説明

電池パック、及び、電池パックにおける二次電池の取外し監視方法

【課題】簡単な構造、構成で改造電池パックの製造を防止することができる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パックは、複数の二次電池20、複数の二次電池を格納する筐体30、及び、筐体30内に格納された検査回路70を備えており、筐体30は、本体部40、及び、本体部40へ複数の二次電池20を出し入れするための開口部44を閉鎖するための閉鎖部材50から成り、閉鎖部材50を本体部40に固定するための、導電材料から作製された複数の固定用部材を備えており、閉鎖部材50及び本体部40に対する固定用部材の取付け状態が検査回路70によって監視されており、更に、閉鎖部材50及び本体部40に対する固定用部材の取付け順序が検査回路によって記憶されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック、及び、電池パックにおける二次電池の取外し監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックは、携帯電話やデジタルスチルカメラ、携帯ゲーム機、ノート型パーソナルコンピュータ、電動工具等、多様なポータブル機器に既に使用されている。そして、現在、これに留まらず、電動アシスト自転車や電気自動車、更には、家庭用蓄電装置等の、より高出力、高容量を要求される分野に使用されつつある。
【0003】
電池パックに組み込まれた二次電池として、現在、最も主力的に用いられているものの1つに、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、充電により繰返し使用できる、高電圧出力である、高エネルギー密度である、自己放電が少ない、長寿命であるといった多数の特徴により、非常に広い範囲で使用されている。但し、可燃物を含有しており、その取扱いに十分な注意が必要とされる。また、より高出力、高容量という機器の要求に対応するため、二次電池(単セル)を多直列接続や多並列接続とし、電池パック(組電池)の形態で使用されるケースも増加しており、より正しく取り扱うことが求められている。更には、機器に装着された電池パックが、機器にとって安全に使用できるものか否かを判断するために、機器と電池パック間で認証行為を行う電池認証システムが多く導入されている。そして、適切な電池パックを使用しているか、適切な保護回路を有しているか等を含め、種々の認証方法で不適切な電池パックの使用を規制することが可能となっている。
【0004】
ところで、使用済みの電池パックを分解して二次電池を取り出し、この二次電池を別の電池パックに組み込むことにより、所謂改造電池パックが製造され、流通されることが懸念されている。このような改造電池パックにおいては、不適切な二次電池が組み合わされることで、不所望の過充電や過放電等が発生する虞があり、安全性に問題が生じ易い。そこで、このような改造電池パックを不認証としたり、改造電池パックが実質的に機能しないようにすることで、改造電池パックの製造や流通を適正に抑止することが、強く望まれている。
【0005】
このような改造防止を目的とした電池パックとして、所定の情報を記録したICタグが設けられた電池パックが、例えば、特開2006−324075から周知である。また、電池を外装ケースから離脱させたことが証明される剥離認識機能を有する剥離認識テープが電池からその隣接部材に跨がって貼着された電池パックが、特開2005−353518から周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−324075
【特許文献2】特開2005−353518
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開2006−324075に開示された技術にあっては、ICタグを用いているので、電池パックの製造コストが増加するといった問題があるし、ICタグを破壊しないように電池パックが分解された場合には、改造防止に対して無力となってしまう。また、特開2006−324075に開示された技術にあっては、電池パックから電池を取り出し、改造電池パックを製造することを防止することができない。
【0008】
従って、本発明の目的は、簡単な構造、構成で改造電池パックの製造を防止することができる電池パック、及び、電池パックからの二次電池の取り外しを監視する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の電池パックは、
(A)複数の二次電池、
(B)複数の二次電池を格納する筐体、及び、
(C)筐体内に格納された検査回路、
