説明

電気絶縁材料およびその製造方法、それを用いた電気機器絶縁物の製造方法

【課題】 製造後の経過時間による粘度上昇が少なく、フィラーが沈降し難くハードケーキを形成しない、総合的に優れた貯蔵安定性を有し、取り扱いが容易である脂環式エポキシ樹脂系電気絶縁材料と、その製造方法、それを用いた電気機器絶縁物の製造方法を提供する。
【解決手段】 (1)脂環式エポキシ樹脂、(2)溶融シリカ、(3)酸化マグネシウムからなる配合物であって、(2)溶融シリカと(3)酸化マグネシウムの総量100質量部に対して、(3)酸化マグネシウムを1〜80質量部の範囲とする電気絶縁材料。前記の電気絶縁材料で被覆し、硬化する電気機器絶縁物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂環式エポキシ樹脂を用いた電気絶縁材料とその製造方法、それを用いた電気機器絶縁物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂環式エポキシ樹脂は低粘度のものが多く、その配合物はフィラー混合物として電気絶縁材料などに広く用いられている。また、フィラーには、分散性、電気絶縁性に優れ、比較的安価な材料である溶融シリカが広く用いられている。しかし、脂環式エポキシ樹脂は、ビスフェノール系のエポキシ樹脂、クレゾールノボラツク系エポキシ樹脂などに比べて、カチオン重合しやすい性質を有するために、溶融シリカなどのような酸性の無機フィラーと混合すると、経過時間とともにカチオン重合が徐々に進行することにより、粘度が上昇し、ついには固化してしまうという問題があった。この問題を解決するため、脂環式エポキシ樹脂にリン酸、スルホン酸またはスルホン酸以外の有機酸から選ばれる少なくとも1種類のアルカリ金属化合物、ポリリン酸化合物、などの燐酸塩などを配合しておき、脂環式エポキシ樹脂のカチオン重合による無機フィラー配合物の粘度上昇を抑制することが行われてきた。この方法は、特許文献1などに開示され、その製法は特許文献2などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平4−20927号公報
【特許文献2】特許第3760391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなリン酸、スルホン酸またはスルホン酸以外の有機酸から選ばれる少なくとも1種類のアルカリ金属化合物、ポリリン酸化合物、などの燐酸塩などを脂環式エポキシ樹脂に配合しておく方法では、粘度の低い脂環式エポキシ樹脂に比重の大きい無機フィラー(溶融シリカで比重約2.2)を混合した場合、無機フィラーが沈降し、さらには容器底部にハードケーキを形成してしまい、非常に取り扱い難いという問題があった。
本発明は、製造後の経過時間による粘度上昇が少なく、フィラーが沈降し難くハードケーキを形成しない、総合的に優れた貯蔵安定性を有し、取り扱いが容易である脂環式エポキシ樹脂系電気絶縁材料と、その製造方法、それを用いた電気機器絶縁物の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、溶融シリカを混合した脂環式エポキシ樹脂コンパウンドの増粘抑制について、種々の添加剤および塩基性フィラーの混合を鋭意検討した結果、溶融シリカ配合分に対し適量の酸化マグネシウムを混合することによって、製造後の経過時間による粘度上昇を抑制するのみならず、従来からの課題であった、フィラーの沈降を抑制し、さらにはハードケーキの形成がない脂環式エポキシ樹脂系の電気絶縁材料が得られること見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の脂環式エポキシ樹脂系の電気絶縁材料と、その製造方法、それを用いた電気機器絶縁物の製造方法に関する。
(a)(1)脂環式エポキシ樹脂、(2)溶融シリカ、(3)酸化マグネシウムからなる配合物であって、(2)溶融シリカと(3)酸化マグネシウムの総量100質量部に対して、(3)酸化マグネシウムを1〜80質量部の範囲とすることを特徴とする電気絶縁材料。
(b)(3)酸化マグネシウムの平均粒子径が、0.5〜80μmの範囲である上記(a)に記載の電気絶縁材料。
(c)(1)脂環式エポキシ樹脂が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである上記(a)または(b)に記載の電気絶縁材料。
(d)電気絶縁材料を製造した直後の25℃粘度に対し、100℃で30時間保温後の25℃粘度の粘度上昇率が700%以内である上記(a)〜(c)のいずれかに記載の電気絶縁材料。
(e)(a)〜(d)のいずれかに記載の電気絶縁材料において、これに用いられる成分を均一に撹拌混合することを特徴とする電気絶縁材料の製造方法。
(f)(a)〜(d)のいずれかに記載の電気絶縁材料で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、溶融シリカを混合した脂環式エポキシ樹脂系の電気絶縁材料において、製造後の経過時間による粘度上昇を抑制するのみならず、フィラーの沈降を抑制し、さらにはハードケーキの形成がない、取り扱い性に優れた脂環式エポキシ樹脂系の電気絶縁材料と、その製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例および比較例で測定した電気絶縁材料の100℃保温による経日粘度変化の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明になる脂環式エポキシ樹脂系の電気絶縁材料と、その製造方法、それを用いた電気機器絶縁物の製造方法を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、本発明となる電気絶縁材料に用いられる成分について説明する。
【0009】
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(1)脂環式エポキシ樹脂に、特に制限はないが、例えば、ブタジエンのディールスアルダー反応で得たシクロヘキセンの誘導体を過酢酸などでエポキシ化して得られるシクロヘキセン系の3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンなど、シクロペンタジエンやジシクロペンタジエンの誘導体を過酢酸などでエポキシ化して得られるシクロペンタジエン系のジシクロペンタジエンオキサイド、2,3−エポキシ−シクロペンチルエーテルなどやリモネンジオキサイド、ジペンテンジオキサイドなどが挙げられる。この内、その硬化物が優れた機械特性と電気絶縁性を呈する意味で、1つの分子中に2つ以上のエポキシを有するものが好ましく、流動性が高い電気絶縁材料が得られる意味で、液状で低粘度な3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(下記に示す構造)が、より好ましく用いられる。
