説明

電気自動車及びハイブリッド車の動作システム及び方法

【課題】ハイブリッド発電システムのデータベース及び動作を効率的に作成する。
【解決手段】電気自動車又はハイブリッド電気自動車の動作システムは、車両の位置を特定し(212)、地図にアクセスして地図内の複数のリンクを特定し(210)、この複数のリンクのいずれかが現在地の所定の境界内にあるか否かを判定するためにこの複数のリンクをプレスクリーニングし(214)、可能性がある1つ又は複数のリンクが特定された場合は、車両の現在地を特定されたリンクの1つと照合し(250)、照合された位置に対応する車両の電力データをデータベースにアップロードする(268)ようにプログラムされたコンピュータを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は概してハイブリッド車及び電気自動車に関し、特にハイブリッド車及び電気自動車のエネルギ管理及び動作のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド電気自動車は、内燃エンジンと、大抵は1つ又は複数の電気エネルギ蓄積部品によって電力が供給される電気モータとを組み合わせている。このような組み合わせによって内燃エンジンと電気モータがそれぞれ効率の高い範囲で各々動作できることにより、全体的な燃費が向上する。例えば、電気モータは始動から加速のときの効率が高いが、内燃エンジンは高速道路での運転等、一定のエンジン動作が持続する間の効率が高い。電気モータの初期加速を高めることで、ハイブリッド車の内燃エンジンをより小型で燃費の良いものにできる。
【0003】
従来の多くのハイブリッド車では、電気モータは発電機として動作することによっても制動エネルギを獲得し、このようにして獲得された制動エネルギをエネルギ蓄積部品(ESC)に供給する。バッテリ、ウルトラキャパシタ、又はフライホイール等のESCを用いて、制動又は発電動作中に発生するエネルギを獲得し、その後再利用する。これらの部品は更に、システム内の主要な発電装置への過渡負荷を軽減するための負荷平準化機能も備える。このような設備は、概して、環境又は地形に関する情報が限られているか、或いは情報なしで動作して今後生じ得る事象を予見する予測能力に欠けている。その結果、ESCに無駄な応力がかかるのでESCの使用は最適ではないことが多く、その寿命を縮めることがある。ESCは、応力が確実に限度を超えないように、用途の割にサイズが大きすぎ、そのためシステムのコストが高くなることが多い。このような車両は、大抵、環境や地形に関する情報なしで動作するので、充電や放電事象に対応するために、ESCの充電状態は大抵、ESCの使用可能な蓄積範囲の中間点の近くに維持される。
【0004】
車両が谷間や局所地形の高所に沿って走行する場合、ハイブリッド車のエネルギ回生が最大にならないことがある。例えば、ESCの充電状態が中間点にあって車両が局所地形の高所にある場合、バッテリがフル充電状態になり、それが下り坂の途中で起こると、差し迫った下り坂での回生エネルギ獲得の機会はなくなる。したがって、完全な下り坂での回生エネルギ獲得の機会はなくなってしまう。それに加えて、バッテリはおそらく100%の動力で充電され、応力の限界で動作し、過熱や温度上昇が生じる。地形の低所での始動の場合については逆のことが当てはまり、最高地点に達する前にバッテリの充電を使い果たすとハイブリッドアシストが中断する。
【0005】
大抵の場合、道路を走行中、車両の制御スキームは、高度、経路、地形、及びその他の地形学的な情報等の従来のパラメータに基づいている。このような制御スキームでは、例えば、獲得できる追加の回生エネルギがあるにもかかわらずバッテリがフル充電状態に達することがある。この例では、バッテリがフル充電状態に達した後、通常なら獲得できるはずの回生エネルギの一部が失われ、その結果システム全体の効率が通常の効率よりも低くなる。従来の制御スキームの別の例では、ピーク電力需要によってバッテリバンクが完全に欠乏し、その結果、全体の寿命が短くなることがある。こうした従来のパラメータに基づいて同じ経路に沿って更に走行すると、同じような効率の悪さが繰り返され、過去の又は履歴的な経験から学習できなくなる。
【0006】
制御スキームにこの経験的な知識を含めることで、システムの全体的な効率を最適化すると共に、全体的な寿命を延ばし、将来の経路に沿った走行ができるはずである。この制御スキームには例えば、獲得できる回生電力をフルに活用するためにバッテリバンクの蓄積電力を減らすことを含めてもよく、或いは、経路に沿って走行している間の完全なバッテリ枯渇を避けると共に、バッテリ全体の寿命を縮めかねないバッテリ電力の大量の引き出しを減らすことを含めてもよい。このような制御スキームは、データベースに入力された、将来の使用に活用できる経験的な知識に基づくものであってもよい。これによって、経路に沿った1回又は複数回の走行の後、過去の経験から学習し、経路全体にわたって今後の制御スキームを継続的に改善するために、動作又は制御パラメータを調整することができる。したがって、経路に沿った走行の各々が、システム全体の性能を高め、経路に関するデータが蓄積されるにつれて、現在の動作条件に適合した全体的なピーク性能を得られる。
【0007】
経験的データに後にアクセスできるように、経験的データは大抵、経験的データベースにアップロードされる。しかし、全地球測位システム(GPS)センサの精度許容差によって、GPSの軌跡は車両が走行中の道路とは整合しないことがある。したがって、走行から有用な情報を得ることはできるものの、地図内のリンクと位置とが一致しないのでこれらの情報が失われることがあり、その結果、地図データベース内の既知の位置と適切に関連付けがなされないことがある。更に、GPSセンサを用いて地図内の位置を確定する従来のアルゴリズムは、計算集約的であったり計算の負担が大きかったりする。したがって、GPSセンサ及び関連する電力使用及びその他の統計的情報からの位置読み取りを含む有用なデータが走行から得られるものの、地図データベース内の車両の位置を確定し、経験的データベースにデータをアップロードするためのアルゴリズムが対応できなくなり、リアルタイムでのデータ取得速度について行けなくなるような場合には、有用なデータが失われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7360615B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ハイブリッド発電システムのデータベース及び動作を効率的に作成できるシステム及び方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は上記の欠点を克服するデータベースを作成するシステム及び方法に関する。
【0011】
