説明

電気自動車の充電システム

【課題】電気自動車充電器専用に新たな設置場所確保や大きな電源増設工事を必要とすることなく、既設の自動販売機の置き換えによって電気自動車充電器を提供可能な自動販売機一体型の電気自動車の充電システムを提供する。
【解決手段】電力配分手段2が、自動販売機4の供給電力量を削減させても温度変化予測テーブル23を用いて自動販売機の庫内温度が所定の範囲を超えず、かつ、電気自動車の充電に必要な電力量が所定時間で供給できるよう自動販売機4と電気自動車充電器5とに電力を配分し、自動販売機4と電気自動車充電器5の合算した最大所要電力より少ない容量の受電装置1にて自動販売機4と電気自動車充電器5の2つの機能を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機と電気自動車充電器とに電力を適応的に配分して、これらを動作させる電気自動車の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エコロジー、省エネルギー志向の高まりによって、電気自動車(以下、図面等ではEVと略すことがある)や外部電源から車載バッテリーに充電可能なプラグインハイブリッドカー(PHEVまたはPHV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)が大きな注目を浴びている。また、その市場が活性化している。しかし電気自動車の本格的普及には電気自動車充電器の全国規模での設置が不可欠である。
【0003】
電気自動車充電器の設置にあたっては、本体の高額なコストの問題のほか、設置場所の確保の問題など、その普及を阻む課題が幾つか存在する。
【0004】
この課題の対策のため、電気自動車充電器を単独で設置するのではなく、他の機器と合体させた構成とすることにより、その普及を促そうとする様々な手法(例えば特許文献1〜3の技術)が提案されている。また、本願発明に関連する技術が特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−293803号公報
【特許文献2】特開2010−178420号公報
【特許文献3】特開平10−28303号公報
【特許文献4】特開2010−123071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図13は特許文献1に開示されている従来提案の電気自動車充電器を説明する構成図である。このシステムでは、従来の自動販売機1001に、電源部から電源供給を受け電動車両1003に充電ケーブル1004を介して電気的に接続して充電を行う充電装置1002を設けている。この構成により、充電料金の精算を自動販売機の精算機能を利用して精算することができる。さらに、全国に多数設置済みの自動販売機を置換えて電動車両の充電装置として使用することにより、低コストで電気自動車充電器が設置でき、インフラ整備の推進が図れる。
【0007】
しかし、電気自動車充電器と自動販売機(以下自販機と略す)を単純に合体させただけでは、電気自動車充電器の電力容量が自動販売機と同等であったと仮定しても、自動販売機単体に比べ、合体後は2倍の電力容量が必要となる。したがって、自動販売機からの置き換えには電源の増強工事が必要となってしまうという課題が生じる。
【0008】
つまり、電気自動車充電器と自動販売機を単純に一体化させただけの構成においては、電源容量の増強工事なしで通常の自動販売機に単純に置換えても、自動販売機と電気自動車充電器の双方の機能を満足させることは非常に困難なものとなる。
【0009】
また同様の技術として、特許文献2に開示されているような技術についても知られている。図14は特許文献2に開示されている従来提案の電気自動車充電器を説明する構成図である。この技術においては、集合住宅において宅配荷物または郵便物の集受に用いられる宅配ボックス1006に、電気自動車1009に充電プラグ1017と充電レセクタブル1016を介して電気的に接続して充電を行う充電制御部1012を設けている。宅配ボックス1006には、電気錠1007、1008により開閉される複数の物品収納ボックス1005が設けられ、充電制御部1012には、電源回路1010を制御する制御回路1011が設けられている。そして、宅配ボックス1006の電気錠の開閉を制御する宅配ボックス制御部1015が、宅配ボックス1006の電気錠1007、1008の開閉制御を行う。さらに、この宅配ボックス制御部1015が、制御回路1011と電源回路1010を備える充電制御部1012を介して電気自動車1009の充電サービスの制御を行う。
【0010】
宅配ボックスが設置されたマンションなどの集合住宅は近年増加しているため、宅配ボックスの制御システムと電気自動車の充電制御システムを共有することにより、各居住者の識別と課金のために導入する設備が追加的で済むことになる。それによって、コストの削減が期待される。
【0011】
しかしながら、この特許文献2の技術では、電気自動車充電器と他の設備(宅配ボックス)とを合体させてはいるが、その2つの設備の電源の共用は考慮されていない。つまり、設置時においては従来の宅配ボックスに比べて電力容量を多く必要とするので、置き換え時には電源の増強工事が必要となるという課題が生じる。この点については、特許文献1の場合と同様である。
【0012】
さらには同様の技術として、特許文献3に開示されているような技術についても知られている。図15は特許文献3に開示されている電気自動車充電器における実施例を示す設備配置平面図である。この技術においては、駐車場の駐車場スペース(1区画)1018に、給電装置1019とパーキングメーター1020が一体化して敷設される。そして、通常のコイン式パーキングと同様に車のタイヤ止め1021の昇降動作により、課金完了時の車輌の開放を行っている。給電装置1019とパーキングメーター1020を併設した構成により、駐車時間中に電気自動車に充電を可能としている。
【0013】
この特許文献3の技術においても、電気自動車充電器と他の設備(パーキングメータ)を合体させてはいるが、その2つの設備の電源の共用は考慮されていない。したがって、通常のパーキングメーターから置き換えるときには電源の増強工事が必要となるという課題が生じる。この点について特許文献1、2の技術と同様である。
【0014】
また限られた電力の有効活用をするという見地から、コンピュータにより電力配分を行う技術が特許文献4に開示されている。図16は特許文献4に開示されているコンピュータによる電力配分システムの全体構成を示す構成図である。
【0015】
図16中、1023−1〜1023−nは、サーバであり、予め機器ごとに電力割り当て優先順位が付与されている。電源ユニット#1(1024−1)〜#m(1024−m)は、システム全体が消費する電力(特にサーバ#1(1023−1)〜#n(1023−n)が消費する電力)を供給する。さらに、予め付与された優先順位が高いサーバの電力需要がより高まったときには、電力管理マネージャ1022が、電力配分の優先度の低いサーバから順にその使用電力を強制的に低減させる。具体的には、電力管理マネージャ1022が信号(強制消費電力低減指令信号1026)を出力して、優先順位の低いサーバの機能を低下させ、消費電力を抑制させる。
【0016】
この特許文献4の技術においては、複数の機器(サーバの台数)を有するシステム全体が消費する全電力を賄う電源ユニットが既に備わっており、機器の台数に比例したトータルの電源容量が供給可能になっている。このような前提構成のうえで緊急の高負荷にも耐えられるようにしている。
【0017】
また、特許文献4のシステムでは、事前に割り当てられた装置ごとの優先順序に基づいて電力が割り振られており、サーバのように同一機能で優先度が付与しやすいシステムにおいては運用がしやすい。しかしながら、電気自動車充電器と自動販売機などの全く別のシステムの組み合わせにおいては、単純な優先度による電力配分の運用は困難である。また機器ごとに電力を強制的に割り振っており、電力を奪われた機器がどのような挙動によって動作および性能の確保を行い得るか不明である。つまり、このようなシステムを電気自動車充電器と自動販売機を両立させる構成に適用した場合、双方の合算した電力容量より少ない電力容量によって、双方の機能・性能を満足させることは困難である。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、電気自動車充電器専用に新たな設置場所の確保や電源の大きな増設工事を必要とすることなく、既設の自動販売機の置き換え等によって電気自動車充電器を容易に施設可能とする電気自動車の充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の電気自動車の充電システムは、所定容量の電力を入力可能な受電部と、前記受電部に入力された電力を、自動販売機と電気自動車充電器とに適応的に配分する電力配分手段とを具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電気自動車充電器専用に新たな設置場所確保や大きな電源増設工事を必要とすることなく、既設の自動販売機の置き換え等によって電気自動車充電器を容易に施設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムのブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの温度変化予測テーブルの機能を説明する機能説明図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するタイムチャート
【図4A】本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するフローチャート
【図4B】図4AのステップS2の条件読出し処理の詳細を説明するフローチャート