を備えた電池パックであって、
筐体は、本体部、及び、本体部へ複数の二次電池を出し入れするための開口部を閉鎖するための閉鎖部材から成り、閉鎖部材を本体部に固定するための、導電材料から作製された複数の固定用部材を備えており、
閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け状態が検査回路によって監視されており、更に、閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け順序が検査回路によって記憶されている。
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の電池パックにおける二次電池の取外し監視方法(以下、単に、『本発明の監視方法』と呼ぶ場合がある)は、上記の本発明の電池パックにおける二次電池の取外し監視方法であって、閉鎖部材及び本体部からの固定用部材の取外し順序が取付け順序に基づく取外し順序と異なる場合、電池パックの機能を停止させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電池パックにあっては、閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け状態が検査回路によって監視されており、更に、閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け順序が検査回路によって記憶されている。従って、閉鎖部材及び本体部からの固定用部材の取外し順序が取付け順序に基づく取外し順序と異なる場合、電池パックの機能を停止させることができる。また、本発明の監視方法にあっては、閉鎖部材及び本体部からの固定用部材の取外し順序が取付け順序に基づく取外し順序と異なる場合、電池パックの機能を停止させる。従って、簡単な構造、構成を有する電池パックであるにも拘わらず、二次電池の不正な取り出しを防止することができるので、二次電池を不正に交換しようとするといった電池パックの改造を確実に防止することができる。しかも、従来の二次電池を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1の電池パックの閉鎖部材を外した状態を示す模式図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、それぞれ、電池パックの模式的な斜視図、及び、実施例1の電池パックの閉鎖部材を外し、更に、プリント配線板を外し、二次電池を露出させた状態の模式図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、筐体を構成する本体部及び閉鎖部材を拡大した模式的な一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の電池パック及び本発明の二次電池の取外し監視方法、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の電池パック及び本発明の二次電池の取外し監視方法)、その他
【0014】
[本発明の電池パック及び本発明の二次電池の取外し監視方法、全般に関する説明]
本発明の電池パックにあっては、閉鎖部材及び本体部からの固定用部材の取外し順序が、検査回路によって記憶された取付け順序に基づく取外し順序と異なる場合、電池パックの機能を停止させる形態とすることができる。
【0015】
上記の好ましい形態を含む本発明の電池パック、あるいは、本発明の監視方法において、固定用部材はネジ、具体的には、金属や合金製のネジから成る構成とすることができるが、これに限定するものではなく、その他、パチン錠、キャッチクリップ、T型ファスナー、セミ型蓋止を挙げることができる。
【0016】
上記の好ましい形態、構成を含む本発明の電池パックあるいは本発明の監視方法において、固定用部材を取り付ける本体部の部分には、導電材料、具体的には、金属や合金から成り、第1の配線を介して検査回路に接続され、固定用部材と係合するブッシュが取り付けられており、閉鎖部材に取り付けられた固定用部材は、第2の配線を介して検査回路に接続されている構成とすることができる。
【0017】
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の電池パックあるいは本発明の監視方法において、電池パックには識別標識(シリアルID、例えば、バーコード)が付与されており、識別標識と取付け順序とは所定の関係を有する形態とすることができる。即ち、識別標識を解析することで(読み解くことで)、取付け順序が判明するような構成とすることもできる。
