説明

電気湯沸かし器

【課題】毎回、濃度、味の変動を抑えたコーヒーが抽出できる電気湯沸かし器を提供する。
【解決手段】湯を出湯口2から出湯させる出湯手段3と、出湯手段3を手動で動作させる出湯スイッチ3cと、出湯口2の直下のコーヒー抽出器9に自動で湯を注ぐために出湯手段3を制御する自動出湯制御手段4と、コーヒー抽出用の出湯を開始させる抽出開始スイッチ5と、コーヒー粉面までの距離を測定する抽出面検出手段6を備え、自動出湯制御手段4は、蒸らし用のお湯を出湯するファーストドリップ工程と、蒸らし用のお湯を任意に追加給湯することができる手動出湯工程と、出湯を停止して蒸らしを行う蒸らし工程と、本抽出を行うセカンドドリップ工程で構成されたコーヒー抽出シーケンスと、抽出面検出手段6で検出された距離に基づいて、出湯流量、出湯時間、出湯タイミングを自動制御し、かつ手動出湯工程時に注いだ湯量を、自動制御する出湯量から除くように補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気湯沸かし器に関するもので、特に、湯沸かし容器内の湯を使用してコーヒーを自動で抽出することができるコーヒー抽出機能付き電気湯沸かし器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ペーパーフィルターを使用したドリップ式のレギュラーコーヒー抽出器にお湯を注ぎ易いように考慮されたコーヒー抽出機能付きの電気湯沸かし器が提案されている。従来のこの種の電気湯沸かし器は、出湯スイッチを押下した時の出湯流量を通常より少なくしてコーヒー粉が飛び散らないようにしたものや、自動で一定量出湯して、湯の入れ過ぎを防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−111327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような自動で一定量出湯する従来の電気湯沸かし器の構成では、蒸らしを行うことまでは自動で行われておらず、また粉の鮮度に応じた出湯流量調整も行われていない。すなわち、焙煎して間もない豆の挽き立ての粉であれば抽出時の粉の膨らみが大きいため流量が多過ぎると抽出器からコーヒーが溢れてしまう。また、抽出パターンが固定されているため、カップ数が変われば出来上がりの味が変わってしまう。また、予め決められた出湯シーケンスに従って自動出湯するため、コーヒーの濃度や味に大きく影響する蒸らし用の湯のコーヒー粉への注ぎ方が粉に均一に注がれなかった場合にコーヒーの濃度、味が毎回変動してしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、コーヒーが全て抽出し終わるまで抽出シーケンスに従って自動で出湯し、かつコーヒー粉の膨らみを検知してコーヒー抽出器からコーヒーが溢れないように出湯流量も自動で調節し、カップ数が変わっても味が変わらない安定したコーヒーを自動で抽出し、尚かつ自動で出湯抽出中においても、使用者が任意に蒸らし用のお湯を追加で注ぐことができる手動出湯の機能を付加したコーヒー抽出機能付の電気湯沸かし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気湯沸かし器は、湯を沸かして保温する湯沸かし容器と、前記湯沸かし容器内の湯を出湯口から出湯させる出湯手段と、前記出湯手段を手動で動作させる出湯スイッチと、前記出湯口の直下に設置したコーヒー抽出器に自動で湯を注ぐために前記出湯手段を制御する自動出湯制御手段と、前記コーヒー抽出器が設置されたことを検知するコーヒー抽出器検知手段と、コーヒーの抽出専用の出湯を開始させる抽出開始スイッチと、コーヒー粉面までの距離を測定する抽出面検出手段を備え、前記自動出湯制御手段は、前記抽出開始スイッチがオンされて、コーヒー抽出器検知手段がコーヒー抽出器のセットを検知すると、蒸らし用のお湯を出湯するファーストドリップ工程と、蒸らし用のお湯を任意に追加給湯することができる手動出湯工程と、出湯を停止して蒸らしを行う蒸らし工程と、本抽出を行うセカンドドリップ工程にて構成されたコーヒー抽出シーケンスと、前記抽出面検出手段で検出された距離に基づいて、前記出湯手段の出湯流量、出湯時間、出湯タイミングを自動制御するようにし、かつ、前記手動出湯
