説明

電流・電圧検出用プリント基板及びそれを用いた電流・電圧検出器

【課題】 従来の電流検出に用いるカレントトランス、電圧検出に用いるコンデンサは、配線の形状等にばらつきが生じ易いために、複数の検出器を製作した場合に、個々の検出器の検出値にばらつきが生じやすい構造になっていた。また、電流と電圧の位相差の検出精度が低下する要因があった。
【解決手段】 本発明の電流・電圧検出用プリント基板は、基板を貫通する貫通穴401と、貫通穴401の周囲に形成されたコイル状の配線10(カレントトランス部に相当)を有する電流検出部と、貫通穴401の周囲に形成された略半リング状の配線30(コンデンサ部の電極に相当)を有する電流検出部と、を備えている。コイル状の配線10及び略半リング状の配線30は、スルーホール及びパターン配線によって形成されるので検出値のばらつきを低減させることができる。また、位相差の検出精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、交流電力の伝送経路として用いる電力伝送用導電体に流れる交流電流を検出する電流検出部と電力伝送用導電体に生じる交流電圧を検出する電圧検出部とを備えた電流・電圧検出用プリント基板、及びそれを用いた電流・電圧検出器に関するものであり、特には、交流電力として高周波電力を用いるものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、インピーダンス整合装置や高周波電源装置のように、交流電力の電流と電圧とを検出し、検出した電流と電圧とを用いて制御等を行うものがある。その一例として、インピーダンス整合装置について説明する。
【0003】
図30は、インピーダンス整合装置が用いられる高周波電力供給システムの一例のブロック図である。
【0004】
この高周波電力供給システムは、半導体ウエハや液晶基板等の被加工物に、例えばプラズマエッチング、プラズマCVDといった加工処理を行うためのシステムであり、高周波電源装置61、伝送線路62、インピーダンス整合装置63、負荷接続部64及び負荷65(プラズマ処理装置65)で構成されている。
【0005】
高周波電源装置61は、高周波電力を出力して、負荷となるプラズマ処理装置65に供給するための装置である。なお、高周波電源装置61から出力された高周波電力は、同軸ケーブルからなる伝送線路62及びインピーダンス整合装置63及び遮蔽された銅板からなる負荷接続部64を介してプラズマ処理装置65に供給される。また、一般にこの種の高周波電源装置61では、無線周波数帯域の周波数(例えば、数百kHz以上の周波数)を有する高周波電力を出力している。
【0006】
プラズマ処理装置65は、ウエハ、液晶基板等を加工(エッチング、CVD等)するための装置である。
【0007】
インピーダンス整合装置63は、内部に図示しない可変インピーダンス素子(例えば、可変コンデンサ、可変インダクタ等)等で構成された整合回路を備えていて、高周波電源装置61と負荷65との間がインピーダンス整合するように、整合回路内の可変インピーダンス素子のインピーダンスを変化させる制御機能を有する。
【0008】
このような制御を行うために、インピーダンス整合装置63の入力端63aから整合回路までの間に、高周波電源装置61から出力された高周波の電流を検出する電流検出器および高周波の電圧を検出する電圧検出器を設け、これらの検出器で検出した電流と電圧とを用いて、進行波電力や反射波電力等の情報を求めている。そして、求めた情報を用いて、インピーダンス整合するように可変インピーダンス素子のインピーダンスを制御している。
【0009】
図31は、インピーダンス整合装置63の入力端から整合回路67までの間に設けられる電流検出器80および電圧検出器90の概略の回路図である。図31に示すように、入力端63aから整合回路67までは、電力の伝送経路となる電力伝送用導電体66(例えば棒状の銅)が設けられている。そして、電力伝送用導電体66の途中に、電流検出器80と電圧検出器90とが設けられている。
【0010】
電流検出器80は、カレントトランス部81、カレントトランス部81の出力配線82,83、電流用変換回路84、および電流用変換回路84の出力配線85によって構成されている。この電流検出器80では、電力伝送用導電体66に流れる交流電流に応じた電流がカレントトランス部81に流れる。この電流は、出力配線82,83を介して電流用変換回路84に入力され、所定の電圧レベルに変換されて電流用変換回路84の出力配線85から出力されるようになっている。
【0011】
