説明

電気的な制御が可能なエレクトルミネセンス・タイプのデバイスとその接続手段

本発明は、光学特性および/またはエネルギー特性が変えられる電気的制御が可能なシステム、すなわち発光デバイスであって、いわゆる下部電極といわゆる上部電極とに挟まれていて電気によってアクティブになる多層積層体(3)が載った少なくとも1つのキャリア基板(1)を備え、各電極は、少なくとも1つの電流バスに電気的に接続された少なくとも1つの導電層(2)を備えているものに関する。本発明は、少なくとも1つの電流バスが、少なくとも1つの電源に電気的に接続されることで、電気によってアクティブになる多層積層体(3)に電力を分配して光の形態に変換することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的制御が可能で光学特性が変えられる板ガラス・タイプのデバイス、すなわちエレクトルミネセンス・デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、電気エネルギーを光に変換するためのエレクトルミネセンス式板ガラスに対する需要が確実に増大している。
【0003】
いわゆるエレクトルミネセンス・システムは、一般に、適切な2つの電極に公知の方法で挟まれた有機または無機の少なくとも1つのエレクトルミネセンス物質層を備えている。
【0004】
エレクトルミネセンス・システムは、有機タイプであるか無機タイプであるかに応じ、いくつかのカテゴリーに分類するのが一般的である。有機タイプは一般にOLED(有機発光ダイオード)システムまたはPLED(ポリマー発光ダイオード)システムと呼ばれている。無機タイプの場合には、機能層が薄いと通常はTFEL(薄膜エレクトルミネセンス)システムと呼ばれ、機能層が厚いとスクリーン印刷システムと呼ばれている。
【0005】
したがってエレクトルミネセンス物質のタイプによっていくつかのファミリーを規定することができる。
・薄い層の有機エレクトルミネセンス物質を蒸着分子で形成する場合(OLED)。有機エレクトルミネセンス物質としては、例えば、AlQ(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン))複合体、DPVBi(4,4’−(ジフェニルビニレンビフェニル))、DMQA(ジメチルキナクリドン)、DCM((4−ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン)などがある。この場合には、キャリヤ(ホールと電子)の輸送を促進する付加層を薄い層のそれぞれの面に接合する。これら付加層は、それぞれ、HTL(ホール輸送層)、ETL(電子輸送層)と呼ばれる。さらに、HTL層へのホールの注入状態を改善するため、HTL層を、例えば銅フタロシアニンまたは亜鉛フタロシアニンで形成したHIL(ホール注入層)と呼ばれる層に接合する。
・薄い層の有機エレクトルミネセンス物質をポリマーで形成する場合(pLED)。ポリマーとしては、PPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))、PPP(ポリ(パラ−フェニレン))、DO−PPP(ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン))、MEH−PPV(ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン])、CN−PPV(ポリ[2,5−ビス(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)])、PDAF(ポリ(ジアルキルフルオレン))などがある。このポリマー層も、ホールの注入を促進する層(HIL)に接合される。このHIL層は、例えばPEDT/PSS(ポリ(3,4−エチレン−ジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルフォネート))で形成する。
・無機エレクトルミネセンス物質を薄い層で形成する場合。無機エレクトルミネセンス物質としては、例えば硫化物であるMn:ZnSまたはCe:SrS、あるいは酸化物であるMn:ZnSiO、Mn:ZnGeO、Mn:ZnGeなどがある。この場合、誘電体(例えばSi、BaTiO、Al/TiO)で形成された絶縁層を薄いエレクトルミネセンス層のそれぞれの面に接合する。
・無機エレクトルミネセンス物質を厚い発光層(例えばMn:ZnSまたはCu:ZnS)で形成する場合。この層は、誘電体(例えばBaTiO)からなる絶縁層に接合される。これらの層は、一般にスクリーン印刷で形成する。
【0006】
エレクトルミネセンス・システムが無機タイプと有機タイプのいずれであれ、薄膜タイプと厚膜タイプのいずれであれ、多層積層体(特にエレクトルミネセンス層を含む多層積層体)は、2つの電極(有機システムの場合にはカソードとアノード)に接合される。
【0007】
エレクトルミネセンス・システムは電気エネルギーを光(特に可視光)に直接変換すると考えると、少なくとも1つの電極は透明になっている必要がある。一般に、それはアノードである。このアノードは、ITO(インジウムスズ酸化物)、フッ素をドープした二酸化スズ(F:SnO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(Al:ZnO)のいずれかでできている。
【0008】
他方、それがカソードである場合には、カソードを構成する物質の性質は、エレクトルミネセンス・システムのタイプに応じて異なる。OLEDおよびpLEDの場合には、一般に、正に帯電する金属(Al、Mg、Ca、Liなど)またはその金属の合金でできたカソードにし、必要に応じてその前に絶縁物質(例えばLiF)からなる薄膜を設ける。無機システム(TFELおよび厚膜)の場合には、一般にカソードをアルミニウムで作る。
【0009】
電気エネルギーを光に変換する際の現象に違いが存在していることも指摘しておく必要がある。
【0010】
有機システムの場合には、電子がカソードからエレクトルミネセンス層を構成する有機物質の伝導帯に注入され、アノードは、エレクトルミネセンス層の価電子帯から電子を取り出す(ホールの注入)。電場(システムの2つの電極に印加する電圧)の影響下では、電子とホールとが互いに反対方向に移動する。エレクトルミネセンス物質の内部で電子とホールとが合体すると励起子が発生し、発光性の下方遷移が起こる可能性がある(光子の放出)。
【0011】
無機システムの場合には、電気エネルギーを光に変換する現象が根本的に異なっている。この場合には、高電場(一般に1〜2MV/cmのオーダー)の作用下において絶縁層と発光層の間に捕獲されている電子が放出され、加速されて約3eVのエネルギーに達する。
【0012】
エネルギーを持った電子は、発光中心に衝突したときにその発光中心にエネルギーを移す。その結果、発光性の下方遷移となる可能性がある(光子の放出)。
【0013】
上記のエレクトルミネセンス・システムによって電気エネルギーを光に変換するこれら2つのプロセスは、どちらも、電極に電力を供給するためのリード線を必要とする。電極は、一般に、システムに含まれる1つまたは複数のアクティブ層のそれぞれの側にある2つの導電層の形態になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
リード線は、有機システムの場合に高電流が流れるのを保証し(多数の電荷キャリヤが必要とされる)、無機システムの場合に高電圧(電子を加速するのに必要な高電場の生成)を保証するようになっている必要がある。さらに、リード線は、電流を機能層の全面に均一に分配して全面を均一に光らせ、機能層(エレクトルミネセンス物質でできた層)の破壊につながる現象(例えば絶縁破壊またはアーク現象)がまったく起こらないようにできねばならないことを指摘しておく必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって本発明の目的は、電気的制御が可能な板ガラス・タイプの上記システムのための改善された接続方法を提供することである。本発明の目的は、さらに詳細に述べるならば、見栄えの観点および/または電気の観点からしてより優れていて、好ましくは工業的スケールでの実現が容易かつ柔軟な状態が維持されている接続方法を提供することである。本発明は、上記のあらゆるシステムに関係し、より詳細には、エレクトルミネセンス板ガラスに関係する。
