説明

電池試験装置及び電池試験方法

【課題】電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる電池試験装置及び電池試験方法を提供する。
【解決手段】電池の全圧壊状態は、携帯電話などの携帯機器を使用している状況では極めてまれにしか生じない状態であり、さらに、電池の全圧壊状態は内部短絡などに起因する異常判定において最悪条件ではないため、電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証できなかった。そこで、試験台3に設置した二次電池2を押圧部材で部分圧壊し、二次電池2の温度を測定して二次電池2の良否判定を行うことで、二次電池2が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの携帯機器に内蔵されているリチウムイオン電池などの電池の性能や安全性などの試験装置及び試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯機器に内蔵されている充電可能な二次電池、例えばリチウムイオン電池は、正極にコバルト酸リチウム化合物、負極にグラファイト、電解液にリチウム塩を含んだ有機電解液からなっている。この二次電池は、薄い薄膜膜からなる正極と負極の間を電気的に絶縁するセパレータを挟んで、その正極、負極およびセパレータを巻いた構造になっている。特に角型のリチウムイオン電池においては、巻いたものを角型に変形させ、角型のアルミ缶などに挿入して、電解液を注入し、密閉することで形成されている。
【0003】
このリチウムイオン電池は、小型、軽量化および高エネルギー密度化が特徴の電池であり、その目的のために化学的に活性度の高いコバルト酸化合物や有機電解液を用いて、薄い正極や負極の薄膜を使って電池を構成している。さらに電池の小型、軽量化を目指すために軽量なアルミケースに上記の電池材料を格納している。
【0004】
この種の構造のリチウムイオン電池では、外圧による電池の内部の電極の破損によって、正極や負極の内部短絡等が発生し、電池の異常発熱や発煙などの不具合が生じる虞がある。そこで、従来から、リチウムイオン電池を意図的に破壊し、破壊した状態での安全性を図る安全性試験が行われてきた(特許文献1参照)。例えば、この種の安全性試験では、満充電したリチウムイオン電池を外部から金属の金属棒(丸棒)を押し当てて完全につぶし(全圧壊)、全圧壊後の電池の振る舞い、例えば、約160℃以上の異常発熱や発煙などが発生するかどうか確認する。そして、異常発熱や発煙などの異常な状態にならない電池のみを良品電池(OK電池)と判断することで、電池の安全性を評価していた。
【特許文献1】特開2005−327616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯電話などに入っている一般のリチウムイオン電池が遭遇する外部からの力としては、上記のような電池が全圧壊するような力はまれであり、電池が部分的に破損(部分圧壊)されるような力の方が遭遇しやすい。したがって、携帯電話などで一般に使用されている範囲内において電池の全圧壊試験は極端な試験であるといえ、電池が破損した場合の振る舞いを図る試験としては適切ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる電池試験装置及び電池試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明者は、電池の安全性を適切に評価するための検討を重ねた結果、リチウムイオン電池などの電池では、全圧壊させると電池系をすべて破壊するので、内部短絡による内部発熱は速やかに収束する可能性があり、その反面、リチウムイオン電池などの電池を部分的に破損させ、内部短絡を発生させた場合、電池系は破損した部分以外動作するので、内部短絡による内部発熱が継続しやすいという知見を得た。その結果として、発明者は、リチウムイオン電池などの電池に外部からの力を加えて破損させる場合、部分圧壊する方が安全性の不安定化(異常発熱や発煙の発生)を招き易いという知見を得た。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0008】
本発明に係る電池試験装置は、電池を設置する試験台と、電池を圧壊する押圧部材と、押圧部材による電池への押圧力を制御する加圧手段と、電池の温度および電圧の少なくとも一方を測定する測定手段と、を備え、加圧手段は、電池が不完全な部分圧壊となるように押圧力を制御し、測定手段は、部分圧壊された電池の温度および電圧の少なくとも一方を測定することを特徴とする。
【0009】
電池の全圧壊状態は、携帯電話などの携帯機器を使用している状況では極めてまれにしか生じない状態であり、さらに、電池の全圧壊状態は内部短絡などに起因する異常判定において最悪条件ではないため、電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証できなかった。しなしながら、本発明によれば、電池を部分圧壊させた状態で温度や電圧を測定するので、電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる。
【0010】
