説明

電池パック

【課題】 電池パック内の二次電池の膨張を検知する第一の手段と、電池パック内に水分の浸入が起こった場合に浸水を検知する第二の手段とを、同一の電池パック内に同時に備え、水分の浸入を検知する電極と検知された信号を制御する制御回路と、二次電池の膨張を検知する電極と検知された信号を制御する制御回路とを兼用することで、部品点数が少ない、かつ、組み立て工数が少ない電池パックを提供する。
【解決手段】 電池パック101は保護回路5と、二次電池7の平面部に浸水感知用の導通感知電極4a,4bと、上側ケース2と下側ケース8の内側面に導電性シート3とを備える。保護回路5には、保護IC17と導通検出回路18と半導体スイッチ15,16を備え、半導体スイッチ15,16の各々の端子は保護IC17の出力側に接続される。導通検出回路18は導通時間測定回路19と異常情報伝達回路20で構成され、その出力側は保護IC17に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を備えた電池パックに関し、特に、電池パックが水没したり結露した場合等や、過充放電等によって二次電池が膨張した場合に、二次電池の充放電を遮断する電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の充放電容量密度が大きな二次電池を備えた電池パックは、過頻度の使用によって二次電池が劣化した場合や、二次電池からの電解液の漏液等により通電回路が形成した場合、二次電池の端子の短絡時に過大な電流が流れた場合、二次電池が過充電あるいは過放電された場合、または、高温等の異常環境下にさらされた場合等には、二次電池を保護するために、電池パックに内臓された充放電保護回路等により、電池パックと充電器や電気機器等の外部接続機器との通電が遮断される構造をしている。
【0003】
図6は、従来例1に係る電池パックの斜視図である。図6に示した電池パック104は、感圧抵抗素子27と保護回路5が接続された方形状の二次電池7を、上側ケース2と下側ケース8で挟んで収容し、上側ケース2と下側ケース8でできた絶縁材のケースによって密閉封止される。
【0004】
例えば、特許文献1では、二次電池7の過充放電の繰り返しや二次電池の温度上昇により二次電池7の内部圧力が上昇して二次電池7が膨張したり、電池パック104の搭載機器や電池パック104の外装ケース(上側ケース2と下側ケース8が一体化したケースを、以下、外装ケースという)等に歪みが生じるような外部からの過大な力が加わったような場合、この二次電池7が膨張している状態や、外部からの過大な力が加わっている状態を二次電池7と二次電池7を覆うケースとの間に備えた感圧抵抗素子27で検出し、これらの状態の進行を防止する保護回路5を備えた発明が提案されている。
【0005】
また、上述のような保護回路を備えた、二次電池を合成樹脂製の外装ケースに収容した電池パックが様々な電気機器に装着して用いられている。日常生活のなかでは、リチウムイオン電池等の二次電池は、例えば、携帯電話等の携帯機器の電源として汎用的に用いられているが、不意に携帯電話を水中に水没させたり、気候の変化によって電池パック内部が結露することが起こり得る。電池パック内の電気回路に付着した水は電池内の電流を通電するには充分な電気伝導度を有しているため、電池パック内の電気回路に水が付着すると、電圧印加部間に通電回路を形成して漏洩電流が生じたり、あるいは電気機器内部での異なる経路による通電回路の形成によって電気回路の故障等を生じる可能性がある。
【0006】
図7は、従来例2に係る電池パックの斜視図である。図7に示した電池パック105については、浸水感知用電極4c,4dと絶縁性シート6、二次電池7を、上側ケース2と下側ケース8で挟んで収容し、この上側ケース2と下側ケース8でできた絶縁材の外装ケースによって密閉封止される。密閉封止された電池パック105の外装ケースの外側にはホルダー10が設置され、さらに、このホルダー10の外側に保護回路5が電池パック105の外装ケースから外側に突出するように配置される。
【0007】
