説明

電流−スピン流変換素子

【課題】スピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行う電流−スピン流変換素子であって、変換効率の高い電流−スピン流変換素子及び該素子を用いた装置を提供する。
【解決手段】本発明の電流−スピン流変換素子は、5d遷移金属酸化物のスピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行う。また、本発明のスピン蓄積装置は、注入されるスピンを蓄積する非磁性体と、前記非磁性体内にスピンを注入する注入手段と、を有するスピン蓄積装置であって、前記注入手段は、前記非磁性体上に設けられた、請求項1または2に記載の電流−スピン流変換素子と、前記電流−スピン流変換素子に、スピンホール効果によって前記非磁性体に向かうスピン流が生成されるように、電流を流す電源と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行う電流−スピン流変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電子のスピンを利用した高機能性素子は、スピントロニクス素子とよばれ、従来の半導体素子の技術限界を打破する新しい技術として期待されている。スピントロニクス素子に関する技術は、例えば、特許文献1〜9に開示されている。
【0003】
また、近年では、電流を伴わないスピン流(純スピン流)がスピントロニクス素子における新しい機能性として注目されており、その生成・輸送・検出技術が確立されつつある。
【0004】
例えば、非磁性体と強磁性体との界面に電流を流すことにより、純スピン流を生成する方法がある。具体的には、非磁性体細線に強磁性体を接触させる。非磁性体と強磁性体との界面に電流を流すと、強磁性体からスピン偏極電流(純スピン流+電流)が非磁性体中へと流れ込む。非磁性体細線の片側のみが電流源と閉回路を形成している場合は、回路側の非磁性体細線には電流が流れているが、もう片側には電流が流れていない。ところが、強磁性体から注入されたスピン偏極電子は、細線の両側に拡散し、電流がない部分においてもスピンは流れており、これを純スピン流と呼ぶ。また、純スピン流の生成・検出方法の一つとして、非磁性体のスピンホール効果を利用した方法がある。スピンホール効果に関する技術は、例えば、非特許文献1〜6に開示されている。
【0005】
従来、スピンホール効果を利用した純スピン流の生成・検出には、Pt等の5d遷移金属がよく用いられている。しかしながら、その変換効率(電流とスピン流の間の変換効率)は非常に低い。なお、Auが非常に高い変換効率を有することが報告されているが、本発明者らや他の研究者による実験では、そのような変換効率を得ることができていない(非特許文献7)。そのため、Auのデータは再現性(信頼性)に乏しく、Ptの変換効率が最も高いと考えられている。
【0006】
現在のスピントロニクス素子において、スピンの注入源、検出源として、強磁性体が利用されている。しかしながら、素子サイズの減少と共に、スピンの注入源、検出源として利用されている強磁性体間の距離も減少し、かつ強磁性体自身の大きさも小さくする必要がある。このような場合、強磁性体間の静磁結合が生じてしまい、その動作特性(特に、磁場応答性)に悪影響を及ぼす可能性がある。スピンの注入、検出に、非磁性体のスピンホール効果、逆スピンホール効果を利用すれば、そのような問題は解消される。しかしながら、従来の材料では変換効率が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−186274号公報
【特許文献2】特開2004−342241号公報
【特許文献3】特開2005−19561号公報
【特許文献4】特開2005−135462号公報
【特許文献5】特開2007−155854号公報
【特許文献6】特開2007−294710号公報
【特許文献7】特開2009−146512号公報
【特許文献8】特開2009−295824号公報
【特許文献9】特開2010−3850号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】S. O. Valenzuela and M. Tinkham “Direct electronic measurement of the spin Hall effect” Nature, vol. 442, pp. 176-179 (2006).
【非特許文献2】T. Kimura, Y. Otani, T. Sato, S. Takahashi and S. Maekawa “Room-Temperature Reversible Spin Hall Effect” Physical Review Letters, vol. 98, pp. 156601-1-4 (2007).
【非特許文献3】L. Vila, T. Kimura, Y. Otani “Evolution of Spin Hall Effect in Pt Nanowires: Size and Temperature Effects” Physical Review Letters, vol. 99, pp. 226604-1-4 (2007).
【非特許文献4】T. Seki, Y. Hasegawa, S. Mitani, S. Takahashi, H. Imamura, S. Maekawa, J. Nitta and K. Takanasi “Giant spin Hall effect in perpendicularly spin-polarized FePt/Au devices” Nature Materials, vol. 7, pp. 125-129 (2008).
【非特許文献5】大谷義近、木村崇「スピントロニクスにおけるスピンホール効果」まぐね(日本磁気学会誌)vol. 4, pp. 66-72 (2009).