さらに、押圧部材は、試験対象となる同一の複数の電池それぞれを部分圧壊し、加圧手段は、複数の電池それぞれの部分圧壊の深さが異なるように押圧力を制御し、測定手段は、部分圧壊された複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定すると好適である。試験対象となる複数の電池それぞれの部分圧壊の深さが異なるため、それぞれの部分圧壊深さで電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる。
【0011】
さらに、加圧手段は、複数の電池それぞれの部分圧壊による深さD、試験対象すべての個体数N、複数の電池それぞれに対応する1からNまでの自然数Na及び試験台に設置された状態での電池の上端から下端までの距離Lが下記式(1)となるように押圧力を制御すると好適である。
D=(Na/N)×L (1)
この電池試験装置によれば、式(1)に基づいた定量的な検証が可能になり、他種の電池などとの評価判定を行い易くなる。
【0012】
さらに、複数の電池は、自然数Naに従った順番で部分圧壊され、加圧手段は、深さDが段階的に大きくなるように押圧力を制御し、測定手段は、部分圧壊された複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定すると共に、測定結果が所定の閾値を超える最初の自然数Naを求めると好適である。求めたNaを基準にして電池の良否判定を行うことが可能になる。
【0013】
さらに、押圧部材は、試験台に設置された電池に対して所定の高さから落下して電池を部分圧壊し、加圧手段は、所定の高さを調整して押圧力を制御すると好適である。本発明によれば、落下衝撃によって部分圧壊した場合の電池の振る舞いを検証することができる。
【0014】
さらに、電池は角型であり、試験台に設置された電池の角部分に立て掛けられる棒状の干渉部材を更に備え、押圧部材は、干渉部材に衝突することで間接的に電池の角部分を部分圧壊すると好適である。本発明によれば、主として電池の角部分を部分圧壊でき、押圧部材の落下衝撃によって角部分が部分圧壊した電池の振る舞いを検証することができる。
【0015】
さらに、押圧部材は、試験対象となる同一の複数の電池それぞれを部分圧壊し、加圧手段は、複数の電池に対する所定の高さが異なるように押圧力を制御し、測定手段は、部分圧壊された複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定すると好適である。所定の高さを変更することで、押圧部材の落下衝撃による押圧力を、容易に制御することができる。
【0016】
さらに、加圧手段は、複数の電池それぞれに対する所定の高さH、基準となる高さH及び複数の電池それぞれに対応して1から順番に付される自然数Nbが下記式(2)となるように押圧力を制御すると好適である。
H=H×Nb (2)
この電池試験装置によれば、式(2)に基づいた定量的な検証が可能になり、他種の電池などとの評価判定を行い易くなる。
【0017】
さらに、複数の電池は、自然数Nbに従った順番で部分圧壊され、加圧手段は、高さHが段階的に高くなるように押圧力を制御し、測定手段は、部分圧壊された複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定すると共に、測定結果が所定の閾値を超える最初の自然数Nbを求めると好適である。求めたNbを基準にして電池の良否判定を行うことが可能になる。
【0018】
さらに、測定手段は、部分圧壊された複数の電池それぞれの温度を測定し、所定の閾値は150℃から160℃の範囲に含まれると好適である。電池、特に二次電池を部分圧壊して内部短絡が発生すると、二次電池の温度が短絡電流によるジュール熱によってあがっていき、さらに、二次電池の温度が臨界温度(二次電池2の材料の熱分解が始まる温度:150℃〜160℃程度)に達すると、二次電池2の電極や電解液の電池材料自体の熱分解が始まり、それにより熱暴走が始まってしまう。したがって、不良電池の判断基準として、二次電池の温度が臨界温度に達するか否かを監視することが最も望ましいため、所定の閾値は150℃から160℃の範囲に含まれる所定の温度にすると好適である。
【0019】
また、本発明に係る電池試験方法は、試験台に設置された電池が不完全な部分圧壊となるように電池に押圧力をかける部分圧壊ステップと、部分圧壊した電池の温度及び電圧の少なくとも一方を検出する検出ステップと、検出ステップにおける測定結果が所定の閾値以下であるか否かを判定する判定ステップと、を備えると好適である。
【0020】
本発明によれば、電池を部分圧壊させた状態で温度や電圧を測定するので、電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる。
【0021】
さらに、試験対象となる同一の複数の電池の中から電池を順番に抽出し、抽出した電池に対して部分圧壊ステップ、検出ステップ及び判定ステップを行い、部分圧壊ステップにおいて、電池にかけられる押圧力を順番に従って段階的に大きくし、判定ステップにおいて、測定結果が所定の閾値を超えると判定された最初の電池の順番を示す値が良否判定の基準値以上の場合に電池が良品であると判定すると好適である。測定結果が所定の閾値を超えると判定された最初の電池の順番と良否判定の基準値との対比によって電池の良否判定を簡単に行える。
【0022】