工程で注いだ湯量を、自動的に自動制御する出湯量から除くように補正するもので、出湯スイッチを押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで抽出シーケンスに従って自動で出湯することができるため、毎回安定したおいしいコーヒーが手軽に淹れられ、またコーヒー粉の膨らみを検知して出湯流量を調節するのでコーヒー抽出器からコーヒーが溢れないようにすることができる。また、蒸らし用の湯の注ぎ方が粉に均一でなかった場合は、途中で蒸らし用の湯を、任意に手動で追加して、粉に均一に注ぐことができるので、毎回、コーヒーの濃度、味の変動を抑えたコーヒーを抽出することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気湯沸かし器は、コーヒーが全て抽出し終わるまで抽出シーケンスに従って自動で出湯し、更にカップ数によらず毎回安定したおいしいコーヒーが手軽に淹れられ、またコーヒー粉の膨らみを検知して出湯流量を調節するのでコーヒー抽出器からコーヒーが溢れないようにすることができる。また、蒸らし用の湯の注ぎ方が粉に均一でなかった場合は、途中で任意に手動で追加出湯できるため、毎回のコーヒーの濃度、味の変動を更に抑えることができる使い勝手の良いコーヒー抽出機能付の電気湯沸かし器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における電気湯沸かし器の構成図
【図2】同電気湯沸かし器の抽出面検出手段の断面図
【図3】同電気湯沸かし器の粉面高さ調整手段の操作部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、湯を沸かして保温する湯沸かし容器と、前記湯沸かし容器内の湯を出湯口から出湯させる出湯手段と、前記出湯手段を手動で動作させる出湯スイッチと、前記出湯口の直下に設置したコーヒー抽出器に自動で湯を注ぐために前記出湯手段を制御する自動出湯制御手段と、前記コーヒー抽出器が設置されたことを検知するコーヒー抽出器検知手段と、コーヒーの抽出専用の出湯を開始させる抽出開始スイッチと、コーヒー粉面までの距離を測定する抽出面検出手段を備え、前記自動出湯制御手段は、前記抽出開始スイッチがオンされて、コーヒー抽出器検知手段がコーヒー抽出器のセットを検知すると、蒸らし用のお湯を出湯するファーストドリップ工程と、蒸らし用のお湯を任意に追加給湯することができる手動出湯工程と、出湯を停止して蒸らしを行う蒸らし工程と、本抽出を行うセカンドドリップ工程にて構成されたコーヒー抽出シーケンスと、前記抽出面検出手段で検出された距離に基づいて、前記出湯手段の出湯流量、出湯時間、出湯タイミングを自動制御するようにし、かつ、前記手動出湯工程で注いだ湯量を、自動的に自動制御する出湯量から除くように補正するもので、出湯スイッチを押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで抽出シーケンスに従って自動で出湯することができるため、毎回安定したおいしいコーヒーが手軽に淹れられ、またコーヒー粉の膨らみを検知して出湯流量を調節するのでコーヒー抽出器からコーヒーが溢れないようにすることができる。また、蒸らし用の湯の注ぎ方が粉に均一でなかった場合は、途中で蒸らし用の湯を、任意に手動で追加して、粉に均一に注ぐことができるので、毎回、コーヒーの濃度、味の変動を抑えたコーヒーを抽出することができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の自動出湯制御手段は、抽出面検出手段により測定したコーヒー粉が膨らんだ時の最高粉面が、あらかじめ設定された設定粉面高さを超えないように出湯を制御するもので、コーヒー粉の膨らみが小さいときは出湯量を抑制しないようにして、コーヒー粉の膨らみが大きいときだけコーヒーがコーヒー抽出器から溢れないように出湯量を抑制するため、コーヒー抽出器からコーヒーが溢れないようにすることに加えて、抽出速度をなるべく落とさないように出湯できるため、長時間の抽出により雑味が出ることが少ないおいしいコーヒーを入れることができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第2の発明の設定粉面高さを変更するための粉面高さ調節手段を備えたもので、実際に使用するコーヒー粉の鮮度や量の違いによる膨らみに合わせて設定粉面高さを任意に変更できるため、コーヒー粉の膨らみ量を好みの高さに変えることにより抽出速度を変えて好みの味のコーヒーに調整できるため使い勝手がよくなる。
【0012】
第4の発明は、特に、第3の発明の電気湯沸かし器において、選択する粉面高さを、コーヒーの鮮度に関連付けて、粉面高さ調整手段の近傍に表示したもので、例えば、コーヒー粉の鮮度が悪いときは粉面高さを低く設定し、コーヒー粉の鮮度が良いときは粉面高さを高く設定することが自動で調整されるため、使用者は粉面高さの調整を直接考えなくてもコーヒーの鮮度だけを設定するだけで、コーヒーの抽出速度の変動が抑えられるので、味が安定したおいしいコーヒーを入れることができる。
【0013】
