説明

電気炊飯器

【課題】タグ情報送受信手段を利用して、炊飯する米の各種の銘柄等に応じた最適な炊き分け機能を実現するとともに、当該電気炊飯器の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の製品チェック、アフターサービスなどを行えるようにする。
【解決手段】炊飯器本体外にあって所定の情報を上記炊飯器本体側にワイヤレス送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグと、上記炊飯器本体側にあってワイヤレス送信される所定の情報を受信する受信手段とからなり、上記電子タグにより上記所定の情報を上記炊飯器本体側受信手段にワイヤレス状態で送信し、同受信手段を介して加熱制御手段に入力するようにしてなる電気炊飯器であって、上記炊飯器本体側の電子タグ情報受信手段は、受信機能とともに送信機能を有し、当該電気炊飯器の製品番号を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気炊飯器に関し、特に電子タグ情報を利用して、使用される米の銘柄等に応じた適切な炊き分けを行うことができるようにした電気炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば予じめ設定された白米、玄米、発芽玄米などの米の形態に応じた最適な炊飯加熱制御モード(吸水〜むらし)を有し、ユーザーが、それら各制御モードの何れかを操作ボタンを押して選択入力すると、対応する加熱制御モードが選択されて当該米の形態に最適な炊飯加熱制御(吸水温度、吸水時間、昇温速度、加熱量、加熱パターン)が行われるようになった電気炊飯器は存在する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−245786号公報(明細書第1−3頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同じ形態の米(例えば白米)であっても、その銘柄(品種)や産地、収穫時期、精米時期などによって、当該米の水分含有率や硬さ、粘度などの本質的な特性が異なる。そして、これらが異なると、良質な御飯を炊くための吸水温度、吸水時間、昇温速度、加熱量、加熱パターンも異なってくる。
【0005】
したがって、本当に美味しい御飯を炊き上げるためには、上記従来のような米の形態だけではなく、上述した米の銘柄(品種)等本質的な特性をも制御パラメータとして取り込んだより理想的な炊飯加熱制御を行うことが望まれる。
【0006】
しかし、現実問題として、米の銘柄は多種多様であり、何年かごとに新しい銘柄も登場してくる。しかも、同じ銘柄であっても、さらに産地や収穫時期、精米時期などによっても特性が異なってくる。そこで、先ずそのような各種の米の特性(性質)を示す制御パラメータを、何のようにして電気炊飯器本体側の加熱制御手段(マイコン制御ユニット)に入力するかが問題となる。
【0007】
その一つの方法として、例えばメーカー側において現在一般に市販されている各種の米の銘柄を、例えば硬さや粘度などを基準として幾つかのグループに区分し、それに応じた最適な加熱制御データを所定の幅をもった状態で予じめマイコン側に記憶させておくとともに、さらに銘柄選択スイッチを設け、該銘柄選択スイッチにより所望の銘柄グループの何れかを選択して炊飯を行うようにすることも考えられる。
【0008】
しかし、そのようにした場合、相当な炊飯実験を必要とし、多種多様の米の銘柄の特性を各グループ毎に分けて予じめマイコンに入力すること自体が大変であるし、また、そのように多数の銘柄の米を銘柄選択スイッチで選択することも面倒である。さらに、予じめ設定されている同区分に属さない新しい銘柄の米を買って来た時には、どの区分に属するか分からない。
【0009】
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、使用される米側に当該米の銘柄、産地等を示す電子タグを付すようにする一方、炊飯器本体側に、同電子タグからの銘柄情報等を入力するとともに、入力された情報内容に応じた最適な炊飯加熱制御モードを設定して炊飯を実行する制御機能を付加することによって、ユーザーに対してスイッチ操作等の何らの負担を強いることなく、理想的な御飯の炊き上げを行えるようにし、かつ、その場合において、さらに炊飯器本体側の電子タグ情報受信手段に送信機能を付加し、当該電気炊飯器の製品番号を表示できるようにすることによって、当該タグ情報受信手段を、当該電気炊飯器の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の製品チェック、アフターサービスなどの各種の用途に有効に利用することができるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記の目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0011】