また、電圧検出器90は、コンデンサ部91、コンデンサ部91の出力配線92、電圧用変換回路93、および電圧用変換回路93の出力配線94によって構成されている。この電圧検出器90では、電力伝送用導電体66に生じる交流電圧に応じた電圧がコンデンサ部91に生じる。この電圧は、出力配線92を介して電圧用変換回路93に入力され、所定の電圧レベルに変換されて電圧用変換回路93の出力配線94から出力されるようになっている。
【0012】
そして、電流検出器80および電圧検出器90によって検出した電流と電圧とを用いて、上述したように、進行波電力や反射波電力等の情報を求めている。このような電流検出器80と電圧検出器90は、図32、図33に示すような構造になっていた。
【0013】
図32は、電流検出器80および電圧検出器90の概略の外観図である。
【0014】
図33は、図32に示した電流検出器80および電圧検出器90の構成説明図である。図33において、同図(a)は、図32の筐体(点線で図示)を透過させた筐体内部図であり、同図(b)は、カレントトランス部81周辺を同図(a)の横側から見た図であり、同図(c)は、コンデンサ部91周辺を同図(a)の横側から見た図である。
【0015】
ただし、図32、図33において、電力伝送用導電体66および電力伝送用導電体66を覆う絶縁体69は、説明のために図示しただけであり、電流検出器80および電圧検出器90には含まれない。また、図32、図33では、便宜上、図31に示した構成要素に相当する部位には、同符号を付けている。
【0016】
以下、図32、図33を参照して、電流検出器80と電圧検出器90について説明する。
【0017】
図32、図33において、電力伝送用導電体66は、例えば、円筒形状の銅製の棒であり、電力伝送用導電体66の外周は、中空の絶縁体69で覆われている。そして、これらが筐体71を貫通している。また、筐体71内に電流検出器80を構成するカレントトランス部81および電圧検出器90を構成するコンデンサ部91が収容されている。
【0018】
カレントトランス部81は、リング状の磁性体コア(例えば、フェライトを用いたトロイダルコア)に被覆された銅線等を巻きつけてコイル状の配線を形成したものである。そして、電力伝送用導電体66が磁性体コアの内側を通過するように、カレントトランス部81を配置することによって、電力伝送用導電体66に流れる電流に応じた電流が、カレントトランス部81のコイル状の配線に流れる構造になっている。
【0019】
カレントトランス部81に流れる電流は、コイル状の配線の両端部に接続された出力配線82,83を介して電流用変換回路84に入力される。そして、電流用変換回路84では、入力された電流を所定の電圧レベルに変換して出力するようになっている。
【0020】
また、コンデンサ部91は、絶縁体69の周囲にリング状の導体91b(例えば、銅のリング)を設けたものである。このリング状の導体91bは、電力伝送用導電体66と対向する部分91aと対となってコンデンサの電極として機能するために、コンデンサ部91には、電力伝送用導電体66に生じている電圧に応じた電圧が生じる。そして、コンデンサ部91に生じた電圧が、リング状の導体91bに接続された出力配線92を介して電圧用変換回路93に入力される。そして、電圧用変換回路93では、入力された電圧を所定の電圧レベルに変換して出力するようになっている。
【0021】
なお、図32、図33では、電流用変換回路84の出力配線85および電圧用変換回路93の出力配線94の図示を省略している。また、電磁波等の影響から電流用変換回路84および電圧用変換回路93を保護するために、電流用変換回路84および電圧用変換回路93を覆うように、共通の導体製の蓋72が設けられている。しかし、図32では、電流用変換回路84および電圧用変換回路93を図示するために、あえて蓋72を取り外した状態を図示している。また、図33では、蓋72の図示を省略している。
【0022】
図32、図33で説明したように、電流検出器80および電圧検出器90は、図31で示した回路図の構成だけでなく、カレントトランス部81、コンデンサ部91等を覆う筐体をさらに備えている。そして、従来の電流検出器80および電圧検出器90では、筐体が共通となっている。
【0023】
また、上述したような電流検出器80、電圧検出器90は、高周波電源装置61等、他の装置にも使用することができる。例えば、高周波電源装置の場合は、高周波電源装置61の出力端に設け、出力する進行波電力が設定値になるように制御するために必要な電流と電圧とを検出するために使用される。
【0024】