本発明の態様によると、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の動作システムは、車両の位置を特定し、地図にアクセスし、地図の複数のリンクを特定し、複数のリンクをプレスクリーニングして複数のリンクのいずれかが現在地の所定の境界内にあるか否かを判定し、可能性のある1つ又は複数のリンクを特定すると、車両の現在地を特定されたリンクの1つと照合し、照合された位置に対応する車両の電力データをデータベースにアップロードするようにプログラムされたコンピュータを含む。
【0012】
本発明の別の態様によると、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の動作を制御する方法は、車両の現在地を特定するステップと、地図内のリンクと現在地とに対するプレスクリーニングアルゴリズムを適用するステップと、1つ又は複数のリンクが所定の境界内にあるか否かを判定し、境界内にある場合は事後照合アルゴリズムを介して車両の現在地を地図内のリンクと照合するステップと、リンクに沿って或いは現在地で車両が使用した電力情報を電力使用履歴データベースにアップロードするステップと、を含む。
【0013】
本発明の別の態様によると、コンピュータプログラムを格納し、コンピュータによって実行されると一組の命令を表すコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータに車両の現在地を測位させ、現在地から所定距離内にある地図の可能性のあるリンクを判定するプレスクリーニングアルゴリズムを実行させ、1つ又は複数のリンクが現在地から所定距離内にある場合は、コンピュータに地図照合アルゴリズムを実行させて、1つ又は複数のリンクのどれが、車両が走行する実際のリンクに対応するかを判定し、現在地にある車両に関する電力情報を履歴データベースにアップロードさせる。
【0014】
次の詳細な説明及び図面から、その他様々な特徴及び利点が明らかとなろう。
【0015】
図面では、本発明の1つ又は複数の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態によるハイブリッドシステムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態による車両走行中のエネルギ及び電力使用データを取得し、格納する技術を示すフローチャートである。
【図3】時間を基準にした測定間隔を用いて経路沿いに測定されたデータの例を示すグラフである。
【図4】位置を基準にした測定間隔を用いて経路沿いに測定されたデータの例を示すグラフである。
【図5】そこから情報が測定され、リンクデータベースに格納される本発明の実施形態によるリンクを示す概略図である。
【図6】予測電力使用量を計算し、エネルギ蓄積部品の充電値の状態を最適化する本発明の実施形態による技術を示すフローチャートである。
【図7】地図をスクリーニングし、データベースにデータをアップロードする本発明の実施形態による技術を示すフローチャートである。
【図8】地図データベース中の可能性のあるリンクをプレスクリーニングする本発明の実施形態による技術を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態による位置対リンクテストの態様を示す図である。
【図10】本発明の実施形態による事後照合のためのGSP軌跡上のポイントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、エネルギ蓄積部品の最適化に関する実施形態を含む。本発明は、ハイブリッド車の電力使用の予測を生成し、ハイブリッド車の運転中に得られる電力使用データ及びその他のデータを履歴データベースにアップロードする方法に関する実施形態を含む。本発明をハイブリッド車に関連して説明する。本明細書で説明される実施形態及び方法は、ハイブリッド車、走行距離延長型電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、マルチエネルギ蓄電自動車、及びその類似物に適用可能である。本明細書で説明する実施形態及び方法は、乗用車及び営業車向けのハイブリッド車、並びに機関車及びオフロード車にも適用可能である。また、車両への実装は、この技術の多くの用途の1つであるに過ぎないことも理解されたい。発電、電力消費、及びエネルギ蓄積部品を含むどのようなシステムも、本発明の実施形態を組み込む候補である。
【0018】
図1は、本発明の実施形態を組み込んだ例示的なハイブリッド車10を示す。ハイブリッド車10は、ハイブリッド車10の電気駆動又は牽引駆動機構16を介して車輪又は車軸14に電力を供給するように構成されたエネルギ管理システム(EMS)12を含む。エネルギ管理システム12は更に、ハイブリッド車10の付属部品18に電力を供給するように構成されている。付属部品18には、空調/暖房システム、ラジオ、及び車両の照明システムを含み得るが、これらに限定されない。ハイブリッド車10は、EMS12に結合された内燃エンジン(ICE)等の燃料転換ユニット20を含み、EMS12に結合された燃料電池22を含み得る。エネルギ蓄積部品(ESC)又はESCのバンク24もEMS12に結合されている。ESCは、例えばバッテリである。
【0019】
ハイブリッド車10は、燃料転換ユニット20、燃料電池22、又はESC24から牽引駆動機構16への電力の伝達を選択的に制御するためにEMS12に結合されたコンピュータ/コントローラ26を含む。エネルギ管理システム12は、エネルギ源からDCリンク30へのDC転換が必要な場合はEMS12に入力される各エネルギ源用のDC/DCコンバータ28を含む。図1は、EMS12内の3つのDC/DCコンバータ28を示す。しかし、3つ以上又は3つ未満のDC/DCコンバータ28を含めてもよいと考えられる。更に、燃料転換ユニット20からのトルクをDCリンク30に適するDCエネルギに転換するために、トルク/DCコンバータ32を介して燃料転換ユニット20をエネルギ管理システム12に結合してもよい。
【0020】
燃料転換ユニット20とESC24の両方を制御して入力電力をEMS12に供給することによって、ESC24は、牽引駆動機構16に電力を供給する際に、そこからエネルギを引き出すことによって燃料転換ユニット20を補助する。このようにして、ESC24と燃料転換ユニット20とは、例えば加速又は上り坂での走行中に牽引駆動機構16に同時に電力を供給できる。
【0021】
仮想破線で示す並列構成において、燃料転換ユニット20はクラッチ/トランスミッションアセンブリ34を介して車軸14に結合され得ると考えられる。この構成では、トルク/DCコンバータ32を介したエネルギ管理システム12への燃料転換ユニット20の結合は必要ないであろう。例えばマニホルドを含む油圧式ハイブリッド等の別のハイブリッド構成もここでは考慮され、視野に含まれている。
【0022】
