説明

電気通信設備の管理システム、電気通信設備の管理方法

【課題】容易に電気通信設備の状況を把握することができるとともに、障害発生時などに過去の経験を容易に生かす。
【解決手段】電気通信設備の管理を行う電気通信設備管理システム20において、管理端末装置24は、電気通信設備を構成する各設備40のうち、いずれかの設備40における障害を検知し、障害を検知した旨を通知し、通知に基づいて前記障害が発生した設備を特定し、当該特定した設備に関連する設備関連情報を提示し、障害の内容を推定し、推定した障害内容に基づいて障害復旧に関連する障害復旧情報を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信設備の管理システムおよび電気通信設備の管理方法に係り、特に電気通信設備を構成する各設備の状況把握および各設備の障害発生時の対応を容易とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大規模な電気通信設備においては、当該電気通信設備を構成する各種設備を維持管理し、あるいは、維持管理を容易にするための管理システムが各種提案されている。
例えば、特許文献1には、複数の光ファイバケーブル間を相互に接続して電気通信設備としての光ファイバ網を形成するに際し、光ファイバ心線の接続、分岐作業を支援する管理システムが提案されている。
【特許文献1】特開2003−284213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の電気通信設備においては、当該電気通信設備を構成する各種設備に障害が発生した場合に、監視端末装置あるいは親局装置において、障害を検出してその旨を電気通信設備の管理センター側に通知する構成を採っていたが、障害が発生したことは容易に把握することができるものの具体的な障害状況の把握あるいは対象設備の特定に時間がかかってしまうこととなっていた。
【0004】
また、障害が発生した場合には、設備の構成、構造、仕様などを迅速に把握する必要があり、電気通信設備の導入時に作成した設備台帳などに基づいて把握することとなっていた。しかしながら、電気通信設備の導入後に改造や増設を行った場合には、設備台帳が必ずしも現況に対応していないこととなり、電気通信設備の構成、構造、仕様などの掌握に時間がかかってしまうこととなっていた。
【0005】
さらに、保守点検情報や障害に対する対応ノウハウなどは設備台帳とは別個に管理されることとなり、容易に利用することができなかった。特に担当者の異動などによっては、対応ノウハウそのものも失われることとなり、障害への対応などの過去の経験が十分に生かされないこととなっていた。
【0006】
そこで本発明の目的は、容易に電気通信設備の状況を把握することができるとともに、障害発生時などに過去の経験を容易に生かすことが可能な電気通信設備の管理システム及び管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、電気通信設備の管理を行う電気通信設備管理システムは、前記電気通信設備を構成する各設備のうち、いずれかの設備における障害を検知し、障害を検知した旨を通知する障害検知通知部と、前記通知に基づいて前記障害が発生した設備を特定し、当該特定した設備に関連する設備関連情報を提示する設備関連情報提示部と、前記障害の内容を推定し、推定した障害内容に基づいて障害復旧に関連する障害復旧情報を提示する復旧関連情報提示部と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、障害検知通知部は、電気通信設備を構成する各設備のうち、いずれかの設備における障害を検知し、障害を検知した旨を通知する。
設備関連情報提示部は、通知に基づいて障害が発生した設備を特定し、当該特定した設備に関連する設備関連情報を提示する。
さらに、復旧関連情報提示部は、障害の内容を推定し、推定した障害内容に基づいて障害復旧に関連する障害復旧情報を提示する。
【0009】
この場合において、前記設備関連情報提示部は、前記障害が発生した設備が配置されている施設内における配置情報、前記障害が発生した設備のシステム内の系統情報あるいは前記障害が発生した設備の設備詳細情報のうち少なくともいずれかを前記設備関連情報として提示するようにしてもよい。
また、前記復旧関連情報提示部は、前記障害復旧情報として、点検履歴情報、作業手順情報あるいは復旧材料情報のうち少なくともいずれかを提示するようにしてもよい。
【0010】