第5の発明は、特に、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の電気湯沸かし器は、抽出するコーヒーカップ数を選択するカップ数選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記カップ数選択手段で選択されたカップ数が、所定カップ数以下のときは、湯沸かし容器内の湯温を所定温度以上の湯温で出湯するようにしたもので、カップ数が少ないときは、所定温度以上の高温の湯を出湯して抽出率を高くすることができるため味の薄い不味いコーヒーが抽出されるのを回避できる。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の電気湯沸かし器は、抽出するコーヒーカップ数を選択するカップ数選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記カップ数選択手段で選択されたカップ数が、所定カップ数以下のときは、蒸らし工程の蒸らし時間を増加させるようにしたもので、カップ数が少ないときは蒸らし時間を増やすため粉の膨潤を促すことができる。よってコーヒー粉が少量時に味の薄い不味いコーヒーが抽出されることが回避できる。
【0015】
第7の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の電気湯沸かし器は、抽出するコーヒーカップ数を選択するカップ数選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記カップ数選択手段で選択されたカップ数が、所定カップ数以下のときは、セカンドドリップ工程中に、第二の蒸らし工程を追加するようにしたもので、カップ数が少ないときはセカンドドリップ中に蒸らし時間を追加して抽出するため粉の膨潤を更に促すことができる。よってコーヒー粉が少量時に味の薄い不味いコーヒーが抽出されることが回避できる。
【0016】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか一つの発明の電気湯沸かし器は、抽出するコーヒーの濃度を選択する濃度選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記濃度選択手段で選択された濃度に応じて、湯沸かし容器内の湯温を変更して出湯するようにしたもので、例えば、選択された濃度が高いときは、湯沸かし容器内の湯温を所定温度以上に湯沸かしした高温の湯を使用して抽出するようにすれば、抽出率を高くして出来上がりのコーヒー濃度をより高くすることができる。
【0017】
第9の発明は、特に、第1〜7のいずれか一つの発明の電気湯沸かし器は、抽出するコーヒーの濃度を選択する濃度選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記濃度選択手段で選択された濃度に応じて、蒸らし工程の蒸らし時間を増減させるようにしたもので、例えば、選択した濃度が高いときは、蒸らし時間を増やすようにすれば、粉の膨潤を促すことができる。よってコーヒーの抽出率が高くなり出来上がりのコーヒー濃度をより高くすることができる。
【0018】
第10の発明は、特に、第1〜7のいずれか一つの発明の電気湯沸かし器は、抽出するコーヒーの濃度を選択する濃度選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記濃度選択手段
で濃度が高く選択されたときは、セカンドドリップ工程中に第二の蒸らし工程を追加するようにしたもので、選択された濃度が高いときは、セカンドドリップ中に蒸らし時間を追加して抽出するため粉の膨潤を更に促すことができる。よってコーヒーの抽出率が高くなり出来上がりのコーヒー濃度をより高くすることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気湯沸かし器の構成図、図2は、同電気湯沸かし器の抽出面検出手段の断面図、図3は、同電気湯沸かし器の粉面高さ調整手段の操作部である。
【0021】
図1〜3において、1は、湯を沸かして保温する湯沸かし容器である。出湯手段3は、出湯モータ3aと出湯ポンプ3bから構成され、その出湯手段3が動作すると、湯が、出湯口2より、コーヒー抽出器9内に注がれるようになっている。
【0022】
抽出開始スイッチ5は、電気湯沸かし器の操作部(図示せず)に設置されたコーヒー抽出用の出湯を開始するスイッチである。
【0023】
