説明

電気機器監視装置及びこれを用いた監視システム

【課題】多種多様な既存の電気機器をそのまま用いることを可能とすることにより、従来技術と比較してより柔軟性のある監視システムを実現する。
【解決手段】監視装置は、制御部と、監視対象となる電気機器に給電を行うための電気機器接続部と、制御部及び電気機器接続部に接続され、電気機器に供給される電流値の変化を検出する電流検出部と、制御部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナとを具備する。制御部は、電流検出部による電流値の変化の検出に応答して、電気機器接続部に接続された電気機器が操作されたことを示すメッセージを無線通信回路及びアンテナを介して送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器の監視装置及びこれを用いた監視システムに関し、より詳細には、電気機器が使用されたか否かを監視して監視結果を無線送信する監視装置及び当該監視装置を利用して電気機器の使用者、特に老人や身体障害者等(以下、老人等という)の安否を監視する監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
社会の高齢化の進展に伴って、一人暮らしの老人や身体障害者等の安否を遠隔的に監視するシステムへの需要が高まりつつある。従来、これらの監視対象者の自宅を個別に訪問したり電話をかけたりすることにより安否を確認するという原始的な方法に代えて、監視対象者の家庭で使用される電気機器の操作情報を集中管理手段によって管理し、その操作情報によって老人等の生存状況を確認するモニターシステムが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1のモニターシステムにおいては、監視対象者である老人が日頃使用する電気機器に第1の無線式通信機を配設するとともに、集中管理手段に第2の無線式通信機を配設する。そして、電気機器と集中管理手段とを無線接続し、電気機器または第1無線式通信機、および、集中管理手段または第2無線式通信機に、無線式通信機を介して互いに通信可能か否かを確認する通信確認機能を設ける。さらに、少なくとも第1無線式通信機に通信可能か否かを示す報知手段が設けられている。電気機器には、当該電気機器が操作されたことを検出する操作検出手段と、当該電気機器の異常を検出する異常検出手段とが付加されている。操作検出手段は、電気機器が操作されたことを電気的に検出することができ、異常検出手段は、電気機器の誤作動を検出することができる。検出された操作情報及び異常情報は、監視対象者の家庭内において、電気機器に配設された第1の無線式通信機から集中管理手段に配設された第2の無線式通信機に無線送信され、さらに電気回線等を通じて監視者の端末等に送信される。
【0003】
また、別の従来技術として、操作検出手段及び無線通信機を内蔵した電気ポットが提案されている(非特許文献1参照)。電気ポットの電源が入れられたり電気ポットから給湯がなされたりすると、電気ポットに内蔵された検出手段がこれを検出する。そして、ポットの操作状況を通知する操作信号が内蔵された無線通信機を介して無線伝送され、管理局を介して監視者の端末に送信される。
【0004】
これらの従来技術により、老人や身体障害者等の安否を遠隔的に監視することが可能となる。しかし、いずれの従来技術においても、電気機器自体に当該電気機器が操作されたことを検出する機能を付加することが必要である。このため、既存の電気機器には、操作されたことを検出する機能がないため、当該電気機器を用いることはできず、ユーザは上記検出機能を具備する特殊な電気機器を新たに購入しなければならない。したがって、ユーザの負担が増大する。また、これらの従来技術を様々な電気機器に適用するためには、全ての電気機器について、操作検出手段や無線通信手段を内蔵する構成の設計を新たに行わなくてはならない。したがって、電気機器自体の構造が複雑化してしまう。また、電気機器のメーカー側の開発負担が増大する。
【0005】
さらに、監視機能をより完全なものとするためには、電気機器の操作の有無を確認するだけでは不十分である。監視者が監視対象者である老人等と直接会話できるような機能を監視装置が具備していることが望ましい。しかし、上述の従来技術において通話機能をさらに付加するためには、監視システムにおいて使用する全ての電気機器に通話機能を持たせるような設計を新たに行うことが必要となる。これにより、電気機器の構造がさらに複雑となり、価格も上昇すると考えられるので、ユーザ及びメーカーの双方の負担がさらに増大する。
【特許文献1】特開2001−307260号公報