【0010】
【化1】

3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートは、市販のものでは、例えば、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製、商品名)などが例示される。
【0011】
本発明となる電気絶縁材料には、必要に応じて(1)脂環式エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用することも可能である。
(1)脂環式エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテルなど各種ジオール化合物のグリシジルエーテルなどの二官能エポキシ樹脂や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂、また、複素環含有エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物など、一般に知られているもの、およびこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などを併用することもでき、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
【0012】
このようなエポキシ樹脂としては、市販のものでは、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1055、エピコート1004、エピコート1004AF、エピコート1007、エピコート1009、エピコート1003F、エピコート1004F(以上、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、DER−330、DER−331、DER−301、DER−361、DER−661、DER−662、DER−663U、DER−664、DER−664U、DER−667、DER−642U、DER−672U、DER−673MF、DER−668、DER−669(以上、ダウケミカル社製、商品名)、YD8125、YDF8170(以上、東都化成株式会社製、商品名)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、YDF−2004(東都化成株式会社製、商品名)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、エピコート152、エピコート154(以上、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、EPPN−201(日本化薬株式会社製、商品名)、DEN−438(ダウケミカル社製、商品名)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、エピコート180S65(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、アラルダイトECN1273、アラルダイトECN1280、アラルダイトECN1299(以上、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)、YDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704(以上、東都化成株式会社製、商品名)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1020、EOCN−1025、EOCN−1027(以上、日本化薬株式会社製、商品名)、ESCN−195X、ESCN−200L、ESCN−220(以上、住友化学工業株式会社製、商品名)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポン1031S、エピコート1032H60、エピコート157S70(以上、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、アラルダイト0163(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)、デナコールEX−611、デナコールEX−614、デナコールEX−614B、デナコールEX−622、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−421、デナコールEX−411、デナコールEX−321(以上、ナガセ化成株式会社製、商品名)、EPPN501H、EPPN502H(以上、日本化薬株式会社製、商品名)などの多官能エポキシ樹脂、エピコート604(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、YH−434(東都化成株式会社製、商品名)、TETRAD−X、TETRAD−C(以上、三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)、ELM−120(住友化学工業株式会社製、商品名)などのアミン型エポキシ樹脂、アラルダイトPT810(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)などの複素環含有エポキシ樹脂などが例示される。
【0013】
脂環式エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂の配合割合に、特に制限はないが、好ましくは、(1)脂環式エポキシ樹脂との総量100質量部に対して、5〜95質量部の範囲とされる。5質量部未満では併用する効果が得られず、95質量部を超えると(1)脂環式エポキシ樹脂が少なすぎて、本発明の効果である経時での増粘抑制の意味がなくなってしまう。この意味でより好ましくは、(1)脂環式エポキシ樹脂との総量100質量部に対して、10〜90質量部、さらに好ましくは、30〜70質量部の範囲とされる。
【0014】
また、本発明となる電気絶縁材料には、前記した本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上述の脂環式エポキシ樹脂以外の例えば、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、シアネートエステル樹脂系、これら樹脂の変性系などの熱硬化性樹脂の1種または2種以上を併用して使用できる。