例えば、特許文献2では、上述の電池パック105内への浸水による水分の浸入や結露等によって、電池パック105内での電流漏洩回路の形成や二次電池7の腐食等で液漏れが起こった場合の対策として、図7に示したように、電池パック105内に侵入した水分を感知する浸水感知センサとしての浸水感知用電極4c,4d、その浸水感知結果に基づいて遮断信号を出力する制御機能を有した保護回路5と、二次電池7と外部接続端子との間の電気的接続を遮断する手段を備えることで、電池パック105内の保護回路5やリード線等の配線箇所でショートが起きたり、電池パック105の故障等が起きたりしないようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開2001−243991号公報
【特許文献2】特開2003−59467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来例2に二次電池の膨張を検知する機能を持たせるためには、膨張検出用部品や、その検知結果に対する制御回路等を付加する必要があり、電池パックの部品点数や組み立て工数が増加したり、電池パックの体積が増加したり、またコストが上昇するという問題があった。
【0010】
また、従来例1に電池パック内への水分の浸入を検知する機能を持たせるためには、浸水検知用部品や、その検知結果に対する制御回路等を付加する必要があり、先の二次電池の膨張を検知する機能を持たせる場合と同様に、電池パックの部品点数や組み立て工数が増加したり、電池パックの体積が増加したり、またコストが上昇するという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、電池パック内の二次電池の膨張を検知する第一の手段と、電池パック内に水分の浸入が起こった場合に浸水を検知する第二の手段とを、同一の電池パック内に同時に備えた電池パックであって、部品点数が少ない、かつ、組み立て工数が少ない電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたもので、電池パック内において、水分の浸入を検知する電極と検知された信号を制御する制御回路と、二次電池の膨張を検知する電極と検知された信号を制御する制御回路とを兼用することで、部品点数が少ない、かつ、組み立て工数が少ない電池パックを提供することを可能としたものである。
【0013】
すなわち、本発明によれば、二次電池と2つのシート状の導通感知電極と導電性シートと絶縁性シートと平板状の保護回路とケースを有する電池パックであって、前記ケースは前記二次電池を固定する突起部を備えて、前記二次電池は前記ケースにて固定され、前記二次電池の外面には前記絶縁性シートを配置し、前記ケースの内側平面部と前記絶縁性シートの間には前記導電性シートと2つの前記シート状の導通感知電極とを対向させて配置し、前記シート状の導通感知電極と前記導電性シートとの間には空間を有し、前記シート状の導通感知電極を前記保護回路に接続し、前記二次電池と前記シート状の導通感知電極と前記導電性シートと前記絶縁性シートと平板状の前記保護回路とが前記ケース内に収容されたことを特徴とする電池パックが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池パックの外部接続端子と外部接続機器の外部接続端子との間の電気的接続を制御する際に、電池パック内の二次電池の内部圧力上昇による膨張を検知する第一の手段の構成要素である導通感知電極およびその第一の手段を制御する制御回路と、また、電池パック内に水分の浸入が起こった場合に浸水を検知する第二の手段の構成要素である導通感知電極およびその第二の手段を制御する制御回路において、第一手段および第二の手段の導通感知電極と制御回路を兼用することで、部品点数が少なく、組み立て工数が少なく、かつ、低コストの電池パックを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態1に係る電池パックを構成する組み立て斜視図である。電池パック101は、上側ケース2と下側ケース8によって形成されるポリカーボネート等からなる厚み0.2〜0.8mmの絶縁性ケースの内側に、平角状の金属製の外装缶を有する二次電池7と絶縁性シート6、櫛状の導通感知電極4a,4b、保護回路5、導電性シート3を有している。
【0017】
