説明

電気炊飯器

【課題】 内鍋の底部側と側部側との間の炊きムラ(加熱ムラ)をなくし、美味しいご飯を炊き上げることができる電気炊飯器を提供する。
【解決手段】 所定量の米と水とを収納する内鍋3と、該内鍋3を加熱する加熱手段(誘導発熱体G1,G2およびワークコイルC1,C2)とを備え、該加熱手段により前記内鍋3を加熱して、ご飯を炊き上げるようにした電気炊飯器において、前記内鍋3の側壁部3cの外面に、その下端側から上端部側に延びる凹凸部X,X・・を形成し、同部分の受熱面積および受熱量を増大させることにより、同部分の加熱力を向上させて底壁部との間の炊きムラ(加熱ムラ)をなくすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、内鍋全体の均一な加熱が可能であって、炊きムラのないご飯が炊ける内鍋を備えた電気炊飯器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気炊飯器は、一般に米と水を収容する内鍋および該内鍋を加熱する加熱手段を備えた炊飯器本体と、該炊飯器本体の上部開口を閉蓋する蓋体とからなっており、炊飯を行う時には、内鍋内に所定量の米と水を入れ、炊飯器本体内に収納して内鍋の底面部を加熱手段により加熱して、ご飯を炊き上げるようになっている。
【0003】
しかし、このように内鍋の底部を中心として加熱する場合、加熱源に近い内鍋底部底面(フラット面)や内鍋底部外周面(コーナー部アール面)においては、ご飯が柔らかくなりすぎる一方、加熱源から遠ざかる内鍋側部面では加熱量が不足してご飯が硬くなるという炊きムラが生じる問題がある。
【0004】
そこで、このような炊きムラ(加熱ムラ)を解消するために、例えば磁性金属材料からなる発熱層部材を外面に備える内鍋と上記発熱層部材を電磁誘導により発熱させて内鍋を加熱する加熱コイルとを具備する電気炊飯器において、上記内鍋の外面に設けた発熱層部材の外面において、上記内鍋の底面から側面部下端に向かって渦状に延びる複数の凹溝を形成して、加熱量を上げることなく、しかも簡単な構造で、内鍋内のお湯の全体の対流を促進して上述のような炊きムラ(加熱ムラ)を抑えるようにした電気炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
また同様の電気炊飯器において、内鍋の内面に、内鍋の底面から側面部下端に向かって渦状に延びる複数の凹溝を形成して、加熱量を上げることなく、しかも簡単な構造で、内鍋内のお湯の全体の対流を促進して上述のような炊きムラ(加熱ムラ)を抑えるようにした電気炊飯器が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−267011号公報
【特許文献2】特開平11−267013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記のような構成の電気炊飯器の場合、上記内鍋底部外面または内面の複数の凹溝による対流の促進によって炊きムラ(加熱ムラ)の解消にある程度寄与することができることは推測できるものの、内鍋側壁部の絶対的な加熱力の向上を図ることはできないので、その改善効果には自ずと限界がある。また、発熱層部材の外面に凹溝を形成することは、技術的な困難を伴うとともに、加工が大変で、コスト的にも不利となるおそれがある。特に、内鍋として熱伝導性、加工性に劣る土鍋などを採用した場合には、それらの問題が更に増大する。
【0008】
また内鍋の内面に凹溝部を形成したものでは、洗浄や洗米に不便なだけでなく、ご飯が残りやすいという致命的な欠点がある。
【0009】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、内鍋の側壁部自体の加熱力を向上させることにより、有効に底壁部との間の炊きムラ(加熱ムラ)を抑制し、内鍋全体の加熱力を均一にして、美味しいご飯を炊き上げることができるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0011】
(1) 請求項1の発明
