説明

電気的接続機構及びこれを備えた画像形成装置

【課題】画像形成装置本体側とオプション機器側のドロワコネクタ同士の接続不良による不具合の発生を防ぐことができる電気的接続機構を提供すること。
【解決手段】ペーパーフィーダ(オプション機器)3とその上に設置される画像形成装置本体2にドロワコネクタ16,14をそれぞれ設け、画像形成装置本体2をペーパーフィーダ3上に設置する動作に連動してペーパーフィーダ3側のドロワコネクタ16を接続位置に移動させて両ドロワコネクタ14,16を接続するようにした電気的接続機構において、画像形成装置本体2にドロワコネクタ14とは別に給電スイッチ15を設け、画像形成装置本体2がペーパーフィーダ3上に設置されて両ドロワコネクタ14,16が確実に接続された後に給電スイッチ15がONして画像形成装置本体2からペーパーフィーダ3への給電が可能になるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体のオプション機器上への設置動作に連動してオプション機器側のドロワコネクを接続位置に移動させて両ドロワコネクタを接続するようにした電気的接続機構とこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンタ等の画像形成装置には、オプション機器としてペーパーフィーダを増設する場合がある。この場合、ペーパーフィーダの上に画像形成装置本体が位置決めされて載置されるが、画像形成装置本体側からペーパーフィーダ側に給電するために両者を電気的に接続する必要がある。
【0003】
ペーパーフィーダ等のオプション機器のセットアップは従来はサービスマンが行うことが多く、オプション機器と画像形成装置本体との電気的な接続は専ら電線を用いて行うことが多かった。
【0004】
ところが、近年、オプション機器のセットアップをユーザーが行うケースも増えてきており、オプション機器と画像形成装置本体との電気的な接続を電線の配線が一切不要なドロワコネクタによって行うようにしている。この場合、例えばオプション機器側のドロワコネクタが突出していると、ユーザーが画像形成装置本体をオプション機器の上に設置する際にドロワコネクタに画像形成装置本体をぶつけてドロワコネクタを損傷させる可能性がある。
【0005】
そこで、特許文献1には、オプション機器単体(画像形成装置本体が載置されていない状態)ではドロワコネクタが退避しており、その上に画像形成装置本体が設置されると、その動作に連動してドロワコネクタが接続位置へと突出して画像形成装置本体側のドロワコネクタに接続される構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−295319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1において提案された構成によれば、オプション機器に画像形成装置本体を設置する際にはオプション機器側のドロワコネクタは退避しているために損傷の問題は発生しないが、画像形成装置本体側のドロワコネクタとオプション機器側のドロワコネクタとが不完全に接続された状態でも画像形成装置本体側からオプション機器側に給電がなされるという不具合が発生する可能性がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、画像形成装置本体側とオプション機器側のドロワコネクタ同士の接続不良による不具合の発生を防ぐことができる電気的接続機構及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、オプション機器とその上に設置される画像形成装置本体にドロワコネクタをそれぞれ設け、前記画像形成装置本体を前記オプション機器上に設置する動作に連動してオプション機器側のドロワコネクタを接続位置に移動させて両ドロワコネクタを接続するようにした電気的接続機構において、前記画像形成装置本体又は前記オプション機器の一方に前記ドロワコネクタとは別に給電スイッチを設け、画像形成装置本体がオプション機器上に設置されて両ドロワコネクタが確実に接続された後に前記給電スイッチがONして画像形成装置本体からオプション機器への給電が可能になるよう構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記給電スイッチを前記画像形成装置本体側に設け、前記オプション機器側のドロワコネクタと共に移動して前記給電スイッチをONさせる作動子をオプション機器側に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1又は2記載の電気的接続機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像形成装置本体がオプション機器上に設置されて両ドロワコネクタが確実に接続されなければ給電スイッチがONしないため、両ドロワコネクタの接続が不完全である状態で画像形成装置本体からオプション機器に給電がなされことがなく、高い安全性が確保される。
【0013】
又、オプション機器側のドロワコネクタは、その上に画像形成装置本体が設置される前の状態ではオプション機器内に退避して表面から突出していないため、画像形成装置本体を設置する際にドロワコネクタが損傷を受けることがなく、画像形成装置本体の設置動作に連動して接続位置に移動して画像形成装置本体側のドロワコネクタに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】オプション機器であるペーパーフィーダの斜視図である。
【図3】(a),(b)は画像形成装置本体をペーパーフィーダ上に設置する手順を示す正面図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明に係る電気的接続機構の作用説明図である。