(1) 第1の課題解決手段
この発明は、内鍋と、該内鍋を収納セットする炊飯器本体と、該炊飯器本体内にあって上記内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱制御を行う加熱制御手段と、上記炊飯器本体の開口部を覆う蓋ユニットと、炊飯器本体外にあって所定の情報を上記炊飯器本体側にワイヤレス送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグと、上記炊飯器本体側にあって同電子タグからワイヤレス送信される所定の情報を受信する受信手段とからなり、上記電子タグにより上記所定の情報を上記炊飯器本体側受信手段にワイヤレス状態で送信し、同受信手段を介して上記加熱制御手段に入力するようにしてなる電気炊飯器であって、上記炊飯器本体側の電子タグ情報受信手段は、受信機能とともに送信機能を有し、当該電気炊飯器の製品番号を表示するように構成されていることを特徴としている。
【0012】
このように、炊飯器の本体外にあって、所定の情報を炊飯器本体側にワイヤレスで送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグを設ける一方、炊飯器本体側に、同電子タグからワイヤレス送信される当該所定の情報を受信する受信手段を設け、これらによって使用される所定の情報をワイヤレス状態で送信および受信してマイコン制御ユニット等加熱制御手段に取り込むようにすると、従来のスイッチのような選択手段が不要で、何らユーザーの負担を招くことなく、必要な情報データがマイコン制御ユニット等加熱制御手段側に自動的に入力され、以後は同情報に応じた理想的な炊飯作動が可能となる。
【0013】
しかも、この発明では、その場合において、上記炊飯器本体側の電子タグ情報受信手段は、さらに送信機能をも有し、当該電気炊飯器の製品番号情報を表示するように構成されている。
【0014】
したがって、このような構成によると、当該タグ情報受信手段を、当該電気炊飯器の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の製品チェック、アフターサービスなど各種の用途に有効に利用することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
以上の結果、本願発明によると、ユーザーに対して銘柄等所定の情報の選択、入力操作等の何らの負担を強いることなく、理想的な御飯の炊き上げを行うことができる高性能の電気炊飯器を低コストに提供することができるだけでなく、タグ情報受信手段を利用して、当該電気炊飯器の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の製品チェック、アフターサービスなどを行うことができ、非常に便利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図5は、本願発明の最良の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体の全体的な構成および同炊飯器本体の要部の構成をそれぞれ示している。
【0017】
(全体の特徴)
先ず本実施の形態の電気炊飯器は、その炊飯器本体側において例えば内鍋3として電磁誘導の可能な磁性金属板よりなるものが採用されている一方、当該内鍋3に対する炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の保護枠(内ケース)4を介して当該内鍋3の底壁部3aから側壁部3bの略全体を包み込むように当該内鍋3の底壁部3aの中央部側と側方部側、および側壁部3bの下方側の3ケ所の全周に対応する3組のワークコイルC1,C2,C3が設けられ、また当該内鍋3に対する保温時の加熱手段として、当該内鍋3の側壁部3bの上方側全周に対応する保温ヒータH1が設けられている。そして、それらをマイコン制御ユニット32によって適切に駆動制御することによって、適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
【0018】
また、その場合において、各種の米の銘柄、産地、収穫時期、精米時期に応じた最適な炊飯加熱制御プログラムを有し、例えば米側に設けられた電子タグからの銘柄情報により、対応する最適な炊飯加熱制御プログラムを自動的に選択設定して炊飯を実行し、真に理想的な御飯の炊き上げを図るようになっている。これは、次に新たな米の電子タグからの銘柄情報が入力されるまで維持される。
【0019】
一方、それらの各機能に対するタイマー予約や通常炊飯、銘柄炊飯(タグ炊飯)、蒸し、保温等の各種メニュー、制御モードの選択は、当該電気炊飯器本体Aの前面側操作パネル部20に設けられた各種入力スイッチ群22a〜22iを介してユーザーにより行われ、それに応じて同メニュー、同制御モードでの上記ワークコイルC1〜C3および保温ヒータH1の加熱量、加熱パターンが適切に制御されるようになっている。