また、電気通信設備管理システムは、さらに前記各設備相互間の接続関係、各設備の構成を含む電気通信設備の設備情報が格納される電気通信設備データベース、前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報が格納される保守点検データベース及び前記電気通信設備を構成する各設備における現場作業情報が格納される現場作業管理データベースを備え、外部より入力される設備更新情報、保守点検更新情報あるいは現場作業更新情報に基づいて、いずれかのデータベースを最新の状態に維持するデータベース更新部と、オペレータの操作に基づいて選択された前記設備に関する設備状況情報を提示する設備状況提示部と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、データベース更新部は、外部より入力される設備更新情報、保守点検更新情報あるいは現場作業更新情報に基づいて、いずれかのデータベースを最新の状態に維持する。
設備状況提示部は、オペレータの操作および各データベースに格納された情報に基づいて選択された設備に関する設備状況情報を提示する。
【0012】
この場合において、前記設備状況提示部は、設備構成情報、設備台帳情報、現状写真情報、定期点検記録情報の少なくともいずれかを前記設備状況情報として提示することを特徴とする電気通信設備管理システム。
【0013】
また、電気通信設備管理システムは、さらに通信ネットワークを介して接続可能な携帯端末装置を備えるとともに、前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報が格納される保守点検データベースを備え、前記保守点検データベースは、前記各設備に対応する点検時の注意事項情報および過去の障害事例に関する障害事例情報が格納されており、対象設備には、当該対象設備を特定する特定情報を格納した特定情報格納装置が設けられ、前記携帯端末装置により前記特定情報格納装置から読み取った前記特定情報が前記通信ネットワーク介して通知されると、前記保守点検データベースを参照して前記特定情報により特定された前記対象設備に関する前記注意事項情報および前記障害事例情報を保守点検情報として前記通信ネットワークを介して前記携帯端末装置側に通知する保守点検情報提示部を備えたことを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、携帯端末装置により特定情報格納装置から読み取った特定情報が通信ネットワーク介して通知されると、保守点検情報提示部は、保守点検データベースを参照して特定情報により特定された前記対象設備に関する注意事項情報および障害事例情報を保守点検情報として通信ネットワークを介して携帯端末装置側に通知する。
この場合において、前記特定情報格納装置は、ICタグであり、前記携帯端末装置は、前記ICタグから前記特定情報を読み出すためのICタグリーダを備えているようにしてもよい。
【0015】
また、上記各電気通信設備管理システムにおいて、前記保守点検データベースに格納された保守点検情報、前記障害の履歴に関する情報である障害履歴情報を統計的に解析して各設備の劣化状況あるいは改修計画に関する予防保全情報を生成する予防保全情報生成部を備えるようにしてもよい。
さらに、前記予防保全情報生成部は、各設備の故障頻度、故障発生率、故障発生箇所の情報に基づいて前記解析を行うようにしてもよい。
【0016】
また、コンピュータネットワークを介して通知される電気通信設備を構成する設備に発生した障害に関する障害情報に基づいて、オペレータに障害関連情報を提供する電気通信設備の管理方法は、前記障害情報に基づいて前記障害が発生した設備を特定し、当該特定した設備に関連する設備関連情報を前記障害関連情報として提示する設備関連情報提示過程と、前記障害の内容を推定し、推定した障害内容に基づいて障害復旧に関連する障害復旧情報を前記障害関連情報として提示する復旧関連情報提示過程と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
この場合において、前記各設備相互間の接続関係、各設備の構成を含む電気通信設備の設備情報が格納される電気通信設備データベース、前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報が格納される保守点検データベース及び前記電気通信設備を構成する各設備における現場作業情報が格納される現場作業管理データベースを備え、外部より入力される設備更新情報、保守点検更新情報あるいは現場作業更新情報に基づいて、いずれかのデータベースを最新の状態に維持するデータベース更新過程と、前記オペレータの操作に基づいて選択された前記設備に関する設備状況情報を提示する設備状況提示過程と、を備えるようにしてもよい。
【0018】