さらに、電池は角型であると共に、電池の周面には対向する一対の平面部分と平面部分よりも面積の小さな側面部分とを有し、複数の電池それぞれに対して平面部分に押圧力をかけて部分圧壊する場合における良否判定の基準値は、複数の電池それぞれに対して側面部分に押圧力をかけて部分圧壊する場合に比べて小さいと好適である。本発明によれば、電池の薄い側が破損した場合における評価が厳しくなり、より高い安全性を実現できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電池が破損した場合の振る舞いを適切に図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る電池試験装置の好適な実施形態について説明する。
【0025】
図1は、第1実施形態に係る電池試験装置の概略を示す図である。電池試験装置1Aは、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池などの充電可能な二次電池2が破損した場合の振る舞いを測定する装置である。なお、電池試験装置1Aによる試験対象は、二次電池に限定されず、一次電池などであってもよい。
【0026】
電池試験装置1Aは、試験対象となる二次電池2が設置される試験台3と、二次電池2に当接して二次電池2を圧壊する丸棒(押圧部材)5と、丸棒5を二次電池2に対して昇降させる可動板7に連結され、丸棒5による二次電池2への押圧力を制御する加圧装置(加圧手段)9と、試験台3上に載せられた二次電池2に接する温度センサ11と、温度センサ11に接続された測定装置13とを備えている。なお、本実施形態では、温度センサ11で検出された温度に基づいて、圧壊された二次電池2の振る舞いを検証するが、温度の代わりに二次電池2の電圧を測定したり、温度と電圧の両方を測定したりする検出手段を設け、その測定結果に基づいて圧壊された二次電池2の振る舞いを検証するようにしてもよい。
【0027】
試験台3には、二次電池2が設置される所定部位を挟むようにして一対のガイドバー3aが立設されており、可動板7はガイドバー3aに案内されながら所定の軌道に沿って昇降する。可動板7の下面には丸棒固定棒7aが突出しており、丸棒固定棒7aの下端には、丸棒5が水平(丸棒固定棒7aに対して垂直)になるように固定されている。
【0028】
加圧装置9は、CPU、RAM及びROMなどからなる制御回路9a、可動板7を昇降させる駆動モータ9b及び試験実施者の操作入力を受け付ける操作部9cなどを備えている。制御回路9aは、例えば、操作部9cを介して二次電池2の型式などを受け付けると、二次電池2に見合った段階的な押圧力の付与が可能となるように駆動モータ9bを制御し、丸棒5によって二次電池2を部分圧壊する。
【0029】
測定装置13は、CPU、RAM及びROMなどからなる測定回路13a及び測定結果などを出力するディスプレイなどの出力部13bを備えている。測定装置13は、温度センサ11に有線または無線によって接続されており、温度センサ11による測定結果を出力部13bから出力する。さらに、測定装置13は、測定結果が所定の閾値、例えば160℃以下であるか否かを判断する。
【0030】
また、測定装置13と加圧装置9とは、信号を送受信可能に接続されている。加圧装置9は、二次電池2を部分圧壊させる規定の押圧力で押圧し、その押圧力に係るデータを測定装置13に通知する。測定装置13は、押圧力に係るデータを受け付けると共に、二次電池2の良否判定に必要となる情報を出力部13bから出力する。
【0031】
次に、図4を参照して、電池試験方法について説明する。図4は、電池試験方法の手順を示すフローチャートである。
【0032】
電池試験方法を開始する際に、試験実施者は、まず試験対象となるリチウムイオン電池などの二次電池2を選択し、同型式の複数(例えば8個)の二次電池2を満充電状態で準備し、さらに、二次電池2の圧壊方向を決定する(ステップS1)。
【0033】
図2及び図3に示されるように、二次電池2は六面体からなる角型であり、二次電池2の周面は、一対の平面部分2aと、平面部分2a以外の側面部分2bとを有している。平面部分2aは各面の中で面積が最大になる領域であり、側面部分2bは平面部分2a同士を連絡するように取り巻く領域であり、平面部分2aに比べて極めて狭くなっている。また、二次電池2の平面部分2bは矩形であり、図2及び図3では、横方向(長辺側)の寸法は“A”、縦方向(短辺側)の寸法は“B”で示してあり、さらに一対の平面部分2a同士の間の距離(高さ寸法)は“C”で示している。さらに、圧壊する深さは“D”で示してあり、深さDを変化させて圧壊試験を実施することにより、二次電池2を部分的に破損(部分圧壊)させる。なお、図2に示す状態では、深さDが電池高さCと同じとなる時に全圧壊となり、図3に示す状態では、深さDが電池高さAと同じとなる時に全圧壊となる。
【0034】
次に、圧壊方向の決定について説明する。図2及び図3は、圧壊する面が上側になるように試験台3に二次電池2を取り付けた場合を示している。圧壊方向の決定とは、丸棒5が当接して圧壊する面を決定することを意味し、圧壊方向を平面部分2aに決定した場合(図2参照)には、平面部分2aを上側に向けて試験台3に設置する。その結果、丸棒5は平面部分2aに当接し、主として平面部分2aを潰すことになる。また、側面部分2bに決定した場合(図3参照)には、側面部分2bを上側に向けて試験台3に設置する。その結果、丸棒5は側面部分2bに当接し、主として側面部分2bを潰すことになる。
【0035】
