説明

電気活性回折レンズおよびそれを作るための方法

【課題】電気活性回折レンズおよびそれを作るための方法を提供する。
【解決手段】本発明の一側面は、電気活性レンズと、改良液晶シール特徴を使用している固体透明光学材料を使用して液晶を封入する同一物を製造する方法を提供する。シール特徴は、組立電気活性レンズの液晶シール特徴の視認性を大幅に低減する。シール特徴はまた、液晶の封じ込めを邪魔することなく、また液晶の屈折率を変更するために使用されるレンズへの電気的連結性を狂わせることなく眼鏡フレームに適合するように電気活性レンズが処理されることが可能であり、これによって商業的に生存可能な電気活性レンズの製造を確実にするように構造的に頑丈である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にレンズに関する。より明確には、本発明は、構造的保全が改善された、また任意の液体光学材料シール特徴の視認性が低減された固体光学材料を使用する液体光学材料の封入を提供する。
【背景技術】
【0002】
電気活性レンズは一般に、一つ以上の固体透明光学材料によって封入されたまたは閉じ込められた液体光学材料(たとえば液晶)を有している。液体光学材料を閉じ込めるための従来の方法および構造はしばしば、液体光学材料の位置決めを指示するレンズ上の可視シールリングを生じさせる。これらの可視シールリングは、消費者にとって見かけの面で望ましくない。
【0003】
従来の液晶ディスプレイ(LCD)では、シーリング特徴は一般に、不透明なフレームまたはベーゼルの後ろに隠されることがある。しかしながら、そのような構造は、特に眼用レンズと眼鏡レンズにとって生存可能でない。
【0004】
現在まで、眼用レンズの任意の液体光学材料シールの視認性を低減するために設計された方法と構造はしばしば、レンズの構造的保全を危険にさらす。そのため、そのようなレンズを処理するための従来方法(たとえばレンズをカットし縁どりするための従来方法)は、液体光学材料の閉じ込めが乱されるようにすることがあり、また液体光学材料の屈折率を電子的に変更する能力を狂わせることもある。したがって、多くの従来技術の電気活性レンズは商業的に生存可能な製品でない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、必要なものは、電気活性レンズと、任意の液晶シール特徴の視認性が実質的に低減されるような固体透明光学材料を使用して液晶を封入すると同時に、液晶の閉じ込めまたはその屈折率を電子的に変更する能力を狂わせることなく眼鏡フレームに適合するように処理されることが可能である構造的に頑丈なレンズを提供する同一物を製造するための方法である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の一側面による電気活性半完成レンズブランク(EASFLB)を示している。
【図2】図2は、図1に描かれたEASFLBの分解断面図を示している。
【図3】図3は、図1に描かれたEASFLBの側面図を示している。
【図4】図4は、径方向に沿った図3に描かれたEASFLBの断面のクローズアップ図を示している。
【図5】図5は、本発明の一側面によるEASFLBを製造するための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図6】図6は、本発明の一側面によるEASFLBの前面基板を生成するための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図7】図7は、本発明の一側面によるEASFLBの背面基板を生成するための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図8】図8は、本発明の一側面によるEASFLBの前面基板と背面基板をクリーニングおよびアニールするための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図9】図9は、本発明の一側面による動的電気活性回折光学パワー領域の一部を形成するためにEASFLBの前面および背面基板に多数の層を適用するための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図10A】図10Aは、本発明の一側面によるEASFLBの導電性層の代表的な堆積を示している。
【図10B】図10Bは、本発明の一側面によるEASFLBの導電性層の代表的な堆積を示している。
【図11】図11は、本発明の一側面によるEASFLBの基板に接着促進剤を適用するための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図12】図12は、本発明の一側面によるEASFLBの基板に配向層を適用するための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図13】図13は、本発明の一側面による電気活性材料を作るための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図14A】図14Aは、EASFLBの前面基板と背面基板を整列するための代表的なプロセスを示している。
【図14B】図14Bは、EASFLBの前面基板と背面基板を整列するための代表的なプロセスを示している。
【図14C】図14Cは、EASFLBの前面基板と背面基板を整列するための代表的なプロセスを示している。
【図14D】図14Dは、EASFLBの前面基板と背面基板を整列するための代表的なプロセスを示している。
【図15A】図15Aは、EASFLBの基板を保持するための代表的なキャリヤを示している。
【図15B】図15Bは、EASFLBの基板を保持するための代表的なキャリヤを示している。
【図15C】図15Cは、EASFLBの基板を保持するための代表的なキャリヤを示している。
【図15D】図15Dは、EASFLBの基板を保持するための代表的なキャリヤを示している。
【図16】図16は、本発明の一側面によるEASFLBの基板の配向層を紫外光に露出させるための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図17】図17は、本発明の一側面によるEASFLBを形成するために前面および背面基板を組み立てるための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図18A】図18Aは、本発明の一側面による電気活性材料をEASFLB内に供給および封入することを示している。
【図18B】図18Bは、本発明の一側面による電気活性材料をEASFLB内に供給および封入することを示している。
【図18C】図18Cは、本発明の一側面による電気活性材料をEASFLB内に供給および封入することを示している。
【図19】図19は、本発明の一側面によるEASFLBの前面基板の曲率半径を示している。
【図20A】図20Aは、本発明の一側面によるEASFLBの前面および背面基板を接着する接着剤の導入と硬化を示している。
【図20B】図20Bは、本発明の一側面によるEASFLBの前面および背面基板を接着する接着剤の導入と硬化を示している。
【図20C】図20Cは、本発明の一側面によるEASFLBの前面および背面基板を接着する接着剤の導入と硬化を示している。
【図21】図21は、本発明の一側面による第一の代表的な代替EASFLBを示している。
【図22】図22は、本発明の一側面による第二の代表的な代替EASFLBを示している。
【図23】図23は、本発明の一側面による第三の代表的な代替EASFLBを示している。
【図24】図24は、本発明の一側面によるEASFLBを最終的に処理するための動作ステップを示しているフローチャートを提供する。
【図25】図25は、本発明の一側面によるEASFLBの新しい周囲縁の代表的な配置を示している。
【図26A】図26Aは、本発明の一側面による低減された直径を有するように処理されたEASFLBを示している。
【図26B】図26Bは、本発明の一側面による低減された直径を有するように処理されたEASFLBを示している。
【図27】図27は、本発明の一側面による枠工(cribbed)され表面仕上げされ被覆されたEASFLBから形成されることが可能である縁どりされた眼鏡レンズの平面図を示している。
【図28】図28は、本発明の一側面による完成縁どりされた眼鏡レンズを示している。
【図29】図29は、本発明の一側面によるEASFLBの動的電気活性回折光学パワー領域の一部を示している。
【図30A】図30Aは、本発明の一側面による代表的な表面浮彫回折構造を示している。
【図30B】図30Bは、本発明の一側面による代表的な表面浮彫回折構造を示している。
【図30C】図30Cは、本発明の一側面による代表的な表面浮彫回折構造を示している。
【図31A】図31Aは、本発明の一側面による追加代表的表面浮彫回折構造を示している。
【図31B】図31Bは、本発明の一側面による追加代表的表面浮彫回折構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[発明の詳細な説明]
本発明の一側面は、電気活性レンズと、改良液晶シール特徴を使用している固体透明光学材料を使用して液晶を封入する同一物を製造する方法を提供する。シール特徴は、組立電気活性レンズ中の液晶シール特徴の視認性を大幅に低減する。シール特徴はまた、液晶の封じ込めを邪魔することなく、また液晶の屈折率を変更するために使用されるレンズへの電気的接続性を狂わせることなく眼鏡フレームに適合するように電気活性レンズが処理されることが可能であり、これによって商業的に生存可能な電気活性レンズの製造を確実にするように構造的に頑丈である。
【0008】
ここに使用されるように、電気活性レンズは、未完成レンズブランク、半完成レンズブランク、完成レンズブランク、縁どりされたレンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、角膜インレーまたは角膜オンレーであることが可能である。
【0009】
図1は、本発明の一側面による電気活性半完成レンズブランク(EASFLB)100を示している。EASFLB100は、第一の基板(たとえば上部基板)と第二の基板(たとえば底部基板)を備えていることが可能である。図1は、EASFLB100の平面図を描いている。したがって、図1は、EASFLB100の上部基板の図を示している。
【0010】
図1に描かれるように、EASFLB100は、動的電気活性回折光学パワー領域102と光通信状態にある累進追加光学パワー領域101を備えていることが可能である。動的電気活性回折光学パワー領域102は、たとえばコレステリック液晶(CLC)材料などの電気活性材料を備えていることが可能である。電気活性材料は、二つの境界基板(すなわちEASFLB100の上部および底部基板)と電気活性材料シール特徴103によって容積内に封入されることが可能である。
【0011】
動的電気活性回折光学パワー領域102は楕円形を有するように示されているが、そのように限定されない。動的電気活性回折光学パワー領域102はいかなる形(たとえば丸、平たん上部、半円、その他)であることが可能であり、2008年7月2日に提出された米国特許出願12/166,526号に説明されるように混合されることが可能である。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。
【0012】
図1は、例証だけの目的のために動的電気活性回折光学パワー領域102によって規定された境界内に重なっているまたは配置された累進追加光学パワー領域101を示している。しかしながら、累進追加光学パワー領域101の配置はそのように限定されない。全体として、累進追加光学パワー領域101と動的電気活性回折光学パワー領域102は互いに対して任意の向きに配置されていることが可能である。その目的のために、累進追加光学パワー領域101の任意またはすべての部分は、動的電気活性回折光学パワー領域102の任意またはすべての部分と重なっていることが可能である。これは、累進追加光学パワー領域101が動的電気活性回折光学パワー領域102の本質的な部分に重なりながら動的電気活性回折光学パワー領域102によって規定された境界を越えて延びることを可能にする。
【0013】
接着剤は、EASFLB100の二つの基板を合わせて接着することが可能であり、一つ以上の充てん口104を介して適用されることが可能である。接着剤は、EASFLB100の境界基板(すなわち上部および底部基板)と電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105によって決定された容積中に閉じ込められることが可能である。接着剤の屈折率は、EASFLB100の境界基板の一つ以上の屈折率と実質的に等しいことが可能である。接着剤シール特徴105は、EASFLB100の周囲の方に配置されていることが可能である。電気活性材料シール特徴103は電気活性材料シール構造103であると見なされることが可能である。同様に、接着剤シール特徴105は接着剤シール構造105であると見なされることが可能である。
【0014】
電気的端子106と107は、動的電気活性回折光学パワー領域102の活性化を可能にするように動的電気活性回折光学パワー領域102に電圧が印加されることを可能にすることが可能である。電気的接触は、透明導電体を介して電気的端子106と107と動的電気活性回折光学パワー領域102の間で成されることが可能である。電気的端子106と107は、二つの境界基板の内表面に適用されることが可能であり、したがって、EASFLB100内に埋設されることが可能である。図1に示されるように、電気的端子106と107は、接着剤シール特徴105によって規定された境界内に配置されているが、そのように限定されない。
【0015】
半可視基準マーク108と109は、EASFLB100の製造中にガイドまたは位置合わせマークとして働くために(すなわちEASFLB100を製造することを支援するために)EASFLB100の上におよび/または中に包含されることが可能である。半可視基準マーク108と109は、たとえば境界基板の前面に配置されていることが可能である。
【0016】