【0020】
また、上記操作パネル部20の中央部には、通常炊飯、銘柄炊飯(タグ炊飯)、蒸し、保温等の各メニュー、並びに現在時刻および炊飯又は蒸し完了までの残時間その他の必要事項を表示する液晶表示部21が設けられている。この液晶表示部21は、上記操作パネル部20の内側にあるマイコン基板6B上に設けられている液晶ディスプレイ31の前面側ディスプレイ面によって構成されている。
【0021】
(炊飯器本体部分の構成)
すなわち、先ず該電気炊飯器は、例えば図1に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板よりなる内鍋(飯器ないし保温容器)3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の保護枠(内ケース)4と、該保護枠(内ケース)4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記保護枠(内ケース)4とを一体化して形成された炊飯器器体Aの上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット(蓋)2とから構成されている。
【0022】
上記保護枠(内ケース)4の底壁部(底部)4aの下方側にはコイル台7が設けられ、その上部には、フェライトコアを介し、上記内鍋3の底壁部(底部)3aの中央部と側方部および内鍋3の側壁部3bの各位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された3組のワークコイルC1,C2,C3が、それぞれ内鍋3の底壁部3aから側壁部3bに到る略
全体を包み込むように設けられており、それらにより通電時には内鍋3の略全体にうず電流を誘起して、その全体を略均一に加熱するようになっている。そして、該ワークコイルC1,C2,C3は、それぞれ相互に直列に接続されている。そして、その一端は、整流回路および平滑回路を介したワークコイル駆動回路の電源ラインに、また他端は同回路中のIGBT(パワートランジスタ)にそれぞれ接続されている。
【0023】
また、上記側壁部側ワークコイルC3の上方部には、保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0024】
また、上記保護枠(内ケース)4およびコイル台7の前方部側には、上記ワークコイルC1,C2,C3、保温ヒータH1、肩ヒータH2等を駆動制御する上記IGBTやヒータ駆動回路、マイコン制御ユニット、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた制御基板6Aおよび制御基板収納ボックス5Aが上下立設状態で設けられている。
【0025】
また上記外ケース1は、例えば合成樹脂材で形成された上下方向に筒状のカバー部材1aと、該カバー部材1aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材11と、上記カバー部材1aの下端部に一体化された合成樹脂製の底部材1bとからなり、かつ上記保護枠(内ケース)4の底壁部4aとの間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成した全体として有底の筒状体に構成されている。そして、該外ケース1の前面部上方には、例えば図2に示すような略半月形状の操作パネル部20が設けられている。
【0026】
該操作パネル部20面には、例えば図2に示されるように、十分に広く大きな表示面積をもつ液晶表示部21と炊飯スイッチ22a、タイマー予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d、再加熱スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、時スイッチ22g、分スイッチ22h、後述する米袋45側電子タグ50からの銘柄等の情報を入力し、同銘柄等の情報に基いて同銘柄の米を最適な炊飯加熱制御プログラムで炊飯するためのタグ炊飯モード選択スイッチ(銘柄炊飯機能選択スイッチ)22i等の各種入力スイッチ(タッチキースイッチ)が設けられている。また、上記肩部材11の肩部内周側には、肩ヒータH2が設けられている。
【0027】
また、上記外ケース1内の上記操作パネル部20の内側部分(裏側空間)には、上記制御基板6Aの上端側位置から斜め前方に下降する格好で、例えばマイコン基板6Bが傾斜設置されている。このマイコン基板6Bは、液晶ディスプレイ31、液晶ディスプレイ支持部材30、炊飯スイッチ22a、タイマー予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d、再加熱スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、時スイッチ22g、分スイッチ22h、タグ炊飯モードスイッチ22i等の各種入力スイッチ(タッチキースイッチの動作機構部)、米袋45側電子タグ50からの銘柄等の情報を受信して後述するマイコン制御ユニット32に転送入力するタグ情報受信制御ユニット60(図示省略)等が設けられた操作基板部6Bと、その下方側のマイコン用電源基板部5Bとからなっている。