この発明では、上記課題を解決するための手段として、所定量の米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段とを備え、該加熱手段により前記内鍋を加熱することによってご飯を炊き上げるようにした電気炊飯器において、前記内鍋の側壁部外面に、その下端側から上端部に向かって延びる凹凸部を形成している。
【0012】
このような構成では、内鍋の側壁部外面の下端側から上端部に向かって延びる凹凸部を形成するという簡略かつ低コストな構成により、内鍋側壁部外面の下端側から上端部に亘る部分の受熱面積を増大させることができるようになり、受熱量がアップして加熱力が大きくなる。
【0013】
その結果、底壁部との間の炊きムラ(加熱ムラ)を小さくすることができ、美味しいご飯を炊き上げることができるようになる。
【0014】
(2) 請求項2の発明
この発明では、上記課題を解決するための手段として、所定量の米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を電磁誘導により加熱する加熱手段とを備え、該加熱手段により前記内鍋を加熱することによってご飯を炊き上げるようにした電気炊飯器において、前記内鍋の外面に、電磁誘導により発熱する発熱部と電磁誘導により発熱しない非発熱部とを設けるとともに非発熱部に、凹凸部を形成している。
【0015】
このような構成では、内鍋外面における非発熱部に凹凸部を形成するという簡略かつ低コストな手段により、内鍋外面における非発熱部の受熱面積を増大させることができることから、受熱量がアップして加熱力が大きくなる。
【0016】
その結果、底壁部との間の炊きムラ(加熱ムラ)を小さくすることができ、美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0017】
(3) 請求項3の発明
この発明では、上記課題を解決するための手段として、上記凹凸部に対向する部位に、電気ヒータを設けている。
【0018】
このようにした場合、電気ヒータによる加熱力が、上記請求項1,2の発明の課題解決手段による受熱面積の大きな凹凸部に対して効率良く照射されることになり、同広い受熱面積で、多量の熱が効果的に吸熱されるようになるので、内鍋内部への加熱量、加熱効率が大きく向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上の結果、本願発明によると、内鍋の底部から側部の全体に亘って、ほぼ均一な加熱状態となるように側部面等非発熱部の加熱力、加熱効率を向上させることができ、従来のような加熱ムラを略有効に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明の実施の形態1にかかる電気炊飯器の炊飯器本体全体の縦断面図である。
【図2】同本願発明の実施の形態1にかかる電気炊飯器における操作パネル部分の構成を示す正面図である。
【図3】同本願発明の実施の形態1にかかる電気炊飯器における内鍋部分の構成を示す拡大半截断面図(図5のB−B断面に対応)である。
【図4】同本願発明の実施の形態1にかかる電気炊飯器における内鍋および内ケース部分の構成を示す拡大半截断面図である。
【図5】同本願発明の実施の形態1にかかる電気炊飯器における内鍋の構成を示す拡大側面図である。
【図6】同図5のA−A断面図である。
【図7】本願発明の実施の形態2にかかる電気炊飯器における内鍋の構成を示す拡大側面図である。
【図8】同図7のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施の形態1>
以下、添付の図面の図1〜図6を参照して、本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の構成について説明する。
【0022】
先ず、この実施の形態の電気炊飯器1は、図1に示すように、例えば内鍋(飯器ないし保温容器)3として非金属材料からなる蓄熱性の高い鍋(例えば、セラミック製の土鍋)が一例として採用されており、その底壁部3aの底部中央面(フラット面部)および該底壁部3a外周のコーナー面部(アール面部)3b各々の外面には、それぞれ内部に誘起される渦電流によって自己発熱が可能な例えば銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2が所定の幅を有して設けられている。
