説明

電気機械装置、移動体、及びロボット

【課題】軽量な電気機械装置を実現する。
【解決手段】ステーターとローターとを備える電気機械装置であって、
前記ステーターは、ケーシング122と、前記ケーシング122に固定された中心軸16と、を備えており、前記ローター121は、前記ケーシング122に軸受け112を介して連結されており、前記中心軸16は、鋼板材をパイプ形状に丸めて形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モーターや発電機などの電気機械装置の軸の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モーターは、永久磁石と電磁コイルとの間のローレンツ力により、駆動力を発生させている(例えば特許文献1)。電動モーターの出力は、ローターに接続された軸に伝達されて負荷に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−159847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、軸に、トルクが掛かるので、このトルクに対する捻れ強度を大きくするために、軸を無垢の鋼材で形成していた。そのため、大きなトルクが掛かる電動モーターでは、無垢の鋼材で形成された重い軸を有しており、電動モーターの軽量化は困難であった。この問題点は、電動モーターや発電機などの電気機械装置に共通する問題であった。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、軽量な電気機械装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
ステーターとローターとを備える電気機械装置であって、前記ステーターは、ケーシングと、前記ケーシングに固定された中心軸と、を備えており、前記ローターは、前記ケーシングに軸受けを介して連結されており、前記中心軸は、鋼板材をパイプ形状に丸めて形成されていることを特徴とする、電気機械装置。
この適用例によれば、中心軸には負荷が接続されないので、軸には捻れ強度が求められない。したがって、軸を、鋼板材をパイプ形状に丸めて形成することにより、電気機械装置の軽量化が可能となる。
【0008】
[適用例2]
適用例1に記載の電気機械装置において、前記鋼板材は、前記鋼板材の対抗する辺に、前記鋼板材をパイプ形状に丸めたときに前記対抗する辺を勘合させるための凹凸を有する、電気機械装置。
この適用例によれば、鋼板材の勘合の強度を高めることが出来る。
【0009】
[適用例3]
適用例2に記載の電気機械装置において、パイプ形状に丸められた鋼板材が板状に広がらないようにするための加圧治具を備える、電気機械装置。
この適用例によれば、加圧治具により、軸が広がって元の鋼板材に戻ろうとすることを抑制できる。
【0010】
[適用例4]
適用例2または3に記載の電気機械装置において、前記対抗する辺同士のつなぎ目の少なくとも一部は、溶接されている、電気機械装置。
この適用例によれば、対抗する辺同士のつなぎ目の少なくとも一部を溶接することにより、軸が広がって元の鋼板材に戻ろうとすることを抑制できる。
【0011】
[適用例5]
適用例2〜4のいずれか一つに記載の電気機械装置において、前記凹凸の凸の先端は、前記凸の根元よりも広がっている、電気機械装置。
この適用例によれば、凹凸の凸の先端は、前記凸の根元よりも広がっている形状を採用することにより、勘合の強さを高めることができる。
【0012】
[適用例6]
適用例2〜5のいずれか一つに記載の電気機械装置において、前記凸部と前記凹部は、前記対抗する辺の全域に設けられている、電気機械装置。
この適用例によれな、凹凸が対抗する辺の全域に設けられているので、勘合の強さを高めることができる。
【0013】
[適用例7]
適用例1〜6のいずれか一つに記載の電気機械装置を備える移動体。
【0014】
[適用例8]
適用例1〜6のいずれか一つに記載の電気機械装置を備えるロボット。
【0015】
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気機械装置の他、電気機械装置の軸、軸の製造方法等様々な形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】動力発生装置100の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】中心軸16を形成する前の金属板示す説明図である。
【図3】中心軸16を構成する金属板の別の構成例を示す説明図である。
【図4】中心軸16を構成する金属板の別の構成例を示す説明図である。
【図5】中心軸16に固定スペーサーを備える例である。
【図6】第2の実施例を示す説明図である。
【図7】第2の実施例における中心軸16の製造工程の一部を示す説明図である。
【図8】第2の実施例における中心軸16の製造工程の一部を示す説明図である。
【図9】第2の実施例における中心軸16の製造工程の一部を示す説明図である。
【図10】中心軸16の補強例を示す説明図である。
【図11】軸の別の補強例を示す説明図である。
【図12A】中心軸16を形成するための金属板65を示す説明図である。
【図12B】金属板65をプレス加工した状態を示す説明図である。
【図13A】金属板60の加工工程図である。
【図13B】金属板60の加工工程図である。
【図13C】金属板60の加工工程図である。
【図14A】金属板60の加工工程図である。
【図14B】金属板60の加工工程図である。
【図14C】金属板60の加工工程図である。
【図15A】中心軸16を示す説明図である。
【図15B】繋ぎ目80近傍の断面を拡大して示す説明図である。
【図16A】折曲部85を拡大して示す説明図である。
【図16B】折曲部85の断面を拡大して示す説明図である。
【図17A】中心軸16への樹脂膜の各形成工程における軸の状態を示す説明図である。
【図17B】中心軸16への樹脂膜の各形成工程における軸の状態を示す説明図である。
【図17C】中心軸16への樹脂膜の各形成工程における軸の状態を示す説明図である。
【図18】塗装ブースを示す説明図である。
【図19】継ぎ目80を拡大して示す説明図である。
【図20A】中心軸16の端部を示す説明図である。
【図20B】中心軸16の端部を示す説明図である。
【図21A】中心軸16の端部の別の例を示す説明図である。
【図21B】中心軸16の端部の別の例を示す説明図である。
【図22A】中心軸16の端部の別の構成例である。
【図22B】中心軸16の端部の別の構成例である。
【図23A】中心軸16の端部の別の構成例である。
【図23B】中心軸16の端部の別の構成例である。
【図24A】金属板60の端部の加工例を示す説明図である。
【図24B】金属板60の端部の加工例を示す説明図である。
【図24C】金属板60の端部の加工例を示す説明図である。
【図25】本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。
【図26】本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。
【図27】本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施例]
図1は、動力発生装置100の内部構成を示す概略断面図であり、なお、図1には、動力発生装置100に接続される負荷(図示せず)の回転軸21が破線で図示されている。動力発生装置100は、中心軸16と、モーター部120と、回転機構部130とを備える。
【0018】
モーター部120と回転機構部130とは、後述するように、互いに勘合して一体化するように配置され、中心軸16は、一体化されたモーター部120と回転機構部130の中央を貫通するように配置される。中心軸16は、軸方向に延びる貫通孔160を有しており、貫通孔160には、導電線束25が挿通されている。
【0019】
モーター部120は、ローター121と、ケーシング122とを備える。モーター部120は、以下に説明するように、ラジアルギャップ型の構成を有している。ローター121の本体部は略円盤形状を有しており、その本体部の側壁の外周面には、永久磁石123が円筒形に配列されている。永久磁石123の磁束の方向は、放射方向である。なお、永久磁石123の裏側の面(ローター121の側壁側の面)には、磁力効率を向上させるための磁石バックヨーク125が配置されている。
【0020】