図4に示されるように、二次電池2の選択が終わり、圧壊方向が決まると、試験実施者は、8個の二次電池2のいずれか一つを任意に抽出し、“Na=1”となるようにデータ設定を行う(ステップS2)。この最初に抽出した二次電池2は“Na=1”に対応した二次電池2となる。さらに、試験実施者は、抽出した二次電池2を試験台3に取り付ける(ステップS3)。なお、二次電池2は順番に抽出されて以下の処理が行われ、その都度、“Na=2〜8”の順番でデータ設定される。
【0036】
次に、試験実施者は、加圧装置9の開始操作を行う。加圧装置9の制御回路9aは駆動モータ9bを制御し、丸棒5を降下させて二次電池2を押圧し、部分圧壊を実施する。この場合に、加圧装置9は、部分圧壊の深さDが以下の式(1)となるように丸棒5による二次電池2への押圧力を制御する(ステップS4)。
【0037】
D=(Na/N)×L …(1)
式(1)中の“L”は、試験台3に設置された状態での二次電池2の上端から下端までの長さであり、“D”は丸棒5による二次電池2の部分圧壊による深さである。また、“N”は試験対象すべての個体数を意味し、本実施の形態では“8”となる。なお、“L”は、平面方向と側面方向とでは異なり、平面方向の場合には寸法“C”(図2参照)となり、側面方向の場合には寸法“A”(図3参照)または寸法“B”となる。
【0038】
加圧装置9は、試験実施者の操作入力によって“Na=1”に設定されているため、深さDが“(1/8)×L”となるような押圧力で二次電池2を部分圧壊する。
【0039】
次に、測定装置13の測定回路13aは、部分圧壊された二次電池2の電池温度Tを温度センサ11での検出値に基づいて測定する。さらに、測定回路13aは、測定結果が所定の閾値、例えば、160℃を超えているか否かを判断する(ステップS5)。測定回路13aは、測定結果が160℃を超えていないと判断する場合には、160℃未達を示すデータを加圧装置9に通知し、加圧装置9は丸棒5を上昇させて二次電池2への押圧を解く。試験実施者は、丸棒5による押圧が解かれると試験台3に設置された二次電池2を取り外す(ステップS6)。
【0040】
次に、試験実施者は、新たな二次電池2を抽出し、加圧装置9の操作部9cを操作して“Na=Na+1”、すなわちNa=2を設定し(ステップS7)、ステップS3〜ステップS5までの処理を再度実行する。試験実施者は、試験対象として準備した複数の二次電池2を順番に抽出しながら上記のステップS3〜ステップS5を繰り返し実行する。上記の式(1)によれば、Naの値が大きくなる程、部分圧壊の深さDは深くなるために、各二次電池2に対してステップS4でかけられる押圧力は、Naが大きくなるに従って段階的に大きくなる。その結果として、部分圧壊の深さDが異なる数段階の圧壊試験を実施したことになる。
【0041】
電池試験装置1Aの測定回路13aは、Na=1の二次電池2から順番に電池温度Tを測定し、その都度、測定結果が所定の閾値(160℃)を超えるか否かの判定を行うが(ステップS5)、160℃を超える最初の二次電池2を発見した場合には、電池温度Tが160℃を超えた最初の二次電池2のNaの値を求めて出力部13bから出力させ、後続の処理を中止する。例えば、三番目の二次電池2の電池温度Tが160℃を超えた場合には、Na=3を出力部13bから出力させ、最後に抽出した二次電池2の電池温度Tが160℃を超えた場合には、Na=8を出力部から出力させる。また、8個すべての二次電池2の電池温度Tが160℃を超えなかった場合には、異常なしを示す終了メッセージを出力部13bから出力させる。なお、Na=1で測定結果が160℃を超えてしまった場合には、後述の良否判定を行うことなく、Na=2となるように新たな二次電池2を試験台3に設置して繰り返し圧壊試験を実施する。また、Na=8の場合には、“D=(8/8)×L”となり、全圧壊となる。
【0042】
出力部13bからNaの値または終了メッセージが出力させると、試験実施者は、出力された内容に基づいて電池の良否判定を行う(ステップS8)。例えば、圧壊方向が平面部分2aのときの良否判定の基準値を“2”として規定していた場合には、終了メッセージまたはNa≦2となる値、例えばNa=1や2が出力された場合には、不良電池と判定し(ステップS9)、Na>2となる値、例えば3が出力された場合には良品電池と判定する(ステップS10)。また、圧壊方向が側面部分2bのときの良否判定の基準値を“1”として規定していた場合には、終了メッセージまたはNa≦1となる値が出力された場合には、不良電池と判定し、Na>1となる値、例えば2が出力された場合には良品電池と判定する。
【0043】
ここで、良否判定の基準値の決定について説明する。図5は、二次電池2の圧壊時の印加押圧力(kgf)と圧壊時の変形量(深さ)を示している。携帯電話などのモバイル機器を日常使用している範囲内で、遭遇する圧力としては、人体の体重、鞄、アイロン、ノートPCなどの日用品が想定され、おおよそ100(kg)以下と規定できる。このために100(kg)の静加重で押した場合の押圧力100(kgf)で二次電池2を破損した場合の変形量に基づいて良否判定の基準値を決定している。例えば、本実施形態に係る二次電池2では、平面部分2aに100(kgf)の押圧力を加えると、深さ方向の全体厚に対して1/8程度変形する。したがって、圧壊方向に平面部分2aを選択する場合には、Na=1(上述の式(1)より)が良品電池の判定基準のNaとなる。一方、圧壊方向に側面部分2bを選択する場合には、100kgfの圧力を加えた場合、深さ方向の全体厚に対して2/8程度変形する。したがって、圧壊方向に側面部分2bを選択する場合には、Na=2(上述の式(2)より)が良品電池の判定基準のNaとなる。