更に、牽引駆動機構16及びEMS12を制御して、ESC24を再充電する再充電電力を供給できる。例えば、ハイブリッド車10の制動動作中、EMS12を制御し、牽引駆動機構16を発電機モードで動作させることによって、車輪又は車軸14で生成されるトルクを電気モータ16に向けることで、ハイブリッド車10を減速又は制動し、そのエネルギを転換してESC24に蓄積することができる。こうして、回生制動中にハイブリッド車10の減速又は停止に用いられるエネルギは、その後に使用してハイブリッド車10又はその付属部品18に電力を供給するために再び捕捉され、ESC24に蓄積される。バッテリ24の充電状態(SOC)の監視は、ESC24からのエネルギの充電及び放電を補助する、ESC24及びコンピュータ26に結合された充電センサ36の状態を介して行われる。
【0023】
図1は更に、複数のセンサ38からの情報を受け取り、受け取った情報をコンピュータ読み取り可能メモリ40に格納するように構成されたコンピュータ26を示す。図2に関連して後述する本発明の実施形態において、コンピュータ26は、ハイブリッド車10が道路網に沿って走行中にセンサ38からデータを受け取り、このセンサからのデータをメモリ40に格納し、更にこれをデータベース42で処理し、そこに格納するように構成される。図6に関連して後述する本発明の実施形態において、コンピュータ26は、データベース42に格納されたデータに基づいてその経路の電力使用量の予測を生成し、これを最適化するように構成される。
【0024】
図1は、例示的なハイブリッド車10に関連して示されているが、本発明の実施形態はこれに限定されない。本発明の実施形態は、例えば燃料転換ユニットを有する、又は有さない、あらゆる電気ベースの車両も含むものと考えられる。本発明の実施形態を組み込む車両の例には、ハイブリッド車、電気自動車(EV)、走行距離延長型電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、マルチエネルギ蓄電自動車、及びその類似物が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
図2は、車両の走行中にエネルギ及び電力使用データを取得及び格納するための本発明の実施形態による技術44を示す。技術44は、図1のコンピュータ26等のコンピュータ又はコントローラにプログラムされる。ブロック46において、車両が或る位置から別の位置へ走行する際に、図1のセンサ38等のセンサを介してデータセットがハイブリッド車から測位又は取得される。測位されるデータの例には、牽引モータの電力使用量、付属部品の負荷電力使用量、車両速度、車両の緯度と経度、及びデータ取得の際の日時のスタンプが含まれるが、これらには限定されない。エネルギ最適化技術に関連するその他の統計やデータも、本発明の実施形態により測位し、履歴データにアップロードできる。
【0026】
一実施形態において、各データセットは、時間間隔(例えば毎秒1回)、又は位置間隔(例えば500フィート毎に一回)等の規則的な測位間隔で測位又は記録される。図3は測位間隔として時間間隔を用いて測位されたデータのグラフの例を示す。図4は、測位間隔として緯度及び経度等の位置間隔を用いて測位されたデータのグラフの例を示す。測位された各データセットは、進行方向や車両の向きにも関連している。
【0027】
図2を再び参照すると、収集された各データセットは、ブロック48において図1のメモリ40等のメモリに格納される。ハイブリッド車が或る位置から別の位置まで走行すると、測位間隔が示すように複数のデータセットが取得及び格納される。しかし、本発明の実施形態によると、勾配、高度、又は地形等の、土地の凹凸又は表面の地形/構造を含む地勢データは格納されない。このように、地形、高度、又は三次元マッピングデータは、予測されるエネルギの最適化には必要ない。
【0028】
格納されたデータは、ブロック50においてセグメント化される。セグメント化によって、格納された取得データは、記録が都合よくデータベースに格納されるように複数のサブレコード又はリンクに分割される。道路地図のネットワーク表現と同様に、リンクは始端ノード及び終端ノードによって一意的に決定される。始端ノード又は終端ノードは、別のリンクの始端又は終端ノードと重複することが多い。ノードの決定は、幾つかの方法で可能である。第1の方法は、ハイブリッド車が走行する経路を含む当該領域のディジタル地図上で決定されたノードによってノードを直接決定する方法である。第2の方法は、記録された電力又は関連する波形の特徴的な変化に基づいてノードを決定する方法である。第3の方法は、周期的軌跡の交点としてノードを設定する方法であり、これはデータベースに格納された測位データを解析して求められる。こうしてノードが決定した後、始端ノードと終端ノードとの間のリンクが特定され、一意的に番号付けされる。
【0029】
ブロック52において、技術44は、セグメント化ブロックで特定されたリンクが図1のデータベース42等のデータベースに既に格納されているリンクと関連しているか否かを判定する。格納されたデータ54とリンクに関連がない場合は、ブロック56において新たなエントリとしてリンクデータがデータベースに追加される。データベース58に以前に格納されたデータとリンクに関連がある場合は、ブロック60において、取得されたデータが既存のリンクデータと結合される。
【0030】
結合ステップでは、同じサイクル及び動作レジームで取得されたデータ及び格納された記録を単一のレコードに結合する。結合ステップでは、同じ指標の測位値を1つの処理プロセスとして最良に表すために、プロセスの変動や測位誤差を考慮に入れる。取得されたデータは、格納されたデータと補間されるか又は平均化される。それに加えて、収集されるデータセットを削減するために、同じ動作レジームでの異なるサイクルを補間又は平均化する。車列の1台又はそれ以上の異なる車両から、或いは、別の日時に取得されたデータをこのように結合することもできる。更に、結合ステップには、時刻又は周囲温度等の独立した指標の枠内にあるサイクルのみに対して行われる結合を含んでもよい。結合レコードの統計は、計算され、格納される。統計には、特定のリンクに沿って走行するハイブリッド車の時間又は頻度の合計を含めてよい。
【0031】
リンクに沿って規則的な間隔で測位された各リンクに関連する電力、速度、及びその他の動作情報は、例えばキー欄としてのリンク識別子(ID)を付して、結合されるか又はデータベースに格納される。表1は、リンクL112についてデータベースに格納されたリンクデータの例を示す。
【0032】
【表1】

【0033】
本発明の実施形態において、表1に示すリンクL112の電力及び速度に関連するデータは、リンクに沿って測位されたポイントに対応するマルチエレメントベクトルである。始端ノードN35等のノードに関連するデータを、データベース内の別個の表に格納してもよい。ノードデータには、そのノードについて測位又は計算された経度や緯度の位置が含まれてもよい。