【非特許文献6】T. Kimura, Y. Otani, L. Vila “Spin current absorption and spin Hall effects in ferromagnetic/nonmagnetic hybrid structures (invited)” Journal of Applied Physics, vol. 103, pp. 07F310-1-4 (2008).
【非特許文献7】G. Mihajlovic, J. E. Pearson, M. A. Garcia, S. D. Bader and A. Hoffmann“Negative Nonlocal Resistance in Mesoscopic Gold Hall Bars: Absence of the Giant Spin Hall Effect” Physical Review Letters, vol. 103, pp. 166601-1-4 (2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、スピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行う電流−スピン流変換素子であって、変換効率の高い電流−スピン流変換素子、及び、該素子を用いた装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電流−スピン流変換素子は、5d遷移金属酸化物のスピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行うことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、変換効率の高い電流−スピン流変換素子を得ることができる。スピンホール効果の起源であるスピン流の散乱にはスピン軌道相互作用が関係すると考えられる。具体的には、フェルミ面(伝導を担う電子)がd軌道のような軌道角運動量の大きな軌道で構成されている材料の場合には、スピン軌道相互作用が大きく、材料中でスピン流は大きく散乱される。5d遷移金属酸化物では、フェルミ面が5d軌道のみで構成されているため、材料中でスピン流は大きく散乱すると考えられる。その結果、上記構成において、変換効率の高い電流−スピン流変換素子を得ることができたと考えられる。
【0012】
例えば、5d遷移金属酸化物は、Irを含む5d遷移金属酸化物である。
【0013】
また、本発明のスピン蓄積装置は、注入されるスピンを蓄積する非磁性体と、前記非磁性体内にスピンを注入する注入手段と、を有するスピン蓄積装置であって、前記注入手段は、前記非磁性体上に設けられた、上記電流−スピン流変換素子と、前記電流−スピン流変換素子に、スピンホール効果によって前記非磁性体に向かうスピン流が生成されるように、電流を流す電源と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のスピン蓄積量検出装置は、注入されるスピンを蓄積する非磁性体と、前記非磁性体内にスピンを注入する注入手段と、前記非磁性体内に蓄積されたスピンの量を検出する検出手段と、を有するスピン蓄積量検出装置であって、前記検出手段は、前記非磁性体上に設けられた、上記電流−スピン流変換素子と、前記スピンの量として、電流−スピン流変換素子の逆スピンホール効果によって生じた電流を検出する検出器と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の高周波スピン生成装置は、上記電流−スピン流変換素子と、前記電流−スピン流変換素子上に設けられた磁性体と、前記電流−スピン流変換素子に、スピンホール効果によって前記磁性体に向かうスピン流が生成されるように、電流を流す電源と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明のスピン波検出装置は、磁性体と、前記磁性体にスピン波を生成するためのエネルギーを供給する供給手段と、前記磁性体内で生成されたスピン波を検出する検出手段と、を有するスピン波検出装置であって、前記検出手段は、前記磁性体上に設けられた、請求項1または2に記載の電流−スピン流変換素子と、前記スピン波として、電流−スピン流変換素子の逆スピンホール効果によって生じた電流を検出する検出器と、を有することを特徴とする。
【0017】
このように、本発明の電流−スピン流変換素子は、スピン蓄積装置、スピン蓄積量検出装置、高周波スピン生成装置、スピン波検出装置などにおいて、従来の強磁性体の代わりとして利用できる。それにより、静磁結合または強磁性体端部からの漏れ磁場の問題が解消された装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行う電流−スピン流変換素子であって、変換効率の高い電流−スピン流変換素子及び該素子を用いた装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、スピンホール効果および逆スピンホール効果を示す概略図である。