ローター121は、その中央に中心軸16を挿通させるための貫通孔1211を有している。なお、貫通孔1211の内壁面と、中心軸16の外周面との間には、2つの軸受け112が配置されている。軸受け112は、例えば、ボールベアリングによって構成されており、ローター121を中心軸16に対して滑らかに回転可能にさせる。2つの軸受け112の間には、固定スペーサー165が配置されている。
【0021】
ローター121の回転機構部130と対向する側の面には、貫通孔1211を中心とする略円環状の溝として形成された凹部1212が設けられている。貫通孔1211と凹部1212とを隔てる略円筒状の隔壁1213の外側の壁面には、ギア歯121tが形成されている。以後、このローター121の中央に設けられたギア歯121tを有する隔壁1213を「ローターギア1213」と呼ぶ。後述するように、本実施例におけるローターギア1213は、遊星ギアのサンギアとして機能する。
【0022】
ケーシング122は、回転機構部130と対向する側の面が開放された略円筒形状の中空容体であり、ローター121を収容する。ケーシング122は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;carbon fiber reinforced plastics)などの樹脂材料によって構成されるものとしても良い。これによって、動力発生装置100の軽量化が可能である。
【0023】
ケーシング122の底面の中央には、中心軸16を挿通するための貫通孔1221が形成されている。中心軸16とケーシング122とは互いに固定的に取り付けられる。なお、ケーシング122の外側には、中心軸16の保持性を向上させるための軸受けリング113がネジにより取り付けられている。
【0024】
ケーシング122の内周面には、電磁コイル124が、ローター121の永久磁石123と間隔を有しつつ対向するように円筒形に配列されている。即ち、モーター部120では、電磁コイル124がステーターとして機能し、ローター121に対し中心軸16を中心として中心軸16の周りを回転させる。なお、電磁コイル124とケーシング122との間には、磁力効率を向上させるためのコイルバックヨーク128が配置されている。中心軸16から永久磁石123を放射方向に投射したときに、投射領域にコイルバックヨークが形成されている。
【0025】
ケーシング122の底面には、永久磁石123の位置を検出する位置検出部126と、ローター121の回転を制御するための回転制御回路127が設けられている。位置検出部126は、例えば、ホール素子によって構成され、永久磁石123の周回軌道の位置に対応するように配置されている。位置検出部126は、回転制御回路127と信号線を介して接続されている。
【0026】
回転制御回路127には、導電線束25から分岐した導電線がコネクタ1271を介して接続されている。また、回転制御回路127は、電磁コイル124と電気的に接続されている。回転制御回路127上には、位置検出部126が配置されている。位置検出部126は、例えばホール素子を用いた磁気センサーを有しており、永久磁石123の磁束密度を電気角2π周期で検出し検出信号として出力する。回転制御回路127は、位置検出部126が出力する検出信号を動力発生装置100の駆動を制御する制御部(図示せず)に送信する。また、回転制御回路127は、制御部からの制御信号に従って、電磁コイル124に電力を供給して磁界を発生させ、ローター121を回転させる。
【0027】
回転機構部130は、ローター121のローターギア1213とともに遊星ギアを構成し、減速機として機能する。回転機構部130は、ギア固定部131と、3個のプラネタリーギア132と、負荷接続部133とを備える。なお、図3では便宜上、2個のプラネタリーギア132のみを図示してある。
【0028】
ギア固定部131は、内壁面にギア歯131tが設けられた略円環状のギアであるアウターギア1311と、アウターギア1311の外周に突出した鍔部1312とを有している。ギア固定部131は、鍔部1312と、モーター部120のケーシング122の側壁端面とを固定用ボルト114によって締結することにより、モーター部120に固定的に取り付けられる。
【0029】
ギア固定部131のアウターギア1311は、ローター121の凹部1212に収容される。また、アウターギア1311の内周面と、ローターギア1213の外周面との間には、3個のプラネタリーギア132が、ローターギア1213の外周に沿って、ほぼ等間隔で配置される。なお、プラネタリーギア132のギア歯132tと、アウターギア1311のギア歯131tおよびローターギア1213のギア歯121tとが互いに噛み合うことにより、これら3種のギア1213,132,1311は連結される。
【0030】
負荷接続部133は、プラネタリーキャリアとして機能する略円筒形状の部材である。負荷接続部133の底面の中央には、中心軸16を挿通する貫通孔1331が設けられている。貫通孔1331の内壁面と、中心軸16の外周面との間には、負荷接続部133が中心軸16を中心に回転可能とするための軸受け112が配置されている。すなわち、本実施例では、中心軸16は負荷接続部133と直接繋がっていない。すなわち、中心軸16には負荷が掛からない構成となっている。なお、負荷接続部133に取り付けられた軸受け112と、ローター121に取り付けられた軸受け112との間には、スペーサー115が配置される。
【0031】
ここで、ギア固定部131の中央部には、アウターギア1311の内周空間に連通する略円形形状の開口部1313が形成されており、負荷接続部133は、その開口部1313に配置される。負荷接続部133のモーター部120側(図3の紙面右側)の底面には、ローター121の凹部1212に収容されたプラネタリーギア132の回転軸132sを回転可能に保持するための軸孔1332が形成されている。
【0032】
中心軸16の端部にはネジ山が形成されており、負荷接続部133の外側(図3の紙面左側)の底面には、中心軸16の保持性を向上させるための軸受けリング113がネジにより取り付けられている。後述するように、本実施例では、中心軸16は金属板をパイプ形状に曲げて形成されている。この場合、軸受けリング113は、中心軸16が、パイプ形状から元の金属板の形状に戻らないようにパイプ形状を保持する役割も有している。負荷接続部133の外側の底面には、さらに、負荷の回転軸21が、固定用ボルト114によって固定されている。
【0033】
図2は、中心軸16を形成する前の金属板示す説明図である。金属板60は、略長方形形状を有している。金属板60の一方の長辺には凸部601が形成され、対となる他方の長辺には凹部602が形成されている。対となる長辺同士が重なるように金属板60を略円筒形(パイプ状)の形状に丸めると、凸部601と凹部602とが勘合し、中心軸16を形成する。中心軸16の中空側は、軸方向に延びる貫通孔160となっており、中心軸16を動力発生装置100に組み込んだときに、貫通孔160には、導電線束25が挿通される。このような長辺に凹凸を有する金属板60は、プレスにより容易に形成することができる。
【0034】
図3は、中心軸16を構成する金属板の別の構成例を示す説明図である。この実施例では、金属板60の長辺に形成された凸部601は、先端側が広く、根元側が狭く形成されている。一方、他方の長辺の凹部602は、底側が広く、底と反対側が狭くなるように形成されている。このように、凸部601を、先端側が広く、根元側が狭くなるように形成し、凹部602を、底側が広く、底と反対側が狭くなるように形成してもよい。こうすると、凸部601と凹部602の接触長さが長くなるので、勘合が外れにくくなる。さらに、凸部601の先端側を幅広とし、凹部602の底を幅広としているので、中心軸16がパイプ形状から平板である金属板60に戻ろうとするときに、凸部601の先端部が凹部602の側面に引っかかる。その結果、勘合が外れにくくなり、勘合の強度を強くすることができる。また、この実施例では、凸部601、凹部602は、長辺の全部にわたり形成されている。このような形状では、2つの凸部601の間に凹部602が形成されていると考えることもできる。すなわち、金属板60の対抗する各辺は、金属板60をパイプ形状に丸めたときに対抗する辺を勘合させるための凹凸を有していると言える。このとき、凸部601の大きさ、形状は、その凸部601の隣の凹部602の大きさ、形状と同じであることが好ましい。すなわち、凸部601の先端部の幅と凹部602の底の幅が同じ幅L1であり、凸部601の根元の幅と凹部602の底と反対側の幅が同じ幅L2(L2<L1)であることが好ましい。
【0035】
