説明

電気湯沸かし器

【課題】 電気湯沸かし器の基本的構造上の問題から生じていた不具合である転倒時のお湯の漏れ出しを効果的に防止し得るようにする。
【解決手段】 電気湯沸かし器において、容器本体1の上端部と下端部とを連結する形で設けられた把手部6を、前記容器本体1の側面に取り付けられた把手部本体6aと該把手部本体6aの外側を覆う把手部カバー6bとで構成するとともに、前記把手部本体6aにおける前記容器本体1側端部と前記把手部カバー6bとの間にシール部材33を設けて、転倒時に蓋体2側の蒸気排出通路22bから蒸気導入空間22fに流入するお湯および蒸気の一部が把手部カバー6bと把手部本体6aとの間の隙間から漏れ出るのをシール部材33の存在によって防止することができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気湯沸かし器に関し、さらに詳しくは内容器底部に湯沸かしヒータを備え、簡易且つ速やかに湯沸かしを行うことができる電気湯沸かし器であって、把手部に沸騰検知機能を備えた電気湯沸かし器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、常時保温ヒータに通電しておくことが必要な電気ポットに代わって、内容器底部に湯沸かしヒータを備え、必要に応じて簡易且つ速やかに湯沸かしを行うことができるようにした電気湯沸かし器が、省エネ性の高い湯沸かし手段として重宝されている。
【0003】
このような電気湯沸かし器は、一般に、水を収容する内容器と、該内容器を収納一体化した容器本体と、該容器本体の上部にあって前記内容器上部の開口を閉蓋する着脱可能な蓋体と、前記容器本体の上端部と下端部とを連結する形で設けられた把手部と、前記内容器の底部に設けられた湯沸かしヒータを含む電装品と、前記蓋体に設けられた蓋体上方への蒸気排出通路と、前記把手部の上端部内にあって前記蓋体側の蒸気排出通路を通る蒸気の一部を導入する蒸気導入空間と、該蒸気導入空間に対応して設けられた沸騰検知センサ(例えば、バイメタル)とを備えて構成されており、沸騰状態になると、前記沸騰検知センサが作動し、前記湯沸かしヒータへの電源供給を自動的に停止するようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
このように、従来の電気湯沸かし器においては、蓋体が容器本体に対して着脱できるようになっているため、沸騰検知センサへの通電が必要なところから、蓋体側の蒸気排出通路に直接沸騰検知センサを配設することができない。そこで、前記蓋体に対応する把手部上端部に蒸気導入空間を設けて沸騰検知に必要な量の蒸気を蒸気排出通路から分岐導入するとともに、前記蒸気導入空間部分に沸騰検知センサを設け、把手部内下方から延設した電源配線を介して同センサに通電するとともに、沸騰時の同センサの作動によって前記湯沸かしヒータへの電源供給を停止するようにしている。しかも、電気湯沸かし器においては、基本的に把手部が、容器本体の側面に形成された把手部本体と、該把手部本体の外側を覆う把手部カバーとからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−178525号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した従来の電気湯沸かし器の場合、蓋体に対応する把手部上端部に蒸気導入空間を設けて沸騰検知に必要な量の蒸気を蒸気排出通路から分岐導入する構造となっているため、電気湯沸かし器が転倒した際に、蓋体の蒸気排出通路に内容器内のお湯が侵入すると、蓋体に対応する把手部上端部に設けられた蒸気導入空間にもお湯が侵入することとなる。このようにして侵入したお湯が、把手部(具体的には、把手部本体と把手部カバーとの嵌合部)から漏れ出るおそれがある。
【0007】
この出願の発明は、このような事情に基づいてなされたもので、電気湯沸かし器の基本的構造上の問題から生じていた不具合である転倒時のお湯の漏れ出しを効果的に防止し得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、水を収容する内容器と、該内容器を収納一体化した容器本体と、該容器本体の上部にあって前記内容器上部の開口を閉蓋する着脱可能な蓋体と、前記容器本体の上端部と下端部とを連結する形で設けられた把手部と、前記内容器の底部に設けられた湯沸かしヒータを含む電装品と、前記蓋体に設けられた蓋体上方への蒸気排出通路と、前記把手部の上端部内にあって前記蓋体側の蒸気排出通路を通る蒸気の一部を導入する蒸気導入空間と、該蒸気導入空間に対応して設けられた沸騰検知スイッチとを備えて構成された電気湯沸かし器において、前記把手部を、前記容器本体の側面に取り付けられた把手部本体と該把手部本体の外側を覆う把手部カバーとで構成するとともに、前記把手部本体における前記容器本体側端部と前記把手部カバーとの間にシール部材を設けている。
【0009】