【0028】
さらに、図示はしないが、上記保護枠(内ケース)4下方側のコイル台7の中央部には、上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ収納空間部が形成されており、該センタセンサ収納空間部中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で内鍋温度検知センサおよび内鍋検知スイッチを備えたセンタセンサが設けられている。
【0029】
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー12と、該外カバー12と内枠14との間に設けられた金属製の断熱構造体13と、該断熱構造体13の内側にパッキン17を介して設けられた金属製の内カバー15と、該内カバー15の下方に設けられた金属製の放熱板16とによって内側が中空の断熱構造体に形成されている。また、上記断熱構造体13は上下2枚の金属板13a,13bを閉断面構造に対向させて一体化することにより形成されている。
【0030】
この蓋ユニット2は、上記外ケース1上部の肩部材11に対してヒンジ機構を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック機構18が設けられている。
【0031】
したがって、該構成では、先ず炊飯時には、上記内鍋3は、上記3組のワークコイルC1,C2,C3の駆動によりその底壁部3aから側壁部3b側にかけて略全体が均一に発熱し、例えば内鍋3内の水に浸された飯米が断熱部として作用する吸水工程などにおいても内鍋3の上部側をもムラなく加熱して略全体に均一な吸水性能を可能にするとともに、炊飯量が多い時などにも内鍋3の全体を略均一に加熱して加熱ムラなく効率良く炊き上げることができる。また、沸騰工程以降の水分がなくなった状態における内鍋3の底壁部3aの局部的な熱の集中を防止して焦げ付きの発生を防止することができる。次に、保温時には、上記内鍋3の側壁部3bに対応して設けられた上記保温ヒータH1および肩ヒータH2の駆動により、内鍋3の底壁部3aから側壁部3bおよび上方部の全体が適切な加熱量で均一に加熱されて加熱ムラのない保温が実現される。
【0032】
一方、上記制御基板6Aのマイコン制御ユニット32には、上記各入力スイッチ22a〜22iを介して入力されたユーザーの指示内容を判断する所望の認識手段が設けられており、該認識手段で認識されたユーザーの指示内容に応じて所望の炊飯又は蒸し、保温機能、所望の炊飯又は蒸し、保温メニュー、それら各種炊飯又は蒸し、保温メニューに対応した、吸水工程における吸水温度,吸水時間、昇温工程における昇温出力,昇温速度、沸とう維持工程における加熱出力,加熱パターン、炊き上げ検知工程における炊き上げ検知温度、保温工程における加熱出力などを適切に設定して、その炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段としてのマイコン制御ユニット32を適切に作動させて所望の炊飯又は蒸し、保温を行うようになっている。
【0033】
したがって、ユーザーは、上記各入力スイッチ22a〜22iを使って通常炊飯、銘柄炊飯、蒸し、保温、タイマー予約、予約時刻設定等各種メニューの炊き分け、通常保温又は低温保温その他の各種の炊飯又は蒸し、保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32内の上記認識手段を介して炊飯および保温加熱パターン等設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御が最適な制御パターンで適切になされるようになる。
【0034】
(炊飯器本体側制御回路部分の構成)
次に、図3は上述のように構成された炊飯器本体A側の炊飯および保温制御並びに残時間表示制御用のマイコン制御ユニット32を中心とする制御回路部分の構成を示す。
【0035】
図中、符号32が上述のような通常又は銘柄炊飯加熱制御手段および蒸し、保温加熱制御手段に加え、銘柄等判定手段、内鍋温度判定手段、内鍋検知手段、ブザー報知手段等を備えた炊飯又は保温制御用のマイコン制御ユニット(CPU)であり、該マイコン制御ユニット32はマイクロコンピュータを中心として構成され、例えばタグ情報受信制御回路部、内鍋3の温度検知回路部、ワークコイル駆動制御回路部、内鍋3の検知回路部、発振回路部、リセット回路部、保温ヒータおよび肩ヒータ等駆動制御回路部、残時間設定表示制御回路部、ブザー報知部、電源回路部等を各々併設して構成されている。