図4は、中心軸16を構成する金属板の別の構成例を示す説明図である。図4(A)は平面図であり、図4(B)は図4(A)の4B−4B切断線で切ったときの断面を示し、図4(C)は図4(A)の4C−4C切断線で切ったときの断面を示し、図4(D)、(E)は、図4(A)に示す金属板をパイプ状に丸めたときの断面を示す説明図である。この構成例では、金属板60は、長辺に、金属板60の厚さよりも薄い薄厚部603と、薄厚部603の反対側の面に形成される切り欠き604とを有する。ここで、薄厚部603と、切り欠き604とは、図4(C)に示すように、長辺にそって、千鳥状に交互に形成されている。この金属板60を略円筒形(パイプ形)の形状に丸めると、図4(D)に示すように、薄厚部603と切り欠き604とが勘合し、中心軸16の形状が形成される。図4(E)は、2枚の金属板60を勘合させたものである。このように、1枚の金属板60を円形に丸める他、金属板60を半円径に丸め、2枚の丸めた金属板60を勘合させてもよい。勘合させる金属板60の枚数は2枚以上であってもよい。1枚の金属板60をパイプ形状に丸めるためには、360°曲げる必要があるため、複数回のプレスが必要となるが、勘合させる金属板60の枚数が2枚以上の場合、金属板60を最大でも180°曲げればよく、180°以上大きく曲げなくてもよいので、1回のプレスにより、金属板60を容易に丸めることが出来る。
【0036】
図5は、中心軸16に固定スペーサーを備える例である。中心軸16は、図2〜4のいずれかに示された金属板60を用いてパイプ状に丸めることにより形成されている。一般に金属は、復元力を有しているため、凸部601と凹部602との勘合、あるいは、薄厚部603と、切り欠き604との勘合だけでは、もとの金属板60の状態に戻ろうとする場合がある。この実施例では、中心軸16に円周に沿って配置される固定スペーサー165を備えている。固定スペーサー165は、リング形状を有しており、固定スペーサー165のリングの内部に中心軸16を嵌めこむことにより、中心軸16がもとの金属板60の状態に戻ろうとするのを抑制する。図5の示す例では、固定スペーサー165は、中心軸16の軸方向のほぼ中央に1つ設けられているが、固定スペーサー165の数や配置位置について、様々な数や位置を採用することができる。また、図1に示した軸受け112、軸受けリング113、スペーサー115は、固定スペーサー165と同様に、中心軸16がもとの金属板60の状態に戻ろうとするのを抑制する機能も有している。
【0037】
以上、第1の実施例によれば、中心軸16と負荷接続部133とは異なる部材であり、中心軸16には、負荷あるいはトルクが掛からない。したがって、中心軸16に捻れ強度は求められない。したがって、中心軸16を、金属板60をパイプ状に丸めることにより形成してもよい。すなわち、重い無垢の軸を用いなくても良いので、動力発生装置100を軽量化することができる。また、金属板60をプレスにより形成し、金属板60を丸めることにより中心軸16を製造することが出来る。この中心軸16の製造は、無垢の軸を製造するよりも容易である。
【0038】
なお、第1の実施例では、ローター121から回転機構部130(遊星ギア機構)を介して負荷接続部133に動力を伝達しているが、ローター121から直接負荷接続部133に動力を伝達する構成であってもよい。また、本実施例では、回転機構部130として遊星ギア機構を採用しているが、ハーモニックドライブ機構や、サイクロ機構を採用してもよい。
【0039】
[第2の実施例]
図6は、第2の実施例を示す説明図である。図6(A)は、電動モーター10を中心軸16に平行な面で切った断面であり、図6(B)は、電動モーター10を中心軸16に垂直な面で切った断面である。第1の実施例では、中心軸16は、ステーターの一部を形成しており、中心軸16にはトルクが掛からない構成であったが、第2の実施例では、中心軸16がローターの一部となっており、中心軸16にはトルクが掛かる構成である。しかし、中心軸16にトルクが掛かっても、トルクの大きさが小さければ、第1の実施例と同様に、金属板65をパイプ状に丸めることにより形成された中心軸16を用いることが可能である。
【0040】
電動モーター10は、略円筒状のステーターであるケーシング122が外側に配置され、略円筒状のローター121が内側に配置されたラジアルギャップ構造のインナーローター型モーターである。ケーシング122は、ケーシング122の内周に沿って配列された複数の電磁コイル124A、124Bを有している。電磁コイル124A、124Bは、コアレス(空心)である。なお、電磁コイル124A、124Bを合わせて電磁コイル124とも呼ぶ。ケーシング122には、さらに、ローター121の位相を検出する位置センサーとしての位置検出部126が、配置されている。なお、位置検出部126は、電磁コイル124A,124Bの各相に対応して1つずつ配置されているが、図6(A)では、位置検出部126を1つのみ記載し、もう1つの磁気センサーは記載を省略している。位置検出部126は、回転制御回路127の上に固定されており、回転制御回路127は、ケーシング122に固定されている。また、回転制御回路127は、コネクタ1271により外部の制御回路と接続されている。
【0041】
ローター121は、中心に中心軸16を有し、外周に6つの永久磁石123を有している。各永久磁石123は、中心軸16の中心から外部に向かう径方向(放射方向)に沿って磁化されている。また、永久磁石123と電磁コイル124とは、ローター121とステーターであるケーシング122の対向する円筒面に対向して配置されている。
【0042】
中心軸16は、ケーシング122の軸受け112で支持されている。本実施例では、ケーシング122の内側に、コイルバネ260を備えている。このコイルバネ260は、永久磁石123を図の左方向に押すことによって、永久磁石123の位置決めを行っている。但し、コイルバネ260は省略可能である。
【0043】
ケーシング122は、略円筒形形状を有しており、円筒部分にコイルバックヨーク128を備える。コイルバックヨーク128は、永久磁石123から電磁コイル124へ向かう方向に永久磁石123を投射したときのケーシング122を投射する領域である。なおこの永久磁石123の投射領域には、電磁コイル124のコイルエンドが掛からないように構成されていることが好ましい。コイルバックヨーク128は、永久磁石123からの磁束を電磁コイル124に集中させる。なお、永久磁石123は、中心軸16との間に磁石バックヨーク125を有し、中心軸16方向の両側に、磁石サイドヨーク129を備える。磁石バックヨーク125は、コイルバックヨーク128と同様に、永久磁石123の磁束を電磁コイル124に集中させるように機能する。磁石サイドヨーク129は、永久磁石123の磁束が中心軸16に沿った方向に漏れるのを抑制する。
【0044】
図7〜9は、第2の実施例における中心軸16の製造工程の一部を示す説明図である。図7に示す工程では、中心軸16の表面に高摩擦層50を形成する。高摩擦層50は、中心軸16の表面の摩擦を大きくする。高摩擦層50として、例えばサンドブラスターによる高摩擦層を用いることが出来る。中心軸16の表面の摩擦を大きくすることにより、次工程で磁石バックヨーク125、永久磁石123、磁石サイドヨーク129を形成するための成形材の固着強度を高めることができる。
【0045】
図8に示す工程では、高摩擦層50の上に、成形材237を用いて、磁石バックヨーク125、永久磁石123、磁石サイドヨーク129を取り付けてローター121を形成する。成形材として、シリコン系の樹脂を用いることが出来る。また、成形材として、マグネシウムやアルミ系の合金を用いることが出来る。
【0046】
図9に示す工程では、バランス部材238を取り付けることにより、ローター121の回転バランスを調製する。バランス部材238を取り付ける他、成形材237を削るなどしてローター121の回転バランスをとっても良い。
【0047】
図10は、中心軸16の補強例を示す説明図である。第2の実施例では、第1の実施例と異なり、中心軸16に多少のトルクが掛かる。したがって、捻れ強度を高めるために、補強をすることが好ましい。図10に示す補強例では、中心軸16に加圧治具250を備える。加圧治具250は、円筒形形状を有しており、半径方向の断面251を有している。断面251と直角に交わるようにネジ穴252が形成されており、このネジ穴252にネジ253を差し込んで締めることにより、中心軸16が広がり、元の金属板60(図2等)に戻らないように加圧する。
【0048】