また、前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報として、前記各設備に対応する点検時の注意事項情報および過去の障害事例に関する障害事例情報が格納される保守点検データベースを備え、前記コンピュータネットワークを介して接続された携帯端末装置から、対象設備の特定情報格納装置から読み取った当該対象設備を特定するための特定情報が通知される特定情報通知過程と、前記保守点検データベースを参照して前記特定情報により特定された前記対象設備に関する前記注意事項情報および前記障害事例情報を保守点検情報として前記通信ネットワークを介して前記携帯端末装置側に通知する保守点検情報提示過程と、を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容易に電気通信設備の状況を把握することができるとともに、障害発生時などに過去の経験を容易に生かすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
まず、具体的な実施の形態の説明に先立ち、機能説明を行う。
図1は、電気通信設備管理システムの機能構成図である。
電気通信設備管理システム10は、大別すると、電気通信設備管理機能11と、保守点検管理機能12と、現場作業管理機能13と、を備えている。
電気通信設備管理機能11は、電気通信設備の構成(設備内容、設備相互の接続関係、設備図面、設備写真など)に関する情報の管理を行うための機能である。
【0021】
また、保守点検管理機能12は、電気通信設備の保守点検に関する情報の管理を行うための機能である。
さらに、現場作業管理機能13は、現場作業のための情報の管理を行うための機能である。
【0022】
これらの3つの機能は相互に連携しており、電気通信設備管理機能11は、保守点検管理機能12が管理する保守点検状況および現場作業管理機能13が管理する現場作業の状況を反映した状態で電気通信設備の構成を順次更新することとなる。また、保守点検管理機能12は、電気通信設備管理機能11の管理している電気通信設備の構成を把握して、保守点検管理を行うとともに、現場作業管理機能13が管理する現場作業におけるノウハウ情報などを保守点検作業に用いることで効率的な保守点検管理を行っている。さらに、現場作業管理機能13は、電気通信設備管理機能11の管理している電気通信設備の構成および保守点検管理機能12が管理する保守点検状況に応じて現場作業の効率化を図りつつ現場作業管理を行っている。
【0023】
図2は、電気通信管理システムの構成図である。
電気通信管理システム20は、大別すると、電気通信設備データベースサーバ21と、保守点検データベースサーバ22と、現場作業管理データベースサーバ23と、管理端末装置24と、監視対象である設備40の監視を行う監視システム25を構成する監視端末装置26及び親局装置27と、携帯端末装置28と、を備え、これらは、通信ネットワーク(コンピュータネットワーク)29を介して相互に接続されている。
【0024】
電気通信設備データベースサーバ21は、設備内容、設備相互の接続関係、設備図面、設備写真など電気通信設備情報データを格納する電気通信設備データベース31を有している。
保守点検データベースサーバ22は、保守点検時の保守内容、保守点検結果などの保守点検データを格納する保守点検データベース32を有している。
現場作業管理データベースサーバ23は、現場作業の内容、現場作業手順などの現場作業データを格納する現場作業管理データベース33を有している。
【0025】
次に実施形態の動作について説明する。
まず、障害発生時の処理について説明する。
管理端末装置24は、各設備40のアラーム情報に起因する監視システム25(監視端末装置26及び親局装置27)からの障害通知(接点情報)を受け、あるいは、日常管理および保守点検における巡回点検で設備の異常を発見した場合に現地作業員が携帯情報端末装置28を用いて当該異常を発見した設備40に設けられているICタグ41をICタグリーダ35を介して読み取ることにより当該設備40に関する情報を送信したのを受け、該当する設備40の施設情報(システム構成図、配置図、仕様など)を表示する。
また、故障診断機能と連動して、推定故障箇所、処置手順、復旧に必要な部材(復旧材料)、等を一連に表示させることにより、オペレータが障害復旧の迅速な対応ができるようになっている。
【0026】
図3は、障害発生時の画面遷移説明図である。
具体的には、障害検知情報画面F1において、「○○設備において障害検出」という警告表示を行い、オペレータに対し、障害の詳細な情報を表示する「障害情報画面」あるいは当該設備を検索し画面上に表示するための「設備検索」のいずれかの選択を促すこととなる。
【0027】
これによりオペレータが障害検知情報画面F1の表示状態で「障害情報画面」を選択すれば、障害箇所推定画面F2が表示される。
具体的には、障害箇所推定画面F2においては、例えば、以下のようなメッセージが表示される。
「障害箇所として、
1.通信モジュールの故障