【図4C】図4AのステップS3の温度変化予測処理の詳細を説明するフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムのユーザインタフェースを説明する説明図
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するタイムチャート
【図7A】本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するフローチャート
【図7B】図7AのステップS23の詳細割り当て処理の詳細を説明するフローチャート
【図8】本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の電源リソース粗割り当て動作を説明する動作説明図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するタイムチャート
【図10A】本発明の第3の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するフローチャートの第1部
【図10B】本発明の第3の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するフローチャートの第2部
【図11】本発明の第4の実施形態に係る電気自動車の充電システムの充電予約記憶手段の動作例を説明するタイムチャート
【図12】本発明の第4の実施形態に係る電気自動車の充電システムのユーザインタフェースを説明する説明図
【図13】従来提案された第1例の電気自動車充電器を説明する構成図
【図14】従来提案された第2例の電気自動車充電器を説明する構成図
【図15】従来提案された第3例の電気自動車充電器の設備配置を説明する平面図
【図16】従来提案された電力配分システムの全体構成を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、所定容量の電力を入力可能な受電部と、前記受電部に入力された電力を、自動販売機と電気自動車充電器とに適応的に配分する電力配分手段と、を具備する構成とした。この構成により、1系統の受電部を用いて、自動販売機と電気自動車充電器の双方の機能を駆動できるため、装置を小型化することができる。
【0023】
また本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、さらに、前記受電部は、前記自動販売機の最大電力と前記電気自動車充電器の最大電力の合算の電力より少ない電力を入力する構成とした。この構成により、新たに電気自動車充電器を別系統で増設する場合に比べて、トータルの消費電力を抑制することができる。
【0024】
また本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、さらに、前記自動販売機と、前記電気自動車充電器とを具備し、前記自動販売機、前記電気自動車充電器および前記電力配分手段が一体型筐体に設けられている構成とした。この構成により、装置が小型化できるため、設置時の底面積や電源容量も含めて、既設の自動販売機を置き換えすることによって、電気自動車充電器を設置することが可能となる。
【0025】
また本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、さらに、前記自動販売機の庫内温度を計測する庫内センサと、庫内温度変化を予測するためのデータが記憶された温度変化予測テーブルを有し、前記電力配分手段は、前記庫内センサの計測値および前記温度変化予測テーブルのデータに基づいて、前記庫内温度が所定の温度範囲を外れないように電力を配分する構成とした。この構成により、自動販売機の本来の温冷機能を損なうことなく、電気自動車充電器との併用動作が可能となる。
【0026】
また本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、さらに、前記電力配分手段は、電気自動車の利用者が設定した終了希望時刻に応じて前記電気自動車の充電が終了するように電力を配分する構成とした。この構成により、単位時間での電力が受電装置での入力電力を超えないように自動販売機と電気自動車充電器の電力量を配分できる。
【0027】
また本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、さらに、前記電力配分手段は、設定された電気自動車の充電予約の開始時刻および/もしくは充電予約の終了時刻にあわせて電力を配分する構成とした。この構成により、予約されている電気自動車充電器での電力使用によって自動販売機の能力低下が規定値を下回ると予測されたときは、空き時間に予め自動販売機の温冷機能を強めに動作させておくことができるため、電力使用ピークを時間的に平滑化できる。
【0028】
また本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、さらに、前記電力配分手段は、前記充電予約の開始時刻に基づいて当該開始時刻の前に前記自動販売機が過冷または過温されるように電力を配分する構成とした。この構成により、電気自動車の充電により自動販売機の温冷機能を低下させても、自動販売機の庫内の温度を最適に保つことができる。
【0029】
また本発明の好適な実施形態に係る電気自動車の充電システムは、さらに、利用者による電気自動車の充電開始の指令手続きを記憶する開始指令記憶手段を有し、前記電力配分手段は、前記充電開始の指令手続きの直後に、前記自動販売機から前記電気自動車充電器へ電力配分を移し替えられる条件でない場合に、前記開始指令記憶手段に記憶された前記指令手続きに基づいて、前記電気自動車充電器へ電力配分を移し替えられる条件となった後に、前記電気自動車充電器により電気自動車への充電動作が自動的に開始されるように電力を配分する構成とした。この構成により、自動販売機と電気自動車充電器の希望する電力量のピークが重なってしまい、ユーザが電気自動車の充電開始を希望したとき、自動販売機の電力が直ぐに配分できない場合でも、ユーザを待たせることなく、また、再度の充電開始の手続きを行わせることなく、電力配分の準備が整い次第、自動的に電気自動車充電器での充電動作を開始させることができる。
【0030】
続いて、本発明の実施形態に係る電気自動車の充電システムについて詳細に説明を行う。
【0031】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、もっとも単純な電力配分動作を行う例を説明する。すなわち、電気自動車(図中、EVと略す)の充電中に電気自動車充電器5のみに電力が配分されても、自動販売機(以下自販機と略すことがある)4側の庫内温度が所定の範囲内に収まるようにした例である。まず、その構成を説明する。
【0032】
図1は本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの構成を示すブロック図である。
【0033】
この実施形態の電気自動車の充電システムは、一体型筐体100の中に、自動販売機4と電気自動車充電器5(以降EV充電器とも略する)の2つの機能ブロックが設けられている。この自動販売機4は、電気自動車充電器5とほぼ同等(またはそれ以上)の定格消費電力が定められている。このように、普通充電を行う電気自動車充電器とほぼ同等の定格消費電力が定められた自動販売機としては、飲料や食材などの商品を保温や保冷を行うために加熱または冷却を行って提供する自動販売機などがある。
【0034】
この実施形態の電気自動車の充電システムは、受電装置1、電力配分手段2、自動販売機4、電気自動車充電器5等を備えている。自動販売機4には、商品収納室8、商品温冷手段7、ユーザインタフェース手段9、庫内センサ13、外気温センサ14、通信手段15、温度変化予測テーブル23、および電流センサ18などが設けられている。また、電気自動車充電器5には、充電コンセント20、充電制御手段22、充電予約記憶手段3、および電流センサ19などが設けられている。
【0035】
受電装置1は、所定容量の電力を入力可能なものであり、商用電源6から電力を入力して所定の大きさおよび態様(様々な周波数の交流または直流)の電圧に変換する。商用電源6としては、交流100Vや交流200Vなどが適用される。また単相や三相方式の商用電源が適用できる。受電装置1としては電圧を変換するトランスなどを有していても良いし、ヒューズやブレーカ、過電流保護装置、漏電ブレーカなどの保安装置を有していることがより望ましい。一般に受電装置には取り扱うことができる電力の量をあらわす電力容量が存在するが、
【0036】
本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムにおける受電装置1は、その電力容量は、後述する自動販売機4用と電気自動車充電器5用との合算の電力容量より少ない電源容量にて構成される。より好ましくは、後述のとおり、一般的な自動販売機単体および/もしくは一般的な電気自動車充電器単体の場合と同一(または同等)の電源容量に構成されると望ましい。一般に現行の飲料の自動販売機の電力容量は概ね1.5kW程度であるが、電気自動車の普通充電器の必要電力容量も現在のところ同等の1.5kW程度であり、両者の電力容量はほぼ等しい。この場合、両者の合算の電力容量の3kWではなく、1.5kWの電力容量で受電装置1を構成すれば、外部の電気配線に関して容量増加のための工事を行わなくて済み、また電気料金の契約も従来と変更せずにシステムを導入することも可能となる。
【0037】
