説明

電気機器装着治具及び電気機器管理システム

【課題】複数の電気機器を容易に管理することができる。
【解決手段】複数の電気機器を識別するために各電気機器に装着される電気機器装着治具である。この電気機器装着治具を、前記電気機器の接続端子に着脱自在に装着される装着部と、当該装着部に取り付けられ識別手段を施すための識別部とを備えて構成した。前記識別部に施す識別手段は、他と識別するための識別情報を記録する情報記録媒体を備えて構成した。前記情報記録媒体は、電波で交信するICタグを備えて構成した。電気機器管理システムは、前記電気機器装着治具と、情報を読み取る読み取り手段と、当該読み取り手段で読み取った情報を記録して管理する管理部とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に直接貼付すると識別情報の読み取りが困難になるICタグ等を電気機器に装着する場合に用いて好適な電気機器装着治具及び電気機器管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
識別情報が書き込まれたICタグを電気機器に装着して管理をするシステムは一般的に知られている。このような管理システムとしては特許文献1に示すようなものがある。
【0003】
特許文献1は、パソコンに無線ICタグを取り付け、この無線ICタグに書き込まれた識別情報を基に、パソコンの持ち出しが管理されている。
【0004】
このような無線ICタグをパソコンに取り付ける手段としては、ラベル状にしてパソコンの筐体表面に貼り付けるのが一般的である。
【特許文献1】特開2006−260254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ICタグをパソコンに直接貼付すると、パソコン本体を構成する金属の影響で通信できないことがある。このような場合には、磁性材料を用いた金属対応タグを使用することが考えられる。しかしこの場合、ICタグの識別情報を読み取ることは可能になっても、十分な通信距離を確保することができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ICタグ等の識別手段をその機能を損ねることなく着脱できる電気機器装着治具及び、複数の電気機器を容易に管理できる電気機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、複数の電気機器を識別するために各電気機器に装着される電気機器装着治具であって、前記電気機器の接続端子に着脱自在に装着される装着部と、当該装着部に取り付けられ識別手段を施すための識別部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、複数の電気機器を管理する電気機器管理システムであって、各電気機器に着脱自在に装着される電気機器装着治具と、情報を読み取る読み取り手段と、当該読み取り手段に接続され当該読み取り手段で読み取った情報を記録して管理する管理部とを備え、前記電気機器装着治具が、前記電気機器の接続端子に着脱自在に装着される装着部と、当該装着部に取り付けられ識別手段が施された識別部とを備え、前記管理部が、保管された前記電気機器に取り付けられた前記電気機器装着治具の識別情報を前記読み取り手段で読み取った当該識別情報を基に電気機器を管理すると共に、前記電気機器の搬出時に当該電気機器装着治具の識別情報の前記読み取り手段での読み取りを行って当該識別情報を基に持ち出された電気機器を管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
前記電気機器装着治具により、ICタグ等の識別手段をその機能を損ねることなく電気機器に対して容易に着脱することができる。また、電気機器管理システムにより、複数の電気機器を容易に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る電気機器装着治具及びこの電気機器装着治具が装着されるノートパソコンを示す正面図、図2は本実施形態に係るノートパソコンの要部を示す部分斜視図、図3は本実施形態に係る電気機器装着治具を示す斜視図である。なお、図1の電気機器装着治具は概略的に記載しており、図3の電気機器装着治具は具体的に記載していると共にその使用態様を変えているため、両者で多少の相違があるが、基本的には同じ機能を持つ同じものである。
【0011】
以下では、電気機器装着治具と、この電気機器装着治具を用いた電気機器管理システムについて説明する。
【0012】
[電気機器装着治具]
