電気自動車の充電システム及び充電方法
【課題】電気自動車のユーザの安全性の向上、及び、充電システムの設置位置の自由度の向上を図る。
【解決手段】本発明の電気自動車の充電システムは、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段と、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段と、を備えている。また、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段と、を備えている。
【解決手段】本発明の電気自動車の充電システムは、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段と、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段と、を備えている。また、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の充電システム及び充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気モーターを動力源とする電気自動車の開発が盛んとなり、実用化もなされるようになってきている。
【0003】
ここで、電気モーターを動力源とする自動車としては、通常、電動輸送機器(Electric Vehicle:EV)のことを指すことが多く、車載の蓄電池から電力を得る電池自動車と、走行中に電力を外部から供給する架線式車とに大きく分けられている。しかし、本稿においては、前者の、蓄電池から走行用の電力を得る方式の自動車を電気自動車と称するものとする。
【0004】
上述した電気自動車においては、車載の蓄電池に電力を蓄えておくことにより、自動車として走行させることが可能となる。蓄電池に電力を蓄えるためには、蓄電池を充電しておくことが必要となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
上述した特許文献1「電動車両の充電システム」には、以下の記載がなされている。
【0006】
すなわち、この特許文献1に記載されている電動車両(電気自動車)用の充電スタンドは、電動車両のバッテリに電力を供給する電力供給手段と、充電指示情報を入力可能とする情報入力手段を有している。また、情報表示手段、利用者から料金を回収する料金回収手段、記憶装置、演算装置を有している。さらに、情報入力手段から入力された充電指示情報を記憶し、充電開始予定時間、充電終了予定時間および充電料金を含む充電予約情報を計算し、電力供給手段の使用可能時間を設定する制御部を有している。そして、制御部が、充電予約情報を情報表示手段に表示させ、料金回収手段により充電料金を回収した後、電力供給手段を使用可能とさせるようになっている。このことにより、充電装置の利用効率を向上させることができ、かつ、初期コストおよび運用コストを抑えることができるようになる、としている。
【0007】
上述した特許文献1に記載されている充電スタンドは、電動車両(電気自動車)に充電電力を送るためのケーブルを有している。つまり、電気自動車に充電電力を送るためには、電力ケーブルなどの有線方式により電力を送らねばならないようになっている。
【0008】
これに対し、電気自動車とは非接触で、電気自動車に給電できるよう提案しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
上述した特許文献2「非接触給電装置及び電気自動車」には、以下の記載がなされている。
【0010】
すなわち、電磁誘導型の非接触給電装置であって、電気自動車の受電側の2次コイルを複数の分割コイルで構成するとともに、各分割コイルの極性を個別に切り替え可能なコイル極性反転回路を設ける。コントローラは、給電設備側の1次コイルへの通電時に2次コイルを構成する各分割コイルに各々鎖交する鎖交磁束の極性に応じてコイル極性反転回路の動作を制御する。これにより、1次コイルと2次コイルの相対位置が変化した場合でも、2次コイルに極性の異なる磁束が鎖交してキャンセルされることを抑制し、総鎖交磁束量の低減を抑制する、ようにしている。このことにより、1次コイルと2次コイルの相対位置が変化する場合であっても、コイル同士の相互インダクタンスを大きくとって効率的な電力伝送を行うことができるようになる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−028913号公報(第5〜13頁、図2〜16)
【特許文献2】特開2010−226889号公報(第4〜12頁、図1〜21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した特許文献1に記載の充電スタンドにあっては、充電スタンドから充電電力を送るための電力ケーブルを電気自動車に接続することが必要となる。そして、電力ケーブルの先端には、通常、電気自動車に接続するための接点端子が存在する。従って、電力ケーブルや接点端子からの漏電や、電気自動車以外のところへ電力が供給されてしまうリスクが必ずしも無くはない、という課題を有している。また、電力ケーブルの長さなどの制約により、充電スタンドの設置位置や電気自動車の停止位置などに或る程度の制約が必要となる、という課題も有している。
【0013】
上述した特許文献2に記載の非接触給電装置においては、給電側の1次コイルは路面に設置され、受電側の2次コイルは電気自動車の車体底部に設置されるようになっている。従って、路面に設置されている給電側の機器に通行人が接触して転倒してしまう場合も起こり得る、という課題を有している。
【0014】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものである。従って、本発明の目的は、電気自動車のユーザの安全性の向上、及び、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることを可能とする、電気自動車の充電システム及び充電方法、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電気自動車の充電システムは、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段を備えている。また、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段を備えている。さらに、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段を備えている。
【0016】
本発明の電気自動車の充電方法は、給電動作と受電動作の動作制御を、近距離無線を用いて行う制御ステップと、前記給電動作を電磁誘導方式により行う給電ステップと、を有している。また、前記受電動作を行うことにより、前記給電動作により給電される電力を電磁誘導により受電し、前記受電した電力により走行用の蓄電池を充電する充電ステップと、を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気自動車のユーザの安全性の向上、及び、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の電気自動車の充電システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の動作を説明するシーケンスチャートである。
【図3】本発明の電気自動車の充電システムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の電気自動車の充電システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す電気自動車の充電システム10は、宅内コントローラユニット100と、受電ユニット200と、屋外送電ユニット300を含んでいる。
【0021】
宅内コントローラユニット100は、個人が所有する家屋120などの宅内に設置され、商用電源110で動作可能なコントローラであり、制御部101、無線部102、表示操作部103、記憶部104を含んでいる。
【0022】
制御部101は、宅内コントローラユニット100の全体動作を制御し、記憶部104に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部101は、無線部102、表示操作部103および記憶部104と接続されている。なお、商用電源110から供給される電源は、図示しない配線によって制御部101、無線部102、表示操作部103、記憶部104に供給されるようになっている。
【0023】
無線部102は、屋外送電ユニット300との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部101の制御により動作する。本実施形態においては、無線部102は、無線LAN(Local Area Network:ラン)、ブルートゥース(Bluetooth)、ジグビー(ZigBee)など、近距離通信用の無線規格のうちの何れかを用いるものとする。
【0024】
表示操作部103は、ユーザとのインタフェースを司る部分であり、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレー)などにより各種情報を表示するとともに、テンキーやファンクションキーなどによりキー操作入力を行わせる。また、表示操作部103は、スピーカなどにより鳴音を行わせる。そして、表示操作部103は、制御部101の制御により、充電操作画面や各種の設定画面を表示するとともに、電気自動車の充電システム10のシステム状態情報やアラーム情報などを表示或いは鳴音により出力する。また、表示操作部103で行われたキー入力操作の情報は、制御部101に通知される。制御部101は、キー入力操作の情報を通知されると、キー入力操作の情報に従った動作を実行する。
【0025】
記憶部104は、制御部101が動作するためのプログラムや設定データを記憶するとともに、ユーザが設定したデータ、例えば、充電を許可する車両の車両ID(Identification:アイディー)やパスワードなど、を記憶する。
【0026】
受電ユニット200は、充電される側の電気自動車220内に組み込まれ、電気自動車220を走行させる電気モーター(図示せず)に電力を供給する走行系蓄電池206へ、充電電力を蓄積するためのユニットである。受電ユニット200は、制御部201、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206、制御系蓄電池210を含んでいる。
【0027】
制御部201は、受電ユニット200の全体動作を制御し、記憶部204に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部201は、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205および走行系蓄電池206と接続されている。なお、制御系蓄電池210は、電気自動車220内の必要箇所に電源を供給する所謂車両用バッテリーである。そして、制御系蓄電池210から供給される電源は、図示しない配線によって、制御部201、無線部202、表示操作部203、記憶部204に供給されるようになっている。
【0028】
無線部202は、屋外送電ユニット300との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部201の制御により動作する。本実施形態においては、無線部202は、無線LAN、ブルートゥース、ジグビー、RFID(Radio Frequency Identification:アールエフアイディー)など、近距離通信用の無線規格のうちの何れかを用いるものとする。
【0029】
表示操作部203は、ユーザとのインタフェースを司る部分であり、LCDなどにより各種情報を表示するとともに、テンキーやファンクションキーなどによりキー操作入力を行わせる。また、表示操作部203は、スピーカなどにより鳴音を行わせる。そして、表示操作部203は、制御部201の制御により、充電操作画面や各種の設定画面を表示するとともに、電気自動車の充電システム10のシステム状態情報やアラーム情報などを表示或いは鳴音により出力する。また、表示操作部203で行われたキー入力操作の情報は、制御部201に通知される。制御部201は、キー入力操作の情報を通知されると、キー入力操作の情報に従った動作を実行する。
【0030】
記憶部204は、制御部201が動作するためのプログラムや設定データを記憶するとともに、電気自動車220の車両IDおよびパスワードなど、を記憶する。
【0031】
受電部205は、電気自動車220の外部に設置されている屋外送電ユニット300からの磁束の変動を受けて、誘導電流を発生する電磁誘導を利用した受電用の機器であり、受電用のコイルを含んでいる。電磁誘導は、周知のように、送電用と受電用の2つのコイルの間の磁場を利用して送電を可能とするものであり、通常、電磁誘導方式と称されているワイヤレスの給電方式である。受電部205は、制御部201によって動作或いは停止の制御が行われ、受電部205において発生した電力により、走行系蓄電池206が充電されるようになっている。
【0032】
走行系蓄電池206は、電気自動車220を走行させるための電気モーターを動作させるための電源を供給する蓄電池である。走行系蓄電池206の充電残量などの状態は、制御部201が監視するようになっている。
【0033】
屋外送電ユニット300は、保護プレート400を上側に有し、屋外の地表面500の下に埋め込む形態で設置され、電気自動車220の受電ユニット200へ、充電電力を送電するためのユニットである。屋外送電ユニット300は、制御部301、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305および保護プレート400を含んでいる。
【0034】
制御部301は、屋外送電ユニット300の全体動作を制御し、記憶部304に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部301は、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304および送電部305と接続されている。なお、商用電源330から供給される電源は、図示しない配線によって制御部301、無線部302−1、無線部302−2、記憶部104に供給されるようになっている。また、送電部305に対しては、商用電源330からの電源が直接供給されるようになっている。
【0035】
無線部302−1は、宅内コントローラユニット100との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部301の制御により動作する。無線部302−1は、宅内コントローラユニット100の無線部102が用いている近距離通信用の無線規格と同一の無線規格(無線LAN、ブルートゥース、ジグビーなどの内の何れか)を用いるものとする。
【0036】
無線部302−2は、受電ユニット200との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部301の制御により動作する。無線部302−2は、受電ユニット200の無線部202が用いている近距離通信用の無線規格と同一の無線規格(無線LAN、ブルートゥース、ジグビー、RFIDなどの内の何れか)を用いるものとする。
【0037】
記憶部304は、制御部301が動作するためのプログラムや設定データを記憶する。
【0038】
送電部305は、電磁誘導を利用して受電ユニット200の受電部205に送電を行うものであり、送電用のコイルから磁束の変動を発生させる。送電部305は、制御部301によって動作或いは停止の制御が行われるようになっている。
【0039】
保護プレート400は、屋外の地表面500の下に埋め込む形態で設置される屋外送電ユニット300を保護するための板状のプレートであり、簡単には取り外すことが出来ないよう施錠手段を有している。保護プレート400により、屋外送電ユニット300を、降雨や紫外線による劣化、車両の乗り上げによる機器の破損、悪戯などによる機器破壊や盗難等の被害などから保護できるようになっている。なお、保護プレート400は、電磁誘導方式を用いたワイヤレス給電の効率を極力低下させないように、磁界が通過し易く、電磁誘導による発熱を起こし難く、かつ、車両等の荷重に耐えうる程度に強固な材料で構成されることが望ましい。また、紫外線の透過率を低減させる表面処理が施されていることが望ましい。このような材料としては、例えば、強化ガラス、アクリル板、或いは、2枚のガラスの間にアクリル原材料を注入し硬化させて製造したキャスト材、などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、上記の材料の強度を、より上げることが必要な場合には、保護プレート400を金属フレームなどにより補強するようにすればよい。補強の方法としては、保護プレート400の外周枠の他、金属フレームを格子状にして補強する、などでよい。