電力配分手段2は、受電装置1で受電した電力を自動販売機4と電気自動車充電器5に切り替えて供給または一定の割合で分配して供給する電力分配器と、その電力分配器を制御する演算装置とにより構成される。電力分配器としては、スイッチのほか、交流から直流に電力を変換する整流回路と直流から交流に電力を変換するインバータ回路などが組み合わせて用いられる。特に電圧や配分の切り替えが効率よく行えるインバータ回路を用いた構成がより望ましい。インバータ回路の出力電圧を制御する方法としては、位相シフトによるパルス幅制御、正弦波PWM(Pulse Width Modulation)制御、ヒステリシス制御、低次高調波(特定周波数)消去(除去)方式PWM制御、高調波成分制御などが用いられる。特にPWM方式は搬送波と指令信号の大小を比較してオンオフ信号を生成する方法であり、デューティー比を時間ごとに変化させることで正弦波に近い出力を得ることができるため、より好ましい。またインバータ回路としては可変電圧可変周波数によるVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)回路などとして構成されることが特に好ましい。スイッチとしてはいわゆるパワーデバイスとしてのパワーMOSFETやIGBTなどが用いられる。制御のための演算装置としては、電子回路、リレー回路などが用いられ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、コンパレータなどのアナログ部品による比較器、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。
【0038】
充電予約記憶手段3は、ユーザインタフェース手段9からのユーザの情報入力、または通信手段15からの情報伝達により入力された充電の予約情報を記憶する。そして、必要に応じて、記憶されている予約情報を電力配分手段2に伝える。この充電予約記憶手段3は、情報の伝達・制御を行う演算装置と、この演算装置によって記録情報の書き込みまたは読み出しが行われるメモリにより構成される。演算装置としては、前記電力配分手段2の演算装置と同様に、電子回路、リレー回路などが用いられ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、コンパレータなどのアナログ部品による比較器、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。またメモリとしては、読み出し専用記録媒体や書き換え可能な記録読み出し媒体を用いることができ、例えば半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブなどが使用可能である。特に、高速に読み出しが可能で小型であることから半導体メモリが好ましい。また、メモリは、カード型やリムーバブルメディアのように着脱可能に構成されるよう構成しても良い。また、他の手段とあわせてICやLSIの内部に機能を取り込むことが望ましく、その場合は、レジスタや内部RAMなどにより構成されるのが望ましい。
【0039】
自動販売機4は、ユーザが代金を支払い、希望する商品の引渡しや釣り銭の処理を自動的に行う装置である。ここでは、特に消費電力が大きな、缶、ペットボトル、瓶またはカップなどの飲料と食品、あるいは、冷凍食品またはアイスクリームなど、主に商品の加熱や冷却・冷凍が必要な自動販売機4が採用されている。自動販売機4の電源電圧および最大の消費電力(電力容量)は電気自動車充電器5の電源電圧および最大の消費電力(電力容量)と同等である。一般に現行の飲料の自動販売機の電力容量は概ね1.5kW程度であり、電気自動車の普通充電器の必要電力容量も現在のところ同等の1.5kW程度であり、両者の電力容量はほぼ等しい。
【0040】
電気自動車充電器5は電気自動車21を充電するための充電器である。自動販売機4と電気自動車充電器5で使用される商用電源6としては一般家庭用電源である交流電源が好ましく、主に交流電源(単相100ボルトあるいは単相200ボルトなど)である。電気自動車充電器5としては、コンセント型(ケーブルなし)のMode1と呼ばれるタイプのほか、電気自動車充電器5と電気自動車21との接続確認機能が利用可能な充電用コネクタケーブル付きのMode3と呼ばれるタイプが使用できる。特に電源電圧は自動販売機4と同じであって、かつ電力容量も前述のとおり自動販売機4の電力容量と同等であることが特に好ましい。
【0041】
商品温冷手段7は、缶やペットボトルなどの商品が収納された商品収納室8の庫内商品を温めたり冷やしたりする冷却器または温熱器であり、商品収納室8に設けられた庫内熱交換器7aと、庫外に設けられた庫外熱交換器7bと圧縮器7cとで構成される。すなわち、冷却または加熱を行うための媒体の循環回路として構成されている。例えば、冷却動作の場合は、気体の冷媒を圧縮器7cで圧縮し、庫外熱交換器7bで冷却して圧力が高い液体を生成して、膨張弁で圧力を下げ、庫内熱交換器7aにおいて低温で気化させて気化熱により熱を奪い取る熱サイクルが構成される。加熱動作の場合には、熱の移動方向が逆にされる。この商品温冷手段7は、いわゆるヒートポンプ型の熱交換システムにより構成されていても良い。また商品収納室8は外気温にできるだけ左右されずに定められた庫内温度を保つため、周囲と断熱構造がとられていることがより望ましい。
【0042】
ユーザインタフェース手段9は、ユーザが操作・選択をし、またユーザに必要な情報を提供するための情報入出力手段である。ユーザインタフェース手段9は、課金・決済手段10や音声入出力手段11、情報入出力手段12で構成されている。課金・決済手段10としては、例えばコイン収受手段10aやICカードリーダライタ10bなどが適用される。
【0043】
音声入出力手段11としては、音声と電気信号を変換する構成があげられ、例えばマイクロフォンやスピーカなどが利用できる。マイクロフォン(Microphone:以下マイクと略する)は、音声を電気信号に変換して、ユーザの声や周囲環境の音を集音する目的で利用される。音声入出力手段11に音声認識機能を接続し、ユーザの声やことばを認識して、規定の動作(例えば「充電開始」、「精算」など)を行うよう構成しても良い。このマイクとしては、ムービング・コイル型、リボン型、コンデンサ型、エレクトレットコンデンサ型、圧電(クリスタル)型、レーザー型などが使用できる。またスピーカは電気信号を振動に変え、音を生成する。このスピーカは、ユーザに操作の案内をしたり、操作結果の応答を音声にて返答したりする目的で利用される。返答の際には、予め格納された音声パターンを再生するように構成しても良いし、音声合成機能を接続して、所定の文脈になるよう言葉が組み合わされて音声再生されるようにしてもよい。例えば「充電の受付を完了しました」「ただいまの時間は電気自動車充電器は使用できません」などの音声ガイドをユーザに音声でわかるように返答する。このスピーカとしては、ダイナミック型、コンデンサ型、リボン型、放電型、マグネティック型、圧電型などが使用できる。
【0044】
情報入出力手段12は、表示手段12aと選択・設定手段12bにより構成される。表示手段12aは、各種の文字列や図形を視覚上認識できるよう表示をする表示器である。表示手段12aとしては、液晶、プラズマ、有機EL、FED(Field Emission Display)、電子ペーパ、タッチパネルディスプレイ、ドットマトリクスの蛍光表示管、LEDパネルなどが使用でき、特に薄型のパネルモジュールが望ましい。特に液晶や有機EL、電子ペーパなどが望ましい。また選択・設定手段12bと兼用できるメリットから、タッチパネルディスプレイが最も望ましい。選択・設定手段12bは、ユーザが希望する商品や機能を選択し、または、電気自動車充電器に関わる各種設定を行うための情報入力機能であり、主に接点式ボタンやタッチパネルなどが使用できる。前述のとおりタッチパネルを用いれば、表示手段12aと選択・設定手段12bを一体化して構成することが出来るため最も好ましい。タッチパネルとしては例えば、静電式や抵抗膜式、感圧式や赤外線やレーザーなどを用いたパネルなどが使用できる。
【0045】
庫内センサ13は、自動販売機4内の商品収納室8の庫内温度を計測する。性質の異なる2種の金属を対にして温度差に応じて発生する熱起電力を利用して温度を計測する熱電対、あるいは、温度に比例した電気抵抗を利用する白金測温抵抗体または半導体の温度特性を利用したサーミスタなどを使用できる。サーミスタは小型で感度が良好なことからより適している。庫内センサ13による温度測定結果は、電力配分手段2に伝達され、電力配分手段2による電力の切り替えまたは分配の判断に使用される。
【0046】
外気温センサ14は、自動販売機4内の商品収納室8の庫内温度を計測する。外気温センサ14としては、庫内センサ13と同様のセンサが使用でき、同様にサーミスタがより好ましい。外気温センサ14による温度測定結果は、電力配分手段2に伝達され、外気温を考慮した電力配分手段2による電力の切り替えまたは分配の判断に使用される。
【0047】
通信手段15は、有線または無線による外部通信回線16を介してデータ通信を行う。通信手段15は、電気自動車充電器に関する予約情報などの各種設定情報を、予約情報を管理するサーバや通信端末とやりとりする。さらに、自動販売機の売り上げや商品在庫に関する情報を販売時点情報管理システム(Point of sale system:いわゆるPOSシステム)とやりとりする。外部通信回線16としては公衆回線網や専用回線網が使用できるが、料金や取り扱いの容易さから公衆回線網を用いるのが好ましい。また外部通信回線16は、有線で構成されても無線で構成されても良いが、設置工事の平易さから、無線ネットワークであるのがより好ましい。無線ネットワークとしては、無線LAN、Bluetoothなどのローカルエリアの無線規格やPHS、PDC、W−CDMA、GSM、LTE(Long Term Evolution:ロング・ターム・エボリューション)などの公衆回線規格によるものが使用可能である。常時接続での利用も容易である点において、無線LAN規格による無線ネットワークが用いられることも好ましい。無線LAN規格としてはIEEE802.11aやIEEE802.11b,IEEE802.11gなど標準化された規格や独自規格が使用可能である。また近隣にLAN配線が敷設されていて有線ネットワークの利用が容易であれば、有線LANによる接続もより好ましい。有線回線としてはダイヤルアップを用いた電話回線であっても良い。