カップ数選択手段7は、1カップから5カップのいずれかを選択するスイッチである。濃度選択手段8は、コーヒーの濃度を、標準に対して濃くするか薄くするかを選択するスイッチである。コーヒー抽出器検知手段10は、コーヒー抽出器9に取り付けられたマグネット10aと、電気湯沸かし器本体15の内部に取り付けられたリードスイッチ10bから構成されており、マグネット10aとリードスイッチ10bが当接又は近接するとリードスイッチ10bの接点(図示せず)がオンし、コーヒー抽出器9が、電気湯沸かし器本体15に設置されたと検知できるものである。
【0024】
抽出面検出手段6は、赤外発光ダイオード6aとフォトトランジスタ6bから構成した赤外線式のセンサーであり、図2に示すように、赤外発光ダイオード6aから出た赤外線は、コーヒー抽出器9のコーヒー粉面で反射してフォトトランジスタ6bに帰るように設置してある。また、反射率により、コーヒー粉面とフォトダイオード6bとの距離を測定するため、コーヒー抽出器9に収容されたコーヒー粉の量や抽出時の粉の膨らみが検出できるようになっている。
【0025】
図3に、電気湯沸かし器の操作部に設置された粉面高さ調整手段11を示す。本実施の形態では、粉面高さは、「高」、「中」、「低」の3種類の中から選択できるようになっている。粉面高さを、「高」に選択した場合は、抽出面検出手段6の検知により、抽出中の粉面の高さが、コーヒー抽出器9の上端面より約1cm上の高さまで粉が膨らんだ時点で、出湯モータ3aの駆動を中断するようにしている。同様に、粉面高さを「中」に選択した場合は、コーヒー抽出器9の上端面と同じ高さ、粉面高さを、「低」に選択した場合は、コーヒー抽出器9の上端面より約1cm低い高さになるようにする。
【0026】
以上のように構成された本実施の形態における電気湯沸かし器について、以下その動作、作用を説明する。
【0027】
まず、使用者は、カップ数選択手段7で、抽出したいカップ数を、1カップ〜5カップの中から選択し、設定する。次に、濃度選択手段8により、「こいめ」、「標準」または「うすめ」の中から選択する。
【0028】
そして、抽出開始スイッチ5をオンすると、自動出湯制御手段4は、予め記憶されている抽出シーケンスに従い出湯を開始する。抽出シーケンスは(表1)に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1に示すように、本実施の形態においては、蒸らしのための湯を出湯するファーストドリップ工程、蒸らし工程およびコーヒーを規定量抽出するために出湯するセカンドドリップ工程で構成されており、各工程における出湯モータ3aの駆動時間および間欠オンオフデューティの時間と、出湯モータ3aを停止して蒸らしを行う蒸らし工程の時間は、カップ数、選択された濃度に応じて、予め自動出湯制御手段4に記憶されている。
【0031】
例えば、カップ数選択手段7で選択されたカップ数が2カップ、濃度選択手段8で選択された濃度がこいめのときは、表1のシーケンス123が選択される。まず、ファーストドリップ工程では、出湯モータ3aを3秒間オンする。
【0032】
本実施の形態では、出湯モータ3a駆動1秒当り約20mlの湯が出湯されるように構成されているため、3秒間の出湯時間で約60mlが出湯される。この段階で、自動出湯制御手段4は、動作を一時停止し、使用者にファーストドリップ工程での粉への湯の注ぎ具合の確認を促す報知を10秒行う。この10秒間の間は、抽出開始スイッチ5による自動出湯中に受付不能にしていた出湯スイッチ3cを受付可能とする。
【0033】
一般的に、使用者がコーヒー抽出器9内に粉を偏って入れた場合や、粉の一部に湯流れの道ができてしまった場合は、ファーストドリップ工程で注いだ蒸らし用の湯が粉に均一に注がれてないことが多々発生する。このような状態で蒸らしを行っても粉全体が膨らむような蒸らしにならないため、コーヒーの濃度や味が大きく変わる可能性がある。そのため、本実施の形態では、使用者が蒸らし用の湯の注ぎ具合を確認し、十分でなければ出湯スイッチ3cを操作して任意に追加出湯できるようにしている。
【0034】
次に蒸らし工程では、出湯モータ3aを60秒間オフする。蒸らしが終われば、次にセカンドドリップ工程に移り、2秒オン、10秒オフの間欠デューティー周期で、オン時間の合計が12秒になるまで出湯モータ3aを駆動して出湯を行いコーヒーの抽出を行う。ここで、使用者がファーストドリップ工程後の追加出湯が3秒間行った記憶があればセカンドドリップ工程の総時間を3秒だけ減らし9秒に変更し最終的な出来上がり量が増えないように制御する。
【0035】
そして、カップ数が、2カップ以下の選択の場合および各カップ数のこいめの選択のときは、セカンドドリップの出湯時間が、総時間の半分を経過した時点で、もう一度蒸らしを行う、つまり第2の蒸らし工程を行うようにしている。これは、蒸らし時間を多く取ることで、さらに粉に湯を浸透させるためであり、カップ数が少ない場合は、粉が十分膨ら
