説明

電気部品の組付方法

【課題】電気部品が静電気の影響を受けるのを防ぐとともに、電気部品の接続端子に汚れが付着するのを防ぐことができる組付方法を提供することを課題とする。
【解決手段】金属部品であるハウジング20と、ハウジング20に一部が内挿された樹脂部品である支持部21と、支持部21から突出したコンタクトプローブ30(接続端子)と、を備えた圧力センサ1(電気部品)を、金属部品である基体100に取り付ける方法であって、有底筒状の導電性部材であるキャップ部41を有する保護部材40を用意し、キャップ部41を支持部21に被せる段階と、ハウジング20を基体100に取り付ける段階と、を含み、支持部21に被せたキャップ部41がハウジング20に対して電気的に接続され、コンタクトプローブ30はキャップ部41から離間しており、キャップ部41に流れた静電気は、ハウジング20から基体100を介してアースされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品の組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキ系統において、車輪ブレーキに作用させるブレーキ液圧を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置では、圧力センサによって計測されたブレーキ液圧などに基づいて、制御部が液路に設けられた各種部品を制御している。
車載用の圧力センサは、電気回路が収容された筒状のセンサハウジングと、このセンサハウジングの開口部から突出した支持部と、この支持部の各挿通孔に挿通された複数のコンタクトプローブ(接続端子)と、を備え、コンタクトプローブの先端部は支持部の先端面から突出し、基端部はセンサハウジング内で電気回路に接続されている。
【0003】
圧力センサは、ブレーキ液路が形成された基体の取付穴に基端部が挿入されることで、基体に固着されている。また、圧力センサの先端側に突出したコンタクトプローブの先端部が、電子制御ユニットの制御基板の接続部に接触することで、圧力センサと制御基板とが電気的に接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−25944号公報(段落0039、段落0043、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の圧力センサを基体に組み付けるときに、外部から各コンタクトプローブに高電圧である静電気が流れると、その静電気が各コンタクトプローブからセンサハウジング内に収容された電気回路に流れることで、圧力センサに不具合が生じる場合がある。
また、コンタクトプローブが外部に露出していると、コンタクトプローブにグリスや塵埃などの汚れが付着し易くなる。
【0006】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、電気部品を基体に組み付けるときに、電気部品が静電気の影響を受けるのを防ぐとともに、電気部品の接続端子に汚れが付着するのを防ぐことができる組付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、金属部品であるハウジングと、前記ハウジングの先端側の開口部に一部が内挿された樹脂部品である支持部と、前記支持部から突出した接続端子と、を備えた電気部品を、金属部品である基体に取り付けるための組付方法であって、有底筒状の導電性部材であるキャップ部を有する保護部材を用意し、前記キャップ部を、前記電気部品の前記支持部に被せる第一段階と、前記キャップ部を前記支持部に被せた状態で、前記電気部品の前記ハウジングの基端部を、前記基体に取り付ける第二段階と、を含み、前記キャップ部を前記支持部に被せた状態では、前記キャップ部が前記ハウジングに対して電気的に接続され、前記接続端子は前記キャップ部から離間しており、外部から前記保護部材の前記キャップ部に流れた静電気は、前記電気部品の前記ハウジングから前記基体を介してアースされることを特徴としている。
【0008】
この構成では、電気部品を基体に組み付けるときに、外部から保護部材のキャップ部に静電気が流れた場合には、その静電気は電気部品のハウジングから基体を介してアースされるため、ハウジング内に収容された電気回路が静電気の影響を受けるのを防ぐことができる。