【0036】
そして、先ず上記内鍋3の底壁部3a側センタセンサ部の内鍋温度検知センサS、内鍋検知スイッチLSに対応して設けられた温度検知回路43および鍋検知回路44には、例えば上記内鍋温度検知センサSによる内鍋3の底壁部3aの温度検知信号、内鍋検知スイッチLSによる鍋検知信号がそれぞれ入力されるようになっている。
【0037】
また、上記ワークコイル駆動制御回路部は、例えばパルス幅変調回路41、同期トリガー回路40、IGBT駆動回路42、IGBT37、共振コンデンサ38によって形成されている。そして、上記マイコン制御ユニット32のワークコイル駆動制御回路部により、上記パルス幅変調回路41を制御することにより、例えば炊飯工程に応じて上記ワークコイルC1,C2,C3の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯又は蒸し加熱工程の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンを炊飯量を考慮して適切に可変コントロールし、均一な吸水作用と加熱ムラのない御飯の炊き上げ又は蒸し加熱調理を実現するための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0038】
また同マイコン制御ユニット32の保温ヒータ駆動制御回路部および肩ヒータ駆動制御回路部により、それぞれ保温ヒータ駆動回路33および肩ヒータ駆動回路34を制御することにより、例えば保温又は炊飯、蒸し加熱工程に応じて上記保温ヒータH1、肩ヒータH2の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯又は炊飯、蒸し各加熱工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンとを実際の炊飯量を考慮して適切に可変コントロールするための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0039】
また、符号22a〜22iは上述した各種入力スイッチ部であり、同スイッチの必要なものが適切に操作されると、上記マイコン制御ユニット32側の認識手段によってユーザーの指示内容が認識され、その認識内容に応じて所望の各種炊飯又は保温加熱パターンを設定して上記各炊飯加熱制御手段又は蒸し保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温を行うようになっている。
【0040】
したがって、ユーザーは、同入力スイッチ22a〜22iを使用して通常炊飯又は銘柄炊飯、保温、タイマー予約、予約時刻設定、さらに白米又は玄米、早炊、おかゆ、かため又はやわらかめ、すしめし、炊き込み等の炊き分け、蒸し、通常保温又は低温保温等の各種の炊飯又は蒸し、保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32の上述した認識手段を介して炊飯又は蒸し、保温加熱パターン設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は蒸し、保温加熱制御が適切に実行される。
【0041】
そして、この場合、上記マイコン制御ユニット32側には、例えば一般に販売されている各種の米の銘柄に応じて最適な炊飯加熱制御プログラムを有し、例えば米側に設けられた電子タグ50からの銘柄情報(銘柄、産地、収穫年月日、精米年月日)により、対応する最適な炊飯加熱制御プログラムを自動的に選択して炊飯を実行し、理想的な御飯の炊き上げを図るようになっている。また、そのような炊飯加熱制御プログラムが予じめ設定されていない新たな銘柄の米の場合には、同電子タグ50からの上記銘柄等の情報に基いて、自から最適な炊飯加熱制御プログラムをプログラミングして、炊飯を実行するようになっている。
【0042】
さらに、符号17は炊飯完了を知らせるブザー報知部、16はリセット回路、21は液晶表示部である。この実施の形態の場合、上記液晶表示部21には、上記入力スイッチ22a〜22iのON操作に対応して所定のメニュー(制御モード)や時刻等の必要事項が表示され、以後設定内容に応じた必要な表示がなされて行くようになっている。
【0043】
(銘柄炊飯制御の実現方法について)
ところで、この実施の形態の場合、上述した銘柄炊飯制御を適切に実行するために、例えば図5に示すように、米穀店やスーパー等で販売されている米の袋45の表面45aには、銘柄a、産地b、収穫時期(年月日)c、精米時期(年月日)dが表示され、さらにその下部45bには、電子タグ50が剥がれにくいように貼設されている。
【0044】
この電子タグ50は、基本的にはICチップにより構成されており、電源回路50bと、無線周波数(RF)回路(ワイヤレス送受信回路)50cと、変調回路50dと、復調回路50eと、CPU50fと、このCPU50fに対して入出力可能に接続され、上述した銘柄等の情報a〜dの各種データが随時記憶されているメモリ22aを有して構成されている。