【図2】図2は、IrOのスピン拡散長を測定するための素子の一例を示す概略図である。図2(a)はIrO配線が無い素子の概略図であり、図2(b)はIrO配線を有する素子の概略図である。
【図3】図3は、図2の素子におけるAg配線内のスピン蓄積量の検出結果の一例を示す図である。図3(a)は図2(a)の素子を用いて得られたスピン蓄積量の検出結果であり、図3(b)は図2(b)の素子を用いて得られたスピン蓄積量の検出結果である。
【図4】図4は、逆スピンホール効果を検出するための素子の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、逆スピンホール効果の検出結果の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るスピン蓄積装置の構成の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、本実施形態に係るスピン蓄積量検出装置の構成の一例を示す概略図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る高周波スピン波生成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図9】図9は、本実施形態に係るスピン波検出装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(スピンホール効果、逆スピンホール効果)
まず、スピンホール効果および逆スピンホール効果について説明する。図1に示すように、非磁性体中に電流Iを流すと、スピン軌道相互作用により上向きスピンを有する電子(上向きスピン電子e1)と下向きスピンを有する電子(下向きスピン電子e2)とが互いに逆方向に散乱される。その結果、電流Iの向き及びスピンの向きの両方に垂直な向きのスピン流I(純スピン流)が生成される。このような現象(効果)をスピンホール効果と呼ぶ。一方、非磁性体中にスピン流Iを流すと、スピン流Iの向き及びスピンの向きの両方に垂直な向きの電流Iが生成される。このような現象を逆スピンホール効果と呼ぶ。このように、スピンホール効果または逆スピンホール効果を利用すれば電流とスピン流の間の変換を行うことができる。そのため、そのような変換を行う素子(非磁性体)を電流−スピン流変換素子と呼ぶ。スピンホール効果および逆スピンホール効果において、電流Iとスピン流Iは以下の式1の関係を有する。

ここで、sはスピンの向き(磁化方向)である。
【0021】
式1の関係によって起こる電流とスピン流との間の変換(スピン流の散乱)の効率は、スピン軌道相互作用の大きさに依存することが期待される。具体的には、スピン軌道相互作用の大きい材料は、大きな変換効率を示すことが期待される。そこで、発明者らは、スピン軌道相互作用の強いIrOという材料に着目し、IrOのスピンホール効果について調べた。以下、詳しく説明する。
【0022】
(スピン拡散長の測定)
スピンの注入、検出に、非磁性体のスピンホール効果、逆スピンホール効果を利用する場合には、該非磁性体のスピン拡散長が小さい(短い)ことが好ましい。スピン拡散長は、スピンの状態が維持される長さ(スピンが緩和する長さ)である。
【0023】
そこで、本発明者らは、図2の素子を作製し、IrOのスピン拡散長を測定した。
【0024】
図2(a)の素子は、2本の強磁性配線を非磁性配線で架橋した構造を有する。本実施形態では、強磁性配線としてパーマロイ製の配線(Py1配線,Py2配線)を、非磁性配線としてAg製の配線(Ag配線)を用いた。図2(b)の素子は、図2(a)の素子にIrO製の配線(IrO配線)を加えた構造を有する。具体的には、IrO配線は、Ag配線の、Py1配線とPy2配線の間の位置に接続されている。本実施形態では、厚さt=10nm、幅w=170nmのIrO配線を用いた。また、Ag配線のPy1配線との接続位置からPy2配線との接続位置までの長さdPy−Py=700nm、Ag配線のPy1配線との接続位置からIrO配線との接続位置までの長さdPy−IrO2=350nmとした。
【0025】
図2の例では、Py1配線からAg配線へ電流Iを流すことにより、Py1配線からAg配線へスピンが注入される。そして、Ag配線とPy2配線の間の電位差を測定することにより、Ag配線に蓄積されているスピンの量(スピン蓄積量)を検出することができる。
【0026】
図3は、スピン蓄積量の検出結果を示す。図3(a),(b)は、それぞれ、図2(a),(b)の素子におけるスピン蓄積量の検出結果を示す。図3において、横軸(Field)はPy1配線の磁化の向きを制御するための磁場(図中y方向の磁場)の強さであ