図11は、軸の別の補強例を示す説明図である。この例では、中心軸16の端部において、金属板60(図2等)接合部を溶接し、溶接部255を形成している。このように、溶接することにより、中心軸16が広がり、元の金属板60に戻ることを抑制してもよい。なお、図10に示した加圧治具250による補強及び溶接部255による中心軸16の補強は、第1の実施例にも適用することができる。
【0049】
[軸の製造方法の具体例]
以下では、中心軸16についての詳細な説明として、その製造方法について説明する。図12Aは、中心軸16を形成するための金属板65を示す説明図である。図12Bは、金属板65をプレス加工した状態を示す説明図である。中心軸16を製造するには、まず、図12Aに示すように矩形板状または帯状の大型金属板(第1金属板)65を用意する。この大型金属板65としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。続いて、この大型金属板65をプレス加工することで切断処理し、図12Bに示すように中心軸16(例えば図1)に対応する大きさの細長い略矩形板状の金属板(第2金属板)60、すなわち中心軸16の基材となる金属板60を形成する。
【0050】
ただし、この大型金属板65をプレス加工するに際しては、前記の切断処理と同時に、前述した一対の端部間に形成される繋ぎ目において折曲部を形成するべく、対向する一対の長辺となる端部61a、61bの、長さ方向における両端部に、矩形波状の凹凸部110を形成する。また、各長辺(端部)においては、その両端部に形成した凹凸部110間に、直線部111を形成する。
なお、これら一対の長辺(端部61a、61b)は、プレス加工によって近接させられ、あるいは当接させられるため、当然ながら互いに対応する(対向する)箇所間では、一方の長辺の凹凸部110が凸部となる場合に、他方の長辺の凹凸部110では凹部となるように形成する。また、逆に一方の長辺の凹凸部110が凹部となる場合に、他方の長辺の凹凸部110では凸部となるように形成する。
また、このような金属板60の形成に際しては、一対の長辺(端部61a、61b)をプレス加工によって近接させた際、その間に形成される繋ぎ目においてこれに形成される隙間、すなわち互いに対向する端部(端面)間の距離が、各部位間において後述するような関係になるように寸法等を設計しておき、これに基づいてプレス加工を行う。
【0051】
図13A〜13C、図14A〜図14Cは、金属板60の加工工程図である。次いで、金属板60を図13A〜13C、図14A〜14Cのプレス加工工程図に示すように円筒状(パイプ状)にプレス加工し、その両側(長辺側)の端部61a、61bを近接させ、あるいは当接させる。
すなわち、まず、図13Aに示す雄型101と雌型102とで金属板60をプレス加工し、金属板60の両側部62a、62bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。なお、図13Aにおいては、各部材を分かりやすくするため、金属板60と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板60と雄型101と雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図13B、13C、図14A〜14Cにおいても同様である。
【0052】
続いて、図13Aで得られた金属板60の幅方向(曲げ方向)における中央部を、図13Bに示す雄型103と雌型104とでプレス加工し、円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。
次いで、図13Cに示すように、図13Bで得られた金属板60の内部に芯型105を配置し、図13Cに示す上型106と下型107とを用いて、図14A〜14Cに示すようにして金属板60の両側部62a、62bの各端面(端部)61a、61bを近接させる。
【0053】
ここで、図13Cおよび図14A〜14Cに示す芯型105の外径は、形成する円筒状の中空パイプの内径と等しくしてある。また、上型106のプレス面106cの半径と下型107のプレス面107aの半径は、それぞれ、形成する中空パイプの外径の半径と等しくしてある。また、図14A〜14Cに示すように上型106は左右一対の割型であり、これら割型106a、106bは、それぞれ独立して昇降可能に構成されている。
【0054】
すなわち、図13Cに示す状態から、図14Aに示すように右側の上型106aを下型107に対して相対的に下降させ(以下、同様に型の移動は相対的移動を意味する)、金属板60の一方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。なお、下型107も上型106と同様左右一対の割型とし(割面107b参照)、この図14Aに示す工程の際に、同じ側の下型を上昇させてもよい。
次いで、図14Bに示すように、芯型106を少し(一方の側の端部61aと他方の側の端部61bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の上型106bを下降させ、金属板60の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
【0055】
その後、図14Cに示すように、芯型105および一対の上型106a、106bをともに下降させ、円筒状の中空パイプを形成する。この状態で左右両側の端部61a、61bは、僅かな隙間を介して十分に近接し、あるいは部分的に当接した状態となる。すなわち、この円筒状の中空パイプにあっては、基材である金属板60の両端部61a、61bが互いに近接しあるいは当接したことにより、これら両端部61a、61b間に繋ぎ目が形成されている。したがって、この繋ぎ目には、通常は両端部61a、61bが僅かながら離間していることで隙間を有したものとなる。
【0056】
図15Aは、中心軸16を示す説明図である。本実施形態では、形成した中空パイプの真円度を高め、振れを少なくするべく、従来公知のセンターレス研磨加工を行い、前記中空パイプの外周面を研磨する。
すると、この中空パイプは、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さい中心軸16を形成する。また、この中心軸16にあっては、前記の両端部61a、61b間がより狭まることで、図15Aに示すようにこれら両端部61a、61b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目80が形成される。
【0057】
なお、前記のプレス加工やセンターレス研磨加工では、金属板60の両端部61a、61b間の隙間が無くなるように、すなわち、両端部61a、61bが互いに当接するようにするのが好ましい。しかしながら、得られる中空パイプ(中心軸16)の真円度や振れ量を良好にしつつ、この隙間を完全に無くすのは非常に困難であり、したがって、現状ではある程度の隙間が形成されるようになる。
【0058】
このようにして形成される繋ぎ目80には、図12Bに示した凹凸部110が嵌合したことにより、図15Aに示したように中心軸16の両端部に矩形波状の折曲部85が形成されている。また、これら折曲部85間には、図12Bに示した直線部111が近接していることにより、中央直線部86が形成されている。この中央直線部86は、後述する高摩擦層と対応する領域、すなわち、少なくとも高摩擦層を形成する領域を含んで形成されている。
【0059】
図15Bは、繋ぎ目80近傍の断面を拡大して示す説明図である。この繋ぎ目80は、前記金属板60の外周面と内周面とが同じ寸法(幅)であることにより、例えば中央直線部86では、図15Bに示すように一対の端部(端面)61a、61b間の距離が、中心軸16の外周面側で相対的に広く、内周面側で相対的に狭くなっている。すなわち、これら一対の端部61a、61b間の、中心軸16の外周面側での距離d1は、内周面側での距離d2に比べて大になっている。具体的には、本実施形態では外周面側での距離d1は30μmとなり、内周面側での距離d2は10μmとなっている。
【0060】
図16Aは折曲部85を拡大して示す説明図である。図16Bは、折曲部85の断面を拡大して示す説明図である。前記の折曲部85は、図16Aに示すように中心軸16の中心軸16aと略平行な直線部(連結直線部)85aと、これに直交し、したがって中心軸16aに略直交する直線部(交差部)85bとからなっている。すなわち、繋ぎ目80において前記折曲部85を形成した両端部は、前記直線部85bからなる複数の交差部87aと、該交差部87aの一方の側の端部間を結ぶ第1直線部87b(連結直線部85a)と、他方の側の端部間を結ぶ第2直線部87c(連結直線部85a)とからなるように形成されている。ここで、第1直線部87bは、前記中央直線部86と同一直線上に形成されており、また、この第1直線部87bは、第2直線部87cより長く形成されている。