【0048】
タイマ17は、現在時刻の計時や、定められた時間のカウントを行う。タイマとしては、いわゆるリアルタイムクロック(real-time clockまたはRTC)と呼ばれる電子回路の時計が使用できる。機器の主電源が切られていても現在時刻を刻み続けられることが望ましい。そのためボタン型電池や電気二重層コンデンサなどで駆動電力がバックアップされていることが望ましい。
【0049】
電流センサ18は、本システムの電源電流、つまり自動販売機4と電気自動車充電器5の合計の消費電流を計測する。そして、システム全体の電流が所定の電源容量を超えないように、電力配分手段2に電流値の情報を伝える。電流センサ18としては、磁電変換素子であるホール素子を利用して非接触で電流を検出できるホール電流センサや、交流電流をクランプ式で測定できるカレントトランス(CT)を用いた電流センサが用いられる。
【0050】
電流センサ19は、充電コンセント20を介して電気自動車21に充電する際の充電電流値を計測する。この電流センサ19としては、電流センサ18と同様に磁電変換素子であるホール素子を利用して非接触で電流を検出できるホール電流センサや、交流電流をクランプ式で測定できるカレントトランス(CT)を用いた電流センサが用いられる。この電流センサ19は、電気自動車21の充電電流を監視するために使用される。また、この電流センサ19は、電力配分手段2と連携して電気自動車充電器5と電気自動車21との接続確認機能をもつMode3と呼ばれる機能を実現するために使用されるよう構成してもよい。
【0051】
充電コンセント20は、電気自動車21と電気自動車充電器5を接続して充電を行うための物理的また電気的インタフェースを行う。前述のとおり、コンセント型(ケーブルなし)のMode1と呼ばれるタイプのほか、電気自動車充電器5と電気自動車21との接続確認機能が利用可能な充電用コネクタケーブル付きのMode3と呼ばれるタイプが使用できる。また必要に応じてその他の形状の充電コンセントが使用されても良い。
【0052】
電気自動車21は、バッテリーを搭載し、電気をエネルギー源とし、電動機(モータ)を動力源として走行する自動車である。電気自動車21としては、電池式電気自動車、金属空気電池自動車、水素燃料電池自動車、アルコール燃料電池自動車などが使用できる。また内燃機関とバッテリーを併用し、部分的にはバッテリーのみで走行が可能ないわゆるハイブリッド方式の車輌であってもよい。
【0053】
充電制御手段22は、電力配分手段2により電気自動車充電器5に配分された電力を、電気自動車との通信の結果、またユーザの制御に基づいて、電気自動車21に供給する制御を行う。充電制御手段22としては、電気的に接点を開閉できるリレーなどのスイッチが用いられる。また電力配分手段2と同様にインバータを用いた回路にて構成されていても良い。
【0054】
温度変化予測テーブル23は、自動販売機4内の商品収納室8の庫内温度の変化を予測するために用いられるデータ群である。電力配分手段2の演算装置が、この温度変化予測テーブル23のデータ群、庫内センサ13および外気温センサ14の出力、ならびに、自動販売機4への電源供給の割合の情報を参照して、その後の庫内温度を予測することができる。この温度変化予測テーブル23は、予め決められた値が記憶されたデータテーブルとしても良い。或いは、実際のシステム使用に基づくデータ収集によって、温度変化予測に使用できるデータの母集団を拡大し、このデータの母集団に基づいて実使用環境に適応したデータ群となるよう逐次補正を行う学習方式がとられることがより望ましい。温度変化予測テーブル23のデータ群はメモリに格納されていて必要なときに読み出し可能にすることが望ましく、読み出し専用の記録媒体または書き換え可能な記録媒体に記録しておくことができる。読み出し専用の記録媒体または書き換え可能な記録媒体としては、例えばフラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブなどが使用可能である。特に、屋外設置機器で使用するための耐環境性により優れることや高速に読み出しが可能で小型であることから半導体メモリが好ましい。また、格納データ群の更新やメンテナンス等のためカード型やリムーバブルメディアのように着脱可能に構成されるよう構成しても良い。また、他の手段とあわせてICやLSIの内部に上記記録媒体としての機能が搭載されることが望ましく、その場合は、レジスタや内部RAMなどにより構成されるのが望ましい。
【0055】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの温度変化予測テーブルを説明する機能説明図である。この図に示すように、温度変化予測テーブル23は、商品収納室8の庫内温度変化を左右するパラメータの値によって、庫内温度がどのように変化するかを表わす基礎データを有している。商品収納室8の庫内温度変化を左右するパラメータとしては、時間経過、自販機(温冷機能)への電源供給割合、外気温、などがある。その他、上記パラメータとして、初期庫内温度、時刻、季節、ピークカットや節電・計画停電などの電力供給計画、電力契約量、インバータ効率、使用頻度などを適用するようにしてもよい。また格納するデータ量を削減し、計算を簡略化するためにも、パラメータは一定間隔または主要ポイントでのみのデータ蓄積にとどめると良い。そして、データがない値の情報に関しては、数値補完または線形・非線形な変化予測に基づいて推定されて算出可能なように構成されることが望ましい。
【0056】
例えば、図2のデータテーブル(a)では、自動販売機の温冷機能への電源供給割合が0%(オフ)、外気温が10℃、20℃、30℃の各条件で、時間経過対商品収納室の温度変化を示すデータが格納されている。そして、データがない外気温32℃の場合の温度変化グラフ(破線)は、外気温が10℃、20℃、30℃の場合のグラフから必要な情報のみを抽出して32℃の場合の温度変化を推測することを可能としている。また、図2のデータテーブル(b)は自動販売機の温冷機能への電源供給割合が10%の条件における同等の特性を表わすものである。そして、データのない自動販売機の温冷機能への電源供給割合が15%の条件での同特性は、自動販売機の温冷機能への電源供給割合が0%のデータテーブル(a)、電源供給割合が10%のデータテーブル(b)、…、電源供給割合が100%のデータテーブル(x)のデータの中から必要な情報を抽出して、推定することを可能としている。
【0057】
一体型筐体100は、自動販売機4と電気自動車充電器5の各構成を収納するケースであり、一般には鋼板を加工した箱により構成される。自動販売機4の筐体と電気自動車充電器5の筐体とがそれぞれ別に構成され、それを接続、または、それぞれの筐体を内包する新たな筐体を外側に設置するよう構成してもよい。望ましくは、自動販売機4と電気自動車充電器5の各機能構成が1つの一体型筐体100に収納される構成とすると良い。
【0058】
なお、実施形態の電気自動車の充電システムの各構成のうち、流用および/もしくは兼用できるものは、自動販売機に既に標準的に備わっている構成を流用および/もしくは兼用させて機能構成を実現するようにすると大変好ましい。例えば、自動販売機に既に標準的に備わっている構成として、強固で防水性に配慮された大型の筐体、および、上述したとおり電気自動車普通充電器と同等の電力容量を持つ受電装置が挙げられる。また、カードリーダ(IC方式や磁気方式など)や現金収受などの決裁機能、タッチパネルやボタン、LEDや液晶表示機などのユーザインタフェース機能、Pos情報のためのサーバ通信機能などが挙げられる。また、ユーザインタフェース手段9の各構成要素として、商品選択用のための押しボタン、売り切れや準備中などの商品提供ステータスを表示する表示器、各種インタラクティブな情報を表示するための液晶パネル、音声で飲料などの販売の案内をするスピーカ、などがある。このような既に自動販売機に備わっている構成要素により、電気自動車充電の操作にも対応可能なように構成すると良い。例えば、電気自動車の充電動作を選択する押しボタン、電気自動車充電器の利用可否を表示する表示器、電気自動車充電器のユーザへのアナウンスを表示する液晶パネルやスピーカを実現するとよい。このように構成することで、ユーザは慣用的な操作によって充電を行う手続きも行うことができ、また、一般的な自動販売機からの変更点を少なくすることができるため大変望ましい。
【0059】
図5は本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムのユーザインタフェース手段を説明する説明図であり、一体型筐体100の前面のパネルの一部を図示したものである。本例では既に自動販売機に備わっている機能を流用して電気自動車充電器の機能を実現するインタフェース例を示している。前面のパネルには、ペットボトル飲料などの自動販売機で売られる商品のサンプルが並ぶ商品陳列棚31に、電気自動車充電器5としての電気を販売するエリア32がある。さらに、前面のパネルには、電気自動車の所望充電量を商品選択押しボタン(兼表示機)33により選択可能にした構成が設けられている。図5は、自動販売機4に100%の電力が分配されている状態であって、電気自動車充電器5の機能が一時的に使用不能な状態を示している。電気自動車の商品選択押しボタン(兼表示機)33は、「準備中」と表示され、押下しても動作しないようになっている。商品陳列棚31や商品選択押しボタン(兼表示機)33は、飲料等を販売する自動販売機に備わっている設備がそのまま流用されている。またユーザインタフェース手段9の課金・決済手段10としての紙幣挿入口38、ICカードリーダ39、硬貨投入口40、返金レバー41、および、音声入出力手段11としてのスピーカ35、マイク36、および情報入出力手段12としての商品選択押しボタン(兼表示機)33、液晶パネル34、ユーザを認証したり不審者を監視したりするカメラ37なども、既に自動販売機に備わっている機能を流用して実現されている。