さらに、本発明となる電気絶縁材料には、前記した本発明の効果を阻害しない範囲であれば、アクリル系ランダム共重合体、熱可塑性プラスチック、架橋反応ゴム、熱可塑性エラストマー、フェノキシ樹脂などの1種または2種以上を併用することもできる。
【0015】
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(2)溶融シリカは、溶融炉で製造されるランダムな結晶構造をもった非晶質(アモルファス)のシリカである。その種類に、特に制限はないが、球状タイプ、破砕タイプなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
このような(2)溶融シリカとしては、市販のものでは、例えば、球状タイプのものでは、FB−40S、FB−74X(以上、電気化学工業株式会社製、商品名)、破砕イプのものでは、L−44、FS−200(以上、電気化学工業株式会社製、商品名)などが例示される。
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(2)溶融シリカの粒子径としては、特に制限はないが、好ましくは、平均粒子径が1〜100μmの範囲とされる。1μm未満では(2)溶融シリカが、かさ高く電気絶縁材料の流動性が低下する傾向があり、100μmを超えると硬化物表面の粗さが増し外観を損なう傾向がある。この意味でより好ましくは、3〜80μmの範囲、さらに好ましくは、8〜70μmの範囲の範囲とされる。
【0016】
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(2)溶融シリカの配合割合に、特に制限はないが、好ましくは、(1)脂環式エポキシ樹脂(その他の樹脂を配合している場合は、それを含む)100質量部に対して、10〜400質量部の範囲とされる。10質量部未満では(2)溶融シリカが少なすぎて、本発明の効果である経時での増粘抑制の意味がなくなってしまい、400質量部を超えると電気絶縁材料の粘度が高すぎて流動性が低下する傾向がある。この意味でより好ましくは、(1)脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して、50〜350質量部の範囲、さらに好ましくは、100〜300質量部の範囲とされる。
【0017】
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(3)酸化マグネシウムは、特に制限はないが、例えば、海水に消石灰を添加し、塩化カルシウムを溶出させ、沈殿して得られた水酸化マグネシウムを高温で焼成する方法で製造されたものが挙げられる。(3)酸化マグネシウムは、比較的に、価格が安く、融点が2800℃と高く、高温での電気絶縁性に優れ、熱伝導率も比較的高いため、絶縁材料に適している。発明者は、(3)酸化マグネシウムが塩基性物質であることから、(1)脂環式エポキシ樹脂に(2)溶融シリカを配合して酸性となる配合物に(3)酸化マグネシウムを配合することで系中を中和し、脂環式エポキシ樹脂のカチオン重合が抑制され、配合物の粘度を安定化させることを可能としていると考えている。
【0018】
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(3)酸化マグネシウムの種類に、特に制限はないが、活性度の異なる汎用品グレード、高純度で水和性がないグレードなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
このような(3)酸化マグネシウムとしては、市販のものでは、例えば、活性度の異なる汎用品グレードのものでは、キョーワマグ150、キョーワマグ30(以上、協和化学工業株式会社製、商品名)、高純度で水和性がないグレードのものでは、パイロキスマ5301、パイロキスマ5301K(以上、協和化学工業株式会社製、商品名)などが例示される。
【0019】
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(3)酸化マグネシウムの平均粒子径としては、特に制限はないが、好ましくは、平均粒子径が0.5〜80μmの範囲とされる。0.5μm未満では(3)酸化マグネシウムがかさ高く電気絶縁材料の流動性が低下する傾向があり、80μmを超えると活性が低く、脂環式エポキシ樹脂配合物の粘度安定化効果が得られにくくなる傾向がある。この意味でより好ましくは、1.0〜50μmの範囲、さらに好ましくは、1.5〜30μmの範囲とされる。ここで平均粒子径が80μmを超える(3)酸化マグネシウムでも比表面積が大きいものであれば活性が高く、脂環式エポキシ樹脂配合物の粘度安定化効果が十分に得られるが、この場合、(3)酸化マグネシウムの吸油量が大きく、配合物の流動性が低下する場合があるので注意を要する。
本発明での平均粒子径は、粒子に光を照射した時、各粒子径により散乱される散乱光量とパターンが異なることを利用したレーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)で測定されるものである。レーザー回折・散乱法は、マイクロトラック法とも呼ばれ、レーザー光を粒子に照射した場合、粒子径が大きな場合は全周方向に散乱強度が強く、特に前方の散乱光強度が強いのに対し、粒子径が小さくなるに従い、全体的に散乱光強度が弱くなり、強い前方散乱光が弱まる。このため粒子径が大きな粒子の場合、粒子によって散乱された光のうち、前方散乱光を凸レンズで集めるとその焦点面上に回折像を生じ、その回折光の明るさと大きさは、粒子の大きさ(粒径)によって決まるため、これらの散乱光情報を利用し粒子径を得る方法である。
【0020】
本発明となる電気絶縁材料に用いられる(3)酸化マグネシウムの配合割合は、(2)溶融シリカと(3)酸化マグネシウムの総量100質量部に対して、(3)酸化マグネシウムが1〜80質量部の範囲とされる。1質量部未満では(3)酸化マグネシウムが少なすぎて、十分な電気絶縁材料の増粘抑制効果が得られなくなってしまい、80質量部を超えると(2)溶融シリカが少なすぎて、本発明の効果である経時での増粘抑制の意味がなくなってしまう。この意味でより好ましくは、(2)溶融シリカと(3)酸化マグネシウムの総量100質量部に対して、(3)酸化マグネシウムが3〜60質量部の範囲、さらに好ましくは、5〜50質量部の範囲とされる。
【0021】