【0018】
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の電池パックあるいは本発明の監視方法において、取付け順序は暗号化されている構成とすることができる。尚、暗号化、それ自体は、周知の方法で行えばよい。
【0019】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の電池パックあるいは本発明の監視方法(以下、これらを総称して、単に『本発明』と呼ぶ場合がある)において、二次電池としてリチウムイオン二次電池を挙げることができるが、これに限定するものではなく、要求される特性に応じて、適宜、使用する二次電池の種類を選択すればよい。二次電池の構成、構造は、周知の構成、構造とすることができるし、二次電池の形状も、周知の円筒型、角型とすることができる。電池パックを構成する二次電池の数も、要求される特性に応じて、適宜、決定すればよい。
【0020】
筐体を構成する本体部及び閉鎖部材は、非導電材料(絶縁材料)、例えば、プラスチック材料から構成することができるが、これに限定するものではなく、固定用部材等と電気的絶縁性を確保できるのであれば、金属や合金から構成することも可能である。本体部を各種プラスチック材料から構成する場合、ブッシュと一体に成形することが可能であるし、閉鎖部材を各種プラスチック材料から構成する場合、第2の配線の一部と一体に成形することが可能である。第1の配線あるいは第2の配線のいずれか一方は、接地されていてもよい。本体部の形状は、本質的に任意であるが、立方体や直方体、円柱や角柱を例示することができる。本体部に対する閉鎖部材の位置関係として、本体部の頂面に設けられた開口部を閉鎖部材で塞ぐ形態、本体部の側面に設けられた開口部を閉鎖部材で塞ぐ形態、本体部の底面に設けられた開口部を閉鎖部材で塞ぐ形態を例示することができる。
【0021】
複数の固定用部材だけで閉鎖部材を本体部に固定してもよいし、本体部と閉鎖部材をヒンジで連結し、更に、複数の固定用部材で閉鎖部材を本体部に固定してもよい。固定用部材は、金属や合金から作製すればよい。固定用部材の数として、限定するものではないが、6箇所以上を例示することができる。
【0022】
検査回路、それ自体は、MPUや記憶手段(例えば、EEPROMから成る)を備えた周知の回路から構成することができる。検査回路の電源は、電池パックを構成する二次電池とすればよい。電池パックには、電池保護回路が備えられている。電池パックの機能を停止させるためには、この電池保護回路を作動させればよい。閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け状態の検査回路による監視は、常時、行ってもよいし、所定の時間間隔を置いて行ってもよい。
【0023】
閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材にあっては、限定するものではないが、
(1)固定用部材の取付け順序を任意(ランダム)とし、係る固定用部材の取付け順序を検査回路が監視し、記憶する方法
(2)固定用部材の取付け順序を任意(ランダム)とし、係る固定用部材の取付け順序を外部から検査回路に記憶させる方法
(3)固定用部材の取付け順序を予め決められた順序とし、係る固定用部材の取付け順序を検査回路が監視し、記憶する方法
(4)固定用部材の取付け順序を予め決められた順序とし、係る固定用部材の取付け順序を外部から検査回路に記憶させる方法
(5)固定用部材の取付け順序を予め決められた順序とし、係る固定用部材の取付け順序を予め検査回路に記憶させておく方法
のいずれかを採用すればよい。また、閉鎖部材及び本体部からの固定用部材の取付け順序に基づく取外し順序は、取付け順序の逆の順序とすることもできるし、取付け順序から所定の演算規則に基づき得られた取外し順序とすることもできる。
【0024】
本発明における電池パックは、例えば、電気自動車(EV)、電動オートバイ、電動アシスト自転車、電動工具、ホームエネルギーサーバ(家庭用蓄電装置)、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダ、音楽プレーヤ、医療機器、玩具等に適用することができる。
【実施例1】
【0025】
実施例1は、本発明の電池パック、及び、本発明の電池パックにおける二次電池20の取外し監視方法に関する。実施例1の電池パックの閉鎖部材を外した状態を示す模式図を図1に示す。また、電池パックの模式的な斜視図、及び、実施例1の電池パックの閉鎖部材を外し、更に、プリント配線板を外し、二次電池を露出させた状態の模式図を、それぞれ、図2の(A)及び(B)に示す。更には、筐体を構成する本体部及び閉鎖部材を拡大した模式的な一部断面図を、図3の(A)及び(B)に示すが、図3の(A)には、閉鎖部材を本体部に固定する前の状態を示し、図3の(B)には、固定用部材によって閉鎖部材を本体部に固定した後の状態を示す。