【非特許文献1】http://www.mimamori.net/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多種多様な既存の電気機器の構造や回路構成を変更せずにそのまま用いることを可能とすることにより、従来技術と比較してより柔軟性のある監視システムを実現することにある。
さらに、本発明は、監視者と監視対象者とがシステムを介して通話することを可能とすることにより、従来技術と比較してより完全な監視サービスを提供する監視システムを実現することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の監視装置は、制御部と、監視対象となる電気機器に給電を行うための電気機器接続部と、制御部及び電気機器接続部に接続され、電気機器に供給される電流値の変化を検出する電流検出部と、制御部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナとを具備する。そして、制御部は、電流検出部による電流値の変化の検出に応答して、電気機器接続部に接続された電気機器が操作されたことを示すメッセージを無線通信回路及びアンテナを介して送信することができる。
【0008】
また、監視者と監視対象者との間での通話を可能とするために、本発明の監視装置は、音声入出力部と、音声入出力部、制御部及び前記無線通信回路に接続された音声符号化/復号化部とをさらに具備してもよい。
【0009】
別の実施態様において、本発明の電気機器監視装置は、本体部と、本体部に着脱可能に接続され、本体部との間で信号の送受信を行う無線通信モジュールとからなるように構成することもできる。この場合、本体部は、本体制御部と、電気機器に給電を行うための電気機器接続部と、制御部及び電気機器接続部に接続され、電気機器に供給される電流値の変化を検出する電流検出部と、制御部に接続された第1のインターフェース部とを具備する。一方、無線通信モジュールは、第1のインターフェース部と接続される第2のインターフェース部と、第1及び第2のインターフェース部を介して本体制御部と接続されるモジュール制御部と、モジュール制御部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナとを具備するように構成される。そして、電流検出部による電流値の変化の検出に応答して、本体制御部は、電気機器が操作されたことを示すメッセージを無線通信回路及びアンテナを介して送信するよう、モジュール制御部に指示を送る。
【0010】
本体部は、音声入出力部と、音声入出力部及び本体制御部に接続された音声符号化/復号化部とをさらに具備してもよい。この場合、無線通信モジュールは、第1及び第2のインターフェース部を介して音声符号化/復号化部と接続され、且つ無線通信回路に接続される音声用トランスコーダをさらに具備するように構成される。
【0011】
本発明の監視システムは、上記のような電気機器監視装置と、当該電気機器監視装置に接続された電気機器と、監視端末と、電気機器監視装置との間で通信を行う第1の基地局と、監視端末との間で通信を行う第2の基地局と、第1及び第2の基地局に接続された通信網とから構成することができる。当該監視システムにおいて、上述のメッセージは、第1及び第2の基地局を介して電気機器監視装置から監視端末へ送信されることになる。また、上述のように、監視装置が音声入出力部と音声入出力部、制御部及び前記無線通信回路に接続された音声符号化/復号化部とを具備していれば、監視者と監視対象者とが、監視端末と電気機器監視装置との間に設定された通信回線を通じて通話を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多種多様な既存の電気機器の構造や回路構成を変更せずにそのまま用いることを可能とすることにより、従来技術と比較してより柔軟性のある監視システムを実現することができる。さらに、監視者と監視対象者とがシステムを介して通話することが可能となり、従来技術と比較してより完全な監視サービスを提供する監視システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の監視装置100の外観図を図1に示す。図示されるように、監視装置100は電源タップ型の構成を有しており、本体部101、電源プラグ等の電源接続部103、電源接続部103と本体部101とを接続するケーブル部105、監視装置状態表示部107、電源コンセント等の電気機器接続部109、無線通信モジュール200、スロット111、無線通信状態表示部113及び端末接続部115からなる。電源接続部103を通常の交流電源コンセント等の電源に接続するとケーブル部105を介して本体部101に給電がなされる。ケーブル部105は必ずしも必要ではなく、電源接続部103は本体部101に直接具備されていてもよい。無線通信モジュールは、本体部101のスロット111に着脱可能に挿入される。