【0023】
つまり、底壁部3aの底部中央面(フラット面部)および該底壁部3a外周のコーナー面部(アール面部)3bの外面は、電磁誘導加熱によって発熱する発熱部とされ、かつコーナー面部(アール面部)3bの上端、換言すると、側壁部3cの下端側(ストレート部下端側)から上端側開口縁部(フランジ部)3dにかけての縦壁部分の外面は、電磁誘導加熱によって発熱しない非発熱部とされている。
【0024】
なお、本実施の形態においては、前記のように非金属製の内鍋の外面に銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2を設けることによって発熱部としているが、前記内鍋3としては、もちろん金属製であって、かつ非磁性体(例えば、アルミ等)製の内鍋を採用することもできる。そして、その場合には、電磁誘導により渦電流を発生する部材を同アルミ材中にインサート成形することや溶射によって同様の発熱部とすることができる。
【0025】
そして、前記内鍋3の側壁部3cの非発熱部外面には、例えば図3ないし図6に示すように、その下端部(コーナー面部3b上端)から上端側開口縁部3dに向かって延びる凹凸部X,X・・が形成されている。本実施の形態の場合、この凹凸部X,X・・は、前記内鍋3の側壁部3cの非発熱部外面において、その下端側(コーナー面部3bの上上端から上端側開口縁部(フランジ部)3dに向かって螺旋状に延びるように所定間隔で多数本形成された断面三角形状の凸条部x,x・・と該凸条部x,x・・間に形成される断面円弧形状の凹条部y,y・・とによって構成されている。
【0026】
これら凸条部x,x・・および凹条部y,y・・は、本実施の形態におけるように、内鍋3として非金属材料からなる蓄熱性の高い鍋(例えば、セラミック製の土鍋)を採用した場合、焼き(火)を入れる前の粘土状態の土鍋の外面における側壁部3cの外面に対して、その下端側から上端部に向かって延びる螺旋状の凹条部y,y・・を形成することによって凸条部x,x・・を所定間隔で形成することにより形成されるようになっており、凹凸部X,X・・を容易に形成することができ、金属製のプレス加工で成形する内鍋などに比べて凹凸部X,X・・の形成が容易となる。
【0027】
そして、本実施の形態の場合、前記内鍋3の内面側には、何らの凹凸加工も施されていないので、従来の特許文献2のように、ご飯等のお手入れ性を損ねるということもない。
【0028】
しかも、この実施の形態の場合、前記凹凸部X,X・・に対向する部位(後述する内ケース4の筒状壁部4c)には、例えば図4に詳細に示すように、後述する内ケース4上部の筒状壁部4cを介して下端側から上端側までの全体に亘って保温用の電気ヒータH1が設けられている。
【0029】
このようにした場合、同電気ヒータH1の発熱による熱が熱伝導性の良い金属製の筒状壁部4cを介して表面積(受熱面積)の大きな凹凸部X,X・・に照射されることになり、同広面積の凹凸部X,X・・で効率良く多量の熱を受熱し蓄熱することによって、内鍋側壁部3c内の飯米を十分な加熱力で加熱することができるようになる。
【0030】
その結果、内鍋側壁部3c側からの加熱効率が大きく向上し、従来のような下部側(底壁部3a側)からのみの対流促進による場合に比べて、大きく炊きムラが改善されるようになっている。
【0031】
そして、この実施の形態の電気炊飯器1は、以上のような構成の内鍋3を任意に収納セットし得るように形成された上記合成樹脂製の皿状の下部保護枠4aおよび上部側の筒状壁部4cよりなる内ケース4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース5と、該外ケース5の下部に一体に嵌合された底ケース13と、前記外ケース5と前記内ケース4とを肩部材10Aにより一体化して形成された炊飯器本体の上部に開閉可能に設けられた蓋体2とから構成されている。
【0032】