以下、本実施形態に係る電気機器装着治具について説明する。ここで、電気機器とは、テレビ、ファックス、コピー機、固定電話機、携帯電話機、ビデオデッキ、DVDレコーダー、デジタルビデオカメラ、ビデオカメラ、パソコン、プリンター、ゲーム機、CDラジカセ、ポータブルCDプレーヤー、ノートパソコン、PDA等の、保管場所から外部に持ち出すことができる、種々の接続端子を備えた電気機器をいう。可搬式の電気機器全てが、本実施形態の電気機器装着治具による管理の対象になり得る。電気機器装着治具は、前記電気機器の管理に使用する治具である。即ち、通常は保管場所に保管され、販売、リース、仕事等の、必要に応じて適宜持ち出される態様で使用される複数の前記電気機器の管理に使用する治具である。以下では、図1〜3に基づいて、電気機器としてのノートパソコンを例に説明する。
【0013】
本実施形態の電気機器装着治具1は、複数の電気機器としてのノートパソコン2を識別するために各ノートパソコン2に装着される治具である。この電気機器装着治具1は、ノートパソコン2の接続端子に着脱自在に装着される装着部3と、この装着部3に取り付けられた識別部4とを備えて構成されている。
【0014】
ここで用いるノートパソコン2の接続端子は、規格化された外部インターフェース等である。本実施形態では、モジュラージャック接続口5を用いる。モジュラージャック(図示せず)は、LANやインターネット通信回線等の接続に用いられるコネクタである。ノートパソコン2のモジュラージャック接続口5は、モジュラージャックが嵌り込む構造を有しており、その内部に抜止め機構(図示せず)を備えている。
【0015】
装着部3は、前記モジュラージャックと同様にプラグに爪が付いた構成を有している。具体的には、モジュラージャック接続口5に嵌り込む構造を有するプラグ7と、このプラグ7に設けられた係止爪8とを備えて構成されている。
【0016】
プラグ7は、モジュラージャックと同様の形状を有して、ノートパソコン2のモジュラージャック接続口5に容易に挿入することができ、同時に容易に抜き取ることができるようになっている。プラグ7は、プラスチック材や紙材等からなる絶縁物で構成され、又は端子と非接触となるよう構成され、装着されたノートパソコン2の動作に影響を及ぼさないように構成されることが好ましい。
【0017】
係止爪8は、プラグ7に斜めに取り付けられた可撓性板材で構成され、モジュラージャック接続口5内の抜止め機構に係止して電気機器装着治具1のノートパソコン2からの抜け落ちを防止する抜止め手段である。この可撓性板材からなる係止爪8がモジュラージャック接続口5内の抜止め機構に容易に係止して、電気機器装着治具1がノートパソコン2から抜け落ちないように確実に支持されるようになっている。即ち、電気機器装着治具1の不用意な脱落を確実に防止できる構造になっている。同時に、この可撓性板材からなる係止爪8によって、容易に係止解除することができ、電気機器装着治具1をノートパソコン2から容易に取り外すことができるようになっている。
【0018】
識別部4は、高分子樹脂等のプラスチック材や板紙等の各種紙材等の非金属材料で構成されることが好ましい。この識別部4は、その表面に識別手段10を設けるための部材である。識別部4は、平板状の部材で構成されて装着部3に取り付けられている。識別手段10は、自己のノートパソコン2と他のノートパソコン2と識別するための識別情報を記録する情報記録媒体である。この情報記録媒体として本実施形態では、電波で交信するICタグ(識別部4に内蔵)と、識別部4の表面に施された識別情報としてのバーコード11及び印字12を備えた表示部を用いている。このICタグ、バーコード11及び印字12に識別情報が組み込まれている。ここでは、複数のノートパソコン2を個々に区別するための識別情報が組み込まれている。この識別情報としては、複数のノートパソコン2を区別する情報だけでなく、管理情報を含めても良い。この管理情報としては、ノートパソコン2が、保管場所に保管されているのか、外部に持ち出されているのか、高機能の機種か、重要な情報が記録された機種か等の種々の情報が対象となり得る。
【0019】
ここでは、情報記録媒体としてICタグ、バーコード11又は印字12の3つの手段を用いているが、必要に応じて適宜、ICタグ、バーコード11又は印字12のうちの1又は2を選択してもよい。
【0020】
本発明におけるICタグとは、少なくとも導電性部材からなるアンテナ回路と、ICチップから構成されるものをいう。
【0021】