スロット111の内部には、無線通信モジュール200のインターフェース部と本体部101のインターフェース部が接続される構成となっている。無線通信モジュール200をスロット111に挿入すると、これら無線通信モジュール側のインターフェース部及び本体部101側のインターフェース部を介して、無線通信モジュール200は本体部101内の監視装置制御部(後述)に接続される。本体部101には、電気機器接続部109に接続された電気機器に供給される電流もしくは電圧を検出する電流検出部もしくは電圧検出部(後述)が内蔵されている。電気機器接続部109に接続された電気機器に供給される電流の変化が当該電流検出部により検出されると、本体部101内の監視装置制御部は、電気機器が操作されたことを通知する電子メール等のメッセージを無線通信モジュール200を介して、遠隔にある監視者の端末、例えばパソコン(PC)や携帯電話、PHS等の端末に対して無線送信する。端末接続部115は、例えばUSB端子であり、パソコン(PC)や携帯電話、PHS等の端末と接続することができる。
【0014】
無線通信モジュール200が監視装置100のスロット111に挿入され、電気機器300が監視装置100の機器接続部109に接続され、監視装置100の電源接続部103が交流電源400に接続され、さらに監視装置100の事前設定用のPC等の端末500が端末接続部115に接続された状態のブロック図を図2に示す。
【0015】
監視装置100の本体部101は、図1に示す監視装置状態表示部107、電気機器のプラグを差し込むためのコンセント等の電気機器接続部109、無線通信状態表示部113、端末接続部115のほか、監視装置制御部119、記憶部121、交流/直流変換部123、電流(もしくは電圧)検出部125、予備電源127及びスロット111内に構成されるインターフェース部129を具備している。
【0016】
交流/直流変換部123は、交流電源400のコンセントに差し込まれた電源接続部(例えばプラグ)103を介して監視装置100へ供給される交流電圧を直流電圧に変換し、当該直流電圧を監視装置制御部119に供給する。図2に示す構成において、直流電圧は、監視装置制御部119を介して本体部101の各構成要素へ供給されている。しかし、交流/直流変換部123は、各構成要素へ直流電圧を直接供給してもよい。何らかの理由により電源接続部103を介した監視装置100への給電が遮断された場合には予備電源127が使用される。
【0017】
監視装置制御部119は記憶部121を具備し、当該記憶部121は、電気機器接続部109を介して監視装置100に接続される電気機器300のON状態、OFF状態及び待機状態の電流(もしくは電圧)、電気機器の操作情報の送信先(例えば、監視者端末の電子メールアドレス)、及び監視者端末の電話番号などを記憶する(詳細については後述する)。記憶部121は、監視装置制御部119の内部ではなく外部に配置されてもよい。また、制御部119はタイマーを有していてもよい。
【0018】
監視装置状態表示部107は、監視装置100の現在の状態を外部に報知する機能を有する。監視装置状態表示部107は、例えば、赤色発光ダイオード、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオードなど、異なる色で発光する素子を組み合わせて構成され、各発光ダイオードからの出力光を合成することにより、複数の種類の色の光を発光することができる。無線通信状態表示部113は、無線通信モジュール200を介した電波の受信状況等を外部に報知する機能を有する。監視装置状態表示部107と同様、無線通信状態表示部113もまた、異なる色で発光する素子を組み合わせて構成されてもよい。
【0019】
電流検出部125は、電気機器300へ供給される電流の変化を検出する。電流検出部125として、当業者にとって既知の様々な構成を採用することができる。一例として、ホール素子131から構成される電流検出部125Aを図3Aに示す。電流検出部125Aは、電源接続部103及び電気機器接続部109を介して交流電源400及び電気機器300に接続される。ホール素子131は、磁束密度に依存した電圧を発生させる半導体素子である。図3Aにおいて、ホール素子131は、電源400から電気機器300へ供給される電流により生じる磁界の大きさに応じた電圧を発生させる。検出された電圧Vdは増幅器133により増幅された後に監視装置制御部119へ提供される。当該磁界の大きさは電気機器300の動作状態により変化する。例えば、電気機器300の電源がOFF状態であれば磁界は小さくなり、ON状態となれば磁界は大きくなる。したがって、ホール素子131が生じる電圧を検出することにより、電気機器300に供給される電流を監視することができ、電気機器300が操作されたか否かを判断することができる。
【0020】