また、保護部材のキャップ部を電気部品の支持部に被せることで、電気部品の接続端子が外部に露出しないため、接続端子に汚れが付着するのを防ぐことができる。
【0009】
前記した電気部品の組付方法において、前記第一段階は前記電気部品の製造工程である。したがって、電気部品の製造工程から組み付け工程が完了するまで、接続端子が外部に露出しないため、接続端子に汚れが付着するのを確実に防ぐことができるとともに、ハウジングの内部が静電気の影響を受けるのを確実に防ぐことができる。
【0010】
前記した電気部品の組付方法では、前記ハウジングの基端部を前記基体の取付穴に挿入した後に、前記取付穴の開口縁部をかしめて、前記ハウジングを前記基体に取り付けてもよい。
【0011】
前記した電気部品の組付方法において、前記電気部品は、電気回路を備えた検出部が前記ハウジング内に設けられた圧力センサであり、前記検出部は、前記支持部の基端面に対向する位置に配置された基板を備え、前記基板には前記電気回路がプリントされているように構成することができる。この構成では、ハウジング内の検出部の電気回路が静電気の影響を受けるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電気部品の組付方法によれば、電気部品を基体に組み付けるときに、電気部品が静電気の影響を受けるのを防ぐとともに、電気部品の接続端子に汚れが付着するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置を示した分解斜視図である。
【図2】本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置を示した側断面図である。
【図3】本実施形態の圧力センサを示した図で、(a)は斜視図、(b)はコンタクトプローブ側から見た図である。
【図4】本実施形態の圧力センサを示した部分拡大断面図である。
【図5】本実施形態の保護部材を示した斜視図である。
【図6】本実施形態の保護部材を示した図で、(a)は側面図、(b)は側断面図、(c)は開口部側から見た図である。
【図7】本実施形態の保護部材を取り付けた圧力センサを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、車両用ブレーキ液圧制御装置に用いられる圧力センサの保護部材を例として説明する。
【0015】
[車両用ブレーキ液圧制御装置の構成]
車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、図1に示すように、圧力センサ1などの電気部品や電磁弁V、モータ200、往復動ポンプPなどが組み付けられる基体100と、車体の挙動を検出して、電磁弁Vの開閉やモータ200の作動を制御する制御基板301を有する電子制御ユニット300と、を主に備えている。基体100内にはブレーキ液路(油路)が形成されており、車体の挙動に基づいて、制御基板301が電磁弁Vやモータ200を作動させることで、ブレーキ液路内のブレーキ液圧を変動させるように構成されている。
【0016】
(基体の構成)
基体100は、図1に示すように、略直方体に形成された金属部品であり、その内部にはブレーキ液路(油路)が形成されている。
基体100の各面のうち、表側の面101には、電磁弁Vや圧力センサ1が装着される有底の取付穴151などが複数形成されている。
また、基体100の上面103には、車輪ブレーキ(図示せず)に至る配管が接続される出口ポート152などが形成されている。
また、基体100の下面には、リザーバを構成するリザーバ構成部品Rが組付けられる二つのリザーバ穴153などが形成されている。
また、基体100の側面105には、往復動ポンプPが装着されるポンプ孔155などが形成されている。
なお、基体100に設けられた穴は、直接に、或いは基体100の内部に形成された図示せぬブレーキ液路を介して互いに連通している。
【0017】
(モータの構成)
モータ200は、往復動ポンプPの動力源となる電動部品であり、図2に示すように、基体100の裏側の面102に一体的に固着されている。なお、モータ200と基体100の裏側の面102との間には、モータ200と基体100の裏側の面102との間を液密にシールする無端状のシール部材214が介設されている。