り、縦軸(RNLSV)は検出された電位差を流した電流Iで除算した値である。
【0027】
図3において、ΔRwith,ΔRwithoutはAg配線に蓄積されたスピンの量に相当する。ここで、ΔRwithがΔRwithoutよりも小さいのは、Ag配線に蓄積されたスピンがIrO配線に吸収されたためである。
【0028】
また、IrOのスピン拡散長λIrO2は、以下の式2−1,2−2を用いて算出することができる(非特許文献3)。


ここで、SはAg配線とIrO配線との接合断面積、ρは材料Aの電気抵抗率、λは材料Aのスピン拡散長、Rは材料Aのスピン抵抗(スピン流の流れやすさを表す指標)である。ρIrO2の値は2×10−4Ωcm、ρAgの値は3×10−6Ωcm、λAgの値は330nmである。また、本実験では、Sの値は2.9×10−10cmであった。そして、本実験から、IrOのスピン拡散長λIrO2の値は約15nmであり、Ptの値(≒10nm)と同等であることが分かった。それにより、IrOが電流−スピン流変換素子の材料として有望であることの示唆が得られた。
【0029】
(逆スピンホール効果の検出)
図2(b)の素子において、IrO配線にスピン流が吸収されると、逆スピンホール効果によりIrO配線内に電流Iが流れる。具体的には、IrO配線に吸収されるスピン流のスピンの向きが図中x方向である場合、IrO配線内には図中y方向に電流Iが流れる。
【0030】
そこで、本発明者らは図4に示すような素子を作製し、IrO配線の両端の電位差を測定することにより、IrOの逆スピンホール効果の検出を行った。なお、IrO配線の厚さt、幅w、電流I、Ag配線のPy1配線との接続位置からPy2配線との接続位置までの長さdPy−Py及び、Ag配線のPy1配線との接続位置からIrO配線との接続位置までの長さdPy−IrO2の値は、図2,3の実験での値と同様である。
【0031】
図5は、図4の素子を用いた実験結果を示す。図5において、横軸(Field)は図中x方向の磁場の強さであり、縦軸(RISHE)は検出された電位差を流した電流Iで除算した値である。
【0032】
図5に示すように、磁場の反転、即ち注入するスピン流の磁化方向の反転に伴い、電圧の極性が反転する現象が観測された。この結果は式1に対応しており、IrOの逆スピンホール効果が検出できた。
【0033】
(スピンホール抵抗率とスピンホール角の算出)
図4,5の実験において、検出される電位差の変動量ΔVは、以下の式3で表される。

ここで、IはPy1配線に流した電流、wはIrO配線の幅である。
【0034】
式3において、ΔRISHEは、IrOにおいて逆スピンホール効果(スピンホール効果)により生じた電圧差をPy1配線に流した電流Iで除算した値であり、図5の曲線におけるプラトー部の高さの差である。図4,5の実験では、ΔRISHE≒0.18mΩであった。
【0035】
式3において、Iは、IrO配線に吸収されたスピン流量であり、図2,3の実験から、以下の式4を用いて算出することができる(非特許文献6)。

ここで、αPy1はPy1のスピン偏極率であり、本実施形態ではαPy1は0.26であった。
【0036】
式3において、ρSHEは、IrOのスピンホール抵抗率であり、スピン流と電位差(即ち、電流)の間の変換効率(スピンホール効果、逆スピンホール効果の強度)の指標となる値である(ρSHEが大きいほど変換効率は高い)。式3,4から、IrOのスピンホール抵抗率ρSHEの値は9.3×10−9Ωmであり、Ptの値(5.77×10−10Ωm、非特許文献2)の約16倍であることが分かった。それにより、IrOが電流−スピン流変換素子の材料として有望であることの示唆が得られた。
【0037】
また、スピンホール効果、逆スピンホール効果を議論するのに、スピンホール角αが利用できる。スピンホール角αは、材料中を流れる電子がスピン軌道相互作用によりどの程度曲げられるかを示す指標であり、大きい値であることが好ましい。スピンホール角αは、以下の式5を用いて算出することができる。

【0038】
式5から、IrOのスピンホール角αの値は0.0047であり、Ptの値(0.0037、非特許文献2)の約1.3倍であることが分かった。それにより、IrOが電流−スピン流変換素子の材料として有望であることの示唆が得られた。
【0039】
以上述べたように、IrOは、Ptに比べ非常に大きなスピンホール抵抗率、スピンホール角を示す材料であることが分かる。そのため、IrOを用いることにより、変換効率の高い電流−スピン流変換素子を得ることができる。
【0040】
また、本発明者らは、IrOが大きなスピンホール抵抗率、スピンホール角を示す理由(IrOにおけるスピンホール効果(逆スピンホール効果)の強度、即ち、電流とスピン流との間の変換効率が高い理由)について考察した。その結果、5d遷移金属酸化物