また、本発明となる電気絶縁材料には、(2)溶融シリカ、(3)酸化マグネシウム以外のフィラーとして、耐熱性や熱伝導性を向上させるためまたは溶融粘度の調整やチキソトロピック性を付与するために、各種の無機フィラー、有機フィラーなどのフィラーを前記の本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。ここで、耐熱性や熱伝導性を向上させるためまたは溶融粘度の調整やチキソトロピック性を付与するためには、無機フィラーが好ましい。
無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用して使用できる。
熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが好ましい。溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカなどが好ましい。
【0022】
フィラーの平均粒径は、0.05μm以上、0.5μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.05μm未満の場合、電気絶縁材料の分散性、流動性が低下する傾向がある。0.5μmを超える場合、電気絶縁材料の接着性が著しく低下する傾向がある。
(2)溶融シリカ、(3)酸化マグネシウム以外のフィラーの使用量は、本発明となる電気絶縁材料100体積部に対して50体積部以下が好ましい。50体積部を超えると、前記の本発明の効果を著しく低下させる傾向がある。
【0023】
さらに、本発明となる電気絶縁材料には、材料間の界面の結合や濡れ性をよくするために、各種カップリング剤を前記の本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。カップリング剤としては、特に制限はなく、シラン系、チタン系、アルミニウム系などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキシエトキシ)シランなどのメタクリロイルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シランなどのエポキシ基含有シラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピル−トリメトキシシラン、3−(4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)−プロピルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシランなどのアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシランなどのメルカプトシラン類、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシランなどの尿素結合含有シラン類、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネートなどのイソシアネート基含有シラン類、3−クロロプロピル−メチルジメトキシシラン、3−クロロプロピル−ジメトキシシラン、3−シアノプロピル−トリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0024】
シランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、NUC A−187、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが、NUC A−189、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが、NUC A−1100、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランがNUC A−1160、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが、NUC A−1120という商品名で、いずれも日本ユニカー株式会社から市販されている。
【0025】
チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートなどが挙げられる。
【0026】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノ−エチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノ−エチルアセトアセテートなどのアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレートなどのアルミニウムアルコレートなどが挙げられる。
これらのカップリング剤の中では、材料間の界面の結合や濡れ性を良くする意味でシラン系カップリング剤が好ましい。また、カップリング剤の添加量は、その効果と耐熱性のバランスから、本発明となる電気絶縁材料100質量部に対し、0.1〜5質量部とするのが好ましく、0.1〜1質量部がさらに好ましい。
【0027】
さらに、本発明となる電気絶縁材料には、イオン性不純物を吸着または付着して吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、各種イオン捕捉剤を前記の本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。イオン捕捉剤としては、特に制限はなく、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤などや、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系、マグネシウムアルミニウム化合物などの無機イオン吸着剤などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用して使用できる。イオン捕捉剤の添加量は、その効果と耐熱性のバランスから、本発明になる電気絶縁材料100質量部に対し、0.1〜10質量部とするのが好ましい。
【0028】
さらに、本発明となる電気絶縁材料には、前記の発明の効果を阻害しない範囲で、ブロムトルエン、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモンなどの難燃剤、カーボンブラック、ベンガラなどの着色剤、流動調整剤などの各種添加剤を添加することもできる。
さらに、本発明となる電気絶縁材料には、前記の本発明の効果を阻害しない範囲で、有機溶媒に溶解、分散することができる。これにより、本発明になる電気絶縁材料の粘度を低下させ、製造方法および電気絶縁材料の取り扱いを容易にすることができる。