2.電源ユニットの破損
が推定されます。」
【0028】
さらに障害箇所推定画面F2においては、当該障害箇所の点検履歴表示を行わせるための点検履歴表示ボタン、当該障害箇所の復旧を行うための作業手順表示を行わせるための作業手順表示ボタン、当該障害箇所の復旧を行うために必要な材料である復旧材料の表示を行わせるための復旧材料ボタン、当該障害箇所の推定原因の詳細を表示させるための推定原因詳細ボタンと、が設けられている。
【0029】
また、オペレータが障害検知情報画面F1の表示状態で「設備検索」を選択すれば、障害が発生した設備が配置されている部屋の建物内の配置図画面F3が示される。この配置図画面F3において、対応する部屋については、色分け表示などにより他の部屋と識別可能に構成されている。配置図画面F3内の配置図内の障害が発生した設備が配置されている部屋の配置位置をクリックすると、当該部屋に対応する室内設備配置図画面F4が表示され、故障装置が配置されている箇所が他とは識別可能に表示される(例えば、色が変えられたり、点滅表示がなされる)。
【0030】
この室内設備配置図画面F4には、図示しない当該故障装置の詳細情報を表示させるための設備図ボタンと、当該故障装置の配置された室内の設備の一覧を表示させるための設備一覧ボタンと、が設けられている。
そこで、室内設備配置図画面F4において、オペレータが設備図ボタンをクリックすると、当該故障装置の設置状況、外観写真、装置構成説明図などを含む設備詳細情報画面F5が表示される。
【0031】
この設備詳細情報画面F5において、図示しない装置構成説明図をクリックすると、当該故障装置を含むシステム系統図画面F6が表示される。
システム系統図画面F6には、図示しない当該表示しているシステム系統における障害履歴を表示させるための障害履歴ボタンと、当該システム系統における処置一覧を表示させるための処置一覧ボタンと、当該システム系統のネットワーク図を表示させるためのネットワーク図ボタンと、が設けられている。
【0032】
また、室内設備配置図画面において、設備一覧ボタンをクリックすると、当該故障装置が配置された室内に設置された設備の一覧がリスト構成の設置設備一覧画面F7として表示される。
この設置設備一覧画面F7は、上述のシステム系統図画面とも連携しており、リスト内の設置設備をクリックすることによりシステム系統図画面F6に遷移する。
【0033】
次に設備の最新状態および運用状態について掌握するための処理について説明する。
設備の構成、構造、仕様などの技術情報は、設備の完成図書に記載されるのが一般的であるが、導入後に改造や増設を行った箇所は、図書の記録がなかったり、別冊となっている場合があり、実際の設備状況を把握しづらい場合がある。また、場合によっては、実際の設備状況を把握するためには、実際に施工を管理したメーカに直接連絡して情報を収集するなど時間がかかってしまう可能性があった。
【0034】
そこで、本実施形態においては、導入後に改造や増設を行った場合には、迅速に上述した施設平面図F3、室内設備配置図画面F4、設備詳細情報画面F5、システム系統図画面F6あるいは設置設備一覧画面F7を更新し、あるいは、追加すべく電気通信設備データベースサーバ21により電気通信設備データベース31を更新する。また、保守点検を行った場合には、その保守点検状況に基づいて保守点検データベースサーバ22により保守点検データベース32を更新する。さらにメンテナンスなどの現場作業を行っている場合には、現場作業データベースサーバ23により現場作業データベース33を更新し、設備の稼働状況を最新のものに維持するようにしている。
【0035】
この結果、電気通信設備の運用状況、日常点検状況などリアルタイムで設備状態を迅速に検索、閲覧することが可能となり、最新の設備構成、設備台帳、現状写真、定期点検記録などを検索、閲覧することができる。
【0036】
続いて保守点検業務における保守点検作業の精度向上、ヒューマンエラーの未然防止およびノウハウの活用に関連する処理について説明する。
従来においては、蓄積した保守点検データや、過去の保守点検時のノウハウについては、簡易に閲覧することはできなかったため、新たな保守点検業務において有効に活用するのは困難であった。また、障害への対応履歴や、対応方法などの過去の経験も蓄積し、継承しにくかったため、担当者の異動等により、保守点検時のノウハウなどが生かされなくなってしまう可能性があった。
【0037】
そこで、本実施形態では、点検データ、設備の固有情報、過去の障害履歴情報や、復旧時のノウハウ情報を保守点検データベース32に随時蓄積し、管理端末装置24あるいは保守点検を行う担当者の携帯端末装置28から通信ネットワーク(コンピュータネットワーク)29および保守点検データベースサーバ22を介して保守点検データベース32にアクセスするだけで、設備の固有情報、障害履歴情報、復旧時のノウハウ情報を容易に閲覧することが可能となる。また、実際の作業を行う作業者に対しても、当該保守点検業務における注意事項などを提示することにより、作業時に注意を喚起することができ、作業精度の向上及びヒューマンエラーの発生を抑制することができる。