一方、前記内ケース4の底壁部である皿状の下部保護枠4aの下方側には、フェライトコア収納部を備えたコイルカバー(コイル台)6が設けられており、その下部には、フェライトコアを配置し、またそれらの間には、前記内鍋3の受壁面部である下部保護枠4aの中央部側フラット面部と前記内鍋3の底壁部3aの外周部側コーナー面部(アール面部)3bの前記第1,第2の2組の誘導発熱体G1,G2位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それらへの通電時には前記内鍋3における前記第1,第2の誘導発熱体G1,G2に渦電流を誘起して、前記内鍋3を効率良く加熱するようになっている。つまり、前記第1,第2のワークコイルC1,C2と前記第1,第2の誘導発熱体G1,G2とが、前記内鍋3を加熱する加熱手段を構成している。
【0033】
前記合成樹脂製の外ケース5の後部側は、例えば平面視H形の形状に成型されていて、前後方向に平行な左右の側壁部間後部に位置して左右に延びる仕切壁24が設けられている。そして、この仕切壁24の左右両端部には、後方側から平面視コ字形の外ケースカバー5bの側壁部前端が嵌合(係合)されるようになっている。
【0034】
前記外ケース5の仕切壁24と前記外ケースカバー5bとの間には、前記内ケース4側と仕切られる形で、シール性の高い電装品収納空間が形成されている。そして、この電装品収納空間内に、上記した第1,第2のワークコイルC1,C2、電気ヒータH1等を駆動制御するIGBTやヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた第1の基板(制御基板)B1および該第1の基板B1を保持した基板カバー(制御基板カバー)7が上下方向に立設する状態で設けられている。
【0035】
この第1の基板B1上には、IGBT、第1,第2のワークコイルC1,C2および電気ヒータH1、蓋ヒータH2の電力制御を行う第1のマイコン制御ユニットなどの必要部品が設けられているとともに、接続用配線であるフレキシブルなフラットケーブルを介して後述する蓋体2側の第2の基板(マイコン基板)B2が接続されている。
【0036】
前記基板カバー7は、例えば前記外ケース5の仕切壁24に対して着脱可能な状態で取り付けられるようになっていて、その下部側には、例えば下部保護枠4aの下面側に取り付けられた第1,第2のワークコイルC1,C2および第1の基板B1のヒートシンク25の放熱フィン部分に冷却用の空気を流す第1の送風ファン11Aが、また左右両側には、前記内鍋3の第1,第2の誘導発熱体G1,G2部分に向けて直接冷却空気を送風する第2、第3の送風ファン11B,11Cが、それぞれ一体に取り付けられている(第2の送風ファン11Bは、図1の切断面の手前側にあって見えないために図示を省略している)。
【0037】
前記第1の送風ファン11Aは、上下方向に開口した短筒状のファンケーシング56a内の送風通路56b内に軸流ファン56cを備えるとともに、下部保護枠4aの底部側への吹出空気分流ダクト56dを備えて構成されている。
【0038】
他方、前記第2、第3の送風ファン11B,11Cは、渦巻き形状のスクロールケーシング11b内にファンモータ11eにより駆動される多翼ロータ11dを配置し、側面側に設けた空気吸込口11gより吸い込んだ空気をスクロール通路11a下流の空気吹出端から吹き出すようにしたシロッコファン(登録商標)よりなり、それらは交互に所定時間運転されるようになっており、その空気吹出端からの吹出空気は、前記下部保護枠4aの上端4b部分の全周に位置して形成された送風路15に対してフレキシブルなゴム製の連通パイプ(図示省略)を介して送風されるようになっている。
【0039】
前記送風路15は、前記下部保護枠4aの上端4b部分に形成された凹溝状の環状ダクトと該環状ダクトに対して上方側から嵌合される逆凹溝状のキャップ部を有するダクトリング9との間に形成されている。この送風路15には、円周方向に等間隔で6個の送風用開口F,F・・が前記内鍋3のコーナ部3bにおける第2の誘導発熱体G2に向けて(かつ若干下方に向けて)形成されている。また、前記各送風用開口F,F・・内には、平面視V字状の送風ガイドがそれぞれ設けられており、該送風ガイドの存在により、一方の送風ファンが駆動されているときに、前記送風路15を流れる冷却風が距離の異なる各送風用開口F,F・・から円滑に前記内鍋3の第1,第2の誘導発熱体G1,G2部分に向けてスムーズに送風されるようになっている。
【0040】
ご飯を美味しく炊き上げるためには、昇温行程や昇温行程後の炊き上げ行程などの、飯米に十分に熱を通す高温且つ高加熱出力が要求される炊飯行程で、内鍋3に対して可能な限り高い加熱出力を与えることが好ましい。