【0061】
そして、本実施形態では、この折曲部85において、一対の交差部87a、87aと第2直線部87cとによって形成される凸片87dの先端部となる第2直線部87c側の、互いに対向する一対の端部間の距離d7を、前記中央直線部86において互いに対向する一対の端部間の距離d6より長く形成している。また、この第2直線部87cにおける端部間の距離d7については、第1直線部87bにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d8よりも長く形成している。ここで、第1直線部87bにおける端部間の距離d8については、前記中央直線部86における端部間の距離d6と同じかこれより長く形成するのが好ましい。なお、前記した一対の端部間の距離d6、d7、d8は、いずれも中心軸16における外周面に形成される隙間における端部間の距離とする。
【0062】
具体的には、本実施形態では中央直線部86における距離d6が前述したように30μmであるのに対し、第2直線部87cにおける距離d7は、30μmより長く、例えば40μm以上に形成されている。
このように距離d7を距離d6より長く形成しているので、このローラー本体(円筒軸)16にあっては、円筒状中空パイプとしての形状や寸法についての精度がより高くなっている。
【0063】
すなわち、このような中心軸16を形成するための基材となる金属板60では、前記第2直線部87cを構成する一方の端部は、隣り合う一対の交差部87a、87aとこれらの端部間を結ぶ第2直線部87cとを外形とする凸片87dとなる。したがって、金属板60をプレス加工してこの凸片87dを対向する端部に近接させようとした際、図16B中に二点鎖線で示すように、この凸片87dの先端側が円周面状に十分に曲げられずに、対向する端部に対して寸法t1分浮いた状態になり、結果としてこの第2直線部87cおいて段差を形成してしまう。すると、この段差に起因して、得られる中心軸16には変形等が生じ易くなり、形状や寸法について良好な精度が得られにくくなってしまう。
【0064】
そこで、この第2直線部87cにおける端部間の距離d7を、この第2直線部87cより長く形成されている中央直線部86における端部間の距離d6よりも長くすることにより、図16B中に実線で示すように、凸片87dの先端側が浮く分の寸法t2が前記のt1に比べて少なく(小さく)なり、これによって第2直線部87cにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。なお、図16Bでは、理解を容易にするため寸法t2も大きく記しているが、実際にはこの寸法t2はほとんど零に近くなり、実質的な段差がなくなるようになる。つまり、このように第2直線部87cにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因する中心軸16の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができるのである。
【0065】
また、第1直線部87bにおける端部間の距離d8を、前記中央直線部86における端部間の距離d6と同じに形成した場合、金属板60の、第1直線部87bを構成する両側端と中央直線部86を構成する両側端とを、それぞれ同じラインに合わせることができ、したがって金属板60のプレス加工を容易にすることができる。よって、このように構成することにより、得られる中心軸16の形状や寸法についての精度をより良好にし、変形等を抑えることができる。
【0066】
一方、第1直線部87bにおける端部間の距離d8を、前記中央直線部86における端部間の距離d6より長く形成した場合には、図16Bで説明した場合と同様に、この第1直線部87b側を先端部とする凸片87eの先端側が浮く分の寸法を少なく(小さく)し、これによって第1直線部87bにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。
【0067】
このようにして本発明に係る円筒軸となる中心軸16を形成したら、図7に示したようにこの中心軸16の表面に高摩擦層50を形成する。
この高摩擦層50の形成方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。
具体的には、まず、高摩擦層50の形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
【0068】
また、無機粒子としては、酸化アルミニウム(アルミナ;Al2O3)や炭化珪素(SiC)、二酸化珪素(SiO2)等のセラミックス粒子が好適に用いられる。中でもアルミナは、比較的硬度が高く摩擦抵抗を高める機能が良好に発揮され、また、比較的安価であってコストダウンを妨げることもないため、より好適に用いられる。したがって、本実施形態では無機粒子としてアルミナ粒子を用いるものとする。このアルミナ粒子としては、破砕処理によって所定の粒径分布に調整されたものが用いられる。破砕処理によって製造されることにより、このアルミナ粒子は端部が比較的鋭く尖ったものとなり、この鋭く尖った端部によって高い摩擦力を発揮するようになる。
【0069】
また、このアルミナ粒子としては、本実施形態では粒径が15μm以上90μm以下の範囲とされ、かつ、中心径となる加重平均の粒径(平均粒径)が、45μmとなるように調整されたものが用いられている。すなわち、本発明では、アルミナ粒子(無機粒子)としてその平均粒径(中心径)が、前記の繋ぎ目80の外周面側での距離d1(30μm)より大となるものが用いられる。また、特にその粒径分布(粒度範囲)については、前記繋ぎ目80の外周面側での距離d1より小となり、かつ、内周面側での距離d2(10μm)より大となる粒子を含んでいるのが好ましく、さらに、その粒径分布における最小粒径が、前記繋ぎ目80における前記一対の端部61a、61b間の最短距離、つまり内周面側での距離d2より大であるのが好ましい。
【0070】
このような樹脂粒子と無機粒子とを用意したら、まず、中心軸16に前記樹脂粒子を塗布する。すなわち、中心軸16を塗装ブース(図示せず)内に配置し、さらにこの中心軸16を単体の状態で例えば−(マイナス)電位にしておく。
そして、前記樹脂粒子を、静電塗装装置(図示せず)のトリボガンを用いて中心軸16に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子は中心軸16の外周面に吸着され、樹脂膜を形成する。
【0071】
図17A〜図17Cは、中心軸16への樹脂膜の各形成工程における軸の状態を示す説明図である。樹脂粒子の吹付による樹脂膜の形成は、図7に示した高摩擦層50の形成領域に対応させて、中心軸16の全長に亘って行うことなく、例えばその両端部をテープ等でマスキングしておくことにより、図17Aに示すようにこの両端部を除いた中央部のみに行う。すなわち、中心軸16の、回転作用領域(図7)である中央部に対応する領域にのみ、選択的に樹脂膜51を形成する。なお、図17A及び後述する図17B,17Cでは、繋ぎ目80については図示を省略している。
【0072】
樹脂膜51には、吹付塗装後に+0.5KV程度の微弱な静電気が残存する。なお、この吹付塗装に際しては、中心軸16を軸廻りに回転させることにより、その全周に亘って樹脂膜51をほぼ均一な厚さに形成する。この樹脂膜51の膜厚については、前記のアルミナ粒子の粉径を勘案して、例えば10μm〜30μm程度に形成する。このような膜厚については、前記樹脂粒子の噴出量及び噴出時間等によって適宜に調整することができる。
【0073】
図18は、塗装ブースを示す説明図である。次いで、この樹脂膜51を形成した中心軸16を前記塗装ブースから取り出し、ハンドリングロボット(図示せず)によって図18に示す別の塗装ブース90に移す。この塗装ブース90には、その下部に一対の回転駆動部材91、91が設けられており、これら回転駆動部材91、91には、中心軸16を略水平に支持するためのチャック92が設けられている。そして、中心軸16の両端部をチャック92、92に保持させて固定し、さらに回転駆動部材91によってチャック92、92を回転させる。これにより、中心軸16をその軸廻りに、例えば100rpm〜500rpm程度の低速でゆっくり回転駆動させる。なお、中心軸16については、若干斜めに支持してもよいのはもちろんである。