【図5】本発明に係る電気的接続機構のドロワコネクタ移動機構部の斜視図である。
【図6】本発明に係る電気的接続機構のドロワコネクタ移動機構部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る画像形成装置の斜視図、図2はペーパーフィーダの斜視図、図3(a),(b)は画像形成装置本体をペーパーフィーダ上に設置する手順を示す正面図、図4(a)〜(c)は本発明に係る電気的接続機構の作用説明図、図5は同電気的接続機構のドロワコネクタ移動機構部の斜視図、図6は同ドロワコネクタ移動機構部の分解斜視図である。
【0017】
図1に示す画像形成装置1は、複写機能とプリンタ機能及びファクシミリ機能を備えた複合機(MFP)であって、画像形成装置本体2とオプション機器であるペーパーフィーダ(PF)3とで構成されており、ペーパーフィーダ3は床面上に設置され、その上に画像形成装置本体2が重ねて設置されている。
【0018】
画像形成装置本体2の上部には画像読取装置4が配設されており、その下方の画像形成部5には不図示の感光ドラム、帯電器、レーザービームスキャナ(LSU)等の光走査装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置等の各種プロセス機器が内蔵されている。又、画像読取装置4の前面側には操作表示部4aが設けられており、画像読取装置4と画像形成部5との間には排紙トレイ6が形成されている。そして、画像形成部5には手前側に引き出すことができる上下2段の給紙カセット7,8が設けられており、各給紙カセット7,8には複数枚の用紙が収容されている。
【0019】
他方、ペーパーフィーダ3は、図2に示すように、手前側に引き出すことができる上下2段の給紙カセット9,10が設けられており、各給紙カセット9,10には複数枚の用紙が収容されている。そして、このペーパーフィーダの3画像形成装置本体2が載置される上面の4箇所の各コーナー部にはロック爪11(図2には3つのみ図示)が設けられており、奥側の左右には位置決めピン12が立設され、これらの位置決めピン12の間には本発明に係る電気的接続機構の一部を構成する上下動可能な本体検知レバー13が垂直に突出している。尚、図示しないが、画像形成装置本体2の底面の位置決めピン12に対応する箇所には、位置決めピン12が挿入される位置決め孔が形成されている。
【0020】
ここで、本発明に係る電気的接続機構の構成を図4〜図6に基づいて以下に説明する。
【0021】
図4に示すように、画像形成装置本体2の下部にはドロワコネクタ14と給電スイッチ15が固設されており、これらのドロワコネクタ14と給電スイッチ15は画像形成装置本体2の内部に収納され、画像形成装置本体2の下面から突出していない。
【0022】
一方、図4に示すように、ペーパーフィーダ3には上下動可能に支持されたドロワコネクタ16が設けられており、このドロワコネクタ16は、ペーパーフィーダ3の上に画像形成装置本体2が設置される前の状態(図2及び図3に示す単体の状態)では図4(a)に示すようにペーパーフィーダ3の内部に退避してペーパーフィーダ2の上面から突出していない。そして、図3(b)に示すようにペーパーフィーダ3の上に画像形成装置本体2を載置してセットすると、その動作に連動して作動する図4〜図6に示すドロワコネクタ移動機構部によってドロワコネクタ16が接続位置まで上動して図4(b)に示すようにペーパーフィーダ3の上面から突出し、画像形成装置本体2側のドロワコネクタ14に接続される。
【0023】
而して、本実施の形態では、上述のように両ドロワコネクタ14,16同士が接続され、これらのドロワコネクタ14,16にそれぞれ設けられた全てのコネクタピンが電気的に確実に連結された後、画像形成装置本体2の最後の下降ストロークを利用して図4(c)に示すように給電スイッチ15をONして画像形成装置本体2側からペーパーフィーダ3側への給電を可能としている。
【0024】
ここで、画像形成装置本体2の設置動作に連動してペーパーフィーダ3側のドロワコネクタ16を接続位置まで上動させるためのドロワコネクタ移動機構部の構成と作用について説明する。
【0025】
ペーパーフィーダ3の後面の幅方向中央には上下が貫通した矩形ボックス状のハウジング17が取り付けられており、このハウジング17内には前記本体検知レバー13と矩形ブロック状のスライダ18がそれぞれ上下動可能に収納保持されている。
【0026】
上記ハウジング17には、図6に示すように、矩形窓17aと円孔17b、上下方向に長い長孔17c及び係止爪17dが形成されており、前記本体検知レバー13には横台形状の係合孔13aが形成されている。又、前記スライダ18の正面にはハウジング17の長孔17cを貫通するピンボス18aが一体に突設され、上面の一端には画像形成装置本体2側に設けられた前記給電スイッチ15を押圧してこれをONさせる突起状の操作子18bが一体に立設されている。
【0027】
又、ハウジング17の外にはリンク19が回動可能に配置されており、このリンク19の一端にはピン19aが突設され、中間部には支軸19b(図4参照)が突設され、他端には長孔19cと係止爪19dが形成されている。そして、このリンク19は、これに形成された支軸19bがハウジング17に形成された円孔17bに挿通保持されることによってハウジング17に支軸19bを中心として回動可能に支持されている。
【0028】
更に、リンク10に形成されたピン19aは、ハウジング17に形成された前記矩形窓17aを貫通してハウジング17内に臨み、ハウジング17内に上下動可能に収容保持された前記本体検知レバー13の係合孔13aに係合している。又、ハウジング17内に上下動可能に収納保持された前記スライダ18のピンボス18aはハウジング17の長孔17cを貫通してハウジング17の外へ突出しており、その突出部はリンク19に形成された長孔19cに係合している。