別の構成として、既知の抵抗を流れる電流による電圧降下の値を測定することにより、電気機器に供給される電流を検出する電流検出部125Bを図3Bに示す。電流検出部125Bは、抵抗値Rの抵抗135、抵抗値rの抵抗137及び増幅器139からなる。抵抗137は、電圧検出のために増幅器139側へ分流するシャント電流を小さくするための抵抗である。検出される電圧Vdと既知の抵抗値Rから電流値iを算出できる。
【0021】
さらに別の構成として、回路に巻きつけたコイルの両端に発生する誘導起電力から電流値を検出する電流検出部125Cを図3Cに示す。電流検出部125Cは、インダクタンスLのコイル141と増幅器139からなる。
【0022】
図3Aの電流検出部125Aを採用した場合における、電源接続部103、電気機器接続部109、電流検出部125A、監視装置制御部119及び無線通信モジュール200の接続の様子を模式的に図4に示す。図4には図示しないが、電源接続部103は図2のように交流電源400に接続され、電気機器接続部109には電気機器300のプラグが差し込まれているものと仮定する。この場合、交流電源400から電気機器300へ給電がなされる。図1のように監視装置本体部101が複数の電気機器接続部109を具備する場合には、ホール素子131からなる電流検出部125A及び増幅器133は、各々の接続部109について構成される必要がある。
【0023】
監視装置本体部101は、複数の電気機器接続部109に接続された複数の電気機器300を監視できるよう、図4に示すように入力切替部143を具備してもよい。監視装置制御部119は、入力切替部143を制御して、複数の電気機器300に接続された複数の電流検出部125Aのうち所望のものを選択することができる。選択された電圧検出部125Aから出力される電圧は整流回路部146で直流電圧に変換され、A/D変換部145にてデジタル信号に変換された後、監視装置制御部119に入力される。
【0024】
アンテナ・スイッチ203、送信部205及び受信部207、変調部209及び復調部211、TDMA符号化部213及びTDMA復号化部215は、無線通信モジュール200の無線通信機能に関わる無線通信回路を構成する。監視装置100は、インターフェース部129を介して接続された無線通信モジュール200を利用して無線通信を行うことができる。図2に示すアンテナ201を介して受信された信号は、アンテナ・スイッチ203により受信部207へ入力される。当該受信信号(例えば、1.9GHz帯)は、受信部207において増幅、周波数変換され、ついで復調部211でTDMAベースバンド信号に復調された後、TDMA復号化部215によりデータ信号に変換される。モジュール制御部217は、受信したデータをRAM221に格納してもよい。また、ROM219は例えば電話帳等のデータを格納してもよい。モジュール制御部217は、電子メールやショートメッセージを作成して所定のサーバなどの宛先に送信する。もしくは、監視装置制御部119がこれら電子メールやショートメッセージ等を作成してモジュール制御部217に渡してもよい。送信されるべき電子メールやショートメッセージなどのデータは、TDMA符号化部213に入力されてTDMA用のベースバンド信号に符号変換され、さらに変調部209及び送信部205において例えば1.9GHz帯の変調波に変換され、アンテナ・スイッチ203及びアンテナ201を介して無線伝送される。
【0025】
以下、図2に例示する構成において、電気機器300が操作されたことを監視装置100が検出して、無線通信モジュール200を介して監視者に通知するまでの一連の動作を説明する。
【0026】
監視装置100を実際に稼動させる前に、監視装置100の使用を意図する監視者等が事前設定を行う必要がある。まず、監視者は、監視装置100の事前設定用のプログラムをPC等の端末500にインストールする。そして、監視者は、図2に示すように、端末500を監視装置100の端末接続部115を介して監視装置本体部101に接続する。そして、当該事前設定プログラムにより、電気機器の操作を検出した際にその旨を通知する宛先(監視者の端末のメールアドレスや電話番号等)を監視装置100に対して設定する。当該メールアドレスは、監視装置本体部101に内蔵される記憶部121に記憶される。
【0027】
上記の宛先設定後、監視者は、監視装置100から端末500を取り外し、監視装置100を監視対象者である老人等の自宅内に設置して、交流電源400に監視装置100の電源接続部103(プラグ等)を接続する。そして、監視者は、無線通信モジュール200を本体部101のスロット111に挿入し、無線通信モジュール200のインターフェース部225と監視装置本体部101のインターフェース部129とを介して無線通信モジュール200と本体部101とを接続する。これにより、監視装置100は無線通信モジュール200を介して無線通信を行うことが可能になる。さらに、監視者は、監視対象者の安否を監視するために用いる電気機器を選定し、当該電気機器300の電源プラグを監視装置の本体部101の電気機器接続部109に差し込む。