(実寸どおりでない)EASFLB100の分解断面図が図2に示される。EASFLB100は、前述の境界基板、特に背面基板201と前面基板202から構築されることが可能である。背面基板201は、前面基板202よりも厚いことが可能である。背面基板201は、任意のレンズ材料で構成されることが可能である。一例としては、背面基板201は、三井MR−10などの1.67の屈折率を有する材料で構成されることが可能である。前面基板202も、任意のレンズ材料で構成されることが可能である。一例としては、前面基板202は、背面基板201と同じレンズ材料で構成されることが可能である(たとえば、前面基板202はMR−10材料で構成されることが可能である)。あるいは、前面基板202は、異なるレンズ材料で構成されることが可能である(たとえば、背面基板201は、1.53の屈折率を有するTrivex(登録商標)で構成されることが可能である。関連分野の当業者によって認められるように、前面基板202と背面基板201の特徴と特性は、本発明の一側面によると交換されることが可能である。
【0017】
前面基板202と背面基板201は、任意の所望な厚さを有することが可能である。一例としては、前面基板202の厚さは0.5mmと2.0mmの間にあることが可能であり、背面基板201の厚さは5.0mmと10.0mmの間にあることが可能である。背面基板201の前部凸状表面は、電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105と表面浮彫回折構造213を閉じ込めることが可能である。
【0018】
表面浮彫回折構造213は、電気活性材料と物理的および光学的通信状態にあるとき、m2の位相遅延を生成するように設計されることが可能である。ここでmは整数である。本発明の一側面によると、mは一(1)に等しいことが可能である。mの大きい値(たとえば、m>5)に対しては、色収差が低減されることがあり、表面浮彫回折構造213が多重次数表面浮彫回折構造として特徴付けられることがある。したがって、表面浮彫回折構造213は、2008年5月9日に提出された米国特許出願12/118,226号に説明されるような多重次数表面浮彫回折構造として実施されることが可能である。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。
【0019】
背面基板201の前部凸状表面はまた、製造プロセスを支援する目的のために追加半可視基準マーク109(図1に示された)を備えていることが可能である。背面基板201の後部凹状表面は実質的に特徴がないことが可能である。EASFLB100の組み立て後、背面基板201の後部凹状表面はさらに、患者のための最終眼用レンズを形成するために処理されることが可能である。たとえば、背面基板201の後部凹状表面は、患者の視力処方にしたがって縁どりされる、切断されるおよび/または自由形成されることが可能である。特に、累進追加光学パワー領域は、背面基板201の後部凹状表面上に自由形成されることが可能である。これは、前面基板202上の累進追加光学パワー領域101の(たとえばモールドまたは自由形成のいずれかによる)生成を除去することが可能である。あるいは、累進追加光学パワー領域は、(たとえばモールドまたは自由形成のいずれかによって)前面基板202上と背面基板201上の両方に形成されることが可能である。これは、累進追加光学パワー領域101を下方パワー設計であることを可能にし、それによって、EASFLB100の累進追加光学パワー領域によって導入される不所望な非点収差の総量を低下させることが可能である。
【0020】
前面基板202の前部凸状表面が、累進光学パワー領域101と半可視基準マーク108(両方とも図1に示された)を備えることが可能である一方で、前面基板202の凹状表面が、実質的に特徴がないことが可能である。前面基板202はまた、粘着剤充てん口104を備えていることが可能である。粘着剤充てん口104は、直径が1.0mmと2.0mmの間にある貫通孔であることが可能である。粘着剤充てん口104は、前面基板202に穴あけされるまたは機械加工されることが可能であり、または他の好適な手段によって(たとえばモールドによって)形成されることが可能である。あるいはまたはそれに加えて、背面基板201は、粘着剤充てん口104を備えていることが可能である。
【0021】
背面基板201の縁は、EASFLB100の製造と組み立ての間の背面基板201の取り扱いを支援する傾斜215を有することが可能である。前面基板202の縁はまた、EASFLB100の製造と組み立ての間の前面基板202の取り扱いを支援する傾斜214を有することが可能である。
【0022】
追加層および構造が、動的電気活性回折光学パワー領域102の動作を可能にするために背面基板201の凸状表面と前面基板202の凹状表面に適用されることが可能である。第一の層203と204は、電気的に絶縁している任意の透明材料が可能である。一例としては、層203と204は、SiO(たとえばSiOまたはSiO)で構成されることが可能である。層203と204のおのおのは、たとえば20nmの厚さを有することが可能である。
【0023】
層203と204のおのおのの上に、電気的端子106と107を形成するために導電性材料が細線にパターニングされることが可能である。電気的端子106と107の上に、透明導電体層205と206が堆積されることが可能である。透明導電体層205と206のおのおのは、インジウムスズ酸化物(ITO)または酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電性材料で構成されることが可能である。透明導電体層205と206は、たとえば20nmの厚さを有することが可能である。透明導電体層205と206は、対応する電気的端子106と107と電気的に接触していることが可能である。電気的端子106と107は、EASFLB100の縁を介して動的電気活性回折光学パワー領域102に電気的接触を提供することが可能である。
【0024】
一つ以上の透明導電体層106と107が、2008年10月7日に提出された米国特許出願12/246,543号と2008年6月9日に提出された米国特許出願12/135,587号に説明されるようなパターン電極構造(またはピクセル化構造)になるように堆積または形成されることが可能である。両出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。そのようなパターン電極構造は、大量の電気活性材料(たとえば回折浮彫構造の上に休止する必要のない空間に閉じ込められた電気活性材料211)を使用して、所望の回折パターンを形成するために使用されることが可能である。
【0025】
透明導電体層205と206の上に、絶縁層207と208が堆積されることが可能である。絶縁層207と208は、電気的に絶縁している任意の透明材料で構成されることが可能である。一例としては、層207と208は、(たとえば、第一の層203と204に同様に)SiOで構成されることが可能である。絶縁層207と208は、たとえば170nmのSiOで構成されることが可能である。堆積された最終層は、EASFLB100の内に封入された大量の電気活性材料211を整列するために動作する液晶配向材料層209と210で構成されることが可能である。層203〜210の配列と厚さは、動的電気活性回折光学パワー領域102の消費電力を最小にしつつ、EASFLB100を通る視感透過率を最大にする。
【0026】
表面浮彫回折構造213と電気活性材料シール特徴103と層および素子203〜211は、EASFLB100の電気活性素子(たとえば動的電気活性回折光学パワー領域102)であると見なされることが可能である。層および素子203〜211のいずれかは、EASFLB100の全領域(たとえば絶縁層203と204)にわたって堆積されることが可能である、またはEASFLB100の全領域またはEASFLB100の全領域の一部(たとえば配向層209と210)よりも少ない一帯に堆積されることが可能である。さらに、表面浮彫回折構造213と電気活性材料シール特徴103は、背面基板201の前部凸状表面の任意の部分を占めることが可能である。加えて、関連分野の当業者によって認められるように、EASFLB100の表面浮彫回折構造(と例えば付属電気活性材料シール特徴と接着剤シール特徴)は、代替的に前面基板202に配置されることが可能である。
【0027】
図2に示されるように、動的電気活性回折光学パワー領域102は、EASFLB100の多数の層と素子を備えているように示されている。さらに、動的電気活性回折光学パワー領域102は、EASFLB100の全水平幅の一部を占めるように示されている。さらに以下に説明されるように、EASFLB100はさらに、(眼鏡フレームに装着される準備ができている)完成レンズブランクまたは縁どりされたレンズを形成するように処理されることが可能である。全体として、EASFLB100の層の配列は、関連分野の当業者によって理解されるように、また2008年3月3日に提出された米国特許出願12/042,643号に説明されるように変更されることが可能である。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。
【0028】
加えて、図1と2に示されるように、電気活性材料シール構造103は、表面浮彫回折構造213の周りに配置されることが可能である。すなわち、電気活性材料シール構造103は、表面浮彫回折構造213を取り巻くまたは取り囲むことが可能である。さらに、電気活性材料シール構造103は、表面浮彫回折構造213よりも高く座るために形成されることが可能である。電気活性材料シール構造103は、背面基板201を形成するのと同時に形成されることが可能である、または表面浮彫回折構造213の形成の後に背面基板201に追加されることが可能である。
【0029】
図1と2に示されるように、電気活性材料シール構造103は、電気活性材料211を(たとえば表面浮彫回折構造213上に)閉じ込めるまたは封入することが可能である。さらに、電気活性材料シール構造103は、電気活性材料シール構造103と接着剤シール構造105の間に配置されるあらゆる接着剤から電気活性材料211が隔離されたままになることを確実にすることが可能である。最後に、電気活性材料シール構造103は、電気活性材料211の閉じ込めを邪魔すること(たとえば電気活性材料211の漏れ)なく、EASFLB100の部分があとで除去される(たとえば電気活性材料シール構造103とEASFLB100の周囲の間の部分)ことが可能であるように配置されることが可能である。
【0030】
接着構造105は、背面基板201の縁の方に配置されることが可能である。接着剤シール構造105は、背面基板201を形成するのと同時に形成されることが可能である、またはあとで背面基板201に追加されることが可能である。電気活性材料シール構造103と接着剤シール構造105は、背面基板201と同じ材料で構成されることが可能である、または異なる材料で構成されることが可能である。
【0031】
EASFLB100を形成するために、二つの基板201と202は図3に示されるように物理的な接触にもたらされることが可能である。背面基板201の凸状表面は、電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105に沿ってのみ前面基板202の凹状表面と接触し、それにより大量の電気活性材料211を封入し、また接着剤穴301を形成することが可能である。それから、未硬化の液状接着剤が、一つ以上の充てん口104を介して接着剤穴301に導入されることが可能である。それから、液状接着剤は固体状態に硬化され、二つの基板に接着し、またEASFLB100内の大量の電気活性材料211を永久に封入することが可能である。
【0032】
図3に示されるように、電気活性材料シール構造103は、電気活性材料211が接着剤穴301内へ漏れ出ないように閉じ込められたままになることを確実にすることが可能である。すなわち、電気活性材料シール構造103は、電気活性材料211を接着剤穴301(および接着剤穴301中にあとで置かれるあらゆる接着剤)から隔離または分離することが可能である。
【0033】
図4は、径方向に沿ったEASFLB100物品の断面のクローズアップ図を示している。図4は、大量の電気活性材料211がどのように封入されることが可能であるかの例を示している。示されるように、背面基板201は表面浮彫回折構造213を備えていることが可能である。表面浮彫回折構造213は最大の深さを有することが可能である。表面浮彫回折構造213の最大の深さはたとえばほぼ3.3 mであることが可能である。表面浮彫回折構造213はメサ構造302の上に座ることが可能である。メサ構造302の高さはたとえばほぼ40 mである。メサ構造302は、接着剤シール特徴105に加えて、接着剤穴301を形成することが可能である。接着剤穴301は、過度の毛管力によって邪魔されずに未硬化の液状接着剤が流れるのを可能にするに十分な深さであることが可能である。
【0034】
電気活性材料シール特徴103は、表面浮彫回折構造213のピークが盛り上がって配置されることが可能である。一例としては、電気活性材料シール特徴103は、ほぼ0.4 m(400nm)だけ表面浮彫回折構造213のピークが盛り上がって配置されることが可能である。電気活性材料シール特徴103は、背面基板201の外側前部凸状表面303から接着剤シール特徴105と同じ相対高さにあるように配置されることが可能である。これは、前面基板202の後部凹状表面304が、電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105の頂点でのみ背面基板201に接触することを可能にすることが可能である。二つの基板がこの方法で接触することを可能にすることによって、大量の電気活性材料211は、電気活性材料シール特徴103によって未硬化の液状接着剤から隔離されることが可能である。さらに、未硬化の液状接着剤は、電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105によって接着剤穴301内に閉じ込められ得る。
【0035】
以下、EASFLB100を製造するためのプロセスの詳細な説明が提供される。
【0036】
図5は、本発明の一側面によるEASFLB100を製造するための動作ステップを示しているフローチャート500を提供する。発明は、この動作説明に制限されない。もっと正確に言えば、関連分野の当業者にはここの教示から、他の制御フローが本発明の要旨と趣旨の範囲内にあることが明白であろう。続く議論において、図5のステップが説明される。
【0037】