【0034】
一実施形態において、データベース内のノードIDは、ハイブリッド車がリンクに沿って走行した頻度に加えて、ノードに繋がる、又はノードから繋がる各リンクに関連付けられる。表2は、車両の走行データ記録の頻度と共に、ノードとリンクとの関係の例を示す。
【0035】
【表2】

【0036】
表2に示すように、ノードID N22は、2つの被リンク、及びこれに関連する2つの発リンクを有する。ノードID N23は、4つの被リンク、及びこれに関連する4つの発リンクを有する。
【0037】
取得されたデータが56で格納又は60で結合された後、技術44は、ブロック62で格納又は結合されるべきそれ以上のサブレコード又はリンクについてのデータが残っているか否かを判定する。64においてそれ以上のリンクデータが残っている場合は、プロセス制御はブロック62に戻り、前述のように続行される。66で全てのリンクデータが格納されると、技術44は68で終了する。
【0038】
したがって、技術44は、1つ又は複数のリンクに沿ったハイブリッド車の電気モータ及びその他の電気部品による電力使用量の履歴データを含むデータベースの生成及び格納ステップを含む。リンクは車両によって繰り返し走行され、リンク毎のデータが改善されるので、技術44は、進行中のプロセスとして実行されると考えられる。図6に関して以下に記載するように、技術44を用いて生成されたデータベースに格納されたデータに基づいて、リンク又は予測経路に沿ったエネルギの予測使用量を最適化できる。
【0039】
図5は、本発明の実施形態に従った、これによって情報が測位され、リンクのデータベースに格納されるリンクの概略図又はネットワークを示す。リンク識別子L113で特定される第1のリンク70は、車両72が現在走行中の現在のリンクを表している。第1のリンク70はノード識別子N22で特定される始端ノード74と、ノード識別子N23で特定される終端ノード76とを有する。リンク識別子L110、L114、及びL115で特定される複数のリンク78、80、82はそれぞれ、始端ノードとしてノードN23を有する。リンク78〜82は、ノード識別子N21、N35、及びN25によってそれぞれ特定される終端ノード84、86、88をそれぞれ有する。リンク70、78〜82は指向性であり、例えばノード76からノード84への走行が1つのリンクL110に対応しており、ノード84からノード76への逆方向での走行は別のリンクL109に対応している。
【0040】
図6は、電力の予測使用量、及びエネルギ蓄積部品の充電値の最適化状態を計算するための、本発明の実施形態に従った技術96を示す。技術96は、図1のコンピュータ26等のコンピュータ又はコントローラにプログラムされる。技術96は、車両の現在地をデータベース内のリンクに関連付けることによってブロック98から開始する。リンクは、例えば、全地球測位システム(GPS)センサを用いて車両の緯度及び経度或いは車両の位置、並びに車両の走行方向を測位することによって見つかる。車両の位置データは、データベース内のリンクの終端ノードの位置データ、及び終端ノード間で補間される位置と比較される。ブロック100において、技術96は、車両位置及び車両の走行方向に対応するデータを有するリンクがデータベースから見つかったか否かを判定する。
【0041】
102においてデータベースからリンクが全く見つからない場合は、データベースには履歴データが存在しないので、ブロック104においては既存の又は従来のESC制御を用いる。一実施形態によると、従来のESC制御では、充電状態値の範囲の中間値に向けてハイブリッド車のエネルギ蓄積部品(1つ又は複数)の充電状態を制御する。例えば、ハイブリッド車のエネルギ蓄積部品の充電状態の既定値は、エネルギ蓄積部品の最大充電値と最小充電値の間の中間値に設定される。106においてリンクが見つかると、リンクは現在のリンクとして設定され、ブロック108において現在のリンクの履歴値がデータベースから取得される。本発明の実施形態では、現在のリンクの地形データ、勾配、高度、又は地勢は取得されない。
【0042】
ブロック110において、現在のリンク内の車両の位置が特定され、車両が現在のリンクの終点に達するまでに要するであろう時間が計算される。一実施形態において、技術96は、予測される電力使用量を計算し、或る時間帯又は時間間隔にわたってハイブリッド車のエネルギ蓄積部品の充電状態の値を最適化する。例えば、充電状態設定の最適化には、5分間隔の設定の最適化が含まれる。ここでは、別の時間間隔も考えられる。図5は、車両72の現在地から走行方向に延びる時間帯90の例を示す。
【0043】
ブロック112において、技術96は、車両が現在のリンクの終端に到達するまでの、計算された時間が、この時間帯よりも長いか否かを判定する。114において、車両が現在のリンク内で走行する計算された時間がこの時間帯よりも長い場合は、ブロック108で取得した履歴値に基づいて、時間帯に基づいて、並びに車両位置に基づいて、ハイブリッド車の電力の予測使用量が計算される。例えば、図5は、車両72の位置で始まる時間帯90が、車両72の位置がリンクL113に到達するまでの予測時間よりも短いことを示している。
【0044】
車両が時間帯118の終了以前に現在のリンクの終端に到達し、別の今後のリンクを経て走行を続けるものと予測される場合、技術96は、電力の予測使用量を計算する際に今後のリンクに基づくデータを含む。したがって、技術96は、車両が現在のリンクの終端ノードに到達した後に走行する1つ又は複数の今後のリンク120を特定するステップを含む。一実施形態において、現在のリンクの終端ノードと共通の始端ノードを有する全てのリンクを選択して、リンクを特定する。今後のリンクの特定では、必要に応じて、現在のリンクとは反対方向に走行するリンクを無視してもよい。
【0045】
ブロック120において今後のリンクを特定した後、ブロック122において今後のリンク(1つ又は複数)に関連するデータを検索するために、格納された履歴値のデータベースにクエリーを行う。例えば、電力使用量の履歴データ、リンク走行頻度、及び特定される今後のリンクそれぞれの別の統計を検索できる。加えて、現在の時刻又は車種に関連するデータ等の関連するリンクデータを検索する一方で、異なる時刻に関連するリンクデータを無視できる。本発明の実施形態によると、検索されたデータに地形データはない。
【0046】
ブロック124において、時間帯及び車両位置、並びに、予測される車両の走行に対応する現在と今後のリンクの部分の取得された履歴値に基づいて、電力の予測使用量が計算される。一実施形態において、今後のリンク走行に基づく電力の予測使用量の部分が、現在のリンクの終端ノードに到達した後、最大の走行頻度がある今後のリンクのみから特定される。例えば、図5及び上記の表2の10〜12行目を参照すると、車両72の位置94に基づく時間帯92(仮想破線で示す)が、リンクL113の終端ノードN23を越えて延びている。表2に示すように、車両72がリンクL113上を走行した後でノードN23を越えて走行する場合については、リンクL110がリンクL114及びL115よりも高い走行頻度を有する。この実施形態においては、電力の予測使用量を計算するために、現在のリンクL113及び最も可能性が高い今後のリンクL110のそれぞれの部分が用いられる。