【0041】
しかし、その場合において、内鍋3に局部的に高温になる部分があると、同部分での耐熱対策が必要となり、有効に加熱出力を増大させることができない。
【0042】
ところが、上記のように、内鍋3の第1,第2の誘導発熱体G1,G2部分に直接冷却用の空気を第2、第3の送風ファン11B,11Cで送風することにより、上記した局部的に第1,第2の高温となる誘導発熱体G1,G2部分を冷却して、その熱を有効に回収し、逆に相対的に低温の側壁部3c(換言すれば、非発熱部)側に移送して作用させるようにすると、内鍋3全体の加熱温度を可及的に均一化し、加熱効率を向上させて、吹きこぼれ、焦げ付きを防止することができるとともに、さらに従来加熱不足であった内鍋3の側壁部3cへの加熱量を大きく増大させることができるようになり、より一層美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【0043】
しかも、本実施の形態の場合には、その場合において、上述したように、非発熱部である内鍋3の側壁部3c部分の全体に凹凸部X,X・・を形成しており、その螺旋状の凹条部y,y・・および凸条部x,x・・に沿って内鍋3の側壁部3c外周面を旋回しつつ上昇する高温の空気(即ち、第1,第2の誘導発熱体G1,G2部分の熱を回収した高温の空気)の上昇速度が低減せしめられることにより、上昇空気中に回収された熱を時間をかけて効率良く内鍋3の側壁部3cに受熱(伝熱)させることができる。
【0044】
しかも、この場合において、上記凹条部y,y・・を通って周方向に旋回しながら前記内鍋3の底壁部3a側から側壁部3c側に移送される上記高温の空気は、上記内鍋3の上端側開口縁部(フランジ部)3dの外周面(下面)まで流され、側壁部3cの全体を下端から上端まで効率良く加熱することとなる。
【0045】
したがって、内鍋3の側壁部3c部分の温度は、その全体に亘って、さらに効果的に上昇し、同側壁部3c部分から内鍋3内への加熱量、加熱効率は、さらに有効に上昇する。
【0046】
このため、満量状態のご飯の場合にも、露付きや白ボケを生じさせることなく、一層良好な炊き上げ状態を実現することができる。
【0047】
また、前記内ケース4における皿状の底壁部である下部保護枠4aは、その底面部の中央部に内鍋3の底壁部3aの温度を検知する温度センサ18の嵌合口が形成されているとともに、同温度センサ嵌合口の外周側上面には、ドーナツ状の遮熱板8が設けられている。また、前記内ケース4の上端部4b上の環状ダクト9の外周部内側には、所定幅半径方向に張り出したフランジ状の段部が設けられ、この段部部分に前記内ケース4における上部側筒状壁部4cの下端側が係合載置されている。
【0048】
他方、前記内ケース4における上部側筒状壁部4cの上端は、内枠部材10Bを介して前記外ケース5上端の肩部材10A側部分に連結して固定されている。
【0049】
また、前記内ケース4における上部側筒状壁部4cの外周には、上述のように炊飯時および保温時における内鍋側側壁部3cの加熱手段として機能する電気ヒータH1が内ケース4の筒状壁部4cを介して設けられており、炊飯時および保温時の各々において前記内鍋3の側壁部3cの全周を有効且つ均一に加熱するようになっている。
【0050】
なお、図1において、符号11は、前記底ケース13の後部側に設けられている前記第1の送風ファン11A用の空気吸込口、19は、コードリールである。
【0051】
さらに、前記蓋体2は、その最上面を構成するとともに、中央部の蒸気パイプ嵌合孔2f部分におねば戻し機能を有する蒸気パイプ(調圧ユニット)14を備えた合成樹脂製の外カバー2aと、該外カバー2aの外周部に嵌合一体化して設けられた同じく合成樹脂製の内カバー2bと、該内カバー2bの外周部内に設けられた内枠部材2cと、該内枠部材2cの内側に設けられた金属製の放熱板2dと、該放熱板2dの上面に設けられた蓋ヒータH2と、前記放熱板2dの下方側に設けられた金属製の内蓋2eとを備えて構成されている。
【0052】