【0028】
ここで、電気機器300の各動作状態において当該電気機器300に供給される電流値(もしくは電圧値)を監視装置100の記憶部121に予め記憶させる必要がある。一例として、監視装置制御部119に動作電流値の自動設定プログラムを予め格納しておき、これを用いて電気機器300の動作電流の自動設定を行ってもよい。この自動設定のフローを図5及び図6に示す。監視者は、電源400に監視装置100を接続して給電させた後(ステップ501)、電気機器300を監視装置100の電気機器接続部109に接続する(ステップ503)。監視装置制御部119は、電気機器300が接続されたことを検出して、監視装置状態表示部107を所定の態様(例えば、赤色で点滅)で発光させる(ステップ505)。このほかにも様々な表示態様が可能である。例えば、監視装置状態表示部107が液晶ディスプレイなどの文字表示が可能な表示部からなる場合には、当該表示部は「電気機器の電源をONしてください」といったようなメッセージを表示してもよい。この場合、メッセージは監視装置状態表示部107内の図示しないメモリに格納しておき、監視装置制御部119の制御により表示するようにできる。監視装置状態表示部107における所定の表示を確認した監視者は、電気機器300のON状態における動作電流を監視装置100に記憶させるべく、電気機器300の電源を投入する(ステップ507)。監視装置制御部119は電流検出部125によりON状態の動作電流を検出し、記憶部121に記憶する。この際、制御部119は、ステップ505での発光から所定の時間後に電流の検出を開始するように構成してもよい。また、制御部119は、図5に示すように、電流検出(ステップ511)を複数回(図5においては3回)行い、その平均値を算出し(ステップ513)、ON状態の動作電流Ionとして記憶部121に記憶する(ステップ515)。監視装置本体101が複数の電気機器接続部109を有する場合、記憶部121は、Ionを、電気機器300が接続されている接続部の番号(例えば、コンセントn等(nはコンセントの番号))と対応付けて記憶する。
【0029】
続いて、監視装置状態表示部107は、ステップ505における発光態様1とは異なる発光態様2で発光する(ステップ517)。これを確認した監視者は、電気機器300の待機状態における動作電流を監視装置100に記憶させるべく、電気機器300の電源を待機状態とする(ステップ519)。ここで、待機状態とは、例えば、電気機器300がテレビである場合には、リモコン操作により電源をOFFにした状態を指す。待機状態の動作電流は、通常、ON状態の電流値とOFF状態の電流値との間の値である。
【0030】
ステップ509乃至515の場合と同様にして、制御部119は、電流検出部125により待機状態の動作電流Iwを検出し、記憶部121に記憶する(ステップ601乃至607)。電気機器300が待機状態を有さない機器である場合には、ステップ601乃至607の作業は不要である。
【0031】
制御部119は、ON状態、待機状態及びOFF状態を区別するための閾値を算出してもよい。図6のステップ609及び611はこの算出プロセスを示している。ON状態と待機状態とを区別するための閾値電流Iは、ステップ515及び607において記憶部121に記憶されたIon及びIwを用いて、例えばI=Iw+(Ion-Iw)/3として算出することができる。また、待機状態とOFF状態とを区別するための閾値電流Iは、例えばI=Iw×0.7として算出できる。制御部119は、算出されたこれら閾値電流の値を記憶部121に記憶する。
【0032】
続いて、監視装置状態表示部107は、上記発光態様1及び2とは異なる態様3(例えば、緑色で点滅)で発光する(ステップ613)。これを確認した監視者は電気機器300の電源をOFF状態とする(ステップ615)。制御部119はこのときの電流値をOFF状態の電流値Ioffとして記憶部121に記憶し、且つ、電気機器300(ここでは、電気機器接続部109のn番目のコンセントに接続されている)の現在の動作電流InをIn=Ioffとして記憶する(ステップ617)。
【0033】
以上の作業により、監視装置100への電気機器300の接続設定が完了する。尚、上記設定作業は監視者に限らず監視対象者等その他の者が行ってもよい。制御部119は、記憶部121に記憶されている電子メールアドレスに、電気機器300の接続設定が完了したことを通知する電子メールを送信してもよい(ステップ619)。
【0034】