【0047】
別の実施形態において、今後のリンク走行に基づく電力の予測使用量の部分が、現在のリンクの終端ノードに到達した後の走行頻度に基づいて、可能性がある今後のリンクの幾つか又は全部の加重平均から特定される。例えば、図5及び上記の表2の10〜12行を参照すると、車両72の位置94に基づいて、リンクL110、L114、及びL115の部分は各々、今後のリンク走行に基づく電力の予測使用量の計算のその部分に関与している。この実施形態において、リンクL110、L114、及びL115からの関連データはそれらの頻度に基づいて重み0.80、0.15、及び0.05をそれぞれ加重して平均化される。
【0048】
車両が走行するものと予測されるリンク(1つ又は複数)に沿って以前に測位された電力の予測使用の需要履歴に基づいて、ブロック116又はブロック124のいずれかで計算された電力の予測使用量から、充電状態の中間値以上又は未満であるハイブリッド車のバッテリ又はエネルギ蓄積部品のバイアス用充電状態設定点を決定し、バッテリの電力使用量を最適化する。バイアス用充電状態設定点は、ブロック126で特定のコスト関数に基づいて最適化される。コスト関数を用いて、エンジンと共に使用されるエネルギ蓄積部品、又は燃料電池の動作の最適化が、車両にもたらされる。バッテリ使用及びエネルギ管理の別の態様にコストを割り当てることによって、車両システムのライフサイクルコストを削減できる。コスト関数の例には、アンペア時間容量、放電深度、充電及び放電率、燃料コンバータの動作点(効率)、排出量等がある。このように、バッテリの最適化に、寿命と効率コストとのバランスを考慮に入れることができる。
【0049】
充電状態設定の最適化により、電力使用量が増加する期間中における昇圧電力供給の大量の又は持続する電力要求の直前に、バッテリがほぼフル充電状態になるように、車両走行の予測経路に沿ったバイアス用充電状態の設定点を設定できる。充電状態設定の最適化により、予測経路に沿ったバイアス用充電状態設定点も設定できるので、大量の又は持続する発電の機会の直前にバッテリをほぼフル充電状態にし、牽引モータの回生制動によってバッテリを次のバイアス用充電状態設定点まで再充電できる。更に、充電状態設定点の最適化により、バッテリの充電及び放電を最適化し、バッテリの寿命を延ばすことができる。例えば、充電の機会が長くなるという履歴データによる知見に基づいて、充電率を下げてもよい。このように、バッテリが例えば10マイルの道路区間の最初の2マイルにわたって急速に再充電される一方、後半の8マイルの区間は再充電されないのではなく、10マイルの道路区間にわたってゆっくりと100%の充電状態まで再充電される。このように、バッテリへの応力を小さくし、抵抗損を少なくし、結晶の成長を制御し、バッテリの温度を低くすることの全てが、充電損を考慮して効率を高めつつ、バッテリの寿命を延ばすことに寄与する。
【0050】
このように、充電状態設定の最適化には、車両の予測走行経路に沿ったエンジン又は燃料電池とエネルギ蓄積部品の使用の最適化が含まれる。例えば、最適化された充電状態の設定により、図1のコンピュータ26でESC24の現在の充電状態を低レベルに下げることによって、加速期間中、コスト関数に基づいて燃料転換ユニット20を効率的に使用できる。最適化された充電状態の設定によって更に、図1のコンピュータ26にESC24の現在の充電状態を予測電力によって設定された高レベルに上昇させることで、負の電動力の使用期間中、コスト関数に基づいて回生制動を効率的に利用できる。加えて、最適化された充電状態設定によって、回生制動の機会が間近ではない場合でも、コンピュータ24が、牽引モータ16を発電モードで動作させてESC24の現在の充電状態をより高いレベルに上昇させることで、来たる電力需要の増加期間中に監視モード又は牽引モードにある牽引モータ16を用いて、その後に持続的な昇圧電力を供給できる。
【0051】
126で充電状態設定を最適化した後、ハイブリッド車が予測経路に沿って走行中、ブロック128において、最適化された充電状態設定に従ってESCの充電状態を調整する。図1も参照すると、現在のリンク内のハイブリッド車10の現在地に従って最適化された充電状態設定から設定されたバイアス用充電状態設定点の目標が、充電状態センサ36によって測位又は判定されたESCの現在の充電状態よりも低い場合、最適化された充電状態設定によって、コンピュータ26は、ESC24の現在の充電状態を、最適化された充電状態設定から設定された設定点よりも低いバイアス用充電状態設定点に下降させる。ESCの充電状態の下降は、ESC24を介して牽引モータ16を監視モード又は牽引モードで動作させて行われる。現在のリンク内のハイブリッド車10の現在地に従って最適化された充電状態設定から設定されたバイアス用充電状態設定点が現在のESCの充電状態よりも高い場合、最適化された充電状態設定によって、コンピュータ26は、バッテリ24を最適化された充電状態設定から設定された設定点よりも高いバイアス用充電状態設定点まで充電する。ESCの充電状態の増加は、燃料転換ユニット20からの電力がEMS12に全く供給されない回生制動モード中、又は燃料転換ユニット20からEMS12への電力の一部の伝達中に行われる。
【0052】
現在のリンク内の予測経路に沿ったハイブリッド車10の現在地は、例えば位置センサ38から、又は時間間隔を用いて特定される。車両が走行している現在のリンクが、現在の最適化された充電状態設定向けに設定されたリンクとは異なると判定された場合、新たな最適化された充電状態設定のセットが前述のように生成される。
【0053】
本発明の実施形態によると、ハイブリッド電力システムのエネルギ蓄積部品を来たる事象に向けて準備できる。即ち、未知の今後の事象に向けて電力を供給するために50%の充電状態を維持するように設定された大型のエネルギ蓄積部品を備えるのではなく、充電状態制御のために既知の今後の電力需要を活用することによってより小型のエネルギ蓄積部品を使用できる。したがって、本発明の実施形態に従ったエネルギ蓄積部品の制御によって、より小型のデバイスを用いて、且つ、高電流充電及び放電のような寿命に影響を及ぼす応力が低くなることから寿命が延びることで、コストを削減できる。
【0054】