【0029】
そして、リンク19は、これに形成された係止爪19dとハウジング17に形成された係止爪17dに両端が係止されたスプリング20によって支軸19bを中心として図4の時計方向(本体検知レバー13を上向きに付勢する方向)に付勢されている。
【0030】
而して、図3(a)及び図4(a)に示すように画像形成装置本体2をペーパーフィーダ3上に載置する前の状態では、前述のようにリンク19がスプリング30によって付勢されて本体検知レバー13を押し上げているため、本体検知レバー13はペーパーフィーダ3の上面から垂直に突出している。
【0031】
上記状態から画像形成装置本体2の底面に形成された不図示の位置決め孔をペーパーフィーダ3側の位置決めピン12に合わせて画像形成装置本体2を降ろしていくと、該画像形成装置本体2の底面がペーパーフィーダ3側の本体検知レバー13に当接してこれをスプリング20の付勢力に抗して押し下げるため、リンク19は支軸19bを中心として図4(b)に示すように反時計方向に回動する。すると、リンク19の長孔19cにピンボス18aが係合するスライダ18がハウジング17内を上動するため、該スライダ18に取り付けられたドロワコネクタ16が接続位置まで上動してペーパーフィーダ3の上面から上方へ突出し、画像形成装置本体2側のドロワコネクタ14に接続される。
【0032】
そして、画像形成装置本体2が図3(b)及び図4(c)に示すようにペーパーフィーダ3の上に完全に載置されて両ドロワコネクタ14,16のコネクタピン同士が確実に連結された後に画像形成装置本体2が最後に下降するストロークによってスライダ18が上昇すると、該スライダ18に設けられた作動子18bが画像形成装置本体2側に設けられた給電スイッチ15を押圧してこれをONするため、画像形成装置本体2側からペーパーフィーダ3側への給電が可能となる。又、画像形成装置本体2が図3(b)に示すようにペーパーフィーダ3上に完全に載置されてセットされると、ペーパーフィーダ3の上面に突出する4つの前記ロック爪11(図2参照)が画像形成装置本体2の底面に形成された不図示の位置決め孔に係合されるため、画像形成装置本体2とフェーパーフィーダ3とが連結一体化される。
【0033】
以上のように、本実施の形態では、画像形成装置本体2がペーパーフィーダ3上に設置されて両ドロワコネクタ14,16が確実に接続されなければ給電スイッチ15がONしないため、両ドロワコネクタ14,16の接続が不完全である状態で画像形成装置本体2からペーパーフィーダ3に給電がなされことがなく、高い安全性が確保される。
【0034】
又、ペーパーフィーダ3側のドロワコネクタ16は、その上に画像形成装置本体2が設置される前の状態ではペーパーフィーダ3内に退避して表面から突出していないため、画像形成装置本体2を設置する際にドロワコネクタ16が損傷を受けることがなく、画像形成装置本体2の設置動作に連動して接続位置に移動して画像形成装置本体2側のドロワコネクタ14に接続される。
【0035】
尚、以上は本発明を複合機に対して適用した形態について説明したが、本発明は、単体としての複写機やプリンタ等、他の任意の画像形成装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置
2 画像形成装置本体
3 ペーパーフィーダ(オプション機器)
4 画像読取装置
4a 画像読取装置の操作表示部
5 画像形成部
6 排紙トレイ
7〜10 給紙カセット
11 ロック爪
12 位置決めピン
13 本体検知レバー
13a 本体検知レバーの係合孔
14 ドロワコネクタ
15 給電スイッチ
16 ドロワコネクタ
17 ハウジング
17a ハウジングの矩形窓
17b ハウジングの円孔
17c ハウジングの長孔
17d ハウジングの係止爪
18 スライダ
18a スライダのピンボス
18b スライダの操作子
19 リンク
19a リンクのピン
19b リンクの支軸
19c リンクの長孔
19d リンクの係止爪
20 スプリング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプション機器とその上に設置される画像形成装置本体にドロワコネクタをそれぞれ設け、前記画像形成装置本体を前記オプション機器上に設置する動作に連動してオプション機器側のドロワコネクタを接続位置に移動させて両ドロワコネクタを接続するようにした電気的接続機構において、
前記画像形成装置本体又は前記オプション機器の一方に前記ドロワコネクタとは別に給電スイッチを設け、画像形成装置本体がオプション機器上に設置されて両ドロワコネクタが確実に接続された後に前記給電スイッチがONして画像形成装置本体からオプション機器への給電が可能になるよう構成したことを特徴とする電気的接続機構。
【請求項2】
前記給電スイッチを前記画像形成装置本体側に設け、前記オプション機器側のドロワコネクタと共に移動して前記給電スイッチをONさせる作動子をオプション機器側に設けたことを特徴とする請求項1記載の電気的接続機構。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電気的接続機構を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−215261(P2011−215261A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81621(P2010−81621)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】