んで抽出率が良くなる前に抽出が終わるため総じてうすめのコーヒーになってしまうことを防ぐためである。
【0036】
こいめにしたい場合にも効果がある。セカンドドリップ工程中に、コーヒー粉面の膨らみが粉面高さ調整手段11で選択した高さを超えた場合は、出湯を一時停止する。再び粉面選択高さを下回ると出湯を再開する。このようにしてコーヒーがコーヒー抽出器9から溢れないように自動抽出を行う。
【0037】
コーヒーの粉は、豆のローストおよび粉砕直後はお湯を注いだときの膨らみが大きく、粉にしてからの保存時間が長いほど粉の中のガスが抜けているため膨らみは小さくなる。そのため、粉面高さの調整の目安として豆粉砕3日以内の粉のときは、「高」、豆粉砕1週間以内のときは、「中」、豆粉砕1週間以上のときは、「低」を選択すれば良いように表示している。新鮮な粉は、膨らみ易いため粉面高さを低にすると少量の出湯で粉面が設定高さに到達するため抽出速度が遅くなりこいめのコーヒーができあがってしまう。
【0038】
また、時間が経過したコーヒー粉は、膨らみが悪いため粉面高さを高にすると大量の出湯でも粉面高さに到達しないので抽出速度が速くなりうすめのコーヒーが出来上がってしまう。このように、粉面高さを調整できるようにすることで、コーヒーがコーヒー抽出器9から溢れることを防止し、かつ常に溢れる直前まで一気に出湯することができるため抽出速度をできるだけ速めにして雑味の少ないすっきりしたコーヒーを入れることができる。また、逆に粉面高さを好みで調整すれば苦味の利いた濃いコーヒーを入れることも簡単にできる。
【0039】
また、コーヒーの鮮度を目安に粉面高さを調整できるようにしておくことで、使用者が感覚的に粉面高さ調整を行えるので、コーヒー粉の鮮度が変わっても安定したコーヒー濃度で抽出させることができる。このようにして自動抽出を行いセカンドドリップ工程が終了すると圧電ブザー(図示せず)によって出湯が終了したことを報知するようにしている。
【0040】
以上のように、本実施の形態においては、自動出湯制御手段4は、所定のコーヒー抽出シーケンスと抽出面検出手段6の測定距離に基づいて、出湯手段3の出湯流量、出湯時間、出湯タイミングを自動制御するようにしたことにより、出湯スイッチ3cを押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで抽出シーケンスに従って自動で出湯することができるため、毎回安定したおいしいコーヒーが手軽に淹れられ、また、蒸らし用の湯の注ぎ具合を確認して、手動で追加出湯も任意に行える。
【0041】
またコーヒー粉の膨らみを検知して出湯流量を調節するので、コーヒー抽出器9からコーヒーが溢れないようにすることができ、かつ、常に溢れる直前まで一気に出湯して抽出速度を速めにすることができるため、雑味のすくないすっきりしたコーヒーを入れることができる。また、粉面高さを好みで調整すれば好みの味にコーヒーを入れることができる。また、コーヒーの鮮度を目安に粉面高さを調整できるようにしておくことで、コーヒー粉の鮮度が変わっても安定したコーヒー濃度で抽出させることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、コーヒー抽出に使用する湯の温度は、表1に示すように3カップ以上の標準、うすめを93℃以上としており、こいめの時は、さらに2℃高い95℃以上の湯で出湯するようにしている。また、2カップ以下の標準、うすめを95℃以上としており、こいめをさらに2℃高い97℃以上の湯で出湯するようにしている。抽出時の湯温が高い方が、抽出率が高くなるため、2カップ以下のときの湯温を3カップ以上のときより高く設定している。また、こいめのときも標準、うすめより湯温を高く設定している。よって、抽出開始スイッチ5をオンした時に、各抽出シーケンスの設定湯温に満たな
い場合は、湯沸かしを行い設定湯温になるまで自動出湯制御手段4により出湯を開始しないようにしている。そして、湯沸かしが完了して設定の湯温になれば、抽出シーケンスに従い出湯を開始する。
【0043】
以上のように、自動出湯制御手段4は、湯沸かし容器1内の湯温が所定の温度より低い場合は、所定の温度になるまで湯沸かしした後に、コーヒー抽出シーケンスを開始することにより、確実に適温で抽出するため、カップ数によりコーヒー濃度が変動することが抑えられる。また、こいめに抽出することも容易である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかる電気湯沸かし器は、自動でコーヒー抽出に適した出湯を行うことができるため、飲料用の加熱抽出器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 湯沸かし容器