図5は、全製造プロセスを主なステップ501ないし509に分割している。第一のステップ501は、EASFLB100の二つの基板−すなわち上部基板202と底部基板201を鋳造すること、縁どりすること、穴あけすることを備えている。図6は、図5のステップ501としてより一般的に示される前面基板202を生成するための動作ステップを示しているフローチャート600を提供する。前面基板202は、関連分野の当業者によって理解されるように、任意の既知の基板製造プロセスによって形成されることが可能である。したがって、図6は、代表的なプロセスを示している。
【0038】
図6に示されるように、プロセスは、ステップ601で始まり、累進追加光学パワー領域101を作るための凹状型を選択することを備えている。累進追加光学パワー領域101を作るための凹状型は、実質的に一定の曲率の領域と、曲率が滑らかに変化する一つ以上の領域を備えていることが可能である。ステップ601はまた、実質的に一定の曲率をもつ対応凸状型を選択することを備えていることが可能である。眼鏡レンズ分野ではよく知られているように、実質的に一定の曲率は、球面、非球面、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。
【0039】
ステップ602において、選択された型が、テープまたは予備製造ガスケットのいずれかを使用して型穴に組み立てられる。選択された凹状および凸状型組立体は、実質的に一定の厚さを有する前面基板202を生成することが可能である。前面基板202の厚さは、たとえば、0.5mmと2.0mmの間にあることが可能である。ステップ603において、液状樹脂が、モノマーおよび/または他の先駆体材料から混合される。樹脂は、任意の樹脂材料であることが可能である。ステップ604において、準備した液状樹脂が型穴内に充てんされる。ステップ605において、液状樹脂が、固体を形成するために硬化(重合)される。樹脂は、たとえば、硬化されたときに1.67の屈折率を有する固体材料(たとえば三井MR−10)を生成するモノマーであることが可能である。樹脂は、熱、光またはそれらの任意の組み合わせを使用することによって硬化(重合)されることが可能である。前面基板202はまた、射出成形によって代替的に形成されることが可能である。
【0040】
樹脂硬化サイクル605の後、ステップ606において、鋳造部品が脱型され、選択された型は、次の部品を鋳造するためにクリーニングされることが可能である。ステップ607において、鋳造部品が、反スクラッチコーティングを受ける準備をするために硬化樹脂のガラス遷移温度よりも低い温度で真空中で熱アニールされることが可能である。ステップ608において、反スクラッチコーティングが前面基板202に適用されることが可能である。前面基板202に適用される反スクラッチコーティングはたとえばHI−GARD(登録商標)1080であることが可能である。任意の反スクラッチコーティングがディップコーティングまたはスピンコーティングのいずれかによって適用されることが可能である。ステップ608における反スクラッチコーティングの塗布の後、その部品が、ステップ609においてあらかじめ決められた直径に縁どりされることが可能である。ステップ610において、充てん口104が追加されることが可能である。
【0041】
累進追加光学パワー領域101は、動的電気活性回折光学パワー領域102に対して望まれるように整列されることが可能である。所望の整列は、累進追加光学パワー領域101の位置が基板202の外縁に対して受け入れ可能な許容差(たとえば±0.25mm)に保持されるように前面基板202を縁どることによって容易にされることが可能である。あるいは、またはそれに加えて、整列は、各基板上の半可視位置合わせマークを使用して(たとえば従来の光学的整列機構を使用して)光学的に達成されることが可能である。縁どりプロセス中に、傾斜構造214が追加されることが可能である。傾斜214はv形に形づくられることが可能であり、また(たとえば続くステップのあいだの)さまざまなプロセスツールへの基板202の装着を容易にすることが可能である。受け入れ可能または所望の許容差は、たとえば、商業的に入手可能なコンピューター数値制御(CNC)眼鏡レンズ型どりおよび縁どり設備を使用して、基板202を処理することによって達成されることが可能である。充てん口104は、ほとんどのCNC眼鏡レンズ縁どり機械によって機械加工されることが可能であるが、任意の適当な穴あけまたは機械加工手段によって作られることが可能である。
【0042】
図7は、図5のステップ501としてより一般的に示される背面基板201を生成するための動作ステップを示しているフローチャート700を提供する。背面基板201は、関連分野の当業者によって理解されるように、任意の既知の基板製造プロセスによって形成されることが可能である。したがって、図7は、代表的なプロセスを示している。
【0043】
ステップ701において、凹状前面回折型と凸状背面型が選択されることが可能である。表面浮彫回折構造213とCLCシール特徴103と接着剤シール特徴105(およびおそらく半可視基準109)は、2008年7月2日に提出された米国特許出願12/166,526号に説明された技術にしたがって製造されることが可能である。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。たとえば、表面浮彫回折構造213と電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105のおのおの、またはそれらの任意の組み合わせは、精密単点ダイヤモンド回転技術を使用して、Niプレートツールマスターにカットされることが可能である。
【0044】
このように製造されたマスターツールから、Ni電気成形加工プロセスを使用して複製が作られることが可能である。これらの複製型は、それから、表面浮彫回折構造213、電気活性材料シール特徴103および/または接着剤シール特徴105、またはそれらの任意の組み合わせを有する基板を鋳造するための型として使用されることが可能である。選択された凸状背面型は、従来のガラス型であることが可能である。
【0045】
ステップ702において、選択された前面型は、テープまたは予備製造ガスケットのいずれかを使用して、選択された背面型を備えた型穴に組み立てられることが可能である。型は、実質的に一定の厚さを備えた背面基板201を形成するように配列されることが可能である。たとえば、型は、5.0mmと10.0mmの間の厚さを有するように背面基板201を形成するように配列されることが可能である。背面基板201を形成するために使用される型の湾曲は、球面、非球面またはそれらの組み合わせであることが可能である。
【0046】
ステップ703において、液状樹脂が、モノマーおよび/または他の先駆体材料から混合されることが可能である。ステップ704において、樹脂が、型穴を充てんするために使用されることが可能である。ステップ705において、樹脂が、固体を形成するために硬化(たとえば重合)されることが可能である。モノマー樹脂は、任意の樹脂であることが可能である。一例としては、樹脂は、硬化されたときにほぼ1.67(たとえば三井MR−10)の屈折率を有する固体材料を生成する材料であることが可能である。さらに、樹脂を硬化することによって形成された固体材料は、電力が印加されていないときに電気活性材料211の実効屈折率に実質的に一致する屈折率を有していることが可能である。樹脂は、熱、光またはそれらの任意の組み合わせを使用することによって硬化(重合)されることが可能である。背面基板201はまた、射出成形によって代替的に形成されることが可能である。
【0047】
背面基板201(したがって表面浮彫回折構造213)を鋳造するために使用された硬化樹脂の屈折率が、電気活性材料211の屈折率に実質的に一致しないならば、次に型内コーティングステップが使用されることが可能である。所望の屈折率を有している(たとえば、電気活性材料211の屈折率に実質的に一致する屈折率を有している)材料を備えている型内コーティングが使用されることが可能である。型内コーティング材料は、型の凹状表面上に、表面浮彫回折構造213を充てんし平面化する厚さに、スピンコートまたはディップコートされることが可能である。それから、この材料は、型が凸状仲間と組み立てられる前に、熱的および/または光学的手段を使用して型上で部分的にまたは完全に硬化されることが可能である。
【0048】
背面基板201を形成するために使用される液状樹脂の硬化のあいだ、型内コーティング材料はそれ自体を樹脂に接着することが可能である。樹脂が硬化された後、型内コーティングは鋳造部品と一体になることが可能である。さらに、型内コーティングは、背面基板201を形成している硬化樹脂と電気活性材料211の間の化学およびガスバリアとして働くことが可能である。
【0049】
樹脂硬化サイクル705の後、背面基板201は、ステップ706において脱型されることが可能である。ステップ706において、型はまた、次の部分を鋳造するためにクリーニングされることが可能である。脱型ステップ706の後、背面基板201は、ステップ707においてあらかじめ決められた直径に縁どりされることが可能である。上述したように、累進追加光学パワー領域101を動的電気活性回折光学パワー領域102に対して所望の許容差内に整列させることが望ましい。適切な整列の見込みを高めるために、表面浮彫回折構造213の位置が背面基板201の外縁に対して受け入れ可能な許容差(たとえば0.25mm)に保持されるように背面基板201が縁どりされることが可能である。あるいは、またはそれに加えて、整列は、各基板上の半可視位置合わせマークを使用して光学的に(たとえば従来の光学的位置合わせ機構を使用して)達成されることが可能である。
【0050】
縁どりプロセスのあいだ、傾斜構造215が追加されることが可能である。傾斜215はv形に形づくられることが可能であり、また(たとえば続くステップのあいだの)さまざまなプロセスツールへの基板201の装着を容易にすることが可能である。受け入れ可能または所望の許容差は、たとえば、商業的に入手可能な(CNC)眼鏡レンズ型どりおよび縁どり設備を使用して、基板201を処理することによって達成されることが可能である。
【0051】
図5に戻って、前面基板202と背面基板201が縁どりされた後、それらはステップ502ないし508のためにクリーンルーム(たとえば少なくともクラス1000のクリーンルーム)に移動されることが可能である。ステップ502において、前面基板202と背面基板201がクリーニングおよびアニールされることが可能である。図8は、図5のステップ502としてより一般的に示された前面基板202と背面基板201をクリーニングおよびアニールするための動作ステップを示しているフローチャート800を提供する。
【0052】
図8に示されるように、クリーニングは、超音波洗浄剤洗浄でステップ801において始まることが可能である。超音波クリーニングユニットがステップ801において使用されることが可能である。一例としては、クリーニングユニットは、たとえば、ガーバーコバーンフリーウォッシュ(Gerber-Coburn Free Wash)などの洗浄剤で充てんされることが可能である。洗浄剤は、製造業者の説明書によるように脱イオン化された(DI)水で薄められることが可能である。クリーニングユニットの洗浄サイクルは、たとえば10〜15分間続くことが可能である。
【0053】
ステップ801における超音波洗浄剤洗浄の後、前面基板202と背面基板201は、ステップ802におけるすすぎサイクルのための第二の超音波ユニットに移動されることが可能である。すすぎサイクルはDI水を使用することが可能であり、たとえば10〜15分間続くことが可能である。ステップ803において、前面基板202と背面基板201は、非超音波すすぎを使用してさらにクリーニングされることが可能である。非超音波すすぎはDI水を使用することが可能であり、たとえば15〜25分間続くことが可能である。
【0054】
ステップ804において、前面基板202と背面基板201が、加熱循環空気で乾燥されることが可能である。前面基板202と背面基板201は、たとえばほぼ20分間乾燥されることが可能である。乾燥のための空気の温度は、乾燥を加速するために周囲よりも上に上げられることが可能である。しかしながら、空気の温度は、基板材料のガラス遷移温度(T)を超えないようにされることが可能である。単なる例として、三井MR−10のTはほぼ90℃である。したがって、循環空気のための適当な温度はほぼ80℃である。
【0055】
ステップ805において、前面基板202と背面基板201基板は、プラズマクリーニングユニットに移動されることが可能である。前面基板202と背面基板201基板は、たとえば任意の残余の有機表面汚染物質を除去するために、1ないし3分間、酸素プラズマに露出されることが可能である。ステップ806において、前面基板202と背面基板201は真空アニールに供されることが可能である。真空アニールで、前面基板202と背面基板201は真空下で徹底的に乾燥されることが可能であり、任意の揮発物が除去されることが可能である。ステップ804でのように、アニール温度は、基板材料のTの下に維持されることが可能である。さらに、所望の量の揮発物を放出するのに十分な時間の期間、真空が適用されることが可能である。単なる例として、三井MR−10が基板材料であれば、1mBarより低い圧力において少なくとも24時間の80℃での真空アニールが望ましいであろう。
【0056】
図5に戻って、ステップ502が完了した後、前面基板202と背面基板201は、ステップ503における動的電気活性機能を可能にする薄膜層を受け入れる準備ができている。図9は、図5のステップ503としてより一般的に示される動的電気活性回折光学パワー領域102の一部を形成することを助ける多数層を適用するための動作ステップを示しているフローチャート900を提供する。これらの層は、図9の説明が前面基板202と背面基板201の両方に適用されることが可能であるような対称的手法で背面基板201の凸状表面と前面基板202の凹状表面(すなわち合わせ面)に適用されることが可能である。図9に例証される任意のまたはすべてのステップは、周辺雰囲気に露出されることなく(すなわち真空下で)実行されることが可能である。
【0057】
図9に示されるように、ステップ901において、前面基板202と背面基板201は、酸素プラズマクリーニングを使用してクリーニングされることが可能である。クリーニングは、たとえばほぼ1ないし3分間、実行されることが可能である。ステップ902において、第一の薄膜層(たとえば図2の層203と204)が、基板に適用されることが可能である。第一の薄膜層は、絶縁材料であることが可能である。一例として、絶縁物質は、ほぼ20nmの電気的絶縁および実質的無色のSiOであることが可能である。絶縁層は、(たとえば、Arキャリヤーガスが標的からSiをスパッタリングし、それからOガスと反応して堆積されるSiO酸化物を形成するように)ArとOの混合物でSi標的を高周波(RF)スパッタリングすることによって適用されることが可能である。