【0045】
電源回路50bは、蓄電池としてのコンデンサ(図示せず)を内蔵し、このコンデンサはコイル型の第1の送受信アンテナ51とともに共振回路を形成している。このコンデンサには、第1の送受信アンテナ51が特定の周波数の電波(上記共振回路が共振する周波数)を受信したときに、その相互誘導作用で生じる電力が充電されるようになっている。そして、電源回路50bは、このコンデンサからの電力を整流し安定化してCPU50fに供給し、当該電子タグ50を活性化する。また、上記第1の送受信アンテナ51は、例えば複数枚の軟磁性アモルファス箔又は複数枚の金属箔を耐熱性樹脂又は耐熱性無機材料からなる絶縁層を介して積層してなる磁芯部材51aの外周に、高強度の被覆導線51bを巻成した耐久性の高いものに構成されている。
【0046】
一方、上記メモリ50aは、例えばROM、RAMおよびEEPROMを含み、CPU50fの制御の下で、後述するタグ情報送送受信制御ユニット60からの送信電波のデジタル・データ通信による読出しコマンドに応じて、上記メモリ50aに記憶されている銘柄等の情報データa〜dの読出しを行うとともに、必要に応じ、同タグ情報送受信制御ユニット60からの書込みコマンドに応じて何らかの必要なデータの書込みが行われる。
【0047】
以上のように、CPU50f、メモリ50a、RF回路50c、米の銘柄等情報データa〜dを記憶したメモリ50a、およびワイヤレス送信機能等を有して構成された米袋45側の電子タグ50は、それに対応して、例えば上記炊飯器本体Aのマイコン基板6B部分に設けられたタグ情報送受信制御ユニット60とワイヤレスで送受信可能に構成されている。
【0048】
該タグ情報送受信制御ユニット60は、上記電子タグ50側に記憶された上述した米の銘柄等の情報データa〜dを読み出して、上述したマイコン基板6B側の炊飯又は保温制御用のマイコン制御ユニット32に転送して入力し、また電子タグ50側のメモリ50a内に必要な情報を書込むように構成されており、上記第1の送受信アンテナ51と相互誘導作用する同じくコイル型の第2の送受信アンテナ61が受信した電波データを処理するデータ処理回路部を有する。
【0049】
すなわち、第2の送受信アンテナ61は、上記電子タグ50側第1の送受信アンテナ51に対して所定の電波を送信し、かつ電子タグ50側第1の送受信アンテナ51からの所定の電波を受信するように構成されている。また、データ処理回路部は上記第2の送受信アンテナ61に接続されており、バッテリを内蔵する電源回路60aと、無線周波数(RF)回路(ワイヤレス送受信回路)60bと、変調回路60cと、復調回路60dと、CPU60eと、このCPU60eに対して入出力可能に接続され、上記電子タグ50のメモリ50aから読み取った情報(米の銘柄a、産地b、収穫時期c、精米時期d等)を記憶するメモリ60fとを有して構成されている。
【0050】
上記電子タグ50中のメモリ50aに記憶された米の銘柄等の情報データa〜dの読み出しは、上記タグ情報送受信制御ユニット60の第2の送受信アンテナ61から上記電子タグ50側の第1の送受信アンテナ51に向けて2値化されたデジタル・データ信号を特定周波数の電波に乗せて送信する。このデジタル信号は、変調回路60cで変調を受け、RF回路60bで増幅されて第2の送受信アンテナ61から送信される。該送信された電波は、電子タグ50側第1の送受信アンテナ51により受信され、この受信時のアンテナコイル間の相互誘導作用により電源回路50bの蓄電用コンデンサに電力が充電される。そして、それにより電源回路50bは動作電力をCPU50fに供給し、電子タグ50を活性化して、RF回路50cを作動させる。
【0051】
そして、CPU60eは、この受信信号(読出しコマンド信号)に基づいて、上記メモリ50aに記憶されている米の銘柄等の情報データa〜dを送信する。この米の銘柄等の情報データa〜dの送信は、上記同様に2値化されたデジタル・データ信号を変調回路50dで変調した後、RF回路50cで増幅することによって第1の送受信アンテナ51から送信することにより行われる。このようにして送信されたデジタル・データは、タグ情報送受信制御ユニット60側第2の送受信アンテナ61で受信され、上記データ処理回路部でデータ処理されて、上述の各種炊飯又は保温制御用のマイコン制御ユニット32に転送される。これにより、これから炊飯に使用される米の銘柄a、産地b、収穫時期(年月日)c、精米時期(年月日)dが正確に入力され、それに応じた適切な加熱量、加熱パターンでの炊飯加熱制御が実現される。
【0052】
また、上記CPU60eの入力ゲートには、さらに汎用的な入力装置(入力回路)60gが接続されており、所定の外部入力手段(パソコン等)からの必要な追加情報が、同入力装置60gを介して入力され、上記CPU60e、RF回路60bを通して上記電子タグ50側のメモリ50aに書き込まれるようになっている。