モータ200の出力軸210には、偏心軸部211が設けられており、この偏心軸部211には、ボールベアリング212が外嵌されている。偏心軸部211及びボールベアリング212は、基体100のモータ装着穴154に挿入されている。出力軸210の上方には、図示せぬロータに電力を供給するためのモータバスバー220が接続されている。モータバスバー220は、基体100の端子孔140に挿通されており、ハウジング400内に設けられたターミナル8bを介して、制御基板301に接続されている。
【0018】
(電子制御ユニットの構成)
電子制御ユニット300は、図1に示すように、制御基板301と、基体100から突出した電気部品や制御基板301などを収容するハウジング400と、このハウジング400の開口部を塞ぐカバー500と、を備えている。
【0019】
制御基板301は、電気回路がプリントされた長方形の基板本体に、半導体チップなどの電子部品を取り付けたものであり、圧力センサ1や図示せぬ角速度センサ、加速度センサなどの各種センサから得られた情報や、予め記憶させておいたプログラムに基づいて、電磁弁Vの開閉やモータ200の作動を制御するように構成されている。
また、制御基板301の電気回路には、図2に示すように、ハウジング400に埋設された導電部材303が接続されている。この導電部材303は、ハウジング400において制御基板301よりも基体100側に形成された仕切部401内に延設されており、図4に示すように、仕切部401において基体100側の面の一部に接続部302が形成されている。この接続部302に圧力センサ1のコンタクトプローブ30が接触することで、圧力センサ1と制御基板301(図2参照)とが電気的に接続される。
【0020】
ハウジング400は、図2に示すように、基体100の表側の面101から突出する電磁弁Vや圧力センサ1などの電気部品を覆った状態で、基体100の表側の面101に一体的に固着される合成樹脂製の箱体である。
このハウジング400は、基体100側の反対側の面(図2の右側の面)及び基体100側の面(図2の左側の面)が開口している。ハウジング400の内部空間は、仕切部401によって表側と裏側に分割されており、内部空間の裏側(図2の左側)には 電磁弁V、電磁コイルV1、圧力センサ1などの電気部品を収容する第一収容室K1が形成され、内部空間の表側(図2の右側)には、制御基板301を収容する第二収容室K2が形成されている。
【0021】
カバー500は、図1に示すように、ハウジング400の基体100側の反対側の開口部を密閉する合成樹脂製の蓋体であり、溶着や接着などの手段によりハウジング400の表側の端面に固着される。
【0022】
[圧力センサの構成]
図2に示す圧力センサ1は、図示しないマスタシリンダと車輪ブレーキとを接続する液路内のブレーキ液圧を計測する電気部品である。圧力センサ1は、その基端部(基体100側の端部)が基体100の前面101に形成された取付穴151内に挿入されることで、基体100の表側の面101に固着されている。
【0023】
圧力センサ1は、図3(a)に示すように、基体100内に形成された流路内のブレーキ液圧を測定する検出部10(図4参照)が収容されたセンサハウジング20と、このセンサハウジング20の開口部20aに挿通され、先端部が開口部20aから突出した支持部21と、この支持部21に形成された四つの挿通孔21d・・・に挿通された四体のコンタクトプローブ30・・・と、を備えている。
【0024】
(センサハウジングの構成)
センサハウジング20は、有底円筒状の金属部品であり、先端側に開口部20aが形成され、基端側には検出部10(図4参照)が収容されている。
【0025】
(支持部の構成)
支持部21は、コンタクトプローブ30を支持する略円形断面の樹脂部品であり、図4に示すように、センサハウジング20内に内挿される大径部21aと、センサハウジング20の開口部20aを介して外部に突出する小径部21bと、が形成されている。
なお、小径部21bには、図3に示すように、小径部21bの外周面の一部を平面に切り欠いた位置決め部21cが形成されている。
【0026】
支持部21には、図3(b)に示すように、四つの挿通孔21d・・・が軸方向に貫通している(図4参照)。各挿通孔21d・・・は、支持部21の先端面21eの中心点回りに90度間隔で同一の円周線上に配置されている。
【0027】
(検出部の構成)
検出部10は、図4に示すように、センサハウジング20内に収容されており、液路内のブレーキ液圧を測定し、その測定値を電気信号に変換して出力するものである。