が電流−スピン流変換素子の材料として有望であることを見出した。以下、詳しく説明する。
【0041】
スピン流の散乱機構にはスピン軌道相互作用が関係すると考えられる。具体的には、フェルミ面がスピン軌道相互作用を持たないs軌道で構成されている材料の場合には、材料中でスピン流は散乱されない。一方、フェルミ面が5d軌道のようなスピン軌道相互作用の大きい電子軌道で構成されている材料の場合には、材料中でスピン流は大きく散乱される。そのため、5d軌道はスピンホール効果(逆スピンホール効果)に大きく寄与すると考えられる。
【0042】
Ptなどの5d金属では、フェルミ面が6s軌道と5d軌道の混成軌道で構成されている。そのため、スピン軌道相互作用を持たない6s軌道が、スピンの散乱を弱め、変換効率を低くしているものと考えられる。
【0043】
一方、IrOでは、フェルミ面が5d軌道のみで構成されているため、高い変換効率が得られたと考えられる。即ち、フェルミ面が5d軌道のみで構成された材料であれば、高い変換効率を示すことが期待でき、5d遷移金属酸化物が電流−スピン流変換素子の材料として有望であると考えられる。5d遷移金属酸化物は、例えば、ReO,SrIrO,CaIrO,BaIrO,MWO(M=H,Li,Na,K,Rb,Cs,Ca,Sr,Ba,Ce,Eu,Gd,x=0.05〜0.15)などである。また、上記実験では、多結晶及びアモルファスのIrOを用いた(図3,5は多結晶を用いた場合のデータである)。単結晶では、多結晶・アモルファスに比べ電気抵抗率が小さくなるため、単結晶のIrOを利用すれば更なる高効率化の実現が期待できる。
【0044】
<電流−スピン変換素子を用いた装置>
以下、上述した電流−スピン流変換素子を用いた装置の具体例について説明する。なお、以下では、電流−スピン流変換素子として、IrOから成る素子を用いた場合について説明するが、素子の材料は5d遷移金属酸化物であればよく、IrOに限るものではない。
【0045】
(スピン蓄積装置)
図6は、本実施形態に係るスピン蓄積装置の構成の一例を示す概略図である。本実施形態に係るスピン蓄積装置は、IrOのスピンホール効果(電流からスピン流への変換)を利用して、非磁性体内にスピンを蓄積する。以下、図6を参照してスピン蓄積装置の構成について詳しく説明する。
【0046】
スピン蓄積装置は、注入されるスピンを蓄積するスピン蓄積用非磁性体(蓄積部61)と、非磁性体にスピンを注入する注入部62と、を有する。また、図6の例では、スピン蓄積装置は、磁場検出部63を更に有する。
【0047】
蓄積部61は、板状の形状を有する。
【0048】
スピン注入部62は、蓄積部61上(蓄積部61の片面上)に設けられたIrO(IrO配線64)と、IrO配線64に、スピンホール効果によって蓄積部61に向かうスピン流が生成されるように、電流を流す電源65と、を有する。具体的には、電源65により、IrO配線64の配線方向(図中y方向)に電流を印加することで、IrO配線64内に、蓄積部61に向かうスピン流が生成される。IrO配線64内で生成されたスピン流は、蓄積部61内へと流れ込む。それにより、蓄積部61内にスピンを蓄積することができる。また、スピン流および蓄積するスピンの向きは電流の方向で制御することができる。
【0049】
磁場検出部63は、蓄積部61上に設けられた強磁性体66(強磁性体電極)と、磁場を検出する検出器67とを有する。具体的には、蓄積部61内を流れるスピン流は、強磁性体66へと流れ込む。そして、検出器67(電圧計)により、強磁性体66と蓄積部61の間の電位差が検出される。該電位差を検出することにより、強磁性体66と蓄積部61の間の化学ポテンシャルの違いを検出することができる。なお、検出される電位差は、強磁性体66内の磁化と蓄積されたスピンの向きとの相対角度に依存する。本装置を磁場センサとして利用する場合には、強磁性体66と蓄積部61の端面に、測定対象となる媒体を接触させればよい。媒体からの漏れ磁場により、強磁性体66の磁化の向きが変化するため、該変化を電位差の変化として検出することができる。そして、この電位差の変化分から、媒体からの磁場の大きさを算出することができる。
【0050】
蓄積部61の材料としては、スピン緩和長の長いものが望ましく、Al,Mg,Cu,Ag等の金属およびそれら合金、Si,Ge,GaAs等の半導体、Al,Nb等の超電導体などが利用できる。
【0051】
また、IrO配線64と強磁性体66の距離L6は、非磁性体61のスピン緩和長以下にする必要がある。例えば、室温では、Cuのスピン緩和長は300nm程度、Auのスピン緩和長は50nm程度、Alのスピン緩和長は400nm程度である。IrO配線64と強磁性体66の距離L6が短いほど、大きな電位差を検出することができるため、好ましい。