上記のように構成したことにより、転倒時に蓋体側の蒸気排出通路から蒸気導入空間に流入するお湯および蒸気の一部が把手部カバーと把手部本体との間の隙間から漏れ出るのをシール部材の存在によって防止することができる。従って、把手部が熱くなるのを防止できるとともに、蓋体側の蒸気排出通路から蒸気導入空間に導入された蒸気の一部が漏れ出るのを防止できる分だけ、沸騰検知スイッチによる沸騰検知がし易くなる。
【0010】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた電気湯沸かし器において、前記シール部材を、前記沸騰検知スイッチの沸騰検知センサ部より上方に位置させることもでき、そのように構成した場合、沸騰検知センサ部と接触する蒸気量を確保し易くなり、沸騰検知精度が向上する。
【0011】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた電気湯沸かし器において、前記シール部材を、前記沸騰検知スイッチの上部を覆うスイッチカバーに取り付けることもでき、そのように構成した場合、シール部材によって沸騰検知スイッチの上方側への転倒時におけるお湯および蒸気の侵入を確実に防止することができる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気湯沸かし器において、前記蒸気導入空間に導入された蒸気を下方に導いて把手部下端部から外部へ排出する蒸気排出ダクトを付設するとともに、該蒸気排出ダクトの上端を、前記把手部本体の上端部から離れた位置に位置させることもでき、そのように構成した場合、把手部本体と該把手部本体が取り付けられた容器本体側部材との温度上昇を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の第1の手段によれば、水を収容する内容器と、該内容器を収納一体化した容器本体と、該容器本体の上部にあって前記内容器上部の開口を閉蓋する着脱可能な蓋体と、前記容器本体の上端部と下端部とを連結する形で設けられた把手部と、前記内容器の底部に設けられた湯沸かしヒータを含む電装品と、前記蓋体に設けられた蓋体上方への蒸気排出通路と、前記把手部の上端部内にあって前記蓋体側の蒸気排出通路を通る蒸気の一部を導入する蒸気導入空間と、該蒸気導入空間に対応して設けられた沸騰検知スイッチとを備えて構成された電気湯沸かし器において、前記把手部を、前記容器本体の側面に取り付けられた把手部本体と該把手部本体の外側を覆う把手部カバーとで構成するとともに、前記把手部本体における前記容器本体側端部と前記把手部カバーとの間にシール部材を設けて、転倒時に蓋体側の蒸気排出通路から蒸気導入空間に流入するお湯および蒸気の一部が把手部カバーと把手部本体との間の隙間から漏れ出るのをシール部材の存在によって防止することができるようにしたので、把手部が熱くなるのを防止できるとともに、蓋体側の蒸気排出通路から蒸気導入空間に導入された蒸気の一部が漏れ出るのを防止できる分だけ、沸騰検知スイッチによる沸騰検知がし易くなるという効果がある。
【0014】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気湯沸かし器において、前記シール部材を、前記沸騰検知スイッチの沸騰検知センサ部より上方に位置させることもでき、そのように構成した場合、沸騰検知センサ部と接触する蒸気量を確保し易くなり、沸騰検知精度が向上する。
【0015】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた電気湯沸かし器において、前記シール部材を、前記沸騰検知スイッチの上部を覆うスイッチカバーに取り付けることもでき、そのように構成した場合、シール部材によって沸騰検知スイッチの上方側への転倒時におけるお湯および蒸気の侵入を確実に防止することができる。
【0016】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気湯沸かし器において、前記蒸気導入空間に導入された蒸気を下方に導いて把手部下端部から外部へ排出する蒸気排出ダクトを付設するとともに、該蒸気排出ダクトの上端を、前記把手部本体の上端部から離れた位置に位置させることもでき、そのように構成した場合、把手部本体と該把手部本体が取り付けられた容器本体側部材との温度上昇を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸かし器の縦断面図である。
【図2】本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸かし器の内容器底部における電源装置部分の配線構造等を示す底面図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸かし器の要部を拡大した斜視図である。
【図4】本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸かし器の要部を拡大した断面図である。