【0016】
本発明の主部は、第1に、「下部」電極と呼ばれる電極と、「上部」電極と呼ばれる電極とに挟まれていて電気によってアクティブになる多層積層体が載った少なくとも1つのキャリア基板を備え、各電極が、少なくとも1つの導電層を備えている、上記のタイプのデバイスである。それぞれの電極は、少なくとも1つの電流バスに電気的に接続されている。本発明によれば、リード線のうちの少なくとも1つは、表面に均一に配置された複数の導電性ワイヤーで形成されていて、キャリア基板上で電気によってアクティブになる多層積層体によって覆われている領域以外の領域にある少なくとも1つの電流バスと電気的に接触している。
【0017】
本発明では、「下部」電極という用語は、基準となるキャリア基板に最も近い位置にある電極を意味するものとする。この基板の上に、少なくともいくつかのアクティブ層(有機エレクトルミネセンス・システムまたは無機エレクトルミネセンス・システムのアクティブ層のすべて)が堆積されている。「上部」電極は、基準となる同じ基板の反対側に堆積されている電極である。
【0018】
本発明は、最も広い意味の板ガラスに適用される。すなわちキャリア基板は、一般に堅固かつ透明であり、ガラスまたはポリマーでできている。ポリマーは、例えばポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)である。しかし本発明には、ポリマーをベースとした柔軟性のあるまたは半柔軟性の基板が含まれる。
【0019】
本発明のデバイスでは、強化ガラスまたはラミネート・ガラス製、あるいはプラスチック(ポリカーボネート)製の1つ以上の基板を使用することができる。基板は曲がっていてもよい。
【0020】
一般に、電極のうちの少なくとも1つは透明である。しかし電極のうちの1つは不透明でもよい。
【0021】
アクティブなシステムと上部電極は、一般に堅固なタイプの別の基板と、必要に応じて用いる1枚以上の熱可塑性ポリマー・シート(EVA(エチレン/酢酸ビニル)、PVB(ポリビニルブチラル)、PU(ポリウレタン)のうちのいずれかのタイプ)からなるラミネーションとによって酸化と水分から特に物理的に保護されている。
【0022】
本発明には、柔軟性のあるまたは半柔軟性の基板によってシステムを保護することも含まれる。そのような基板としては、特に、ポリマーをベースとしており、必要に応じてガス障壁層を含む基板がある。
【0023】
従来の熱可塑性層間シートに代えて両面接着シートを用いることにより、加熱し、必要に応じて圧力下で実施するラミネーション操作をなくすことも可能である。両面接着シートは、そのまま使用できるものでもそれ以外のものでもよく、市販されていて、非常に薄いという利点がある。
【0024】
本発明では、簡略化するため、「アクティブな積層体」または「電気によってアクティブになる積層体」という表現は、システムのアクティブ層、すなわち、システムにおいて電極に属する層以外のすべての層を意味するものとする。有機または無機のさまざまなタイプのエレクトルミネセンス・システムをすでに定義した。
【0025】
もちろんすべての積層体について、それぞれの層を、単層で形成すること、あるいは同じ機能を実現する重ね合わせた複数の層で形成することができる。
【0026】
それぞれの電極は、一般に、1つの導電層、または重ね合わせたいくつかの導電層を含んでいる。今後はその両方を単一層と見なすことにする。
【0027】
導電層が長方形、正方形、あるいは同様の平行四辺形である場合にその導電層に正確に電力を供給するには、一般に、その導電層の縁部に沿って配置した電流バスが必要とされる。電流バスは、電気的制御が可能なシステムがどのようなタイプであるかに応じてAC電源および/またはDC電源に接続されるとともに、導電層の全面に電力を分配するためのリード線を備える導電層にも接続されることになる。
【0028】
通常は、電流バスはシムの形態である。すなわち、不透明な金属ストリップの形態である。この金属ストリップは一般に銅をベースとしており、その銅にはスズメッキしてあることがしばしばある。問題にしている積層体と導電層とは一般に同じサイズであることから、板ガラスでシムを取り付けた領域が見えないようにするためには、システムが完成したときに組立体のうちの1cmまたは2cm分を見えなくする必要がある。本発明によれば、アクティブな積層体のサイズは、ユーザがアクセスできる電気的に制御可能な表面のサイズとほぼ同じである。そのため、アクティブな面積の無駄がほとんど、あるいはまったくなくなる。いずれにせよシムをアクティブな積層体の上に従来のようにして配置する際に生じる面積の無駄がはるかに少なくなる。
【0029】
本発明には、この大きな利点以外にも利点がある。それは、シムを配置する方法が、アクティブな積層体が「損傷を受ける」リスクを皆無にする方法であるというものである。システムのアクティブ層が存在している重要な領域にシムが存在しているため、板ガラスが局所的に厚くなることがない。結局、リード線のための電源をシステムの敏感な部分からこのように離すことが容易にできる。実際、リード線はそのように配置されている。
【0030】
本特許出願の目的は、第1に、システムの「下部」電極の好ましい一実施態様を記述することである。
【0031】
下部電極は、キャリア基板上でアクティブな積層体によって覆われていない少なくとも1つの領域を覆う導電層を備えることができる。この構成の利点は、第1に、例えば基板の全面に導電層を容易に得られること、あるいは基板の全面に導電層を堆積させうることである。これは、実際のガラス製造ラインにおいて、特にフロート・ガラスのリボンを熱分解させることによって導電層をガラス上に配置する場合に確かに当てはまる。
【0032】
次に、ガラスを望むサイズに切断した後、一時的マスキング・システムを用いてそのガラスの上にシステムの残りの層を堆積させることができる。
【0033】
別の利点は、本発明による周辺部の電流バスとリード線を配置するのに、基板上で下部導電層によってだけ覆われている領域を利用できることである。
【0034】
導電層の一例は、ドープした酸化金属、特に、スズをドープした酸化インジウムで、ITOと呼ばれるもの、フッ素をドープした酸化スズF:SnO、アルミニウムをドープした酸化亜鉛Al:ZnOなど、をベースとした層である。基板がガラスでできている場合には、この層を、酸化ケイ素、オキシカーバイド、オキシナイトライドいずれかのタイプであって光学機能および/またはアルカリ金属障壁機能を有する予備層の上に堆積させることがある。
【0035】
下部導電層が、アクティブな積層体によって覆われていない領域を有することをすでに説明した。そのような領域のいくつかを電流バスの場所として特別に利用することになろう。これらの電流バスはリード線と接触させるためのものであり、このリード線により、機能層に必要な電力を均一に分配してその電力を光に変換することが可能になる。
【0036】
以下に、「上部」電極の好ましい構成を説明する。
【0037】
この「上部」電極は、一方の面が電流バスに接続され、他方の面がリード線に接続された導電層を含んでいる。なお電流バスは、「下部」電極で用いる電流バスと同様の態様ならびに機能になっている。
【0038】
リード線は、電極を形成する層の表面または内部を走る導電性ワイヤー(アクティブなエレクトルミネセンス層が十分な導電性を有する場合)またはワイヤー・アレイである。電極は、金属であるか、ITO、F:SnO、Al:ZnOのいずれかで形成されたTCO(透明な導電性酸化物)タイプであるか、導電層そのものである。
【0039】
