説明

電気装置および電気機器

【課題】一対の回路基板の収容空間を小さくできるとともに、回路基板を個別に支持することを要しない電気装置およびこの電気装置を具備する電気機器を提供する。
【解決手段】電気装置1は、電子部品5,6が実装された一対の回路基板2,3と、巻線14が巻回される本体部7、本体部7の巻線14が巻回される軸方向の両側に設けられた一対の取付け部8,8および一対の取付け部8,8を貫通して各取付け部8,8から外方に突出するように各取付け部8,8に固定されるとともに本体部7に巻回された巻線14が接続される少なくとも一対の接続ピン9,9を有し、一対の取付け部8,8に一対の回路基板2,3がそれぞれ対向するように取り付けられるとともに、各接続ピン9,9が回路基板2,3に電気接続されている巻線部品4を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、少なくとも一対の回路基板および巻線部品を有して形成される電気装置およびこの電気装置を具備する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器においては、従来から回路基板の小形化や回路ユニットの共通化のために、複数の回路基板を組み合わせることが行われている。すなわち、複数の回路基板を3次元的に組み合わせると、回路基板の幅寸法を抑えることができ、小形化が図れる。また、回路ユニット毎に回路基板を構成し、回路ユニットの組み合わせを可変とすることで多品種の回路基板構造体を製造することができ、回路ユニットも共通化できるためコスト的にもメリットがある。
【0003】
複数の回路基板は、使用回路部品を分割して搭載しており、例えば相対向してケースなどに配置されている(例えば特許文献1参照。)。ここで、各回路基板は、ケースなどにそれぞれ固定され、回路基板同士は、各回路基板に取り付けたコネクタ同士の接続やジャンパー線などにより接続されているものがある。コネクタやジャンパー線を用いると、その分、部品点数が増加し、部品コストが無視できないものである。
【0004】
また、2枚の回路基板を交差するように組み合わせて、両者の接続パターンをはんだにより電気接続する放電ランプ点灯装置が提案されている(特許文献2参照。)。すなわち、第1の回路基板の挿通孔に第2の回路基板の接続片が挿入されて貫通した状態で、第1および第2の回路基板の接続パターン間にはんだ付けを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−1697号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2008−109067号公報(第4−5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回路基板同士を電気接続するために、各回路基板にコネクタを設けると、部品点数が増加してコストアップするとともに、コネクタの実装スペースが必要となってその分回路基板が大形化するという欠点を有する。また、各回路基板をケースなどに支持する支持構造が必要となるという欠点を有する。
【0007】
また、2枚の回路基板を交差するように組み合わせると、両者の回路基板による3次元の占有空間が大きくなり、ケースなどの外囲器が大形化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の電気装置は、一対の回路基板および巻線部品を有して構成される。
【0009】
一対の回路基板は、それぞれ電子部品が実装され、電気装置の電気回路が形成される。
【0010】
巻線部品は、本体部、一対の取付け部および少なくとも一対の接続ピンを有して形成される。本体部は、巻線が巻回される。一対の取付け部は、本体部の巻線が巻回される軸方向の両側に設けられ、一対の回路基板がそれぞれ対向するように取り付けられる。一対の接続ピンは、それぞれ一対の取付け部を貫通して各取付け部から外方に突出するように各取付け部に固定される。そして、一対の接続ピンは、本体部に巻回される巻線の両端をそれぞれ電気接続し、回路基板において電子部品に電気接続される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態の電気装置によれば、巻線部品は、その一対の取付け部が一対の回路基板をそれぞれ対向するように取り付け、その一対の接続ピンがその本体部に巻回された巻線を接続するとともに回路基板に実装された電子部品に電気接続されるので、一対の回路基板同士を接続するコネクタやジャンパー線などの電気接続手段を省略することができ、また、一対の回路基板を個別に電気装置を収容するケースや外囲器などへ支持することが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1を示す巻線部品であり、(a)は概略上面図、(b)は概略縦断面図である。