【0040】
次に、図2を参照して、本実施形態の動作について説明する。
【0041】
図2は、本実施形態の動作を説明するシーケンスチャートである。なお、図2において、図1の構成要素に対応するものは同一の参照数字または符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0042】
図2における前提条件として、図1に示したように、電気自動車220は屋外送電ユニット300の上側に駐車しているものとする。また、宅内コントローラユニット100、受電ユニット200、屋外送電ユニット300にはそれぞれ電源が投入されており、稼働可能な状態になっているものとする。
【0043】
図2において、先ず、宅内コントローラユニット100の表示操作部103にて、充電開始の操作(例えば、表示操作部103の充電開始キーを押下する)を行う(図2のステップS1)。すると、宅内コントローラユニット100は屋外送電ユニット300に対して車両ID確認要求を送信する(ステップS2)。車両ID確認要求は、宅内コントローラユニット100の無線部102から屋外送電ユニット300の無線部302−1に対して送信される。
【0044】
車両ID確認要求を受信した屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して車両ID問合せを送信する(ステップS3)。車両ID問合せは、屋外送電ユニット300の無線部302−2から受電ユニット200の無線部202に対して送信される。
【0045】
なお、以下においても、宅内コントローラユニット100と屋外送電ユニット300の間のデータの送受信は、無線部102と無線部302−1の間で行われる。また、屋外送電ユニット300と受電ユニット200の間のデータの送受信は、無線部302−2と無線部202の間で行われる。従って、以下の説明においては、無線部間でのデータ送受信に関する記述は省略するものとする。また、無線部間のデータ送受信においては、外部への情報漏洩防止のため、データの暗号化処理を施すものとする。
【0046】
車両ID問合せを受信した受電ユニット200は、屋外送電ユニット300に対して車両ID問合せ応答を送信する(ステップS4)。この車両ID問合せ応答の情報内容には、電気自動車220の受電ユニット200の記憶部204に予め設定済みの車両IDおよびパスワードが最低限含まれる。
【0047】
車両ID問合せ応答を受信した屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対して車両ID確認応答を送信する(ステップS5)。この車両ID確認応答には電気自動車220の受電ユニット200から通知された車両IDおよびパスワードの情報が最低限含まれる。
【0048】
車両ID確認応答を受信した宅内コントローラユニット100は、車両ID許可判定を実行する(ステップS6)。車両ID許可判定においては、屋外送電ユニット300を経由して受電ユニット200から通知された車両ID・パスワードが、宅内コントローラユニット100の記憶部104に記憶されている車両ID・パスワードと一致するかを判定する。そして、両者が一致した場合、当該受電ユニット200を搭載する電気自動車220は、充電を許可する車両であると判定する。当該受電ユニット200を搭載する電気自動車220が充電を許可する車両であると判定された場合(ステップS6で「許可」)、宅内コントローラユニット100は、屋外送電ユニット300に対して充電開始要求を送信する(ステップS7)。一方、当該受電ユニット200を搭載する電気自動車220が充電を許可する車両でないと判定された場合(ステップS6で「不許可」)、宅内コントローラユニット100は、その動作を終了する。
【0049】
尚、宅内コントローラユニット100を操作するユーザの意向により、任意の車両に対して充電を許可する場合には、ステップS2からステップS6の車両ID許可判定の手順を割愛することも可能であるものとする。この場合、宅内コントローラユニット100の表示操作部103から、ユーザの操作により、ステップS7の充電開始要求の送信からの手順を実行させるものとする。
【0050】
充電開始要求を受信した屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して充電開始通知を送信する(ステップS8)。
【0051】
充電開始通知を受信した受電ユニット200は、屋外送電ユニット300に対して充電開始応答を送信する(ステップS9)。そして、受電ユニット200は、充電開始スタンバイ状態に移行する(ステップS10)。この受電ユニット200における充電開始スタンバイ状態とは、制御部201の制御により受電部205および走行系蓄電池206への充電機能が有効状態に制御された状態を指すものとする。そして、屋外送電ユニット300の送電部305から送電が開始されれば、走行系蓄電池206への充電がなされる状態になっている。またこの時、受電ユニット200の表示操作部203には、充電開始スタンバイ状態に移行したことをユーザに通知するためのメッセージ表示および鳴音がなされる。
【0052】
充電開始応答を受信した屋外送電ユニット300は、送電部305からの送電を開始する(ステップS11)。そして、屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電開始応答を送信する(ステップS12)。受電ユニット200では、受電部205にて受電を開始し、走行系蓄電池206への充電が開始される(ステップS13)。
【0053】
充電開始応答を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103において充電が開始されたことをユーザに通知するメッセージ表示および鳴音を行う(ステップS14)。
【0054】
受電ユニット200による走行系蓄電池206への充電が開始されると、屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して定期的に充電状態問合せを送信する(ステップS15)。受電ユニット200は充電状態問合せを受信すると、走行系蓄電池206の充電状態の情報を、屋外送電ユニット300に対して充電状態応答として送信する(ステップS16)。この充電状態応答には、車両ID、充電状態(正常に充電動作中であるか否か)、走行系蓄電池206の電池残量の情報が最低限含まれる。これらの各情報は、受電ユニット200の制御部201が収集するものである。車両IDの情報は記憶部204から読出し、充電状態の情報は、受電部205から走行系蓄電池206への充電電流値が予め定められた正常範囲内であるかを判定した結果として得られる。また、電池残量の情報は走行系蓄電池206の電池残量として得られる。電池残量は、走行系蓄電池206の電圧測定値と、記憶部204に記憶している電圧レベルと電池残量の特性カーブデータとを用いて、制御部201が算出する。
【0055】
充電状態応答を受信した屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電状態通知を送信する(ステップS17)。
【0056】
充電状態通知を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103においてユーザに通知するための充電動作状態の表示を開始する(ステップS18)。この充電動作状態の表示内容には、車両ID、充電状態(正常に充電動作中であるか否か)、走行系蓄電池206の電池残量、および充電完了予定時刻の情報が最低限含まれる。ここで、充電完了予定時刻は、宅内コントローラユニット100の制御部101にて算出される。充電完了予定時刻は、予め実験等により求めてある屋外送電ユニット300の送電能力と、受電ユニット200から受信した走行系蓄電池206の電池残量の情報から算出するものとする。
【0057】
受電ユニット200による走行系蓄電池206への充電の継続中は、上述したように、屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して定期的に充電状態問合せを送信する(ステップS19)。受電ユニット200は充電状態問合せを受信すると、走行系蓄電池206の充電状態の情報を、屋外送電ユニット300に対して充電状態応答として送信する(ステップS20)。充電状態応答を受信した屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電状態通知を送信する(ステップS21)。ステップS19〜ステップS21の動作は、上述したステップS15〜ステップS17の動作と同一である。
【0058】
ステップS21の充電状態通知を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103における充電動作状態の表示を更新する(ステップS22)。なお、本実施形態の電気自動車の充電システム10においては、送電方式に電磁誘導方式を用いたワイヤレス給電を採用しているため、送電部305と受電部205の位置関係により送電効率は変化する。このため、充電完了予定時刻は充電実行中に逐次再算出され、表示操作部103への表示を更新するものとする。
【0059】
その後、受電ユニット200による走行系蓄電池206への充電が継続され、走行系蓄電池206の充電が完了した、すなわち、走行系蓄電池206の充電量が100%(満充電)になったものとする。
【0060】
ここで、屋外送電ユニット300から、何度目かの充電状態問合せが受電ユニット200に送信された場合(ステップS30)、受電ユニット200は、それまでと同様に充電状態応答を屋外送電ユニット300に対して送信する(ステップS31)。但し、この場合の充電状態応答としては、車両ID、充電状態、及び、走行系蓄電池206の電池残量が100%(満充電)になった、旨の情報が含まれている。
【0061】
屋外送電ユニット300は、受電ユニット200からステップS31の充電状態応答(満充電)を受信すると、宅内コントローラユニット100に対して充電状態通知(満充電)を送信する(ステップS32)。
【0062】
宅内コントローラユニット100は充電状態通知(満充電)を受信すると、屋外送電ユニット300に対して充電停止要求を送信する(ステップS33)。
【0063】
屋外送電ユニット300は充電停止要求を受信すると、受電ユニット200に対して充電停止通知を送信する(ステップS34)。
【0064】
充電停止通知を受信した受電ユニット200は、屋外送電ユニット300に対して充電停止応答を送信する(ステップS35)。そして、受電ユニット200は、受電停止状態に移行する(ステップS36)。この受電ユニット200における受電停止状態とは、制御部201の制御により、受電部205および走行系蓄電池206への充電機能が無効状態に制御された状態を指すものとする。これにより、たとえ屋外送電ユニット300の送電部305から送電された場合であっても、走行系蓄電池206への充電は、なされない状態となっている。また、受電ユニット200の表示操作部203には、受電停止状態に移行したことをユーザに通知するためのメッセージ表示および鳴音がなされる。
【0065】
充電停止応答を受信した屋外送電ユニット300は、送電部305からの送電を停止する(ステップS37)。そして、屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電停止応答を送信する(ステップS38)。
【0066】
充電停止応答を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103において充電が完了したことをユーザに通知するメッセージ表示および鳴音を行う(ステップS39)。そして、宅内コントローラユニット100は、その動作を終了する。
【0067】
以上、本実施形態の動作について説明した。
【0068】
尚、上述した動作では、受電ユニット200の走行系蓄電池206の電池残量が100%(満充電)に到達するまで充電するケースを示したが、宅内コントローラユニット100を操作するユーザの意向により、任意の電池残量で充電動作を停止させることも可能である。この動作を行わせる場合には、予め宅内コントローラユニット100の表示操作部103にて、充電を停止させる電池残量をユーザが設定した後に、ステップS1の充電開始操作を行うものとする。そして、例えばステップS21の充電状態通知にて、設定した電池残量に到達したことが通知された場合、直ちに宅内コントローラユニット100から屋外送電ユニット300に対し、ステップS33で示した充電停止要求を送信すればよい。
【0069】
また、本実施形態は、電気モーターを動力源とする電気自動車220の走行系蓄電池206に対し、電磁誘導方式を用いて充電を行うものとして説明した。しかし、本実施形態は、さらに、電気モーターとエンジン(ガソリンエンジンやジーゼルエンジンなど)を動力源とする、所謂ハイブリッド車の走行系蓄電池の充電に利用することも可能である。
【0070】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0071】
以上説明したように、本発明の電気自動車の充電システム10は、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部(送電部305)を含む送電手段(屋外送電ユニット300)を備えている。また、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部(受電部205)を介し、走行用の蓄電池(走行系蓄電池206)を充電する受電手段(受電ユニット200)を備えている。さらに、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段(宅内コントローラユニット100)を備えている。
【0072】
つまり、本発明の電気自動車の充電システム10は、走行用の蓄電池を充電するための電力ケーブルおよび電気自動車への接点端子を備えていない。かつ、制御手段と送電手段の間のデータの送受信は、近距離無線により行うようになっているため、送電手段の設置位置の制約が無い。
【0073】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの安全性の向上、及び、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることが可能となる。
【0074】
また、本発明の電気自動車の充電システム10は、前記送電手段を、屋外の地表面(地表面500)の下側であって、施錠手段を有する保護プレート(保護プレート400)の下側に設置している。また、前記受電手段を、電気自動車(電気自動車220)内に組み込ませて設置し、前記制御手段を、個人所有の家屋(家屋120)などの宅内に設置するようにしている。
【0075】
従って、送電手段を、水漏れの影響や、屋外における紫外線などの影響による劣化から保護することが可能となる。また、送電手段を、悪戯などによる破壊や、盗難等の被害から防ぐことが可能となる。さらに、送電手段にユーザや通行人が接触して転倒することなどを防ぐことが可能となる。またさらに、制御手段が宅内に設置されているため、ユーザが充電スタンド等に出向いていく必要が無く、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0076】
さらに、本発明の電気自動車の充電システム10の前記制御手段は、前記受電手段から取得した車両ID及びパスワードが、自身の記憶している車両ID及びパスワードと一致した場合に、前記送電手段から前記受電手段への給電を行わせるようにしている。
【0077】
従って、送電手段の不正利用を防ぐことが可能となり、送電手段のセキュリティの向上を図ることが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0078】
図3は、本発明の電気自動車の充電システムの第2の実施形態を示すブロック図である。なお、図3において、図1の構成要素に対応するものは同一の参照数字または符号を付し、その説明を極力省略するものとする。