導電性ワイヤーは、例えばタングステン(または銅)でできた金属ワイヤーであり、必要に応じて表面コーティング(例えば炭素または着色した酸化物)で覆われており、直径は10〜100μm、好ましくは20〜50μmであり、直線状または波形であり、ワイヤー・タイプの加熱風防ガラスの分野で公知の方法(例えばヨーロッパ特許第785 700号、第553 025号、第506 521号および第496 669号に記載されている方法)により、例えばPUをベースとしたラミネーション中間層の上に堆積される。
【0040】
公知の方法の1つでは、加熱したプレス用ロールを使用し、ワイヤーをポリマー・シートの表面に押し付ける。このプレス用ロールには、供給用スプールからワイヤー・ガイド装置を通じてワイヤーが供給される。
【0041】
上部導電層は、一般に、その下に存在するアクティブな積層体のアクティブ層と同じかそれよりも小さなサイズであるため、同じ堆積ラインでアクティブ層の後に(例えばカソード・スパッタリングによって)堆積させることができる。システムの2つの導電層が透明である必要はなく、半透明になっている必要さえない。一方の面は鏡のようになっていてもよい。
【0042】
有機システムの場合には、カソードは一般に、正に帯電する金属(Al、Mg、Ca、Liなど)またはこの金属の合金から形成される。場合によっては、LiFなどの絶縁物質からなる薄い誘電体層がその前に設けられることもある。
【0043】
このようなシステムを透明にするために可能な1つの方法は、カソードとして、銅フタロシアニンまたは亜鉛フタロシアニンの薄い層(数nm)、あるいは金属または合金の薄い層(10nm未満)の次にITO層を用いるというものである。透明な有機システムを作る別の方法は、カソードとして、p型ドーピングした透明な半導体(CuAlO、CuSr、N:ZnOといったタイプの半導体)を用いるというものである。
【0044】
無機システムでは、上部層は一般に、ドープした酸化物からなる層または金属層で形成される。酸化物としては、ITO、F:SnO、ドープしたZnO(Al、Gaなどをドープする)などがある。金属層は、例えばアルミニウムまたは銀で形成する。この上部層は、必要に応じ、やはり導電性(Ni、Cr、NiCrなど)のある1つ以上の保護層と、誘電体(金属酸化物、Si、BaTiO)からなる1つ以上の保護層および/または光学活性な層に接合させる。
【0045】
このタイプの付加導電ネットワークを利用することにより、本発明では上記の重要な利点が維持されることになるが、その導電ネットワークが存在していることによって別の可能性も利用できることになる。すなわち、このようなワイヤーまたはストリップのおかげで、電流バスの接続を上部導電層ではなく、導電層の表面から「突起」させたこれらワイヤーまたはストリップの端部に対して行なうことにより、上部導電層で覆われた面から電流バスを離すことができるようになる。
【0046】
好ましい実施態様では、導電ネットワークは、熱可塑性ポリマーからなるシートの表面に配置された複数の金属ワイヤーを備えている。ワイヤーが表面に埋め込まれているこのシートを上部導電層に固定し、物理的接触/電気的接続が確実になるようにするとよい。ガラス・タイプの第1のキャリア基板を別のガラスの上に積層させるのに熱可塑性シートを使用すると、構造的な組立体になるため安全が保証される。
【0047】
ワイヤー/ストリップ(ワイヤーは直線状でも波形でもよい)は、好ましくは上部導電層の長さまたは幅と実質的に平行な方向に、実質的に互いに平行になるように配置することが望ましい。ワイヤーの端部は、基板の裏表それぞれの面上で上部導電層によって覆われている領域を超えて、少なくとも0.5mm(例えば3〜10mm)延びている。ワイヤーは、銅、タングステン、(酸化物、グラファイトなどで)表面を着色したタングステンで作ること、あるいは鉄をベースとした鉄−ニッケル・タイプの合金で作ることができる。
【0048】
ワイヤーの端部が下部導電層と電気的に接触することを避けるのが賢明である。したがって上部導電層を超えて延びる端部と下部導電層の接触は、この下部導電層のアクティブでない領域とだけなされることが好ましい。
【0049】
別の方法として、あるいは上記の方法に加えて、ワイヤーの端部は、下部導電層とのあらゆる短絡を避けるため、絶縁物質(例えばポリマーをベースとした物質)からなる1本以上のストリップを間に挟むことによって(ワイヤーがアクティブな領域と接触しやすい地点において)下部導電層から電気的に絶縁する。
【0050】
別の方法として、あるいは上記の方法に加えて、「下部」電極でも同じタイプの導電性ネットワークを用いることが可能であることに注意されたい。
【0051】
以下に、さまざまなタイプの電流バスと、システム内におけるその配置を説明する。
【0052】
一実施態様では、上部導電層に関し、(リード線となる)上記の導電性ネットワークのワイヤー/ストリップの端部を、絶縁性ポリマーからなり、一方の面が導電性コーティングで覆われた柔軟性ストリップの形態になった電流バスと電気的に接続することができる。このタイプのリード線は、FPC(フレキシブルプリント回路)またはFLC(フラット・ラミネート・ケーブル)と呼ばれることがあり、さまざまな電気/電子システムですでに利用されている。このリード線は柔軟性があり、さまざまな構成にすることができ、電流バスが一方の面において電気的に絶縁されているため、本発明において利用する上で非常に魅力的である。
【0053】
別の一実施態様によれば、ワイヤーの端部は、下部導電層の2つの非アクティブ領域と電気的に接触する。これら2つの非アクティブ領域は、上部電極のための電流バスと電気的に接触する。ワイヤーの端部は、取り扱いが容易になるようにするため、キャリア基板の上記領域を掴む導電性クリップにすることができる。これは新しい解決法であり、下部電極を利用して上部電極の電気的接続が保証される。
【0054】
下部電極の電流バスは、アクティブな領域内でアクティブな積層体によって覆われていない対向する2つの縁部に沿って電気的に接続することができる。電流バスは、上記のクリップにすることができる。
【0055】
下部電極および上部電極のための電流バスを上記の屈曲性ストリップの形態にまとめることもできる。したがって実質的に同じ2本のストリップが存在し、それぞれのストリップは、電気的絶縁性のある柔軟性ポリマーからなり、ほぼL字形またはU字形(もちろん、キャリア基板とその基板上の層の幾何学的形状に応じて他の多くの構成が考えられる)になった支持体を有する。このL字形またはU字形の一辺において、1つの面に導電性コーティングを行なう。L字形の他の辺、またはU字形の他の辺のうちの1つにおいて、前とは反対側の面に導電性コーティングを行なう。したがってこの電流バス・システム全体は、プラスチック製支持体上のL字形の2つの辺で構成される(U字形の場合には4つの辺)。2つのL字形を合わせると、一方の電極では1つの面上の2本の導電性ストリップになり、他方の電極では反対側の面上の2本の導電性ストリップになる。これはコンパクトなシステムであり、実現が容易である。それぞれのL字形の2つの辺の交点近傍には、電流バスの導電性コーティングに電気的に接続されたコネクタが存在することになる。
【0056】
2つのL字形を完全なフレームで置き換えることによってさらにコンパクトにすることも可能である。この場合には、絶縁性ポリマーからなるほぼ長方形のストリップを用い、一方の面では対向する2つの辺に沿って導電性コーティング設け、他方の面では別の対向する2つの辺に沿って導電性コーティング設ける。すると1つではなく2つ以上の外部コネクタが存在していることが好ましい。フレームは、1つの部材にすること、あるいは複数の部分を組み立てたものにすることができる。
【0057】
下部電極および/または上部電極のための電流バスは、従来のシムの形態にすることもできる。例えば、必要に応じてスズメッキした銅タイプの金属ストリップの形態にする。
【0058】
下部電極および/または上部電極のための電流バスは、エレクトルミネセンス・システムの導電層に接合されたポリマー・フィルムに取り付けられていてリード線を形成するワイヤー・ネットワークと同様の1本の導電性ワイヤーの形態(または何本かの導電性ワイヤーをまとめた形態)にすることもできる。
【0059】