【0052】
また、強磁性体66の材料としては、Ni,Fe,Coおよびその合金、Co−Fe−B等のアモルファス材料、Co−Mn−SiやCo−Cr−Fe−Al等のホイスラー材料、La−Sr−Mn―O等の酸化物材料、GaMnAs等の強磁性半導体材料などが利用できる。
【0053】
なお、磁気特性や化学特性を制御するために、上記材料に、Ti,V,Cr,Mn,Cu,Zn,B,Al,Ga,C,Si,Ge,Sn,N,P,Sb,O,S,Mo,Ru,Ag,Hf,Ta,W,Ir,Pt,Au等の非磁性元素を適宜添加しても良い。
【0054】
また、強磁性体66は、上記材料のうちの1種類からなる強磁性体薄膜であってもよいし、複数種類の薄膜が積層された多層薄膜であってもよい。
【0055】
なお、強磁性体66の膜厚d6は、電位差の読み出し時のノイズや磁気特性を考慮すると、2nm以上が望ましい。
【0056】
(スピン蓄積量検出装置)
図7は、本実施形態に係るスピン蓄積量検出装置の構成の一例を示す概略図である。本実施形態に係るスピン蓄積量検出装置は、IrOの逆スピンホール効果(スピン流から電流への変換)を利用して、非磁性体内に蓄積されたスピンの量(スピン蓄積量)を検出する。以下、図7を参照してスピン蓄積量検出装置の構成について詳しく説明する。
【0057】
スピン蓄積量検出装置は、注入されるスピンを蓄積する蓄積用非磁性体(蓄積部71)と、蓄積部71内にスピンを注入するスピン注入部72と、蓄積部71内に蓄積されたスピンの量を検出する検出部73と、を有する。
【0058】
蓄積部71は、板状の形状を有する。
【0059】
スピン注入部72は、蓄積部71上(蓄積部71の片面上)に設けられた強磁性体74
と、強磁性体74から蓄積部71へ電子が流れるように電流を流す電源75と、を有する。強磁性体内のスピン偏極電子が蓄積部71内に注入されることにより、蓄積部71にスピン流、スピンの蓄積を生じさせることができる。
【0060】
検出部73は、蓄積部71上(蓄積部71の片面上)に設けられたIrO(IrO配線76)と、スピンの量(スピン蓄積量)として、IrOの逆スピンホール効果によって生じた電流を検出する検出器77と、を有する。具体的には、蓄積部71内を流れるスピン流は、IrO配線76内へと流れ込み、IrOの逆スピンホール効果によって電流へと変換される(IrOの両端に電位差が生じる)。そして、検出器77(電圧計)により、IrO配線76の両端の電位差が検出される。検出される電位差の大きさは、蓄積部71中のスピン蓄積量およびそのスピンの向きに依存する。
【0061】
電源75(定電流源)を用いて、強磁性体74から蓄積部71内へスピンを注入する。蓄積部71内に注入、蓄積されるスピンの向きは、強磁性体74の磁化の向きと同一である。本装置を磁場センサとして利用する場合には、強磁性体74と蓄積部71の端面に、測定対象となる媒体を接触させればよい。媒体からの磁場により強磁性体74の磁化の向きが変化するため、蓄積部71内に蓄積されるスピンの向きも変化する。その結果、IrO内に流れ込むスピン流の向きが変化するため、該変化を電位差の変化として検出することができる。そして、この電位差の変化分から、媒体からの磁場の大きさを算出することができる。
【0062】
蓄積部71の材料としては、スピン緩和長の長いものが望ましく、Al,Mg,Cu,Ag等の金属およびそれら合金、Si,Ge,GaAs等の半導体、Al,Nb等の超電導体などが利用できる。
【0063】
また、IrO配線76と強磁性体74の距離L7は、非磁性体71のスピン緩和長以下にする必要がある。例えば、室温では、Cuのスピン緩和長は300nm程度、Auのスピン緩和長は50nm程度、Alのスピン緩和長は400nm程度である。IrO配線76と強磁性体74の距離L7が短いほど、大きな電位差を検出することができるため、好ましい。
【0064】
また、強磁性体74の材料としては、Ni,Fe,Coおよびその合金、Co−Fe−B等のアモルファス材料、Co−Mn−SiやCo−Cr−Fe−Al等のホイスラー材料、La−Sr−Mn―O等の酸化物材料、GaMnAs等の強磁性半導体材料などが利用できる。
【0065】
なお、磁気特性や化学特性を制御するために、上記材料に、Ti,V,Cr,Mn,Cu,Zn,B,Al,Ga,C,Si,Ge,Sn,N,P,Sb,O,S,Mo,Ru,Ag,Hf,Ta,W,Ir,Pt,Au等の非磁性元素を適宜添加しても良い。
【0066】
また、強磁性体74は、上記材料のうちの1種類からなる強磁性体薄膜であってもよいし、複数種類の薄膜が積層された多層薄膜であってもよい。
【0067】
なお、強磁性体74の膜厚d7は、電位差の読み出し時のノイズや磁気特性を考慮すると、2nm以上が望ましい。
【0068】
(高周波スピン波生成装置)