【図2】同じく、電気装置の一部概略縦断面図である。
【図3】本発明の実施例2を示す電気装置の一部概略縦断面図である。
【図4】同じく、電気装置の一部概略上面図である。
【図5】本発明の実施例3を示す電気機器のブロック図である。
【図6】本発明の実施例4を示すLEDランプの概略正面図である。
【図7】同じく、LEDランプの概略縦断面図である。
【図8】同じく、回路基板の形状および取付を示すLEDランプの一部概略縦断面図である。
【図9】本発明の実施例5を示す照明器具の一部切り欠き概略側面図である。
【図10】本発明の実施例6を示す照明器具の一部切り欠き概略側面図である。
【図11】同じく、照明器具の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1の電気装置1は、図1および図2に示すように構成される。図2において、電気装置1は、一対の回路基板2,3および巻線部品4を有して構成されている。電気装置1は、それらの構成要素をさらにケースに収容して構成してもよく、そのまま外囲器や電気機器本体などの装置本体に収容するものであってもよい。
【0015】
一対の回路基板2,3は、例えばガラスエポキシ材からなり、それぞれ平板の長方形に形成されている。そして、回路基板2,3の一方の面2a,3aにそれぞれ電子部品5,6などの多数の図示しない回路部品が実装され、それらの回路部品は、回路基板2,3に形成された図示しない配線パターンにより電気接続されている。回路基板2,3に実装された回路部品は、巻線部品4により電気接続されている。回路基板2,3の回路部品および配線パターンと、巻線部品4とにより、電気装置1の電気回路が形成されている。
【0016】
なお、回路基板2,3は、その他方の面2b,3bに電子部品などを実装してもよい。また、回路基板2,3は、その材質、形状や大きさなどを特に問わないものであり、それらが互いに異なっていてもよい。
【0017】
巻線部品4は、図1に示すように、樹脂成型により一体に形成された本体部7および一対の取付け部8,8と、金属製の棒状体によって形成された一対の接続ピン9,9と、さらに接続ピン9と同一に形成された他の接続ピン10,11を有している。本体部7および一対の取付け部8,8は、例えばフェノール樹脂からなり、一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11は、例えば黄銅からなる。
【0018】
本体部7は、円筒に形成され、その内側の貫通孔12に一対のEコア13,13が挿入され、その外側に巻線14が巻回されている。巻線14は、図示しないテーピングにより本体部7に固定されている。本体部7は、巻線14が巻回される巻線枠となっている。
【0019】
一対の取付け部8,8は、巻線14が巻回される軸方向の本体部7の両側に設けられ、平面部8aおよびこの平面部8aの両側に本体部7から遠ざかる方向に直角に起立した立上部8b,8bを有する縦断面凹形の長方形に形成されている。貫通孔12は、平面部8aから直方体形状に形成されている。一対のEコア13,13は、平面部8a,8aから貫通孔12に挿入され、図示しないテーピングにより平面部8a,8aに固定されている。
【0020】
一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11は、一対の取付け部8,8の平面部8a,8aの4隅側に設けられた図示しない孔に嵌入され、平面部8a,8aを貫通して本体部7から遠ざかる外方に突出するように一対の取付け部8,8に固定されている。そして、一対の接続ピン9,9に巻線14の両端が接続されている。こうして、巻線部品4は、電気装置1の電気回路の一部品例えばインダクタを構成するものである。
【0021】
そして、一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11は、図2に示すように、それらに対応して一対の回路基板2,3に設けられた各挿通孔15に他方の面2b,3b側から挿通され、回路基板2,3を貫通して外方に突出している。ここで、一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11は、それぞれ所定の突出長にカットされている。そして、各接続ピン9〜11は、一対の取付け部8,8のそれぞれの立上部8b,8bに回路基板2,3の他方の面2b,3bが当接するようにして、回路基板2,3の一方の面2a,3aにおいて、はんだ16により図示しない配線パターンにはんだ付けされている。