ワイヤーは、銅、タングステン、(酸化物、グラファイトなどで)表面を着色したタングステンで作ることができ、上記の導電性ネットワークを形成するのに用いたのと同様のものが可能である。ワイヤーの直径は10〜600μmが可能である。このタイプのワイヤーは、電極に電気を満足に供給するのに実際に十分であり、互いに非常に離れている。したがってデバイスを組み立てるときに電極をマスクしなくて済む可能性がある。
【0060】
電流バスの構成は、非常に適応性がある。ほぼ長方形のアクティブなシステムについてこれまで詳細に説明してきたが、特にキャリア基板の幾何学的形状がどのようになっているかに応じ、アクティブなシステムを多数の異なった幾何学的形状にすることができる。すなわち、円、正方形、半円、楕円、多角形、菱形、台形、任意の平行四辺形などである。このような場合、それぞれの電極に電力を供給する互いに向かい合った「ペアの」電流バスはもはや必要ない。したがって電流バスは、例えば、導電層をちょうど取り囲む電流バスにすることができる。電流バスが1本の導電性ワイヤーである場合に、これは非常に実現しやすい。デバイスのサイズが小さい場合には、点状の電流バスにすることさえできる。
【0061】
本発明による板ガラスは、追加機能を備えることができる。例えばヨーロッパ特許第825 478号に記載されているように、赤外線反射コーティングを備えることができる。また、WO 00/03290に記載されているように、親水性コーティング、反射防止コーティング、疎水性コーティング、鋭錐石の形態になった酸化チタンを含んでいて汚れ止め特性を有する光触媒コーティングを備えることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
添付の図面を参照し、具体的な実施例をもとにして本発明を詳細に説明する。
【0063】
どの図も見やすくするための概略図であるため、図示したさまざまな要素が必ずしも実際の縮尺で描かれているとは限らない。
【0064】
どの図も、2枚のガラス板を備える積層構造式のエレクトルミネセンス板ガラス・ユニットに関するものであり、例えば自動車や建造物の窓として使用するのに適した構成になっている。
【0065】
どの図にも、ガラス板1と、下部導電層2と、アクティブな積層体3と、その上に載った上部導電層2’と、下部導電層2の上方位置でEVA(エチレン/酢酸ビニル)、PU(ポリウレタン)、PVB(ポリビニルブチラル)のいずれかからなるシート5の表面に配置された導電線ワイヤーのネットワーク4とが示してある。この板ガラス・ユニットは、第2のガラス板1’も備えている。2枚のガラス板1、1’と、EVA、PU、PVBのいずれかからなるシート5は、公知のラミネート法またはカレンダ法により、熱と、必要に応じて圧力とを用いて合体されている。
【0066】
下部導電層2は、ドープした酸化金属(特に、スズをドープした酸化インジウム(ITOと呼ばれる)、フッ素をドープした酸化スズ(F:SnO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(Al:ZnO)など)をベースとした層である。基板がガラスでできている場合には、この層を、酸化ケイ素、オキシカーバイド、オキシナイトライドいずれかのタイプであって光学機能および/またはアルカリ金属障壁機能を有する予備層の上に堆積させることがある。
【0067】
したがって「下部」電極を形成する導電層は、SiOCからなる厚さが10〜150nm(特に20〜70nm、好ましくは50nm)の第1の層と、その上に載ったF:SnOからなる厚さが100〜1000nm(特に200〜600nm、好ましくは400nm)の第2の層とで構成された2層構造体にすることができる(これら2つの層をフロート・ガラスの上にCVDで連続的に堆積させた後に切断することが好ましい)。
【0068】
一実施態様では、下部電極は、ITOまたはF:SnOからなる厚さが100〜1000nm(特に100〜300nm)の単一層で構成する。
【0069】
あるいは下部電極は、AlまたはBをドープしたSiOをベースとした厚さが10〜150nm(特に10〜70nm、好ましくは20nm)の第1の層と、その上に載ったITOからなる厚さが100〜1000nm(好ましくは約100〜300nm)の第2の層とで構成された2層構造体にすることもできる(これら2つの層は、真空下にて連続的に堆積させることが好ましく、必要に応じ、酸素の存在下で熱と磁気で反応性を増大させたスパッタリングにより堆積させる)。
【0070】
図に示した導電線4は、EVAまたはPUからなるシート5の上に堆積された互いに平行なまっすぐの銅線であり、ワイヤー・タイプの加熱風防ガラスの分野で公知の方法(例えばヨーロッパ特許第785 700号、第553 025号、第506 521号、第496 669号に記載されている方法)によって堆積される。簡単に説明すると、加熱したプレス・ロールを使用してワイヤーをポリマー・シートの表面内に押し込む。ワイヤーは、供給用スプールからワイヤー・ガイド装置を通じてそのプレス用ロールに供給される。
【0071】
EVAシート5は厚さが約0.8mmである。
【0072】
2枚のガラス板1、1’は、標準的なソーダ石灰シリカ・ガラスでできており、厚さはそれぞれ約2mmである。
【実施例1】
【0073】
これは、図1に示した構成である。
・下部導電層2は、ガラスの表面全体を覆っている。
・アクティブなシステム3は、以下のような構成の多層積層体でできている。すなわち、不飽和(特にポリ不飽和)の複素環化合物(例えば銅フタロシアニンまたは亜鉛フタロシアニン)をベースとした厚さが3〜15nm(好ましくは5nm)の少なくとも1つのHIL層3aと、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(TPD)またはN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(α−NPD)からなる厚さが約10〜150nm(特に20〜100nm、好ましくは50nm)のHTL層3bと、必要に応じてルブレン、DCM、キナクリドンのいずれかを数%ドープしたAlQ(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシ−キノリン))複合体の蒸発分子からなる厚さが約50〜500nm(好ましくは約100nm)の層3cと、2−(4’−ビフェニル)−5−(4”−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−Bu−PBD)または3−(4’−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4”−t−ブチルフェニル)−1,3,4−トリアゾール(TAZ)からなる厚さが10〜300nm(特に20〜100nm、好ましくは50nm)のETL層3dと、である。これらの層はすべて、蒸着によって堆積させる。
・上部導電層2’は、正に帯電する金属(Al、Mg、Ca、Liなど)またはその金属の合金をベースとしている。場合によっては、薄いLiF誘電体層がその前に設けられることもある。この上部導電層2’と誘電体層は、蒸着によって堆積させる。
【0074】
アクティブなシステム3および上部導電層2’も、基板の長方形領域を覆っている。可能ならば、その面積を、下部導電層が覆っている面積よりも小さくする。これら2つの長方形領域は、互いに中心が一致している。
【0075】
図2には、必要に応じて絶縁ポリマーで覆われた対称な電流バス6、すなわちほぼU字形の2つの導電ストリップ6a、6bが示してある。導電ストリップ6aの短辺では、導電性コーティング(この部分の絶縁ポリマーを取り除いてストリップのこの部分が導電性を持つようにする)がワイヤー4の方向を向いている。導電ストリップ6bの長辺では、導電性コーティング(この部分の絶縁ポリマーを取り除いてストリップのこの部分が導電性を持つようにする)が下部導電層2の方向を向いている。
【0076】
ストリップ6aの導電性コーティングはワイヤー4と電気的に接触しているため、これらワイヤー4を通じて上部電極とリード線に電力が供給される。これらワイヤーの端部は、積層体3で覆われた表面の外に出ていて、リード線のための絶縁ポリマー支持体と接触しているだけである。したがってこれらのワイヤーと下部電極2が短絡する危険性を完全にゼロにすることができる。