【0060】
以上のような構成の本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの動作を図3から図5を用いて説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するタイムチャートである。また図4Aと図4Bは、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するフローチャートである。図3において、上段の図3Aのグラフは時間経過(時刻)に伴う商品収納室の庫内温度の変化、中段の図3Bのグラフは電力配分手段2の指令により自動販売機4の温冷機能に配分された自販機電力配分(%)の時間変化、下段の図3Cのグラフは電力配分手段2の指令により電気自動車充電器5に配分された電気自動車充電器電力配分(%)の時間変化、を示している。図3A〜図3Cのグラフの横軸は同一の時間軸である。
【0061】
自動販売機4の商品収納室8には冷たい飲料が格納されていると仮定して説明する。自動販売機の冷たい飲料の保冷温度は摂氏+4℃前後である。電気自動車充電器5の利用がない通常の自動販売機としての動作の場合には、庫内センサ13の温度測定結果に基づき商品温冷手段7の動作量が調整されて、上記標準温度である摂氏+4℃前後が維持される。
【0062】
電力配分手段2には、電気自動車充電器5の利用がある場合の設定値として、上記の+4℃を標準値としてプラスマイナス3℃、つまり摂氏+1℃から摂氏+7℃の範囲が、自動販売機の冷たい飲料の保冷温度(自販機の冷温庫の温度)の許容範囲に設定されている。さらに、許容範囲の上限を超えないために、許容範囲の上限である摂氏+7℃から一定の余裕値(マージン)をみた温度が閾値として設定されている。図3の例では上限より1℃低い摂氏+6℃に閾値が設定されている。自動販売機4において、商品温冷手段7が定常的な温度維持を行う場合の消費電力は0.5kW/h程度である。
【0063】
なお、自動販売機4の定常動作時(電気自動車充電器5の利用が無い動作時)における温度変化閾値は別の値が設定されていてもよい。図3の例では標準温度+0.5℃程度の設定が行われている。
【0064】
図3の例においては、朝8時頃まで定常的な温度維持動作(消費電力は0.5kW/h)で4℃の庫内温度維持がなされていたが、外気温があがって、筐体が加熱されることで、庫内温度が上昇している。そして、午前10時頃に定常動作における温度変化閾値(摂氏+4.5℃)に達したため、商品温冷手段7が冷却側に動作を開始している。このとき一時的に圧縮機等の動作のため、自動販売機は大きな電力を必要とする。そのため、システム総計の最大電力である1.5kW/hを消費している。ここでは、電気自動車充電器5の並行動作がないため、電力配分手段2はシステムで使用できる100%の電力を自動販売機4に与え、電気自動車充電器5が使用されていない午前中いっぱいは、自動販売機4単体としての定常的な温度管理が行われている。
【0065】
図3の例においては、午後0時に、電気自動車のユーザが電気自動車充電器5の使用をする手続きが行われている。図3に示すように、このときの商品収納室8の庫内温度が標準値の摂氏+4℃であったとして、図4A,図4Bを用いて電力配分手段2の動作を説明する。
【0066】
図4Aは、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するフローチャート、図4BはステップS2の条件読出し処理の詳細、図4Cは、のステップS3の温度変化予測処理の詳細を、それぞれ表わしている。
【0067】
ユーザインタフェース手段9からの情報により、ユーザが電気自動車充電を希望することが判明したら(ステップS1)、電力配分手段2は判断のための各種条件の読み出しを行う(ステップS2)。各種条件とは、例えば、現在時刻、充電電力量、電気自動車充電開始終了時刻、庫内温度規定値、庫内温度規定値マージン、現在の庫内温度および庫外温度などであるが、全ての情報を必ずしも必要としない。例えば、現在時刻と希望充電電力量がわかれば、充電終了時刻は推定可能である。この説明では、ユーザが6kWhの電力量の充電を希望していたとする。また外気温センサ14で観測された外気温は32℃であったとする。
【0068】
各種条件の読み出しを行うと、次に、電力配分手段2は、温度変化予測テーブル23を用いた庫内温度変化の予測(ステップS3)を行う。すなわち、電気自動車の充電が完了するまで自動販売機4の冷却機能を停止した場合の商品収納室8の温度変化を、温度変化予測テーブル23を用いて推定する。温度変化予測テーブル23には、例えば次のような評価データやそれに基づくデータ群が格納されている。すなわち、外気温32℃の中で6時間連続で冷却運転を止めると製品温度の上昇は最大摂氏+7℃程度までであり、初期値が摂氏+4℃であれば、6時間で+3℃の摂氏+7℃に達する。このようなデータ群から、気温32℃の下では、自動販売機4の温冷機能による冷却を連続で停止(電力配分は0%)させた場合の庫内温度変化は、概ね1時間当たり+0.5℃と推定される。
【0069】
電力配分手段2は、温度変化予測テーブル23を用いた庫内温度変化の予測の結果に基づいて、自動販売機4の温冷機能の停止により庫内温度が規定値を外れないかを検証する(ステップS4)。例えば、自動販売機4の温冷機能による冷却を連続で停止させ電気自動車充電器5に100%の電力(1.5kW/h)を分配したとすると、ユーザが所望する充電量(6kWh)には4時間を要する。温度変化予測テーブル23の情報を用いた庫内温度変化の予測では、4時間後の庫内温度は、摂氏+6℃であると推定されており、温度閾値である摂氏+6℃は超えない。よって、この場合、電力配分手段2は、庫内温度が規定値を外れないと判断して、自動販売機4の温冷機能を停止し電気自動車充電器5に電力を100%供給するよう、受電装置1から受け取った電力を配分する(ステップS5)。電気自動車21への充電が終了したら(ステップS6)、電気自動車充電器5への電力供給を停止し、自動販売機4への電力供給を再開させる(ステップS7)。自動販売機4の庫内温度は閾値である摂氏+6℃に達しているため、電力配分手段2は自動販売機4の庫内温度が標準値の摂氏+4℃に下がるまで自動販売機4に100%の電力を供給するように動作する。自動販売機4の庫内温度が標準値まで回復する間、電気自動車充電器5の動作開始はマスク(開始不能な状態)される。この間、ユーザには電気自動車充電器は一時的に利用できない旨の利用不可通知がなされる(ステップS8)。また、ステップS4の庫内温度変化の予測結果の検証により、自動販売機4の温冷機能の停止により庫内温度が規定値を外れてしまう場合にもユーザには電気自動車充電器は一時的に利用できない旨の利用不可通知がなされる(ステップS9)。
【0070】
既に説明済みであるが、ユーザへの利用不可通知の方法として、図5では飲料等を販売する自動販売機に備わっている設備をそのまま流用した例を示している。つまり、自動販売機の電気自動車充電器の項目の商品選択押しボタン(兼表示機)33に「準備中」が表示され、ボタン33が押下されても動作を受付けないようにしている。自動販売機4の庫内温度が標準値まで回復すれば、上記一連の電力配分動作を終了して、再び、図4AのステップS1から処理が開始可能な状態となる。
【0071】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムでは、電気自動車充電器5と自動販売機4とを一体型筐体100に搭載して構成している。また、受電装置1は自動販売機4向けと電気自動車充電器5向けの合算の電力より少ない電力(好ましくは自動販売機4向けと同じ電力だけ)を入力するようにしている。さらに、自動販売機4の庫内温度を計測する庫内センサ13と庫内温度変化を予測するための温度変化予測テーブル23を用いて、庫内温度が所定の温度範囲を外れないように、電力配分手段2が自動販売機用と電気自動車充電器用とに電力を適応的に配分する。このような構成により、1系統の受電装置1を用いて、自動販売機4と電気自動車充電器5の双方の機能を駆動できるため、装置を小型化することができるという効果が得られている。また、自動販売機とは別に電気自動車充電器を増設する場合に比べて、トータルの消費電力を抑制することができるという効果が得られている。
【0072】
また、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムによれば、既設の自動販売機に用いられている電源の電力容量を増設することがない。すなわち、既設の自動販売機に用いられている電源をそのまま適用できるという効果が得られる。そして、このような電源により、自動販売機4の機能と電気自動車充電器5の機能の両方を実現することができる。すなわち、自動販売機4の本来の温冷機能を損なうことなく、電気自動車充電器5との併用動作を可能とすることができる。また既設の自動販売機に加えて電気自動車充電器を別に設置する必要がなくなるため、機器設置に必要な床面積も従来の自動販売機単体に比べて大幅に増やす必要がない。以上のことから、既設の自動販売機からの置き換えが容易になり、電気自動車充電器の設置および増設の促進を図ることができるという顕著な効果が得られる。
【0073】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、電気自動車充電器5のユーザが設定した終了希望時刻を期限として電気自動車の充電が終了できるように電力を適応的に配分する例について説明する。基本的な構成は本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの構成を示すブロック図(図1)と同様であり、電力配分手段2の動作が異なるだけである。したがって、詳細な構成の説明は省略し、図6から図8を用いて、本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムの動作を説明する。