検出部10は、支持部21の基端面21fに対向する位置に基板11が配置されている。基板11には電気回路がプリントされており、半導体チップなどが搭載されている。
また、基板11には四つの接続部11a・・・(図4では二つのみ図示)が形成されている。この接続部11aは、電気回路に導通されており、コンタクトプローブ30の端部が接触することで、コンタクトプローブ30と電気回路とを電気的に接続する接続部である。なお、四つの接続部11aは、陽極又は陰極及び液圧信号出力部、診断出力部にそれぞれ設定されている。
【0028】
(コンタクトプローブの構成)
コンタクトプローブ30は、有底円筒状の金属部品である外筒部31と、この外筒部31内に挿入された金属部品であるロッド32と、を有し、外筒部31内にコイルばね(図示せず)が収容されている。
【0029】
外筒部31は、先端側(電子制御ユニット300側)に開口部が形成されており、この開口部にロッド32が挿通されている。外筒部31の開口縁には、ロッド32の抜け止めを構成する縮径部が形成されている。また、外筒部31の基端部には、棒状に突出した突出部31aが形成されている。
図4に示すように、コンタクトプローブ30を支持部21の挿通孔21d内に挿通したときには、外筒部31が挿通孔21d内に圧入されることで、コンタクトプローブ30が挿通孔21d内に固定される。
また、外筒部31の基端部が支持部21の基端面21fから突出して、突出部31aが検出部10の基板11の接続部11aに、半田付け等でリジットに接続されることで、コンタクトプローブ30と検出部10とが電気的に接続される。
【0030】
ロッド32は、外筒部31内のコイルばね(図示せず)の押圧力によって、外筒部31から突出する方向(図4の右側)に付勢され、先端部は支持部21の先端面21eから突出している。
このロッド32には、外筒部31内に摺動自在に内挿された大径部と、外筒部31の開口部を介して外部に突出した小径部と、が形成されている。そして、大径部と小径部との間に形成された段差部が、外筒部31の縮径部に係止されることで、外筒部31からのロッド32の抜け止めが構成される。
【0031】
[保護部材の構成]
次に、圧力センサ1の保護部材40について説明する。
図5に示す保護部材40は、圧力センサ1の支持部21の先端部に対して着脱自在に被せられる有底円筒状のキャップ部41を備えている。このキャップ部41は導電性を有する合成樹脂部材によって形成されている。
【0032】
図6(b)に示すように、キャップ部41の一端側(図6(b)の下側)には開口部41aが形成され、他端側(図6(b)の上側)には底部41bが形成されている。開口部41aの内周面は、図6(c)に示すように、圧力センサ1(図5参照)の支持部21の外形に対応する断面形状に形成されており、キャップ部41は支持部21に嵌合可能となっている。
【0033】
図7に示すように、キャップ部41を圧力センサ1の支持部21の先端部に被せたときには、キャップ部41の開口縁部がセンサハウジング20の先端面に当接し、支持部21の先端面21eから突出した各コンタクトプローブ30・・・の先端部(露出部)はキャップ部41内に収容され、各コンタクトプローブ30・・・はキャップ部41の内面から離間している。
なお、キャップ部41は、導電性を有しているため、キャップ部41を圧力センサ1の支持部21に被せたときには、キャップ部41はセンサハウジング20に対して電気的に接続される。
【0034】
図6(b)及び(c)に示すように、キャップ部41の内周面の一部には、係合部41cが形成されている。この係合部41cは、平面に形成されており、図7に示すように、キャップ部41を圧力センサ1の支持部21に被せたときに、支持部21の位置決め部21cに面接触して係合する部位である。このように、支持部21の外周面及びキャップ部41の内周面の双方に非円形の部位を形成し、係合部41cを位置決め部21cに係合させることで、支持部21に被せられたキャップ部41の回り止め構造が構成されている。
【0035】
また、図5に示すように、キャップ部41の外周面の一部には、平面に形成された切り欠き面41dが形成されている。この切り欠き面41dは、図6(c)に示すように、キャップ部41の内周面に形成された係合部41cに対応する位置に形成されている。すなわち、切り欠き面41dと係合部41cとは、キャップ部41の周壁部の一部を平板状に形成することで得られたものであり、キャップ部41の周壁部において平板状の部位の表裏に形成されている。したがって、切り欠き面41dは、キャップ部41を外から見たときに、その内周面に形成された係合部41cの位置を示すマークとなっている。