【0079】
図3に示す電気自動車の充電システム10−1は、宅内コントローラユニット100−1と、受電ユニット200−1と、屋外送電ユニット300−1を含んでいる。
【0080】
宅内コントローラユニット100−1は、個人が所有する家屋120などの宅内に設置され、商用電源110で動作可能なコントローラであり、制御部101−1、無線部102、表示操作部103、記憶部104を含んでいる。また、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、モデム114を介して公衆網の電話回線115と接続されている。
【0081】
制御部101−1は、宅内コントローラユニット100−1の全体動作を制御し、記憶部104に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部101−1は、無線部102、表示操作部103および記憶部104と接続されている。また、制御部101−1は、電話回線115を介して、遠隔地の携帯電話などからの指示や問い合わせなどを受け付けることが出来るようになっている。なお、商用電源110から供給される電源は、モデム114に供給されると共に、図示しない配線によって制御部101−1、無線部102、表示操作部103、記憶部104に供給されるようになっている。
【0082】
無線部102、表示操作部103、記憶部104は、第1の実施形態と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0083】
受電ユニット200−1は、第1の実施形態と同様に、充電される側の電気自動車220内に組み込まれ、電気自動車220を走行させる電気モーター(図示せず)に電力を供給する走行系蓄電池206へ、充電電力を蓄積するためのユニットである。そして、受電ユニット200−1は、制御部201−1、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206、制御系蓄電池210、リモートスタータ制御部207を含んでいる。
【0084】
制御部201−1は、受電ユニット200−1の全体動作を制御し、記憶部204に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部201−1は、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206およびリモートスタータ制御部207と接続されている。なお、制御系蓄電池210は、電気自動車220内の必要箇所に電源を供給する所謂車両用バッテリーである。そして、制御系蓄電池210から供給される電源は、図示しない配線によって、制御部201−1、無線部202、表示操作部203、記憶部204、リモートスタータ制御部207に供給されるようになっている。
【0085】
無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206は、第1の実施形態と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0086】
リモートスタータ制御部207は、遠隔制御で電気自動車220の電気モーターを始動・停止させる制御部である。ここで、遠隔制御の指示は、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103から入力されるものとする。そして、遠隔制御の指示は、宅内コントローラユニット100−1から屋外送電ユニット300−1を介して、受電ユニット200−1に通知され、受電ユニット200−1の制御部201−1からリモートスタータ制御部207に通知されるものとする。
【0087】
屋外送電ユニット300−1は、第1の実施形態と同様に、保護プレート400を上側に有し、屋外の地表面500の下に埋め込む形態で設置され、電気自動車220の受電ユニット200−1へ、充電電力を送電するためのユニットである。屋外送電ユニット300−1は、制御部301−1、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305、変換部306、送電系蓄電池307、制御回路308、制御系蓄電池309、制御回路310、センサ部311および保護プレート400を含んでいる。
【0088】
そして、屋外送電ユニット300−1に対する電源は、家屋120の屋根上に設置されている太陽光発電部320から供給されるようになっている。太陽光発電部320から供給された電源は、制御回路308を介して送電系蓄電池307に充電され、制御回路310を介して制御系蓄電池309に充電されるようになっている。制御回路308は、送電系蓄電池307の充電状態、すなわち、満充電の状態であるか否か、を監視し、満充電でなければ送電系蓄電池307を充電するよう制御し、満充電であれば送電系蓄電池307の充電を停止する。制御回路310は、制御系蓄電池309の充電状態、すなわち、満充電の状態であるか否か、を監視し、満充電でなければ制御系蓄電池309を充電するよう制御し、満充電であれば制御系蓄電池309の充電を停止する。なお、太陽光発電部320は、太陽の光から電気を作る太陽光発電パネルを敷き詰めたものであり、家屋120の屋根上だけでなく、屋外送電ユニット300−1内に設置するようにしてもよい。
【0089】
制御部301−1は、屋外送電ユニット300−1の全体動作を制御し、記憶部304に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部301−1は、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305およびセンサ部311と接続されている。なお、制御部301−1、無線部302−1、無線部302−2、記憶部104、センサ部311に対しては、制御系蓄電池309から図示しない配線によって電源が供給されるようになっている。また、送電部305に対しては、送電系蓄電池307から電源が供給されるようになっている。なお、送電部305が受電ユニット200−1の受電部205に対して送電を行う場合には、送電系蓄電池307から供給される電源を、変換部306にて交流に変換して供給するようになっている。
【0090】
無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305、保護プレート400は、第1の実施形態と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0091】
センサ部311は、屋外送電ユニット300−1の上部に、電気自動車220が駐車しているか否かを検出・判定するセンサであり、判定結果、すなわち駐車の有無、を制御部301−1に通知する。センサ部311は、例えば、光センサにより構成されればよい。光センサは、近赤外線を照射し、近赤外線の反射光量が増加方向に変化した場合、物体などが検出エリアに進入した、と判定するセンサである。
【0092】
以上、第2の実施形態の構成について説明した。
【0093】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0094】
先ず、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する際の動作について説明する。
【0095】
本実施形態は、図3を参照して説明したように、以下の点でのみ第1の実施形態と異なっている。
【0096】
すなわち、第1に、宅内コントローラユニット100−1が、モデム114を介して公衆網の電話回線115に接続されている。
【0097】
第2に、受電ユニット200−1が、リモートスタータ制御部207を新たに含んでいる。
【0098】
第3に、屋外送電ユニット300−1の電源が、商用電源(第1の実施形態)ではなく、太陽光発電部320から供給されている。そして、太陽光発電部320から供給された電源が、送電系蓄電池307および制御系蓄電池309に充電されて蓄積される。また、屋外送電ユニット300−1が、センサ部311を新たに含んでいる。
【0099】
そして、電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する仕組みは変わってはいない。
【0100】
従って、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する際の動作は、図2で説明した第1の実施形態の動作と同様である。そこで、本実施形態における電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する際の動作に関するこれ以上の説明は省略するものとする。
【0101】
次に、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電を、自動的に開始させる際の動作について説明する。
【0102】
本実施形態の屋外送電ユニット300−1は、センサ部311を備えている。センサ部311は、屋外送電ユニット300−1の上部に電気自動車220が駐車すると、その旨を制御部301−1に通知する。
【0103】
そこで、本実施形態においては、屋外送電ユニット300−1の制御部301−1が、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車したとの通知を受けた際、この駐車通知を宅内コントローラユニット100−1に送信する。当該駐車通知を受信した宅内コントローラユニット100−1は、図2で説明した第1の実施形態の充電開始の操作(図2のステップS1)が実行されたと同様に動作する。すなわち、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103にて充電開始の操作を行うのではなく、駐車通知を屋外送電ユニット300−1から受信した際に、充電開始の操作が行われたと同様の動作を実行する。そして、図2で説明したステップS2以降の動作は、第1の実施形態と同様に実行する。
【0104】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電が自動的に開始されるようになる。
【0105】
次に、本実施形態において、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車しているか否かを、自宅以外の遠隔地から携帯電話などによって監視する際の動作について説明する。
【0106】
本実施形態の宅内コントローラユニット100−1は、モデム114を介して公衆網の電話回線115に接続されている。そして、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、電話回線115を介して遠隔地の携帯電話などからの指示や問い合わせなどを受け付けることが出来るようになっている。また、屋外送電ユニット300−1は、上述したようにセンサ部311を備えている。そして、センサ部311は、屋外送電ユニット300−1の上部に電気自動車220が駐車すると、駐車通知を、制御部301−1を介して宅内コントローラユニット100−1に送信するようになっている。
【0107】
そこで、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1が、電話回線115を介して遠隔地の携帯電話などから、問い合わせを受信した際、以下のように動作するようにしている。
【0108】
すなわち、問い合わせの内容が、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車しているか否か、であった場合、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、センサ部311からの駐車通知を受信しているか否かを判定する。そして、駐車通知を受信している場合、宅内コントローラユニット100−1は、問い合わせ元の携帯電話などに対し、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車している旨の応答を返すよう動作する。一方、駐車通知を受信していない場合、宅内コントローラユニット100−1は、問い合わせ元の携帯電話などに対し、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車していない旨の応答を返すよう動作する。
【0109】
このことにより、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車しているか否かを、自宅以外の遠隔地から携帯電話などによって監視することが出来るようになる。
【0110】
なお、上述した遠隔地の携帯電話などからの問い合わせに応答する動作を、以下のように変更することも可能である。
【0111】
第1に、遠隔地の携帯電話などから、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電状態の問い合わせがあった場合、宅内コントローラユニット100−1は以下のように動作する。すなわち、宅内コントローラユニット100−1は、屋外送電ユニット300−1を介して電気自動車220の受電ユニット200−1に対し、走行系蓄電池206の充電状態の問い合わせを行う。受電ユニット200−1からは、走行系蓄電池206の充電状態が、屋外送電ユニット300−1を介して宅内コントローラユニット100−1に送信される。そして、宅内コントローラユニット100−1は、問い合わせ元の携帯電話などに対し、走行系蓄電池206の充電状態の情報を応答として返すよう動作する。
【0112】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電状態を、自宅以外の遠隔地から携帯電話などによって監視することが出来るようになる。
【0113】
第2に、遠隔地の携帯電話などから、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電を開始させるための指示があった場合、宅内コントローラユニット100−1は以下のように動作する。すなわち、宅内コントローラユニット100−1は、図2で説明した第1の実施形態の充電開始の操作(図2のステップS1)が実行されたと同様に動作する。つまり、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103にて充電開始の操作を行うのではなく、遠隔地の携帯電話などから、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電を開始させるための指示があった際に、充電開始の操作が行われたと同様の動作を実行する。そして、図2で説明したステップS2以降の動作は、第1の実施形態と同様に実行する。
【0114】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電が、遠隔地の携帯電話などからの指示により開始されるようになる。
【0115】
次に、本実施形態において、電気自動車220の電気モーターを、電気自動車220の車外から始動させる際の動作について説明する。
【0116】
本実施形態の電気自動車220の受電ユニット200−1は、リモートスタータ制御部207を備えている。
【0117】
そこで、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103から、電気自動車220の電気モーターを始動させるための指示をキー操作などにより入力すると、以下のように動作するようにしている。
【0118】
すなわち、表示操作部103から入力された始動指示は、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1に通知される。そして、宅内コントローラユニット100−1から、当該始動指示を、屋外送電ユニット300−1を介して受電ユニット200−1に送信する。当該始動指示は、受電ユニット200−1の制御部201−1に通知され、制御部201−1からリモートスタータ制御部207に通知される。リモートスタータ制御部207は、電気自動車220の電気モーターを始動させる。
【0119】
このことにより、電気自動車220の電気モーターを、電気自動車220の車外から始動させることが出来るようになる。
【0120】
なお、上述した電気モーターのリモートスタータ制御の動作は、他の制御動作、例えば、電気自動車220のドアの施錠や解錠、又は、室内灯の点灯や消灯など、に置き換えても良い。この場合、受電ユニット200−1のリモートスタータ制御部207を、ドア錠制御部、又は、室内灯制御部など、に置き換えればよい。