また、インピーダンス整合装置の出力端63bまたは負荷65の入力端における電流、電圧を検出して、検出した電流や電圧を制御や解析等に使用することもある。
【0025】
図34は、電流検出器80、電圧検出器90をインピーダンス整合装置内の整合回路と出力端との間に設ける場合の回路図である。
この図34に示すように、電流検出器80、電圧検出器90をインピーダンス整合装置内の整合回路67と出力端63bとの間の電力伝送用導電体68の途中に設けて、インピーダンス整合装置の出力端63bにおける電流、電圧を検出することもある。
【0026】
この図34では、図31に示した回路図と同じものには同符号を付けている。ただし、インピーダンス整合装置の入力端63aと出力端63bとでは、電流、電圧に違いがあるので、電流検出器80、電圧検出器90は、耐電流、耐電圧の観点から、構造上の相違がある。しかし、この図34では、それらの違いを考慮せずに同符号としている。例えば、通常、インピーダンス整合装置の入力端63aよりも出力端63bの方が、高電流、高電圧になる。そのために、インピーダンス整合装置の出力端63bに電流検出器80、電圧検出器90を設ける場合は、インピーダンス整合装置の入力端63aに設ける場合よりも、電力伝送用導電体68を太い径の導電体にしたり、電力伝送用導電体68の外周を覆う絶縁体69の肉厚を厚くして、絶縁距離を長くする必要がある。しかし、図34に示した回路図では、便宜上、これらの違いを考慮していない。
【0027】
また、図34のように、インピーダンス整合装置に使用する場合は、インピーダンス整合装置の入力側に、インピーダンス整合させるために必要な電流および電圧の情報を検出するための検出器が別途必要であるが、図示を省略している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2003−302431号公報
【特許文献2】特開2004−85446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
電流検出器80を構成するカレントトランス部81が、磁性体コアに配線を巻き付けて作られているため、巻線間隔や巻き付け強さにばらつきが生じ易い。そのために、複数の電流検出器80を製作した場合に、個々の電流検出器80の検出値にばらつきが生じ易い。
【0030】
また、カレントトランス部81の出力配線82,83の形状もばらつきが生じやすいので、電流の検出値にばらつきが生じる一因となっている。
【0031】
また、電圧検出器90を構成するリング状の導体91bの内径は、電力伝送用導電体66の外周を覆う絶縁体69の外径と略同じであり、リング状の導体91bを絶縁体69に嵌め込むようにして取り付けてられている。すなわち、絶縁体69によって位置決めされている。しかし、経年変化等で、絶縁体69の肉厚が薄くなる場合がある。この場合、リング状の導体91bの位置が不安定になるとともに、電力伝送用導電体66と絶縁体69との間に隙間ができる。このような状態で、電力伝送用導電体66に外力が作用すると、電力伝送用導電体66とリング状の導体91bとの位置関係が変化するために、電圧の検出値が初期時(検出器の調整時)と比べて変化してしまう。しかも、リング状の導体91bの位置が不安定であるので、複数の電圧検出器90を製作した場合に、個々の電圧検出器90の検出値にばらつきが生じ易くもなる。
【0032】
さらに、リング状の導体91bに接続された出力配線92の形状もばらつきが生じやすいので、電圧の検出値にばらつきが生じる一因となっている。
【0033】
すなわち、電流検出器80、電圧検出器90とも、複数の検出器を製作した場合に、個々の検出器の検出値にばらつきが生じやすい構造になっていた。
【0034】
また、電流検出器80を構成するカレントトランス部81は、コアに配線を巻き付けているため、自己インダクタンスと線間容量による自己共振周波数が存在する。ところが、コアに用いている磁性体の比透磁率が大きいために、自己共振周波数が低くなる。そのために、検出可能な周波数帯域の上限が低くなる。すなわち、検出可能な周波数帯域が制限されてしまうという課題もある。
【0035】
また、電流検出器80、電圧検出器90の位置は、電力伝送用導電体66の軸方向に対して、少しではあるが位置が離れているために、異なる地点の電流と電圧とを検出していた。そのために、電流と電圧の位相差の検出精度が低下する要因があった。
【0036】
本発明は、上記事情のもとで考え出されたものであって、複数の検出器を製作した場合でも、個々の検出器の電流の検出値および電圧の検出値のばらつきを低減させることができるカレントトランス部、コンデンサ部を提供する。また、位相差の検出精度の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0037】