【0036】
また、キャップ部41の内周面には、係合部41cに対向する位置に、三つの突起部41e・・・が形成されている。各突起部41e・・・は、キャップ部41の平板状の部位に対向する円弧状の部位に形成されており、各突起部41e・・・は、周方向に等間隔で配置され、それぞれ係合部41cに向けて突出している。突起部41eは、図6(b)に示すように、キャップ部41の開口部41aから底部41b側に延ばされている。突起部41eは、開口部41a側よりも底部41b側の突出量が大きく形成されている。本実施形態の突起部41eでは、開口部41aの近傍に形成された傾斜面によって、開口部41a側よりも底部41b側の突出量が大きくなっており、傾斜面よりも底部41b側では突出量が一定に形成されている。なお、開口部41aから底部41bに向かうに連れて突出量が大きくなるように、突起部全体に傾斜面を形成してもよい。
【0037】
また、図6(c)に示すように、キャップ部41の周壁部には、二つのスリット41f,41fが形成されている。本実施形態では、キャップ部41の周壁部において、平板状の部位が形成された一方の半周部(図6(c)の左半分)と、平板状の部位に対向する他方の半周部(図6(c)の右半分)と、の境界部分に、スリット41f,41fがそれぞれ形成されている。
各スリット41f,41fは、キャップ部41の周壁部を切り欠いた溝であり、図6(a)に示すように、開口部41aから底部41b側に延ばされており、キャップ部41の高さ方向(図6(a)の上下方向)の略半分の位置まで延ばされている。なお、スリット41fは、キャップ部41の周壁部において平板状の部位以外の円弧状の部位に形成されていればよい。
【0038】
また、キャップ部41の底部41bの外周面には、周方向に延ばされた凹部によって係り部41gが形成されている。本実施形態では、キャップ部41の周壁部において、円弧状の部位に係り部41gが形成されている。
【0039】
[圧力センサの組付方法及び保護部材の作用効果]
次に、前記した保護部材40を取り付けた圧力センサ1を、基体100に組み付けるときの手順について説明するとともに、保護部材40の作用効果について説明する。
【0040】
まず、圧力センサ1の製造工程において、図5に示すように、保護部材40のキャップ部41を、圧力センサ1の支持部21の先端部に被せて、支持部21の先端面21eから突出したコンタクトプローブ30の先端部(露出部)をキャップ部41内に収容する。
【0041】
このとき、図7に示すように、キャップ部41の係合部41cと支持部21の位置決め部21cとが係合することで、支持部21に被せられたキャップ部41の回り止め構造が構成される。
また、キャップ部41の外周面に形成された切り欠き面41dは、係合部41cの位置に対応しており、圧力センサ1の支持部21の位置決め部21cの位置を示している。本実施形態の圧力センサ1では、支持部21の位置決め部21cに基づいて、各コンタクトプローブ30・・・の配置を把握することができることから、キャップ部41の外周面に形成された切り欠き面41dを目印にして、各コンタクトプローブ30・・・の配置を把握することができる。
【0042】
また、保護部材40が被せられた圧力センサ1を基体100に組み付けたときに、キャップ部41の切り欠き面41dの形状に対応した接触面を有する第一クランプ治具と、キャップ部41の円弧状の部位の形状に対応した接触面を有する第二クランプ治具とによって、キャップ部41を挟み込むことで、圧力センサ1の向きを把握することもできる。具体的には、二体のクランプ治具によってキャップ部41を挟み込んだときに、キャップ部41が正しい向きに配置されておらず、第一クランプ治具がキャップ部41の円弧状の部位に接触した場合には、二体のクランプ治具の間隔は、キャップ部41が正しい向きに配置されているときの二体のクランプ治具の間隔よりも大きくなる。したがって、二体のクランプ治具の間隔を測定することで、圧力センサ1の向きを把握することができる。なお、キャップ部41が正しい向きに配置されていない場合には、二体のクランプ治具によってキャップ部41を挟み込んだときに、各クランプ治具の接触面に案内されてキャップ部41が回転し、キャップ部41は正しい向きに配置される。
【0043】