【0074】
また、塗装ブース90には、その上部にコロナガン93が配置されており、このコロナガン93は、シャフト94上を図18中左右方向に移動するようになっている。また、塗装ブース90の底部には排気機構194が設けられており、これによって塗装ブース90内には下方に向かうゆっくりとした気流が形成されるようになっている。なお、この排気機構194の吸引風量は適宜に設定されるようになっている。
【0075】
このような構成のもとに、中心軸16をその軸廻りに回転させつつ、コロナガン93から前記のアルミナ粒子95を噴霧し吹き付けることにより、中心軸16に形成した樹脂膜51上に、アルミナ粒子95を選択的に静電吸着させる。アルミナ粒子を前記樹脂膜51上に選択的に静電吸着させるには、樹脂膜51の形成と同様に、中心軸16の両端部をテープ等でマスキングしておくことで行う。
【0076】
この静電塗装時には、チャック92及び回転駆動部材91の表面電位が、中心軸16の電位とほぼ等しくなり、しかも塗装ブース90の内面電位が、電気的に中立で略零電位となるように設定する。コロナガン93からのアルミナ粒子95が、中心軸16以外の部位に吸着されないようにするためである。この塗装ブース90の内表面電位を電気的に中立に保持するためには、塗装ブース90を、内表面電気抵抗が例えば1011Ω程度の鋼板を用いて製造するのが望ましい。
【0077】
そして、コロナガン93にかける電位を零Vとし、さらにこのコロナガン93に供給するエアーの圧力を0.2Mpa程度に低く設定して、このコロナガン93を図10中の左右方向に移動させつつ、上方より略零電位のアルミナ粒子95を吹き出させ、アルミナ粒子95を自重で鉛直方向に自然落下させる。すると、前記したように中心軸16の樹脂膜51には、静電塗装によって形成されたことで微弱な静電気(約+0.5KV)が残存しているため、この静電気によってアルミナ粒子95が樹脂膜51の全周にほぼ均一に静電吸着する。このようにして静電吸着したアルミナ粒子95は、樹脂膜51表面に当接しさらに一部入り込んだ状態で、この樹脂膜51をバインダとして中心軸16の外周面に付着する。
【0078】
ここで、本実施形態では塗装ブース90の内面電位が電気的に中立で略零電位となっており、しかも塗装ブース90内の気流が下向きにゆっくりとした流れに形成されているので、アルミナ粒子95はその自重によって鉛直方向下方に自然落下する。落下方向の下方には、水平支持された中心軸16がその軸廻りにゆっくり回転しているので、この中心軸16の外周面には、アルミナ粒子95がほぼ均一に散布される。
【0079】
したがって、特にマスキングされていない樹脂膜51の表面にアルミナ粒子95が均一に付着し、これによって中心軸16には、図17Bに示すようにその中央部の樹脂膜51中に、アルミナ粒子(無機粒子)95が分散し露出する。すなわち、アルミナ粒子95は、静電吸着力によって樹脂膜51に当接した際、この樹脂膜51中に一部が入り込み、残部が樹脂膜51の表面から突き出た状態になる。その際、アルミナ粒子95は中心軸16の表面に対して垂直に立った状態になり易いため、アルミナ粒子95は均一に分布され、その殆どが鋭く尖った端部(頂部)を外側に向けて付着する。
【0080】
したがって、アルミナ粒子95は樹脂膜51の表面から突き出た端部により、高い摩擦力を発揮するようになる。ここで、アルミナ粒子95が用紙Pに対して必要かつ十分な摩擦力を発揮するには、樹脂膜51の面積に対して、アルミナ粒子95の占める面積が20%〜80%となるようにするのが好ましい。なお、このアルミナ粒子95の塗布(散布)については、アルミナ粒子95が鉛直方向下方にゆっくりと散布されるのであれば、静電塗装法による塗布に限定されるものではなく、例えばスプレーガンを用いた塗布(散布)法であってもよい。
【0081】
このようにしてアルミナ粒子95を樹脂膜51上に散布し付着させたら、この中心軸16を180℃〜300℃程度の温度で20分〜30分間程度加熱し、樹脂膜51を焼成し硬化させることにより、アルミナ粒子95を中心軸16に固着する。これにより、図17Cに示すように樹脂膜51中にアルミナ粒子(無機粒子)95が分散し露出してなる高摩擦層50が形成され、本発明に係る中心軸16が得られる。
なお、前記実施形態では、樹脂粒子の塗布(吹付)とアルミナ粒子(無機粒子)の塗布(吹付)とを別々の塗装ブースで実施したが、同一の塗装ブース内で行ってもよいのはもちろんである。
【0082】
図19は、継ぎ目80を拡大して示す説明図である。このようにして高摩擦層50を形成すると、特に図15A、15Bに示した繋ぎ目80には、金属板60の端部(端面)61a、61b間の隙間に起因する溝が形成されることなく、端部61a、61b間の隙間が主にアルミナ粒子95によって埋め込まれる。
すなわち、アルミナ粒子95としてその平均粒径が、繋ぎ目80の、外周面側での距離d1より大となるものを用いているので、アルミナ粒子95はその大半が繋ぎ目80内に入り込むことなく、図19に示すように中心軸16の外周面上に樹脂膜51を介して付着している。したがって、繋ぎ目80には金属板60の端部61a、61b間に隙間が形成されているにもかかわらず、アルミナ粒子95がこの隙間上を覆うことにより、この隙間に起因する溝が実質的に形成されなくなる。
【0083】
また、アルミナ粒子95として、前記繋ぎ目80の外周面側での距離d1より小となり、かつ、内周面側での距離d2(10μm)より大となる粒子95aを含む粒径分布(粒度範囲)のものを用いているので、このような粒子95aが前記繋ぎ目80に形成された隙間に入り込んでここに留まることにより、繋ぎ目80による溝が確実に形成されなくなる。また、使用時等において、中心軸16に前記隙間を狭める方向に力が働いても、ここに入り込んだアルミナ粒子95aがこの力に抗するため、中心軸16の変形が抑えられる。したがって、この中心軸16を備えた電動モーター10にあっては、中心軸16の変形に起因する軸ブレが防止される。
【0084】
このような中心軸16を構成するローラー本体(円筒軸)16にあっては、一対の端部61a、61b間に形成された繋ぎ目80が、図15Aに示したように直線状に形成された中央直線部86と、この中央直線部86の両側に形成された折曲部85とによって形成されているので、中央直線部86では凹凸による嵌合がなくなる。そのため、繋ぎ目80の全長に亘って凹凸による嵌合部を形成した場合に比べ、中心軸16に歪みや捩れ等が生じにくくなり、真円度や振れなど、形状や寸法について良好な精度が得られ易くなる。
【0085】
また、図16Aに示したように、折曲部85における第2直線部87cにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d7を、中央直線部86において互いに対向する一対の端部間の距離d6より長く形成しているので、この中心軸16にあっては、円筒状中空パイプとしての形状や寸法についての精度がより高くなっている。
【0086】
すなわち、図16B中に実線で示したように、第2直線部87cを形成する凸片87dの先端側が外側に浮く分の寸法t2を、図16B中に二点鎖線で示した寸法t1に比べて少なく(小さく)することができ、これによって第2直線部87cにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。そして、このように第2直線部87cにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因する中心軸16の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができる。
【0087】
また、折曲部85における連結直線部85aとなる第1直線部87b、第2直線部87cを、中心軸16の中心軸16aに略平行に形成しているので、これら連結直線部85aが中央直線部86と略平行になり、したがって基材となる金属板60をプレス加工した際、繋ぎ目80の全長に亘って対向する一対の端部61a、61b間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
また、前記連結直線部85aにおける第1直線部87bを、中央直線部86と同一直線上に形成しているので、これによっても、金属板60をプレス加工した際に繋ぎ目の全長に亘って対向する一対の端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0088】