第1の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
基板を貫通する貫通穴と、
前記貫通穴の周囲にスルーホール及びパターン配線によって形成されたコイル状の第1配線と、前記第1配線の両端部に接続される第2配線とを有し、交流電流が流れると共に交流電圧が生じる電力伝送用導電体が前記貫通穴の内側を通るように配置された場合に、電磁誘導によって前記第1配線に流れる電流を前記第2配線から出力する機能を有する電流検出部と、
前記貫通穴の周囲にスルーホール及びパターン配線によって形成された第3配線と、前記第3配線の一部に接続される第4配線とを有し、前記電力伝送用導電体が前記貫通穴の内側を通るように配置された場合に、前記第3配線が、前記電力伝送用導電体の内、前記第3配線と対向する箇所と対となるコンデンサの電極として機能し、前記第3配線に生じる電圧を前記第4配線から出力する機能を有する電圧検出部と、
を備えたものである。
【0038】
第2の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、前記第3配線に関するものであり、前記第3配線は、前記貫通穴の周囲に基板を貫通するスルーホールを複数設け、かつ基板の表面層および裏面層に前記スルーホール部を繋げるようにパターン配線を設けたものである。
【0039】
第3の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、前記第3配線に関するものであり、前記第3配線は、前記貫通穴の周囲に基板の最上層と最下層との間を貫通するスルーホールを複数設け、かつ基板の最上層と最下層との間の少なくとも1つの層に前記スルーホール部を繋げるようにパターン配線を設けたものである。
【0040】
第4の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、前記第3配線に関するものであり、前記第3配線は、前記貫通穴の周囲に基板の一部分の層間を貫通するスルーホールを複数設け、かつ貫通した部分の最上層から最下層の内の少なくとも1つの層に前記スルーホール部を繋げるようにパターン配線を設けたものである。
【0041】
第5の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、前記第1配線と前記第3配線とが、前記貫通穴の径方向に重ならないように形成されている。
【0042】
第6の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、前記第2配線及び前記第4配線に関するものであり、前記第2配線及び前記第4配線は、パターン配線によって形成されるか、パターン配線及びスルーホールによって形成されている。
【0043】
第7の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、前記交流電流及び前記交流電圧に関するものであり、前記交流電流及び前記交流電圧が、無線周波数帯域の周波数を有する。
【0044】
第8の発明によって提供される電流・電圧検出器は、
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電流・電圧検出用プリント基板と、
前記電流・電圧検出用プリント基板を内部に固定するとともに、前記第1配線に作用する磁束を通過させるための開口部及び前記第3配線と前記電力伝送用導電体との間を遮蔽させないための開口部を有する導電体製の筐体と、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0045】
第1の発明によれば、プリント基板にコイル状の配線を形成しているので、プリント基板にカレントトランスの機能を持たせることができる。
【0046】
また、スルーホール及びパターン配線によってコイル状の配線を形成するので、従来のように、巻線間隔や巻付け強さのばらつきによって自己共振周波数やカレントトランスの結合度が変化することが殆どない。そのために、複数のプリント基板を製作した場合に、個々のプリント基板に起因する電流検出値のばらつきを低減させることできる。
【0047】
また、基板に設けられた切欠部の周囲に形成された配線が、コンデンサの電極として機能するために、プリント基板に電圧検出機能を持たすことができる。
【0048】