また、キャップ部41を圧力センサ1の支持部21に被せたときに、キャップ部41の内周面に形成された三つの突起部41e・・・(図6(c)参照)が、圧力センサ1の支持部21の外周面に押し付けられることで、十分な圧力でキャップ部41が支持部21に嵌め合わされるため、キャップ部41の係合部41cと支持部21の位置決め部21cとが確実に係合する。
【0044】
また、キャップ部41を圧力センサ1の支持部21に被せるときに、キャップ部41の開口部41a側では突起部41eの突出量が小さいため、支持部21をキャップ部41内にスムースに挿入することができる。また、キャップ部41の底部41b側では突起部の突出量が大きいため、十分な圧力でキャップ部41を支持部21に嵌め合わせることができる。
【0045】
なお、キャップ部41の内径や支持部21の外径の寸法公差によって、キャップ部41と支持部21との締め代が小さい場合であっても、キャップ部41を支持部21に被せたときに、スリット41fが幅方向に開くことで、キャップ部41の内径が大きくなるため、支持部21をキャップ部41内にスムースに挿入することができる。
【0046】
このように、保護部材40のキャップ部41を圧力センサ1の支持部21に被せて、各コンタクトプローブ30・・・をキャップ部41内に収容した状態で、圧力センサ1を車両用ブレーキ液圧制御装置U(図1参照)に組み付ける工程に移行する。
【0047】
圧力センサ1の組み付け工程では、図7に示すように、基体100の前面101に形成された取付穴151に圧力センサ1の基端部を挿入する。このとき、保護部材40のキャップ部41の外面に設けられた切り欠き面41dを目印とすることで、キャップ部41内に収容された各コンタクトプローブ30・・・の配置を把握することができる。
そして、図4に示すように、各コンタクトプローブ30・・・が、電子制御ユニット300の制御基板301(図2参照)の各接続部302・・・に対して、電気的に正しく接続されるように、キャップ部41の切り欠き面41dを目印として、圧力センサ1の向きを設定する。このようにして、圧力センサ1の基端部を基体100の取付穴151に挿入した後に、取付穴151の開口縁部をかしめて、圧力センサ1を基体100に固着させる。
【0048】
本実施形態では、キャップ部41は導電性部材によって形成されており、図7に示すように、キャップ部41は圧力センサ1のセンサハウジング20に対して電気的に接続されている。したがって、外部からキャップ部41に流れた静電気は、センサハウジング20から基体100を介してアースされるため、センサハウジング20内の検出部10(図4参照)の電気回路が静電気の影響を受けるのを防ぐことができる。
【0049】
圧力センサ1を基体100に組み付けた後に、キャップ部41を支持部21から取り外し、基体100に電子制御ユニット300を組み付けることで、図4に示すように、各コンタクトプローブ30・・・を制御基板301(図4参照)の接続部302・・・に接触させ、圧力センサ1と制御基板301とを電気的に接続する。
なお、図6(a)に示すように、キャップ部41の底部41bには係り部41gが形成されているため、キャップ部41を圧力センサ1の支持部21に着脱するときに、キャップ部41の係り部41gを把持することで、キャップ部41を支持部21に着脱し易くなっている。
【0050】
本実施形態の保護部材40によれば、図7に示すように、キャップ部41を圧力センサ1の支持部21に被せた状態であっても、各コンタクトプローブ30・・・の配置を把握することができるため、各コンタクトプローブ30・・・をキャップ部41内に収容した状態で、圧力センサ1を基体100に対して正確に組み付けることができる。
なお、圧力センサ1の製造工程において、キャップ部41を支持部21に被せた場合には、圧力センサ1の製造工程から組み付け工程が完了するまで、コンタクトプローブ30が外部に露出しないため、コンタクトプローブ30に汚れが付着するのを確実に防ぐことができるとともに、センサハウジング20内の検出部10(図4参照)の電気回路が静電気の影響を受けるのを確実に防ぐことができる。
【0051】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
