説明

電気機器用過負荷保護装置

【課題】従来の電気機器過負荷装置は下記の様な欠点が在った。(1)個々の要求保護特性に適合する過負荷保護装置は、バイメタル材質選定を主要因とするため、多様なバイメタル材料を必要とした。(2)適用電気機器の設計で、拘束電流に対して許容最大出力電流の比率が小さい高効率モーターの場合は、適合する過負荷保護装置の選定が難しかった。
【解決手段】(1)過負荷保護装置のカンチレバー プレート1先端部分に、スナップアクションバイメタル2を密着、熱的結合する構造を採用する。(2)スナップアクション バイメタル2の設定動作温度に、カンチレバー プレート1の最大定格許容電流時の発熱温度より高く、より近似な特定温度を設定する。(3)カンチレバー プレート1の先端背面に、スナップアクション バイメタル2とレバー 1の作用部間のギャップ寸法を正確に設定する目的のアジャスト スクリュウ16等の調整機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター等の電気機器用過負荷保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気機器用過負荷装置は、特定の単一バイメタル片を電気回路に採用し、バイメタル片の電気発熱に応じた変移動作に因り、電気回路を開閉してモーター等の電気機器を保護するものが一般的であった。
【0003】
「図 2」は、従来構造の電気機器用過負荷保護装置の一例で、手動復帰型 過負荷保護装置である。
【特許文献】特願 2007−217598(整理番号 OK−070701)。
【非特許文献】E−T−A社 サーマル型(ロッカースイッチ)カタログ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電気機器用過負荷装置では、主にバイメタル片等、単一のカンチレバー プレートを使用している為、電気回路電流に対するカンチレバー プレートの発熱温度又は変移量が選定材料に因って特定されて、その条件を超えた要求保護条件には対応でき無い場合が多発している。特にモーターやソレノイドコイル等の動力用電気機器では過負荷時とロック時及び短絡時のコイル保護要求条件がそれぞれの設計で特定されて満足な対応ができない場合が多発している。対応が難しい傾向例としては、高効率設計のモーター及びソレノイドコイルや、高出力モーター等が該当する。
【0005】
本発明は、この様な従来の機構が有していた問題を解決して、高効率設計のモーター及びソレノイドコイルや高出力モーターに対応可能な、過負荷保護装置の実用化を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
「図1」は、本発明を採用した「手動復帰型 過負荷保護装置」を例にした構造断面図と、その平面図である。目的機能を満足する所定材質の カンチレバー プレート(1)に、目的の温度で反転動作する スナップアクション バイメタル(2)を密着接合させて熱的結合させる。カンチレバー プレート(1)は、ターミナル1(3)を介してモーター等電気機器の回路に直列に接続され運転電流が流れる。機器を運転時には、運転電流に応じた電気発熱と特有な変移が発生する。先端部分に密着接合された スナップアクション バイメタル(2)は目的の特定温度が設定され、カンチレバー プレート(1)が目的温度に達すると、瞬時にスナップアクション動作をして、レバー 1(9)に作用し、ムーバブル アーム(5)の押し付け力を解除して回路を開く。カンチレバー プレート(1)の温度が目的温度以下の場合は、スナップアクション バイメタル(2)は反転動作をせず閉回路を持続して運転を継続する。
【0007】
スナップアクション バイメタル(2)の特定設定温度として、カンチレバー プレート(1)に、電気機器の最大負荷電流を流した時に生じる発熱温度以上で、かつより近似温度を設定する事で、電気機器の最大負荷電流が流れると瞬時に反転動作して電気回路構成機構に作用し、過負荷電流回路を遮断する。特にモーターやソレノイドコイル等の動力用電気機器では、過負荷時とロック時のコイルに流れる電流の比率が機器の設計で決まり、高効率設計に成る程その比率は小さくなる傾向が在る。従来の構造ではロック時の電流が小さくなると、変移量が少なく動作し難い傾向があって、回路遮断が遅れて機器のコイル焼損保護が難しかった。
【0008】
スナップアクション バイメタル(2)の反転動作力を、確実にレバー 1(9)に作用させ、ムーバブル アーム(5)の押し付け力を解除して回路を開く為にはスナップアクション バイメタル(2)とレバー 1(9)の作用部のギャップ寸法を正確にかつ容易に調整する必要があり、スナップアクション バイメタル(2)の背面部分にアジャスト スクリュウ(16)の様な調整機構を設ける事で目的を達成できる。
【発明の効果】
【0009】