平板状の識別部4の一端には嵌合用突起14が設けられている。また、装着部3のプラグ7は四角筒状の部材で、その後端は開放されて、嵌合用開口15となっている。嵌合用突起14は、弾性部材で構成されると共に、嵌合用開口15よりも僅かに大きい寸法に設定されている。これにより、嵌合用突起14は嵌合用開口15に嵌合して、装着部3と識別部4とを一体的に連結するようになっている。さらに、嵌合用突起14をその角度を適宜変えて嵌合用開口15に挿入することで、ノートパソコン2に対する電気機器装着治具1の方向を変更できるようになっている。さらに、嵌合用突起14の識別部4に対する角度も適宜変更することができる。例えば図1のように、嵌合用突起14を識別部4と平行になる方向に配設してもよく、図3のように、嵌合用突起14を識別部4と直角になる方向に配設してもよい。また、他の角度に設定してもよい。使用態様に応じて角度を設定する。
【0022】
さらに、電気機器装着治具1とノートパソコン2には、電気機器装着治具1自体とノートパソコン2とを一対一で関連付ける関連付け手段を設けることが好ましい。この関連付け手段は、識別部4の識別手段10と、ノートパソコン2に貼付された関連付けラベル17とで構成されている。
【0023】
関連付けラベル17は、その表面に、識別手段10と同様のバーコード11及び印字12を施して構成されている。具体的には、印字12として同じ番号や同じ識別記号を印刷したり、バーコード11に同じ情報を記録したりして、識別手段10の情報と関連付けラベル17の情報とを関連付ける。そして、関連付けラベル17が管理したいノートパソコン2の表面に貼付される。これにより、関連付けラベル17が貼付されたノートパソコン2と、電気機器装着治具1とを関連付けている。なお、関連付け手段としては、関連付けラベル17を2枚備え、これらを電気機器装着治具1とノートパソコン2とにそれぞれ貼付するようにしてもよい。
【0024】
識別手段として非接触のICタグで構成された電気機器装着治具1の場合は、例えば次のように使用される。
【0025】
モジュラージャック接続口5を持つノートパソコン2には、モジュラージャック接続口5に対応する装着部3を有する電気機器装着治具1が用いられる。電気機器装着治具1の識別手段であるICタグは非接触で情報の書き換えが可能であり、電気機器装着治具1を装着する前にタグリーダー・ライターにより所定の情報が書き込まれる。この電気機器装着治具1をノートパソコン2のモジュラージャック接続口5に装着することにより、電気機器装着治具1に記録された情報を読み取ることで、ノートパソコン2を非接触で認識できるようになる。
【0026】
すなわち、タグリーダー・ライターにより情報を読み取れば、その情報を持つ電気機器装着治具1が装着されたノートパソコン2がそこに存在していると判断できる。このようにして電気機器装着治具1により、ノートパソコン2の管理が可能となる。
【0027】
電気機器装着治具1はノートパソコン2の筐体から少し離れた位置に識別部4を配置させられるので、識別手段がICタグであっても、筐体自体に貼付した場合よりも読み取り効率が極めて向上する。例えば、タグリーダー・ライターとして株式会社ウエルキャット社製ハンディR/Wを使用した場合は、100mm以上の通信距離を確保することが可能であった。また、複数の情報を同時に読み取ることも可能となり、これにより多数のノートパソコン2を効率的に管理することができる。さらに、ノートパソコン2内の電子部品の影響による電波の乱れも減少する。
【0028】
なお、電気機器装着治具1に記録される情報はノートパソコン2に貼付された関連付けラベル17に記載の情報と同じ情報が記録されてもよいし、独自に割り振られた個別コードであってもよい。電気機器装着治具1に記録される情報が個別コードである場合は、タグリーダー・ライターと通信可能な管理用コンピューター上で関連付けラベル17の情報と前記個別コードが関連付けて記録されることにより、上記のような管理が可能となる。
【0029】
このように、電気機器装着治具1により、ICタグ等の識別手段をその機能を損ねることなくノートパソコン2に対して容易に着脱することができるようになり、多数のノートパソコン2の管理を容易に行うことができるようになる。
【0030】
電気機器装着治具1の装着部3は、ノートパソコン2の接続端子に合わせて形成されるため、ノートパソコン2が収納棚23に収納される際に外側に面する部分の接続端子に合わせて装着部3を形成することで、識別部4を外側(後述するタグリーダー・ライター20で読み取る側)に向けてノートパソコン2に取り付けることができるようになり、管理情報の読み取りが容易になる。
【0031】
また、ICタグを組み込んだ電気機器装着治具1の場合は、データの書き換えが容易であるため、このICタグ内の管理情報等を書き換えることで、ノートパソコン2以外にも種々の物品の管理に使用することができる。
【0032】
[電気機器管理システム]