【0121】
次に、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206をリフレッシュさせる際の動作について説明する。なお、リフレッシュとは、走行系蓄電池206を十分に放電させた後に、走行系蓄電池206を再充電することであり、リフレッシュを行うことにより、走行系蓄電池206の寿命を延ばすことが可能となる。
【0122】
走行系蓄電池206のリフレッシュを行うため、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103から、走行系蓄電池206のリフレッシュを行わせるための指示をキー操作などにより入力すると、以下のように動作するようにしている。
【0123】
すなわち、表示操作部103から入力されたリフレッシュ指示は、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1に通知される。そして、宅内コントローラユニット100−1から、当該リフレッシュ指示を、屋外送電ユニット300−1を介して受電ユニット200−1に送信する。当該リフレッシュ指示は、受電ユニット200−1の制御部201−1に通知される。制御部201−1は、走行系蓄電池206に対し放電を行わせる。そして、制御部201−1は、走行系蓄電池206が十分に放電されたか否かの監視を行う。
【0124】
制御部201−1が、走行系蓄電池206の放電が十分に行われたと判定した場合、受電ユニット200−1は、放電完了通知を、屋外送電ユニット300−1を介して宅内コントローラユニット100−1に対して送信する。
【0125】
放電完了通知を受信した宅内コントローラユニット100−1は、次に、受電ユニット200−1の走行系蓄電池206を充電する。走行系蓄電池206の充電は、図2(第1の実施形態)で説明したと同様に、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103にて、充電開始の操作を行う(図2のステップS1)ことにより充電の開始がなされる。
【0126】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206をリフレッシュすることが出来るようになる。
【0127】
なお、上述した走行系蓄電池206のリフレッシュの動作は、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1が自動的に開始するようにしてもよい。すなわち、宅内コントローラユニット100−1は、走行系蓄電池206の充電の回数、或いは、走行系蓄電池206の使用開始日時などを記憶部104に記憶させておく。そして、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、定期的に走行系蓄電池206の充電回数または使用開始日時などをチェックする。チェックの結果、充電回数が所定の回数に達した場合、或いは、走行系蓄電池206の使用開始日時から所定の期間が経過したと判断した場合、走行系蓄電池206をリフレッシュする動作を開始する。これらの制御部101−1の動作は、記憶部104に記憶されているプログラムによって実行されるようにしておけばよい。
【0128】
以上、本実施形態の動作について説明した。
【0129】
尚、上述した第2の実施形態では、屋外送電ユニット300−1は1台であるものとして説明したが、屋外送電ユニット300−1を複数台設置するようにしてもよい。屋外送電ユニット300−1を複数台設置する場合には、各屋外送電ユニット300−1に、それぞれ固有の屋外送電ユニットIDを付すものとする。そして、屋外送電ユニット300−1と宅内コントローラユニット100−1の間でデータ送受信を行う際、送受信するデータのヘッダ領域に、データの送信元或いは送信先を示すための屋外送電ユニットIDを付すようにすればよい。
【0130】
また、上述した第2の実施形態における宅内コントローラユニット100−1を、一般的なパーソナルコンピュータで構成するようにしてもよい。この場合、上述した第2の実施形態の動作を実行するプログラムを、パーソナルコンピュータのアプリケーションプログラムとしてインストールするようにすればよい。このように構成することにより、アプリケーションプログラムの改変や追加により、電気自動車の充電システム10−1の機能の改変や追加を容易に行うことが可能となる。また、電気自動車の充電システム10−1のコストを低減できるようになる。
【0131】
以上、第2の実施形態について説明した。
【0132】
前述したように、本発明の第2の実施形態の構成は、図1に示した第1の実施形態の電気自動車の充電システム10と、以下の点でのみ異なるものである。
【0133】
すなわち、第1に、宅内コントローラユニット100−1が、モデム114を介して公衆網の電話回線115に接続されている。
【0134】
第2に、受電ユニット200−1が、リモートスタータ制御部207を新たに含んでいる。
【0135】
第3に、屋外送電ユニット300−1の電源が、商用電源(第1の実施形態)ではなく、太陽光発電部320から供給されている。そして、太陽光発電部320から供給された電源が、送電系蓄電池307および制御系蓄電池309に充電されて蓄積される。また、屋外送電ユニット300−1が、センサ部311を新たに含んでいる。
【0136】
また、第2の実施形態の動作は、第1の実施形態の動作と以下の点でのみ異なるものである。
【0137】
すなわち、宅内コントローラユニット100−1にリフレッシュ指示を入力することにより、電気自動車220の受電ユニット200−1内の走行系蓄電池206のリフレッシュを行うことが可能な点である。
【0138】
従って、以下において第2の実施形態に特有の箇所に関してのみ説明するものとする。
【0139】
以上説明したように、本実施形態の電気自動車の充電システム10−1は、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部(送電部305)を含む送電手段(屋外送電ユニット300−1)を備えている。また、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部(受電部205)を介し、走行用の蓄電池(走行系蓄電池206)を充電する受電手段(受電ユニット200−1)を備えている。さらに、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段(宅内コントローラユニット100−1)を備えている。またさらに、前記送電手段の電源は、太陽光発電部(太陽光発電部320)から得る、ようにしている。
【0140】
従って、本実施形態によれば、商用電源から電源を得難い場所であっても送電手段を設置することが可能となり、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることが可能となる。
【0141】
また、前記送電手段は、前記送電手段上に車両が駐車しているか否かを検出可能なセンサ(センサ部311)を備えている。そして、前記制御手段は、前記送電手段から車両が駐車したことを検出したとの通知を受けた場合、前記受電手段の前記走行用の蓄電池の充電を自動的に開始する、ようにしている。
【0142】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0143】
さらに、前記制御手段は、電話回線(電話回線115)と接続する接続手段(モデム114)と接続されている。そして、前記制御手段は、前記接続手段を介して遠隔地の携帯電話などからの問い合わせ或いは指示を受信した場合、前記問い合わせに対する応答を行い、或いは、前記指示に対応する動作を実行する、ようにしている。
【0144】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0145】
またさらに、前記受電手段は、前記受電手段を搭載する車両を車両外から制御する第2の制御手段(リモートスタータ制御部207など)を備えている。そして、前記受電手段は、前記制御手段から前記車両外から制御する指示を受信した場合、前記第2の制御手段を作動させることにより前記車両を制御する、ようにしている。
【0146】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0147】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段と、
前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段と、
前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段と、
を備えていることを特徴とする電気自動車の充電システム。
(付記2)
前記送電手段を、屋外の地表面の下側であって、施錠手段を有する保護プレートの下側に設置し、
前記受電手段を、電気自動車内に組み込ませて設置し、
前記制御手段を、個人所有の家屋などの宅内に設置する、
ことを特徴とする付記1に記載の電気自動車の充電システム。
(付記3)
前記制御手段は、前記受電手段から取得した車両ID及びパスワードが、自身の記憶している車両ID及びパスワードと一致した場合に、前記送電手段から前記受電手段への給電を行わせる、
ことを特徴とする付記1或いは付記2の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記4)
前記送電手段の電源は、太陽光発電部から得る、
ことを特徴とする付記1から付記3の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記5)
前記送電手段は、前記送電手段上に車両が駐車しているか否かを検出可能なセンサを備え、
前記制御手段は、前記送電手段から車両が駐車したことを検出したとの通知を受けた場合、前記受電手段の前記走行用の蓄電池の充電を自動的に開始する、
ことを特徴とする付記1から付記4の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記6)
前記制御手段は、電話回線と接続する接続手段と接続され、
前記制御手段は、前記接続手段を介して遠隔地の携帯電話などからの問い合わせ或いは指示を受信した場合、前記問い合わせに対する応答を行い、或いは、前記指示に対応する動作を実行する、
ことを特徴とする付記1から付記5の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記7)
前記受電手段は、前記受電手段を搭載する車両を車両外から制御する第2の制御手段を備え、
前記受電手段は、前記制御手段から前記車両外から制御する指示を受信した場合、前記第2の制御手段を作動させることにより前記車両を制御する、
ことを特徴とする付記1から付記6の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記8)
前記車両外から制御する指示は、前記走行用の蓄電池のリフレッシュを行わせるための指示である、
ことを特徴とする付記1から付記7の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記9)
前記制御手段は、パーソナルコンピュータで構成される、
ことを特徴とする付記1から付記8の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記10)
給電動作と受電動作の動作制御を、近距離無線を用いて行う制御ステップと、
前記給電動作を電磁誘導方式により行う給電ステップと、
前記受電動作を行うことにより、前記給電動作により給電される電力を電磁誘導により受電し、前記受電した電力により走行用の蓄電池を充電する充電ステップと、
を有することを特徴とする電気自動車の充電方法。
(付記11)
前記電気自動車から取得した車両ID及びパスワードが所定の条件を満たす場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする付記10に記載の電気自動車の充電方法。
(付記12)
前記電気自動車が所定の位置に駐車した場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする付記10或いは付記11の何れかに記載の電気自動車の充電方法。
(付記13)
前記電気自動車の前記走行用の蓄電池をリフレッシュするリフレッシュステップを更に行う、
ことを特徴とする付記10から付記12の何れかに記載の電気自動車の充電方法。
【符号の説明】
【0148】
10 電気自動車の充電システム
10−1 電気自動車の充電システム
100 宅内コントローラユニット
100−1 宅内コントローラユニット
101 制御部
101−1 制御部
102 無線部
103 表示操作部
104 記憶部
110 商用電源
114 モデム
115 電話回線
120 家屋
200 受電ユニット
200−1 受電ユニット
201 制御部
201−1 制御部
202 無線部
203 表示操作部
204 記憶部
205 受電部
206 走行系蓄電池
207 リモートスタータ制御部
210 制御系蓄電池
220 電気自動車
300 屋外送電ユニット
300−1 屋外送電ユニット
301 制御部
301−1 制御部
302−1 無線部
302−2 無線部
304 記憶部
305 送電部
306 変換部
307 送電系蓄電池
308 制御回路
309 制御系蓄電池
310 制御回路
311 センサ部
320 太陽光発電部
330 商用電源
400 保護プレート
500 地表面
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の充電システム及び充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気モーターを動力源とする電気自動車の開発が盛んとなり、実用化もなされるようになってきている。
【0003】
ここで、電気モーターを動力源とする自動車としては、通常、電動輸送機器(Electric Vehicle:EV)のことを指すことが多く、車載の蓄電池から電力を得る電池自動車と、走行中に電力を外部から供給する架線式車とに大きく分けられている。しかし、本稿においては、前者の、蓄電池から走行用の電力を得る方式の自動車を電気自動車と称するものとする。
【0004】
上述した電気自動車においては、車載の蓄電池に電力を蓄えておくことにより、自動車として走行させることが可能となる。蓄電池に電力を蓄えるためには、蓄電池を充電しておくことが必要となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
上述した特許文献1「電動車両の充電システム」には、以下の記載がなされている。
【0006】
すなわち、この特許文献1に記載されている電動車両(電気自動車)用の充電スタンドは、電動車両のバッテリに電力を供給する電力供給手段と、充電指示情報を入力可能とする情報入力手段を有している。また、情報表示手段、利用者から料金を回収する料金回収手段、記憶装置、演算装置を有している。さらに、情報入力手段から入力された充電指示情報を記憶し、充電開始予定時間、充電終了予定時間および充電料金を含む充電予約情報を計算し、電力供給手段の使用可能時間を設定する制御部を有している。そして、制御部が、充電予約情報を情報表示手段に表示させ、料金回収手段により充電料金を回収した後、電力供給手段を使用可能とさせるようになっている。このことにより、充電装置の利用効率を向上させることができ、かつ、初期コストおよび運用コストを抑えることができるようになる、としている。
【0007】
上述した特許文献1に記載されている充電スタンドは、電動車両(電気自動車)に充電電力を送るためのケーブルを有している。つまり、電気自動車に充電電力を送るためには、電力ケーブルなどの有線方式により電力を送らねばならないようになっている。
【0008】
これに対し、電気自動車とは非接触で、電気自動車に給電できるよう提案しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
上述した特許文献2「非接触給電装置及び電気自動車」には、以下の記載がなされている。
【0010】