接続設定が完了すると、監視装置100は電気機器300の動作電流の監視状態に移行する。この状態で監視装置100の電源接続部103が電源400から引き抜かれるなどして監視装置100への給電が途絶えると(ステップ621の「はい」)、監視状態は終了する(ステップ623)。この際、制御部119は、予備電源127を利用して、記憶部121に記憶されている電子メールアドレス宛に、監視装置100への給電が絶たれたことを通知する電子メールを送信してもよい。
【0035】
一方、監視装置100への給電が途絶えない状態においては(ステップ621の「いいえ」)、制御部119は、電流検出部125を介した電気機器300の動作電流の監視を開始する(ステップ625)。もしくは、制御部119は、検出電流値が変化した場合にのみ、何らかの操作が電気機器300に対して行われたと判断してもよい。検出された電流値IdがI以下である場合(図6の「2」)、プロセスはステップ621に戻る。
【0036】
図6のステップ627において、I≦Idである場合(図6の「3」)のフローを図7に示す。制御部119は、所定時間(例えば200ms)待機した後(ステップ701)、電流検出部125を介して電流値を測定する(ステップ703)。ステップ701及び703は行わなくてもよい。検出された電流値IdがI以上の場合(ステップ705の「はい」)、制御部119は、記憶部121に記憶された電子メールアドレス宛に、n番目のコンセントに接続されている電気機器の電源がONされたことを通知する電子メールを送信する(ステップ707)。このように、本形態の監視装置は、電流検出部119による電流値の変化の検出に応答して、電気機器接続部109に接続された電気機器300が操作されたことを示すメッセージを送信することができる。さらに所定時間経過ごとに(ステップ709)電流が測定される(ステップ711)。一方、ステップ713やステップ705においてIdがI未満となる場合(ステップ713の「いいえ」、ステップ705の「いいえ」)、プロセスは図6の「2」に戻る。
【0037】
図6のステップ627において、I<Id<Iである場合(図6の「4」)のフローを図8に示す。制御部119は、所定時間(例えば200ms)待機した後(ステップ801)、電流検出部125を介して電流値を検出する(ステップ803)。なお、ステップ801及び803は行わなくてもよい。I<Id<Iの場合(ステップ805の「はい」)、制御部119は、記憶部121に記憶された電子メールアドレス宛に、n番目のコンセントに接続されている電気機器の電源が待機状態になったことを通知する電子メールを送信し(ステップ807)。プロセスは図6の「2」に戻る。一方、I<Id<Iでない場合(ステップ805の「いいえ」)、同様にプロセスは図6の「2」に戻る。
【0038】
上述のように、本発明によれば、監視装置に接続された電気機器を監視対象の老人等が操作する際の動作電流の変化を検出して、監視者の端末に対し、当該機器が操作されたこと(すなわち、監視対象者に問題がないこと)を通知することができる。
【実施例1】
【0039】
本発明の監視装置100の別の実施例を図9に示す。電気機器接続部109の各々は、それぞれ異なる定格電圧を有する電気機器に割り当てられる。図9の例において、4つの接続部109は、それぞれ、50V、100V、200V、300Vの定格電圧を有する機器専用に使用される。そして、記憶部121は、電気機器接続部109ごとに、対応する機器のON状態、OFF状態及び待機状態における動作電流の値を予め記憶している。
【0040】
したがって、本実施例においては、上述の実施例における事前設定のうち、動作電流の設定は不要である。ユーザは、接続したい電気機器300に適合する接続部109に当該電気機器300を接続すればよい。監視装置100のその後の動作手順は上述の実施例と同様である。
【実施例2】
【0041】
本発明の監視装置100の別の実施例を図10に示す。図1の構成に加えて、スピーカ102及びマイク104からなる音声入出力部並びに通話ボタン106を具備する。図10の無線通信モジュール200が監視装置100のスロット111に挿入され、電気機器300が監視装置100の機器接続部109に接続され、監視装置100の電源接続部103が交流電源400に接続され、PC等の端末500が端末接続部115に接続された状態のブロック図を図11に示す。
【0042】
図11において、監視装置100の記憶部121は監視者の電話番号を記憶している。監視対象者である老人等が通話ボタン106を押すと、これを検知した監視装置制御部119は、記憶部121から当該電話番号を読み出し、発呼の指示とともに無線通信モジュール200のモジュール制御部217に送る。無線通信モジュール200は電話機能を有しており、監視装置制御部119から知らされた電話番号宛に発呼する。発呼先の監視者端末と無線通信モジュール200との間での通信回線の設定後、通話が可能となる。
【0043】