有機溶媒としては、アルコール系、エーテル系、ケトン系、アミド系、芳香族炭化水素系、エステル系、ニトリル系など、どのようなものでもよく、数種類を併用した混合溶媒を用いることもできる。具体的には、例えば、揮発性などを考慮して低沸点のジエチルエーテル、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、ヘキサン、酢酸エチル、エタノール、メチルエチルケトン、2-プロパノール、塗膜安定性を向上させるなどの目的で高沸点の、トルエン、メチルイソブチルケトン、1-ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルスルホキシド、N−2−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
有機溶媒の量は、本発明になる電気絶縁材料の粘度と乾燥性などによって決定されるもので、特に制限はないが、概ね、好ましくは電気絶縁材料の50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の範囲で用いられる。
【0029】
本発明となる電気絶縁材料に有機溶媒を使用した場合には、塗布、付着、または注型させた後に、乾燥させる必要がある。乾燥する温度には、特に制限はないが、使用した有機溶媒の沸点の10〜50℃以下とすることが、乾燥時に本発明となる電気絶縁材料に有機溶媒の発泡による気泡を作らない意味で好ましい。この意味で、より好ましくは使用した有機溶媒の沸点の15〜45℃以下、さらに好ましくは20〜40℃以下の範囲とされる。
また、乾燥する際には、有機溶媒の残存量をできるだけ少なくすることが、本発明となる電気絶縁材料の硬化時に有機溶媒の発泡による気泡を作らない意味と本発明となる電気絶縁材料の良好な機械強度と電気的特性を得る意味で好ましい。この意味で、有機溶媒の残存量は、電気絶縁材料の1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下の範囲とされる。
【0030】
次に、本発明となる電気絶縁材料の粘度安定性の性能について説明する。
本発明となる電気絶縁材料は、製造直後の25℃粘度に対し、100℃で30時間保温後の25℃粘度の粘度上昇率が700%以内であると好ましいことが特徴の1つである。ここで粘度を測定する電気絶縁材料は、硬化剤および硬化促進剤のいずれも含有していないものである。本発明となる電気絶縁材料を使用する際に用いられる、硬化剤および硬化促進剤の詳細については、後述する。
電気絶縁材料の製造直後の25℃の粘度は、BL型、BH型、E型などの回転粘度計を用いることで容易に測定が可能である。具体的には、BL型、BH型回転粘度計では、測定に必要な量の電気絶縁材料を適当な容量の円筒状の容器に取り、恒温水槽などで25℃に調節し、電気絶縁材料の粘度に適した専用のローターおよびローターの回転数を選択して粘性抵抗トルクが安定した時点の数値を読み取ることで測定できる。また、E型回転粘度計でも同様に、測定に必要な量の電気絶縁材料を恒温水槽に接続するなどして温度を25℃に調節したコーンプレートに取り、電気絶縁材料の粘度に適した専用の円錐平板型ローターおよびローターの回転数を選択して粘性抵抗トルクが安定した時点の数値を読み取ることで測定できる。
【0031】
100℃で30時間保温は、容器に電気絶縁材料を粘度測定に必要な量を取り、ふたをして100℃に調整された各種恒温槽中に30時間静置する。30時間保温後の電気絶縁材料は、フィラーが沈降し、さらにはハードケーキを形成している場合があるので、必ず攪拌機などでフィラーを十分に再分散させた後に、電気絶縁材料の製造直後25℃の粘度と同様にして、100℃で30時間保温後の25℃粘度を測定する。本発明となる電気絶縁材料は、100℃で30時間保温におけるフィラーの沈降が少なく、ハードケーキを形成しないため、この再分散作業は必要がないほどに、再分散作業が容易である。
製造直後の25℃粘度に対する100℃で30時間保温後の25℃粘度の粘度上昇率は、下記計算式(1)(単位;%)で求められる値である。
[100℃で30時間保温後の25℃粘度−製造直後の25℃粘度]×100/製造直後の25℃粘度‥‥‥‥‥‥‥(1)
本発明となる電気絶縁材料は、製造直後の25℃粘度に対し、100℃で30時間保温後の25℃粘度の粘度上昇率が700%以内であり、すなわち、製造直後の経過時間による粘度上昇が抑制され、取り扱い性に優れた脂環式エポキシ樹脂系電気絶縁材料を提供するものである。
なお、製造直後とは、電気絶縁材料の配合を完了した時点から室温(25℃)放置状態で1時間以内である。
【0032】
次に、本発明となる電気絶縁材料の使用方法について説明する。
本発明となる電気絶縁材料は、公知のエポキシ樹脂硬化剤を使用して硬化させることで使用される。エポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限はないが、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコールなどの単環二官能フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフタレンジオール類、ビフェノール類、およびこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体などなどの多環二官能フェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ビフェニレンアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂(別名キシリレン変性フェノール樹脂)などの多官能フェノール樹脂などのフェノール樹脂、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどのアミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス無水トリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物などの酸無水物類、イミダゾール化合物、有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物、ポリアミド、ポリスルフィド、三ふっ化ほう素などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
【0033】