【図5】本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸かし器における把持部カバーを取り外した状態を示す分解断面図である。
【図6】本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸かし器の要部における把手部カバーを取り外した状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
図1ないし図6には、本願発明の実施の形態にかかる電気湯沸かし器が示されている。
【0020】
この電気湯沸かし器は、図1および図2に示すように、水を収容して湯沸かしを行う内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部開口を開閉する蓋体2と、前記内容器3の底部を加熱する加熱手段である湯沸かしヒータ4と、前記内容器3内のお湯を外部へ給湯するための湯注出口5bと、前記容器本体1の背部において上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面略コ字状の把手部6とを備えて構成されている。
【0021】
前記容器本体1は、底部1bを備えた合成樹脂製の円筒状ケース1aよりなり、その上端側周囲に一体に設けられた環状の肩部材1cを介して前記内容器3を支持一体化している。
【0022】
前記内容器3は、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の筒体からなっており、その底部3a下面に前記湯沸かしヒータ4が当接されている。
【0023】
この場合、湯沸かしヒータ4は、中央部分がフラットな伝熱性の良いヒータプレート4aと、該ヒータプレート4aの外周部に一体に突設され、下向きに所定の高さを有し且つ断面逆台形状であって平面視C字形の電熱線埋設用の凸部4bと、該凸部4b内に埋め込まれた電熱線4cとからなっている。そして、前記凸部4bの両端側には、前記電熱線4cの両端に接続された電源リード線接続用の電源リード端子7,8が、前記凸部4bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている。
【0024】
また、前記ヒータプレート4aの下面側には、前記凸部4bの内周側に位置して、空焚き防止の安全用のバイメタル9,10および電源基板11,12が設けられている。
【0025】
前記電源基板11,12の前記把手部6側端部には、前記湯沸かしヒータ4両端の電源リード端子7,8と電源リード線L1,L2 L3を介して接続するための電源コネクタ端子13,14が設けられている。そして、そのうちの一方の電源コネクタ端子14(電源基板10に接続されている)は、電源リード線L1を介して、前記把手部6内の配線空間15(後述する)を介して把手部6の上端側のスイッチレバー16の開閉接点16a、沸騰検知センサ17のバイメタル開閉接点部とそれぞれ直列な関係で接続され、このバイメタル開閉接点部からは電源リード線L2を介して前記把手部6の配線空間15内をUターンして湯沸かしヒータ4の電源リード端子8に接続されている。また、電源基板11側の電源コネクタ端子13は、電源リード線L3を介して前記湯沸かしヒータ4の電源リード端子7に接続されている。
【0026】
符号18は卓上型の電源台であり、その中央部には、スリーブ構造の受電カプラ19内に嵌合される同じくスリーブ構造の給電カプラ20が所定の高さ突出して設けられている一方、裏面側にはAC電源コードの収納部18aが設けられている。
【0027】
前記給電カプラ20は、スリーブ状のガイド筒19aに対応して、その内側に摺動可能に嵌合されるガイド筒20aと、該ガイド筒20aの内周側にあってスリーブ状電極19bの内側にブラシ構造の電極を介して嵌合接触するスリーブ状電極20bと、該スリーブ状電極20bの内側にあって前記受電カプラ19側の棒状電極21が挿入される軸筒状電極20cとからなっており、前記電源コード収納部18aのAC電源コードがAC電源に接続されると、前記電源台18側の給電カプラ20を介して前記容器本体1側の受電カプラ19にAC電源が供給され、さらに前記受電カプラ19を介して前述の電源基板11,12の電源回路に電源が供給される。その結果、同電源回路を介して、さらに前記湯沸かしヒータ4、空焚き防止の安全用バイメタル9,10、スイッチレバー16の開閉接点16a、沸騰検知スイッチ17の沸騰検知センサ部17aにおけるバイメタル開閉接点部などに電源が供給されることになる。
【0028】
一方、前記蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと該上板2aに対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板2bと、その下方に取り付けられた金属製(例えば、ステンレス製)の内カバー2cとからなっており、前記肩部材1c内側の開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されることとなっている。