【0044】
次に、部分圧壊された二次電池2の異常の有無を判断する基準となる所定の閾値(160℃)の決定について説明する。図6は、圧壊後の二次電池2の温度変化を示している。図6に示されるように、二次電池2を圧壊した場合には、パターン1〜3までの三態様の温度変化(振る舞い)があることが確認された。
【0045】
パターン1は、二次電池2を圧壊した場合でも、二次電池2の内部の正極、負極間の短絡が発生せず、温度変化が無いパターンである。また、パターン2は、二次電池2の内部の正極、負極間の短絡が発生し、二次電池2の電池温度Tが短絡電流によるジュール熱によってあがっていくが、臨界温度(二次電池2の材料の熱分解が始まる温度:150℃〜160℃程度)に達せずに、かつ短絡電流自体が収束することによって、電池温度Tがピークに達した後に低下するパターンである。また、パターン3は、二次電池2の内部の正極、負極間の短絡が発生し、二次電池2の温度が短絡電流によるジュール熱によってあがっていき、さらに、二次電池2の温度が臨界温度(二次電池2の材料の熱分解が始まる温度:150℃〜160℃程度)に達して、二次電池2の電極や電解液の電池材料自体の熱分解が始まり、それにより熱暴走が始まるパターンである。
【0046】
パターン3の熱暴走により、二次電池2自体が500℃前後の異常発熱や発煙などを引き起こすことになる。本実施形態では、二次電池2を部分圧壊してパターン1またはパターン2の振る舞いをする場合には、良品電池の範疇であると判断することにし、パターン3の振る舞いをする場合には、不良電池であると定義することにした。その結果、不良電池の判断基準として、二次電池2の電池温度Tが臨界温度に達するか否かを監視することが最も望ましいため、異常の有無を判断する基準となる電池温度Tは150℃〜160℃であることが望ましく、特に、その上限値である160℃に決定することで熱暴走の発生をより確実に確認できる。
【0047】
なお、本実施形態では、試験実施者が出力部13bから出力されたNaの値に基づいて電池の良否判定を行っていたが、安全基準を満たすNaの値を測定装置13に予め設定しておき、測定回路13aがステップ5で求めたNaの値と安全基準を満たすNaの値とを対比して電池の良否判定を行い、良品電池と判定する場合には「良品」を示すメッセージを出力部13bから出力させ、不良電池と判定する場合には「不良」を示すメッセージを出力部13bから出力させるようにしてもよい。また、本実施形態では、試験実施者が二次電池2の設置及び二次電池2の交換を行っていたが、これらを自動化して行えるようにしてもよい。例えば、二次電池2の投入ホッパや貯留部を加圧装置に設け、試験実施者が試験対象となる同型式の複数の二次電池を投入ホッパから投入すると、任意に二次電池が順番に抽出され、部分圧壊されると共に適宜に交換されるようにしてもよい。
【0048】
本実施形態に係る電池試験装置1A及び電池試験方法では、二次電池2を一方向から完全に圧壊(全圧壊)して温度や電圧を測定するのではなく、不完全な部分圧壊の状態で温度や電圧を測定する。二次電池2の圧壊に関して言えば、携帯電話などの使用中に遭遇する力に近い状況(携帯電話の使用者が落下や破損などで遭遇しやすい状況)では、全圧壊よりも部分圧壊の方が生じ易い。さらに、主としてリチウムイオン電池などでは、電池の全圧壊状態は内部短絡などに起因する異常判定において最悪条件ではなく、電池が破損した場合の振る舞いを適切に検証できなかった。すなわち、全圧壊試験よりも部分圧壊試験の方が二次電池2を厳しく試験をして安全性を確認する方法として有利である。そして、電池試験装置1A及び電池試験方法では、部分圧壊試験によって二次電池2を評価するので二次電池2が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる。
【0049】
さらに、加圧装置9は、複数の二次電池2それぞれの部分圧壊の深さDが異なるように丸棒5による押圧力を制御し、測定装置13は、部分圧壊された複数の二次電池2それぞれの温度を測定している。そして、試験対象となる複数の二次電池2それぞれの部分圧壊の深さが異なるため、それぞれの部分圧壊深さDで二次電池2が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる。
【0050】
さらに、加圧装置9は、前述の式(1)となるように押圧力を制御するため、式(1)に基づいた定量的な検証が可能になり、他種の電池などとの評価判定を行い。
【0051】
さらに、複数の二次電池2は、Naに従った順番で部分圧壊され、加圧装置9は、式(1)のDが段階的に大きくなるように押圧力を制御し、測定装置13は、部分圧壊された複数の二次電池2それぞれの温度を測定すると共に、測定結果が所定の閾値(160℃)を超える最初の値Naを求めるため、求めたNaを基準にして電池の良否判定を行うことが可能である。
【0052】