【0022】
このはんだ付けにより、一対の取付け部8,8に一対の回路基板2,3が互いに対向するように取り付けられている。また、回路基板2に実装された電子部品5等の回路部品および回路基板3に実装された電子部品6等の回路部品は、一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11を介して電気接続され、巻線部品4とともに電気装置1の電気回路を形成している。そして、一対の回路基板2,3のいずれか一方には、交流電源に接続される図示しない入力線および負荷に接続される図示しない出力線がそれぞれ導出されている。
【0023】
なお、電気装置1の電気回路がインダクタやトランスを複数個有するものであるときには、複数個の巻線部品4を上述のように設けてもよい。これにより、一対の回路基板2,3の巻線部品4への取付けが向上する。また、接続ピン10,11が回路基板2の配線パターン(電子部品5等)と、回路基板3の配線パターン(電子部品6等)を電気接続するものでないときには、設けなくてもよい。
【0024】
次に、本発明の実施例1の作用について述べる。
【0025】
一対の回路基板2,3の電子部品5,6等の回路部品は、巻線部品4の一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11により電気接続されることにより、電気装置1の電気回路を形成する。そして、入力線を介して交流電源を入力すると、動作して、出力線を介して所定の電力を負荷に供給する。
【0026】
本実施形態の電気装置1は、巻線14が巻回される本体部7と、一対の回路基板2,3をそれぞれ対向するように取り付ける一対の取付け部8,8と、巻線14を接続し一対の回路基板2,3に実装された電子部品5,6等の回路部品を電気接続する一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11を有する巻線部品4とを備えるので、一対の回路基板2,3同士を接続するコネクタやジャンパー線などの電気接続手段を省略することができて、電気装置1を安価にすることができるとともに、一対の回路基板2,3を個別にケースや外囲器などに支持することを不要にできて、一対の回路基板2,3の支持構造を簡素化できるという効果を有する。
【実施例2】
【0027】
図3および図4は、本発明の実施例2を示し、図3は電気装置の一部概略縦断面図、図4は電気装置の一部概略上面図である。なお、図2と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0028】
図3に示す電気装置17は、図2に示す電気装置1において、一対の回路基板2,3に替えて一対の回路基板18,19が設けられたものである。一対の回路基板18,19は、それらの配線パターンが巻線部品4の他に複数のジャンパー線20によって電気接続されている。すなわち、一対の回路基板18,19の電子部品5,6等の回路部品を巻線部品4の一対の接続ピン9,9および接続ピン10,11のみでは電気接続できないものである。
【0029】
一対の回路基板18,19は、それらの長手方向の一端側18c,19cの端部に設けた図示しない端子おいて、はんだ16によりジャンパー線20をはんだ付けしている。ジャンパー線20は、例えば鉄線からなる。なお、ジャンパー線20は、図中、弛みなく記載されているが、実際は弛んだ状態で一対の回路基板18,19を電気接続している。
【0030】
そして、一対の回路基板18,19は、その一端側18c,19cの端面18d,19dから所定長突出する突出部21,21を有するように形成されている。突出部21は、図4に示すように、リード線20,20間に介在するように設けられている。
【0031】
本発明の実施形態の電気装置17は、一対の回路基板18,19同士を電気接続するジャンパー線20,20間にそれぞれ突出部21を有する一対の回路基板18,19を備えるので、折り曲げられているときの隣り合うジャンパー線20,20同士が接触することを防止できて、また、ジャンパー線20,20間に突出部21による絶縁材を介在させることができて、電気回路の短絡等の電気事故を防止することができるという効果を有する。