【0058】
ステップ903において、導電性トレースが適用されることが可能である(たとえば図2の導電性トレース106と107)。基板は真空下にあるとき、トレース106と107は、図1に示されるようなラインを規定するシャドウマスクを介して第一の酸化物層203と204上に金属(たとえば、Au、AgまたはAl)または透明導電性酸化物(たとえばITOまたはZnO)の層をスパッタリングすることによって適用されることが可能である。トレース106と107の厚さは100nmよりも大きいことが可能であり、一例としては、縁を介した良い導通を可能にするために約1 mであることが可能である。
【0059】
基板が真空下にないとき、導電性トレース106と107は、第一の酸化物層203と204上にスクリーン印刷されたか、インクジェット印刷されたか、謄写されたかのいずれかの導電性インクまたは導電性接着剤で作られることが可能である。本発明の導電性トレース106と107はまた、関連分野の当業者によって理解されるように、水溶液から第一の酸化物層203と204上に金属にめっきすることによって形成されることが可能であり、導電性トレース106と107は、それぞれ、半可視基準マーク108と109に対してあらかじめ決められた位置に配置されることが可能である。
【0060】
ステップ904において、透明導電体(たとえば図2の層205と206)が適用されることが可能である。透明導電体はITOであることが可能であり、たとえばほぼ20nmの厚さを有していることが可能である。透明導電体層は、Arキャリヤーガスが標的から導電体材料をスパッタリングし、堆積導体層の光透過率と面積抵抗(Ω/□)をOガスが調整することが可能であるように、ArとOの混合物でITOの標的をDCスパッタリングすることによって適用されることが可能である。
【0061】
ステップ905において、次の薄膜層が適用されることが可能である(たとえば図2の層207と208)。次の層は絶縁層であることが可能である。一例としては、絶縁材料は、電気的絶縁性および実質的無色のSiOでることが可能であり、たとえばほぼ170nmの厚さを有していることが可能である。この絶縁層は、(たとえば、Arキャリヤーガスが標的からSiをスパッタリングし、それからOガスと反応して堆積されるSiO酸化物を形成するように)ArとOの混合物でSi標的をRFスパッタリングすることによって適用されることが可能である。
【0062】
本発明の一側面によると、導体層205と206は、導電性トレース106と107を適用する前に第一の酸化物層203と204上に直接適用されることが可能である。全体として、導電性トレース106と107は、導体層205と206の前または後に適用されることが可能であり、それらは隣接導体層に直接接触するように形成されて提供される。
【0063】
本発明の一側面によると、導電性層205と206のほかに前述の絶縁層207と208が、基板の全領域または表面に堆積されることが可能である。特に、絶縁層207と208と導電性層205と206は、任意の境界または縁の視認性を低減するパターニングなしで堆積されることが可能である。しかしながら、前面基板202と背面基板201の間の電気的短絡の可能性を低減するために、導電性層205と206はマスクを使用して堆積されることが可能である。あるいは、導電性層205と206の一部が、堆積の後に選択的に除去されることが可能である。
【0064】
図10Aと10Bは、本発明の一側面によると導電性層205と206の代表的な堆積を示している。図10Aに示されるように、導電性層材料は、境界1001と1002によって規定された領域一帯に堆積されなかった(またはそこから除去された)。したがって、導電性トレース106と107の間に反対の基板上に堆積された導電性層材料への導電性路が形成されていない。図10Bは、断面A−A’に対する図10Aに描かれたEASFLB100の側面図を示している。図10Bに示されるように、導電性トレース106の下方の背面基板201上の領域には導電性材料が欠けている。同様に、導電性トレース107の上方の前面基板202上の領域には導電性材料が欠けている。
【0065】
材料1003は、硬化された接着剤樹脂の層を表わしていることが可能である。硬化された接着剤樹脂1003は電気的に絶縁であることが可能である。しかしながら、EASFLB100の組み立てのあいだ、前面基板202と背面基板201が接触し、それによって電気的短絡をもたらす可能性があり得る。したがって、図10Aと10Bに示されるような導電性層205と206の堆積は、この可能性から保護することが可能である。さらに、EASFLB100が眼鏡レンズフレームに合うように縁どりされるとき、導電性トレース106と107の終端端部が、導電性材料の追加層(たとえば導電性インクまたは導電性接着剤)で被覆されることが可能である。導電性トレース106と107に隣接する領域の導電性層材料を除去することによって、前面基板202と背面基板201の間の電気的短絡を導入する導電性材料のこの追加層の危険が、さらに低減されることが可能である。
【0066】
層207と208の堆積の後、さらなる無機コーティングが適用される必要がない。したがって、層207と208の表面は、有機膜と接着剤と接合する能力を高めるように処理されることが可能である。図5に戻って、これはステップ504として示される。図11は、図5のステップ504としてより一般的に示される前面基板202と背面基板202に接着促進剤を適用するための動作ステップを示しているフローチャート1100を提供する。
【0067】
一例としては、層207と208は、たとえばダウコーニングZ−6030(γ−Methacryloxypropyltrimethoxysilane,CAS#2530−85−0)などの有機機能性(organofunctional)シランで処理されることが可能である。関連分野の当業者によって認められるように、有機機能性(organofunctional)シランは、無機の表面への有機化合物の接着を改善するために使用されることが可能である。
【0068】
図11に示されるように、ステップ1101において、シラン接着促進剤が準備されることが可能である。一例としては、促進剤は、シランが追加される前に(ダウコーニングZ−6030説明書にしたがって)水のpHが3.5ないし4.5の範囲内にあるように酢酸で調節されたほぼ0.1%ないし0.5%シランの水溶液であることが可能である。
【0069】
ステップ1102において、層207と208が酸素プラズマで処理されることが可能である。一例としては、層207と208は、ほぼ1ないし3分間、処理されることが可能である。ステップ1103において、絶縁層の表面が、シラン溶液で処理されることが可能である。シラン混合物の適用は、たとえばスピンプロセッサー(すなわちスピンコーター)で達成され得る。そのため、絶縁層の表面は、静止のプロセッサーでシラン溶液で水浸しにされ、それがプラズマ処理された絶縁表面に接合することを可能にすることが可能である。ステップ1104において、過剰溶液が脱水されることが可能である。
【0070】
ステップ1105において、任意の残余のシラン溶液が、水および/または溶剤(たとえばイソプロピルアルコール)を使用して、スピンプロセッサーの中で洗い流されることが可能である。ステップ1106において、基板が乾燥されることが可能である。基板は、たとえば、ほぼ80℃でほぼ15分のあいだ周辺雰囲気で乾燥されることが可能である。本発明の一側面によると、バッチ処理でシランを適用することが可能であり得る。バッチ処理で、いくつかの酸素プラズマで処理された絶縁層被覆基板が、チャンバーに装填されることが可能である。それから、シラン材料は、熱源および/または真空の手段によって気相に置かれる可能である。シラン材料は、絶縁層に接合することが可能にされることが可能である。そのようなバッチ処理は、絶縁層の表面が十分なシラン材料を蓄えて分子の単層で表面を覆うので、スループットを大幅に改善し、クリーニング工程1104と1105を潜在的に除去することが可能である。
【0071】
ステップ505において、図5に戻って、配向層209と210が適用されることが可能である。図12は、図5のステップ505としてより一般的に示される配向層209と210を適用するための動作ステップを示しているフローチャート1200を提供する。
【0072】
図12に示されるように、ステップ1201において、シラン処理された絶縁表面(すなわち絶縁層207と208)がマスキングされることが可能である。絶縁層207と208の一部を物理的にマスキングすることは、電気活性材料211に接する領域だけを配向材料が被覆することを可能にする。一例としては、(図1に示されたような)電気活性材料シール特徴103内の領域が被覆のために露出されることが可能である一方、絶縁層207と208の残りの部分が露出を防止するために被覆またはマスキングされることが可能である。マスクが容易に除去されることが可能であるように、シラン処理された絶縁表面に貧弱な接着を示すマスクが使用されることが可能である。さらに、マスクは、それから配向層209と210がスピンコートされることが可能である(たとえばエイブリーデニスンからのサインマスクライトブルー(Signmask light blue from Avery Dennison))溶剤に対して良い溶剤耐性を有していることが可能である。
【0073】
いったんマスクが適用されたならば、ステップ1202において、配向層209と210が溶液からスピンコートされることが可能である。一例としては、スピンコーティングは、2000〜4000rpmの範囲内の速度において30と90秒の間でおこなわれることが可能である。
【0074】
動的電気活性回折光学パワー領域102の改良性能は、たとえば回転対称電気活性材料211配向を表面浮彫回折構造213の円形特徴に提供することによって達成されることが可能である。したがって、本発明の一側面は、2008年4月11日に提出された米国特許出願12/101,264号に説明されるような直線偏光紫外線放射に材料を露出させることによって配向方向が決定されることが可能であるような配向材料の使用が考慮されている。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。光学的に処理されることが可能である材料は、Elsicon社(アメリカ,デラウェア)とRolicテクノロジーズ株式会社(スイス)から入手可能である。
【0075】
ステップ1203において、物理的マスクが除去されることが可能である。ステップ1204において、被覆された基板(たとえば基板201および/または202)が、過剰溶剤を追い払うために加熱されることが可能である、
一例としては、基板は、周辺雰囲気下でほぼ15分間ほぼ50℃まで加熱されることが可能である。
【0076】
図5に戻って、ステップ506において、電気活性材料211が配合されることが可能である。ステップ506は、EASFLB100の組み立て前の(すなわち基板201と202が合わせられる前の)最終ステップであることが可能である。図13は、図5のステップ506としてより一般的に示される、電気活性材料211を構築するための動作ステップを示しているフローチャート1300を提供する。
【0077】
電気活性材料211はコレステリック液晶(CLC)材料であることが可能である。CLC材料は、2008年1月22日に提出された米国出願12/018,048号に説明されるようなカイラルドーパント(CD)とのネマチック液晶(NLC)の混合物であることが可能である。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。ステップ1301において、選択されたNLCが、選択されたCDと混合されることが可能である。一例としては、NLCは、BL093またはMDA−98−1602(メルク)などの材料であることが可能であり、CDは、ZLI−4571またはMJ092239(メルク)などの材料であることが可能である。発明者による実証研究は、動的電気活性回折光学パワー領域102が活性でないときに低い回折効率を、動的電気活性回折光学パワー領域102が活性から非活性状態に移行するときに速いスイッチング速度を達成することに関して、2.25重量%CDを備えたNLCの混合物が好意的な結果を与えることを示した。
【0078】
ステップ1302において、電気活性材料混合物211が物理的に混合されることが可能である。一例としては、混合プロセスは、純のNLCのクリア温度より上の温度において最低12時間引き受けられることが可能である。MDA−98−1602のクリア温度が109℃であるので、ほぼ112℃よりも高い任意の温度が一般に使用されることが可能である。
【0079】
ステップ1304において、電気活性材料混合物211が脱気されることが可能である。一例としては、混合物の脱気は、周辺(すなわち室内)温度と(約10mBar以下の)低減圧力において少なくとも12時間引き受けられることが可能である。電気活性材料混合物211は、ガス除去の効率を高めるために脱気プロセスのあいだ、混合されるか別な方法でかき混ぜられる。
【0080】
図5に戻って、ステップ507と508は、基板201と202に適用される最終プロセス−すなわちEASFLB100を形成する基板201と202の電気活性材料211との組み立てを表わしている。累進光学パワー領域101に対するその正確な向きによる動的電気活性回折光学パワー領域102の所望の動作を確実にするために、累進光学パワー領域101に対する表面浮彫回折構造213の中心の位置が、ステップ507と508の全体にわたって決定および固定されることが可能である。
【0081】
上述したように、(たとえば図6のステップ609で)前面基板202が縁どりされるとき、累進光学パワー領域101の位置が、前面基板202の縁に対して既知の許容差内に固定されることが可能である。さらに、(たとえば図7のステップ707で)背面基板201が縁どりされるとき、表面浮彫回折構造213の中心が、背面基板201の縁に対して既知の許容差内に固定されることが可能である。これらのステップの結果、累進光学パワー領域101に対する表面浮彫回折構造213の整列は、基板201と202の単純な回転によって実施されることが可能である。
【0082】