すなわち、電磁誘導型の非接触給電装置であって、電気自動車の受電側の2次コイルを複数の分割コイルで構成するとともに、各分割コイルの極性を個別に切り替え可能なコイル極性反転回路を設ける。コントローラは、給電設備側の1次コイルへの通電時に2次コイルを構成する各分割コイルに各々鎖交する鎖交磁束の極性に応じてコイル極性反転回路の動作を制御する。これにより、1次コイルと2次コイルの相対位置が変化した場合でも、2次コイルに極性の異なる磁束が鎖交してキャンセルされることを抑制し、総鎖交磁束量の低減を抑制する、ようにしている。このことにより、1次コイルと2次コイルの相対位置が変化する場合であっても、コイル同士の相互インダクタンスを大きくとって効率的な電力伝送を行うことができるようになる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−028913号公報(第5〜13頁、図2〜16)
【特許文献2】特開2010−226889号公報(第4〜12頁、図1〜21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した特許文献1に記載の充電スタンドにあっては、充電スタンドから充電電力を送るための電力ケーブルを電気自動車に接続することが必要となる。そして、電力ケーブルの先端には、通常、電気自動車に接続するための接点端子が存在する。従って、電力ケーブルや接点端子からの漏電や、電気自動車以外のところへ電力が供給されてしまうリスクが必ずしも無くはない、という課題を有している。また、電力ケーブルの長さなどの制約により、充電スタンドの設置位置や電気自動車の停止位置などに或る程度の制約が必要となる、という課題も有している。
【0013】
上述した特許文献2に記載の非接触給電装置においては、給電側の1次コイルは路面に設置され、受電側の2次コイルは電気自動車の車体底部に設置されるようになっている。従って、路面に設置されている給電側の機器に通行人が接触して転倒してしまう場合も起こり得る、という課題を有している。
【0014】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものである。従って、本発明の目的は、電気自動車のユーザの安全性の向上、及び、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることを可能とする、電気自動車の充電システム及び充電方法、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電気自動車の充電システムは、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段を備えている。また、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段を備えている。さらに、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段を備えている。
【0016】
本発明の電気自動車の充電方法は、給電動作と受電動作の動作制御を、近距離無線を用いて行う制御ステップと、前記給電動作を電磁誘導方式により行う給電ステップと、を有している。また、前記受電動作を行うことにより、前記給電動作により給電される電力を電磁誘導により受電し、前記受電した電力により走行用の蓄電池を充電する充電ステップと、を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気自動車のユーザの安全性の向上、及び、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の電気自動車の充電システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の動作を説明するシーケンスチャートである。
【図3】本発明の電気自動車の充電システムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の電気自動車の充電システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す電気自動車の充電システム10は、宅内コントローラユニット100と、受電ユニット200と、屋外送電ユニット300を含んでいる。
【0021】
宅内コントローラユニット100は、個人が所有する家屋120などの宅内に設置され、商用電源110で動作可能なコントローラであり、制御部101、無線部102、表示操作部103、記憶部104を含んでいる。
【0022】
制御部101は、宅内コントローラユニット100の全体動作を制御し、記憶部104に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部101は、無線部102、表示操作部103および記憶部104と接続されている。なお、商用電源110から供給される電源は、図示しない配線によって制御部101、無線部102、表示操作部103、記憶部104に供給されるようになっている。
【0023】
無線部102は、屋外送電ユニット300との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部101の制御により動作する。本実施形態においては、無線部102は、無線LAN(Local Area Network:ラン)、ブルートゥース(Bluetooth)、ジグビー(ZigBee)など、近距離通信用の無線規格のうちの何れかを用いるものとする。
【0024】
表示操作部103は、ユーザとのインタフェースを司る部分であり、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレー)などにより各種情報を表示するとともに、テンキーやファンクションキーなどによりキー操作入力を行わせる。また、表示操作部103は、スピーカなどにより鳴音を行わせる。そして、表示操作部103は、制御部101の制御により、充電操作画面や各種の設定画面を表示するとともに、電気自動車の充電システム10のシステム状態情報やアラーム情報などを表示或いは鳴音により出力する。また、表示操作部103で行われたキー入力操作の情報は、制御部101に通知される。制御部101は、キー入力操作の情報を通知されると、キー入力操作の情報に従った動作を実行する。
【0025】
記憶部104は、制御部101が動作するためのプログラムや設定データを記憶するとともに、ユーザが設定したデータ、例えば、充電を許可する車両の車両ID(Identification:アイディー)やパスワードなど、を記憶する。
【0026】
受電ユニット200は、充電される側の電気自動車220内に組み込まれ、電気自動車220を走行させる電気モーター(図示せず)に電力を供給する走行系蓄電池206へ、充電電力を蓄積するためのユニットである。受電ユニット200は、制御部201、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206、制御系蓄電池210を含んでいる。
【0027】
制御部201は、受電ユニット200の全体動作を制御し、記憶部204に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部201は、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205および走行系蓄電池206と接続されている。なお、制御系蓄電池210は、電気自動車220内の必要箇所に電源を供給する所謂車両用バッテリーである。そして、制御系蓄電池210から供給される電源は、図示しない配線によって、制御部201、無線部202、表示操作部203、記憶部204に供給されるようになっている。
【0028】
無線部202は、屋外送電ユニット300との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部201の制御により動作する。本実施形態においては、無線部202は、無線LAN、ブルートゥース、ジグビー、RFID(Radio Frequency Identification:アールエフアイディー)など、近距離通信用の無線規格のうちの何れかを用いるものとする。
【0029】
表示操作部203は、ユーザとのインタフェースを司る部分であり、LCDなどにより各種情報を表示するとともに、テンキーやファンクションキーなどによりキー操作入力を行わせる。また、表示操作部203は、スピーカなどにより鳴音を行わせる。そして、表示操作部203は、制御部201の制御により、充電操作画面や各種の設定画面を表示するとともに、電気自動車の充電システム10のシステム状態情報やアラーム情報などを表示或いは鳴音により出力する。また、表示操作部203で行われたキー入力操作の情報は、制御部201に通知される。制御部201は、キー入力操作の情報を通知されると、キー入力操作の情報に従った動作を実行する。
【0030】
記憶部204は、制御部201が動作するためのプログラムや設定データを記憶するとともに、電気自動車220の車両IDおよびパスワードなど、を記憶する。
【0031】
受電部205は、電気自動車220の外部に設置されている屋外送電ユニット300からの磁束の変動を受けて、誘導電流を発生する電磁誘導を利用した受電用の機器であり、受電用のコイルを含んでいる。電磁誘導は、周知のように、送電用と受電用の2つのコイルの間の磁場を利用して送電を可能とするものであり、通常、電磁誘導方式と称されているワイヤレスの給電方式である。受電部205は、制御部201によって動作或いは停止の制御が行われ、受電部205において発生した電力により、走行系蓄電池206が充電されるようになっている。
【0032】
走行系蓄電池206は、電気自動車220を走行させるための電気モーターを動作させるための電源を供給する蓄電池である。走行系蓄電池206の充電残量などの状態は、制御部201が監視するようになっている。
【0033】
屋外送電ユニット300は、保護プレート400を上側に有し、屋外の地表面500の下に埋め込む形態で設置され、電気自動車220の受電ユニット200へ、充電電力を送電するためのユニットである。屋外送電ユニット300は、制御部301、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305および保護プレート400を含んでいる。
【0034】
制御部301は、屋外送電ユニット300の全体動作を制御し、記憶部304に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部301は、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304および送電部305と接続されている。なお、商用電源330から供給される電源は、図示しない配線によって制御部301、無線部302−1、無線部302−2、記憶部104に供給されるようになっている。また、送電部305に対しては、商用電源330からの電源が直接供給されるようになっている。
【0035】
無線部302−1は、宅内コントローラユニット100との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部301の制御により動作する。無線部302−1は、宅内コントローラユニット100の無線部102が用いている近距離通信用の無線規格と同一の無線規格(無線LAN、ブルートゥース、ジグビーなどの内の何れか)を用いるものとする。
【0036】
無線部302−2は、受電ユニット200との間で無線通信を行うための高周波回路であり、制御部301の制御により動作する。無線部302−2は、受電ユニット200の無線部202が用いている近距離通信用の無線規格と同一の無線規格(無線LAN、ブルートゥース、ジグビー、RFIDなどの内の何れか)を用いるものとする。
【0037】
記憶部304は、制御部301が動作するためのプログラムや設定データを記憶する。
【0038】
送電部305は、電磁誘導を利用して受電ユニット200の受電部205に送電を行うものであり、送電用のコイルから磁束の変動を発生させる。送電部305は、制御部301によって動作或いは停止の制御が行われるようになっている。
【0039】
保護プレート400は、屋外の地表面500の下に埋め込む形態で設置される屋外送電ユニット300を保護するための板状のプレートであり、簡単には取り外すことが出来ないよう施錠手段を有している。保護プレート400により、屋外送電ユニット300を、降雨や紫外線による劣化、車両の乗り上げによる機器の破損、悪戯などによる機器破壊や盗難等の被害などから保護できるようになっている。なお、保護プレート400は、電磁誘導方式を用いたワイヤレス給電の効率を極力低下させないように、磁界が通過し易く、電磁誘導による発熱を起こし難く、かつ、車両等の荷重に耐えうる程度に強固な材料で構成されることが望ましい。また、紫外線の透過率を低減させる表面処理が施されていることが望ましい。このような材料としては、例えば、強化ガラス、アクリル板、或いは、2枚のガラスの間にアクリル原材料を注入し硬化させて製造したキャスト材、などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、上記の材料の強度を、より上げることが必要な場合には、保護プレート400を金属フレームなどにより補強するようにすればよい。補強の方法としては、保護プレート400の外周枠の他、金属フレームを格子状にして補強する、などでよい。
【0040】
次に、図2を参照して、本実施形態の動作について説明する。
【0041】
図2は、本実施形態の動作を説明するシーケンスチャートである。なお、図2において、図1の構成要素に対応するものは同一の参照数字または符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0042】
図2における前提条件として、図1に示したように、電気自動車220は屋外送電ユニット300の上側に駐車しているものとする。また、宅内コントローラユニット100、受電ユニット200、屋外送電ユニット300にはそれぞれ電源が投入されており、稼働可能な状態になっているものとする。
【0043】
図2において、先ず、宅内コントローラユニット100の表示操作部103にて、充電開始の操作(例えば、表示操作部103の充電開始キーを押下する)を行う(図2のステップS1)。すると、宅内コントローラユニット100は屋外送電ユニット300に対して車両ID確認要求を送信する(ステップS2)。車両ID確認要求は、宅内コントローラユニット100の無線部102から屋外送電ユニット300の無線部302−1に対して送信される。
【0044】
車両ID確認要求を受信した屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して車両ID問合せを送信する(ステップS3)。車両ID問合せは、屋外送電ユニット300の無線部302−2から受電ユニット200の無線部202に対して送信される。
【0045】
なお、以下においても、宅内コントローラユニット100と屋外送電ユニット300の間のデータの送受信は、無線部102と無線部302−1の間で行われる。また、屋外送電ユニット300と受電ユニット200の間のデータの送受信は、無線部302−2と無線部202の間で行われる。従って、以下の説明においては、無線部間でのデータ送受信に関する記述は省略するものとする。また、無線部間のデータ送受信においては、外部への情報漏洩防止のため、データの暗号化処理を施すものとする。
【0046】
車両ID問合せを受信した受電ユニット200は、屋外送電ユニット300に対して車両ID問合せ応答を送信する(ステップS4)。この車両ID問合せ応答の情報内容には、電気自動車220の受電ユニット200の記憶部204に予め設定済みの車両IDおよびパスワードが最低限含まれる。
【0047】
車両ID問合せ応答を受信した屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対して車両ID確認応答を送信する(ステップS5)。この車両ID確認応答には電気自動車220の受電ユニット200から通知された車両IDおよびパスワードの情報が最低限含まれる。
【0048】
車両ID確認応答を受信した宅内コントローラユニット100は、車両ID許可判定を実行する(ステップS6)。車両ID許可判定においては、屋外送電ユニット300を経由して受電ユニット200から通知された車両ID・パスワードが、宅内コントローラユニット100の記憶部104に記憶されている車両ID・パスワードと一致するかを判定する。そして、両者が一致した場合、当該受電ユニット200を搭載する電気自動車220は、充電を許可する車両であると判定する。当該受電ユニット200を搭載する電気自動車220が充電を許可する車両であると判定された場合(ステップS6で「許可」)、宅内コントローラユニット100は、屋外送電ユニット300に対して充電開始要求を送信する(ステップS7)。一方、当該受電ユニット200を搭載する電気自動車220が充電を許可する車両でないと判定された場合(ステップS6で「不許可」)、宅内コントローラユニット100は、その動作を終了する。