【実施例3】
【0032】
図5は、本発明の実施例3を示す電気機器のブロック図である。なお、図2と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0033】
図5に示す電気機器22は、送風装置であり、例えば建物や地下廊の壁面に設置される。図2に示す電気装置1、負荷23および電気機器本体24を有して構成されている。
【0034】
電気装置1は、温度センサや湿度センサなどのセンサ装置25に接続され、電気機器22の周囲温度や湿度に応じて、負荷23への電力供給を調整する。そして、電気装置1は、一対の回路基板2,3が巻線部品4にそれぞれ対向するように取り付けられているので、一対の回路基板2,3の収容空間が小さいことにより、薄形に形成されている。
【0035】
負荷23は、複数個のファンによって構成され、電気装置1により電力が供給されて動作する。すなわち、電気装置1の出力に応じて、ファンが回転または停止し、ファンの回転数が変化される。
【0036】
電気機器本体24は、送風口を有する箱状に形成され、電気装置1、負荷23およびセンサ装置25を配設して、壁面に固定されている。
【0037】
本実施形態の電気機器22は、電気装置1が安価にかつ薄形に形成されるので、安価に形成することができるとともに、電気機器本体24を薄形に形成することができて、壁面に設置されているときの外観が向上し、障害物や干渉物になり難いという効果を有する。
【0038】
なお、電気機器は、本実施形態の電気機器22に限定されるものではなく、本発明の電気装置、この電気装置により電力が供給されて動作する負荷および当該電気装置および前記負荷を配設している電気機器本体を具備していればよいものである。
【実施例4】
【0039】
図6ないし図8は、本発明の実施例3を示し、図6はLEDランプの概略正面図、図7はLEDランプの概略縦断面図、図8は回路基板の形状および取付を示すLEDランプの一部概略縦断面図である。なお、図2と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0040】
図7において、電気機器としてのLEDランプ26は、電球用ソケットに着脱されるミニクリプトン電球形のLED電球であり、負荷としての発光体27、図2に示す電気装置1、電気機器本体としての装置本体28および包囲体29を有して構成されている。そして、装置本体28は、金属ケース30および樹脂ケース31に形成されている。
【0041】
発光体27は、基板32および発光ダイオード33を有して形成されている。そして、発光体27は、基板32の一面側32aに複数個の発光ダイオード33を設けている。基板32は、例えばアルミニウム(Al)の金属板からなり、外形が例えば略四角形状に形成されている。
【0042】
発光ダイオード33は、例えば青色光を発するLEDチップ34を有し、このLEDチップ34がCOB(Chip On board)方式によって基板32に実装されている。すなわち、LEDチップ34が基板32の一面側32aに図示しない高熱伝導性を有する絶縁層を介して実装され、このLEDチップ34をドーム状に覆って封止する例えばシリコーン樹脂などの封止樹脂35が形成されている。封止樹脂35には、LEDチップ34からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する黄色蛍光体が混入されている。したがって、封止樹脂35の表面が発光面となり、この発光面から白色光が放射される。
【0043】
そして、基板32は、その他面32bに放熱板36を取り付けている。放熱板36は、高熱伝導性を有する金属板例えばアルミニウム(Al)板からなり、例えば円形に形成され、高熱伝導性の接着材により基板32に固着されている。放熱板36は、LEDチップ34の点灯(発光)に伴って発生した熱が基板32から伝熱され、当該熱を装置本体28の金属ケース30に伝熱させる。
【0044】
装置本体28は、金属ケース30および樹脂ケース31からなっている。金属ケース30は、高熱伝導率を有する金属材料からなり、他端側30bから一端側30aに向かって拡径するように形成されている。ここでは、金属ケース30は、アルミニウム(Al)により形成されている。
【0045】