【0029】
前記上板2aおよび下板2b間の空間は、必要に応じて断熱材を充填した断熱構造体に形成されるとともに、下板2bの一部には、下方から上方に向けて凹んだ蒸気パイプの収納部が設けられている。そして、同収納部内に収納設置された蒸気パイプには、下方側内カバー2cの蒸気導入口部2dから上方側蒸気排出口22cに向けて相互にジグザク構造に連通した蒸気排出通路22a〜22cが形成されている。そして、同蒸気排出通路22a〜22c下部の蒸気導入口部2d内には、転倒止水弁23が設置されている。
【0030】
また、それらのうちの中間に位置する前記蒸気排出通路22b部分は、さらに前記把手部6の上端側にあって沸騰検知スイッチ17の沸騰検知センサ部17aが設置される蒸気導入空間22fに蒸気を分流させるための蒸気分流通路22d,22eが背面方向から下方に向けて設けられている。
【0031】
そして、前記把手部6側の蒸気導入空間22fの例えば上端面側に設けられた沸騰検知センサ部(バイメタル)17aの作動により内容器3内のお湯の沸騰を検知して、前記湯沸かしヒータ4への電源供給を遮断するようになっている。
【0032】
一方、このようにして蒸気導入空間22fに蒸気を導入するようにすると、同部分に導入した蒸気を外部へ排出することが必要であり、また当該部分で蒸気が結露して結露水を生ずることにもなるので、これを外部へ排出することが必要になる。そこで、上述した把手部6に対応する容器本体1の側壁部1aの内側には、前記蒸気導入空間21底部から把手部6下端の蒸気および結露水排出口24に至る蒸気排出ダクト25が設けられており、該蒸気排出ダクト25内の蒸気排出通路(ストレート部22g、後方への曲成部22h)を介して蒸気および結露水が把手部6の下部から背面方向に向けて排出されるようになっている。
【0033】
前記把手部6は、図3ないし図5に示すように、合成樹脂製の把手部本体6aと該把手部本体6aの外側を配線空間15を介在させて覆う合成樹脂製の把手部カバー6bとからなっており、該把手部カバー6bの上端側には、前記スイッチレバー16を臨ませる開口26が形成されている。該スイッチレバー16は、半透明あるいは透明な合成樹脂部材によって構成されており、その内部には、ネオンランプ27が配設されている。該ネオンランプ27は、湯沸かしヒータ4に電源が供給されている間だけ点灯されることとなっている。また、前記把手部6は、前述したように、前記容器本体1の背部において上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面略コ字状の部材とされており、背面側に位置するストレート部がユーザが実際に把持する把持部6cとされている。
【0034】
また、前記蒸気排出ダクト25の上端は、前記把手部本体6aの上端部から離れた位置に位置せしめられている。このようにすると、把手部本体6aと該把手部本体お湯が取り付けられた容器本体側部材(例えば、肩部材1c)との温度上昇を抑えることが可能となる。
【0035】
そして、前記把手部本体6aは、前記肩部材1cと一体に形成されており、前記把手部カバー6bの上端部には、下向きの取付部35が一体に突設されている。
【0036】
そして、前記沸騰検知スイッチ17における沸騰検知センサ部17aは、前記蒸気導入空間22fにおいて前側が高い斜め上向きに配設されている。また、前記スイッチレバー16は、前記沸騰検知スイッチ17の上部に配置されており、スイッチレバー16は、前記沸騰検知センサ部17aと同様に斜め上向きに配置されている。しかも、前記把手部6の上端部は、前記蒸気導入空間22f側が高く、前記把手部6における把持部6c側が低くなるように構成されている。また、前記沸騰検知スイッチ17を取り付けるために前記蒸気導入空間22fの下部に設けられるスイッチ受け28の先端部には、前記蒸気導入空間22fから前記蒸気排出ダクト25に向かう蒸気経路の一部を狭める延出部28aが一体に形成されている。さらに、前記スイッチ受け28の下面には、該スイッチ受け28と前記把手部本体6aとの間から蒸気導入空間22fの蒸気が漏れ出るのを防止するためのリブ29が一体に形成されている。
【0037】
ところで、電気湯沸かし器が転倒した際に、蓋体2の蒸気排出通路22a〜22cに内容器3内のお湯が侵入すると、蓋体2に対応する把手部6上端部に設けられた蒸気導入空間22fにもお湯が侵入することとなる。このようにして侵入したお湯の一部が、把手部6(具体的には、把手部本体6aと把手部カバー6bとの嵌合部)から漏れ出るおそれがある。
【0038】