【0038】
次に具体的な処理について説明する。
図4は、保守点検業務時の画面遷移説明図である。
管理端末装置側24の基本管理画面F11の上部には、初期状態において、電気通信設備管理ボタン、保守点検管理ボタン、現場作業管理ボタン、光線路監視ボタン、その他ボタンが表示されており、基本管理画面F11の左側には、復旧資材・予備品検索ボタン、障害情報検索ボタン、設備運転状態表示ボタン、設備台帳検索ボタン、資産管理台帳表示ボタン、設備改造履歴表示ボタン、設備の障害原因解析ボタン、設備固有情報表示ボタン、各種報告書作成ボタン及び保守点検データ表示ボタンが表示されている。
【0039】
そして、管理端末装置24側から保守点検データを閲覧するためには、基本管理画面F11において、現地調査設備一覧画面を表示し、所望の現地調査設備を選択した後、設備改造履歴表示ボタンをクリックする。
これにより当該現地調査設備に対応する設備障害履歴一覧画面F12が表示される。この設備障害履歴一覧画面F12には、設備台帳画面を表示させるための設備台帳ボタンと、固有情報画面を表示するための固有情報表示ボタンとが、設けられている。
【0040】
ところで、この設備障害履歴一覧画面F12には、障害の発生した日時、障害の内容、障害部位、障害原因、障害対策、処置報告書の有無、点検ノウハウなどの固有情報の有無が表示される。
固有情報がある場合には、設備障害履歴一覧画面F12において固有情報有りと表示されているので、固有情報画面を表示させたい設備障害を選択した後に、固有情報表示ボタンをクリックすることにより、当該現地調査設備に対応する点検ノウハウ画面F13が表示される。
【0041】
また、現地において、設備40に設けられたICタグ41に作業者の携帯した携帯端末装置28のICタグリーダ35により現品を特定(照合)し、管理端末装置24に通信ネットワーク29を介して問い合わせることにより、管理端末装置24で説明した場合と同様に、点検ノウハウ画面F13を検索し、当該現品に対応する点検の際の注意事項、過去のトラブル事例を携帯端末装置に表示させるようになっている。
【0042】
具体的には、例えば、携帯端末装置の表示画面に、
「[ガイダンス]
この設備の○○スイッチを誤って操作すると、重大な影響が出るので注意してください。」
等の点検ノウハウが表示され、点検作業におけるヒューマンエラーを事前に防止することが可能となるとともに、作業精度の向上が図れる。
【0043】
次に保守点検データの分析と予防保全への活用に関連する処理について説明する。
従来においては、電気通信設備の運用状態の履歴データ、保守点検データの蓄積不足、整理不足及び分析不足などに起因して、重大な故障等に結びつく予兆を事前に察知してそれを回避することはできなかった。
【0044】
そこで、本実施形態においては、点検データ、障害履歴情報、復旧ノウハウ情報などを確実に蓄積することによって、設備故障頻度、故障発生率、故障発生箇所などの統計的分析結果を、点検作業へフィードバックしたり、劣化診断、設備回収計画のための情報を提供することとしている。
【0045】
次に具体的な処理について説明する。
図5は、保守点検点検データの分析と予防保全への活用の画面遷移説明図である。
管理端末装置側24から保守点検データを用いて保守点検データの蓄積、整理および分析を行うためには、基本管理画面F11において、保守点検データ表示ボタンをクリックする。これによ保守点検データ表示画面F21が表示される。
【0046】
この保守点検データ表示画面F21には、保守点検を行った日時、保守点検の内容(保守点検項目、保守点検部位)、保守点検により見いだされた障害部位、障害原因、障害対策、処置報告書の有無、点検ノウハウなどの固有情報の有無がリスト表示される。
この状態において、データ解析ボタンをクリックすることにより、当該保守点検データに対応するデータ解析画面F22が表示される。
データ解析画面F22を表示するに際しては、同一の装置に対する装置納入メーカの比率、装置導入年度、管理装置メーカの比率、故障部位の統計データ等が算出されるとともに、統計データに対応するグラフも生成される。
【0047】
そして、算出結果の表およびグラフがデータ解析画面F22に表示されることとなる。
このデータ解析で得られた各データについては、ノウハウデータとして点検ノウハウ画面F24にも表示されることとなる。
このように、点検データ、障害履歴情報、復旧ノウハウ情報などを確実に蓄積することによって、設備故障頻度、故障発生率、故障発生箇所などの統計的分析結果を、点検作業へフィードバックしたり、劣化診断、設備回収計画のための情報を提供することが可能となっている。