また、前記放熱板2dの外周縁部下方および前記内蓋2eの外周縁部下方には、それぞれパッキンP1,P2が設けられており、前記内蓋2eは、前記パッキンP2を介して前記内鍋3の上端側開口縁部(フランジ部)3dの内側に傾斜した上面部に広く接触せしめられている。また、前記蒸気パイプ(調圧ユニット)14には、前記放熱板2dの蒸気導入口部から前記外カバー2aの蒸気排出口14aに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路25が形成されている。符号14cは同蒸気排出通路25の調圧パイプ14b内の調圧弁(球体弁)、14dはその下方側の弁口部を有する筒状の弁座部、14eは同弁座部の下端に嵌合された調圧キャップである。
【0053】
この蓋体2は、前記外ケース5の後壁上部の肩部材10Aに対してヒンジバネ29を有するヒンジ軸28を介して上下方向に回動自在に取り付けられており、その開放端側(前端側)内周面には、該蓋体2に係合して当該蓋体2の上方への開放を係止する炊飯器本体側のロック片17aのロック爪17bが係合する係合部2gが設けられている。
【0054】
そして、前記外ケース5の前壁5a側上部位置に設けられているロック機構アンロック操作部17のON操作によって、前記ロック片17aのロック爪17bの蓋側係合部2gとの係合が解除されると、前記ヒンジバネ29の付勢力によって前記蓋体2が自動的に上方に開かれるようになっている。
【0055】
また、図1において、符号16は前記内鍋3内の温度および沸騰状態を検知する蓋センサ(蒸気センサ)である。
【0056】
この蓋センサ16は、前記内蓋2eの開口部に蒸気通路16eを有した蒸気パイプ16cを嵌合するとともに、同蒸気パイプ16c内にの蒸気通路16e内に前記放熱板2d側に取付ホルダー16aおよび16dを介して取り付けられている温度センサ16bの先端を挿入する形で設けられている。この場合、前記温度センサ16bは、図示のように、上方から下方に向けて長く延びる軸状体のものよりなり、その先端側センサ部(温度検知部)が、前記内鍋3の開口縁部(フランジ部)3dよりも内側に臨んで(侵入する形で)設けられている。
【0057】
一方、前記蓋体2の外カバー2aの前部中央には、当該炊飯器の操作部および表示部を構成する操作パネル部嵌合用の凹溝部20fが形成されており、該凹溝部20f部分に前記外カバー2aの外周面と連続する外周面を形成する形で操作パネル部20が嵌合されてカバーされるようになっている。
【0058】
前記操作パネル部20は、例えば薄型のボックス構造(合成樹脂製)のものよりなり、前記凹溝部20f内に着脱自在に嵌合して収納されている。そして、例えば図2に示すように、その上部側部材の上方側中央部に液晶表示部21に対応する透明窓を有するとともに、その周囲には、炊飯スイッチ22a、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、音声ガイドスイッチ22h、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を指定する炊飯メニュースイッチ22f、時計およびタイマーの時刻時設定スイッチ22d、時計およびタイマーの時刻分設定スイッチ22e、保温スイッチ22i、お米選択スイッチ22g、火加減設定スイッチ22jの各操作キーが設けられている。なお、前記炊飯スイッチ22a、前記炊飯予約スイッチ22b、前記保温スイッチ22iには、それぞれの動作状態を表示する動作表示用LED23a〜23dが併設されている。
【0059】
上記のように構成したことにより、本実施の形態にかかる電気炊飯器においては、内鍋3の外面であって非発熱部である側壁部3cから上端側開口縁部3dに向かって延びる凹凸部X,X・・を形成するという、簡略、かつ低コストな手段により、内鍋3外面における側壁部3cから上端側開口縁部3dに亘る部分の受熱量および内鍋3内への加熱量を増大させることができることから、炊飯量の如何に関係なく、有効に炊きムラ(加熱ムラ)を解消して、より美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0060】
特に本実施の形態においては、前記内鍋3の側壁部3cの凹凸部X,X・・に対向する部位に、保温用の電気ヒータH1を設けており、同電気ヒータH1による加熱力が上記受熱面積(表面積)の大きな凹凸部X,X・・に照射されることとなり、非発熱部である内鍋3側壁部3cの加熱を効率的に行うことができ、効果的に受熱量を増大させて、内鍋3内への加熱力をアップざることができる。