【0049】
尚、宅内コントローラユニット100を操作するユーザの意向により、任意の車両に対して充電を許可する場合には、ステップS2からステップS6の車両ID許可判定の手順を割愛することも可能であるものとする。この場合、宅内コントローラユニット100の表示操作部103から、ユーザの操作により、ステップS7の充電開始要求の送信からの手順を実行させるものとする。
【0050】
充電開始要求を受信した屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して充電開始通知を送信する(ステップS8)。
【0051】
充電開始通知を受信した受電ユニット200は、屋外送電ユニット300に対して充電開始応答を送信する(ステップS9)。そして、受電ユニット200は、充電開始スタンバイ状態に移行する(ステップS10)。この受電ユニット200における充電開始スタンバイ状態とは、制御部201の制御により受電部205および走行系蓄電池206への充電機能が有効状態に制御された状態を指すものとする。そして、屋外送電ユニット300の送電部305から送電が開始されれば、走行系蓄電池206への充電がなされる状態になっている。またこの時、受電ユニット200の表示操作部203には、充電開始スタンバイ状態に移行したことをユーザに通知するためのメッセージ表示および鳴音がなされる。
【0052】
充電開始応答を受信した屋外送電ユニット300は、送電部305からの送電を開始する(ステップS11)。そして、屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電開始応答を送信する(ステップS12)。受電ユニット200では、受電部205にて受電を開始し、走行系蓄電池206への充電が開始される(ステップS13)。
【0053】
充電開始応答を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103において充電が開始されたことをユーザに通知するメッセージ表示および鳴音を行う(ステップS14)。
【0054】
受電ユニット200による走行系蓄電池206への充電が開始されると、屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して定期的に充電状態問合せを送信する(ステップS15)。受電ユニット200は充電状態問合せを受信すると、走行系蓄電池206の充電状態の情報を、屋外送電ユニット300に対して充電状態応答として送信する(ステップS16)。この充電状態応答には、車両ID、充電状態(正常に充電動作中であるか否か)、走行系蓄電池206の電池残量の情報が最低限含まれる。これらの各情報は、受電ユニット200の制御部201が収集するものである。車両IDの情報は記憶部204から読出し、充電状態の情報は、受電部205から走行系蓄電池206への充電電流値が予め定められた正常範囲内であるかを判定した結果として得られる。また、電池残量の情報は走行系蓄電池206の電池残量として得られる。電池残量は、走行系蓄電池206の電圧測定値と、記憶部204に記憶している電圧レベルと電池残量の特性カーブデータとを用いて、制御部201が算出する。
【0055】
充電状態応答を受信した屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電状態通知を送信する(ステップS17)。
【0056】
充電状態通知を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103においてユーザに通知するための充電動作状態の表示を開始する(ステップS18)。この充電動作状態の表示内容には、車両ID、充電状態(正常に充電動作中であるか否か)、走行系蓄電池206の電池残量、および充電完了予定時刻の情報が最低限含まれる。ここで、充電完了予定時刻は、宅内コントローラユニット100の制御部101にて算出される。充電完了予定時刻は、予め実験等により求めてある屋外送電ユニット300の送電能力と、受電ユニット200から受信した走行系蓄電池206の電池残量の情報から算出するものとする。
【0057】
受電ユニット200による走行系蓄電池206への充電の継続中は、上述したように、屋外送電ユニット300は、受電ユニット200に対して定期的に充電状態問合せを送信する(ステップS19)。受電ユニット200は充電状態問合せを受信すると、走行系蓄電池206の充電状態の情報を、屋外送電ユニット300に対して充電状態応答として送信する(ステップS20)。充電状態応答を受信した屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電状態通知を送信する(ステップS21)。ステップS19〜ステップS21の動作は、上述したステップS15〜ステップS17の動作と同一である。
【0058】
ステップS21の充電状態通知を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103における充電動作状態の表示を更新する(ステップS22)。なお、本実施形態の電気自動車の充電システム10においては、送電方式に電磁誘導方式を用いたワイヤレス給電を採用しているため、送電部305と受電部205の位置関係により送電効率は変化する。このため、充電完了予定時刻は充電実行中に逐次再算出され、表示操作部103への表示を更新するものとする。
【0059】
その後、受電ユニット200による走行系蓄電池206への充電が継続され、走行系蓄電池206の充電が完了した、すなわち、走行系蓄電池206の充電量が100%(満充電)になったものとする。
【0060】
ここで、屋外送電ユニット300から、何度目かの充電状態問合せが受電ユニット200に送信された場合(ステップS30)、受電ユニット200は、それまでと同様に充電状態応答を屋外送電ユニット300に対して送信する(ステップS31)。但し、この場合の充電状態応答としては、車両ID、充電状態、及び、走行系蓄電池206の電池残量が100%(満充電)になった、旨の情報が含まれている。
【0061】
屋外送電ユニット300は、受電ユニット200からステップS31の充電状態応答(満充電)を受信すると、宅内コントローラユニット100に対して充電状態通知(満充電)を送信する(ステップS32)。
【0062】
宅内コントローラユニット100は充電状態通知(満充電)を受信すると、屋外送電ユニット300に対して充電停止要求を送信する(ステップS33)。
【0063】
屋外送電ユニット300は充電停止要求を受信すると、受電ユニット200に対して充電停止通知を送信する(ステップS34)。
【0064】
充電停止通知を受信した受電ユニット200は、屋外送電ユニット300に対して充電停止応答を送信する(ステップS35)。そして、受電ユニット200は、受電停止状態に移行する(ステップS36)。この受電ユニット200における受電停止状態とは、制御部201の制御により、受電部205および走行系蓄電池206への充電機能が無効状態に制御された状態を指すものとする。これにより、たとえ屋外送電ユニット300の送電部305から送電された場合であっても、走行系蓄電池206への充電は、なされない状態となっている。また、受電ユニット200の表示操作部203には、受電停止状態に移行したことをユーザに通知するためのメッセージ表示および鳴音がなされる。
【0065】
充電停止応答を受信した屋外送電ユニット300は、送電部305からの送電を停止する(ステップS37)。そして、屋外送電ユニット300は、宅内コントローラユニット100に対し充電停止応答を送信する(ステップS38)。
【0066】
充電停止応答を受信した宅内コントローラユニット100は、表示操作部103において充電が完了したことをユーザに通知するメッセージ表示および鳴音を行う(ステップS39)。そして、宅内コントローラユニット100は、その動作を終了する。
【0067】
以上、本実施形態の動作について説明した。
【0068】
尚、上述した動作では、受電ユニット200の走行系蓄電池206の電池残量が100%(満充電)に到達するまで充電するケースを示したが、宅内コントローラユニット100を操作するユーザの意向により、任意の電池残量で充電動作を停止させることも可能である。この動作を行わせる場合には、予め宅内コントローラユニット100の表示操作部103にて、充電を停止させる電池残量をユーザが設定した後に、ステップS1の充電開始操作を行うものとする。そして、例えばステップS21の充電状態通知にて、設定した電池残量に到達したことが通知された場合、直ちに宅内コントローラユニット100から屋外送電ユニット300に対し、ステップS33で示した充電停止要求を送信すればよい。
【0069】
また、本実施形態は、電気モーターを動力源とする電気自動車220の走行系蓄電池206に対し、電磁誘導方式を用いて充電を行うものとして説明した。しかし、本実施形態は、さらに、電気モーターとエンジン(ガソリンエンジンやジーゼルエンジンなど)を動力源とする、所謂ハイブリッド車の走行系蓄電池の充電に利用することも可能である。
【0070】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0071】
以上説明したように、本発明の電気自動車の充電システム10は、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部(送電部305)を含む送電手段(屋外送電ユニット300)を備えている。また、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部(受電部205)を介し、走行用の蓄電池(走行系蓄電池206)を充電する受電手段(受電ユニット200)を備えている。さらに、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段(宅内コントローラユニット100)を備えている。
【0072】
つまり、本発明の電気自動車の充電システム10は、走行用の蓄電池を充電するための電力ケーブルおよび電気自動車への接点端子を備えていない。かつ、制御手段と送電手段の間のデータの送受信は、近距離無線により行うようになっているため、送電手段の設置位置の制約が無い。
【0073】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの安全性の向上、及び、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることが可能となる。
【0074】
また、本発明の電気自動車の充電システム10は、前記送電手段を、屋外の地表面(地表面500)の下側であって、施錠手段を有する保護プレート(保護プレート400)の下側に設置している。また、前記受電手段を、電気自動車(電気自動車220)内に組み込ませて設置し、前記制御手段を、個人所有の家屋(家屋120)などの宅内に設置するようにしている。
【0075】
従って、送電手段を、水漏れの影響や、屋外における紫外線などの影響による劣化から保護することが可能となる。また、送電手段を、悪戯などによる破壊や、盗難等の被害から防ぐことが可能となる。さらに、送電手段にユーザや通行人が接触して転倒することなどを防ぐことが可能となる。またさらに、制御手段が宅内に設置されているため、ユーザが充電スタンド等に出向いていく必要が無く、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0076】
さらに、本発明の電気自動車の充電システム10の前記制御手段は、前記受電手段から取得した車両ID及びパスワードが、自身の記憶している車両ID及びパスワードと一致した場合に、前記送電手段から前記受電手段への給電を行わせるようにしている。
【0077】
従って、送電手段の不正利用を防ぐことが可能となり、送電手段のセキュリティの向上を図ることが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0078】
図3は、本発明の電気自動車の充電システムの第2の実施形態を示すブロック図である。なお、図3において、図1の構成要素に対応するものは同一の参照数字または符号を付し、その説明を極力省略するものとする。
【0079】
図3に示す電気自動車の充電システム10−1は、宅内コントローラユニット100−1と、受電ユニット200−1と、屋外送電ユニット300−1を含んでいる。
【0080】
宅内コントローラユニット100−1は、個人が所有する家屋120などの宅内に設置され、商用電源110で動作可能なコントローラであり、制御部101−1、無線部102、表示操作部103、記憶部104を含んでいる。また、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、モデム114を介して公衆網の電話回線115と接続されている。
【0081】
制御部101−1は、宅内コントローラユニット100−1の全体動作を制御し、記憶部104に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部101−1は、無線部102、表示操作部103および記憶部104と接続されている。また、制御部101−1は、電話回線115を介して、遠隔地の携帯電話などからの指示や問い合わせなどを受け付けることが出来るようになっている。なお、商用電源110から供給される電源は、モデム114に供給されると共に、図示しない配線によって制御部101−1、無線部102、表示操作部103、記憶部104に供給されるようになっている。
【0082】
無線部102、表示操作部103、記憶部104は、第1の実施形態と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0083】
受電ユニット200−1は、第1の実施形態と同様に、充電される側の電気自動車220内に組み込まれ、電気自動車220を走行させる電気モーター(図示せず)に電力を供給する走行系蓄電池206へ、充電電力を蓄積するためのユニットである。そして、受電ユニット200−1は、制御部201−1、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206、制御系蓄電池210、リモートスタータ制御部207を含んでいる。
【0084】
制御部201−1は、受電ユニット200−1の全体動作を制御し、記憶部204に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部201−1は、無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206およびリモートスタータ制御部207と接続されている。なお、制御系蓄電池210は、電気自動車220内の必要箇所に電源を供給する所謂車両用バッテリーである。そして、制御系蓄電池210から供給される電源は、図示しない配線によって、制御部201−1、無線部202、表示操作部203、記憶部204、リモートスタータ制御部207に供給されるようになっている。
【0085】
無線部202、表示操作部203、記憶部204、受電部205、走行系蓄電池206は、第1の実施形態と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0086】
リモートスタータ制御部207は、遠隔制御で電気自動車220の電気モーターを始動・停止させる制御部である。ここで、遠隔制御の指示は、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103から入力されるものとする。そして、遠隔制御の指示は、宅内コントローラユニット100−1から屋外送電ユニット300−1を介して、受電ユニット200−1に通知され、受電ユニット200−1の制御部201−1からリモートスタータ制御部207に通知されるものとする。
【0087】