さらに、二次電池2は角型であると共に、一対の平面部分2aと側面部分2bとを有し、複数の二次電池2それぞれに対して平面部分2aに押圧力をかけて部分圧壊する場合における良否判定の基準値“1”は、複数の二次電池2それぞれに対して側面部分2bに押圧力をかけて部分圧壊する場合の基準値“2”に比べて小さいため、電池の薄い側が破損した場合における評価が厳しくなり、より高い安全性を実現できる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、図7〜図11を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る電池試験装置1Bについて、第1実施形態に係る電池試験装置1Aと同一または同等の要素には図中で同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図7は、第2実施形態に係る電池試験装置1Bの概略を示す図である。電池試験装置1Bは、試験台3と、試験台3に立設されたガイドロッド3bと、ガイドロッド3bに案内されて昇降する落下台20と、落下台20に連結され、落下台20を所定の高さに保持すると共に、落下台20を昇降させて落下台20の高さを制御する落下台制御装置(加圧手段)21と、試験台3に設置された二次電池2の角部分2cに斜めに立て掛けられる丸棒(干渉部材)23と、可動板7から落下して丸棒23に衝突し、衝撃力で間接的に二次電池2を押圧して部分圧壊する球状の錘25と、試験台3上に載せられた二次電池2に接する温度センサ11と、温度センサ11に接続された測定装置13と、を備えている。なお、本実施形態では、温度センサ11で検出された温度に基づいて、圧壊された二次電池2の振る舞いを検証するが、温度の代わりに二次電池2の電圧を測定したり、温度と電圧の両方を測定したりする検出手段を設け、その測定結果に基づいて圧壊された二次電池2の振る舞いを検証するようにしてもよい。
【0055】
落下台制御装置21は、CPU、RAM及びROMなどからなる制御回路21a、落下台20を昇降させる駆動モータ21b及び試験実施者の操作入力を受け付ける操作部21cなどを備えている。制御回路21aは、例えば、操作部21cを介して二次電池2の型式などを受け付けると、二次電池2に見合った段階的な押圧力、すなわち錘25の衝撃力で二次電池2を部分圧壊するように、駆動モータ21bを制御し、落下台20の高さを調節する。なお、落下台制御装置21と測定装置13とは、信号を送受信可能に接続されている。落下台制御装置21は、二次電池2を部分圧壊させる規定の押圧力(衝撃力)で押圧し、その押圧力に係るデータを測定装置13に通知する。測定装置13は、押圧力に係るデータを受け付けると共に、二次電池2の良否判定に必要となる情報を出力部13bから出力する。
【0056】
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る電池試験方法について説明する。図9は、第2実施形態に電池試験方法の手順を示すフローチャートである。
【0057】
電池試験方法を開始する際に、試験実施者は、まず試験対象となるリチウムイオン電池などの二次電池2を選択し、同型式の複数(例えば6個)の二次電池2を満充電状態で準備し、さらに、錘25の重さMを選定する(ステップS11)。本実施形態では、M=2(kg)を選定している。
【0058】
次に、試験実施者は、落下台制御装置21の操作部21cを操作し、落下台20の高さを決めるための以下の式(2)を設定する。
H=H×Nb …(2)
式(2)中の“H”は、落下台20の高さであり、Hは基準となる高さ、Nbは複数の二次電池2それぞれに対応して1から順番に付される自然数である。なお、本実施形態では、H=5(cm)とした。
【0059】
次に、試験実施者は、6個の二次電池2のいずれか一つを任意に抽出すると共に、操作部21cを操作し、“Nb=1”となるようにデータ設定を行う。この最初に抽出した二次電池2はNb=1に対応した二次電池2となる。さらに、試験実施者は、抽出した二次電池2を試験台3に取り付け(図7参照)、二次電池2を衝撃圧壊する角部分に斜めに丸棒23を立て掛ける(ステップS14)。
【0060】
次に、試験実施者は、落下台制御装置21の開始操作を行う。落下台制御装置21は、式(2)で導かれる所定の高さHとなるように、落下台20を上昇させ、その状態で落下台20に設けられた錘ストッパなどを解除するなどして錘25を丸棒23に落下させ、衝撃力で二次電池2を間接的に部分圧壊させる(ステップS15)。二次電池2(図8参照)は、錘25の落下衝撃を受け、角部分(丸棒23が立て掛けられた側面部分2bの上端部分)は深さG(図8参照)だけ潰れる。すなわち、錘25を所定の高さHから落下させることで、深さG分を変化させる部分圧壊が実施される。
【0061】
次に、測定装置13の測定回路13aは、部分圧壊された二次電池2の電池温度Tを温度センサ11での検出値に基づいて測定する。さらに、測定回路13aは、測定結果が所定の閾値(160℃)を超えているか否かを判断する(ステップS16)。測定回路13aは、測定結果が160℃を超えていないと判断する場合には、160℃未達を示すデータを落下台制御装置21に通知し、出力部13bから異常無しというメッセージを出力する。
【0062】
試験実施者は、出力部13bから出力された異常無しというメッセージを確認すると、新たな二次電池2を抽出し、落下台制御装置21の操作部21cを操作して“Nb=Nb+1”、すなわちNb=2を設定し(ステップS17)、ステップS13〜ステップS15までの処理を再度実行する。試験実施者は、試験対象として準備した複数の二次電池2を順番に抽出しながら上記のステップS13〜ステップS15を繰り返し実行する。上記の式(2)によれば、Nbの値が大きくなる程、落下台20の高さHは高くなるために、各二次電池2に対してステップS14でかけられる押圧力(衝撃力)は、Nbが大きくなるに従って段階的に大きくなる。その結果として、衝撃力が異なる数段階の圧壊試験を実施したことになる。