次に、電気機器管理システムについて図面を参照しながら説明する。図4は本実施形態の電気機器管理システムを示す概略構成図である。なお、管理コンピュータを用いた管理システム自体は一般的にあるものであるため、ここでは、電気機器装着治具1を中心に説明する。また、電気機器として前記ノートパソコン2を用いる。前記情報記録媒体として、識別部4に内蔵した電波で交信するICタグを用いる。情報を読み取る読み取り手段としてタグリーダー・ライター20を用いる。タグリーダー・ライター20で読み取った情報を記録して管理する管理部として管理用パソコン21を用いる。
【0033】
タグリーダー・ライター20は、LAN22を介して管理用パソコン21に接続されている。タグリーダー・ライター20で読み取った情報は、LAN22を介して管理用パソコン21の記録部(図示せず)に記録される。また、必要に応じて管理用パソコン21からの情報を、LAN22及びタグリーダー・ライター20を介して電気機器装着治具1の識別部4内のICタグに書き込む。
【0034】
保管場所には、ノートパソコン2を収納する収納棚23が設置されている。この収納棚23は、ノートパソコン2を縦に並べて収納する構成になっている。収納棚23は3段に構成されている。ノートパソコン2は、3段の棚に、電気機器装着治具1を外側に向けて収納されている。収納棚23のとなりには、電気機器装着治具収納棚24が設置されている。この電気機器装着治具収納棚24は、ノートパソコン2を保管場所から持ち出すときに、ノートパソコン2から取り外された電気機器装着治具1を保管する棚である。この電気機器装着治具収納棚24は、収納された複数の電気機器装着治具1の管理情報等をタグリーダー・ライター20によって同時に読み取れるようにその読み取り面を外側に向けるような状態で各電気機器装着治具1を支持するように構成されている。なお、電気機器装着治具収納棚24として、垂直の壁面に複数の釘を打って各電気機器装着治具1を並べてぶら下げるようにしてもよい。
【0035】
他の構成は、一般的な管理システムと同様である。また、保管場所の出入り口には、タグリーダー・ライター20の機能を備えたゲートを設けたり、収納棚23及び電気機器装着治具収納棚24に、組み込み式のタグリーダー・ライター20を設けたりすることができる。さらに、不正な持ち出しについては、前記ゲートで通路が開かないように制御することもできる。
【0036】
次に、前記電気機器管理システムの動作について説明する。管理用パソコン21による制御によって、全体が次のように制御される。
【0037】
まだ管理されていない新しいノートパソコン2を保管場所の収納棚23に保管する場合について説明する。
【0038】
ノートパソコン2には、別途管理番号がバーコード等で記録された関連付けラベル17が予め貼付されている。まず、バーコードリーダーにより関連付けラベル17の情報が読み取られ、管理用コンピューター21に送られる。管理用コンピューター21は新たな管理番号であることを認識し、新規のノートパソコンが入庫したと判断して管理データベース内に新規コードとして前記管理番号を割り振り、これを保管状態として管理する。また、管理状態にない電気機器装着治具1の中からノートパソコン2に装着可能な装着部3を持つものが選択され、LAN22を介して管理用コンピューター21から前記管理番号を識別情報として読み取り、タグリーダー・ライター20によって電気機器装着治具1の識別手段に記録される。記録された電気機器装着治具1はノートパソコン2に装着され、保管場所の任意の収納棚23に保管される。
【0039】
次に、保管されているノートパソコン2を保管場所から持ち出す場合について説明する。
【0040】
収納棚23からノートパソコン2が取り出され、電気機器装着治具1が外される。この電気機器装着治具1からタグリーダー・ライター20によって識別情報が読み取られ、LAN22を介して管理用コンピューター21に送られる。前記識別情報とデータベースを照合し、これを保管状態のノートパソコン2と認識するので、保管状態から持ち出し状態に変更して記録し直す。電気機器装着治具1は電気機器装着治具収納棚24の所定場所に返却される。このようにしてノートパソコン2は保管場所から持ち出しされている状態として管理される。
【0041】
続いて、既に管理されているノートパソコン2が保管場所に返却される場合について説明する。
【0042】