上記上側ケース2と下側ケース8の少なくとも一方のケースの内側に、その内側面を覆う大きさの銅箔等の導電性を有する金属箔からなる厚さ0.05〜0.2mmの導電性シート3を貼り付け、上記導電性シート3に対向する面の二次電池7の平面部には、この平面部全体を覆う大きさの紙材等の絶縁性シート6を貼り付ける。また、導通感知電極4aおよび導通感知電極4bはそれぞれ櫛状になっており、導通感知電極4aの電極の凸部を導通感知電極4bの凹部に、また、導通感知電極4aの電極の凹部を導通感知電極4bの凸部に位置し、導通感知電極4a,4bの隙間を0.1〜0.3mm設けて、貼り付けられた絶縁性シート6の表面上に、この導通感知電極4a,4bを貼り付ける。導通感知電極4a,4bの電極間の隙間は少量の水分が浸入しても十分導通する程度の間隔としている。また、導通感知電極4a,4bは、それぞれ保護回路5に接続されている。これにより、電池パック内に水分が浸入した場合は、導通感知電極4a,4bに水分が付着することにより導通状態となる。
【0018】
図2は、本発明の電池パックのケース断面図である。本発明の電池パックの外装部分のケースは、上側ケース2と下側ケース8から構成される。上側ケース2と下側ケース8の内側面には突起部21が設けられ、突起部21が互いに対向するように、上側ケース2と下側ケース8が接合される。上側ケース2または下側ケース8は、ポリカーボネート等からなる厚み0.2〜0.8mmの絶縁ケースで、上側ケース2を下側ケース8として、また、下側ケース8を上側ケース2として用いてもよい。
【0019】
図1で示した平角状の二次電池7は、この上側ケース2と下側ケース8とで、挟み込まれるようにして密閉され、突起部21にて固定される。固定された二次電池7の外面は、上側ケース2および下側ケース8の内側平面部との間に空間を設けている。上側ケース2または下側ケース8の内側平面部と電池外面部との隙間は、0.35〜0.5mmの距離とすればよい。これは、二次電池7が通常の使用時の状態から膨張して、上側ケース2または下側ケース8の平面部に接触する程度の距離として適しているためである。
【0020】
上述のように、上側ケース2または下側ケース8の内側平面部には、厚さ0.05〜0.2mmの導電性シート3が貼り付けられる。二次電池7の外面には薄箔の絶縁性シート6と薄箔の導通感知電極4a,4bが配置される。二次電池7は突起部21にて固定されているため、上記導電性シート3と導通感知電極4a,4bとの間には隙間が存在する。
【0021】
通常の使用時には導通感知電極4a,4bと導電性シート3との間の空間が十分であるため、導通感知電極4a,4bと導電性シート3が接触することがない構造となっている。しかしながら、図1で示した電池パック101に外部からの過大な力が加わった場合には、導通感知電極4a,4bと導電性シート3が接触する構造となっている。また、二次電池7が膨張した場合にも、導通感知電極4a,4bと導電性シート3が接触する構造となっている。導通感知電極4a,4bと導電性シート3が接触すると、導通感知電極4aと導通感知電極4b間が導通状態となる。
【0022】
図3は、本発明の電池パック回路図である。電池パック回路9は、二次電池7と、PTC素子11、保護回路5から構成される。二次電池7の一端は保護回路5の端子13aと接続され、他方の一端はPTC素子11を介して保護回路5の端子13bと接続される。さらに、保護回路5内において、端子13aは端子14aに接続され、また、端子13bは、半導体スイッチ15,16を介して端子14bに接続される。なお、保護回路5の端子14a,14bは、充電器等との外部接続端子となる。
【0023】
保護回路5は、保護IC17と導通検出回路18と半導体スイッチ15,16を備え、半導体スイッチ15,16の各々の端子は保護IC17の出力側に接続される。充電制御用の半導体スイッチ15は、二次電池7の充電完了時に、保護IC17からの制御信号によって充電電流を遮断して過充電になることを防止し、放電制御用の半導体スイッチ16は、二次電池7の放電時に、保護IC17からの制御信号によって二次電池7が過放電状態になる前に放電を遮断し、過放電状態になることを防止する。ここで、保護IC17と導通検出回路18は、本発明の制御回路の構成要素である。
【0024】
