優れた効果を発揮する。
コンセント15に接続された機器ごとの漏電遮断が行えるので、ピークの出やすい機器の個別管理が可能となるのである。
コンセントには、同様に前記記録・表示部6が設けられており、更に、遮断・復帰レバー5aを設けてもよい。
コンセント15の先に接続された電気機器Aの絶縁状況は、コンセントに接続することにより良否が判断できるのである。
【実施例3】
【0035】
図6は、実施例3の構成を示した概略図である。
この実施例3は、コードリール16にIgr漏電遮断装置1を設けている。
このことは、特に「たこ足配線」されがちのコードリール16を個別管理できるということである。
【0036】
同様に前記記録・表示部6が設けられており、更に、遮断・復帰レバー5aを設けてもよい。
コンセント15の先に接続された電気機器Aの絶縁状況は、コンセントに接続することにより良否が判断できるのである。
その他、延長コードや、設置された家電機器、電子機器別に、監視遮断することが可能になるのである。
【実施例4】
【0037】
前述の実施例1〜3は、単相交流に関して適用したものであるが、主として動力電源として適用される3相交流に対してもIgr漏電遮断装置1の適用が、重要である。(図示せず。)
3相3線デルタ結線では、従来のI方式の漏電検出では解決できない問題が発生する。
R−T−Sという3層で構成されているが、S相は、運用時0電位となっているため大きな変化がもたらされる。
【0038】
T相での漏電発生では、I電流値も増加し検出は可能であるが、R相の漏電発生では、危険値が増加したにもかかわらず、I電流値は、減少してしまう傾向にあり、Igr電流での漏電遮断が更に重要である。
【実施例5】
【0039】
本発明の実施例5について、図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明のIgr漏電遮断装置1に、突入電流の前記抑制制御装置を結合した全体回路図である。
【0040】
突入電流の前記抑制制御装置の構成を詳説すると、
交流電源Sのプラス側からの回路101は、ヒューズ等の遮断装置102を介して、その下流側には、トランジスタTrと、コンデンサC、とダイオードDとの組合せによって構成された電流制御ユニットU1が配置されている。
【0041】
次に電流制御ユニットU1内部の回路を説明すると、
回路103には、並列に分岐された回路104によりダイオードD3の一方に結線され、更に回路103の下流側には、同様に並列分岐された回路105により抵抗R1を介してダイオードD1の一方に結線され、更に回路103の下流側は、トランジスタTr1に結線されている。
【0042】
前記トランジスタTr1より並列分岐された回路106は抵抗R2を介して、前記ダイオードD1の下流側回路107に結線されている。
前記トランジスタTr1の下流側回路108には、並列分岐された回路109が設けられ、コンデンサC1の一方に結線され、該コンデンサC1の他方は、回路110により、前記ダイオードD1の下流側回路111に結線されている。
前記トランジスタTr1の下流側の回路112には、並列分岐された回路113が設けられトランジスタTr2に接続されている。
【0043】
ダイオードD1の下流側の回路114はトランジスタTr2の一方に結線されており、更に前記トランジスタTr1の下流側の回路115は抵抗R3に連結され、該抵抗R3の下流の回路116は、トランジスタTr2の下流側回路117により、並列接続されている。
【0044】
更に下流側回路118は、ダイオードD2の一方に連結され、該ダイオードD2の下流側回路119は、並列分岐された回路120によりダイオードD3の他方に連結され、下流側回路119は分岐の後、回路121により機器Aのプラス側に連結されている。
【0045】
一方、交流電源Sのマイナス側には、電流制御ユニットU2が配置されている。
電流制御ユニットU2内部の回路は、電流制御ユニットU1と同様の構成となっており、機器Aのマイナス側に連結されている。
【0046】
次に、電流制御ユニットU1と、U2の回路の機能について説明する。
トランジスタTr1、Tr3は、電流を制限する主たる素子であって、コンデンサC1に、一定の電荷が蓄積されるまでトランジスタTr1が、出力電流を遮断する。
【0047】
抵抗R1は、コンデンサC1に電荷を蓄積する速さを制御する素子で、抵抗R1の値が大きければ、時間が長くなる。
抵抗R3は、回路に流れる電流を検出するための素子で、R3両端の電位差が、トランジスタTr2をONにする電位になると、トランジスタTr2が、ONになる。
トランジスタTr2が、ONになることにより、トランジスタTr1の電流制限が働く。
【0048】
抵抗R2は、コンデンサC1に蓄えられた電荷が、トランジスタTr1に流れ込む電流を一定にすることにより、トランジスタTr1を保護する役割をもつ。
【0049】
ダイオードD1は、交流波形でマイナス側になった場合も、コンデンサC1に蓄えられた電荷を保持する。
ダイオードD2、D3は、交流波形でプラス側の電流だけを流す。
【0050】
交流波形が、マイナス側のときは、電流制御ユニットU2が働いて、制御するのである。
【0051】
図9は、従来の突入電流発生状況を示すもので、安定してきた通常領域の電流値C2に対し、突入電流C1は、
C1=(2.0〜200)×C2
と極めて過大となり、前述の機器の損傷や問題を発生するのである。
【0052】
図10は、本発明の突入電流制御装置を設けた状態の突入電流発生状況を示すもので、安定後の電流値C2に対し、
突入電流C3は、C3=(1.1〜4.0)×C2
と極めて減少され、機器の損傷や問題を防ぐことができるのである。
【0053】
実使用時の実験例においては、蛍光灯Hf32ワットの1灯での実使用において、C2=0.46アンペアに対し突入電流C1は、20アンペアを示した。