そこで、本実施の形態においては、沸騰検知スイッチ17をスイッチ受け28に取り付けるためのスイッチカバー31の前部に一体に突設された取付部31aに袋状のシール部材33を被嵌し、この状態の取付部31aを前記肩部材1cの上端部に形成した固定部36と前記把手部カバー6bの取付部35との間に位置させてビス37で締め付けるようにしている。このようにすると、電気湯沸かし器の転倒時に蓋体2側の蒸気排出通路22bから分岐した蒸気分流通路22d,22eを介して蒸気導入空間22fへ流入するお湯および蒸気の一部が把手部カバー6bと把手部本体6aとの間の隙間から漏れ出るのをシール部材33の存在によって防止することができる。その結果、把手部6が熱くなるのを防止できるとともに、蓋体2側の蒸気排出通路22bから蒸気導入空間22fに導入された蒸気の一部が漏れ出るのを防止できる分だけ、沸騰検知スイッチ17による沸騰検知がし易くなる。しかも、前記シール部材33を、前記沸騰検知スイッチ17を覆うスイッチカバー31に形成した取付部31aに被嵌させたことにより、シール部材33が沸騰検知センサ部17aより上方に位置することとなる。その結果、電気湯沸かし器の転倒時においても、沸騰検知スイッチの上方側への転倒時におけるお湯および蒸気の侵入を確実に防止することができるとともに、沸騰検知センサ部17aと接触する蒸気量を確保し易くなり、沸騰検知精度が向上する。
【0039】
符号30は蒸気導入空間22fの背面側を閉塞するカバー部材、32はスイッチレバー16の操作力を伝達するための操作部材である。また、図1において、符号5aは蓋体2側において前記湯注出口5bに対応して設けられた湯注出通路、34はお湯の注出状態をロック・アンロックする機械式のロック・アンロックスイッチであり、該ロック・アンロックスイッチ34が付勢スプリング34bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材34aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1の湯注出口5b側との間の湯注出通路5aを開放し、内容器3内のお湯の注出を可能とする。
【0040】
上記のように構成したことにより、蓋体2側の蒸気排出通路22bから分岐して蒸気導入空間22fに導入されて蒸気排出ダクト24に向かって流れる蒸気が沸騰検知スイッチ17における沸騰検知センサ部17aと接触し易くなり、沸騰検知を速やかに行うことができる(即ち、沸騰検知精度が向上する)。しかも、蓋体2側の蒸気排出通路22bから分岐して蒸気導入空間22fに導入される蒸気量を増やす必要がなくなり、無駄な蒸気が減る(即ち、容器本体1が無駄に熱くならず、省エネとなる)。また、沸騰検知センサ部17aに接触した蒸気が結露した場合であっても、結露水が流れ落ち易くなり、連続して湯沸かしを行っても沸騰誤検知が起きることがなくなる。
【0041】
本願発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1は容器本体
2は蓋体
3は内容器
4は湯沸かしヒータ
6は把手部
6aは把手部本体
6bは把手部カバー
6cは把持部
16はスイッチレバー
17は沸騰検知スイッチ
17aは沸騰検知センサ部
22a,22b,22cは蒸気排出通路
22d,22eは蒸気分流通路
22fは蒸気導入空間
22gはストレート部
22hは曲成部21h
25は蒸気排出ダクト
31はスイッチカバー
31aは取付部
33はシール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を収容する内容器と、該内容器を収納一体化した容器本体と、該容器本体の上部にあって前記内容器上部の開口を閉蓋する着脱可能な蓋体と、前記容器本体の上端部と下端部とを連結する形で設けられた把手部と、前記内容器の底部に設けられた湯沸かしヒータを含む電装品と、前記蓋体に設けられた蓋体上方への蒸気排出通路と、前記把手部の上端部内にあって前記蓋体側の蒸気排出通路を通る蒸気の一部を導入する蒸気導入空間と、該蒸気導入空間に対応して設けられた沸騰検知スイッチとを備えて構成された電気湯沸かし器であって、前記把手部を、前記容器本体の側面に取り付けられた把手部本体と該把手部本体の外側を覆う把手部カバーとで構成するとともに、前記把手部本体における前記容器本体側端部と前記把手部カバーとの間にシール部材を設けたことを特徴とする電気湯沸かし器。
【請求項2】
前記シール部材を、前記沸騰検知スイッチの沸騰検知センサ部より上方に位置させたことを特徴とする請求項1記載の電気湯沸かし器。
【請求項3】
前記シール部材を、前記沸騰検知スイッチの上部を覆うスイッチカバーに取り付けたことを特徴とする請求項2および3のいずれか一項記載の電気湯沸かし器。
【請求項4】
前記蒸気導入空間に導入された蒸気を下方に導いて把手部下端部から外部へ排出する蒸気排出ダクトを付設するとともに、該蒸気排出ダクトの上端を、前記把手部本体の上端部から離れた位置に位置させたことを特徴とする請求項1、2および3のいずれか一項記載の電気湯沸かし器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−254938(P2011−254938A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130859(P2010−130859)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】