また、スルーホール及びパターン配線によって、コンデンサの電極として機能する配線をプリント基板に形成できるので、複数のプリント基板を製作した場合に、個々のプリント基板に起因する電圧検出値のばらつきを低減させることできる。
また、パターン配線だけではなく、スルーホールを活用したところにこの配線の特徴がある。すなわちパターン配線だけでは、コンデンサの電極として機能させるための厚みを配線に持たせられない。そのため、スルーホールを用いることによって、配線の厚みを、厚くすることができる。
【0049】
また、1つのプリント基板に電流検出機能と電圧検出機能とを持たせることができる。そのため、第5の発明のようにすれば、電力伝送用導電体の軸方向に対して、略同一地点における電流と電圧とを検出することができるので、位相差の検出精度を向上させることができる。
【0050】
第6の発明によれば、第2配線および第4配線をパターン配線(スルーホールを含む場合もある)によって形成できるために、配線の形状のばらつき等に起因する検出値のばらつきを低減させることができる。また、組み立て工数も低減させることができる。
【0051】
第7の発明のように、無線周波数帯域の周波数を有する交流電流であると、巻線間隔や巻付け強さのばらつきが、電流の検出値に大きく影響を及ぼす。しかし、本発明のように、電流検出用プリント基板を構成することによって、たとえ、無線周波数帯域の周波数を有する交流電流であっても、その影響を最小限に止めることができる。
【0052】
また、第7の発明のように、無線周波数帯域の周波数を有する交流電圧であると、構造上のばらつきが、電圧の検出値に大きく影響を及ぼす。しかし、本発明のように、電圧検出部を構成することによって、たとえ、無線周波数帯域の周波数を有する交流電圧であっても、その影響を最小限に止めることができる。
【0053】
第8の発明によれば、電流・電圧検出用プリント基板の電流検出部に必要な開口部および電流・電圧検出用プリント基板の電圧検出部に必要な開口部を除いてプリント基板を遮蔽することによって、プリント基板への電磁波の影響を可能な限り低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、電流検出用プリント基板1の一例を示す図である。
【図2】図2は、交流電流が流れる電力伝送用導電体66および電力伝送用導電体66を覆う絶縁体69が、電流検出用プリント基板1に設けられた切欠部101に隣接するように配置された場合を示す図である。
【図3】図3は、電流検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
【図4】図4は、コイル状の配線10の他の例を示す図である。
【図5】図5は、電流検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
【図6】図6は、図5に示した電流検出用プリント基板1の結線図である。
【図7】図7は、電流検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
【図8】図8は、第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2の配置例を示す図である。
【図9】図9は、電圧検出用プリント基板2の一例を示す図である。
【図10】図10は、電圧検出用プリント基板2の他の一例を示す図である。
【図11】図11は、略半リング状の配線30の他の一例である。
【図12】図12は、電流・電圧検出器3の概略の外観図である。
【図13】図13は、図12に示した電流・電圧検出器3の概略構成図である。
【図14】図14は、筐体本体300の図である。
【図15】図15は、筐体本体300を立体的に図示した図である。
【図16】図16は、電流検出部用蓋301および電圧検出部用蓋302を取り付けない状態で、電圧検出用プリント基板2および電流検出用プリント基板1を筐体本体300に取り付けたときの図である。
【図17】図17は、筐体3に電力伝送用導電体66および電力伝送用導電体66を覆う絶縁体69を貫通させた場合の断面図である。
【図18】図18は、第2遮蔽部314の応用例の一例である。
【図19】図19は、電流・電圧検出器3を取り付ける際の説明図である。
【図20】図20は、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2および筐体の変形例である。
【図21】図21は、電流検出用プリント基板1と電圧検出用プリント基板2とを別の筐体に収容するようにして、それぞれ独立した電流検出器310および電圧検出器320にした一例を示す図である。
