説明

電気機器

【課題】 不要な通知を省略することで無駄なメンテナンスや修理を無くし、かかる負担を軽減するとともに管理コストの低減をはかる。
【解決手段】 障害の種類毎に重み付けを行い、その重み係数と発生頻度とを掛け合わせることによって障害率を計算し、その障害率があらかじめ設定された閾値を超えた場合にのみサービスセンターやユーザ等外部に障害発生を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害発生時、サービスセンター等外部へ通知を行う電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばプリンタや複写機等の電気機器において、何らかの障害が発生した場合にメールを自動的に送信し、あるいは保守サーバをアクセスする等により、サービスセンターやユーザに通知するシステムが構築されている。このシステムにより、サービスマンやユーザは、このような電気機器に発生する障害をリアルタイムに正確に知ることができ、メンテナンスを迅速に行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、サービス拠点にある端末装置が電気機器である画像形成装置の異常情報を収集する技術(例えば、特許文献2、3参照)、障害の発生頻度により障害情報を管理センターへ送信する技術(特許文献4参照)、更には、ハードウェアやソフトウェアの障害を検出するときにトラップを発生させ、トラップの種類毎に定められた重みを加算し、その合計値が所定の値に達した時に電子メールで管理者に通知する技術(特許文献5参照)も知られている。
【特許文献1】特開2002−113929号公報
【特許文献2】特開2000−270141号公報
【特許文献3】特開2000−29354号公報
【特許文献4】特開平10−294839号公報
【特許文献5】特開2001−43152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記した各特許文献に開示された技術によれば、以降に同じような障害が発生した場合にも毎回通知され、従って、効率の良い保守、メンテナンスができなくなる。また、誤動作した場合にも障害発生が通知されるため、ユーザにとっては対応にかかる負担が大きくなり、また、保守料の負担増を招くことにもなる。特に、メンテナンスや修理を行う立場からすれば、対応の必要がないケースであっても通知がある毎に対応を強いられ、ユーザが増えた場合、そのための負担も増加する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、不要な障害発生通知を省略することで無駄なメンテナンスや修理を無くし、かかる負担を軽減するとともに管理コストの低減をはかった電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために本発明は、障害発生時に外部へ通知を行う電気機器であって、前記障害の種類毎に付与される重み係数に対し、前記発生した障害の発生頻度を掛け合わせて障害率を算出する障害率算出部と、前記障害率があらかじめ設定された閾値を越えた場合にのみ外部へ障害発生を通知する障害発生通知部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明において、障害発生毎にその履歴を保持し、以降発生する同種の障害につき、障害発生通知が解除されるまで前記障害発生通知部による障害発生通知を禁止する障害発生通知管理部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、障害の種類毎重み付けを行い、その重み係数と発生頻度とを掛け合わせることによって障害率を計算し、その障害率があらかじめ設定された閾値を超えた場合にのみサービスセンターやユーザ等外部に障害発生を通知することで無駄なメンテナンスや修理を不要とし、このことにより、サービスマンやユーザにかかる負担が軽減されるとともに管理コストの低減がはかれる。
また、同種の障害につき障害発生通知が解除されるまでこの障害発生通知を禁止するので、一度障害発生通知がなされた後は、同種の障害を示す障害発生通知が何度も行われることがなくなり、当該電気機器の保守管理がし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の電気機器の一実施形態に係わる画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
図1において、本実施の形態の画像形成装置は、障害発生検知部11と、履歴保存部12と、発生頻度算出部13と、障害率算出部14と、比較部15と、障害発生通知送信部16と、障害発生通知管理部17と、重み係数DB18と、閾値DB19で構成される。
【0010】
障害発生検知部11は、システムエラー、給排紙ジャム、通信エラー等による障害の発生を検知し、その履歴を履歴保存部12に記録する。発生頻度算出部13は、印刷枚数あたりの障害発生件数を算出して障害率算出部14へ供給する。このため、履歴保存部12には、障害発生の都度前回発生時点からの累計印刷枚数が記録される。障害率算出部14は、重み係数DB18に格納される障害の種類毎に付与された重み係数に対し、発生頻度算出部13で算出された障害の発生頻度を掛け合わせて障害率を算出し、比較部15の一方の入力端子へ供給する。
【0011】