次に本発明の突入電流制御装置を設けた状態では、C2=0.46アンペアに対し突入電流C3は、0.9アンペアと極めて優れた抑制効果を発揮している。
【0054】
更に突入電流を抑制することは、よりノイズに敏感な各種機器も適用できるようになるため、結果的に大きな省電力効果を発揮することができる。
【0055】
機器Aは、各種の機器が対応可能である。
例えば、蛍光灯、白熱灯、LED等の灯具を初め、電子レンジ、電子オーブン、エアコン、アイロン等の各種機器の電流投入時も、広範な範囲で、その効果を発揮できるのである。
【実施例6】
【0056】
図8に本発明のIgr漏電遮断装置1に、突入電流制御装置を結合させた全体回路図を示す。
本実施例6は、実施例5の効果を更に高めたものである。
交流電源Sのプラス側からの回路1は、ヒューズ等の遮断装置2を介して、その下流側には電流制御ユニットU1が配置され、交流電源Sのマイナス側の下流側には電流制御ユニットU2が同様に配置されている。
【0057】
本実施例6においては、電流制御ユニットU1、U2の上流側に、ノイズフィルタFが、挿入配置されている。
ノイズフィルタFは、安定状態となった後の通常領域においても、機器Aに与える外乱である定常ノイズをカットし、更に機器に提供される電流、電圧の安定を高める効果を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の活用例としては、以上説明したように、マイクロチップによる小型の装置で、個別の機器配線の漏電管理、及び突入電流の抑制制御ができるため、大きな領域での機器の保護を可能にしたり、IC機器への悪影響を防ぐことができると共に個別管理による省電力効果が、発揮され、現代の地球的課題である温暖化防止に大きく寄与できると共に、新商品による産業の発展にも貢献できるきわめて実用的な発明である。
【符号の説明】
【0059】
A 機器
S 交流の電源
F ノイズフィルタ
U1、U2 電流制御ユニット
アイゼロ電流
Ic アイシー電流
Igr アイジーアール電流
Ik 基準電流値
1 IGR漏電遮断装置
2 IC基板
3 Igr測定部
4 漏電判断部
5 回路遮断部
5a 遮断・復帰レバー
6 記録・表示部
6a パネル部
6b 遮断状況ランプ
6c 予報ランプ
10 I電流が、基準電流Ikを超過した範囲
11 Igr電流が、基準電流Ikを超過した範囲
12 元配電盤
13 全体ブレーカー
14 個別ブレーカー
15 コンセント
16 コードリール
17 通電ソケット
101〜121 回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流の電流制御装置において、
電気機器の上流には、アイジーアール(以下Igrで示す)漏電遮断装置が設けられ、電源Sは、Igr漏電遮断装置の内部に設けられたIgr測定部に連結されており、Igr電流を測定し、前記Igr測定部は、漏電判断部4に連結され、Igr電流があらかじめ設定された基準電流値を超えると、回路遮断部に信号が発せられ、回路の電流が、遮断されることを特徴とする漏電遮断装置。
【請求項2】
交流の電流制御装置において、
電気機器の上流には、Igr漏電遮断装置が設けられ、電源Sは、Igr漏電遮断装置の内部に設けられたIgr測定部に連結されており、Igr電流を測定し、前記Igr測定部は、漏電判断部4に連結され、Igr電流があらかじめ設定された基準電流値を超えると、回路遮断部に信号が発せられ、回路の電流が遮断される、
と共に電流値の経過情報、及び/又は電流遮断時の情報、及び/又は注意情報が、記録・表示部6に伝達されることを特徴とする電気機器の漏電遮断装置。
【請求項3】
Igr漏電遮断装置の内部には、IC基板が設けられ、該IC基板内に設けられ配線により前記Igr測定部に連結されており、前記Igr測定部は、漏電判断部に連結され、Igr電流があらかじめ設定された基準電流値を超えると、回路遮断部に信号が発せられ、回路の電流が遮断される構成となっており、前記Igr測定部、及び/又は前記漏電判断部、及び/又は前記回路遮断部、及び/又は記録・表示部のいずれかの一部又は全部が、前記IC基板内に設置されたことを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の電気機器の漏電遮断装置。
【請求項4】
Igr漏電遮断装置は、元電源の配電盤の全体ブレーカー、及び/又は個別ブレーカー、及び/又はコンセント、及び/又はコードリール、及び/又は設置された個別機器の上流に設けられたことを特徴とする請求項1、又は請求項2記載、又は請求項3記載の電気機器の漏電遮断装置。
【請求項5】
Igr漏電遮断装置の上流側、及び/又は下流側には、電源投入時に発生する突入電流を抑制する電気機器の突入電流制御装置が、挿入配置されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載、又は請求項3、又は請求項4記載の電気機器の漏電遮断装置。
【請求項6】
Igr漏電遮断装置の上流側、及び/又は下流側には、電源投入時に発生する突入電流を抑制する電気機器の突入電流制御装置が、挿入配置されており、更に前記突入電流制御装置の上流側に、ノイズフィルタFが、挿入配置されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5記載の電気機器の漏電遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−84494(P2012−84494A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242757(P2010−242757)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(506236451)有限会社セルフ (8)
【Fターム(参考)】