図14は、前面基板202と背面基板201を整列させる代表的なプロセスを示している。図14Aは、前面基板202を示している。図14Bは、背面基板201を示している。図14Cは、図14Bの背面基板201の上に置かれた図14Aの前面基板201を示している。図14Cに示されるように、前面および背面基板201と202は同中心であることが可能である。しかしながら、図14Cにさらに示されるように、前面基板202は、図14Aに示されるその向きからわずかに右回りに回転されている。加えて、背面基板201は、図14Bに示されるその向きからわずかに左回りに回転されている。したがって、図14Cに示されるように、累進光学パワー領域101と動的電気活性回折光学パワー領域102が誤整列される。さらに、前面基板202と背面基板201の整列が誤整列される。
【0083】
累進光学パワー領域101と動的電気活性回折光学パワー領域102を適切に整列させるために(および前面基板202と背面基板201を適切に整列させるために)、前面および背面基板201と202がそれらの同中心を維持しながら回転されることが可能である。明確には、前面および背面基板201と202は、図1に示される半可視基準マーク108と109が整列されるように回転されることが可能である。半可視基準マーク108と109が適切に整列されるとき、図14Dに示されるように、表面浮彫回折構造213の中心は累進光学パワー領域101に対して適切な整列になるであろう。
【0084】
前面基板202と背面基板201の間の適切な整列を提供するために、前面および背面基板201と202をキャリヤに装着されることが可能である。キャリヤは、基板201と202が同中心に保たれ、それらの中心周りにそれらが正確な向きになる点まで回転され、適所にロックされる(たとえば所望の向きまたは整列でロックする)ことを可能にすることが可能である。これらのキャリヤは、それから、他の整列重要ステップの完成を支援する他のプロセスツールに装填されてよい。
【0085】
図15A〜Dは、EASFLB100の基板を保持するための代表的なキャリヤ1500を示している。図15Aは、キャリヤ1500の上面図を示している。図15Bは、キャリヤ1500の底面図を示している。キャリヤ1500は、固定された突起1501と調整可能な突起1502を備えていることが可能である。固定された突起1501と調整可能な突起1502はそれぞれ、基板の傾斜縁を受ける(図15Cと15Dで示される)くぼみ1503を有していることが可能である。調整可能な突起1502は、追加の固定された突起1504の間に配置されていることが可能である。固定された突起1504は、たとえばリニアベアリングなどの、調整可能な突起1502を並進移動させるための手段を包含していることが可能である。
【0086】
図15Cは、キャリヤ1500の第一の断面図を示している。明確には、図15Cは、図15Aに示された横断面B−B’を示している。図15Dは、キャリヤ1500の第二の断面図を示している。明確には、図15Dは、図15Aに示された横断面C−C’を示している。くぼみ1503の詳細は、図15Cと15Dによって提供される断面図に見られることが可能である。
【0087】
基板は、くぼみ1503のその傾斜(たとえば図2に示される傾斜214または215)によって適所に保持されることが可能である。くぼみ1503からの正圧は、たとえば他の固定された突起1504内に組み込まれた、たとえばスプリング負荷リニアベアリングに抗してスライドすることが可能である調整可能な突起1502によって維持されることが可能である。他のプロセスツール内のキャリヤ1500の整列は、穴とダボまたは運動学的装着手段によって実施されてよい。キャリヤ1500は、たとえば、プロセスツール内のダボに合うように設計された穴1505が用意されてよい。キャリヤ1500はまた、キャリヤ1500の下部の直径を低減することによって作り出された小さい棚1506によって別の同様のキャリヤ内にまたはプロセスツールマウント中に入れ子にされてよい。
【0088】
図5に描かれたステップ507を完了することは、前述のキャリヤ1500内に前面および背面基板201と202を装着することで始まることが可能である。図16は、図5のステップ507としてより一般的に示される配向層209と210を紫外光に露出させるための動作ステップを示しているフローチャート1600を提供する。
【0089】
ステップ1601において、前面および背面基板201と202が前述のキャリヤ1500内に装着されることが可能である。そうするために、キャリヤ1500の調整可能な突起1502が、基板が装填されることを可能にするために引き込まれることが可能である。ステップ1602において、キャリヤ1500が、光学的位置合わせツールに装着されることが可能である。光学的位置合わせツールは、半可視基準マーク(たとえば基準マーク108および/または109)を配置する電子視力システムを有することが可能である。ステップ1603において、一つ以上の基板が、所望の向きが基板間に達成されるまで回転されることが可能である。いったん基板が適切に向けられれば、キャリヤ1500の調整可能な突起1502が基板に接触してそれを適所に有効にロックすることが可能である。
【0090】
ステップ1604において、前面および背面基板201と202のためのキャリヤ1500が、配向層209と210を直線偏光UV放射に露出させるためのツールに装填されることが可能である。ステップ1605において、配向層209と210が偏光UV放射に露出されることが可能である。一例としては、配向層209と210は、2008年4月11日に提出された米国特許出願12/101,264号に説明されるような垂直または区分的垂直整列のいずれかを達成するくさび形状シャドウマスクを介して偏光UV放射に露出されることが可能である。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。
【0091】
配向層209と210は、電気活性材料211のプレチルト角が前面および背面基板201と202の表面に対して10°と20°の間にあることが可能であるように処理されることが可能である。一例としては、配向材料ROP−103(ロリックテクノロジーズ社(Rolic Technologies Ltd))が、基板表面法線から40°の方向に浜松LC8ランプから80mJ/cmの365nmUV放射に材料を露出させることによってこれらの結果を達成するために処理されてよい。ROP−103説明書によるように、前記ランプからの放射が、ワイヤーグリッド偏光子(Moxtek)によって偏光される前にUVCカットオフ・フィルター(スコット(Schott)WG295)とUV帯域フィルター((スコット(Schott)UG11)を通過されることが可能である。
【0092】
図17は、図5のステップ508としてより一般的に示されるEASFLB100を形成するために前面および背面基板201と202を組み立てるための動作ステップを示しているフローチャート1700を提供する。ステップ1701において、混合および脱気された電気活性材料混合物211の一部が、表面浮彫回折構造213上に供給される。電気活性材料混合物211がピペットによって供給されることが可能である。
【0093】
図18Aは、背面基板201上に供給されている(図18Aに素子1802として示された)電気活性材料混合物211のクローズアップ図を示している。図18Aに示されるように、背面基板201は背面基板キャリヤ1801に装填され整列されることが可能である。供給される電気活性材料混合物1802の量は、表面浮彫回折構造213を完全に充てんするために使用されることが可能である電気活性材料211の最終容積よりも多いことが可能である。単なる例として、発明者による実証研究は、ほぼ20 Lの電気活性混合物が、ほぼ22mm幅、14mm高さ、3.3 m深さである楕円形状表面浮彫回折構造を充てんするために十分であることを示した。
【0094】
ステップ1702において、前面基板キャリヤ1803に装填され整列された前面基板202が、キャリヤ装着背面基板201と初期接触して置かれることが可能である。前面および背面基板201と202の間の初期接触は、柔軟な組み立てであると見なされることが可能である。ステップ1702で説明された前面および背面基板201と202の柔軟な組み立てが図18Bに示される。
【0095】
図18Bに示されるように、前面基板202は前面基板キャリヤ1803内に配置されていることが可能である。二つのキャリヤ1801と1803は入れ子にされていることが可能であり、一例としては、前面基板キャリヤ1803の穴に入る背面基板キャリヤ1801に(図示されていない)ダボによって互いに対して整列されることが可能である。
【0096】
ステップ1701と1702は真空中で完了されることが可能である。真空が使用されないならば、ステップ1702の後、図18Bに示された前面および背面基板201と202の柔軟な組み立ては、さらなる組み立てステップに進められる前にステップ1703において脱気されることが可能である。
【0097】
ステップ1704において、柔軟な組み立ては(図示されていない)プレスに装填されることが可能である。柔軟な組み立ては、前面基板202が背面基板201に接触させられるようにプレスに装填されることが可能である。一例としては、プレスは、前面基板202を背面基板201に接触させる目的のための空気作動ピストンが装備されていることが可能である。図18Cは、背面基板201に接触させられている前面基板202を示している。
【0098】
ステップ1705において、等角圧縮パッドが、図18Cに示されるような表面浮彫回折構造213との重なり領域に置かれることが可能である。明確には、組立体に圧力を加える前に、第一の等角パッド1804が、表面浮彫回折構造213の領域にわたって前面基板201上に置かれることが可能である。さらに、第二の等角パッド1805が、組立体全体を支持するために背面基板201の下に置かれることが可能である。等角パッド1804は、表面浮彫回折構造213の形(たとえば楕円)であることが可能である。等角パッド1804はまた、図18Cに示されるように、それが電気活性材料211シール特徴103から四方八方にほぼ1mm突き出るように表面浮彫回折構造213よりわずかに大きいことが可能である。
【0099】
ステップ1706において、圧縮空気が空気ピストンに供給されることが可能である。空気ピストンに圧縮空気を供給することは、図18Cに示されるように前面および背面基板201と202を接触させることが可能である。図18Cに示されるように、圧力が等角パッド1804に加えられることが可能である。一例としては、発明者による実証研究は、ほぼ1バールの圧力の供給圧縮空気で、ほぼ32mmの直径のピストンを使用することが、ほぼ22mm幅で14mm高さの楕円形状表面浮彫回折構造のために設計された楕円形にほぼ24mm幅で16mm高さの楕円形状等角パッド1804を使用して二つの基板間の接触を達成することが可能であることを示した。等角パッド1804に力を加えることに加えて、追加力1806が、接着剤シール特徴105の上の領域に(いずれも図示されていない)第二のピストンと第三の等角パッドを介して加えられることが可能である。
【0100】
二つの基板201と202が接しているとき、電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105は、前面基板202の凹状後部表面に触れていることが可能である。この時点で、電気活性材料211の所望の容積が、表面浮彫回折構造213と前面基板202の間の供給電気活性材料1802を閉じ込めることによって決定された。さらに、接着剤穴301が規定されることが可能である。しかしながら、図18Cに示されるように、接着剤穴は、ステップ1706のあいだに表面浮彫回折構造213から押し出された過剰電気活性材料混合物1802で部分的に充てんされていることが可能である。
【0101】
本発明の一側面によれば、前面基板202の曲率半径は、背面基板201の曲率半径よりもわずかに大きいように形成されることが可能である。(たとえば背面基板201の曲率半径と実質的に等しい)所定の設計値よりもわずかに大きい曲率半径を有するように前面基板202を形成することによって、過剰液晶材料1802が、ステップ1706のあいだに表面浮彫回折構造213から効率良く押し出されることが可能である。さらに、背面基板201の曲率半径よりもわずかに大きい曲率半径を有するように前面基板202を形成することによって、所望の容積の電気活性材料211内に閉じ込められる空気または空気泡の量が最小にされるか実質的に除去されることが可能である。
【0102】
図19は、前面基板202の曲率半径をより詳しく示している。図19に示されるように、曲線1901は、組み立てのあいだに表面が電気活性材料シール特徴103と接着剤シール特徴105の頂点と実質的に同時に接触するように設計された曲率半径を有している前面基板202の凹状後部表面を表わしている。曲線1901は、背面基板201の曲率半径に実質的に等しい曲率半径を表わすことが可能である。
【0103】
曲線1901とは対照的に、前面基板202の実際の曲率半径は、(図19に前面基板202の凹状後部表面を表している実線によって示されるような)この値よりもわずかに大きいことが可能である。前面基板202の実際の曲率半径が曲線1901によって表わされる値よりもわずかに大きいとき、圧力が空気ピストンを介して加えられるときに(すなわち凹状後部表面304が接着剤シール特徴105に接触する前に)、凹状後部表面304が、表面浮彫回折構造213の中心において、供給電気活性材料211に最初に接触することが可能である。そうすることにより、さらに圧力が加えられたときに、過剰供給電気活性材料1802が外に(すなわち表面浮彫回折構造213の中心から周囲へ)押し出される。
【0104】
EASFLB100を組み立てそのようなアプローチの利益は多数ある。第一に、前面基板202の凹状後部表面304が電気活性材料シール特徴103と接触する前に、前面基板202の凹状後部表面304が過剰供給電気活性混合物1802のすべてではないにしてもほとんどを押し出すことが可能である。これは、表面浮彫回折構造213上に所望なように配置された所望の閉じ込め容積の電気活性材料211内に空気泡を閉じ込める危険を緩和することが可能である。第二に、このアプローチは、過剰供給電気活性材料1802を十分に押し出さない危険を緩和することが可能である。
【0105】
発明者による実証研究は、たとえば、前面基板202の曲率半径を2mmほど少しだけ増大させることが、電気活性材料211の容積内への空気閉じ込めの著しい減少をもたらすことが可能であることを示した。このアプローチを実行するために、余分な力が、前面基板202の凹状後部表面304を背面基板201上の接着剤シール特徴105に接触させるために必要とされることがある。