また、金属ケース30は、外面30cに一端側30aから他端側30bの方向に沿った複数の放熱フィン37が放射状に突出形成されている。そして、一端側30aの上面には、放熱板36が面接触して取り付けられる平面状の発光体27の取付け部38が形成されているとともに、包囲体29を取り付ける環状の包囲体取付部39が取付け部38よりも外方に突出するように形成されている。この包囲体取付部39は、装置本体28の最大外径部となっている。
【0046】
そして、取付け部38の中央部には、取付け部38から他端側30bの外面30cに貫通する貫通孔40が形成されている。この貫通孔40は、取付け部38から他端側30bに向かうにつれ次第に縮径する先細りの略円錐台状に形成されている。そして、取付け部38の貫通孔40の縁部には、四角状の嵌合凹部41が形成されている。嵌合凹部41は、貫通孔40の周回に等間隔に複数個が形成されている。また、取付け部38には、放熱板36をねじ止めするための図示しないねじ孔が複数個形成されている。さらに、取付け部38には、包囲体取付部39の周壁部に沿う環状の溝42が形成されている。
【0047】
取付け部38には、図示しないねじ孔に放熱板36を介して図示しないねじが螺着されることにより、放熱板36が取り付けられている。ここで、放熱板36は、貫通孔40を塞ぐとともに、嵌合凹部41に被さる大きさに形成されている。すなわち、取付け部38には、放熱板36を介して発光体27の基板32の他面32bが取り付けられて、発光体27が取り付けられている。このように、金属ケース30は、その一端側30aに発光体27の基板32を取り付けている。なお、放熱板36は、嵌合凹部41の全域を被さる大きさに形成されていることが好ましいが、嵌合凹部41の一部に被さる大きさに形成されていてもよい。
【0048】
また、取付け部38の溝42には、発光体27および放熱板36を包囲する取付板43が嵌合されている。取付板43と包囲体取付部39の周壁部との間には、隙間44が形成されている。取付板43の上面と包囲体取付部39の上面は、ほぼ同一面状となっている。
【0049】
放熱フィン37は、金属ケース30の他端側30bから一端側30aへと径方向の突出量が大きくなるように滑らかに傾斜して形成されている。また、放熱フィン37は、図6に示すように、金属ケース30の周方向に互いに略等間隔で放射状に形成され、放熱フィン37,37間に間隙45が形成されている。間隙45は、金属ケース30の他端側30bおよび周囲へ向けて開口され、金属ケース30の一端側30aでは閉塞されている。放熱フィン37および間隙45の一端側には、環状の包囲体取付部39が形成されている。金属ケース30は、例えばアルミダイキャストにより、上述のように成型されたものである。
【0050】
そして、包囲体取付部39には、包囲体29が取り付けられている。包囲体29は、透光性を有する例えばポリカーボネート(PC)樹脂からなり、発光体27を覆うように略球面状に成型されている。
【0051】
また、包囲体29は、図7に示すように、その他端側29bは開口され、この開口縁部に金属ケース30の包囲体取付部39および取付板43の間の隙間44に嵌合される嵌合部46が形成されている。包囲体29は、その嵌合部46が前記隙間44に嵌合されているとともに、接着材などで固定されている。こうして、包囲体29は、発光体27を覆うように金属ケース30の一端側30aに取り付けられている。
【0052】
装置本体28の樹脂ケース31は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などの電気絶縁性の合成樹脂により形成されている。そして、その外周面31cが金属ケース30の貫通孔40の内壁面40aに近接するようにかつ貫通孔40の内壁面40aに沿う形状に形成されている。すなわち、外周面31cを有する部分が略円錐台状の筒状に形成されている。そして、外周面31cの一端側31aの縁部に、外周面31cから外方に突出する嵌合凸部47が形成されている。この嵌合凸部47は、所定の厚さを有する例えば四角形に形成され、外周面31cの開口縁部の周回で180°間隔で、互いに対向するように2個が形成されている。すなわち、嵌合凸部47は、金属ケース30の嵌合凹部41に対応して設けられ、嵌合凹部41に嵌め込まれている。嵌合凸部47および嵌合凹部41が互いに嵌合することにより、樹脂ケース31は、金属ケース30の貫通孔40の内部に配置される。
【0053】
嵌合凸部47は、嵌合凹部41に嵌め込まれる形状や大きさに形成されているとともに、放熱板36が乗り上げないように形成されている。すなわち、嵌合凸部47が嵌合凹部41から取付け部38に突出しない形状や大きさに形成されている。樹脂ケース31は、嵌合凸部47が金属ケース30の嵌合凹部41に嵌め込まれ、嵌合凸部47および嵌合凹部41が互いに嵌合して相互の回動を規制することにより、金属ケース30に固定される。