【0048】
以上の説明のように、本実施形態によれば、障害が発生したことを容易に把握することができるとともに、具体的な障害状況の把握あるいは対象設備の特定に付いても容易、かつ、迅速に行うことができる。
また、障害が発生した場合には、電気通信設備の導入後の改造や増設等も反映されたデータに基づいて、電気通信設備の構成、構造、仕様などの掌握も短時間で行える。
【0049】
さらに、保守点検情報や障害に対する対応ノウハウなどを一括して管理することができ、担当者の異動などによっても、対応ノウハウが失われることがなく、障害への対応などの過去の経験を十分に生かすことができる。
しTがって、容易に電気通信設備の状況を把握することができるとともに、障害発生時などに過去の経験を容易に生かすことが可能な電気通信設備の管理システム及び管理方法を提供することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】電気通信設備管理システムの機能構成図である。
【図2】電気通信管理システムの構成図である。
【図3】障害発生時の画面遷移説明図である。
【図4】保守点検業務時の画面遷移説明図である。
【図5】保守点検点検データの分析と予防保全への活用の画面遷移説明図である。
【符号の説明】
【0051】
10…電気通信設備管理システム、11…電気通信設備管理機能、12…保守点検管理機能、13…現場作業管理機能、20…電気通信管理システム、21…電気通信設備データベースサーバ、22…保守点検データベースサーバ、23…現場作業管理データベースサーバ、24…管理端末装置(障害検知部、設備関連情報提示部、復旧関連情報提示部)25…監視システム(障害検知部)、26…監視端末装置(障害検知部)、27…親局装置(障害検知部)、28…携帯端末装置、29…通信ネットワーク(コンピュータネットワーク)、31…電気通信設備データベース、32…保守点検データベース、33…現場作業管理データベース、35…ICタグリーダ、40…設備、41…ICタグ(特定情報格納装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信設備の管理を行う電気通信設備管理システムにおいて、
前記電気通信設備を構成する各設備のうち、いずれかの設備における障害を検知し、障害を検知した旨を通知する障害検知通知部と、
前記通知に基づいて前記障害が発生した設備を特定し、当該特定した設備に関連する設備関連情報を提示する設備関連情報提示部と、
前記障害の内容を推定し、推定した障害内容に基づいて障害復旧に関連する障害復旧情報を提示する復旧関連情報提示部と、
を備えたことを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の電気通信設備管理システムにおいて、
前記設備関連情報提示部は、前記障害が発生した設備が配置されている施設内における配置情報、前記障害が発生した設備のシステム内の系統情報あるいは前記障害が発生した設備の設備詳細情報のうち少なくともいずれかを前記設備関連情報として提示することを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の電気通信設備管理システムにおいて、
前記復旧関連情報提示部は、前記障害復旧情報として、点検履歴情報、作業手順情報あるいは復旧材料情報のうち少なくともいずれかを提示することを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の電気通信設備管理システムにおいて、
前記各設備相互間の接続関係、各設備の構成を含む電気通信設備の設備情報が格納される電気通信設備データベース、前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報が格納される保守点検データベース及び前記電気通信設備を構成する各設備における現場作業情報が格納される現場作業管理データベースを備え、
外部より入力される設備更新情報、保守点検更新情報あるいは現場作業更新情報に基づいて、いずれかのデータベースを最新の状態に維持するデータベース更新部と、
オペレータの操作に基づいて選択された前記設備に関する設備状況情報を提示する設備状況提示部と、
を備えたことを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項5】
請求項4記載の電気通信設備管理システムにおいて、
前記設備状況提示部は、設備構成情報、設備台帳情報、現状写真情報、定期点検記録情報の少なくともいずれかを前記設備状況情報として提示することを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項6】