監視対象者の音声は音声入出力部を構成するマイク104を介してPCMコーデック110等の音声符号化/復号化部へ入力されてパルス符号変調される。ここで、監視装置100のインターフェース部129及び無線通信モジュール200のインターフェース部225は、音声信号の送受信用に使用されるピンとデータ信号の送受信用に使用されるピンとを有している。そして、PCMコーデック110により符号化された音声信号は当該音声用のピンを介して無線通信モジュール200内のADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ214へ入力される。音声用トランスコーダ214の出力信号は、TDMA符号化部213において時分割多元接続(TDMA)用ベースバンド信号に符号変換され、さらに変調部209、送信部205、アンテナ・スイッチ203及びアンテナ201を介して無線伝送される。
【0044】
一方、無線通信モジュール200に対する発呼があった場合には、モジュール制御部217から監視装置制御部119に対してその旨が通知され、監視装置制御部119は、スピーカ102から着信音を発するなどして通知する。監視対象者が通話ボタン106を押すと、通信回線が設定され、通話が可能となる。アンテナ201において受信された音声信号は、アンテナ・スイッチ203により受信部207へ入力される。この受信信号(例えば、1.9GHz帯)は、受信部207において増幅、周波数変換され、ついで復調部211でTDMAベースバンド信号に復調された後、TDMA復号化部215により復号化される。TDMA復号化部215から出力された音声信号は音声用トランスコーダ214へ入力されてPCM音声信号へ変換される。PCM音声信号は、さらにインターフェース部225及び129の音声信号用のピンを介して監視装置100側のPCMコーデック213に入力され、アナログ信号に変換されて音声入出力部を構成するスピーカ102を介して出力される。
【実施例3】
【0045】
本発明の監視装置100の別の実施例を図12に示す。図12の実施例において、図1の無線通信モジュール200の機能は監視装置100の本体部101内に内蔵されている。
【0046】
図12の監視装置100に電気機器300、交流電源400及び事前設定用の端末500を接続した場合の構成を図13に示す。図12の実施例において無線通信モジュール200に内蔵されていたアンテナ201、アンテナ・スイッチ203、送信部205、受信部207、変調部209、復調部211、TDMA符号化部213及びTDMA復号化部215が監視装置100の本体部101に内蔵されている。ROM219及びRAM221は図13に記載されていないが、これらの要素も必要に応じて本体部101に内蔵されてもよい。同様に、図10及び図11に示した実施例2の構成に代えて、無線通信モジュール200の機能が監視装置100の本体部101に内蔵された構成を採用することができる。また、実施例2における無線通信モジュール200の機能を監視装置100の本体部101に内蔵した構成のブロック図を図14に示す。
【0047】
尚、監視装置100は、図15に示すような外観をもつように構成されてもよい。図15において、A、B及びCはそれぞれ平面図、正面図及び側面図を示す。電源接続部103を通常の交流電源コンセント等の電源に接続すると、監視装置100によって当該コンセント部分全体が覆われ、隣接するコンセントに他の電気機器のプラグを挿せなくなる。これにより、他の電気機器に起因するノイズの発生を防ぎ、監視装置100内の電流検出部125による電流検出の精度を高く保つことができる。また、図15の構成においては、通話ボタン106が本体部101上のかなりの面積を占めるように大きな形状に構成されている。このような構成により、すなわち、通話ボタン106が大きな形状に構成されているので、緊急時の発呼が容易になる。図15に示すような構成は、図12のような無線通信機能を内蔵した監視装置のみならず、図1、図9及び図10に示すような無線通信モジュールを利用する監視装置に対しても適用することが可能である。
【実施例4】
【0048】
本発明の監視装置を用いた監視システムの概略図を図16に示す。監視対象者の自宅600内に設置された監視装置100及び電気機器300、無線基地局700A及び700B,通信網800及び監視者端末900からなる。監視装置100は、電気機器300の操作を検出すると、監視者端末900宛てに電子メール等を送信して通知する。また、監視装置100が通話機能を有する場合、監視者と監視対象者とは、監視装置100及び監視者端末を介して通話を行うことができる。なお、図16においては、監視装置100と監視端末900との通信を無線基地局700A及び700Bを用いることを説明したが、本発明は必ずしも無線で通信する必要はなく、有線の回線を使用しても成しえるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の監視装置の外観図である。