返却されるノートパソコン2からは、バーコードリーダーにより関連付けラベル17の情報が読み取られ、管理用コンピューター21に送られる。また、電気機器装着治具収納棚24の電気機器装着治具1をタグリーダー・ライター20で読み取り、識別情報がLAN22を介して管理用コンピューター21に送られる。管理用コンピューター21は、関連付けラベル17の情報より対象の電気機器が持ち出し状態にあるノートパソコンであることを認識するとともに、関連付けラベル17の情報がタグリーダー・ライター20からの識別情報と一致するか確認する。一致した場合、タグリーダー・ライター20に信号を送りLEDを点灯させるなどして、作業者に返却されるノートパソコン2に組合せられた電気機器装着治具1であることを知らせる。この電気機器装着治具1を返却されるノートパソコン2に装着し、ノートパソコン2を任意の収納棚23に保管する。管理用コンピューター21は、返却されたノートパソコン2の管理状態を持ち出し状態から保管状態に記録し直す。
【0043】
また、保管場所におけるノートパソコン2の保管状態を点検する場合について説明する。
【0044】
点検する際には、管理用コンピューター21へ点検作業を行う旨の情報を与えることにより、タグリーダー・ライター20から情報が得られても管理状態の情報を記録し直す作業を行わないようになる。点検作業者が収納棚23のノートパソコン2の電気機器装着治具1の識別情報をタグリーダー・ライター20で読み取り、LAN22を介して管理用コンピューター21に送られる。管理用コンピューター21は識別情報をデータベースと照合し、対象のノートパソコンがデータベース上でも管理状態が保管状態であることを確認する。読み取り作業が収納棚23のノートパソコン全部を終えたとき、データベース上の保管状態にあるものと全て一致していれば、保管管理に問題が無いことになる。
【0045】
また、ノートパソコン2を保管場所から外部に搬出するときは、そのノートパソコン2から電気機器装着治具1を取り外さない態様もあり得る。この場合は、識別情報をタグリーダー・ライター20で読み取った後、電気機器装着治具1が取り付けられたままのノートパソコン2を外部に持ち出す。
【0046】
電気機器装着治具1が取り付けられたままノートパソコン2を外部に持ち出した場合は、そのノートパソコン2の電気機器装着治具1の識別情報をタグリーダー・ライター20で読み取って管理用パソコン21に送り、管理用パソコン21で管理する。
【0047】
これにより、複数のノートパソコン2を容易に管理することができる。
【0048】
また、電気機器装着治具1は、独立した単体の部材であるため、何度でも再利用することができ、ノートパソコン2の入れ替えが激しい場合にも、容易に対応することができる。ノートパソコン2以外にもモジュラージャック接続口5等を備えた全ての物品に対して対応することができる。
【0049】
[変形例]
前記各実施形態では、電気機器装着治具1の識別部4にICタグを組み込んだが、このICタグの代わりに、ICチップを有さないで特定周波数の電波に共振する共振タグを備えてもよい。この場合、全ての電気機器装着治具1で、共振周波数を少しずつ異ならせて、その共振周波数の違いを識別手段として電気機器装着治具1を識別して、管理する。
【0050】
この場合も、上記各実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0051】
前記各実施形態では、電気機器の接続端子としてノートパソコン2のモジュラージャック接続口5を用いたが、USB端子、IEEE1394端子、Ethernet(登録商標)端子、VGAポート、DVIポート、ヘッドフォン/スピーカ出力端子、マイク入力端子、ネジ穴、電源ケーブル用端子等でもよい。前記ネジ穴としては、モニター用のピン端子を固定するためにピン端子の両側に設けられるネジ穴等を用いることができる。
【0052】
前記各実施形態では、電気機器装着治具1の装着部3と識別部4との接続部として、嵌合用突起14と嵌合用開口15を用いたが、プラグ7と識別部4とを一体構造にしても良い。
【0053】
また、図5に示すように、ユニバーサルジョイント等の、自由に角度を調整できると共に回転できる継ぎ手26によって装着部3と識別部4とを接続してもよい。これにより、ノートパソコン2が電気機器装着治具収納棚24に収納された状態で、電気機器装着治具1の識別部4の情報を読み取りやすいように、向きを調整することができる。
【0054】
また、図6に示すように、自由に撓むことができる紐や鎖等の紐類27によって装着部3と識別部4とを接続してもよい。この場合は、ノートパソコン2が電気機器装着治具収納棚24に収納された状態で、電気機器装着治具1の識別部4を読み取りやすいように向きを調整して垂らすことができる。
【0055】
また、図7に示すように、装着部3を2つ設けても良い。モジュラージャックにも、ブロードバンド用と電話回線用の2種類があるため、2つのモジュラージャックを両側に一体的に設けてもよい。モジュラージャックとUSB端子等の他の組み合わせでもよい。これにより、ノートパソコン2を電気機器装着治具収納棚24に収納した状態で外側に面していない接続端子や、使用されている接続端子を避けて、外側に面している接続端子や使用されていない接続端子に電気機器装着治具1を取り付けることができる。