【0054】
そして、樹脂ケース31は、その外周面31cの他端側31bが金属ケース30の他端側30bの外面30cから外方に突出しているとともに、他端側31bに有底の円筒状の突出部48が形成されている。突出部48の外径は、樹脂ケース31の他端側31bよりも幾分縮径している。突出部48には、例えばカシメにより口金49が設けられている。このように、装置本体28は、金属ケース30の他端側30bに突出部48を介して口金49を有している。
【0055】
また、突出部48の底板部50には、溝51,51が形成されており、この溝51,51に電気装置1が支持されている。さらに、底板部50には、電気装置1および口金49を電気接続する図示しない入力線(リード線)が挿通される図示しない挿通孔が設けられている。
【0056】
口金49は、E17形の一般照明電球用のソケットに接続可能なものである。そして、口金49は、樹脂ケース31の突出部48に嵌合されてかしめられて固定されるシェル部52、このシェル部52の他端側に設けられる絶縁部53およびこの絶縁部53の頂部に設けられるアイレット部54を有して構成されている。シェル部52およびアイレット部54には、図示しない入力線が接続されている。この入力線は、突出部48の底板部50に設けられた図示しない挿通孔から樹脂ケース31の内部に導入されて、電気装置1に電気接続されている。
【0057】
電気装置1は、図1および図2において説明した構成により、発光体27の発光ダイオード33を点灯するように形成されている。すなわち、電気装置1は、発光ダイオード33を点灯する点灯装置に形成されている。そして、電気装置1は、樹脂ケース31の内部に収容されている。
【0058】
樹脂ケース31の外周面31cは、先述したように、その一端側31aから他端側31bに向かうにつれ次第に縮径する先細りの略円錐台状に形成されている。これにより、電気装置1の一対の回路基板2,3は、図8に示すように、回路基板2の一端側2cから他端側2dに向かうにつれ段階的に幅狭に形成されている。ここで、一対の回路基板2,3は、同一の形状および大きさに形成されている。
【0059】
そして、一対の回路基板2,3の他端側2d,3dは、樹脂ケース31の底板部50の溝51,51に嵌入されて、底板部50に支持されている。そして、一方の回路基板2の樹脂ケース31の内面31dに近接または当接する部位2e,2eには、例えばシリコーン樹脂からなる接着材55が塗布されている。この接着材55の固着により、回路基板2の前記部位2e,2e側は、樹脂ケース31に固定されている。こうして、回路基板2は、樹脂ケース31の底板部50での嵌入による支持および樹脂ケース31の内面31dでの固定により、樹脂ケース31に強固に取り付けられている。
【0060】
これに対し、他方の回路基板3は、図7に示すように、樹脂ケース31の内面31dに固定されていなく、樹脂ケース31の底板部50での嵌入による支持と、巻線部品4を介しての回路基板2への連結とにより、樹脂ケース31に取り付けられている。
【0061】
こうして、電気装置1は、樹脂ケース31の内部に収容されているとともに、樹脂ケース31に固定されている。そして、電気装置1は、回路基板2の他端側2d(または回路基板3の他端側3d)と口金49とが図示しない入力線で接続され、回路基板2の一端側2c(または回路基板3の一端側3c)と発光体27の基板32とが図示しない出力線(リード線)で接続されている。
【0062】
電気装置1は、その電気回路が口金49および図示しない入力線を介して外部電源から給電されて動作し、外部電源の交流電圧を整流平滑して、定電流を発光体27に供給するように構成されている。発光ダイオード33のLEDチップ34は、定電流が供給されることにより点灯(発光)する。そして、発光ダイオード33から白色光が放射される。
【0063】
次に、本発明の実施例4の作用について述べる。
【0064】
LEDランプ26は、例えば照明器具のE17形の電球用ソケットに装着される。そして、口金49に外部電源が給電されると、電気装置1が動作し、電気装置1から発光体27の複数個のLEDチップ34に定電流(電力)が供給される。複数個の発光ダイオード33は、点灯し、白色光を放射する。
【0065】
当該放射光は、発光体27を覆っている包囲体29を透過して外方の被照射面や被照射物などに照射される。
【0066】