【0106】
図17に戻って、ステップ1707ないし1715は、組立プロセスの次の主要なステップに示している。明確には、ステップ1707ないし1715は、接着剤穴301から過剰供給電気活性材料混合物1802を除去しそれを接着剤樹脂に置き換えるためのプロセスを説明している。
【0107】
ステップ1707において、廃棄物収集リザーバーが充てん口104の一つに連結されることが可能である。ステップ1708において、クリーニング溶剤の供給源が他の充てん口104に連結されることが可能である。図20Aは、クリーニング溶剤の供給源または廃棄物収集リザーバーが充てん口104に連結されていることを示している。明確には、図20Aは、管材料2001が、UV硬化接着剤または粘着パッド2002を使用して充てん口104に接着されていることを示している。
【0108】
ステップ1709に、溶剤(たとえばアセトン)が、接着剤穴301を通って流されることが可能である。溶剤は、たとえば、工学流体供給(Engineered Fluid Dispensing)(EFD)から入手可能な供給システムなどの流体供給システムを使用して管材料2001を介して供給されることが可能である。関連分野の当業者によって理解されるように、溶剤は、あらゆる電気活性材料1802を接着剤穴301から押し出すために管材料2001を介して供給されることが可能である。特に、溶剤は、過剰電気活性材料1802を他の充てん口104に連結された廃棄物リザーバー中へ押し出すことが可能である。
【0109】
いったん過剰電気活性材料1802が十分に流されたならば、ステップ1710において、流体供給システムが管材料2001から切り離されることが可能である。さらに、ステップ1710において、クリーニング溶剤源が、清潔乾燥圧縮空気または他の不活性ガス源に置き換えられることが可能である。ステップ1711において、ステップ1709から導入された過剰溶剤を除去するために、選択ガスが接着剤穴301を通って流されることが可能である。
【0110】
ステップ1712において、清潔乾燥圧縮空気または他の不活性ガス源が管材料2001から切り離されことが可能である。さらに、ステップ1712において、接着剤樹脂1003を供給するための第二の流体供給システムが管材料2001に連結されることが可能である。ステップ1713において、接着剤穴301が選択的接着剤樹脂1003で充てんされることが可能である。接着剤穴301は、圧力下において接着剤樹脂1003で充てんされることが可能である。図20Bは、管材料2001からの接着剤樹脂1003が接着剤穴301を充てんすることを示している。
【0111】
硬化状態の接着剤樹脂1003の屈折率は、背面基板201を生成するために使用される材料の屈折率と実質的に一致することが可能である。一例としては、背面基板201が、屈折率が1.67の光井MR−10で構成されているならば、硬化状態の接着剤樹脂1003の屈折率は、この値から0.04未満だけ変更することが可能である。一般に、前面基板202と背面基板201を接合することが可能である任意の光学的に透明な接着剤樹脂が使用されることが可能である。たとえば、硬化状態で屈折率が1.505のOP−21(Dymax)が使用されることが可能である。さらに、OP−21樹脂が、管材料2001に連結された(図示されていない)23ゲージ(0.013”の内径)供給針を装備した圧縮空気作動供給注射器で供給されることが可能である。直径がほぼ22mmのプランジャーを備えた供給注射器に対して、0.3と1.0バールの間の圧力の圧縮空気が接着剤穴301をOP−21樹脂で充てんするのに十分である。樹脂充てんプロセスを加速するために、樹脂を供給する流体供給システムに連結されない充てん口104に真空が適用されてよい。
【0112】
ステップ1714と1715において、廃棄物収集リザーバーと接着剤樹脂1003を供給するための流体供給システムが交換されることが可能である。さらに、接着剤樹脂1003は、接着剤穴301を通って逆方向に流されることが可能である。ステップ1714と1715の実行は、接着剤穴301が接着剤樹脂1003で一様に充てんされる見込みを高めることが可能である。本発明の一側面によると、ステップ1708〜1711が除去されることが可能であるように過剰供給電気活性材料混合物1802を接着剤穴301から洗い流すために接着剤樹脂1003が使用されることが可能である。
【0113】
ステップ1716において、いったん接着剤穴301が実質的に充てんされたならば、接着剤樹脂1003は硬化されることが可能である。そうすることにより、前面基板202と背面基板201が共に接着されることが可能である。図20Cは、前面基板202と背面基板201が共に接着され接着剤樹脂1003が硬化されることを示している。
【0114】
接着剤1003は、紫外線および/または可視光2003を使用して硬化されることが可能である。接着剤1003はまた、熱または熱と光学的放射の組み合わせで硬化されることが可能である。一例としては、OP−21接着剤に対しては、硬化は、前面基板202を介してほぼ1.5分間、ブルーウェイブ(BlueWave)50硬化ランプの出力に樹脂を露出させることにより達成され得る。そして、光学的放射を使用して接着剤1003を硬化させるため、前面および背面基板201と202の少なくとも一つが、樹脂を硬化させるために必要とされる波長に対して少なくとも部分的に透明であることが可能である。
【0115】
ステップ1717において、接着剤1003が硬化した後、圧力が空気ピストンから取り除かれることが可能であり、組立EASFLB100がキャリヤ1801と1803から取り除かれることが可能である。
【0116】
前述のプロセスは、改良液晶シール特徴を有する電気活性レンズの製造を可能にする。特に、電気活性材料シール特徴103の配置と、液晶がその中に封入される(および接着剤穴301から取り除かれる)手法は、構造的保全が頑丈で電気活性材料シール特徴103の視認性が低減された生存可能なレンズの製造を確実にする。電気活性材料シール特徴103の視認性は、電気活性材料シール103を形成するために使用される材料の屈折率を電気活性材料211の屈折率および/またはEASFLB100の他のコンポーネントの屈折率に一致させることによってさらに低減されることが可能である。
【0117】
本発明の一側面によれば、電気活性材料211は、EASFLB100の組み立てのあいだに前面基板202上に供給されることが可能である。したがって、背面基板201は、EASFLB100の柔軟な組み立ておよび次の組み立てステップのあいだに前面基板202上に配置されることが可能である。
【0118】
EASFLB100を製造するための前述のプロセスは、手動でまたは半自動または完全自動手法で実施され得る多数のステップを有していることが可能である。たとえば完全自動システムでは、人間の技術者は、ラックに基板を装填するまたはステップ502におけるクリーニングの前の他の取り扱いをおこなうことが必要とされるだけであり得る。そして、ロボット設備がすべての残りの処理ステップを通して基板を移動させ、各処理ステップはたとえば設備の専用ピースによっておこなわれることが可能であろう。基板の整列が望まれるプロセス中の時点では、ロボット設備は、機械視覚システムと適切な整列を達成する他の基板取り扱い手段(たとえば多軸線形および回転電動移動ステージ)と一緒に働くことが可能である。たとえば半自動プロセスでは、人間の技術者は、処理ステップ間で基板を移動させるおよび/または設備のピース内に基板を装填することが必要とされ得る。しかしながら、各処理ステップは、設備のピースがそのタスクを完了させるために人間の技術者からの入力をほとんどまたはまったく必要とすることなく自動化されることが可能であろう。
【0119】
本発明の一側面によると、本発明の電気活性レンズは、二つ以上の基板を備えていることが可能である。さらに、本発明の一側面によると、本発明の電気活性レンズは、たとえば図3に示された構成とは異なる手法で整列または構成された基板を備えていることが可能である。
【0120】
図21は、本発明の一側面による第一の代表的な代替電気活性半完成レンズブランク(EASFLB)2100を示している。図21に示されるように、EASFLB2100は、背面基板2101と前面基板2103と中間基板2102を備えていることが可能である。背面基板2101と中間基板2102の両方は、それぞれ表面浮彫回折構造2114と2115と電気活性材料シール特徴2106と2107と接着剤シール特徴2104と2105を備えていることが可能である。EASFLB2100は、第一の容積の電気活性材料2110と第二の容積の電気活性材料2111を備えていることが可能である。EASFLB2100はまた、第一の容積の接着剤材料2112と第二の容積の接着剤材料2113を備えていることが可能である。第一の容積の接着剤材料2112は充てん口2108を介して追加されることが可能である。第二の容積の接着剤材料2113は充てん口2109を介して追加されることが可能である。
【0121】
EASFLB2100について図21に示されるように(およびEASFLB100について図3に示されたように)、構成する基板の凸状表面上で形成されるように、表面浮彫回折構造のほかに電気活性材料と接着剤材料を閉じ込めるための物理的シール特徴が示されている。しかしながら、本発明の一側面によると、また関連分野の当業者によって理解されるように、これらの特徴は、一つ以上の組成基板の対応凹状表面上に形成されることが可能である。
【0122】
図22は、本発明の一側面による第二の代表的な代替電気活性半完成レンズブランク(EASFLB)2200を示している。図22に示されるように、EASFLB2200は背面基板2201を備えていることが可能である。背面基板2201は、表面浮彫回折構造2206と電気活性材料シール特徴2204を備えていることが可能である。電気活性材料2203は、表面浮彫回折構造2206と電気活性材料シール特徴2204と薄基板2202の間に封入されることが可能である。背面基板2201と薄基板2202の凸状表面は、光学材料2205でオーバーモールドされることが可能である。光学材料2205は、適所に接着された第三の予備製造基板を備えていることが可能であり、または、代替的に、現場で硬化された液状樹脂の層を使用して形成されることが可能である。
【0123】
EASFLB2200は、接着剤シール特徴(たとえばEASFLB100の接着剤シール特徴103)の使用なしで組み立てられることが可能である。しかしながら、本発明の一側面によると、また関連分野の当業者によって理解されるように、接着剤シール特徴がEASFLB2200に含まれていることが可能である。たとえば、接着剤シール特徴は、基板2201と2202と、液状樹脂の層を硬化させて層2205を形成するときに使用される型の凹状表面との間に所望の距離を設定するのに有用であり得る。
【0124】
図23は、本発明の一側面による第三の代表的な代替電気活性半完成レンズブランク(EASFLB)2300を示している。図23に示されるように、EASFLB2300は、背面基板2301と前面基板2302を備えていることが可能である。背面基板2301は、表面浮彫回折構造2308と電気活性材料シール特徴2306と接着剤シール特徴2307を備えていることが可能である。前面基板2302は充てん口2303を備えていることが可能である。EASFLB2300は、EASFLB100について上に説明したものと同様の手法で大部分が組み立てられることが可能である。特に、液状接着剤樹脂が、充てん口2303を介して接着剤穴2304を充てんするために使用されることが可能である。しかしながら、液状接着剤樹脂は、電気活性材料の供給前に接着剤穴2304を充てんすることが可能である。明確には、前面および背面基板2301と2302が共に接着された後に、所望の容積の電気活性材料2305が、背面基板2301の一つ以上の電気活性材料充てん口2306を介して追加されることが可能である。
【0125】
電気活性材料2305の追加は圧力下でおこなわれることが可能である。たとえば、電気活性材料2305は、接着剤穴2304を充てんするために接着剤樹脂が追加されるのと同様の手法で(たとえば上に説明されたEASFLB100に関して説明されたように)追加されることが可能である。電気活性材料2305はまた、真空充てん方法によって追加されることが可能である。特に、EASFLB2300は、真空チャンバー中に置かれることが可能であり、チャンバーは排気されることが可能であり、そのまま真空下において、ある量の電気活性材料2305が、背面基板2301の凹状表面上の充てん口2308のおのおのの上の置かれることが可能である。それから、真空チャンバー中の圧力が雰囲気圧まで上げられることが可能である。周囲と表面浮彫回折構造2308上の空間との間の圧力差が、電気活性材料2305を表面浮彫回折構造2308上の所望の容積中に流れ込ませ充てんさせることが可能である。いったん所望の容積が実質的に充てんされたならば、電気活性材料充てん口2308は過剰電気活性材料でクリーニングされ、続いて好適な光学材料(たとえばUV硬化可能屈折率整合樹脂)でシールされることが可能である。
【0126】
いったん組み立てられたならば、本発明の電気活性レンズ(たとえばEASFLB100、2100、2200または2300、単純化のため、続く議論の代表的な設計としてEASFLB100が使用される)はさらに処理されることが可能である。図5に戻って、EASFLB100のさらなる処理はステップ509として示されている。ステップ509において、EASFLBの直径は、導電性トレース106と107を露出させるように低減されることが可能である。さらに、ステップ509は、EASFLB100の見かけを評価し、EASFLB100の光学的、電気活性および電気的性能を特徴づけることを有していることが可能である。
【0127】
図24は、図5のステップ509としてより一般的に示される本発明の一側面によるEASFLB100の最終処理のための動作ステップを示しているフローチャート2400を提供する。EASFLB100は、図24のステップの実行によって販売のためのその適応性が検査されることが可能である。さらに、図24に示されたいずれかのステップに失敗するEASFLB100は、ユーザーに供給することに適さない品質であると見なされることが可能である。
【0128】