請求項1記載の電気通信設備管理システムにおいて、
通信ネットワークを介して接続可能な携帯端末装置を備えるとともに、前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報が格納される保守点検データベースを備え、
前記保守点検データベースは、前記各設備に対応する点検時の注意事項情報および過去の障害事例に関する障害事例情報が格納されており、
対象設備には、当該対象設備を特定する特定情報を格納した特定情報格納装置が設けられ、
前記携帯端末装置により前記特定情報格納装置から読み取った前記特定情報が前記通信ネットワーク介して通知されると、前記保守点検データベースを参照して前記特定情報により特定された前記対象設備に関する前記注意事項情報および前記障害事例情報を保守点検情報として前記通信ネットワークを介して前記携帯端末装置側に通知する保守点検情報提示部を備えたことを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項7】
請求項6記載の電気通信設備管理システムにおいて、
前記特定情報格納装置は、ICタグであり、
前記携帯端末装置は、前記ICタグから前記特定情報を読み出すためのICタグリーダを備えていることを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項8】
請求項2ないし請求項7のいずれかに記載の電気通信設備管理システムにおいて、
前記保守点検データベースに格納された保守点検情報、前記障害の履歴に関する情報である障害履歴情報を統計的に解析して各設備の劣化状況あるいは改修計画に関する予防保全情報を生成する予防保全情報生成部を備えたことを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項9】
請求項8記載の電気通信設備管理システムにおいて、
前記予防保全情報生成部は、各設備の故障頻度、故障発生率、故障発生箇所の情報に基づいて前記解析を行うことを特徴とする電気通信設備管理システム。
【請求項10】
コンピュータネットワークを介して通知される電気通信設備を構成する設備に発生した障害に関する障害情報に基づいて、オペレータに障害関連情報を提供する電気通信設備の管理方法において、
前記障害情報に基づいて前記障害が発生した設備を特定し、当該特定した設備に関連する設備関連情報を前記障害関連情報として提示する設備関連情報提示過程と、
前記障害の内容を推定し、推定した障害内容に基づいて障害復旧に関連する障害復旧情報を前記障害関連情報として提示する復旧関連情報提示過程と、
を備えたことを特徴とする電気通信設備管理方法。
【請求項11】
請求項10記載の電気通信設備管理方法において、
前記各設備相互間の接続関係、各設備の構成を含む電気通信設備の設備情報が格納される電気通信設備データベース、前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報が格納される保守点検データベース及び前記電気通信設備を構成する各設備における現場作業情報が格納される現場作業管理データベースを備え、
外部より入力される設備更新情報、保守点検更新情報あるいは現場作業更新情報に基づいて、いずれかのデータベースを最新の状態に維持するデータベース更新過程と、
前記オペレータの操作に基づいて選択された前記設備に関する設備状況情報を提示する設備状況提示過程と、
を備えたことを特徴とする電気通信設備管理方法。
【請求項12】
請求項10記載の電気通信設備管理方法において、
前記電気通信設備を構成する各設備の保守点検情報として、前記各設備に対応する点検時の注意事項情報および過去の障害事例に関する障害事例情報が格納される保守点検データベースを備え、
前記コンピュータネットワークを介して接続された携帯端末装置から、対象設備の特定情報格納装置から読み取った当該対象設備を特定するための特定情報が通知される特定情報通知過程と、
前記保守点検データベースを参照して前記特定情報により特定された前記対象設備に関する前記注意事項情報および前記障害事例情報を保守点検情報として前記通信ネットワークを介して前記携帯端末装置側に通知する保守点検情報提示過程と、
を備えたことを特徴とする電気通信設備管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−201798(P2007−201798A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17743(P2006−17743)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(502106897)建電設備株式会社 (3)
【Fターム(参考)】