上述した様に本発明の電気機器用過負荷保護装置は、スナップアクション バイメタル(2)に、最大負荷電流が流れた時に生じるカンチレバー プレート(1)の、発熱温度以上で、かつ より近似温度を設定する事で、過負荷時とロック時の電流の比率に関係無く、最大負荷電流を超えて生じる設定温度以上に成ると瞬時に回路遮断が可能と成る。結果として難しかった高効率設計機器の保護が可能と成る。
【発明の実施例】
【0010】
以下に本発明の実施形態を説明する。
本発明の構造図面「図1」CIRCUIT ON に於いて、ターミナル1(3)及びターミナル 2(4)は、モーター等電気機器の電気回路と直列接続されて運転電流が流れる。電気機器の負荷が正常状態の場合は異常負荷時に対して運転電流及び発熱が比較的に低く、スナップアクション バイメタル(2)の設定温度に至らない為レバー 1(9)は作用せず M コンタクト(7)及び S コンタクト(8)は接点接触状態を継続して、許容最大負荷を超える迄は正常運転を行う。許容最大負荷電流を超えると、カンチレバー プレート(1)の発熱温度は設定特定値に達し、レバー 1(9)を動作させ、レバー 2(11)のムーバブル アーム(5)に対する押し込み力を解除し、「図1」CIRCUIT OFFに示す様に電気回路をOFFさせる。モーターやソレノイドコイル等の動力機器に適用時の拘束異常負荷の場合は、カンチレバー プレート(1)の発熱温度は許容最大負荷時の数倍と成る。一方、動力機器も異常状態が発生してからより短時間で電気回路をOFFしないとコイル焼損及び構成部品の損傷等の危険状態を発生する。本発明では、最大許容負荷時のカンチレバー プレート(1)の発熱温度より高く、より近似の特定温度を設定したスナップアクション バイメタル(2)をカンチレバー プレート(1)に密着熱的結合している関係上、スナップアクション バイメタル(2)は 設定温度を感知すると瞬時に反転して レバー 1(9)を動作して電気回路を短時間でOFF動作させ、動力機器を安全に保護する。従来のバイメタル片を用いたカンチレバー プレート(1)のみの構造では、カンチレバー プレート(1)が異常温度を発生しても変移動作が除動動作の関係で電気回路のOFFする時間が遅れて保護機能を満足できない適用例が多発している。本発明では以上の理由で、安全な電機機器用過負荷保護装置の選定が容易に成り、同時に対応可能な保護領域が拡大して、経済効果も期待される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の、CIRCUIT:ON の構造断面図と平面図及びCIRCUIT:OFFの構造断面図。
【図2】従来の構造断面図の一例。
【符号の説明】
【0012】
本発明構成に対する符号を、下記に示す。
1 カンチレバー プレート
2 スナップアクション バイメタル
3 ターミナル 1
4 ターミナル 2
5 ムーバブル アーム
6 アーム ターミナル.
7 M コンタクト
8 S コンタクト
9 レバー 1
10 スプリング 1
11 レバー 2
12 スプリング 2
13 フレーム
14 プッシュ ボタン
15 カバー
16 アジャスト スクリュウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路に、片側端から中央部分にスリットを入れ、その先端部(反対側端部)の一部分をスリットせずに残した形状の カンチレバー プレート(1)を使用し、その先端部分に特定温度が設定された スナップアクション バイメタル(2)を密着結合して熱的結合させ、カンチレバー プレート(1)に通電時の温度が、スナップアクション バイメタル(2)の設定温度に達した時に反転動作するアクチュエーター機構を採用する過負荷保護装置の構造。
【請求項2】
カンチレバー プレート(1)は、一般的にはバイメタルを使用する場合が多いが、モノメタルも使用され、材料選定は任意設計で決定使用される。
【請求項3】
スナップアクション バイメタル(2)の特定設定温度に、カンチレバー プレート(1)に、電気機器の最大負荷電流を流した時に生じる発熱温度以上で、かつ近似温度を設定する事。
【請求項4】
カンチレバー プレート(1)の先端部背面に、アジャスト スクリュウ(16)の様な調整機構を持った、電気機器過負荷保護装置の構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−59675(P2009−59675A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252575(P2007−252575)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(599121160)
【出願人】(593110580)株式会社シブヤ (18)
【Fターム(参考)】