次に図7を参照すると、データベースへのアクセス、車両制御、及びデータベースのアップロードのための、本発明の実施形態に従った全体的なスキーム200が示されている。スキーム200は、好ましくは電気自動車又はハイブリッド車が或る位置から別の位置に走行するためのコントローラ又はコンピュータシステムに実装される。スキーム200は、ブロック202から始まり、ブロック204で地図データベースがロードされ、ブロック206で地図リンクに転換される。大抵の場合、地図リンクは、例えば道路の交差点等の地図上の既知の特徴、既知の住所、又は地図の座標で特定される。一実施形態において、ブロック208で経路をロードし、別の実施形態においては、ブロック208で走行中にリアルタイムで経路にアクセスする。ブロック210において履歴データベースにアクセスし、一実施形態では、データベースの履歴リンクが、ステップ206で転換された地図リンクと相関される。したがって、例えば地図上の交差点を、履歴データベース内のノード位置に対応する、地図データベース内のノードとして特定できる。履歴データベース内で画定されたノードを、地図内の既知の特徴と相関させ得ることは、当業者には理解できよう。経路に沿った車両の現在地がブロック212において、例えばGPSユニットによって特定され、図8及び9で後述するように、ブロック214において現在地が地図のリンクに対してプレスクリーニングされる。
【0055】
図8を参照すると、図7のプレスクリーニングブロック214が本発明の実施形態に従ったプレスクリーニングプロセス又は技術216として示されている。技術216は、ブロック218で開始し、地図リンクと車両の現在地とを相関させるために、可能性がある1つ又は複数のリンクを見つける初期照合又は位置−リンク距離テスト220を行う。テスト220には、例えば図7のブロック212に関して記載したGSPシステムによってハイブリッド車の現在地が判明しているという前提が含まれている。
【0056】
大抵の場合、地図データベースには前述のように、始端及び終端ノード(すなわち交差点、住所、地図の座標等)によって一意的に決定されたリンクが含まれる。本発明の実施形態によると、位置−リンク距離テスト220には、車両の現在地から地図データベース内のリンクまでの距離計算が含まれる。一実施形態において、距離計算では、現在地から地図データベース内の各リンクの最も近い部分までの距離を計算する。距離計算に基づいて、テスト220は、車両の現在地から遠く離れた地図データベース内のリンクを選別して除外することで、可能性がある1つ又は複数のリンクを迅速に見つけ出し、地図上の車両位置の真の位置を特定又は推定するアルゴリズムを含む。
【0057】
図9を参照すると、本発明の実施形態に従った図8の位置−リンクテスト220の要素が示されている。テスト220には、位置「i」とリンク「m」の終点A及びBとの間の距離を特定し、特定された距離を用いて地図データベース内の全てのリンクを迅速にスクリーニングするステップが含まれる。地図データベースは、履歴データベースと相関しているので、地図リンクが特定されると、本発明の実施形態に従って、これに対応する履歴データが得られ、車両の制御パラメータが決定される。更に、地図データベース上のリンクは直線的とは限らず、関連する曲率を有する場合があることは認識されているが、位置−リンク距離テストがリンクの距離(すなわちlm)は直線的であるという前提に基づいてもよいことは、当業者には理解できよう。
【0058】
変数hは、位置iからリンクmまでの距離を表し、変数εは地図内で候補のリンクを見つけるためにどのレベルのスクリーニングが必要であるかに基づいて選択されるパラメータである。一実施形態において、εは、例えば5メートルといったGPSの精度に関するパラメータに対応するように選択される。別の例において、地図データベース内の全リンクの99%、又はそれ以上の大きなパーセンテージを除外しつつ、可能性のある地図リンクの大部分をスクリーニングするために、εは例えば100メートルといったかなり長い距離に設定される。説明の便宜上、いずれのε>0、h≧εについても、位置iからリンクmのノードA、Bのいずれかまでの距離がlmax+2εよりも大きく、lmaxは地図データベースの全てのリンクの中での最大のリンク長さであり、図9の角度α及びβがいずれも90°よりも大きいものとする。図示の三角形によると、以下の不等式が生じる。
【0059】
h≧a−lm1;h≧b−lm2
したがって、
h≧(a+b−l)/2≧(a+b−lmax)/2
≧(max(a,b)−lmax)/2
となる。そこで、h≧εならば、
(max(a,b)−lmax)/2≧ε
となる。したがって、
方程式1: max(a,b)≧lmax+2ε
となる。
【0060】
このように、現在地に基づいて、それぞれのノードA、Bまでの距離a、bを求め、その最大値を単純合計lmax+2εと比較できる。前述のように、lmaxは地図データベース内の最大リンク長さであり、εはプリセットされた値(一例では5メートル、別の例では100メートル)である。したがって、ハイブリッド車の現在地に近く、現在地から距離ε内にあるリンクについて地図データベースを迅速にスクリーニングするために、方程式1に従って単純な長さ−ノード計算を行って、単純な比較を行うことができる。基準に合致しないリンクは破棄され、基準に合致する残りのリンクは、測位された現在地からの距離が計算される、可能性のあるリンクとなる。
【0061】
図8に戻ってこれを参照すると、方程式1に関して説明したように、ブロック222でクエリーが行われる。ブロック222が224を通過すると(すなわち、地図データベースの1つ又は複数のリンクが方程式1の基準に合致すると)、最も近い候補のリンクを特定し、後述するこれに続く照合ステップを行うために、ブロック226で例えばコンピュータアルゴリズムにフラグが示される。ブロック222が228で基準を通過しない場合、ブロック230でオフロードフラグが示され、方程式1で定められた境界内にリンクは存在しないとみなされる。プレスクリーニング技術216は、ブロック232で終了する。
【0062】
図7に戻ってこれを参照すると、前述のように技術200のプレスクリーニングブロック214は、車両がオフロードであるか否か、又は後続の照合ブロックが実行されるか否かを示すフラグを設定する。決定ブロック234を参照すると、236でオフロードフラグが設定された場合、従来の制御スキームが実行される。一実施形態によると、ブロック238で幾つかの連続位置(すなわち、「K」箇所の位置−1以上よりも大きい、例えば10といった整数)にオフロードのフラグが設定されているか否かの判定がなされる。240で否である場合は、ブロック242で従来の車両制御スキームを実行し、プロセス制御はブロック212に戻る。しかし、244でK箇所の連続位置にオフロードのフラグが設定されている場合は、次のM箇所の位置について測位し、M箇所の位置がオフロード位置であることを想定しつつM箇所の位置のプレスクリーニングを行わずに246で従来の制御を実行する。その結果、本発明の実施形態に従って、計算上の負担が軽減される。車両が実際にオフロードを走行する場合もあれば、データベースが作成された後に建設された新たな道路の場合のように、地図リンクデータベースに未だ入力されていない道路を車両が走行することもあることを理解されたい。