導通検出回路18は、導通時間測定回路19と異常情報伝達回路20で構成され、導通検出回路18の入力側の端子は、端子24a,24bに接続され、また、端子24a,24bは各々、導通感知電極4a,4bの電極と電気的に接続される。導通感知電極4a,4b間が、導通状態となっているのか、または遮断状態となっているのかは、端子24a,24b間の抵抗値を測定することで導通検出回路18内の導通時間測定回路19で監視され、導通が確認された場合、抵抗値は通常状態と比べて大きく低下し、この低抵抗状態の継続時間を導通時間測定回路19で測定される。導通時間測定回路19での測定結果は異常情報伝達回路20へ入力され、一定時間以上の導通状態が確認された場合、保護IC17に異常情報を伝達し、保護IC17は半導体スイッチ15,16の各々に充電および放電遮断信号を出力し、保護回路5内の端子14a,14bと外部機器との電気的接続を遮断する。
【0025】
本発明の電池パック101では、電池パック内に水分が浸入して、導通感知電極4a,4bの電極間が導通状態となった場合、導通感知電極4a,4bの電極間に通電回路が形成し、導通検出回路18が導通感知電極4a,4bの電極間の導通を感知し、この結果に基づき保護IC17が接続遮断素子に信号を送り、外部接続端子との間の電気的接続を遮断することができる。
【0026】
また、本発明の電池パック101では、電池内部の圧力が上昇して二次電池7が膨張した場合、導通感知電極4a,4bと上側ケース2または下側ケース8の内側平面部に貼り付けられた導電性シート3が接触して導通感知電極4a,4bの電極間が導通状態となって通電回路が形成した時に、導通検出回路18が導通感知電極4a,4bの電極間の導通を感知し、この結果に基づき保護IC17が接続遮断素子に信号を送り、外部接続端子との間の電気的接続を遮断することができる。
【0027】
従って、電池パック内への水分浸入による回路故障に対して、また、二次電池の膨張もしくは電池パックや電池搭載機器等への過大な外部力による電池パックの外装ケースの歪みの発生に対する未然防止に、同じ導通感知電極4a,4bおよび保護IC17と導通検出回路18からなる制御回路を兼用して使用することができる。
【0028】
また、上記構成によれば、電池パック内への水分浸入により導通状態が感知された場合、水分が確認されている間、電池パックは外部接続端子との間の電気的接続は遮断されるが、水分が乾燥し、導通状態が解消されれば電気的接続は回復し、通常通り電池パックを使用することができる。
【0029】
なお、上記構成で電池が膨張していない場合でも、外部から外装ケースを押すと導通感知電極4a,4b間が導通状態となるが、導通時間測定回路19を設けることで、継続した導通状態を感知した場合のみ、外部接続端子との間の電気的接続が遮断することができる。
【0030】
図4は、本実施の形態2に係る電池パックを構成する組み立て斜視図である。電池パック102は、上側ケース2と下側ケース8によって形成されるポリカーボネート等からなる厚み0.2〜0.8mmの絶縁性ケースの内側に、平角状の金属製の外装缶を有する二次電池7と絶縁性シート6、導電性シート3、櫛状の導通感知電極4a,4b、保護回路5を有している。
【0031】
上記上側ケース2と下側ケース8の少なくとも一方のケースの内側に、図1に示した導通感知電極4a,4bと同じ導通感知電極4a,4bを貼り付ける。導通感知電極4aおよび導通感知電極4bはそれぞれ櫛状になっており、導通感知電極4aの電極の凸部を導通感知電極4bの凹部に、また、導通感知電極4aの電極の凹部を導通感知電極4bの凸部に位置し、導通感知電極4a,4bの隙間を0.1〜0.3mm設ける。導通感知電極4a,4bの電極間の隙間は少量の水分が浸入しても十分導通する程度の間隔としている。また、導通感知電極4a,4bは、それぞれ保護回路5に接続されている。これにより、電池パック内に水分が浸入した場合は、導通感知電極4a,4bに水分が付着することにより導通状態となる。
【0032】
二次電池7の平面部には、この平面部全体を覆う大きさの紙材等の絶縁性シート6を貼り付ける。貼り付けられた絶縁性シート6の表面上に、その表面を覆う大きさの銅箔等の導電性を有する金属箔からなる厚さ0.05〜0.2mmの導電性シート3を貼り付ける。絶縁性シート6と導電性シート3が貼り付けられた二次電池7は、図2に示した上側ケース2と下側ケース8とで、導電性シート3の面が導通感知電極4a,4bの面と対向し、挟み込まれるようにして密閉され、突起部21にて固定される。固定された二次電池7の外面は、上側ケース2および下側ケース8の内側平面部との間に空間を設けている。上側ケース2または下側ケース8の内側平面部と電池外面部との隙間は、本実施の形態1と同様に、0.35〜0.5mmの距離とすればよい。これは、二次電池7が通常の使用時の状態から膨張して、上側ケース2または下側ケース8の平面部に接触する程度の距離として適しているためである。