市販されているフェノール樹脂としては、例えば、フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH4150、フェノライトVH4170(以上、DIC株式会社製、商品名)、ミレックスXLCシリーズ(三井化学株式会社製、商品名)、ヒタノール4020(日立化成工業株式会社製、商品名)などが挙げられる。
市販されている酸無水物類としては、例えば、YH306、YH307、YH309(以上、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、HN−2200、HN−2000、HN−5500、MHAC−P、ME−THPA(以上、日立化成工業株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0034】
これらの公知のエポキシ樹脂硬化剤のなかで、液状の酸無水物類は、フェノール樹脂に比べて粘度が低く取り扱い性に優れた電気絶縁材料が得られ、アミン類に比べ毒性が低く、ポットライフが長く、発熱が少ないので、注型、含浸、積層用途の本発明となる電気絶縁材料に好適に用いられる。
エポキシ樹脂硬化剤の配合割合は、使用するエポキシ樹脂と硬化剤の種類によって決定されるもので、特に制限はないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとメチルテトラヒドロ無水フタル酸との組み合わせの場合には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが100質量部に対して、メチルテトラヒドロ無水フタル酸を30〜120質量部の範囲とされる。30質量部未満では十分な硬化性が得られず、120質量部を超えると電気絶縁材料の貯蔵安定性が著しく損なわれる場合がある。この意味でより好ましくは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが100質量部に対して、メチルテトラヒドロ無水フタル酸を50〜100質量部、さらに好ましくは、60〜80質量部の範囲とされる。
【0035】
本発明となる電気絶縁材料には、硬化時間を短縮できる意味で硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤としては、前記の本発明の効果を阻害しない範囲で用いること意外特に制限はないが、硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミン化合物、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第3級アミン、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアリールアンモニウム、水酸化テトラアリールアンモニウムなどの第4級アンモニウム化合物、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などのジアザビシクロアルケンなどのシクロアミジン化合物、テトラフェニルホスホニウムなどのテトラ置換ホスホニウム、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、テトラフェニルボレートなどのテトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
これらの硬化促進剤の中でイミダゾール化合物は、硬化促進効果が大きいので好適に用いられる。
市販されているイミダゾール化合物としては、例えば、2E4MZ、C2E4MZ−CN、2PZ−CN、2PZ−CNS(以上、四国化成工業株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0036】
硬化促進剤の配合割合は、使用するエポキシ樹脂と硬化剤および硬化促進剤の種類によって決定されるもので、特に制限はないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとメチルテトラヒドロ無水フタル酸および1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールとの組み合わせの場合には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが100質量部、メチルテトラヒドロ無水フタル酸70質量部に対して、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールを0.1〜5.0質量部の範囲とされる。0.1質量部未満では十分な硬化性が得られず、5.0質量部を超えると電気絶縁材料の貯蔵安定性が著しく損なわれる場合がある。この意味でより好ましくは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが100質量部、メチルテトラヒドロ無水フタル酸70質量部に対して、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールを0.3〜3.0質量部、さらに好ましくは、0.5〜1.5質量部の範囲とされる。
【0037】
また、電気絶縁材料の可使期間が長くなる点で、潜在性硬化促進剤も好ましく、その代表例としてはジシアンジミド、アジピン酸ジヒドラジドなどのジヒドラジド化合物、グアナミン酸、メラミン酸、エポキシ化合物とジアルキルアミン化合物との付加化合物、アミンとチオ尿素との付加化合物、アミンとイソシアネートとの付加化合物などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
【0038】
本発明となる電気絶縁材料を硬化させる条件は、使用するエポキシ樹脂と硬化剤および硬化促進剤の種類と配合割合によって決定されるもので、特に制限はないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが100質量部、メチルテトラヒドロ無水フタル酸70質量部、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール1.0質量部の組み合わせの場合には、特に制限はないが、温度は120℃〜180℃、時間は1〜7時間が好ましい。温度が120℃未満であったり、時間が1時間未満だと、硬化が不十分な場合があり、温度が180℃を超えると、硬化が急激で硬化物に必要な強度が足りなかったり、十分な電気特性が得られなかったり、硬化物の外観を損ねる場合がある。また、温度が180℃を超え、時間が7時間を超えると、硬化物の熱劣化が進行する場合があり好ましくない。この意味で、より好ましくは、温度は130℃〜170℃、時間は2〜6時間、さらに好ましくは、温度は140℃〜160℃、時間は3〜5時間の範囲とされる。