ステップ2401において、枠工(cribbing)プロセスが実行されることが可能である。ステップ2401の枠工プロセスは、EASFLB100の新しい周囲縁を確立するためにEASFLB100の直径を低減することが可能である。枠工プロセスは、眼鏡レンズブランクを枠工するために専用に設計された機械、または関連分野の当業者によって理解されるような従来の眼鏡レンズ縁どり設備で実施されることが可能である、
EASFLB100の直径を低減することによって、導電性トレース106と107が露出されることが可能であり、EASFLB100の縁を介してアクセス可能にされることが可能である。さらに、EASFLB100の直径を低減することは、充てん口104と接着剤シール特徴105を除去することが可能ある。
【0129】
図25は、枠工前のEASFLB100の新しい周囲縁2501の配置を示している。図25に示されるように、新しい周囲縁2501の配置は、導電性トレース106と107を露出させることが可能であり、充てん口104と接着剤シール特徴105を構成しているレンズ材料を除去することが可能である。
【0130】
図26Aは、直径が低減されたEASFLB100(すなわち枠工されたEASFLB100)を示している。図26Aに示されるように、導電性トレースは新しい周囲縁2501まで延びている。図26Aに示されている新しい周囲縁2501は、EASFLB100の(図示されていない)元の直径と同中心になるように示されているが、そのように限定されない。すなわち、新しい周囲縁2501は、(すなわち枠工前の)EASFLB100の元の中心と異なるEASFLB100の新しい中心を導入することが可能である。関連分野の当業者に認められるように、物品の中心と新しい周囲縁の中心の間に水平および/または鉛直のオフセットが生じるように半完成レンズブランクを枠工することは、患者の右または左の目のいずれかのための眼鏡レンズに作るために最適化された半完成レンズブランクを生成するために日常的に使用されている。
【0131】
ステップ2402において、導電性材料が、ステップ2401の枠工プロセスの結果として導電性トレース106と107が露出された地点においてEASFLB100の周囲縁に適用されることが可能である。導電性材料は、導電性ペイント、インクまたは接着剤であることが可能である。ステップ2402において導電性材料を適用することは、動的電気活性回折光学パワー領域102の活性化のための鈍い接続ピンまたは電導性エラストマーパッドを介してEASFLB100の端における電気的導通を容易にすることが可能である。
【0132】
図26Bは、図26Aに描かれたEASFLB100の側面図を示している。図26Bに示されるように、導電性材料2601が、露出された導電性トレース106−Bの上に適用されることが可能であり、また導電性材料2602が、露出された導電性トレース106−Bの上の適用されることが可能である。
【0133】
ステップ2402の後、枠工されたEASFLB100の検査と特徴づけが実行されることが可能である。ステップ2403において、見かけ検査が実行されることが可能である。見かけ検査は、組み立てプロセスのあいだに導入された見かけの欠陥を明らかにする検査を有することが可能である。物品が拒絶されるようにすることが可能である欠陥は、これらに限定されないが、
引っかき傷および掘り、内部塗布層(たとえばITO)から過剰な染色、供給電気活性材料1802の電気活性シール特徴103の外からの不完全な除去、動的電気活性回折光学パワー領域102内の電気活性材料211の不十分な整列を含んでいる。
【0134】
ステップ2404において、動的電気活性回折光学パワー領域102の光学特性が試験され特徴づけられることが可能である。。このステップでは、製造物品は、たとえば、その回折効率(活性化および不活性化状態)、光学パワー、曇り、明瞭さ、透過率、(後述する)スイッチングおよびクリア時間、累進光学パワー領域101に対する整列に関して特徴づけられることが可能である。
【0135】
ステップ2405において、動的電気活性回折光学パワー領域102の電気絶縁性が試験され特徴づけられることが可能である。このステップでは、物品は、その並列抵抗、直列抵抗、および活性化および不活性化状態の両方における容量について特徴づけられることが可能である。それから、ステップ2403ないし2405で実行された試験と検査に合格する物品が、ユーザーに供給するのにふさわしいと見なされることが可能である。たとえば、ステップ2406において、ステップ2403ないし2405で確認された品質要求を満たす物品が顧客に輸送されることが可能である。
【0136】
EASFLB100は、完成眼鏡レンズへさらに処理されることが可能である。明確には、EASFLB100は、特定のユーザーの光学パワー必要条件を満たすように修正されることが可能であり、眼鏡フレームに装着するのにふさわしい手法で縁どりされることが可能である。眼鏡フレームは、動的電気活性回折光学パワー領域102の動作の管理するための対応電子機器が装備されていることが可能である。
【0137】
第一のステップとして、特定のユーザーの遠見視力処方が、EASFLB100の背面に形成されることが可能である。ユーザーの遠見処方は、従来の研削および研磨またはデジタル表面仕上げまたは研磨(すなわち自由形成)を含む既知の方法を使用して背面に形成されることが可能である。ユーザーの遠見処方がEASFLB100の背面に形成されるとき、EASFLB100は、本発明の一側面による電気活性完成レンズブランクまたはEAFLBであると見なされることが可能である。
【0138】
前の発明の一側面によると(また前に説明されたように)、EASFLB100の前面基板202の凸状表面は累進光学パワー領域101を備えていなくてもよい。代わりに、累進光学パワー領域101は、関連分野の当業者によって認められるように、(たとえばユーザー遠見視力処方に加えて)自由形成によってEASFLB100の背面上に導入されることが可能である。さらに、本発明の一側面によると、EASFLB100は、(たとえばモールドによってまたは自由形成によって形成された)EASFLB100の前表面上に第一の累進光学パワー領域と、(たとえばモールドによってまたは自由形成によって形成された)EASFLB100の背面上に形成された第二の累進光学パワー領域を有していることが可能である。
【0139】
本発明によるEAFLBを形成するためにEASFLB100の後面を表面仕上げし研磨した後、EAFLBの両表面は、これらに限定されないが、たとえばスクラッチ耐性コーティング、反射防止コーティング、反汚れるコーティングおよびクッションコーティングを含む一連のコーティングを受けることが可能である。
【0140】
EAFLBとしての、表面仕上げされ研磨され被覆されたEASFLB100は、眼鏡フレームに合うように続いて縁どりされることが可能である。図27は、枠工され表面仕上げされ被覆されたEASFLB100の平面図を示している。輪郭2701は、枠工され表面仕上げされ被覆されたEASFLB100から形成されることが可能であるユーザーの右眼用に縁どりされた眼鏡レンズの外周を示している。図27に示されるように、導電性トレース106−Aと107−Aの一部が、動的電気活性回折光学パワー領域102への電気的導通を可能にするために縁どり後に残っている。対照的に、導電性トレース106−Bと107−Bは完全に除去されていることが可能である。
【0141】
(導電性トレース106−A、106−B、107−Aおよび107−Bとして示される)導電性トレース106と107は、組み立てのあいだEASFLB100のいずれかの側方に配置されていることが可能であるので、枠工され表面仕上げされ被覆されたEASFLB100は、右眼または左眼レンズのいずれかのために縁どりされることが可能であることに注意されたい。しかしながら、本発明の一側面によると、EASFLB100は、一組の導電性トレースだけを備えて(すなわちトレース106−Aと107−Aだけまたはトレース106−Bと107−Bだけの一方を備えて)組み立てられることが可能である。そのように組み立てられるとき、EASFLB100は、どの対のトレースがEASFLB100に含まれているか、どの対のトレースが組み立てのあいだに落とされるかに依存して、右眼レンズまたは左眼レンズとして排他的に縁どりするために製造されることが可能である。
【0142】
図27に描かれた枠工され表面仕上げされ被覆されたEASFLB100は、標準的眼鏡レンズ縁どり設備を使用して縁どりされることが可能である。縁どりのあいだ、レンズの縁は、たとえば研削されるか、研磨されるか、傾斜が付けられるか、溝が彫られるかされることが可能であり、レンズはまた、縁なしまたは3ピース眼鏡フレームのために穴あけされてもよい。
【0143】
図28は、本発明の完成縁どり眼鏡レンズ2700を示している。完成眼鏡レンズ2700は、外周2701を備えていることが可能であり、初期組立EASFLB100から生成されることが可能である。縁どりの後、図24のフローチャート2400のステップ2402で説明されるのと同様にして、導電性ペイント、インクまたは接着剤が、縁どりプロセスのあいだに導電性トレース106−Aと107−Aが露出された地点において完成レンズ2700の周囲縁に適用されることが可能である。前に説明されたように、この手法で導電性材料を適用することは、動的電気活性回折光学パワー領域102の活性化のための鈍い接続ピンまたは電導性エラストマーパッドを介してレンズ2700の端における電気的導通を容易にすることが可能である。
【0144】
本発明の一側面によると、透明導電体206と207は、電気的導電性トレース106と107を介して(図示されていない)コントローラーに電気的に連結されることが可能である。コントローラーは、フレームに適合するように処理されたEASFLB100(たとえば完成レンズ2800)を保持するまたは閉じ込めるフレーム上に配置されていることが可能である。コントローラーは、配向層209と210のほかに電気活性材料211を横切って電界を形成させるようにあらかじめ決められた電圧を透明導電体206と207に印加することが可能である。電界は、電気活性材料211の分子の向きを変化させ、それによって電気活性材料211の屈折率を変化させることが可能である。
【0145】
EASFLB100の動的電気活性回折光学パワー領域102内に閉じ込められている電気活性材料211の屈折率の変化は、回折効率の変調によって光学パワーの変化を引き起こすようにあらかじめ決められている。導体206と207に電圧が印加されないとき、電気活性材料211の屈折率が、表面浮彫回折構造213の屈折率と一致していることが可能である。したがって、光学的位相遅れは生成されず、光は合焦されない(すなわち、設計焦点距離における回折効率または対応光学パワーはゼロである)。導体206と207に所定の電圧が印加されたとき、電気活性材料211の屈折率が、表面浮彫回折構造213の屈折率と相違していることが可能である。したがって、ほぼすべての入射光を設計光学パワー(すなわち設計焦点距離または対応光学パワーにおいてほぼ100%の回折効率)に合焦させるための光学的位相遅れが生成される。したがって、導体206と207に印加される電圧のオンオフを切り替えることによって、EASFLB100の電気活性素子の光学パワーのオンオフが同様に切り替えられ、これにより、それぞれ、電気活性素子の回折効率を最大および最小値の間で変調する。
【0146】
図2に示されるように、動的電気活性回折光学パワー領域102は累進追加光学パワー領域101と光通信状態にある。累進追加光学パワー領域101が、ユーザーの総必要近距離光学パワー矯正よりも小さい光学パワーをユーザーに提供することが可能である。動的電気活性回折光学パワー領域102が、ユーザーの総必要近距離光学パワー矯正よりも小さい光学パワーを(たとえばオンされたときに)提供することも可能である。しかしながら、併用して使用されるとき、動的電気活性回折光学パワー領域102によって提供される光学パワーは、ユーザーの総必要近距離光学パワー矯正と実質的に等しい複合光学パワーを提供するように累進追加光学パワー領域101によって提供される光学パワーと組み合わされることが可能である。そのため、累進追加光学パワー領域101が第一の増大追加パワーを提供すると見なされることが可能であり、また動的電気活性回折光学パワー領域102が第二の増大追加パワーを提供すると見なされることが可能である。したがって、第一と第二の増大追加パワーの合わさった合計が、ユーザーの総必要近距離光学パワーになることが可能である。全体として、第一の増大追加パワーが、ユーザーの総必要近距離光学パワーの任意の一部または断片であることが可能であり、第二の増大追加パワーが任意の補足部分であることが可能である。
【0147】
累進追加光学パワー領域101の光学パワーを補足する動的電気活性回折光学パワー領域102を使用することは、累進追加光学パワー領域101によって提供されるべき全体的光学パワーを低減することが可能である。累進追加光学パワー領域からの不所望な非点収差は、累進追加領域の総追加パワーの関数として線形の割合よりも大きい増加が知られているので、累進追加光学パワー領域101の光学パワーを補足することは、それらの非点収差と、たとえばひずみや知覚の曇り、スイムなどの他の不所望な影響を低減する。
【0148】
EASFLB100(したがって完成レンズ2800)は一つ以上の視力ゾーンを備えていることが可能である。たとえば、EASFLB100は、一つの遠見視力ゾーンと一つ以上の中間視力ゾーンと一つの近方視力ゾーンを備えていることが可能である。近方視力ゾーンは、動的電気活性回折光学パワー領域102によって提供される光学パワーと組み合わって累進追加光学パワー領域101の近方追加パワー領域の重なりによって形成されることが可能である。一つ以上の中間視力ゾーンは、動的電気活性回折光学パワー領域102によって提供される光学パワーと組み合わって累進追加光学パワー領域101の非近方追加パワー領域の重なりによって形成されることが可能である。遠見視力ゾーンは、(たとえば累進追加光学パワー領域101も動的電気活性回折光学パワー領域102も遠見視力ゾーンの光学パワーに寄与しないような)前面基板202と背面基板201によって提供される光学パワーによって形成されることが可能である。
【0149】
EASFLB100は、動的電気活性回折光学パワー領域102を有しているだけのように製造されることが可能である。それから、一つ以上の累進追加光学パワー領域が、EASFLB100の次の処理と表面仕上げのあいだに追加されることが可能である。たとえば、一つ以上の累進追加光学的領域が、自由形成によって追加されることが可能である。加えて、EASFLB100は、フレネル構造を有している電気活性素子を備えて製造されることが可能である。