【0074】
昨今の省エネルギー志向の高まりや電力需要平準化・ピークカットの要請がある。これらに伴い、缶やペットボトル型の清涼飲料水の自動販売機の中には、7〜9月の3ヶ月間の平日の午後1時から4時の電力需要が多い時間帯には冷却機能を停止させるピークカット機能をもつものがある。この時間帯においては、自動販売機としては電力のピークカットに対応する要望があるのはもちろん、ピークカットの主旨から電気自動車充電器の消費電力も極力抑制すべきであるという要望が生じると考えられる。
【0075】
一方で電気自動車充電器においては、特に普通充電器による充電動作の場合に、電気自動車21の車載バッテリーの残電力が少ないほど、より多くの充電時間を要する。そのため、通常は充電が完了するまでユーザがその場に待機することは無く、充電終了時刻や充電量を指定したうえで、ユーザが買い物や娯楽・休息等のために電気自動車充電器5がある場所を離れるのが常である。この場合、ユーザにとっては自ら指定した時刻またはシステムから教えられた終了時刻までに電気自動車21の充電が所定量終了していればよいことになる。
【0076】
本実施形態では、このように自動販売機4側と電気自動車充電器5側とでそれぞれ電力配分に関わる時間的な制約が異なる場合でも、同一時刻に電力消費のピークが重なって受電装置1での電力容量を超えることが無いように、電力配分手段2が電力配分を行うようになっている。
【0077】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するタイムチャートである。図6A〜図6Cの縦軸および横軸の内容は図3A〜図3Cのものと同様である。図6の例では、ユーザによる電気自動車充電終了指定時刻が21時に設定されており、13時から16時までは自動販売機のピークカットに対応(自動販売機4の温冷機能への電力供給がオフ)している点で、主に図3の例と異なる。この例では、システム全体として、自動販売機4のピークカット時間帯での消費電力が最小に(自動販売機4の消費電力=0kW/h、電気自動車充電器5の消費電力=0.35kW/h)制御される。さらに、自動販売機4の庫内温度が規定値内にとどめられ、所定の時刻までに電気自動車21の所定の充電量(充電量総計6kWh=1.5kWh+1.05kWh+3.45kWh)の充電が達成されている。
【0078】
この動作の詳細について図7A,図7Bを用いて説明する。図7Aは本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するフローチャート、図7Bは、ステップS23の詳細割当処理の詳細を示すフローチャートである。図7Aにおいて、既に説明済みのフローチャート(図4)と符号が同じステップは同一の構成・機能・動作を表わすものであり、詳細な説明は省略する。第1の実施形態と異なる箇所は、ステップS21〜S24のプロセス、およびステップS23のサブプロセスであるステップS31〜S37のみであり、当該箇所のみを説明する。
【0079】
図7Aに示すように、電力配分手段2は、ステップS2で条件を読み出したあと、電気自動車充電のために必要な所要電力量を算出する(ステップS21)。ここで、所要電力量とは、単位時間あたりの電力と使用時間の積(単位はkWh)である。次に、電源リソースの粗割り当てを実施して、おおまかな時間帯ごとの電源リソースの配分を決定し(ステップS22)、続いて、必要に応じて電力配分を微調整する詳細割り当てを実施する(ステップS23)。そして、詳細割り当てで決定された割り当て計画に基づいて電力を配分するよう動作する(ステップS24)。
【0080】
ここで、先ず、ステップS22の粗割り当ての動作について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の電源リソース粗割り当て動作を説明する動作説明図である。電源リソース粗割り当てプロセスでは、一日24時間の電力使用時間帯を複数の時間帯T1〜T7に分割し、それぞれの時間帯T1〜T7に優先順位をつける。ここで優先順位とは電気自動車充電器5向けに電力を優先的に供給すべき順位である。ます、電力配分手段2の演算装置は、自動販売機4の温冷機能停止による庫内温度変化が比較的少ない時間帯に自動販売機4が優先して停止されるように優先順位付けを行う。例えば冷却機能であれば、外気温が高い昼間時間帯には自動販売機4をできるだけ停止させないよう電気自動車充電器5への優先順位を下げ、自動販売機4を停止しても温度上昇の影響が比較的少ない深夜時間帯では電気自動車充電器5への優先度を上げる等である。なお、単純に時間帯で決定するのではなく、外気温センサ14で観測された気温やその変化状況、また最近の外気温変化の傾向を加味して優先順位が決定されるよう構成しても良い。さらに、通信手段15を使用して外部通信回線16を通して接続されたサーバから気温や天気などの情報を取得し、この情報に基づいて優先順位の決定を行っても良い。
【0081】
また、上記の優先順位の決定方法は特別な時間制限がない場合の優先順位付けの方法である。それに対して、自動販売機のピークカット対応などの時間制約がある場合は、その制限時間帯の電気自動車充電器5および/もしくは自動販売機4の稼動優先順位を下げることにより、優先順位付けを行う。分割される複数の時間帯T1〜T7は、その時間幅は一定であっても一定でなくてもよい。分割時間幅は小さいほど仔細な配分制御が可能となるが、優先順位付けや割り当て決定が煩雑となるため、実情に応じて、適切な時間幅に区切られることが望ましい。一般に、利用頻度が高くまたより仔細な制御が必要になると思われる昼間時間帯(朝〜夕)は時間帯の区切り幅を小さくし、利用頻度が比較的低く電力需要の制限要求も比較的一定な深夜時間帯(深夜〜早朝)では時間帯の区切り幅を大きくする等の対応も可能である。
【0082】
次に、電力配分手段2の演算装置は、上記優先順位づけされた時間帯T1〜T6の順位上位から、ユーザが要求する充電の時間帯と電力量とを割り当てて行く。ここでは、図6の充電要求(12時に充電が開始され終了時刻指定が21時、充電電力量は6kWh)があり、図8の時間帯分割と優先順位付けが行われている場合について説明する。優先順位1位の1:00〜7:00の時間帯T1と優先順位2位の22:00〜01:00の時間帯T7では、今回の要求時間と合致する時間帯が存在しないので、電力配分手段2は電力の割り当てを行わない。優先順位3位の19:00〜22:00の時間帯T6の間では19:00〜21:00の2時間が今回の要求と合致し、この間で最大に使用できる電力リソースは、3kWh(時間当たり1.5kWが2時間分)である。なので、この割当W1,W2を行う。今回の充電要求は6kWhであるのでまだ3kWh分の供給割り当てが必要なため、アルゴリズムは割り当て動作を継続する。次の優先順位4位の7:00〜10:00の時間帯T2では、今回の要求時間と合致する時間帯が存在しないので、電力割り当ては行われない。次の優先順位5位の16:00〜19:00の時間帯T5では、今回の要求時間と合致する時間帯は存在するものの、既に優先順位が上位の19:00〜22:00で電力割り当てが決められている。そのため、時間帯が連続する16:00〜19:00の時間帯T5では割り当ては行わず、この時間帯の優先順位を最下位に変更する。次の優先順位6位の10:00〜13:00の時間帯T3では、12:00から13:00の間の1時間が今回の要求時間と合致するため、1時間あたりの最大の電力である1.5kW×1時間=1.5kWh分の割当W3を行う。この段階で、まだ需要電力である6kWhには1.5kWh不足している。
【0083】
次の優先順位7位の13;00〜16:00の時間帯T4は、自動販売機のピークカット時間帯である。ここで、自動販売機のピークカット時間帯で電気自動車充電器の電力使用が完全に禁止されていなければ、次のように電力配分が試みられる。すなわち、優先順位を最下位に回された時間帯T5(16:00〜19:00)ではなく、最下位より1つ前の時間帯T4(13;00〜16:00)の間で極力電力量のピークが集中しないように残りの所要電力量を分散して消費するよう電力配分が試みられる。残りの所要電力量は1.5kWhであるので、3時間で0.5kWずつ配分した割当W4〜W6により、充電電力量の全割り当てが達成可能となる。
【0084】
以上の処理により、電力配分手段2の演算装置により、所望する合計6kWh(19:00から22:00の時間帯T6で3kWh、10:00から13:00の時間帯T3で1.5kWh、そして13:00から16:00の時間帯T4で毎時0.5kWずつの小計1.5kW)の電力量が粗割り当てが遂行される。つまり、図7のステップS22の粗割り当てプロセスにより、図8のような電力の粗割り当てが行われる。
【0085】
図7Aのフローチャートの説明に戻る。上記のように粗割り当てを行ったら、次に、電力配分手段2は、庫内温度変化の予測を考慮した詳細な電力の割り当てを実行する(ステップS23)。それにより、最終的な電力割り当て計画が決定される。詳細には、まず、電力配分手段2の庫内温度予測手段(演算手段の機能)により、粗割り当てによる電力配分計画において、電気自動車充電器5の作動時間中に自動販売機4の庫内温度が規定値を外れないかが検証される(ステップS32)。粗割り当てによる電力配分計画においては、自動販売機4の温冷機能が停止または効率低下することにより、庫内温度が低下する。その結果、仮に規定値を外れる時間帯があれば、その時間帯で自動販売機4への電力割り当てを一定量だけ増加させて(ステップS36)、再度、ステップS32で庫内温度が規定値を外れないかを検証する。この逐次繰り返しのプロセスにおいては、電力割り当ての変更回数がカウンタで計数され(ステップS34)、変更回数が設定値を超えないか判別(ステップS35)されている。そして、設定された逐次繰り返しの回数内で、庫内温度が規定値内に収まるよう電力配分計画が修正でき、温度変化予測テーブル23の情報に基づく庫内温度の予測値が規定値を外れなくなれば、詳細割り当ては成功となり、詳細割り当てプロセスは終了する(ステップS33)。