【0056】
また、保管場所としても、倉庫等の保管場所に限らず、商品の陳列棚、陳列ケース等の他の形態の保管場所等でもよい。保管場所の位置情報を管理用パソコン21で管理する情報とすれば、保管場所の管理もすることができる。商品の出し入れを正確に管理する必要がある場所において、本願発明を適用することができる。
【0057】
前記各実施形態では、識別部4を平板状の部材で構成したが、円柱、円すい、四角柱、四角すい等の他の形状でも良いことは言うまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係る電気機器装着治具及びこの電気機器装着治具が装着されるノートパソコンを示す正面図である。
【図2】本実施形態に係るノートパソコンの要部を示す部分斜視図である。
【図3】本実施形態に係る電気機器装着治具を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電気機器管理システムを示す概略構成図である。
【図5】本発明の変形例に係る電気機器装着治具を示す正面図である。
【図6】本発明の変形例に係る電気機器装着治具を示す正面図である。
【図7】本発明の変形例に係る電気機器装着治具を示す正面図である。
【符号の説明】
【0059】
1:電気機器装着治具、2:ノートパソコン、3:装着部、4:識別部、5:モジュラージャック接続口、7:プラグ、8:係止爪、10:識別手段、11:バーコード、12:印字、14:嵌合用突起、15:嵌合用開口、17:関連付けラベル、20:タグリーダー・ライター、21:管理用パソコン、22:LAN、23:収納棚、24:電気機器装着治具収納棚、26:継ぎ手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気機器を識別するために各電気機器に装着される電気機器装着治具であって、
前記電気機器の接続端子に着脱自在に装着される装着部と、
当該装着部に取り付けられ識別手段を施すための識別部とを備えたことを特徴とする電気機器装着治具。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器装着治具において、
前記識別部に前記識別手段を設け、当該識別手段が、他の電気機器と識別するための識別情報を記録する情報記録媒体であることを特徴とする電気機器装着治具。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機器装着治具において、
前記情報記録媒体が、電波で交信するICタグを備えて構成されたことを特徴とする電気機器装着治具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気機器装着治具において、
前記装着部が、抜止め機構を備えた前記接続端子に対応した抜止め手段を備えたことを特徴とする電気機器装着治具。
【請求項5】
複数の電気機器を管理する電気機器管理システムであって、
各電気機器に着脱自在に装着される電気機器装着治具と、情報を読み取る読み取り手段と、当該読み取り手段に接続され当該読み取り手段で読み取った情報を記録して管理する管理部とを備え、
前記電気機器装着治具が、前記電気機器の接続端子に着脱自在に装着される装着部と、当該装着部に取り付けられ識別手段が施された識別部とを備え、
前記管理部が、保管された前記電気機器に取り付けられた前記電気機器装着治具の識別情報を前記読み取り手段で読み取った当該識別情報を基に電気機器を管理すると共に、前記電気機器の搬出時に当該電気機器装着治具の識別情報の前記読み取り手段での読み取りを行って当該識別情報を基に持ち出された電気機器を管理することを特徴とする電気機器管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電気機器管理システムであって、
前記電気機器装着治具自体と当該電気機器装着治具が装着された電気機器とを一対一で関連付ける関連情報を有する関連付け手段をさらに備え、
搬出された前記電気機器と、当該電気機器から取り外された前記電気機器装着治具とを前記関連情報を基に関連付けて管理することを特徴とする電気機器管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−271762(P2009−271762A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122312(P2008−122312)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】