【0033】
本実施の形態1と同様に、通常の使用時には導通感知電極4a,4bと導電性シート3との間の空間が十分であるため、導通感知電極4a,4bと導電性シート3が接触することがない構造となっている。しかしながら、図4で示した電池パック102に外部からの過大な力が加わった場合には、導通感知電極4a,4bと導電性シート3が接触する構造となっている。導通感知電極4a,4bと導電性シート3が接触すると、導通感知電極4aと導通感知電極4b間が導通状態となる。ここで、絶縁性シート6と導電性シート3を用いないで、二次電池7の導電性の外装を利用して、膨張時の導通感知電極4a,4b間を導通状態にすることも可能ではあるが、このような構成の場合は、構造が簡単にはなるが、微弱電流とはいえ、二次電池7に電流を加えるため、あまり望ましい方法ではない。
【0034】
なお、上記導通感知電極4a,4bは各々、図3で示した保護回路5の端子24a,24bと接続している。電池パック102内に水分が浸入した場合は導通感知電極4a,4b間が導通状態となり、また、二次電池7が膨張した場合等には、導電性シート3と導通感知電極4a,4bが接触することにより導通状態状態となり、導通検出回路18で導通状態と判断される。
【0035】
図5は、本実施の形態3に係る電池パックを構成する組み立て斜視図である。電池パック103は、上側ケース2と下側ケース8によって形成されるポリカーボネート等からなる厚み0.2〜0.8mmの絶縁性ケースの内側に、平角状の金属製の外装缶を有する二次電池7と平板状の絶縁性シート6、平板状の導通感知電極4b、櫛状の絶縁性シート6、櫛状の導通感知電極4a、保護回路5、導電性シート3を有している。
【0036】
導通感知電極4aの形状を櫛状にし、絶縁性シート6の形状を櫛状にし、導通感知電極4bの形状を平板状にすることによって、水分が浸入した場合に、導通感知電極4a,4b間が導通状態となるように構成できる。また、導通感知電極4aと、絶縁性シート6、導通感知電極4bを、上記形状にすることで、二次電池が膨張した場合等に、導通感知電極4aと導通感知電極4bの両電極が、導電性シート3に接触すると、導通感知電極4a,4b間が導通状態とすることができる。この場合にも、実施の形態1および実施の形態2と同様に、図3に示した電池パック回路9内の導通検出回路18と導通時間測定回路19からなる同じ制御回路を、正常に動作させて使用することができる。
【0037】
上記上側ケース2と下側ケース8の少なくとも一方のケースの内側に、その内側面を覆う大きさの銅箔等の導電性を有する金属箔からなる厚さ0.05〜0.2mmの導電性シート3を貼り付け、上記導電性シート3に対向する面の二次電池7の平面部には、この平面部全体を覆う大きさの紙材等の絶縁性シート6を貼り付ける。その上面に、平板状の導通感知電極4bと櫛状の導通感知電極4aを、櫛状の絶縁性シート6を介して配置し、平板状の導通感知電極4bと櫛状の導通感知電極4aの電極間の隙間は0.1〜0.3mm程度として、少量の水分が浸入しても十分導通する程度の間隔としている。また、平板状の導通感知電極4bと櫛状の導通感知電極4aは、それぞれ保護回路5に接続されている。
【0038】
これにより、本実施の形態1と同様に、電池パック内に水分が浸入した場合は、板状の導通感知電極4bと櫛状の導通感知電極4aの凹部の内側端部等の隙間に水分が付着することにより、櫛状の絶縁性シート6を介して、絶縁されていた板状の導通感知電極4bと櫛状の導通感知電極4aが、上記凹部の内側端部等にて導通状態となる。
【0039】
絶縁性シート6と平板状の導通感知電極4bと櫛状の絶縁性シート6および櫛状の導通感知電極4aが貼り付けられた二次電池7は、図2に示した上側ケース2と下側ケース8とで、導電性シート3の面が平板状の導通感知電極4bと櫛状の導通感知電極4aの面と対向し、挟み込まれるようにして密閉され、突起部21にて固定される。固定された二次電池7の外面は、上側ケース2および下側ケース8の内側平面部との間に空間を設けている。上側ケース2または下側ケース8の内側平面部と電池外面部との隙間は、本実施の形態1と同様に、0.35〜0.5mmの距離とすればよい。これは、二次電池7が通常の使用時の状態から膨張して、上側ケース2または下側ケース8の平面部に接触する程度の距離として適しているためである。