【0077】
導電ストリップ6bの導電性コーティングは、下部導電層2の領域のうち、アクティブになっていて積層体3で覆われていない領域と接触している。この導電性コーティングにより、リード線を通じて下部導電層2に電力を供給することができる。それぞれの電流バスについて、リード線がU字形をなすほぼ曲線部の位置に、電気コネクタ7が、それぞれの導電性コーティングのための適切な電気的カプラーとともに配置されている。
【実施例2】
【0078】
この構成は図3に示してあるが、実施例1の構成と非常によく似ている。
【0079】
違いは上部電極の性質にあり、この上部電極によって透明なシステムを作り出すことができる。
・下部導電層2は、ガラスの表面全体を覆っている。
・アクティブなシステム3は、以下のような構成の多層積層体でできている。すなわち、不飽和(特にポリ不飽和)の複素環化合物(例えば銅フタロシアニンまたは亜鉛フタロシアニン)をベースとした厚さが3〜15nm(好ましくは5nm)の少なくとも1つのHIL層3aと、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(α−NPD)からなる厚さが約10〜150nm(特に20〜100nm、好ましくは50nm)のHTL層3bと、AlQ発光分子からなる厚さが約10〜300nm(特に20〜100nm、好ましくは約50nm)の層3cと、である。AlQ層は電子輸送特性が優れているため、余計なETL層をなくすことができる。これらの層はすべて、蒸着によって堆積させる。
・上部導電層2’は、スパッタ法で堆積させた厚さが55nmのITO層2’aを含んでいるが、その前に、銅フタロシアニンからなる厚さが5nmの薄い層2’b、またはMg/Al(30:1)合金からなる厚さが10nmの層2’bが存在している。これらの層は、蒸着によって堆積させる。
【実施例3】
【0080】
この構成は図4に示してあるが、実施例1の構成と非常によく似ている。
【0081】
実施例1との違いは、アクティブなシステム3の性質にある。この実施例では、PEDT/PSSからなる厚さが10〜300nm(特に20〜100nm、好ましくは50nm)のHIL層3aと、PPV、PPP、DO−PPP、MEH−PPV、CN−PPVのいずれかをベースとした厚さが50〜500nm(特に75〜300nm、好ましくは100nm)のポリマー層3bと、を含む多層積層体が存在している。これらの層は、スピン・コーティング法を利用して作り出す。
【実施例4】
【0082】
この構成は図5に示してあるが、実施例1または実施例3の構成と非常によく似ている。
【0083】
違いは、アクティブなシステムの性質と上部電極の性質にある。
【0084】
アクティブなシステム3は多層積層体で構成されており、その中に、アクティブな物質(例えばMn:ZnS、Ce:SrS、Mn:ZnSiO、Mn:ZnGeO、Mn:ZnGaのいずれか)をベースとした厚さが100〜1000nm(特に300〜700nm、好ましくは500nm)の少なくとも1つの層3aが含まれている。この層3aは、蒸着またはスパッタリングによって得られ、誘電体(Si、BaTiO、Al/TiO)からなる厚さが50〜300nm(特に100〜200nm、好ましくは150nm)の絶縁層3eおよび3fが、この層3aのそれぞれの側に接合されている。層3eおよび3fはパッタリングによって形成され、必ずしも同じ性質、同じ厚さである必要はない。
【0085】
上部導電層2’は、厚さが50〜300nm(特に75〜200nm、好ましくは100nm)であり、アルミニウムをベースとしている。
【実施例5】
【0086】
この構成は、実施例4の構成と非常によく似ている。
【0087】
違いは上部電極2’の性質にあり、この上部電極によって透明なシステムを作り出すことができる。
【0088】
アクティブなシステム3は、蒸着またはスパッタリングによって堆積された多層積層体で構成されており、その中に、アクティブな物質(例えばMn:ZnS、Ce:SrS、Mn:ZnSiO、Mn:ZnGeO、Mn:ZnGaのいずれか)をベースとした厚さが100〜1000nm(特に300〜700nm、好ましくは500nm)の少なくとも1つの層が含まれている。この層は、いずれかの側に、スパッタリングによって形成された絶縁層を備えている。この絶縁層は、誘電体(Si、BaTiO、Al/TiO)からなり、厚さは50〜300nm(特に100〜200nm、好ましくは150nm)である。
【0089】
上部導電層2’は、厚さが50〜300nm(特に100〜250nm、好ましくは200nm)であり、ITOをベースとしている。この層は、スパッタリングによって形成する。
【実施例6】
【0090】
この構成は、実施例4の構成と非常によく似ている。
【0091】
違いは層の厚さにあり、「厚い」と呼ばれる。それぞれの層は、一般にスクリーン印刷法によって形成される。
【0092】
アクティブなシステム3は多層積層体で構成されており、その中に、アクティブな物質(例えばMn:ZnSまたはCu:ZnS)をベースとした厚さが10〜100nm(特に15〜50nm、好ましくは30nm)の層が含まれている。この層には、誘電体(BaTiO)からなる厚さが10〜100nm(特に15〜50nm、好ましくは25nm)の絶縁層が接合されている。
【0093】
上部導電層2’は、厚さが10〜100nm(特に15〜50nm、好ましくは約7nm)であり、アルミニウム、銀、炭素のいずれかをベースとしている。
【0094】
このように上記6つの実施例のいずれにおいても、エレクトルミネセンス板ガラスのアクティブ化または非アクティブ化を、互いに反対側の面上で、下部導電層によってだけ覆われる領域と重なる領域と、この層とアクティブなシステム3の両方によって覆われる層と重なる領域とにおいて行なう。
【0095】
一実施態様では、電流ベースとして、下部導電層2に電力を供給する導電性クリップと、上部電極2’に電力を供給する導電性クリップを用いることができる。
【0096】
クリップは、導電性を持たせたガラスを掴むことのできる市販の製品であり、さまざまなサイズのものを入手できる。
【0097】
下部導電層2に関しては、ガラスの縁部を覆うようにクリップを取り付け、層2のアクティブな縁部に電気的に接続されるようにする。クリップの長さは、この層の2つの切れ込み線を隔てている距離よりも短い。
【0098】
上部導電層2’に関しては、クリップがガラス板1’の表面に留められているため、層2の非アクティブ領域との電気的接続が確立される。非アクティブ領域は、この層の他の領域とは絶縁されており、ワイヤー4の端部と電気的に接続されることになる。そのため上部導電層2’に電力を供給することができる。したがって下部電極2の非アクティブ領域を利用し、ワイヤー4を通じて上部電極に電力を供給することができる。
【実施例7】
【0099】
図6に示したさらに別の実施態様によると、電流バスは、実際には標準的なシムであり、スズメッキした銅からなる幅が約3mmのストリップの形状になっている。すなわち、
・下部導電層2に電力を供給するストリップ14a、14b、および、
・導電線ネットワークのワイヤー4の端部を通じて上部導電層に電力を供給するストリップ15a、15bである(実際には、シムが2つ重なり合ってワイヤー4の端部を挟んでいる)。
【0100】
これらストリップは、1つの電気コネクタ16に電気的に接続されている。ストリップ14aとストリップ15aが短絡しないようにするため、電気的絶縁ポリマー材料からなるシートが例えば2つのストリップの間に配置されている。
【実施例8】
【0101】
これは、電流バスのさらに別の実施態様である(図7)。ここでは、実施例7で使用したのと同じ標準的なスズメッキした銅からなるシムが用いられている。この実施例8では、2つの電気コネクタ18および19が存在しており、それぞれ、ワイヤー4の端部を通じて上部導電層に電力を供給するための重なり合ったシム20a、20bと、下部導電層2に電力を供給するためのシム21a、21bと、に電気的に接続されている。シムは、ハンダ付けによってコネクタに接続されている。