【0053】
なお、上記構成における電子タグ50の設置位置は、上述のような米袋45の表面45aの底部45bに限らず、どこでもよい。
【0054】
以上のように、この実施の形態の構成では、内鍋と、該内鍋を収納セットする炊飯器本体と、該炊飯器本体内にあって上記内鍋を加熱する加熱手段と、使用される米の銘柄等を検知判定する銘柄等判定手段と、該銘柄等判定手段の判定データに基いて上記加熱手段の加熱制御を行う加熱制御手段と、上記炊飯器本体の開口部を覆う蓋ユニットとからなる電気炊飯器であって、上記銘柄等判定手段は、米側にあって、当該米の銘柄等の情報を上記炊飯器本体側にワイヤレス送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグと、上記炊飯器本体側にあって、同電子タグからワイヤレス送信される上記米の銘柄等の情報を受信する受信手段とからなり、使用される米側の銘柄等の情報をワイヤレス状態で検出判定して上記加熱制御手段に入力するようにしたことを特徴としている。
【0055】
このように、使用される米側に、当該米の銘柄等の情報をワイヤレスで送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグを設ける一方、炊飯器本体側に同電子タグからワイヤレス送信される銘柄等の情報を受信する受信手段を設け、これらによって米の銘柄等判定手段を構成し、使用される米側の銘柄等の情報をワイヤレス状態で検出してマイコン制御ユニット等加熱制御手段に取り込むようにすると、従来の銘柄スイッチ等の銘柄選択手段が不要で、何らユーザーの負担を招くことなく、これから使用とする米の銘柄等の必要な品質特性データがマイコン制御ユニット等加熱制御手段側に自動的に入力され、同米の銘柄等必要な品質特性に応じた理想的な炊飯が可能となる。
【0056】
また、この場合において、上記銘柄等の情報は、銘柄および産地、収穫時期、精米時期まで含んだ詳細なものとなっている。
【0057】
すでに述べたように、米の銘柄は多種多様であり、例えば同じ銘柄であっても産地や収穫時期、精米時期などによって、その水分含有量や硬さ、粘度などの本質的な特性が異なる。
【0058】
そして、米の硬さや粘度、水分含有量は、炊飯時の吸水性、所要加熱量を大きく左右する。それらの内、米の硬さや粘度は、一般に米の主成分である澱粉中のアミロースとアミロペクチンの含有比率で決まるが、その比率は米の銘柄(品種)や産地によっても異なり、また水分含有量は、銘柄のほか、収穫時期、精米時期などによっても異なってくる。
【0059】
したがって、それらも炊飯に必要な情報として取り込み、より理想的な炊飯を行うようにしている。
【0060】
また、上記の構成では、必要に応じて、上記米側の電子タグ50は、当該米の商品番号表示機能をも有するように構成される。
【0061】
そのような構成によると、当該電子タグ50を米の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の商品チェックなど各種の用途に利用することができるようになる。
【0062】
また、上記の構成では、上記炊飯器本体A側のタグ情報受信手段は、特にタグ情報送受信制御ユニット60として、送信機能をも有するように構成されている。したがって、必要に応じて当該電気炊飯器の製品番号表示機能を有するようにも構成することができる。
【0063】
このような構成によると、当該タグ情報送受信制御ユニット60を、電気炊飯器の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の製品チェック、アフターサービスなど各種の用途に利用することができる。
【0064】
また上記の構成では、炊飯器本体A側の加熱制御手段であるマイコン制御ユニット32には、プログラミング機能が具備されている一方、電子タグ50側の銘柄等の情報には、当該銘柄の炊飯加熱制御に必要な品質特性を示す詳細な情報が含まれており、炊飯器本体A側加熱制御手段であるマイコン制御ユニット32は、同情報に基いて、当該銘柄の米の最適な加熱制御プログラムをプログラミングして炊飯を行うようにも構成されている。
【0065】
このような構成によると、予じめ設定されていない全く新しい銘柄の米が使用されるようになった時にも、何ら問題なく対応することができる。
【0066】
また、上記の構成では、米側の電子タグ50は、当該米を収容した米袋45の表面45aに貼設されている。
【0067】
したがって、このような構成の場合、例えば新しく買って来た米を米袋45から出して計量米ビツ等に入れた後、残った米袋45を炊飯器本体の近くに持って行ってタグ炊飯モード選択スイッチ22iを押すと、タグ情報送受信制御ユニット60から電子タグ50側に、タグ情報読み出しコマンド信号が送信されて、米袋45に貼設されている電子タグ50から銘柄等の情報が送信され、同タグ情報送受信制御ユニット60を介して炊飯器本体A側のマイコン制御ユニット32等加熱制御手段に自動的に入力される。