本実施形態のLEDランプ26は、巻線部品4により一対の回路基板2,3が互いに対向するとともに電気接続される電気装置1を備えるので、電気装置1を小形化または薄形化することができて、ミニクリプトン電球などの狭い収容空間を有する装置本体28(樹脂ケース31)に容易に収容して配設することができる。また、電気装置1は、一対の回路基板2,3のうちの一方が樹脂ケース31に強固に取り付けられ、他方の樹脂ケース31への支持構造を簡素にできるので、LEDランプ26を安価に形成可能であるという効果を有する。
【0067】
なお、装置本体28は、金属ケース30および樹脂ケース31に形成したが、これらを例えばアルミダイキャストにより一体成型してもよい。この場合、装置本体28と、電気装置1および口金49とを絶縁材等により電気絶縁すればよい。また、装置本体28は、一端側30aおよび他端側30bが同径または略同径の筒状に形成されてもよく、包囲体29は、装置本体28の最大外径部よりも径大に形成されていてもよい。
【0068】
また、LEDランプ26は、その口金49がE形の口金構造であるが、本実施形態のLEDランプは、GX53形やピン形の口金構造を有するものに形成してもよい。
【実施例5】
【0069】
図9は、本発明の実施例5を示す照明器具の一部切り欠き概略側面図である。なお、図6と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0070】
図9に示す電気機器としての照明器具56は、図6に示すLEDランプ26を使用するダウンライトであり、天井57に埋設されている。そして、外形が有底の略円筒状に形成された電気機器本体としての器具本体58に電球用ソケット59が配設されている。器具本体58は、器具本体58と一体的に設けられているカバー体60と板バネ61,61とにより天井57を挟持することにより、天井57に固定されている。そして、電球用ソケット59に、LEDランプ26が取り付けられている。LEDランプ26は、照明器具56の負荷となっている。
【0071】
電球用ソケット59が通電されると、LEDランプ26の電気装置1(図示しない。)が動作し、発光体27(図示しない。)の各発光ダイオード33(図示しない。)に電力が供給される。これにより、複数個の発光ダイオード33が点灯し、包囲体29から白色光が放射される。当該白色光は、カバー体60の開口62から床面側に出射される。
【0072】
LEDランプ26は、安価にであって小形に形成可能であるので、照明器具56は、小形に形成することができ、安価にできるという効果を有する。
【実施例6】
【0073】
図10および図11は、本発明の実施例6を示し、図10は照明器具の一部切り欠き概略側面図、図11は照明器具の概略上面図である。なお、図2と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0074】
図10に示す電気機器としての照明器具63は、天井面等に埋設されるダウンライトであり、電気機器本体としての器具本体64および化粧枠65を有して形成されている。器具本体64は、アルミダイキャストによって成型されており、内部に負荷としての発光体66および図2に示す電気装置1などを収納する内部空間67を有する略円柱状に形成されている。そして、他端側としての上部側64aの内側に内部空間67を閉塞する天板68をリベット69により取り付け、一端側としての下部側64bの内側に発光体66を取り付け、中間部側64cの内側に電気装置1を取り付けて収容している。
【0075】
天板68には、端子台70が配設されている。この端子台70は、図示しない電源線により外部電源に接続されている。図11に示すように、端子台70から入力線(リード線)71,71が内部空間67に導入され、電気装置1に接続されている。これにより、電気装置1は、外部電源に接続される。
【0076】
図10において、器具本体64は、上部側64aの外面に、化粧枠65との間で天井面等を挟持することにより照明器具63を天井等に固定する一対の取付けばね72,72がリベット73により取り付けられている。
【0077】
化粧枠65は、ABS樹脂からなり、外面側に補強片74および円形状のフランジ部75を有する略椀状に形成されている。化粧枠65は、器具本体64にリベット76により取り付けられて、器具本体64と一体化している。
【0078】