屋外送電ユニット300−1は、第1の実施形態と同様に、保護プレート400を上側に有し、屋外の地表面500の下に埋め込む形態で設置され、電気自動車220の受電ユニット200−1へ、充電電力を送電するためのユニットである。屋外送電ユニット300−1は、制御部301−1、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305、変換部306、送電系蓄電池307、制御回路308、制御系蓄電池309、制御回路310、センサ部311および保護プレート400を含んでいる。
【0088】
そして、屋外送電ユニット300−1に対する電源は、家屋120の屋根上に設置されている太陽光発電部320から供給されるようになっている。太陽光発電部320から供給された電源は、制御回路308を介して送電系蓄電池307に充電され、制御回路310を介して制御系蓄電池309に充電されるようになっている。制御回路308は、送電系蓄電池307の充電状態、すなわち、満充電の状態であるか否か、を監視し、満充電でなければ送電系蓄電池307を充電するよう制御し、満充電であれば送電系蓄電池307の充電を停止する。制御回路310は、制御系蓄電池309の充電状態、すなわち、満充電の状態であるか否か、を監視し、満充電でなければ制御系蓄電池309を充電するよう制御し、満充電であれば制御系蓄電池309の充電を停止する。なお、太陽光発電部320は、太陽の光から電気を作る太陽光発電パネルを敷き詰めたものであり、家屋120の屋根上だけでなく、屋外送電ユニット300−1内に設置するようにしてもよい。
【0089】
制御部301−1は、屋外送電ユニット300−1の全体動作を制御し、記憶部304に記憶されているプログラムに従って動作する中央処理装置を含んでいる。制御部301−1は、無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305およびセンサ部311と接続されている。なお、制御部301−1、無線部302−1、無線部302−2、記憶部104、センサ部311に対しては、制御系蓄電池309から図示しない配線によって電源が供給されるようになっている。また、送電部305に対しては、送電系蓄電池307から電源が供給されるようになっている。なお、送電部305が受電ユニット200−1の受電部205に対して送電を行う場合には、送電系蓄電池307から供給される電源を、変換部306にて交流に変換して供給するようになっている。
【0090】
無線部302−1、無線部302−2、記憶部304、送電部305、保護プレート400は、第1の実施形態と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0091】
センサ部311は、屋外送電ユニット300−1の上部に、電気自動車220が駐車しているか否かを検出・判定するセンサであり、判定結果、すなわち駐車の有無、を制御部301−1に通知する。センサ部311は、例えば、光センサにより構成されればよい。光センサは、近赤外線を照射し、近赤外線の反射光量が増加方向に変化した場合、物体などが検出エリアに進入した、と判定するセンサである。
【0092】
以上、第2の実施形態の構成について説明した。
【0093】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0094】
先ず、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する際の動作について説明する。
【0095】
本実施形態は、図3を参照して説明したように、以下の点でのみ第1の実施形態と異なっている。
【0096】
すなわち、第1に、宅内コントローラユニット100−1が、モデム114を介して公衆網の電話回線115に接続されている。
【0097】
第2に、受電ユニット200−1が、リモートスタータ制御部207を新たに含んでいる。
【0098】
第3に、屋外送電ユニット300−1の電源が、商用電源(第1の実施形態)ではなく、太陽光発電部320から供給されている。そして、太陽光発電部320から供給された電源が、送電系蓄電池307および制御系蓄電池309に充電されて蓄積される。また、屋外送電ユニット300−1が、センサ部311を新たに含んでいる。
【0099】
そして、電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する仕組みは変わってはいない。
【0100】
従って、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する際の動作は、図2で説明した第1の実施形態の動作と同様である。そこで、本実施形態における電気自動車220の走行系蓄電池206を充電する際の動作に関するこれ以上の説明は省略するものとする。
【0101】
次に、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電を、自動的に開始させる際の動作について説明する。
【0102】
本実施形態の屋外送電ユニット300−1は、センサ部311を備えている。センサ部311は、屋外送電ユニット300−1の上部に電気自動車220が駐車すると、その旨を制御部301−1に通知する。
【0103】
そこで、本実施形態においては、屋外送電ユニット300−1の制御部301−1が、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車したとの通知を受けた際、この駐車通知を宅内コントローラユニット100−1に送信する。当該駐車通知を受信した宅内コントローラユニット100−1は、図2で説明した第1の実施形態の充電開始の操作(図2のステップS1)が実行されたと同様に動作する。すなわち、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103にて充電開始の操作を行うのではなく、駐車通知を屋外送電ユニット300−1から受信した際に、充電開始の操作が行われたと同様の動作を実行する。そして、図2で説明したステップS2以降の動作は、第1の実施形態と同様に実行する。
【0104】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電が自動的に開始されるようになる。
【0105】
次に、本実施形態において、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車しているか否かを、自宅以外の遠隔地から携帯電話などによって監視する際の動作について説明する。
【0106】
本実施形態の宅内コントローラユニット100−1は、モデム114を介して公衆網の電話回線115に接続されている。そして、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、電話回線115を介して遠隔地の携帯電話などからの指示や問い合わせなどを受け付けることが出来るようになっている。また、屋外送電ユニット300−1は、上述したようにセンサ部311を備えている。そして、センサ部311は、屋外送電ユニット300−1の上部に電気自動車220が駐車すると、駐車通知を、制御部301−1を介して宅内コントローラユニット100−1に送信するようになっている。
【0107】
そこで、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1が、電話回線115を介して遠隔地の携帯電話などから、問い合わせを受信した際、以下のように動作するようにしている。
【0108】
すなわち、問い合わせの内容が、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車しているか否か、であった場合、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、センサ部311からの駐車通知を受信しているか否かを判定する。そして、駐車通知を受信している場合、宅内コントローラユニット100−1は、問い合わせ元の携帯電話などに対し、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車している旨の応答を返すよう動作する。一方、駐車通知を受信していない場合、宅内コントローラユニット100−1は、問い合わせ元の携帯電話などに対し、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車していない旨の応答を返すよう動作する。
【0109】
このことにより、電気自動車220が屋外送電ユニット300−1の上部に駐車しているか否かを、自宅以外の遠隔地から携帯電話などによって監視することが出来るようになる。
【0110】
なお、上述した遠隔地の携帯電話などからの問い合わせに応答する動作を、以下のように変更することも可能である。
【0111】
第1に、遠隔地の携帯電話などから、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電状態の問い合わせがあった場合、宅内コントローラユニット100−1は以下のように動作する。すなわち、宅内コントローラユニット100−1は、屋外送電ユニット300−1を介して電気自動車220の受電ユニット200−1に対し、走行系蓄電池206の充電状態の問い合わせを行う。受電ユニット200−1からは、走行系蓄電池206の充電状態が、屋外送電ユニット300−1を介して宅内コントローラユニット100−1に送信される。そして、宅内コントローラユニット100−1は、問い合わせ元の携帯電話などに対し、走行系蓄電池206の充電状態の情報を応答として返すよう動作する。
【0112】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電状態を、自宅以外の遠隔地から携帯電話などによって監視することが出来るようになる。
【0113】
第2に、遠隔地の携帯電話などから、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電を開始させるための指示があった場合、宅内コントローラユニット100−1は以下のように動作する。すなわち、宅内コントローラユニット100−1は、図2で説明した第1の実施形態の充電開始の操作(図2のステップS1)が実行されたと同様に動作する。つまり、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103にて充電開始の操作を行うのではなく、遠隔地の携帯電話などから、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電を開始させるための指示があった際に、充電開始の操作が行われたと同様の動作を実行する。そして、図2で説明したステップS2以降の動作は、第1の実施形態と同様に実行する。
【0114】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206の充電が、遠隔地の携帯電話などからの指示により開始されるようになる。
【0115】
次に、本実施形態において、電気自動車220の電気モーターを、電気自動車220の車外から始動させる際の動作について説明する。
【0116】
本実施形態の電気自動車220の受電ユニット200−1は、リモートスタータ制御部207を備えている。
【0117】
そこで、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103から、電気自動車220の電気モーターを始動させるための指示をキー操作などにより入力すると、以下のように動作するようにしている。
【0118】
すなわち、表示操作部103から入力された始動指示は、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1に通知される。そして、宅内コントローラユニット100−1から、当該始動指示を、屋外送電ユニット300−1を介して受電ユニット200−1に送信する。当該始動指示は、受電ユニット200−1の制御部201−1に通知され、制御部201−1からリモートスタータ制御部207に通知される。リモートスタータ制御部207は、電気自動車220の電気モーターを始動させる。
【0119】
このことにより、電気自動車220の電気モーターを、電気自動車220の車外から始動させることが出来るようになる。
【0120】
なお、上述した電気モーターのリモートスタータ制御の動作は、他の制御動作、例えば、電気自動車220のドアの施錠や解錠、又は、室内灯の点灯や消灯など、に置き換えても良い。この場合、受電ユニット200−1のリモートスタータ制御部207を、ドア錠制御部、又は、室内灯制御部など、に置き換えればよい。
【0121】
次に、本実施形態において、電気自動車220の走行系蓄電池206をリフレッシュさせる際の動作について説明する。なお、リフレッシュとは、走行系蓄電池206を十分に放電させた後に、走行系蓄電池206を再充電することであり、リフレッシュを行うことにより、走行系蓄電池206の寿命を延ばすことが可能となる。
【0122】
走行系蓄電池206のリフレッシュを行うため、本実施形態においては、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103から、走行系蓄電池206のリフレッシュを行わせるための指示をキー操作などにより入力すると、以下のように動作するようにしている。
【0123】
すなわち、表示操作部103から入力されたリフレッシュ指示は、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1に通知される。そして、宅内コントローラユニット100−1から、当該リフレッシュ指示を、屋外送電ユニット300−1を介して受電ユニット200−1に送信する。当該リフレッシュ指示は、受電ユニット200−1の制御部201−1に通知される。制御部201−1は、走行系蓄電池206に対し放電を行わせる。そして、制御部201−1は、走行系蓄電池206が十分に放電されたか否かの監視を行う。
【0124】
制御部201−1が、走行系蓄電池206の放電が十分に行われたと判定した場合、受電ユニット200−1は、放電完了通知を、屋外送電ユニット300−1を介して宅内コントローラユニット100−1に対して送信する。
【0125】
放電完了通知を受信した宅内コントローラユニット100−1は、次に、受電ユニット200−1の走行系蓄電池206を充電する。走行系蓄電池206の充電は、図2(第1の実施形態)で説明したと同様に、宅内コントローラユニット100−1の表示操作部103にて、充電開始の操作を行う(図2のステップS1)ことにより充電の開始がなされる。
【0126】
このことにより、電気自動車220の走行系蓄電池206をリフレッシュすることが出来るようになる。
【0127】
なお、上述した走行系蓄電池206のリフレッシュの動作は、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1が自動的に開始するようにしてもよい。すなわち、宅内コントローラユニット100−1は、走行系蓄電池206の充電の回数、或いは、走行系蓄電池206の使用開始日時などを記憶部104に記憶させておく。そして、宅内コントローラユニット100−1の制御部101−1は、定期的に走行系蓄電池206の充電回数または使用開始日時などをチェックする。チェックの結果、充電回数が所定の回数に達した場合、或いは、走行系蓄電池206の使用開始日時から所定の期間が経過したと判断した場合、走行系蓄電池206をリフレッシュする動作を開始する。これらの制御部101−1の動作は、記憶部104に記憶されているプログラムによって実行されるようにしておけばよい。
【0128】
以上、本実施形態の動作について説明した。
【0129】
尚、上述した第2の実施形態では、屋外送電ユニット300−1は1台であるものとして説明したが、屋外送電ユニット300−1を複数台設置するようにしてもよい。屋外送電ユニット300−1を複数台設置する場合には、各屋外送電ユニット300−1に、それぞれ固有の屋外送電ユニットIDを付すものとする。そして、屋外送電ユニット300−1と宅内コントローラユニット100−1の間でデータ送受信を行う際、送受信するデータのヘッダ領域に、データの送信元或いは送信先を示すための屋外送電ユニットIDを付すようにすればよい。
【0130】
また、上述した第2の実施形態における宅内コントローラユニット100−1を、一般的なパーソナルコンピュータで構成するようにしてもよい。この場合、上述した第2の実施形態の動作を実行するプログラムを、パーソナルコンピュータのアプリケーションプログラムとしてインストールするようにすればよい。このように構成することにより、アプリケーションプログラムの改変や追加により、電気自動車の充電システム10−1の機能の改変や追加を容易に行うことが可能となる。また、電気自動車の充電システム10−1のコストを低減できるようになる。