また、前記連結直線部85aにおける第1直線部87bを、第2直線部87cより長く形成しているので、これによっても、金属板をプレス加工した際に繋ぎ目の全長に亘って対向する一対の端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
さらに、前記連結直線部85aの第2直線部87cにおける端部間の距離d7を、第1直線部87bにおける端部間の距離d8より長く形成しているので、特に第1直線部87bにおける端部間の距離d8を前記中央直線部86における端部間の距離d6と同じにしても、また、これより長くしても、いずれの場合にも前述したように得られる中心軸16に変形等が生じるのを抑えることができる。
また、折曲部85における交差部87aを、中心軸16の中心軸16aに対して略直交する方向に延在させているので、金属板60をプレス加工した際に、該交差部87aにおいて対向する端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0089】
そして、このような中心軸16に高摩擦層50を形成してなる中心軸16は、金属板60が円筒状にプレス加工されてなる中心軸16を用いていることにより、中実の丸棒材を用いた場合に比べてコストダウン及び軽量化が可能になになり、また、アルミナ粒子95(無機粒子)を含有してなる高摩擦層50が設けられていることにより、良好な永久磁石の保持力を発揮するものとなる。
さらに、中心軸16が前記したように形状や寸法についての精度がより高くなっているので、精度が不十分であることに起因する回転ブレも抑制されたものとなる。
【0090】
図20A、20Bは、中心軸16の端部を示す説明図である。中心軸16の両端部には、その一方あるいは両方に、負荷を連結するための係合部が形成可能になっている。例えば、図20A,20Bに示すように、円筒状のパイプ(中空パイプ)からなる中心軸16の相対向する位置、すなわち中心軸16の直径を規定する二点の形成面に、それぞれ貫通孔71a、71aを形成し、これら一対の貫通孔71a、71aを含んでなる係合孔(係合部)71を形成することができる。この係合孔71によれば、負荷を軸やピン等(図示せず)によって固定することができる。
【0091】
図21A、21Bは、中心軸16の端部の別の例を示す説明図である。図21A、21Bに示すように、中心軸16の端部にDカット状の係合部73を形成することもできる。この係合部73は、円筒状の中空パイプ(中心軸16)の端部に形成されたもので、図21Aに示すようにその一部が平面視矩形状に切り欠かれて開口73aを形成し、これによって図21Bに示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0092】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、この見掛け上D状に形成された係合部73に係合させることにより、該連結部品を中心軸16に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部73については、中空パイプ(中心軸16)の内部孔に通じる溝状の開口73aが形成されていることから、この開口73aを利用することによっても、連結部品を中心軸16に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前記開口73aに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0093】
図22A、22Bは、中心軸16の端部の別の構成例である。図22A、22Bに示すように、中心軸16の端部に溝74aとDカット部74bとを有した係合部74を形成することもできる。この係合部74において、Dカット部74bは中心軸16の外端に形成されており、溝74aはDカット部74bより内側に形成されている。溝74aは、図22Aに示すように、中心軸16がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。Dカット部74bは、溝74aの外側において該溝74aと直交する方向に延在する開口74cを有し、この開口74cの両側に、一対の折曲片74d、74dを有したものである。すなわち、図22Bに示すようにこれら一対の折曲片74d、74dが中心軸16の軸側に折曲させられたことにより、これら折曲片74d、74dに対応する部分が、中心軸16の円形の外周面から凹んだ状態となっている。
【0094】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前記溝74aに係合させまたはDカット部74bに係合させることにより、該連結部品を中心軸16に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部74では、折曲片74d間に形成された開口74cを利用することによっても、連結部品を中心軸16に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前記開口74cに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0095】
図23A、23Bは、中心軸16の端部の別の構成例である。図23A,23Bに示すように、中心軸16の端部に溝75aと開口75bとを有した係合部75を形成することもできる。この係合部75において、開口75bは中心軸16の外端に形成されており、溝75aは開口75bより内側に形成されている。溝75aは、図23Aに示すように、中心軸16がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。開口75bは、溝75aの外側において中心軸16の一部が平面視矩形状に切り欠かれ、これによって図23Bに示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0096】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前記溝75aに係合させまたは開口75bによって形成された見掛け上D状に形成された部位に係合させることにより、該連結部品を中心軸16に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部75でも、図21A、21Bに示した係合部73と同様に、開口75bを利用することによって、連結部品を中心軸16に対し空回りさせることなく取り付けることができる。
【0097】
このような係合孔71や係合部73、74、75を形成するには、金属板60をプレス加工して得られた中心軸16に対して、さらに切削加工等を施すことで行うことができる。例えば、図21A,21Bに示した係合部73については、その端部を切削加工して開口73aを形成することにより、見掛け上D状の係合部73を形成することができる。また、図20A,20Bに示した係合孔71についても、中心軸16に対して孔開け加工することで、一対の貫通孔71a、71aをより良好に対向させることができる。
【0098】
しかしながら、このように中心軸16に対してさらに加工を施すのでは、係合部の形成だけのために別途加工工程を追加することで、コストや時間についての効率が低下してしまう。そこで、中心軸16にプレス加工する前に、別のプレス加工によって係合部となる展開係合部を金属板に形成しておき、この金属板をプレス加工して中心軸16とする際に、係合部も同時に形成するのが好ましい。
【0099】
図24A〜24Cは、金属板60の端部の加工例を示す説明図である。図12Aに示した大型の金属板(第1金属板)65を図12Bに示したような凹凸部110を有した細長い略矩形板状の金属板(第2金属板)60にプレス加工する際、この大型金属板65から小型の金属板60への加工と同時に、得られる金属板60の長辺の長さ方向における端部、すなわち折曲部85の外端部に、切欠状、突片状、孔状、あるいは溝状等の展開係合部を形成する。例えば、図24Aに示すように金属板60の凹凸部110の外端部の所定位置に一対の貫通孔71a、71aを加工し、これらを展開係合部76aとしておくことにより、この金属板60をプレス加工することで前記一対の貫通孔71a、71aを対向させ、図20A,20Bに示した係合孔71を形成することができる。
【0100】