図8は、本実施形態に係る高周波スピン波生成装置の構成の一例を示す概略図である。本実施形態に係る高周波スピン波生成装置は、IrOのスピンホール効果(電流からスピン流への変換)を利用して、高周波の電磁波または磁性体内部にスピン波を生成する。
以下、図8を参照して高周波スピン波生成装置の構成について詳しく説明する。
【0069】
高周波スピン波生成装置は、板状のIrO配線81と、IrO配線81上(IrO配線81の片面上)に設けられた磁性体82と、IrO配線81に、スピンホール効果によって磁性体82に向かうスピン流が生成されるように、電流を流す電源83(電流源)と、を有する。具体的には、電源83により、IrO配線81の配線方向(図中y方向)に電流を印加することで、IrO配線81内に、磁性体82に向かうスピン流が生成される。スピン流のスピンの向きは電流の方向で制御することができる。
【0070】
IrO内で生成されたスピン流は、磁性体82が導電性の磁性体の場合、磁性体82中へと流れ込む。スピン流と磁性体82中の局在スピンとの相互作用により、局在スピンにトルク(スピントルク)が生じる。このスピントルクにより、磁性体82の磁化は磁性体82の固有振動数で歳差運動を始める。そして、この歳差運動により、高周波の電磁波または磁性体82内部にスピン波が生成される。
【0071】
IrO内で生成されたスピン流は、磁性体82が絶縁性の磁性体の場合、IrOと磁性体82との接触界面でスピン軌道相互作用の授与が行われ、磁性体82の磁化は歳差運動を始める。そして、この歳差運動により、高周波の電磁波または磁性体内部にスピン波が生成される。
【0072】
なお、歳差運動の固有振動数は、磁性体82の材料や形状等を変えることで、サブGHzから数十GHzの間で選択することができる。
【0073】
また、安定した自励発振の実現や、周波数を外部から変えるために、高周波スピン波生成装置に磁場を印加してもよい。
【0074】
磁性体82としては、強磁性体、反強磁性体、フェライトを代表する磁性誘電体などが利用できる。強磁性体の材料としては、Ni,Fe,Coおよびその合金、Co−Fe−B等のアモルファス材料、Co−Mn−SiやCo−Cr−Fe−Al等のホイスラー材料、La−Sr−Mn−O等の酸化物材料、GaMnAs等の強磁性半導体材料などが利用できる。反強磁性体の材料としては、Mn,Crおよびその合金、Co−OやNi−O等の酸化物材料などが利用できる。
【0075】
なお、磁気特性や化学特性を制御するために、上記材料に、Ti,V,Cr,Mn,Cu,Zn,B,Al,Ga,C,Si,Ge,Sn,N,P,Sb,O,S,Mo,Ru,Ag,Hf,Ta,W,Ir,Pt,Au等の非磁性元素を適宜添加しても良い。
【0076】
また、磁性体82は、上記材料のうちの1種類からなる磁性体薄膜であってもよいし、複数種類の薄膜が積層された多層薄膜であってもよい。
【0077】
(スピン波検出装置)
図9は、本実施形態に係るスピン波検出装置の構成の一例を示す概略図である。本実施形態に係るスピン波検出装置は、IrOの逆スピンホール効果(スピン流から電流への変換)を利用して、スピン波を検出する。以下、図9を参照してスピン波検出装置の構成について詳しく説明する。
【0078】
スピン波検出装置は、板状の磁性体91と、磁性体91にスピン波を生成するためのエネルギーを供給する供給部92と、磁性体91内で生成されたスピン波を検出する検出部93と、を有する。図9の例では、供給部92は、磁性体91上(磁性体91の片面上)に設けられている。
【0079】
供給部92は、磁性体91に局所的にエネルギーを供給する。それにより、磁性体91内にスピン波が生成される。エネルギーは、例えば、レーザー光による熱エネルギーであってもよいし、パルス磁場を印加することによる静磁エネルギーであってもよいし、スピン流を利用したスピントルクエネルギーであってもよい。
【0080】
検出部93は、磁性体91上(磁性体91の片面上)に設けられたIrO配線94と、スピン波として、IrO配線の逆スピンホール効果によって生じた電流を検出する検出器95と、を有する。
【0081】
熱平衡状態にある磁性体91において、スピンの向きは、交換相互作用により規則的に配列している。エネルギーが供給されると、このスピンの配列は局所的に乱される。しかしながら、隣接するスピン間の交換相互作用により、スピン波が生成される。生成されたスピン波は、磁性体91内を伝搬する。
【0082】
そして、伝搬されたスピン波は、IrO配線94に到達する。IrO配線94と磁性体91との接触界面間の相互作用により、磁性体91内のスピン波は急速に減衰する。そして、該接触界面でスピン軌道相互作用の授与が行われ、スピン波はスピン流としてIrO配線94内に流れ込む。そのスピン流は、逆スピンホール効果により電流へ変換され、検出器95で電位差として検出される。それにより、スピン波は電位差として検出される。