【0131】
以上、第2の実施形態について説明した。
【0132】
前述したように、本発明の第2の実施形態の構成は、図1に示した第1の実施形態の電気自動車の充電システム10と、以下の点でのみ異なるものである。
【0133】
すなわち、第1に、宅内コントローラユニット100−1が、モデム114を介して公衆網の電話回線115に接続されている。
【0134】
第2に、受電ユニット200−1が、リモートスタータ制御部207を新たに含んでいる。
【0135】
第3に、屋外送電ユニット300−1の電源が、商用電源(第1の実施形態)ではなく、太陽光発電部320から供給されている。そして、太陽光発電部320から供給された電源が、送電系蓄電池307および制御系蓄電池309に充電されて蓄積される。また、屋外送電ユニット300−1が、センサ部311を新たに含んでいる。
【0136】
また、第2の実施形態の動作は、第1の実施形態の動作と以下の点でのみ異なるものである。
【0137】
すなわち、宅内コントローラユニット100−1にリフレッシュ指示を入力することにより、電気自動車220の受電ユニット200−1内の走行系蓄電池206のリフレッシュを行うことが可能な点である。
【0138】
従って、以下において第2の実施形態に特有の箇所に関してのみ説明するものとする。
【0139】
以上説明したように、本実施形態の電気自動車の充電システム10−1は、電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部(送電部305)を含む送電手段(屋外送電ユニット300−1)を備えている。また、前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部(受電部205)を介し、走行用の蓄電池(走行系蓄電池206)を充電する受電手段(受電ユニット200−1)を備えている。さらに、前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段(宅内コントローラユニット100−1)を備えている。またさらに、前記送電手段の電源は、太陽光発電部(太陽光発電部320)から得る、ようにしている。
【0140】
従って、本実施形態によれば、商用電源から電源を得難い場所であっても送電手段を設置することが可能となり、充電システムの設置位置の自由度の向上を図ることが可能となる。
【0141】
また、前記送電手段は、前記送電手段上に車両が駐車しているか否かを検出可能なセンサ(センサ部311)を備えている。そして、前記制御手段は、前記送電手段から車両が駐車したことを検出したとの通知を受けた場合、前記受電手段の前記走行用の蓄電池の充電を自動的に開始する、ようにしている。
【0142】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0143】
さらに、前記制御手段は、電話回線(電話回線115)と接続する接続手段(モデム114)と接続されている。そして、前記制御手段は、前記接続手段を介して遠隔地の携帯電話などからの問い合わせ或いは指示を受信した場合、前記問い合わせに対する応答を行い、或いは、前記指示に対応する動作を実行する、ようにしている。
【0144】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0145】
またさらに、前記受電手段は、前記受電手段を搭載する車両を車両外から制御する第2の制御手段(リモートスタータ制御部207など)を備えている。そして、前記受電手段は、前記制御手段から前記車両外から制御する指示を受信した場合、前記第2の制御手段を作動させることにより前記車両を制御する、ようにしている。
【0146】
従って、本実施形態によれば、電気自動車のユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0147】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段と、
前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段と、
前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段と、
を備えていることを特徴とする電気自動車の充電システム。
(付記2)
前記送電手段を、屋外の地表面の下側であって、施錠手段を有する保護プレートの下側に設置し、
前記受電手段を、電気自動車内に組み込ませて設置し、
前記制御手段を、個人所有の家屋などの宅内に設置する、
ことを特徴とする付記1に記載の電気自動車の充電システム。
(付記3)
前記制御手段は、前記受電手段から取得した車両ID及びパスワードが、自身の記憶している車両ID及びパスワードと一致した場合に、前記送電手段から前記受電手段への給電を行わせる、
ことを特徴とする付記1或いは付記2の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記4)
前記送電手段の電源は、太陽光発電部から得る、
ことを特徴とする付記1から付記3の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記5)
前記送電手段は、前記送電手段上に車両が駐車しているか否かを検出可能なセンサを備え、
前記制御手段は、前記送電手段から車両が駐車したことを検出したとの通知を受けた場合、前記受電手段の前記走行用の蓄電池の充電を自動的に開始する、
ことを特徴とする付記1から付記4の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記6)
前記制御手段は、電話回線と接続する接続手段と接続され、
前記制御手段は、前記接続手段を介して遠隔地の携帯電話などからの問い合わせ或いは指示を受信した場合、前記問い合わせに対する応答を行い、或いは、前記指示に対応する動作を実行する、
ことを特徴とする付記1から付記5の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記7)
前記受電手段は、前記受電手段を搭載する車両を車両外から制御する第2の制御手段を備え、
前記受電手段は、前記制御手段から前記車両外から制御する指示を受信した場合、前記第2の制御手段を作動させることにより前記車両を制御する、
ことを特徴とする付記1から付記6の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記8)
前記車両外から制御する指示は、前記走行用の蓄電池のリフレッシュを行わせるための指示である、
ことを特徴とする付記1から付記7の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記9)
前記制御手段は、パーソナルコンピュータで構成される、
ことを特徴とする付記1から付記8の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
(付記10)
給電動作と受電動作の動作制御を、近距離無線を用いて行う制御ステップと、
前記給電動作を電磁誘導方式により行う給電ステップと、
前記受電動作を行うことにより、前記給電動作により給電される電力を電磁誘導により受電し、前記受電した電力により走行用の蓄電池を充電する充電ステップと、
を有することを特徴とする電気自動車の充電方法。
(付記11)
前記電気自動車から取得した車両ID及びパスワードが所定の条件を満たす場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする付記10に記載の電気自動車の充電方法。
(付記12)
前記電気自動車が所定の位置に駐車した場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする付記10或いは付記11の何れかに記載の電気自動車の充電方法。
(付記13)
前記電気自動車の前記走行用の蓄電池をリフレッシュするリフレッシュステップを更に行う、
ことを特徴とする付記10から付記12の何れかに記載の電気自動車の充電方法。
【符号の説明】
【0148】
10 電気自動車の充電システム
10−1 電気自動車の充電システム
100 宅内コントローラユニット
100−1 宅内コントローラユニット
101 制御部
101−1 制御部
102 無線部
103 表示操作部
104 記憶部
110 商用電源
114 モデム
115 電話回線
120 家屋
200 受電ユニット
200−1 受電ユニット
201 制御部
201−1 制御部
202 無線部
203 表示操作部
204 記憶部
205 受電部
206 走行系蓄電池
207 リモートスタータ制御部
210 制御系蓄電池
220 電気自動車
300 屋外送電ユニット
300−1 屋外送電ユニット
301 制御部
301−1 制御部
302−1 無線部
302−2 無線部
304 記憶部
305 送電部
306 変換部
307 送電系蓄電池
308 制御回路
309 制御系蓄電池
310 制御回路
311 センサ部
320 太陽光発電部
330 商用電源
400 保護プレート
500 地表面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段と、
前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段と、
前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段と、
を備えていることを特徴とする電気自動車の充電システム。
【請求項2】
前記送電手段を、屋外の地表面の下側であって、施錠手段を有する保護プレートの下側に設置し、
前記受電手段を、電気自動車内に組み込ませて設置し、
前記制御手段を、個人所有の家屋などの宅内に設置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の充電システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受電手段から取得した車両ID及びパスワードが、自身の記憶している車両ID及びパスワードと一致した場合に、前記送電手段から前記受電手段への給電を行わせる、
ことを特徴とする請求項1或いは請求項2の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項4】
前記送電手段の電源は、太陽光発電部から得る、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項5】
前記送電手段は、前記送電手段上に車両が駐車しているか否かを検出可能なセンサを備え、
前記制御手段は、前記送電手段から車両が駐車したことを検出したとの通知を受けた場合、前記受電手段の前記走行用の蓄電池の充電を自動的に開始する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項6】
前記制御手段は、電話回線と接続する接続手段と接続され、
前記制御手段は、前記接続手段を介して遠隔地の携帯電話などからの問い合わせ或いは指示を受信した場合、前記問い合わせに対する応答を行い、或いは、前記指示に対応する動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項7】
前記受電手段は、前記受電手段を搭載する車両を車両外から制御する第2の制御手段を備え、
前記受電手段は、前記制御手段から前記車両外から制御する指示を受信した場合、前記第2の制御手段を作動させることにより前記車両を制御する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項8】
給電動作と受電動作の動作制御を、近距離無線を用いて行う制御ステップと、
前記給電動作を電磁誘導方式により行う給電ステップと、
前記受電動作を行うことにより、前記給電動作により給電される電力を電磁誘導により受電し、前記受電した電力により走行用の蓄電池を充電する充電ステップと、
を有することを特徴とする電気自動車の充電方法。
【請求項9】
前記電気自動車から取得した車両ID及びパスワードが所定の条件を満たす場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気自動車の充電方法。
【請求項10】
前記電気自動車が所定の位置に駐車した場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする請求項8或いは請求項9の何れかに記載の電気自動車の充電方法。
【請求項1】
電磁誘導方式を用いて給電を行う送電部を含む送電手段と、
前記送電部から給電される電力を電磁誘導により受電する受電部を介し、走行用の蓄電池を充電する受電手段と、
前記送電手段と前記受電手段の動作制御を、近距離無線を介して行う制御手段と、
を備えていることを特徴とする電気自動車の充電システム。
【請求項2】
前記送電手段を、屋外の地表面の下側であって、施錠手段を有する保護プレートの下側に設置し、
前記受電手段を、電気自動車内に組み込ませて設置し、
前記制御手段を、個人所有の家屋などの宅内に設置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の充電システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受電手段から取得した車両ID及びパスワードが、自身の記憶している車両ID及びパスワードと一致した場合に、前記送電手段から前記受電手段への給電を行わせる、
ことを特徴とする請求項1或いは請求項2の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項4】
前記送電手段の電源は、太陽光発電部から得る、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項5】
前記送電手段は、前記送電手段上に車両が駐車しているか否かを検出可能なセンサを備え、
前記制御手段は、前記送電手段から車両が駐車したことを検出したとの通知を受けた場合、前記受電手段の前記走行用の蓄電池の充電を自動的に開始する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項6】
前記制御手段は、電話回線と接続する接続手段と接続され、
前記制御手段は、前記接続手段を介して遠隔地の携帯電話などからの問い合わせ或いは指示を受信した場合、前記問い合わせに対する応答を行い、或いは、前記指示に対応する動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項7】
前記受電手段は、前記受電手段を搭載する車両を車両外から制御する第2の制御手段を備え、
前記受電手段は、前記制御手段から前記車両外から制御する指示を受信した場合、前記第2の制御手段を作動させることにより前記車両を制御する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の電気自動車の充電システム。
【請求項8】
給電動作と受電動作の動作制御を、近距離無線を用いて行う制御ステップと、
前記給電動作を電磁誘導方式により行う給電ステップと、
前記受電動作を行うことにより、前記給電動作により給電される電力を電磁誘導により受電し、前記受電した電力により走行用の蓄電池を充電する充電ステップと、
を有することを特徴とする電気自動車の充電方法。
【請求項9】
前記電気自動車から取得した車両ID及びパスワードが所定の条件を満たす場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気自動車の充電方法。
【請求項10】
前記電気自動車が所定の位置に駐車した場合に、
前記制御ステップと前記給電ステップと前記充電ステップを行う、
ことを特徴とする請求項8或いは請求項9の何れかに記載の電気自動車の充電方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−5687(P2013−5687A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137547(P2011−137547)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
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