また、図24Bに示すように、金属板60の凹凸部110の外端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76bとしておくことにより、この金属板60をプレス加工することで図22A,22Bに示した係合部74を形成することができる。すなわち、展開係合部76bとして、一対の切欠部(凹部)74e、74eと一対の突片74f、74fとを形成しておくことにより、係合部74を形成することができる。ただし、この例では、金属板60をプレス加工した後、一対の突片74f、74fを内側に折り曲げ加工して折曲片74dとする必要があるため、加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めるにはやや不十分であるとも言える。
【0101】
そこで、図24Cに示すように、金属板60の凹凸部110の外端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76cとしておくことにより、この金属板60をプレス加工することで図23A,23Bに示した係合部75を形成することができる。すなわち、展開係合部76cとして、一対の切欠部(凹部)75c、75cと一対の突片75d、75dとを形成しておくことにより、係合部75を形成することができる。この例では、金属板60をプレス加工した際に一対の突片75d、75dも円弧状に曲げることにより、これら突片75d、75d間に図23Bに示した開口75bを形成することができる。したがって、プレス加工によって形成した中心軸16に対し、さらに加工を追加する必要がなく、これにより加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めることができる。
【0102】
図25は、本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車3300は、前輪にモーター3310が設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路3320と充電池3330とが設けられている。モーター3310は、充電池3330からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時にはモーター3310で回生された電力が充電池3330に充電される。制御回路3320は、モーターの駆動と回生とを制御する回路である。このモーター3310としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することが可能である。
【0103】
図26は、本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット3400は、第1と第2のアーム3410,3420と、モーター3430とを有している。このモーター3430は、被駆動部材としての第2のアーム3420を水平回転させる際に使用される。このモーター3430としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することが可能である。
【0104】
図27は、本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。この鉄道車両3500は、モーター3510と、車輪3520とを有している。このモーター3510は、車輪3520を駆動する。さらに、モーター3510は、鉄道車両3500の制動時には発電機として利用され、電力が回生される。このモーター3510としては、上述した各種のブラシレスモーターを利用することができる。
【0105】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0106】
10…電動モーター
15…ステーター
16…軸
16a…軸
21…回転軸
25…導電線束
50…高摩擦層
51…樹脂膜
60…金属板
61a…端部
61b…端部
62a…側部
65…金属板
71…係合孔
71a…貫通孔
73…係合部
73a…開口
74…係合部
74a…溝
74c…開口
74d…折曲片
74f…突片
75…係合部
75a…溝
75b…開口
75d…突片
76a…展開係合部
76b…展開係合部
76c…展開係合部
80…繋ぎ目
85…折曲部
85a…連結直線部
85b…直線部
86…中央直線部
87a…交差部
87b…第1直線部
87c…第2直線部
87d…凸片
87e…凸片
90…塗装ブース
91…回転駆動部材
92…チャック
93…コロナガン
94…シャフト
95…アルミナ粒子
95a…アルミナ粒子
100…動力発生装置
101…雄型
102…雌型
103…雄型
104…雌型
105…芯型
106…上型
106a…割型(上型)
106b…上型
106c…プレス面
107…下型
107b参照…割面
107a…プレス面
110…凹凸部
111…直線部
112…軸受け
113…リング
114…固定用ボルト
115…スペーサー
120…モーター部
121…ローター
121t…ギア歯
122…ケーシング
123…永久磁石
124、124A、124B…電磁コイル
125…磁石バックヨーク
126…位置検出部
127…回転制御回路
128…コイルバックヨーク
129…磁石サイドヨーク
130…回転機構部
131…ギア固定部
131t…ギア歯
132…プラネタリーギア
132s…回転軸
132t…ギア歯
133…負荷接続部
160…貫通孔
165…固定スペーサー
194…排気機構
237…成形材
238…バランス部材
250…加圧治具
251…断面
252…ネジ穴
253…ネジ
255…溶接部
260…コイルバネ
601…凸部
602…凹部
603…薄厚部
1211…貫通孔
1212…凹部
1213…隔壁(ローターギア)
1221…貫通孔
1271…コネクタ
1311…アウターギア
1312…鍔部
1313…開口部
1331…貫通孔
1332…軸孔
3300…自転車
3310…モーター
3320…制御回路
3330…充電池
3400…ロボット
3410…第2のアーム
3420…第2のアーム
3430…モーター
3500…鉄道車両
3510…モーター
3520…車輪
t1…寸法
L1…幅
d1…距離
L2…幅
d2…距離
t2…寸法
d6…距離
d7…距離
d8…距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーターとローターとを備える電気機械装置であって、
前記ステーターは、
ケーシングと、
前記ケーシングに固定された中心軸と、
を備えており、
前記ローターは、前記ケーシングに軸受けを介して連結されており、
前記中心軸は、鋼板材をパイプ形状に丸めて形成されていることを特徴とする、電気機械装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械装置において、
前記鋼板材は、前記鋼板材の対抗する辺に、前記鋼板材をパイプ形状に丸めたときに前記対抗する辺を勘合させるための凹凸を有する、電気機械装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機械装置において、
パイプ形状に丸められた鋼板材が板状に広がらないようにするための加圧治具を備える、電気機械装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電気機械装置において、
前記対抗する辺同士のつなぎ目の少なくとも一部は、溶接されている、電気機械装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の電気機械装置において、
前記凹凸の凸の先端は、前記凸の根元よりも広がっている、電気機械装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の電気機械装置において、
前記凸部と前記凹部は、前記対抗する辺の全域に設けられている、電気機械装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気機械装置を備える移動体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気機械装置を備えるロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−200078(P2012−200078A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62529(P2011−62529)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
2.サイクロ
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】