そして、化粧枠65と発光体66の間には、略楕円形の反射板77が固定されなく設置されている。また、化粧枠65のフランジ部75の内側は、開口されていて、環状の段部78を有するように形成されている。この段部78の最奥側に、透光性の包囲体79が反射板77と段部78とにより挟まれるようにして固定されることなく設けられている。包囲体79は、例えばアクリル樹脂からなり、円板状に形成されている。こうして、包囲体79は、器具本体64の一端側としての下部側64bに取り付けられている。
【0079】
発光体66は、円板状の基板80、複数個の青色光を発光するLEDチップ81、内側にLEDチップ81を収容して包囲するリジット基板82およびこのリジット基板82の内側に充填されLEDチップ81を封止する封止樹脂83を有して形成されている。基板80は、例えばアルミニウム(Al)板からなり、図示しない絶縁層を介して複数個のLEDチップ81を実装している。リジット基板82は、例えばガラスエポキシ材からなり、その内側に所定量の封止樹脂83を充填させる。封止樹脂83は、例えば透光性のシリコーン樹脂からなり、青色光を黄色光に波長変換する黄色蛍光体84を含有している。
【0080】
発光体66は、LEDチップ81から放射された青色光と、黄色発光体84により波長変換された黄色光とがそれぞれ封止樹脂83から出射して混色することにより、白色光を放射するように見えるものである。こうして、負荷としての発光体66は、可視光を放射する照明用ランプを形成している。
【0081】
そして、基板80には、コネクタ85が実装されている。このコネクタ85は、図示しない配線パターンによりLEDチップ81に電気接続されている。また、基板80は、平面状であって円形状の放熱板86に図示しない接着材により密着されている。放熱板86は、器具本体64の下部側64bの内部空間67において、器具本体64の内面側に固定されており、発光体66を包囲体79に正対させている。そして、放熱板86には、挿通孔87が設けられている。
【0082】
電気装置1は、コネクタ88付きの出力線89を導出している。コネクタ88は、放熱板86の挿通孔87を挿通し、発光体66のコネクタ85に接続されている。これにより、発光体66は、電気装置1から電力が供給可能となっている。
【0083】
そして、電気装置1は、天板68に設けた端子台70を介して給電して動作し発光体66のLEDチップ81を点灯させる点灯装置に形成されている。
【0084】
本実施形態の照明器具63は、収容空間が小さく、安価に形成可能な電気装置1を備えるので、小形化が可能であるとともに、安価にすることができるという効果を有する。
【0085】
なお、実施例5および実施例6において、照明器具56,63は、ダウンライト(埋込形照明器具)に構成したが、本実施形態の照明器具は、これに限らず、直付け照明器具や吊り下げ照明器具など、多様な照明器具に構成することができるものである。
【符号の説明】
【0086】
1,17…電気装置、 2,3…一対の回路基板、 4…巻線部品、 18,19…一対の回路基板、 22…電気機器、 23…負荷、 24…電気機器本体、 26…電気機器としてのLEDランプ、 27…負荷としての発光体、 28…電気機器本体としての装置本体、 56,63…電気機器としての照明器具、 58,64…電気機器本体としての器具本体、 66…負荷としての発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された一対の回路基板と;
巻線が巻回される本体部、この本体部の巻線が巻回される軸方向の両側に設けられた一対の取付け部およびこの一対の取付け部を貫通して各取付け部から外方に突出するように各取付け部に固定されるとともに本体部に巻回された巻線が接続される少なくとも一対の接続ピンを有し、前記一対の取付け部に前記一対の回路基板がそれぞれ対向するように取り付けられるとともに、前記各接続ピンが前記回路基板に電気接続されている巻線部品と;
を具備していることを特徴とする電気装置。
【請求項2】
請求項1記載の電気装置と;
この電気装置により電力が供給されて動作する負荷と;
前記電気装置および前記負荷を配設している電気機器本体と;
を具備していることを特徴とする電気機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−23193(P2012−23193A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159700(P2010−159700)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】