【0026】
実施例1の電池パック10は、
(A)複数の二次電池20、
(B)複数の二次電池20を格納する筐体(ケース、ハウジング)30、及び、
(C)筐体30内に格納された検査回路(検査手段、検査装置)70、
を備えている。
【0027】
ここで、筐体30は、本体部40、及び、本体部40へ複数の二次電池20を出し入れするための開口部44を閉鎖するための閉鎖部材50から成る。更に、筐体30は、閉鎖部材50を本体部40に固定するための、導電材料から作製された複数の固定用部材60を備えている。そして、閉鎖部材50及び本体部40に対する固定用部材60の取付け状態が検査回路70によって監視されており、更に、閉鎖部材50及び本体部40に対する固定用部材60の取付け順序が検査回路70によって記憶されている。
【0028】
更には、固定用部材60を取り付ける本体部40の部分には、導電材料、具体的には、金属や合金(より具体的にはステンレス鋼)から成り、第1の配線41を介して検査回路70に接続され、固定用部材60と係合するブッシュ42が取り付けられている。尚、第1の配線41はブッシュ42に適切な方法にて取り付けられている。また、閉鎖部材50に取り付けられた固定用部材60は、第2の配線51A,51B,51Cを介して検査回路70に接続されている。具体的には、固定用部材60は、第2の配線51A,51B,51Cを介して接地されている。第2の配線の一部51Bには、固定用部材60を通すための貫通孔53が設けられている。更には、コネクター74を介して検査回路70に接続された第2の配線51Cは、ステンレス鋼から成る取付用ネジ52によって第1の配線51Aに電気的に接続されている。
【0029】
二次電池20は、周知の円筒型のリチウムイオン二次電池から成る。そして、電池パック10にあっては、金属製の接続板21によって、3つの二次電池20が並列接続され、係る並列接続された二次電池群が7つ、金属製の接続板21によって直列接続されている。筐体30を構成する本体部40及び閉鎖部材50は、非導電材料(絶縁材料)、例えば、プラスチック材料、より具体的には、例えば、ABS樹脂や、PS樹脂、POM樹脂から構成されている。第2の配線51A,51Bと閉鎖部材50とを一体的に成形することで得ることができる。また、ブッシュ42と本体部40とを一体的に成形することで得ることができる。本体部40の形状は、本質的に任意であるが、実施例1においては、直方体とした。閉鎖部材50は、本体部40の頂面に設けられた開口部44を塞いでいる。固定用部材60はネジ、具体的には、ステンレス鋼のネジから成る。尚、実施例1にあっては、8本の固定用部材(ネジ)60だけで閉鎖部材50を本体部40に固定している。尚、参照番号11は、本体部40の側壁に貼り付けられた識別標識(シリアルID、バーコード)であり、参照番号12は出力部である。
【0030】
検査回路70、それ自体は、MPU71や記憶手段(例えば、EEPROMから成る)72を備えた周知の回路から構成されている。検査回路70の電源は、電池パック10を構成する二次電池20である。そして、電池パック10には、周知の電池保護回路73が備えられている。電池パック10の機能を停止させるためには、この電池保護回路73を作動させる。MPU71や記憶手段72、電池保護回路73、コネクター74は、プリント配線板75に取り付けられている。具体的には、電池保護回路73はヒューズから成り、電池パック10の機能を停止させるためには、この電池保護回路73を作動させる。即ち、MPU71の制御下、ヒューズを溶断すればよい。あるいは又、電池保護回路73に備えられた過放電防止スイッチや過充電防止スイッチの機能を停止させてもよい。但し、電池保護回路73は、このような構成に限定するものではない。尚、電池パック10は、二次電池の充放電を制御するための周知の制御回路を備えているが、この制御回路の図示は省略している。
【0031】
電池パック10の組立にあっては、先ず、金属製の接続板21によって並列接続及び直列接続された二次電池20を本体部40の内部に納める。次いで、その上方に、MPU71等が取り付けられたプリント配線板75を本体部40に適切な方法で取り付ける(図1の上段参照)。そして、本体部40に閉鎖部材(具体的には、蓋)60を被せ、本体部40に設けられた固定部(タップ部43が設けられたブッシュ42)に固定用部材(ネジ)60を螺合させる。
【0032】