【0086】
詳細割り当てプロセスが成功したら、電力配分手段2は、決定した電力配分計画に基づいて自動販売機4の温冷機能と電気自動車充電器5とに電力を適宜配分するよう、受電装置1から受け取った電力を配分する(ステップS24)。以降のステップS6〜S8の動作は、図4で説明したものと同様である。
【0087】
一方、ステップS23の詳細割り当てプロセスにおいて、設定された逐次繰り返しの計数のうちに庫内温度が規定値内に収まるよう電力配分計画が修正できない場合には、エラーとなる(ステップS37)。この場合、ユーザには電気自動車充電器5が所望する条件にて利用できないことが通知される。
【0088】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係る電気自動車の充電システムでは、電力配分手段2が、電気自動車21の充電のために必要な所要電力量(単位時間あたりの電力と使用時間の積)を算出する。そして、ユーザが設定した終了希望時刻を期限として電気自動車の充電が終了可能に電力を適応的に配分可能に構成されている。具体的には、電力配分手段2は、まず時間帯T1〜T7(図8参照)ごとに電源リソースの粗割り当てを実施しおおまかな時間帯T1〜T7ごとの電源リソースの配分を決定する。その後、必要に応じて電力配分の微調整を実施し、決定された割り当て計画に基づいて電力を配分するよう動作する。そのため、自動販売機4側と電気自動車充電器5側でそれぞれの電力配分の量的・時間的な制約が異なる場合でも、同時刻に電力需要のピークが重なって受電装置1での電力容量を超えることが無いように電力量の配分を行うことができる。また、自動販売機4側と電気自動車充電器5側とで、それぞれの電力配分の量的・時間的な制約が異なる場合でも、1系統で且つ電力容量のより小さな受電装置1(好ましくは自動販売機単体の電力容量と同じ受電装置)だけで自動販売機4と電気自動車充電器5の双方の機能を駆動することができる。したがって、装置の小型化、消費電力の抑制をより図ることができる。また、自動販売機4側と電気自動車充電器5側とでそれぞれの電力配分の量的・時間的な制約が異なる場合でも、既設の自動販売機用の電源の電力容量増設が不要となる。これらによって、床面積や電源容量に関する課題をともに解決して電気自動車充電器の設置・増設が容易なものとなる。
【0089】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、電気自動車充電器5の利用予約がなされている場合に、自動販売機4の温冷機能が長時間停止しても庫内温度が規定値を外れないよう電気自動車充電器5の予約時間前に予め自動販売機4の過冷却または過熱を行うようにしたものである。本発明の第3の実施形態に係る電気自動車の充電システムの動作を図9と図10を用いて説明する。なお、基本的な構成は本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの構成を示すブロック図(図1)と同様であり、電力配分手段2の動作が異なるだけであるため詳細な構成の説明は省略し、本実施形態に関わる特徴的な部分に絞って説明する。
【0090】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る電気自動車の充電システムの電力配分手段の動作例を説明するタイムチャートである。図9A〜図9Cの縦軸および横軸の内容は図3A〜図3Cのものと同様である。図9の例では、ユーザによる電気自動車充電予約が12時から20時までに設定され、12kWhの電力量が連続的に電気自動車の充電に占有されるようになっている。ただし、この電力が占有される時間帯および電力量が予め事前にわかっているという点が特徴的である。
【0091】
この図9の場合の動作の詳細を、図10Aと図10Bのフローチャートを参照しながら説明する。図10A,図10Bにおいて、既に説明済みの図4A、図7Aのステップと同一の符号が付されているもの同一の構成・機能・動作を示すので、詳細な説明は省略する。また動作についても本発明の第3の実施形態に係る特徴的な箇所(図10Bの破線で囲まれた箇所)のみの説明とし、その他の構成や作用・動作は第1の実施形態、第2の実施形態と同様に説明できるため詳細な説明は省略する。
【0092】
この実施形態の電気自動車の充電システムにおいては、電気自動車の通常の充電動作開始の操作でなく、充電動作の予約の操作がなされている(図10AのステップS101)。そして、その後に、条件の読み出し(ステップS2)、所要電力量の算出(ステップS21)、電源リソースの粗割り当て(ステップS22)、庫内温度変化予測手段による詳細割り当て(ステップS23)のプロセスを経ても、電源リソースの分配が出来ずエラーになってしまう場合について説明する。
【0093】
この場合、電力配分手段2は、タイマ17から現在時刻情報を受け取り、かつ、充電予約記憶手段3からユーザが希望する(入力した)充電予約時間や所望充電電力量の情報を受け取る。そして、これらの情報に基づいて、現在時刻から予約充電開始時刻までに所定の時間余裕があるかを検証する(ステップS41)。例えば、現在時刻が9:00、電気自動車の予約充電開始時刻が12:00であったとする。この場合、3時間の時間余裕があるので、電力配分手段2は、時間余裕があると判断する。そして、予約された電気自動車充電時間中の庫内温度変化(増加または減少)の予測量を、現在から予約充電開始時刻までの間の余裕時間内で予冷または予熱するだけの電力量を自動販売機4に仮に割り当てる(ステップS42)。予冷・予熱の温度範囲は、一時的にでも前述した商品収納室8の規定の温度範囲を外れないことがより望ましい。上記の仮割当ての場合、図9に記したように、余裕時間の3時間のうちに1.5kW×3=4.5kWhの電力量を自動販売機4の予冷または予熱のために割り当てることが可能である。ここで、自動販売機4の冷却能力が外気温と庫内温度範囲において、例えば1℃あたり2kWhであったとすれば、4.5kWhの電力量で約2.3℃庫内温度を下げることが可能である。予冷動作前の庫内温度が基準値前後で上下しており約4℃であったとすれば、庫内温度は摂氏+1.7℃まで下げることが可能である。
【0094】
続いて、電力配分手段2は、上記仮割当ての電力量(予冷予熱動作)にて電気自動車充電時間中の庫内温度変化は規定値に収まるかを検証する(ステップS43)。ここで、図9に示すように、12時から20時まで8時間連続で自動販売機4の冷温機能への電力供給が停止され(電気自動車充電器5への電力供給が100%)たと仮定する。さらに、温度変化予測テーブル23に格納された情報として外気温や庫内温度等の諸条件下における自動販売機4の冷却機能停止時の庫内温度変化が1時間当たり+0.5℃であったと仮定する。なお、現行の自動販売機において外気温32℃の中で6時間連続で冷却運転を止めると製品温度の上昇は最大摂氏+7℃程度となる。
【0095】
上記仮定の場合、8時間連続の冷温機能への電力供給の停止により、4℃の庫内温度上昇が見込まれる。停止直前の庫内温度が基準温度の摂氏+4℃であったらな4℃の温度上昇では許容される温度範囲の閾値である6℃を超えてしまう。それに対して、事前の3時間の間に予め摂氏+1.7℃まで温度を過冷却すれば、8時間経過後の庫内温度は摂氏+5.7℃であると予測される。したがって、ステップS43において、庫内温度が規定範囲内に収まると評価がなされる。
【0096】
この場合、電力配分手段2は、電気自動車充電器5の新規動作受付や動作開始を一時停止し(ステップS44)、自動販売機4の予冷・予熱動作を試算した必要時間だけ実施する(ステップS45,S46)。そして、自動販売機4の予冷・予熱動作が完了したら電気自動車充電器5の充電動作開始の拒否を解除し(ステップS47)、充電予約時間に達するまで待機する(ステップS48)。そして、予約した時刻に到達したなら、電力配分手段2は、割り当て計画に基づく電気自動車充電器5への電力量供給を行う(ステップS49)。なお、ステップS49の電力供給の間は、予め想定(予約)されたユーザによる充電動作のみが実施されるようにし、予冷・予熱動作以降に、新規ユーザが割り込んで新たな充電動作を急に開始できないよう構成することが望ましい。また、ステップS41で余裕なしと判断された場合、ステップS43で温度変化が規定値に収まらないと判断された場合には、エラーとなってユーザには電気自動車充電器5が利用できないことが通知される(ステップS50)。以降のステップS6〜S8の動作は、上述した説明と同様である。
【0097】
以上説明したように、この実施形態の電気自動車の充電システムは、電気自動車充電器の利用予約がなされている場合に、予め空いている予備時間の間に、自動販売機の商品収納室を過冷却・過熱させておくことができる。そして、自動販売機の温冷機能を長時間停止させてより大きな温度変化が生じても、庫内温度が規定値を外れないようにすることができる。したがって、より少ない電力容量の受電装置1を採用した場合でも、より長い時間自動販売機4を停止させて電気自動車充電器5に電力を分配することができる。このように電力を分配しても、自動販売機4の本来機能を損なうことなく、電気自動車充電器5の機能も満足させることが出来る。そのため、よりさまざまな使用ケースの電力分配に対応できることとなり、電力使用ピークの時間的な平滑化を図ることができる。
【0098】
[第4の実施形態]
第4実施形態は、規定された庫内温度に回復するために自動販売機4の温冷機能を占有的に動作させる必要のある期間に、電気自動車充電器5の利用が要求された場合でも、ユーザによる電気自動車充電器5の利用手続きを煩雑にさせないようにしたものである。
【0099】
基本的な構成は、本発明の第1の実施形態に係る電気自動車の充電システムの構成を示すブロック図(図1)と同様であり、充電予約記憶手段3とそれに伴うシステム挙動が異なるだけであるため、同様の構成および動作につては詳細な説明は省略する。