【0083】
磁性体91としては、強磁性体、反強磁性体、フェライトを代表する磁性誘電体などが利用できる。強磁性体の材料としては、Ni,Fe,Coおよびその合金、Co−Fe−B等のアモルファス材料、Co−Mn−SiやCo−Cr−Fe−Al等のホイスラー材料、La−Sr−Mn−O等の酸化物材料、GaMnAs等の強磁性半導体材料などが利用できる。反強磁性体の材料としては、Mn,Crおよびその合金、Co−OやNi−O等の酸化物材料などが利用できる。
【0084】
なお、磁気特性や化学特性を制御するために、上記材料に、Ti,V,Cr,Mn,Cu,Zn,B,Al,Ga,C,Si,Ge,Sn,N,P,Sb,O,S,Mo,Ru,Ag,Hf,Ta,W,Ir,Pt,Au等の非磁性元素を適宜添加しても良い。
【0085】
以上述べたように、本実施形態によれば、5d遷移金属酸化物のスピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行うことにより、変換効率の高い電流−スピン流変換素子を得ることができる。
【0086】
また、上述したように、本実施形態に係る電流−スピン流変換素子は、スピン蓄積装置、スピン蓄積量検出装置などにおいて、従来の強磁性体代わりとして利用できる。それにより、静磁結合または強磁性体端部からの漏れ磁場の問題が解消された装置を得ることができる。
【0087】
また、上述した高周波スピン波生成装置やスピン波検出装置のようなスピン波を利用した装置(論理素子)は、高速な情報伝送が可能であることから超高速情報処理素子として期待されている。ここでは一例として、高周波スピン波生成装置とスピン波検出装置を示したが、それらを組み合わせることで様々な装置の実現が可能である。
【符号の説明】
【0088】
61,71 蓄積部
62,72 スピン注入部
63 磁場検出部
64,76,81,94 配線
65,75,83 電源
66,74 強磁性体
67,77,95 検出器
73,93 検出部
82,91 磁性体
92 供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5d遷移金属酸化物のスピンホール効果または逆スピンホール効果を利用して電流とスピン流の間の変換を行う
ことを特徴とする電流−スピン流変換素子。
【請求項2】
前記5d遷移金属酸化物は、Irを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電流−スピン流変換素子。
【請求項3】
注入されるスピンを蓄積する非磁性体と、
前記非磁性体内にスピンを注入する注入手段と、
を有するスピン蓄積装置であって、
前記注入手段は、
前記非磁性体上に設けられた、請求項1または2に記載の電流−スピン流変換素子と、
前記電流−スピン流変換素子に、スピンホール効果によって前記非磁性体に向かうスピン流が生成されるように、電流を流す電源と、
を有する
ことを特徴とするスピン蓄積装置。
【請求項4】
注入されるスピンを蓄積する非磁性体と、
前記非磁性体内にスピンを注入する注入手段と、
前記非磁性体内に蓄積されたスピンの量を検出する検出手段と、
を有するスピン蓄積量検出装置であって、
前記検出手段は、
前記非磁性体上に設けられた、請求項1または2に記載の電流−スピン流変換素子と、
前記スピンの量として、電流−スピン流変換素子の逆スピンホール効果によって生じた電流を検出する検出器と、
を有する
ことを特徴とするスピン蓄積量検出装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電流−スピン流変換素子と、
前記電流−スピン流変換素子上に設けられた磁性体と、
前記電流−スピン流変換素子に、スピンホール効果によって前記磁性体に向かうスピン流が生成されるように、電流を流す電源と、
を有することを特徴とする高周波スピン波生成装置。
【請求項6】
磁性体と、
前記磁性体にスピン波を生成するためのエネルギーを供給する供給手段と、
前記磁性体内で生成されたスピン波を検出する検出手段と、
を有するスピン波検出装置であって、
前記検出手段は、
前記磁性体上に設けられた、請求項1または2に記載の電流−スピン流変換素子と、
前記スピン波として、電流−スピン流変換素子の逆スピンホール効果によって生じた電流を検出する検出器と、
を有する
ことを特徴とするスピン波検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−49403(P2012−49403A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191414(P2010−191414)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】