【0063】
本発明の実施形態において、Mは1よりも大きい値の整数で、例えば10等である。別の実施形態において、MはKに等しく設定され、Kは1よりも大きいどの整数に設定されてもよい。したがって、スキーム200は、車両がオフロードであるかを判定するループを含み、幾つかの連続位置がオフロードである場合は、それ以上の計算を省く方法又は手段を含む。車両がオフロードである場合、地図上にこれに関連するリンクが存在しないので、履歴データは保存されない。車両の1つ又は複数の位置がオフロード位置に対応しなくても、M位置の各々がプレスクリーニングされるべき場合は、このような履歴データの損失があっても、技術200によって計算需要が全体的に低減されることに鑑みると、これは最小限であると考えられる。
【0064】
引き続き図7を参照すると、ブロック234において、ハイブリッド車がオフロードではないと判定されると(248、すなわち大抵は、スクリーニングされる位置の大部分で生じることがある後続の照合のフラグの設定)、ブロック250で地図照合アルゴリズムが実行され、一実施形態によると、ブロック250は前述のように後続の照合アルゴリズムを含む。1つ又は複数の地図リンクが方程式1の基準に合致することが判明し、後続の照合アルゴリズムにフラグが設定されると、車両位置に対応するリンクは、本発明の実施形態によるGPS位置の軌跡に基づくものでよい。
【0065】
図10を参照すると、本発明の実施形態に従って、地図の軌跡に沿った後続の照合GPSポイントについてのGPS軌跡上のポイントが示されている。この実施形態によると、軌跡252は、後続の照合GPS位置256用の境界としての役割を果たす境界又は値254σを含む。現在のGPSの位置、及び現在地が概して平行であるか、又は地図リンクを概して辿っているか否かに基づいて、GPSの位置256を軌跡252に相関させることができる。一実施形態において、σは20メートルであるが、特定の用途に応じて値254の境界は異なる値でもよいことが、当業者には理解できよう。したがって、方程式1で特定された最も近い地図リンク(1つ又は複数)内のポイントまでの距離を計算上はやや面倒な形態で計算する代わりに、測位された位置256が以前に判定された地図リンクの軌跡を概して辿っているか否かを判定する簡単な判定を行うことができ、そうである場合は、アルゴリズムは車両がリンクから逸れていないものと判定して現在地を特定し、最後のリンクと再び相関させるか又は照合する。本発明の実施形態において、軌跡252は図示のように直線方向でもよいが、軌跡252には曲線も含まれ、測位されたGPS位置256をこれと相関させてもよいことを理解されたい。リンクが特定され、それが車両の現在地に基づく場合は、現在のGPS位置に対応し、特定されたリンクに沿った位置で履歴データベースにアクセスできる。
【0066】
このように、図7に戻ってこれを参照すると、ブロック258において、前述のように現在の履歴データベースの位置を特定した後、スキーム200は現在の位置及びリンクに関する履歴データが得られるか否かを判定する。260でそうであると判定されると、車両の制御には、前述のようにブロック262で利用可能な履歴データを利用することが含まれる。264で否と判定されると(すなわち、この位置について所定位置の以前のデータが履歴データベースにアップロードされていない場合)、ブロック266における車両の制御は従来のものとなる。車両の制御に履歴データが含まれるか否かに関わらず、走行は既知の地図リンクに沿って行われるので、ブロック268では電力と、加速、減速、停止−始動情報等のハイブリッド車の動作に関するその他の統計的データとを履歴データベースにアップロードでき、履歴データベースは(A)以前に測位されたデータに基づく制御スキームを決定するため、及び(B)リンクに沿った現在の通過に関する情報でのアップデートの両方に利用される。ブロック268でのアップロードの後、ブロック270は最後の位置(すなわち移動の終点)に到達したか否かを判定する。272で否と判定された場合、プロセス制御はブロック212に戻り、そこで現在地が特定され、プロセスはブロック214でのプレスクリーニングによって繰り返される。274で最後の位置である場合、スキーム200はブロック276で終了する。
【0067】
このように、スキーム200は、現在地の特定とプレスクリーニングを迅速に行い、後続の照合アルゴリズムを用いて迅速に地図の照合を行うことによって、高い計算効率で動作する。取得可能な履歴データを利用して所定のリンクでのシステム効率全体を向上させることができ、リンク横断中に学習した情報をデータベースにアップロードして、今後の横断中の電力使用量及びその他の重要な制御情報を更に改善できる。一連の位置に関してオフロード運転であると判定された場合、スキーム200は、後続の一連の位置もオフロードであると想定することによって遅延の可能性を避けられる。
【0068】
開示したシステム及び方法の技術的な貢献は、ハイブリッド車及び電気自動車のエネルギ管理及び動作のためのデータベースを作成するコンピュータ実装システム及び方法を提供することにある。
【0069】
したがって、本発明の実施形態によると、電気自動車又はハイブリッド車の動作システムは、車両の位置を特定し、地図にアクセスして地図内の複数のリンクを特定し、複数のリンクをプレスクリーニングして複数のリンクのいずれかが現在地の所定の境界内にあるか否かを判定し、可能性がある1つ又は複数のリンクが特定された場合は、車両の現在地を特定されたリンクの1つと照合し、整合する位置に対応する車両の電力データをデータベースにアップロードするようにプログラムされたコンピュータを含む。
【0070】
本発明の別の実施形態によると、電気自動車又はハイブリッド車の動作を制御する方法は、車両の現在地を特定するステップと、地図内のリンクと現在地とに関するプレスクリーニングアルゴリズムを適用するステップと、1つ又は複数のリンクが所定の境界にあるか否かを判定し、境界内にある場合は事後照合アルゴリズムを用いて車両の現在地を地図内のリンクと照合するステップと、リンクに沿って車両が利用した、並びに現在地で車両が利用した電力情報を電力使用履歴データベースにアップロードするステップと、を含む。
【0071】
本発明の別の実施形態によると、コンピュータプログラムを格納し、コンピュータによって実行されると一組の命令を表すコンピュータ読み取り可能な媒体によって、コンピュータは、車両の現在地を測位し、現在地から所定距離内にある地図の可能性のあるリンクを判定するプレスクリーニングアルゴリズムを実行し、1つ又は複数のリンクが現在地から所定距離内にある場合、コンピュータは、地図照合アルゴリズムを実行して、1つ又は複数のリンクのどれが、車両が走行している実際のリンクに対応するかを判定し、現在地にある車両に関する電力情報を履歴データベースにアップロードする。