硬化の温度と時間は、上述の本硬化を行う前に、100℃〜120℃で0.5〜3時間のように、予備硬化をさせることが、強固で、接着性、電気特性、外観に優れた、硬化物を得るために好ましい。この意味で、予備硬化は、110℃で2時間後、120℃で2時間のように、段階をふんで行うことがより好ましい。
本発明となる電気絶縁材料は、電気、電子部品に、注型、含浸、積層、塗布、モールドなどいずれかの方法で付着され、上述の方法により硬化して硬化物として使用され、電気機器絶縁物を製造することができる。
【0039】
次に、本発明となる電気絶縁材料の製造方法について説明する。
本発明となる電気絶縁材料は、用いられる成分を均一に撹拌混合すること以外に、特に制限はない。本発明となる電気絶縁材料は、用いられる成分となる具体的な材料、調整方法は上述した通りである。
各々の成分を均一に撹拌混合する方法については、特に制限はないが、例えば、デゾルバー、スタテックミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、プラネタリーミキサー、ミックスローター、万能撹拌機などの自転公転式撹拌機やライカイ機、3本ロールなどの混練装置を用いる方法が挙げられる。撹拌混合した後は、電気絶縁材料中の気泡を除去することが好ましい。この意味で、自転公転式撹拌機は、混合、溶解と気泡の除去を同時に行うことができるため好適に用いられる。
また、(2)溶融シリカ、(3)酸化マグネシウム、また必要に応じて使用される(2)溶融シリカ、(3)酸化マグネシウム以外のフィラー、さらに必要に応じて使用されるカーボンブラック、ベンガラなどの顔料系着色剤の(1)脂環式エポキシ樹脂およびこれ以外の有機成分への分散性を考慮して、ライカイ機、3本ロール、ボールミルおよびビーズミルなどによって物理的なせん断力を与え、二次凝集した粒子がないように十分に分散させることが好ましい。これらの分散方法は、組み合せて行うこともできる。この際、硬度が低く破砕されやすい材料を用いる場合には、せん断力によって材料が粉砕、破砕されると、所望の粘度が得られなくなる場合があるので注意を要する。
特に、カーボンブラックやベンガラなどの顔料系着色剤は、適当な粘性を有する樹脂材料にライカイ機、3本ロール、ボールミルおよびビーズミルなどによって物理的なせん断力を与え、十分に分散させた後に使用することは、本発明となる電気絶縁材料に用いられる成分を均一に撹拌混合する時間を短縮できるので好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、以下の配合および評価は、特に表記がない場合には室温18〜25℃の大気中において行った。
(実施例1)
300ccの円筒状容器に(1)脂環式エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)150g、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:三菱カーボンブラックMA100)0.45g、難燃剤としてヘキサブロムベンゼン30gを加え、かい十字型の攪拌翼を備えた攪拌機で、300rpmで1時間攪拌した後に、攪拌中の材料に(2)溶融シリカとして平均粒子径が9.5μmの溶融シリカ粉229.5gを、だまにならないように徐々に加え、続いて、平均粒子径が60μmの溶融シリカ粉94.5gをだまにならないように徐々に加え、さらに、(3)酸化マグネシウムとして平均粒子径が約2μm酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、商品名:パイロキスマ5301K;耐水処理を施した耐水グレード)36gを、だまにならないように徐々に加え、300rpmで1時間攪拌した後、減圧脱泡して、電気絶縁材料(J1)を得た。
【0041】
(実施例2)
300ccの円筒状容器に(1)脂環式エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)150g、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:三菱カーボンブラックMA100)0.45g、難燃剤としてヘキサブロムベンゼン30gを加え、かい十字型の攪拌翼を備えた攪拌機で、300rpmで1時間攪拌した後に、攪拌中の材料に(2)溶融シリカとして平均粒子径が9.5μmの溶融シリカ粉242.25gを、だまにならないように徐々に加え、続いて、平均粒子径が60μmの溶融シリカ粉99.75gを、だまにならないように徐々に加え、さらに、(3)酸化マグネシウムとして平均粒子径が約2μm酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、商品名:パイロキスマ5301K)18gをだまにならないように徐々に加え、300rpmで1時間攪拌した後、減圧脱泡して、電気絶縁材料(J2)を得た。
【0042】
(実施例3)
300ccの円筒状容器に(1)脂環式エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)150g、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:三菱カーボンブラックMA100)0.45g、難燃剤としてヘキサブロムベンゼン30gを加え、かい十字型の攪拌翼を備えた攪拌機で、300rpmで1時間攪拌した後に、攪拌中の材料に(2)溶融シリカとして平均粒子径が9.5μmの溶融シリカ粉229.5gを、だまにならないように徐々に加え、続いて、平均粒子径が60μmの溶融シリカ粉94.5gを、だまにならないように徐々に加え、さらに、(3)酸化マグネシウムとして平均粒子径が約2μm酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、商品名:パイロキスマ5301)36gをだまにならないように徐々に加え、300rpmで1時間攪拌した後、減圧脱泡して、電気絶縁材料(J3)を得た。
【0043】
(比較例1)
300ccの円筒状容器に(1)脂環式エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)150g、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:三菱カーボンブラックMA100)0.45g、難燃剤としてヘキサブロムベンゼン30gを加え、かい十字型の攪拌翼を備えた攪拌機で、300rpmで1時間攪拌した後に、攪拌中の材料に(2)溶融シリカとして平均粒子径が9.5μmの溶融シリカ粉255gを、だまにならないように徐々に加え、続いて、平均粒子径が60μmの溶融シリカ粉105gを、だまにならないように徐々に加え、300rpmで1時間攪拌した後、減圧脱泡して、電気絶縁材料(H1)を得た。