【0063】
電池試験装置1Bの測定回路13aは、Nb=1の二次電池2から順番に電池温度Tを測定し、その都度、測定結果が160℃を超えるか否かの判定を行うが(ステップS16)、160℃を超える最初の二次電池2を発見した場合には、電池温度Tが160℃を超えた最初の二次電池2のNbの値を求めて出力部13bから出力させ、後続の処理を中止する。また、6個すべての二次電池2の電池温度Tが160℃を超えなかった場合には、異常なしを示す終了メッセージを出力部13bから出力させる。なお、Nb=1で測定結果が160℃を超えてしまった場合には、良否判定を行うことなく、Nb=2となるように新たな二次電池2を試験台3に設置して繰り返し圧壊試験を実施する。
【0064】
出力部13bからNbの値または終了メッセージが出力させると、試験実施者は、出力された内容に基づいて電池の良否判定を行う(ステップS18)。本実施形態では、良否判定の基準値を“1”として規定し、終了メッセージまたはNb≦1となる場合には不良電池と判定し(ステップS19)、Nb>1となる場合には良品電池と判定する(ステップS20)。
【0065】
ここで、良否判定の基準値の決定について説明する。図10は、錘25を落下させる高さ(cm)、すなわち落下量と落下衝撃による二次電池2の衝撃変形量を示している。基本的に二次電池2を深さ方向で半分程度圧壊するケースが日常起こり得る一般的に生じ得るケースと判断できる。そこで、2kgの錘を落下させた場合、二次電池2の角部分が半分まで損傷する落下距離、すなわち5cmのときのNbの値(Nb=1)を良品電池の判定基準のNbとした。
【0066】
本実施形態に係る電池試験装置1B及び電池試験方法では、二次電池2を一方向から完全に圧壊(全圧壊)して温度や電圧を測定するのではなく、不完全な部分圧壊の状態で温度や電圧を測定するので、二次電池2が破損した場合の振る舞いを適切に検証することが可能となる。
【0067】
さらに、落下台制御装置21は、複数の二次電池2に対する所定の高さHが異なるように押圧力(衝撃力)を制御し、測定装置13は、部分圧壊された複数の二次電池2それぞれの温度を測定するため、所定の高さHを変更することで、押圧部材の落下衝撃による押圧力を、容易に制御することができる。
【0068】
さらに、落下台制御装置21は、所定の高さHが前述の式(2)となるように押圧力を制御するため、式(2)に基づいた定量的な検証が可能になり、他種の電池などとの評価判定を行い易くなる。
【0069】
さらに、複数の二次電池2は、Nbに従った順番で部分圧壊され、落下台制御装置21は、Hが段階的に高くなるように押圧力を制御し、測定装置13は、部分圧壊された複数の二次電池2それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定すると共に、測定結果が所定の閾値“160℃”を超える最初の値Nbを求めるため、求めたNbを基準にして電池の良否判定を行うことが可能になる。
【0070】
なお、本発明は、上記の実施形態のみに限定されない。例えば、上記の実施形態では、複数の電池に対して、抽出した順番に段階的に押圧力(第2実施形態に係る衝撃力含む)が大きくなるような実験を実施したが、逆に、小さくなるような実験を行うことも可能である。さらに、部分圧壊された電池の振る舞いを検証するのに、電池温度を測定していたが電圧、電流値及びそれらの組み合わせを測定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池試験装置の概略を示す図である。
【図2】二次電池の平面部を部分圧壊した状態を示す斜視図である。
【図3】二次電池の側面部を部分圧壊した状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る電池試験方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】試験押圧力と圧壊変形量との関係を示すグラフである。
【図6】丸棒を押し付けて部分圧壊した後の時間(試験時間)の経過と電池温度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電池試験装置の概略を示す図である。
【図8】二次電池の角部分を部分圧壊した状態を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る電池試験方法の手順を示すフローチャートである。
【図10】落下量と衝撃変形量との関係を示すグラフである。
【図11】錘を落下させて部分圧壊した後の時間(試験時間)の経過と電池温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B…電池試験装置、2…二次電池、2a…平面部分、2b…側面部分、2c…角部分、3…試験台、5…丸棒(押圧部材)、9…加圧装置(加圧手段)、13…測定装置(測定装置)、21…落下台制御装置(加圧手段)、23…丸棒(干渉部材)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を設置する試験台と、
前記電池を圧壊する押圧部材と、
前記押圧部材による前記電池への押圧力を制御する加圧手段と、
前記電池の温度および電圧の少なくとも一方を測定する測定手段と、を備え、