【0061】
<実施の形態2>
次に、添付の図面の図7および図8を参照して、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の構成について説明する。
【0062】
上述した本願発明の凹凸部X,X・・のその他の実施の形態としては、例えば図7および図8に示すように、上記同様に内鍋3として採用された土鍋の側壁部3cの外面における下端部側から上端側開口縁部3dに向かって螺旋状に延びる複数本の凹条部y,y・・を、隣接させることなく所定の間隔を置いて形成することも可能である。
【0063】
この場合、前記各凹条部y,y・・の間には、上述のような断面三角形状ではなく、断面台形状の凸条部x,x・・が形成されることになる。
【0064】
このような構成の場合にも、上述の場合と同様に焼き(火)を入れる前の粘土状態の土鍋の側壁部3cの外面の下端側から上端側開口縁部3dに向かって、螺旋状に延びる凹条部y,y・・を所定間隔で形成するとともに、それら凹条部y,y・・の間に所定の間隔の頂部が円弧面の断面台形状の凸条部x,x・・を形成することにより、上記と同様の凹凸部X,X・・を形成する。
【0065】
このような構成の場合にも、上記と同様の作用により、内鍋3の側壁部3c側からの加熱効率が大きく向上し、従来のような内鍋3の底壁部3a側からのみの対流促進による場合に比べて、大きく炊きムラが改善される。
【0066】
<その他の実施の形態>
以上の本願発明に係る凹凸部X,X・・は、上記実施の形態1,2のような構成に限られるものではなく、例えばゴルフボールの表面に形成されるような凹面ディンプル構造、またその逆の凸面ディンプル構造によるものも可能であり、それらの各構成の場合にも、上記各実施の形態のものと全く同様の内鍋側側壁部3c部分の加熱力向上効果を得ることができる。
【0067】
なお、本願発明は、その他の凹凸部X,X・・以外の部分においても、上記各実施の形態において説明したものに限定されるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜各種の設計変更が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
3は内鍋
3aは底壁部
3bはコーナー面部(アール面部)
3cは側壁部(非発熱部)
3dは上端側開口縁部(フランジ部)
4は内ケース
5は外カバー
C1,C2は第1,第2のワークコイル(加熱手段)
G1,G2は第1,第2の誘導発熱体(加熱手段)
Xは凹凸部
xは凸条部
yは凹条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段とを備え、該加熱手段によって前記内鍋を加熱することによりご飯を炊き上げるようにした電気炊飯器であって、前記内鍋の側壁部外面に、その下端側から上端部に向かって延びる凹凸部を形成したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
所定量の米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を電磁誘導により加熱する加熱手段とを備え、該加熱手段によって前記内鍋を加熱することによりご飯を炊き上げるようにした電気炊飯器であって、前記内鍋の外面には、前記加熱手段の電磁誘導によって発熱する発熱部と前記加熱手段の電磁誘導によって発熱しない非発熱部とを設けるとともに、該非発熱部部分に凹凸部を形成したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項3】
前記凹凸部に対向する部位には、電気ヒータを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−254130(P2012−254130A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127777(P2011−127777)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】