【0150】
前述したように、動的電気活性回折光学パワー領域102を活性化および不活性化するためにコントローラーが使用されることが可能である。動的電気活性回折光学パワー領域102をオフ状態からオン状態へ、またオン状態からオフ状態へ切り替える間に経過する時間が、動的電気活性回折光学パワー領域102の切り替え時間(またはより一般にEASFLB100/完成レンズ2800の切り替え時間)であると見なされることが可能である。オフ状態−オン状態切り替え時間は、オフ状態−オン状態切り替え時間と相違していることが可能である。オフ状態では、動的電気活性回折光学パワー領域102が第一の光学パワー値および/または第一の回折効率値を提供すると見なされることが可能である。オン状態では、動的電気活性回折光学パワー領域102が第二の光学パワー値および/または第二の回折効率値を提供すると見なされることが可能である。オン状態−オフ状態切り替え時間は、動的電気活性回折光学パワー領域102があらゆる曇り(たとえばドメイン回位)が実質的になくなる前に経過する時を含んでいることが可能である。
【0151】
電圧波形の印加と除去への電気活性材料211の分子の内因性応答時間と、切り替えプロセスのあいだに形成されるドメイン回位(たとえば曇り)のクリア時間は、動的電気活性回折光学パワー領域102の切り替え速度の大部分を決定することが可能である。電気活性材料211の内因性応答時間とドメイン回位のクリア時間は、必ずしも付加的ではない(すなわち、これらの時間は同時に走るまたは生じることが可能である)。
【0152】
切り替え速度に影響を及ぼすことが可能である要因は、動的電気活性回折光学パワー領域102のRC時定数、選択電気活性材料211の粘度、任意のカイラルドーパントの濃度、電気活性材料211の層の厚さ、電気活性材料211のプレチルト角を含んでいることが可能である。動的電気活性回折光学パワー領域102の容量は、電気活性材料211の誘電率によって決定されることが可能である。動的電気活性回折光学パワー領域102の抵抗は、導体206と207の抵抗と、導電性トレース106と107の抵抗、レンズを活性化するために使用される電子機器への電気的相互連結と内部抵抗による抵抗によって決定されることが可能である。
【0153】
本発明の一側面によれば、電気活性材料211のプレチルト角が、前面基板202と背面基板201の表面に対して10°と20°の間にあることが可能である。上述したように、配向材料(たとえば配向層209と210)は、所望の結果を達成するように処理されることが可能である。一般に、電気活性材料211分子の内因性応答時間とクリア時間は厚さとほぼ二次であるので、電気活性材料211の厚さは、切り替え速度を決定する支配要因であることが可能である。
【0154】
動的電気活性回折光学パワー領域102の一部が図29に示されている。図29に示されるように、電気活性材料211の総厚さは「d」として示される。この総厚さは、表面浮彫回折構造213の深さ「d」と、表面浮彫回折構造213のピークと(図29に図示されていない)配向層209の間の任意のギャップ「d」の総和であることが可能である。一例としては、表面浮彫回折構造213の深さdはほぼ3.3 mであることが可能であり、余分なギャップdは1 m以下(たとえばゼロ)に維持されることが可能である。
【0155】
オフ状態からオン状態に切り替えるために、電圧波形が、前に説明されたように適用されることが可能である。一例としては、電圧波形は、周波数が20Hzと100Hzの間にありピーク間電圧が10ボルトと30ボルトの間にあるゼロDCバイアス矩形波であることが可能である。上記代表的設計深さに基づけば、電気活性材料211分子の内因性応答時間とドメイン回位のクリア時間による切り替え時間への寄与は両方とも100ミリ秒(0.1s)未満である。これは、ほぼ100ミリ秒未満の全切り替え時間を与えることが可能である。この結果は、表面浮彫回折構造213の深さdがほぼ3.3mであり、電気活性材料211が2.25重量%ZLI−4571を備えたMDA−98−1602である本発明の一側面によると達成されることが可能である。
【0156】
オン状態からオフ状態に切り替えるために、電圧波形が除去されることが可能であり、導体206と207が蓄積電荷を消すために駆動電子機器を介して電気的に短絡されることが可能である。この筋書き下では、電圧波形の除去に対する電気活性材料211の分子の内因性応答時間は、今までどおり100ミリ秒未満であることが可能である。しかしながら、ドメイン回位のクリア時間は、(一般に電気活性材料211を駆動する印加電圧がないために)より長いことがあり、一般にオン状態−オフ状態切り替え時間を決定する制限因子である。このクリア時間は、電気活性材料211の厚さdと、電気活性材料211中のカイラルドーパントの濃度に強く依存することが可能である。本発明の一側面によれば、クリア時間は、3.3 m未満(一般に4.0 m未満)の表面浮彫回折構造の深さdと、2.5重量%未満のカイラルドーパントの濃度を維持することによって、ほぼ250ミリ秒よりも短く維持され得る。
【0157】
クリア時間は、表面浮彫回折構造213の深さを低減することによって(すなわち図29に描かれたdを低減することによって)減少されることが可能である。表面浮彫回折構造213の深さを低減する方法は、不連続を滑らかにし、2008年3月24日に提出された米国特許出願12/054.313号に説明されるような表面浮彫回折構造213を備えている側壁を傾斜させることを含んでいることが可能である。出願は、そのまま参照によってこれによって組み込まれる。
【0158】
図30Aは、ローカル格子周期と深さdを有している代表的な理想的表面浮彫回折構造3001を示している。理想的表面浮彫回折構造3001は、理論的に100%の回折効率を提供することが可能である。理想的表面浮彫回折構造3001は、それら不連続部における貧弱な液晶配向のために光学的散乱を引き起こす不連続部を備えている。これらの不連続部を滑らかにすることによって、また理想的表面浮彫回折構造2001の鉛直側壁をさらに傾斜させることによって、液晶配向が改善されることが可能であり、光学的散乱が低減されることが可能である。
【0159】
図30Bは、滑らかにされた不連続と傾斜された鉛直側壁を有している滑らかにされた表面浮彫回折構造3002を示している。滑らかにされた表面浮彫回折構造3002は、図30Aに描かれた構造に対して改善された液晶配向と低減された光学的散乱を示すことが可能である。改善された性能は、非理想的位相プロファイルを導入する幅の領域のために回折効率に対するわずかなコストで得られる。しかしながら、この滑らかにすることは、深さをdからd’まで低減させることが可能である。その結果、クリア時間が低減されることが可能である。図30Cは、各設計アプローチの差を明白に示すために、理想的表面浮彫回折構造3001を、滑らかにされた表面浮彫回折構造3002と比較して示している。
【0160】
図31Aは、第二の滑らかにされた表面浮彫回折構造3102を示している。第一の滑らかにされた表面浮彫回折構造3002に対して、第二の滑らかにされた表面浮彫回折構造3102の側壁を滑らかにするおよび/または傾斜させる程度が低減されることが可能であり、平たん領域3103が表面浮彫プロファイルのトラフに導入されることが可能である。
【0161】
図31Bは、各設計アプローチの差を明白に示すために、理想的表面浮彫回折構造3001を、滑らかにされた表面浮彫回折構造3102と比較して示している。図30と31に描かれた表面浮彫回折構造については、d”<d’<d。その結果、表面浮彫回折構造3102は、切り替えおよびクリア時間のなおさらなる減少をもたらすことが可能である。さらに、図30と31に描かれた表面浮彫回折構造については、 ’> (すなわち、非理想的位相プロファイルの領域の幅が、表面浮彫回折構造3002と比較して表面浮彫回折構造3102の方が大きい)。しかしながら、全体として、表面浮彫回折構造3102によって経験される回折効率の減少は、表面浮彫回折構造3002によって経験される回折効率の減少よりも少ないことが可能である。
【0162】
[むすび]
本発明のさまざまな実施形態が上に説明されたが、それらは例としてまた限定としてではなく示されていると理解されるべきである。形式と詳細の変更は発明の趣旨と要旨から逸脱することなく、形態と詳細のさまざまな変更がそれらに成されることが可能であることは関連技術の当業者には明白であろう。したがって、本発明は、続く請求の範囲とそれらの等価物にしたがってのみ規定されるべきである。
【0163】
全体として、本発明は、未完成レンズブランク、半完成レンズブランク、完成レンズブランク、縁どりされたレンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、角膜インレーまたは角膜オンレーとして具体化されることが可能である。
【0164】
発明は、含まれるフローチャートによって提供される動作説明に限定されない。もっと正確に言えば、他の動作コントロールフローが本発明の趣旨と要旨内にあることは、ここの教示から関連技術の当業者には明白であろう。関連技術の当業者によって理解されるように、コントロールステップは追加または除去されることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基板を形成することと、
表面浮彫回折構造と電気活性材料シール構造と接着剤シール構造を備えている第二の基板を形成することと、
前記第一の基板と前記第二の基板を位置決めして接着剤穴を形成するとともに前記表面浮彫回折構造を覆って電気活性材料を閉じ込めることと、
前記接着剤穴を接着剤で充てんすることと、
接着剤を硬化させて前記第一の基板を前記第二の基板に接着してレンズを形成することを備えている方法。
【請求項2】
累進追加光学パワー領域を備えるように前記第一の基板を形成することをさらに備えている請求項1の方法。
【請求項3】
前記第一の基板と前記第二の基板を位置決めする前に前記表面浮彫回折構造上に電気活性材料を供給することをさらに備えている請求項1の方法。
【請求項4】
位置決めすることがさらに、前記前面基板と前記背面基板と前記電気活性材料シール構造と前記接着剤シール構造の間に前記接着剤穴を形成することを備えている請求項1の方法。
【請求項5】
位置決めすることがさらに、前記表面浮彫回折構造と前記前面基板と前記電気活性材料シール構造の間に前記電気活性材料を閉じ込めることを備えている請求項1の方法。
【請求項6】
前記第一の基板を形成することが、前記第二の基板の曲率半径よりも少なくとも2mm大きい曲率半径を有するように前記第一の基板を形成することを備えている請求項1の方法。
【請求項7】
前記レンズの縁にある前記第一のおよび第二の基板の間に配置された一つ以上の電気的端子を露出させるために前記レンズを縁どりすることをさらに備えている請求項1の方法
【請求項8】
第一の基板と、
表面浮彫回折構造と、前記表面浮彫回折構造の周りの電気活性材料シール構造と、その第二の基板の周囲の周りの接着剤材料シール構造を備えている第二の基板と、
前記表面浮彫回折構造と前記第一の基板と前記電気活性材料シール構造によって閉じ込められた電気活性材料と、
前記第一の基板と前記第二の基板と前記電気活性材料シール構造と前記接着剤材料シール構造によって閉じ込められた、前記第一の基板を前記第二の基板に接着する接着剤材料を備えているレンズ。
【請求項9】
前記第一の基板が、累進追加光学パワー領域を備えている請求項8のレンズ。
【請求項10】
前記第一の基板が、前記電気活性材料シール構造と前記接着剤材料シール構造においてのみ前記第二の基板と物理的接触状態にある請求項8のレンズ。
【請求項11】
前記第一のおよび第二基板の一方が一つ以上の充てん口を備えている請求項8のレンズ。
【請求項12】
前記第一の基板の曲率半径が、前記第二の基板の曲率半径よりも少なくとも2mm大きい請求項8のレンズ。
【請求項13】
前記レンズが、前記第一と第二の基板の間に配置された前記レンズの縁にある一つ以上の電気的端子を備えている請求項8のレンズ。
【請求項14】
第一の増大追加パワーを提供する電気活性素子と、
第二の増大追加パワー領域を提供する累進追加光学パワー領域を備えており、前記電気活性素子と前記累進追加光学的領域は光通信状態にあり、前記電気活性素子はほぼ250ミリ秒(ms)未満でオン状態からオフ状態に移行する電気活性レンズ。
【請求項15】
前記オフ状態は、実質的に曇りがない請求項14の電気活性レンズ。
【請求項16】
前記電気活性素子が、前記オフ状態で第一の光学パワーを、前記オン状態で第二の光学パワーを提供する請求項14の電気活性レンズ。
【請求項17】
電気活性レンズが、
電気活性材料と、
一つ以上の透明電極と、
基板と、
一つ以上の配向層を備えている請求項14の電気活性レンズ。
【請求項18】
前記基板が、表面浮彫回折構造と電気活性シール構造と接着剤シール構造を備えている請求項17の電気活性レンズ。
【請求項19】
前記オフ状態での前記基板の回折効率がほぼ0%であり、前記オン状態での前記基板の回折効率がほぼ100%である請求項18の電気活性レンズ。
【請求項20】
前記電気活性材料がコレステリック液晶である請求項17の電気活性レンズ。
【請求項21】
前記電気活性素子が、ほぼ100ミリ秒(ms)未満でオフ状態からオフ状態に移行する請求項14の電気活性レンズ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図30C】
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【図31A】
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【図31B】
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【公表番号】特表2011−516927(P2011−516927A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504231(P2011−504231)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/040300
【国際公開番号】WO2009/126946
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(508366570)ピクセルオプティクス, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】