【0102】
結論として、本発明には、エレクトルミネセンス・タイプのシステムに電力を供給する多数の別の方法がある。上部電極のために実施例で用いたワイヤーの代わりに、あるいはそのようなワイヤーに加えて、下部電極のための導電性ワイヤー・ネットワークまたはスクリーン印刷した導電性ストリップのネットワークを用いることができる。さまざまな電流バスを用いることができる。例えば、柔軟性ポリマーからなる標準的なシムまたはストリップに導電性コーティングを施したものが挙げられる。特に、互いに分離した複数の電流バスも用いることができる。それは、例えば個々の導電性ワイヤーであり、点状リード線さえ考えることができる。
【0103】
組立体のタイプに応じ、電気コネクタを2つだけにすることが可能であり、たった1つの電気コネクタにすることさえ可能である。するとデバイスに電力を供給するのが非常に容易になる。
【0104】
実施例では、単純化するために表面が長方形のアクティブな積層体について説明したが、非常に変わった幾何学的形状のエレクトルミネセンス板ガラス・デバイスを製造することができる。
【0105】
エレクトルミネセンス板ガラス・ユニットは、建造物の分野および自動車の分野の両方で、照明に利用することができる。建造物の分野では、快適さ、安全、装飾用の照明として、壁、天井、手すりで使用され、自動車の分野では、屋根、側方ウインドウ、後部ウインドウ、ヘッドアップ・ディスプレイで使用される。
【0106】
本発明の特徴は、板ガラス・ユニットで実際にアクティブな領域を規定しているアクティブ層の周辺に目に見える電流バスを移動させる一方で、これら電流バスが、下部電極および/または上部電極においてはほとんど目につかないリード線に電力を均一に分配できるようにした点にある。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】エレクトルミネセンス・システムにおける多層積層体の一例である。
【図2】図1、図3、図4、図5に示したエレクトルミネセンス・システムのための電気的接続方法を示している。
【図3】エレクトルミネセンス・システムにおける多層積層体の一例である。
【図4】エレクトルミネセンス・システムにおける多層積層体の一例である。
【図5】エレクトルミネセンス・システムにおける多層積層体の一例である。
【図6】図1、図3、図4、図5に示したエレクトルミネセンス・システムのための電気的接続方法を示している。
【図7】図1、図3、図4、図5に示したエレクトルミネセンス・システムのための電気的接続方法を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極と呼ばれる電極と、上部電極と呼ばれる電極とに挟まれた多層積層体(3)が載った少なくとも1つのキャリア基板(1、1’)であって、各前記電極は、少なくとも1つの電流バスに電気的に接続された少なくとも1つの導電層(2、2’)を備えるキャリア基板を備える、光学特性および/またはエネルギー特性が変えられる電気的制御が可能なデバイス、すなわちエレクトルミネセンス・デバイスにおいて、電流バスのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの導電層(2、2’)の表面全体に電気エネルギーを分配するのに適した少なくとも1つのリード線と電気的に接続されていて、前記電気エネルギーが、電気によってアクティブになる多層積層体(3)の内部で均一に光に変換されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
リード線が、電極を形成する層(2、2’)の上もしくは内部を走る導電性ワイヤー(4)またはワイヤー・ネットワークを備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記導電性ワイヤー(4)が金属ワイヤーであって例えばタングステン(または銅)でできており、必要に応じて表面コーティングで覆われており、直径は10〜100μm、好ましくは20〜50μmであり、直線状または波形であり、熱可塑性物質からなるシート(5)の上に堆積されている請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記下部電極が、キャリア基板の実質的に長方形の領域を覆う導電層(2)を備え、この導電層(2)は、ドープした酸化金属(特にITOと呼ばれるスズをドープした酸化インジウム)、フッ素をドープした酸化スズ(F:SnO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(Al:ZnO)のいずれかをベースとしており、基板がガラスでできている場合には、必要に応じ、酸化ケイ素、オキシカーバイド、オキシナイトライドいずれかのタイプであって光学機能および/またはアルカリ金属障壁機能を有する予備層の上に堆積されている、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記下部電極を構成する導電層(2)を、SiOCからなる厚さが10〜150nm(特に20〜70nm、好ましくは50nm)の第1の層と、その上に載ったF:SnOからなる厚さが100〜1000nm(特に200〜600nm、好ましくは400nm)の第2の層とで構成された2層構造体にすることが可能である請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項6】
AlまたはBのタイプの金属をわずかにドープしたSiOをベースとした厚さが約20nmの第1の層と、その上に載ったITOからなる厚さが約100〜300nmの第2の層とで構成された2層構造体を備える請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
厚さが約100〜300nmのITOで形成された層を備える請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
アクティブな前記システム(3)は、不飽和(特にポリ不飽和)の複素環化合物(例えば銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、PEDT/PSS化合物)をベースとした厚さが5nmの少なくとも1つのHIL層(3a)と、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(TPD)またはN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(α−NPD)からなる厚さが50nmのHTL層(3b)と、必要に応じてルブレン、DCM、キナクリドンのいずれかを数%ドープしたAlQ(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシ−キノリン))複合体の蒸発分子からなる厚さが100nmの層(3c)と、2−(4’−ビフェニル)−5−(4”−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−Bu−PBD)または3−(4’−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4”−t−ブチルフェニル)−1,3,4−トリアゾール(TAZ)からなる厚さが50nmのETL層(3d)と、を備える多層積層体で構成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
アクティブな前記システム(3)は、PEDT/PSSからなる厚さが50nmのHIL層(3a)と、PPV、PPP、DO−PPP、MEH−PPV、CN−PPVのいずれかをベースとした厚さが100nmのポリマー層(3b)と、を備える多層積層体で構成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