前記加圧手段は、前記電池が不完全な部分圧壊となるように前記押圧力を制御し、
前記測定手段は、部分圧壊された前記電池の温度および電圧の少なくとも一方を測定することを特徴とする電池試験装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、試験対象となる同一の複数の電池それぞれを部分圧壊し、
前記加圧手段は、前記複数の電池それぞれの部分圧壊の深さが異なるように前記押圧力を制御し、
前記測定手段は、部分圧壊された前記複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定することを特徴とする請求項1記載の電池試験装置。
【請求項3】
前記加圧手段は、前記複数の電池それぞれの部分圧壊による深さD、前記試験対象すべての個体数N、前記複数の電池それぞれに対応する1からNまでの自然数Na及び前記試験台に設置された状態での前記電池の上端から下端までの距離Lが下記式(1)となるように前記押圧力を制御することを特徴とする請求項2記載の電池試験装置。
D=(Na/N)×L (1)
【請求項4】
前記複数の電池は、前記自然数Naに従った順番で部分圧壊され、
前記加圧手段は、前記深さDが段階的に大きくなるように前記押圧力を制御し、
前記測定手段は、部分圧壊された前記複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定すると共に、測定結果が所定の閾値を超える最初の自然数Naを求めることを特徴とする請求項3記載の電池試験装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記試験台に設置された前記電池に対して所定の高さから落下して前記電池を部分圧壊し、
前記加圧手段は、前記所定の高さを調整して前記押圧力を制御することを特徴とする請求項1に記載の電池試験装置。
【請求項6】
前記電池は角型であり、
前記試験台に設置された前記電池の角部分に立て掛けられる棒状の干渉部材を更に備え、
前記押圧部材は、前記干渉部材に衝突することで間接的に前記電池の角部分を部分圧壊することを特徴とする請求項5記載の電池試験装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、試験対象となる同一の複数の電池それぞれを部分圧壊し、
前記加圧手段は、前記複数の電池に対する前記所定の高さが異なるように前記押圧力を制御し、
前記測定手段は、部分圧壊された前記複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定することを特徴とする請求項5または6記載の電池試験装置。
【請求項8】
前記加圧手段は、前記複数の電池それぞれに対する前記所定の高さH、基準となる高さH及び前記複数の電池それぞれに対応して1から順番に付される自然数Nbが下記式(2)となるように前記押圧力を制御することを特徴とする請求項7記載の電池試験装置。
H=H×Nb (2)
【請求項9】
前記複数の電池は、前記自然数Nbに従った順番で部分圧壊され、
前記加圧手段は、前記高さHが段階的に高くなるように前記押圧力を制御し、
前記測定手段は、部分圧壊された前記複数の電池それぞれの温度および電圧の少なくとも一方を測定すると共に、測定結果が所定の閾値を超える最初の自然数Nbを求めることを特徴とする請求項8記載の電池試験装置。
【請求項10】
前記測定手段は、部分圧壊された前記複数の電池それぞれの温度を測定し、
前記所定の閾値は150℃から160℃の範囲に含まれることを特徴とする請求項4または9記載の電池試験装置。
【請求項11】
試験台に設置された電池が不完全な部分圧壊となるように前記電池に押圧力をかける部分圧壊ステップと、
部分圧壊した前記電池の温度及び電圧の少なくとも一方を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける測定結果が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする電池試験方法。
【請求項12】
試験対象となる同一の複数の電池の中から電池を順番に抽出し、
抽出した電池に対して前記部分圧壊ステップ、前記検出ステップ及び前記判定ステップを行い、
前記部分圧壊ステップにおいて、前記電池にかけられる押圧力を前記順番に従って段階的に大きくし、
前記判定ステップにおいて、前記測定結果が所定の閾値を超えると判定された最初の前記電池の順番を示す値が良否判定の基準値以上の場合に前記電池が良品であると判定する請求項11記載の電池試験方法。
【請求項13】
前記電池は角型であると共に、前記電池の周面には対向する一対の平面部分と前記平面部分よりも面積の小さな側面部分とを有し、
前記複数の電池それぞれに対して前記平面部分に押圧力をかけて部分圧壊する場合における前記良否判定の基準値は、前記複数の電池それぞれに対して前記側面部分に押圧力をかけて部分圧壊する場合に比べて小さいことを特徴とする請求項12記載の電池試験方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−156866(P2009−156866A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311323(P2008−311323)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】