【0072】
限られた数の実施形態に関してのみ本発明を説明したが、本発明はこうした開示の実施形態に限定されないことは明らかであろう。むしろ、本発明を修正して、これまで説明しなかった変形、改変、置換、又は等価の措置を幾つでも組み込むことができ、これらも本発明の特許請求の範囲に含まれる。本発明の様々な実施形態を説明してきたが、したがって本発明の態様には、説明した実施形態の一部を含むのみでもよいことを理解されたい。故に、本発明は、以上の説明に限定されると解釈されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0073】
10 ハイブリッド車
12 エネルギ管理システム(EMS)
14 車輪又は車軸
16 牽引駆動機構
18 付属部品
20 燃料転換ユニット
22 燃料電池
24 エネルギ蓄積部品(ESC)又はESCのバンク
26 コンピュータ/コントローラ
28 DC/DCコンバータ
30 DCリンク
32 トルク/DCコンバータ
34 クラッチ/トランスミッションアセンブリ
36 充電センサ
38 複数のセンサ
40 コンピュータ読み取り可能メモリ
42 データベース
44 技術
46 データ取得する
48 取得したデータを格納する
50 取得したデータをセグメント化する
52 リンクは見つかったか?
54 NO
56 新たなデータを格納する
58 YES
60 取得したデータと既存のデータとを結合し、格納する
62 全てのリンクが保存されたか?
64 NO
66 YES
68 終了
70 第1のリンク
72 車両
74 始端ノード
76 終端ノード
78 リンク
80 リンク
82 リンク
84 終端ノード
86 終端ノード
88 終端ノード
90 時間帯
92 時間帯
94 位置
96 技術
98 車両の現在地をデータベース内のリンクと関連付ける
100 リンクは見つかったか?
102 NO
104 従来のESC制御を使用する
106 YES
108 現在のリンクについて履歴値を取得する
110 現在のリンク内の車両の位置を特定し、現在のリンクの終端に到達するまでの時間を計算する
112 時間は時間帯よりも長いか?
114 YES
116 現在のリンクの履歴値に基づいて予測電力を計算する
118 NO
120 今後のリンク(1つ又は複数)を特定する
122 今後のリンク(1つ又は複数)についてデータベースにクエリーを行う
124 現在及び今後のリンク(1つ又は複数)の履歴値に基づいて予測電力を計算する
126 特定されたコスト関数に基づいてSOCの設定を最適化する
128 SOCを調整する
200 スキーム
202 開始
204 オープンストリートマップをロードする
206 リンクに転換する
208 経路にアクセスする
210 履歴データベースにアクセスする
212 現在地を特定する
214 プレスクリーニングを行う
216 プレスクリーニングプロセス又は技術
218 開始
220 ポイント−リンク距離テスト
222 リンクは見つかったか?
224 YES
226 後続の照合フラグを設定する
228 NO
230 オフロードのフラグを設定する
232 終了
234 オフロードのフラグが設定されたか?
236 YES
238 K箇所のポイントがオフロードか?
240 NO
242 従来の制御
244 YES
246 次のM箇所のポイントについて従来の制御
248 NO
250 地図の照合
252 軌跡
254 境界又は値
256 GPSの位置
258 履歴データは取得できるか?
260 YES
262 制御に履歴データを含める
264 NO
266 従来の制御
268 データベースにアップロードする
270 最後の位置か?
272 NO
274 YES
276 終了

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車又はハイブリッド電気自動車の動作システムであって、
車両の位置を特定し(212)、
地図にアクセスして該地図内の複数のリンクを特定し(210)、
前記複数のリンクのいずれかが現在地の所定の境界内にあるか否かを判定するために前記複数のリンクをプレスクリーニングし(214)、
可能性がある1つ又は複数のリンクが特定された場合は(222)、
前記車両の前記現在地を、特定された前記リンクの1つと照合し(250)、
前記照合された位置に対応する前記車両の電力データをデータベースにアップロードする(268)ようにプログラムされたコンピュータを含むシステム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記可能性があるリンクのプールをプレスクリーニングする(214)ようにプログラムされる際に、位置−リンク距離テスト(220)を介してどのリンクが前記現在地の所定の境界内にあるかを特定するようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記車両の前記現在地を前記特定されたリンクの1つと照合するようにプログラムされる(250)際に、後続の照合アルゴリズムを用いて前記車両の前記現在地を前記特定されたリンクの1つに照合するようにプログラムされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータは、可能性があるリンクが全く特定されない場合は、前記車両の前記現在地がオフロードであると判定する(230)ようにプログラムされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータは、
オフロードであると判定された連続的に特定された現在地の数(K)を算出し(244)、
前記Kが閾値以上である場合は、後続の特定された現在地の次の数(M)をオフロードに設定するようにプログラムされ、前記K及びMはそれぞれ1よりも大きい整数である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピュータは、可能性がある1つ又は複数のリンクが特定されると(260)、
前記現在地と照合された前記リンクに対応する前記データベースから履歴電力データを取得し(258)、
前記取得された履歴データに基づいて前記車両の動作を制御する(262)ようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンピュータは、全地球測位システム(GPS)センサを用いて前記車両の前記現在地を特定する(212)ようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−187048(P2011−187048A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−12494(P2011−12494)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】