アクティブな前記システム(3)は、活性物質(例えば硫化物であるMn:ZnSまたはCe:SrS、あるいはMn:ZnSiO、Mn:ZnGeO、Mn:ZnGaのいずれか)をベースとした厚さが500nmの少なくとも1つの層(3a)を備える多層積層体で構成され、この層(3a)のそれぞれの側には、誘電体(Si、BaTiO、Al/TiO)からなる厚さが150nmの絶縁層(3e、3f)が接合されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記上部電極を形成する前記導電層(2’)が、金属またはアルミニウム合金をベースとしている請求項1および10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記上部電極を形成する前記導電層(2’)が、正に帯電する金属(Al、Mg、Caなど)またはこの金属の合金をベースとしている請求項1、8および9に記載のデバイス。
【請求項13】
2つの前記電極のうちの少なくとも一方、好ましくは上部電極が、導電性ワイヤー/導電性ストリップからなるネットワーク(4)に接合された導電層を備える請求項1〜12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記導電性ネットワーク(4)が、ポリマーからなるシート、特に熱可塑性ポリマーからなるシート(5)の表面に位置する実質的に金属からなる複数のワイヤーを備える請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ワイヤー/ストリップ(4)が、好ましくは上部電極の導電層(2’)の長さまたは幅と実質的に平行な方向に、実質的に互いに平行に配置されており、前記ワイヤー/ストリップ(4)の端部は、基板の対向する縁部において、その基板上で導電層によって覆われた領域を少なくとも0.5mm超えて延びている請求項13または14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記下部電極の導電層(2)に接合されている前記ワイヤー/ストリップ(4)の端部が、絶縁性ポリマーからなる柔軟性ストリップ(6a、6b)の形態の電流バスに電気的に接続されており、そのストリップの一方の面が導電性コーティングで覆われている請求項13〜15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記電流バスが、前記キャリア基板(1、1’)を掴む導電性クリップの形態である請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記下部電極および前記上部電極のための電流バスのセットが、柔軟性のある絶縁性ポリマー支持体で構成されたほぼ長方形の1本のストリップにまとめられており、そのストリップの対向する2つの辺において、一方の面に導電性コーティングが設けられており、別の2つの辺において、その面とは反対側の面に導電性コーティングが設けられており、好ましくは単一の外部電気コネクタを有する請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記電流バスのうちの少なくとも1つがシム(14a、14b、15a、15b)の形態(特に金属ストリップの形態)、1本以上の導電性ワイヤーの形態、導電性物質でできた点状リード線の形態のいずれかである請求項1〜18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
電気によってアクティブになる前記多層積層体(3)が、キャリア基板上で多角形、長方形、菱形、台形、正方形、円、半円、楕円形、任意の平行四辺形のいずれかの形状になった領域を覆っている請求項1〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
エレクトルミネセンス・システムを構成している請求項1〜20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記エレクトルミネセンス・システムが透明である請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
特に多層構造になったエレクトルミネセンス板ガラス・ユニットである請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記エレクトルミネセンス・システムが、少なくとも1枚の平坦なガラス板および/または少なくとも1枚の曲がったガラス板を備える請求項21に記載のデバイス。
【請求項25】
赤外光を反射するコーティング、親水性コーティング、疎水性コーティング、汚れ止め特性を有する光触媒性コーティング、反射防止コーティング、電磁シールド・コーティングのうちの少なくとも1つを有する請求項21〜24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記キャリア基板(1)が、堅固であるか、半堅固であるか、柔軟性を有する請求項21〜24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれか一項に記載のデバイスを利用した、自動車用または建造物用の板ガラス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極と呼ばれる電極と、上部電極と呼ばれる電極とに挟まれた多層積層体(3)が載った少なくとも1つのキャリア基板(1、1’)であって、各前記電極は、少なくとも1つの電流バスに電気的に接続された少なくとも1つの導電層(2、2’)を備えるキャリア基板を備える、光学特性および/またはエネルギー特性が変えられる電気的制御が可能なデバイス、すなわちエレクトルミネセンス・デバイスにおいて、電流バスのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの導電層(2、2’)の表面全体に電気エネルギーを分配するのに適した少なくとも1つのリード線であって、電極を形成する層(2、2’)の上もしくは内部を走る導電性ワイヤー(4)またはワイヤー・ネットワークを備えるリード線、と電気的に接続されていて、前記電気エネルギーが、電気によってアクティブになる多層積層体(3)の内部で均一に光に変換されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記導電性ワイヤー(4)が金属ワイヤーであって例えばタングステン(または銅)でできており、必要に応じて表面コーティングで覆われており、直径は10〜100μm、好ましくは20〜50μmであり、直線状または波形であり、熱可塑性物質からなるシート(5)の上に堆積されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記下部電極が、キャリア基板の実質的に長方形の領域を覆う導電層(2)を備え、この導電層(2)は、ドープした酸化金属(特にITOと呼ばれるスズをドープした酸化インジウム)、フッ素をドープした酸化スズ(F:SnO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(Al:ZnO)のいずれかをベースとしており、基板がガラスでできている場合には、必要に応じ、酸化ケイ素、オキシカーバイド、オキシナイトライドいずれかのタイプであって光学機能および/またはアルカリ金属障壁機能を有する予備層の上に堆積されている請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記下部電極を構成する導電層(2)を、SiOCからなる厚さが10〜150nm(特に20〜70nm、好ましくは50nm)の第1の層と、その上に載ったF:SnOからなる厚さが100〜1000nm(特に200〜600nm、好ましくは400nm)の第2の層とで構成された2層構造体にすることが可能である請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
AlまたはBのタイプの金属をわずかにドープしたSiOをベースとした厚さが約20nmの第1の層と、その上に載ったITOからなる厚さが約100〜300nmの第2の層とで構成された2層構造体を備える請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