【0044】
(比較例2)
300ccの円筒状容器に燐酸塩を配合し無機フィラー配合物の粘度上昇を抑制する処方が成された脂環式エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、商品名:ERL−4221)150g、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:三菱カーボンブラックMA100)0.45g、難燃剤としてヘキサブロムベンゼン30gを加え、かい十字型の攪拌翼を備えた攪拌機で、300rpmで1時間攪拌した後に、攪拌中の材料に(2)溶融シリカとして平均粒子径が9.5μmの溶融シリカ粉255gを、だまにならないように徐々に加え、続いて、平均粒子径が60μmの溶融シリカ粉105gを、だまにならないように徐々に加え、300rpmで1時間攪拌した後、減圧脱泡して、電気絶縁材料(H2)を得た。
【0045】
(比較例3)
300ccの円筒状容器に燐酸塩を配合し無機フィラー配合物の粘度上昇を抑制する処方が成された脂環式エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021A)150g、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:三菱カーボンブラックMA100)0.45g、難燃剤としてヘキサブロムベンゼン30gを加え、かい十字型の攪拌翼を備えた攪拌機で、300rpmで1時間攪拌した後に、攪拌中の材料に(2)溶融シリカとして平均粒子径が9.5μmの溶融シリカ粉255gを、だまにならないように徐々に加え、続いて、平均粒子径が60μmの溶融シリカ粉105gを、だまにならないように徐々に加え、300rpmで1時間攪拌した後、減圧脱泡して、電気絶縁材料(H3)を得た。
【0046】
電気絶縁材料の評価は、下記の方法で行った。
粘度変化は、電気絶縁材料を製造した直後に得られた電気絶縁材料J1〜J3およびH1〜H3を円筒状容器のまま25℃恒温水槽に水が入らないように注意して入れて、電気絶縁材料が25℃に調整されたことを確認して、BH型回転粘度計、ローター#7,ローターの回転数2rpmで製造後の25℃での粘度を測定した。
その後、電気絶縁材料J1〜J3およびH1〜H3が入った円筒状容器にふたをして、100℃に調整された爆発ベントを備えた恒温槽中に、2時間、15時間、30時間、静置した後に取り出した。
取り出した電気絶縁材料は、金属製のへらを差込み、フィラーの沈降、あるいはハードケーキ形成の有無を確認した後、かい十字型の攪拌翼を備えた攪拌機で、300rpmで1時間、沈降あるいはハードケーキ状となったフィラーを再分散させた後に、円筒状容器のまま25℃恒温水槽に水が入らないように注意して入れて、電気絶縁材料が25℃に調整されたことを確認して、BH型回転粘度計、ローター#7,ローターの回転数2rpmで各時間の保温後の25℃での粘度を測定した。
製造直後の25℃粘度に対する100℃で30時間保温後の25℃粘度の粘度上昇率(%)は、下記計算式(1)で求めた。
(100℃で30時間保温後の25℃粘度−製造直後の25℃粘度)×100/製造後の25℃粘度[%]
‥‥(1)
電気絶縁材料のそれらの評価結果と配合をまとめて表1示した。また、図1に、経過時間による粘度変化を示した。
【0047】
【表1】

【0048】
表1および図1に示すように、実施例1から実施例3の電気絶縁材料J1〜J3の100℃保温による粘度変化は、燐酸塩を配合し無機フィラー配合物の粘度上昇を抑制する処方が成された脂環式エポキシ樹脂を用いた比較例2のH2および比較例3のH3と比較して、H2よりも小さく安定しており、(2)溶融シリカと(3)酸化マグネシウムの総量100質量部に対して、(3)酸化マグネシウムを10質量部配合したJ1およびJ3は、100℃保温15時間まではH3とほぼ同等の粘度安定を示した。
燐酸塩を配合していない脂環式エポキシ樹脂を用いた比較例1のH1では、100℃保温による粘度上昇が大きく、100℃保温15時間で固化してしまった。
また、表1に示すように、実施例1から実施例3の電気絶縁材料J1〜J3は、100℃に保温しても、比較例1から比較例3の電気絶縁材料H1〜H3で発生した、フィラーの沈降や、ハードケーキの形成が殆んどなかった。
このように、本発明となる電気絶縁材料は、製造後の経過時間による粘度上昇を抑制するのみならず、フィラーの沈降を抑制し、さらにはハードケーキの形成がない、取り扱い性に優れた脂環式エポキシ樹脂系電気絶縁材料とその製造方法を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)脂環式エポキシ樹脂、(2)溶融シリカ、(3)酸化マグネシウムからなる配合物であって、(2)溶融シリカと(3)酸化マグネシウムの総量100質量部に対して、(3)酸化マグネシウムを1〜80質量部の範囲とすることを特徴とする電気絶縁材料。
【請求項2】
(3)酸化マグネシウムの平均粒子径が、0.5〜80μmの範囲である請求項1に記載の電気絶縁材料。
【請求項3】
(1)脂環式エポキシ樹脂が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである請求項1または請求項2に記載の電気絶縁材料。
【請求項4】
電気絶縁材料を製造した直後の25℃粘度に対し、100℃で30時間保温後の25℃粘度の粘度上昇率が700%以内である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気絶縁材料。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の電気絶縁材料において、これに用いられる成分を均一に撹拌混合することを特徴とする電気絶縁材料の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気絶縁材料で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−79964(P2011−79964A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233359(P2009−233359)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】