このとき、固定用部材(ネジ)60の取付け順序を任意(ランダム)とし、固定用部材60の取付け順序を、所定のプログラムに基づき動作する検査回路70(具体的にはMPU71)が監視し、記憶手段72に記憶する。あるいは又、固定用部材60の取付け順序を任意(ランダム)とし、固定用部材60の取付け順序を、外部から(具体的には、例えば、パーソナルコンピュータを用いて、図示しないUSBを経由して)、検査回路70に備えられた記憶手段72に記憶させる方法を採用してもよい。あるいは又、固定用部材60の取付け順序を予め決められた順序とし、固定用部材60の取付け順序を、所定のプログラムに基づき動作する検査回路70(具体的にはMPU71)が監視し、記憶手段72に記憶する方法、固定用部材60の取付け順序を予め決められた順序とし、固定用部材60の取付け順序を、外部から(具体的には、例えば、パーソナルコンピュータを用いて、図示しないUSBを経由して)、検査回路70に備えられた記憶手段72に記憶させる方法、固定用部材60の取付け順序を予め決められた順序とし、固定用部材60の取付け順序を予め検査回路70に備えられた記憶手段72に記憶させておく方法を採用してもよい。尚、取付け順序を、周知の方法に基づき暗号化して、記憶手段72に記憶させてもよい。
【0033】
そして、実施例1の電池パック10にあっては、あるいは又、実施例1の監視方法にあっては、閉鎖部材50及び本体部40からの固定用部材60の取外し順序が、検査回路70によって記憶された取付け順序に基づく取外し順序と異なる場合、電池パック10の機能を停止させる。
【0034】
即ち、電池パック10の使用時、閉鎖部材50及び本体部40に対する固定用部材60の取付け状態の監視を、検査回路70によって行う。この監視は、常時、行ってもよいし、所定の時間間隔を置いて行ってもよい。具体的には、第1の配線41と第2の配線51A,51B,51Cとの間に電流が流れるか否かを調べる。電流が流れれば、閉鎖部材50及び本体部40に対して固定用部材60は取り付けられていると判断することができる。
【0035】
電池パック10から二次電池20を取り出そうとした場合、閉鎖部材50及び本体部40から固定用部材60を取り外す。このとき、検査回路50は、閉鎖部材50及び本体部40からの固定用部材60の取外し順序を調べ、記憶する。即ち、閉鎖部材50及び本体部40から固定用部材60を取り外すと、第1の配線41と第2の配線51A,51B,51Cとの間に電流が流れなくなるので、この電流の流れなくなった順番を、検査回路50は調べ、記憶する。そして、最終的に得られた閉鎖部材50及び本体部40からの固定用部材60の取外し順序が、検査回路70によって記憶された取付け順序に基づく取外し順序と異なるか否かを調べる。あるいは又、固定用部材60を1つ外す毎に、検査回路70によって記憶された取付け順序に基づく取外し順序と異なるか否かを調べる。そして、異なる場合には、電池パック10の機能を停止させる。こうして、二次電池20の不正な取り出しを防止することができ、二次電池20を不正に交換しようとするといった電池パック10の改造を確実に防止することができる。
【0036】
電池パック10には識別標識(シリアルID、例えば、バーコード)11が付与されており、識別標識11と取付け順序とは所定の関係(一意的な関係)を有する。即ち、識別標識11を解析することで(読み解くことで)、取付け順序が判明する。従って、電池パック10における二次電池20の交換や電池パック10の修理等を製造メーカー等が行う場合には、識別標識11を解析することで(読み解くことで)得られた取付け順序に基づく取外し順序に従って、閉鎖部材50及び本体部40から固定用部材60を取り外せばよい。あるいは、取付け順序を製造メーカー等は記録、保管しておき、修理部門等からの問合せに応じて取付け順序を修理部門等に知らせる方法を採用してもよい。あるいは又、暗号化された取付け順序を、記憶手段72からUSBを経由してパーソナルコンピュータにダウンロードし、パーソナルコンピュータにて復号処理を行い、表示装置に取外し順序を表示してもよい。
【0037】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。電池パック、二次電池、筐体、検査回路等の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。例えば、実施例においては、円筒型二次電池を用いたが、二次電池を周知の角型のリチウムイオン二次電池から構成することもできる。
【符号の説明】
【0038】