【0068】
これらの結果、本願発明によると、ユーザーに対して、銘柄等の選択や入力操作等の何らの負担を強いることなく、銘柄に応じた真に理想的な御飯の炊き上げを行うことができる高性能の電気炊飯器を低コストで提供することが可能となる。
【0069】
(変形例)
なお、以上の構成は、さらに次のような変形も可能である。
【0070】
例えば上記銘柄等の情報a〜dについて、同銘柄等の情報a〜dは、常にa〜dの全てが揃っているとは限らない。
【0071】
これに対する対応措置として、基本的には、上述のように全情報a〜dを入力して加熱制御するようにするが、もし収穫年月日c、精米年月日d以外の特性決定の基本となる情報a,bがない場合には、あくまでも包括的に対応できる通常の加熱制御を行なう。
【0072】
他方、収穫年月日c、精米年月日d等のサブ的な情報が欠けているにすぎない場合は、銘柄aと産地bの基本となる銘柄情報に基いて銘柄炊飯モードでの炊飯加熱制御を行う。
【0073】
(最良の実施の形態2)
なお、以上の最良の実施の形態1の構成においては、例えば内鍋3は常時同一のものが使用されることを前提として、その加熱量、加熱パターンがプログラミングされるようになっている。
【0074】
しかし、損傷等、場合によっては内鍋3自体が取り換えられることがある。
【0075】
そこで、そのような場合、内鍋3側に当該新たな内鍋3の種類、特性等を示す所定の電子タグを埋設して置いて、炊飯器本体側にセットされた時に、その種類、特性等必要なデータを上述のマイコン制御ユニット32側に入力させるようにする。
【0076】
このようにすると、それを考慮して新たに加熱制御プログラムを自動的に修正することができる。
【0077】
(最良の実施の形態3)
また、最近では、上述した当該電気炊飯器の内鍋3の一つのオプション形態として、例えば石焼ビビンバ専用の石製(又は石風)の内鍋なども検討されている。
【0078】
このような場合、例えば同オプションの内鍋3に電子タグを埋設して置き、上記同様のセット時に、その情報をマイコン制御ユニット32側に入力させ、それに対応して液晶表示部21に、例えば「白米おこげ」を表示し、以後は該「白米おこげ」メニューしか選択できないようにする。
【0079】
そして、通常の内鍋での「白米おこげ」とは異なる同オプション内鍋(石製)での「白米おこげ」の加熱制御プログラムを設定して炊飯を実行するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本願発明の最良の実施の形態1に係る電気炊飯器の炊飯器本体の構成を示す一部切欠図である。
【図2】同炊飯器本体の操作パネル部の正面図である。
【図3】同炊飯器本体の制御回路図である。
【図4】上記電気炊飯器において炊飯に使用される米が収容されている米袋の正面図である。
【図5】同電気炊飯器の米袋側電子タグの送受信回路とそれに対応する炊飯器本体側タグ情報送受信制御回路の構成を示す電気回路図である。
【符号の説明】
【0081】
3:内鍋
4:保護枠
20:操作パネル部
32:マイコン制御ユニット
50:電子タグ
60:タグ情報送受信制御ユニット
A:炊飯器本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、該内鍋を収納セットする炊飯器本体と、該炊飯器本体内にあって上記内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱制御を行う加熱制御手段と、上記炊飯器本体の開口部を覆う蓋ユニットと、炊飯器本体外にあって所定の情報を上記炊飯器本体側にワイヤレス送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグと、上記炊飯器本体側にあって同電子タグからワイヤレス送信される所定の情報を受信する受信手段とからなり、上記電子タグにより上記所定の情報を上記炊飯器本体側受信手段にワイヤレス状態で送信し、同受信手段を介して上記加熱制御手段に入力するようにしてなる電気炊飯器であって、上記炊飯器本体側の電子タグ情報受信手段は、受信機能とともに送信機能を有し、当該電気炊飯器の製品番号を表示するように構成されていることを特徴とする電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−161698(P2008−161698A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27208(P2008−27208)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【分割の表示】特願2003−401010(P2003−401010)の分割
【原出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】