厚さが約100〜300nmのITOで形成された層を備える請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
アクティブな前記システム(3)は、不飽和(特にポリ不飽和)の複素環化合物(例えば銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、PEDT/PSS化合物)をベースとした厚さが5nmの少なくとも1つのHIL層(3a)と、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(TPD)またはN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(α−NPD)からなる厚さが50nmのHTL層(3b)と、必要に応じてルブレン、DCM、キナクリドンのいずれかを数%ドープしたAlQ(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシ−キノリン))複合体の蒸発分子からなる厚さが100nmの層(3c)と、2−(4’−ビフェニル)−5−(4”−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−Bu−PBD)または3−(4’−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4”−t−ブチルフェニル)−1,3,4−トリアゾール(TAZ)からなる厚さが50nmのETL層(3d)と、を備える多層積層体で構成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
アクティブな前記システム(3)は、PEDT/PSSからなる厚さが50nmのHIL層(3a)と、PPV、PPP、DO−PPP、MEH−PPV、CN−PPVのいずれかをベースとした厚さが100nmのポリマー層(3b)と、を備える多層積層体で構成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
アクティブな前記システム(3)は、活性物質(例えば硫化物であるMn:ZnSまたはCe:SrS、あるいはMn:ZnSiO、Mn:ZnGeO、Mn:ZnGaのいずれか)をベースとした厚さが500nmの少なくとも1つの層(3a)を備える多層積層体で構成され、この層(3a)のそれぞれの側には、誘電体(Si、BaTiO、Al/TiO)からなる厚さが150nmの絶縁層(3e、3f)が接合されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記上部電極を形成する前記導電層(2’)が、金属またはアルミニウム合金をベースとしている請求項1および9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記上部電極を形成する前記導電層(2’)が、正に帯電する金属(Al、Mg、Caなど)またはこの金属の合金をベースとしている請求項1、7および8に記載のデバイス。
【請求項12】
2つの前記電極のうちの少なくとも一方、好ましくは上部電極が、導電性ワイヤー/導電性ストリップからなるネットワーク(4)に接合された導電層を備える請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記導電性ネットワーク(4)が、ポリマーからなるシート、特に熱可塑性ポリマーからなるシート(5)の表面に位置する実質的に金属からなる複数のワイヤーを備える請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ワイヤー/ストリップ(4)が、好ましくは上部電極の導電層(2’)の長さまたは幅と実質的に平行な方向に、実質的に互いに平行に配置されており、前記ワイヤー/ストリップ(4)の端部は、基板の対向する縁部において、その基板上で導電層によって覆われた領域を少なくとも0.5mm超えて延びている請求項12または13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記下部電極の導電層(2)に接合されている前記ワイヤー/ストリップ(4)の端部が、絶縁性ポリマーからなる柔軟性ストリップ(6a、6b)の形態の電流バスに電気的に接続されており、そのストリップの一方の面が導電性コーティングで覆われている請求項12〜14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記電流バスが、前記キャリア基板(1、1’)を掴む導電性クリップの形態である請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記下部電極および前記上部電極のための電流バスのセットが、柔軟性のある絶縁性ポリマー支持体で構成されたほぼ長方形の1本のストリップにまとめられており、そのストリップの対向する2つの辺において、一方の面に導電性コーティングが設けられており、別の2つの辺において、その面とは反対側の面に導電性コーティングが設けられており、好ましくは単一の外部電気コネクタを有する請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記電流バスのうちの少なくとも1つがシム(14a、14b、15a、15b)の形態(特に金属ストリップの形態)、1本以上の導電性ワイヤーの形態、導電性物質でできた点状リード線の形態のいずれかである、請求項1〜17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
電気によってアクティブになる前記多層積層体(3)が、キャリア基板上で多角形、長方形、菱形、台形、正方形、円、半円、楕円形、任意の平行四辺形のいずれかの形状になった領域を覆っている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
エレクトルミネセンス・システムを構成している請求項1〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記エレクトルミネセンス・システムが透明である請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
特に多層構造になったエレクトルミネセンス板ガラス・ユニットである請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記エレクトルミネセンス・システムが、少なくとも1枚の平坦なガラス板および/または少なくとも1枚の曲がったガラス板を備える請求項20に記載のデバイス。
【請求項24】
赤外光を反射するコーティング、親水性コーティング、疎水性コーティング、汚れ止め特性を有する光触媒性コーティング、反射防止コーティング、電磁シールド・コーティングのうちの少なくとも1つを有する請求項20〜23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記キャリア基板(1)が、堅固であるか、半堅固であるか、柔軟性を有する請求項20〜23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
請求項1〜24のいずれか一項に記載のデバイスを利用した、自動車用または建造物用の板ガラス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2006−502544(P2006−502544A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542539(P2004−542539)
【出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002869
【国際公開番号】WO2004/034483
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】