2 出湯口
3 出湯手段
4 自動出湯制御手段
5 抽出開始スイッチ
6 抽出面検出手段
7 カップ数選択手段
8 濃度選択手段
9 コーヒー抽出器
10 コーヒー抽出器検知手段
11 粉面高さ調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を沸かして保温する湯沸かし容器と、前記湯沸かし容器内の湯を出湯口から出湯させる出湯手段と、前記出湯手段を手動で動作させる出湯スイッチと、前記出湯口の直下に設置したコーヒー抽出器に自動で湯を注ぐために前記出湯手段を制御する自動出湯制御手段と、前記コーヒー抽出器が設置されたことを検知するコーヒー抽出器検知手段と、コーヒーの抽出専用の出湯を開始させる抽出開始スイッチと、コーヒー粉面までの距離を測定する抽出面検出手段を備え、前記自動出湯制御手段は、前記抽出開始スイッチがオンされて、コーヒー抽出器検知手段がコーヒー抽出器のセットを検知すると、蒸らし用のお湯を出湯するファーストドリップ工程と、蒸らし用のお湯を任意に追加給湯することができる手動出湯工程と、出湯を停止して蒸らしを行う蒸らし工程と、本抽出を行うセカンドドリップ工程にて構成されたコーヒー抽出シーケンスと、前記抽出面検出手段で検出された距離に基づいて、前記出湯手段の出湯流量、出湯時間、出湯タイミングを自動制御するようにし、かつ、前記手動出湯工程で注いだ湯量を、自動的に自動制御する出湯量から除くように補正することを特徴とする電気湯沸かし器。
【請求項2】
自動出湯制御手段は、抽出面検出手段により測定したコーヒー粉が膨らんだ時の最高粉面が、あらかじめ設定された設定粉面高さを超えないように出湯を制御する請求項1に記載の電気湯沸かし器。
【請求項3】
設定粉面高さを変更するための粉面高さ調節手段を備えた請求項2に記載の電気湯沸かし器。
【請求項4】
選択する粉面高さを、コーヒーの鮮度に関連付けて、粉面高さ調整手段の近傍に表示した請求項3に記載の電気湯沸かし器。
【請求項5】
抽出するコーヒーカップ数を選択するカップ数選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記カップ数選択手段で選択されたカップ数が、所定カップ数以下のときは、湯沸かし容器内の湯温を所定温度以上の湯温で出湯するようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項6】
抽出するコーヒーカップ数を選択するカップ数選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記カップ数選択手段で選択されたカップ数が、所定カップ数以下のときは、蒸らし工程の蒸らし時間を増加させるようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項7】
抽出するコーヒーカップ数を選択するカップ数選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記カップ数選択手段で選択されたカップ数が、所定カップ数以下のときは、セカンドドリップ工程中に、第二の蒸らし工程を追加するようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項8】
抽出するコーヒーの濃度を選択する濃度選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記濃度選択手段で選択された濃度に応じて、湯沸かし容器内の湯温を変更して出湯するようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項9】
抽出するコーヒーの濃度を選択する濃度選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記濃度選択手段で選択された濃度に応じて、蒸らし工程の蒸らし時間を増減させるようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項10】
抽出するコーヒーの濃度を選択する濃度選択手段を備え、自動出湯制御手段は、前記濃度
選択手段で濃度が高く選択されたときは、セカンドドリップ工程中に第二の蒸らし工程を追加するようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−10937(P2011−10937A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158728(P2009−158728)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】