本実施形態では、図5に示すように、キャップ部41の外周面に形成した切り欠き面41dを目印として、キャップ部41内に収容された各コンタクトプローブ30・・・の配置を把握しているが、各コンタクトプローブ30・・・の配置を把握するための目印となるマークの形態は限定されるものではない。例えば、キャップ部41の外面において、係合部41c(図6(c)参照)に対応する位置に、突起部を形成したり、印字したりすることで、各コンタクトプローブ30・・・の配置を把握するための目印となるマークを形成してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、図6(c)に示すように、キャップ部41の内周面において、係合部41cに対向する位置に、三つの突起部41e・・・を形成しているが、突起部41eの個数やその形状は限定されるものではない。
また、本実施形態では、キャップ部41の周壁部に二つのスリット41f,41fを形成しているが、スリット41fの個数やその形状は限定されるものではない。
また、本実施形態では、図6(a)に示すように、キャップ部41の底部41bに凹部を形成することで、係り部41gを形成しているが、キャップ部41の外周面に凸部を形成することで、係り部を形成してもよい。
また、本実施形態では、図5に示すキャップ部41を導電性を有する合成樹脂部材によって形成しているが、合成樹脂部材に限定されるものではなく、例えば、導電性を有する金属部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 圧力センサ(電気部品)
10 検出部
11 基板
11a 接続部
20 センサハウジング
20a 開口部
21 支持部
21c 位置決め部
21d 挿通孔
30 コンタクトプローブ(接続端子)
31 外筒部
32 ロッド
40 保護部材
41 キャップ部
41a 開口部
41b 底部
41c 係合部
41d 切り欠き面
41e 突起部
41f スリット
41g 係り部
100 基体
151 取付穴
300 電子制御ユニット
301 制御基板
302 接続部
303 導電部材
400 ハウジング
500 カバー
U 車両用ブレーキ液圧制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部品であるハウジングと、前記ハウジングの先端側の開口部に一部が内挿された樹脂部品である支持部と、前記支持部から突出した接続端子と、を備えた電気部品を、金属部品である基体に取り付けるための組付方法であって、
有底筒状の導電性部材であるキャップ部を有する保護部材を用意し、前記キャップ部を、前記電気部品の前記支持部に被せる第一段階と、
前記キャップ部を前記支持部に被せた状態で、前記電気部品の前記ハウジングの基端部を、前記基体に取り付ける第二段階と、を含み、
前記キャップ部を前記支持部に被せた状態では、前記キャップ部が前記ハウジングに対して電気的に接続され、前記接続端子は前記キャップ部から離間しており、外部から前記保護部材の前記キャップ部に流れた静電気は、前記電気部品の前記ハウジングから前記基体を介してアースされることを特徴とする電気部品の組付方法。
【請求項2】
前記第一段階は、前記電気部品の製造工程であることを特徴とする請求項1に記載の電気部品の組付方法。
【請求項3】
前記ハウジングの基端部を前記基体の取付穴に挿入した後に、前記取付穴の開口縁部をかしめて、前記ハウジングを前記基体に取り付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気部品の組付方法。
【請求項4】
前記電気部品は、電気回路を備えた検出部が前記ハウジング内に設けられた圧力センサであり、
前記検出部は、前記支持部の基端面に対向する位置に配置された基板を備え、前記基板には前記電気回路がプリントされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気部品の組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−136695(P2011−136695A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58130(P2011−58130)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2009−11826(P2009−11826)の分割
【原出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】