比較部15の他方の入力端子には閾値DB19からあらかじめ定義された障害率の閾値が供給されており、ここでの比較結果は障害発生通知送信部16に供給される。障害発生通知送信部16は、障害率があらかじめ設定された閾値を越えた場合に外部へ障害発生を通知する機能を持ち、障害発生通知管理部17によって制御される。障害発生通知管理部17は、障害発生毎にその履歴を例えばフラグによって管理し、以降発生する同種の障害につき、障害発生通知が解除されるまで障害発生通知送信部16による外部への障害発生通知を禁止する。
【0012】
図2は、本実施形態に係わる画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、図2に示すフローチャートを参照しながら図1に示す本実施形態の画像形成装置の動作について詳細に説明する。
【0013】
まず、画像形成装置にシステムエラー、ジャム、通信エラー、トナー等について障害が発生したとする(S201)。このことは、内蔵センサ等により障害発生検知部11を介して検知される。このことにより障害の優先度検索が行われる(S202)。ここでは、障害の種類毎に、あらかじめ重み係数が付与されており、例えば、システムエラーについては「10」、給紙ジャムについては「4」、排紙ジャムについては「5」、通信エラーについては「2」、トナーローについては「3」等である。ここで重み付けがなされていた場合に限り(S203、Yes)、障害発生検知部11はその障害発生履歴を履歴保存部12へ登録すると共に発生頻度算出部13による障害発生頻度の計算処理を起動する(S204)。
【0014】
発生頻度算出部13は、履歴保存部12に保存された障害履歴に基づき印刷枚数あたりの障害発生件数の割合を算出する(S205)。また、計時が可能であれば駆動時間あたりの障害発生件数を算出してもよい。
【0015】
続いて障害率算出部14による障害率算出処理が起動される。ここでは、障害率(α)は、発生頻度算出部13により算出された障害発生頻度に重み係数を掛け合わせることにより計算される(S206)。そして、比較部15にて、計算された障害率(α)と閾値(β)との比較演算がなされ(S207)、障害率があらかじめ設定された閾値を越えた場合(α>β)、登録済みのサービスセンターもしくはユーザに対し、障害レポートが通知される。ここで通知は、障害発生通知送信部16により実行され、例えば、メール等、メッセージ送信のための手段が考えられる。その際には、障害発生の履歴についても添付することが考えられる。
【0016】
一方、閾値に満たない場合(α<β)は、障害発生通知送信部16による通知は実行されない。また、一旦、外部へ通知がなされれば、障害発生通知管理部17により、図示せぬ記憶装置の適当な領域に割当てられた管理フラグをON設定して(S208)、以降、同種の障害が発生しても障害発生通知送信部16による通知を禁止することができる。サービスマン、あるいはユーザによる回復処理後、手動で管理フラグがリセットされることで解除され(S209、Yes)、障害発生通知送信部16による外部への障害発生通知が有効となる。
【0017】
以上説明のように本発明は、障害の種類毎に重み付けを行い、その重み係数と発生頻度とを掛け合わせることによって障害率を計算し、その障害率があらかじめ設定された閾値を超えた場合にのみサービスセンターやユーザ等外部に障害発生を通知するものであり、このことにより、無駄なメンテナンスや修理を不要とし、サービスマンやユーザにかかる負担を軽減するとともに、管理コストの低減をはかるものである。
【0018】
なお、上記した実施形態によれば、画像形成装置としてプリンタのみ例示したが、他に、複写機、あるいはスキャナ等との複合機なおいても同様に応用が可能である。
また、上述した実施形態のみならず、障害を検出し、この障害について障害発生通知を行う電気機器であれば、本発明を適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0020】
11…障害発生検知部
12…履歴保存部
13…発生頻度算出部
14…障害率算出部
15…比較部
16…障害発生通知送信部(障害発生通知部)
17…障害発生通知管理部
18…重み係数DB
19…閾値DB


【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害発生時に外部へ通知を行う電気機器であって、
前記障害の種類毎に付与される重み係数に対し、前記発生した障害の発生頻度を掛け合わせて障害率を算出する障害率算出部と、
前記障害率があらかじめ設定された閾値を越えた場合にのみ外部へ障害発生を通知する障害発生通知部と、
を具備することを特徴とする電気機器。
【請求項2】
障害発生毎にその履歴を保持し、以降発生する同種の障害につき、障害発生通知が解除されるまで前記障害発生通知部による障害発生通知を禁止する障害発生通知管理部と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の電気機器。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−7516(P2006−7516A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186181(P2004−186181)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】