【図2】無線通信モジュール、電気機器、交流電源及び事前設定用の端末が監視装置に接続された場合のブロック図である。
【図3A】電流検出部の構成の一例を示す図である。
【図3B】電流検出部の構成の一例を示す図である。
【図3C】電流検出部の構成の一例を示す図である。
【図4】電源接続部、電気機器接続部、電流検出部、監視装置制御部及び無線通信モジュールの接続の様子を模式的に示した図である。
【図5】監視装置の事前設定のフローを示す図である。
【図6】監視装置の事前設定のフローを示す図である。
【図7】ステップ627においてI≦Idである場合の動作フローを示す図である。
【図8】ステップ627においてI<Id<Iである場合の動作フローを示す図である。
【図9】本発明の監視装置の他の実施例の外観図である。
【図10】本発明の監視装置の他の実施例の外観図である。
【図11】無線通信モジュール、電気機器、交流電源及び事前設定用の端末が図10の監視装置に接続された場合のブロック図である。
【図12】本発明の監視装置の他の実施例の外観図である。
【図13】図12の監視装置に電気機器、交流電源及び事前設定用の端末を接続した場合のブロック図である。
【図14】図11における無線通信モジュールの機能を監視装置の本体部に内蔵した場合のブロック図である。
【図15】本発明の監視装置の他の実施例の外観図である。
【図16】本発明の監視装置を用いた監視システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
電気機器に給電を行うための電気機器接続部と、
前記制御部及び前記電気機器接続部に接続され、前記電気機器に供給される電流値の変化を検出する電流検出部と、
前記制御部に接続された無線通信回路と、
前記無線通信回路に接続されたアンテナと
を具備し、
前記電流検出部による電流値の変化の検出に応答して、前記制御部は、前記電気機器接続部に接続された電気機器が操作されたことを示すメッセージを前記無線通信回路及びアンテナを介して送信する、電気機器監視装置。
【請求項2】
音声入出力部と、
前記音声入出力部、前記制御部及び前記無線通信回路に接続された音声符号化/復号化部と
をさらに具備する請求項1に記載の電気機器監視装置。
【請求項3】
本体部と、前記本体部に着脱可能に接続され、前記本体部との間で信号の送受信を行う無線通信モジュールとからなる電気機器監視装置であって、
前記本体部は、本体制御部と、電気機器に給電を行うための電気機器接続部と、前記制御部及び前記電気機器接続部に接続され、前記電気機器に供給される電流値の変化を検出する電流検出部と、前記制御部に接続された第1のインターフェース部とを具備し、
前記無線通信モジュールは、前記第1のインターフェース部と接続される第2のインターフェース部と、前記第1及び第2のインターフェース部を介して前記本体制御部と接続されるモジュール制御部と、前記モジュール制御部に接続された無線通信回路と、前記無線通信回路に接続されたアンテナとを具備し、
前記電流検出部による電流値の変化の検出に応答して、前記本体制御部は、前記電気機器が操作されたことを示すメッセージを前記無線通信回路及びアンテナを介して送信するよう、前記モジュール制御部に指示を送る、電気機器監視装置。
【請求項4】
前記本体部は、音声入出力部と、前記音声入出力部及び前記本体制御部に接続された音声符号化/復号化部とをさらに具備し、
前記無線通信モジュールは、前記第1及び第2のインターフェース部を介して前記音声符号化/復号化部と接続され、且つ前記無線通信回路に接続される音声用トランスコーダをさらに具備する請求項3に記載の電気機器監視装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気機器監視装置と、
前記電気機器監視装置に接続された電気機器と、
監視端末と、
前記電気機器監視装置との間で通信を行う第1の基地局と、
前記監視端末との間で通信を行う第2の基地局と、
前記第1及び第2の基地局に接続された通信網と
からなり、
前記メッセージは、前記第1及び第2の基地局を介して前記電気機器監視装置から前記監視端末へ送信される、監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−262314(P2008−262314A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103455(P2007−103455)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(304058826)株式会社ウィルコム (56)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】