10・・・電池パック、11・・・識別標識(シリアルID)、12・・・出力部、20・・・二次電池、21・・・接続板、30・・・筐体、40・・・本体部、41・・・第1の配線、42・・・ブッシュ、43・・・タップ部、44・・・開口部、50・・・閉鎖部材、51A,51B・・・第2の配線、52・・・ブッシュ、52・・・取付用ネジ、53・・・貫通孔、60・・・固定用部材、70・・・検査回路、71・・・MPU、72・・・記憶手段、73・・・電池保護回路、74・・・コネクター、75・・・プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)複数の二次電池、
(B)複数の二次電池を格納する筐体、及び、
(C)筐体内に格納された検査回路、
を備えた電池パックであって、
筐体は、本体部、及び、本体部へ複数の二次電池を出し入れするための開口部を閉鎖するための閉鎖部材から成り、閉鎖部材を本体部に固定するための、導電材料から作製された複数の固定用部材を備えており、
閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け状態が検査回路によって監視されており、更に、閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け順序が検査回路によって記憶されている電池パック。
【請求項2】
閉鎖部材及び本体部からの固定用部材の取外し順序が、検査回路によって記憶された取付け順序に基づく取外し順序と異なる場合、電池パックの機能を停止させる請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
固定用部材はネジから成る請求項1又は請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
固定用部材を取り付ける本体部の部分には、導電材料から成り、第1の配線を介して検査回路に接続され、固定用部材と係合するブッシュが取り付けられており、
閉鎖部材に取り付けられた固定用部材は、第2の配線を介して検査回路に接続されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
電池パックには識別標識が付与されており、
識別標識と取付け順序とは所定の関係を有する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
取付け順序は暗号化されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
(A)複数の二次電池、
(B)複数の二次電池を格納する筐体、及び、
(C)筐体内に格納された検査回路、
を備え、
筐体は、本体部、及び、本体部へ複数の二次電池を出し入れするための開口部を閉鎖するための閉鎖部材から成り、閉鎖部材を本体部に固定するための、導電材料から作製された複数の固定用部材を備えており、
閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け状態が検査回路によって監視されており、更に、閉鎖部材及び本体部に対する固定用部材の取付け順序が検査回路によって記憶されている電池パックにおける二次電池の取外し監視方法であって、
閉鎖部材及び本体部からの固定用部材の取外し順序が取付け順序に基づく取外し順序と異なる場合、電池パックの機能を停止させる電池パックにおける二次電池の取外し監視方法。
【請求項8】
固定用部材はネジから成る請求項7に記載の電池パックにおける二次電池の取外し監視方法。
【請求項9】
固定用部材を取り付ける本体部の部分には、導電材料から成り、第1の配線を介して検査回路に接続され、固定用部材と係合するブッシュが取り付けられており、
閉鎖部材に取り付けられた固定用部材は、第2の配線を介して検査回路に接続されている請求項7又は請求項8に記載の電池パックにおける二次電池の取外し監視方法。
【請求項10】
電池パックには識別標識が付与されており、
識別標識と取付け順序とは所定の関係を有する請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の電池パックにおける二次電池の取外し監視方法。
【請求項11】
取付け順序は暗号化されている請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の電池パックにおける二次電池の取外し監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−69371(P2012−69371A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213043(P2010−213043)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】