【0100】
本発明の第4の実施形態に係る電気自動車の充電システムの動作を図11と図12を用いて説明する。図11は本発明の第3の実施形態に係る電気自動車の充電システムの充電予約記憶手段の動作例を説明するタイムチャートである。
【0101】
図11において、電力配分手段2は、12時から16時まで電気自動車充電器5に占有的にシステムの電力を分配したとする。そして、16時に電気自動車充電器5の充電動作が終了したあと16時から自動販売機4の庫内温度の回復のため、自動販売機4に占有的にシステムの電力を分配するよう動作していたとする。つまり、自動販売機4の庫内温度回復期間(16時から18時30分ごろ)は電気自動車充電器5の動作が電力配分手段2により禁止されている。
【0102】
ここで、庫内温度回復期間(16時から18時30分ごろ)にユーザがユーザインタフェース手段9を操作して、電気自動車充電器5に充電動作を行わせるための手続きを行ったとする。例えば6kWhの充電を選択し、課金・決済手段10を用いて料金の支払い処理を行ったとする。すると、充電予約記憶手段3は、先ず、ユーザが入力した電気自動車充電器5の動作条件を記憶する。次いで、充電予約記憶手段3は、自動販売機4の庫内温度回復期間が終了する18時30分になった場合に、ユーザが入力した電気自動車充電器5の動作条件に従って電気自動車充電器5が動作開始するように電力配分手段2に指令を出す。電力配分手段2は、この指令によりタイマ17と情報交換を行って、指定時刻に電気自動車充電器5へ電力分配を開始する。このような機能により、ユーザは電気自動車充電器5が利用可能になるまで、その場で待機をする必要がなくなる。すなわち、条件予約のみを行って、予定充電完了時刻を確認することで、買い物やレジャーに出かけたりすることができる。以降の自動販売機4と電気自動車充電器5の動作は、これまでの説明と重複するため詳細を省略する。
【0103】
図12は、本発明の第4の実施形態に係る電気自動車の充電システムのユーザインタフェースを説明する説明図である。基本的な機能と動作は、図5のものと同様であり詳細な説明は省略する。第4の実施形態に係る電気自動車の充電システムにおいては、上記のように速やかに電気自動車充電器5の動作を開始できない場合、図12に示すような告知が行われるようになっている。すなわち、液晶パネル34やスピーカ35を用いて、現在直ぐに電気自動車充電器5は使用できないが予約動作が可能であること、充電予約の受付、および、予定充電終了時刻などの情報がユーザに告知される。この告知により、電気自動車充電器の利用が一時的に禁止されている期間でも、ユーザは情報と条件を確認した上で、その後、充電開始の操作を再度行う必要なく、電気自動車充電器5により電気自動車21の充電を行うことができる。
【0104】
以上説明したように本発明の電気自動車の充電システムによれば、ユーザの電気自動車の充電開始の手続きを記憶する充電予約記憶手段3により、次のような作用が奏される。すなわち、規定の庫内温度の回復に向け自動販売機4の温冷機能を占有的に動作させるために、電気自動車充電器5の利用が一時的に禁止されている期間でも、ユーザが電気自動車充電器5の利用手続きを行っておくことができる。そして、その後、電気自動車充電器5用に電力配分が可能となる時刻に、充電予約記憶手段3に格納された手続きに基づいて電気自動車への充電動作を開始するよう電力配分手段2がシステムの電力を配分するようになっている。このような作用により、規定の庫内温度の回復に向け自動販売機の温冷機能を占有的に動作させることが必要な期間に電気自動車充電器のユーザが電気自動車の充電開始を希望した場合に、その手続きの操作を行っておくことができる。すなわち、ユーザを待たせて再度の充電開始の操作を行わせることなく、その後に電力配分の準備が整い次第、自動的に電気自動車充電器5の充電動作を開始させることができる。したがって、ユーザは、電気自動車充電器5の動作が可能となる時刻まで待機せずに、電気自動車を充電可能な状態に設定して、買い物など他の行為に移ることができる。
【0105】
なお、上記の実施形態では、ユーザが直接にユーザインタフェース手段9を操作して、電気自動車充電器5の動作のための手続きを行うよう説明した。しかし、上記第3と第4の実施形態では、通信手段15と外部回線16とを介して充電システムに接続されたサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、または携帯電話などの情報端末から、電気自動車充電器5の動作のための手続きを行うよう構成してもよい。
【0106】
また、上記全ての実施形態では、自動販売機4と電気自動車充電器5は同一の筐体内(一体型筐体100)内にその機能が収納される例を示した。しかし、共通の受電装置1から給電され、電力配分手段2により分配された電力によって動作する構成であれば、自動販売機4と電気自動車充電器5とが別筐体により構成されていても良い。
【0107】
また、上記の全ての実施形態では、自動販売機4は冷却される場合を例示して説明したが、ホット用の飲食物を扱うものとして加温される場合についても同様に適用可能である。その場合、商品温冷手段7は冷却の場合と熱の移動方向が逆に構成される。また、温度変化予測テーブル23は、自動販売機4内の商品収納室8の庫内温度の低下を予測するためのデータ群により構成される。また、この場合、保温温度は摂氏+55℃前後を標準温度とするように電力配分手段2が制御動作することになる。
【0108】
また、上記の全ての実施形態では、自動販売機4は缶やペットボトルなどの飲料の販売機である場合を例示して説明した。しかし、冷却による保冷や加熱による保温を必要とするさまざまなものを提供する自動販売機においても、本発明を同様に適用して同様の優れた効果を発揮することができる。例えば、お菓子、アイスクリーム、ホットスナック、おでん缶、ラーメン缶、パン缶、冷凍食品、野菜、卵などを提供する自動販売機でもよい。この場合、それぞれの食品で許容される保存(または提供)温度の範囲は異なり、電力配分を変化させたときの庫内温度の変化、庫内温度を許容温度に維持・回復させるための電力量も異なってくるが、適宜な設計変更によりこれらの違いに対応することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明にかかる電気自動車の充電システムは、既設の自動販売機の置き換え等により電気自動車の充電器を提供する用途に有用である。
【符号の説明】
【0110】
1 受電装置
2 電力配分手段
3 充電予約記憶手段
4 自動販売機
5 電気自動車充電器
13 庫内センサ
23 温度変化予測テーブル
100 一体型筐体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定容量の電力を入力可能な受電部と、
前記受電部に入力された電力を、自動販売機と電気自動車充電器とに適応的に配分する電力配分手段と、
を具備する電気自動車の充電システム。
【請求項2】
前記受電部は、前記自動販売機の最大電力と前記電気自動車充電器の最大電力の合算の電力より少ない電力を入力する
請求項1記載の電気自動車の充電システム。
【請求項3】
前記自動販売機と、
前記電気自動車充電器と、
を具備し、
前記自動販売機、前記電気自動車充電器および前記電力配分手段が一体型筐体に設けられている
請求項1または請求項2に記載の電気自動車の充電システム。
【請求項4】
前記自動販売機の庫内温度を計測する庫内センサと、
庫内温度変化を予測するためのデータが記憶された温度変化予測テーブルを有し、
前記電力配分手段は、
前記庫内センサの計測値および前記温度変化予測テーブルのデータに基づいて、前記庫内温度が所定の温度範囲を外れないように電力を配分する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電気自動車の充電システム。
【請求項5】
前記電力配分手段は、
電気自動車の利用者が設定した終了希望時刻に応じて前記電気自動車の充電が終了するように電力を配分する
請求項1から請求項4に記載の電気自動車の充電システム。
【請求項6】
前記電力配分手段は、
設定された電気自動車の充電予約の開始時刻および/もしくは充電予約の終了時刻にあわせて電力を配分する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電気自動車の充電システム。
【請求項7】
前記電力配分手段は、
前記充電予約の開始時刻に基づいて当該開始時刻の前に前記自動販売機が過冷または過温されるように電力を配分する
請求項6に記載の電気自動車の充電システム。
【請求項8】
利用者による電気自動車の充電開始の指令手続きを記憶する開始指令記憶手段を有し、
前記電力配分手段は、
前記充電開始の指令手続きの直後に、前記自動販売機から前記電気自動車充電器へ電力配分を移し替えられる条件でない場合に、前記開始指令記憶手段に記憶された前記指令手続きに基づいて、前記電気自動車充電器へ電力配分を移し替えられる条件となった後に、前記電気自動車充電器により電気自動車への充電動作が自動的に開始されるように電力を配分する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電気自動車の充電システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−27161(P2013−27161A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160022(P2011−160022)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.GSM
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】