【0040】
また、本実施の形態1と同様に、通常の使用時には櫛状の導通感知電極4aと板状の導通感知電極4bおよび導電性シート3との間の空間が十分であるため、櫛状の導通感知電極4aと板状の導通感知電極4bおよび導電性シート3が接触することがない構造となっている。しかしながら、図5で示した電池パック103に外部からの過大な力が加わった場合には、櫛状の導通感知電極4aと板状の導通感知電極4bおよび導電性シート3が接触する構造となっている。二次電池7が膨張した場合も同様である。櫛状の導通感知電極4aと板状の導通感知電極4bおよび導電性シート3が接触すると、櫛状の導通感知電極4aと板状の導通感知電極4b間が導通状態となる。
【0041】
なお、上記導通感知電極4a,4bは各々、図3で示した保護回路5の端子24a,24bと接続している。電池パック103内に水分が浸入した場合は導通感知電極4a,4b間が導通状態となり、また、二次電池7が膨張した場合等には、導電性シート3と導通感知電極4a,4bが接触することにより導通状態状態となり、導通検出回路18で導通状態と判断される。
【0042】
(まとめ)
以上のことより、二次電池の外面に絶縁性シートと、この絶縁性シートの上面に保護回路と接続する浸水感知用の導通感知電極と、電池パックのケースの内側平面端部に導電性シートとを備え、また、導通感知電極の導通状態を電池パックの保護回路内の導通検出回路に入力し、電池パック内に導通検出回路の出力が保護回路内の保護ICの充放電制御回路に入力される制御回路を備えることで、導通感知電極と制御回路が兼用できるので、部品点数が少なく、組み立て工数が少なく、かつ、低コストの電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施の形態1に係る電池パックを構成する組み立て斜視図。
【図2】本発明の電池パックのケース断面図。
【図3】本発明の電池パック回路図。
【図4】本実施の形態2に係る電池パックを構成する組み立て斜視図。
【図5】本実施の形態3に係る電池パックを構成する組み立て斜視図。
【図6】従来例1に係る電池パックの斜視図。
【図7】従来例2に係る電池パックの斜視図。
【符号の説明】
【0044】
101,102,103,104,105 電池パック
2 上側ケース
3 導電性シート
4a,4b 導通感知電極
4c,4d 浸水感知用電極
5 保護回路
6 絶縁性シート
7 二次電池
8 下側ケース
9 電池パック回路
10 ホルダー
11 PTC素子
13a,13b,14a,14b,24a,24b 端子
15,16 半導体スイッチ
17 保護IC
18 導通検出回路
19 導通時間測定回路
20 異常情報伝達回路
21 突起部
27 感圧抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と2つのシート状の導通感知電極と導電性シートと絶縁性シートと平板状の保護回路とケースを有する電池パックであって、
前記ケースは前記二次電池を固定する突起部を備えて、前記二次電池は前記ケースにて固定され、
前記二次電池の外面には前記絶縁性シートを配置し、
前記ケースの内側平面部と前記絶縁性シートの間には前記導電性シートと2つの前記シート状の導通感知電極とを対向させて配置し、
前記シート状の導通感知電極と前記導電性シートとの間には空間を有し、
前記シート状の導通感知電極を前記保護回路に接続し、
前記二次電池と前記シート状の導通感知電極と前記導電性シートと前記絶縁性シートと平板状の前記保護回路とが前記ケース内に収容されたことを特徴とする電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−231060(P2009−231060A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75329(P2008−75329)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】