【図22】図22は、電流検出器310および電圧検出器320を独立させた場合の応用例を示す図である。
【図23】図23は、入力側に近い方に電圧検出器320を配置し、その後段に電流検出器310を配置した場合の図である。
【図24】図24は、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2の応用例を示す図である。
【図25】図25は、電流検出器310および電圧検出器320を、それぞれの筐体に設けられた略半円柱形の凹部304が対向するように配置した状態を示した図である。
【図26】図26は、1つの筐体内に電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2を設けた場合の筐体断面図である。
【図27】図27は、1つのプリント基板上に電流検出機能と電圧検出機能とを有する電流・電圧検出用プリント基板4を示す図である。
【図28】図28は、絶縁体69の固定方法を示す図である。
【図29】図29は、電力伝送用導電体66および絶縁体69を、電流・電圧検出器3の一部とした場合の図である。
【図30】図30は、インピーダンス整合装置が用いられる高周波電力供給システムの一例のブロック図である。
【図31】図31は、インピーダンス整合装置63の入力端から整合回路67までの間に設けられる電流検出器80および電圧検出器90の概略の回路図である。
【図32】図32は、電流検出器80および電圧検出器90の概略の外観図である。
【図33】図33は、図32に示した電流検出器80および電圧検出器90の構成説明図である。
【図34】図34は、電流検出器80、電圧検出器90をインピーダンス整合装置内の整合回路と出力端との間に設ける場合の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の詳細を図面を参照して説明する。
【0056】
(1)電流検出用プリント基板:
図1は、電流検出用プリント基板1の一例を示す図である。
図1において、同図(a)は、電流検出用プリント基板1の平面図(基板の上から見た図)であり、同図(b)は、同図(a)の一部(点線で囲んだA部分)を拡大した概略図(切欠部101の方向から見た図)であり、同図(c)は、同図(b)の図示を簡略化するために、直線的に展開した図であり、同図(d)は、同図(c)を側面から見た場合の電流検出用プリント基板1の配線を図示したものである。なお、同図(d)に図示した配線は、説明のために、通常は見えない部分を透過させて図示している。
【0057】
図1(a)〜(d)に示すように、電流検出用プリント基板1は、基板に略半円形の切欠部101が設けられており、この切欠部の周囲にコイル状に形成された配線10(以下、コイル状の配線10という)が設けられている。このコイル状の配線10は、基板を貫通しながら、基板の表面121と裏面122とを交互に接続することによって両端部10a,10bを有するコイル状に形成されたものである。この配線の内、基板を貫通する部分は、スルーホール(Through Hole)11によって形成され、基板の表面および裏面の配線は、パターン配線12,13によって形成されている。
【0058】
なお、図1(b)〜(c)において、点線で示した部分は、基板の裏面のパターン配線を示すが、透過したものであるため、点線で示している。また、コイル状の配線10の両端部10a,10bには、出力配線21,22が接続されている。この出力配線が出力端子23,24に接続されている。
【0059】
また、この例の場合は、両面構造の基板(以下、両面基板という)であるために、1つの絶縁体部110の表面層および裏面層にパターン配線が形成されることになる。
【0060】
なお、コイル状の配線10は、本発明のコイル状の第1配線の一例であり、出力配線21,22は、本発明の第2配線の一例である。
【0061】
図2は、交流電流が流れる電力伝送用導電体66および電力伝送用導電体66を覆う絶縁体69が、電流検出用プリント基板1に設けられた切欠部101に隣接するように配置された場合を示す図である。なお、図面の簡略化のために、配線の図示は省略している。また、本実施例および以降の実施例では、電流検出用プリント基板、後述する電圧検出用プリント基板等が、インピーダンス整合装置63の入力端から整合回路67までの間に設けられた場合を例にして説明をする。
【0062】
図1に示したような電流検出用プリント基板1にすると、交流電流が流れる電力伝送用導電体66が、図2に示すように、切欠部101に隣接するように配置された場合に、電磁誘導によって、コイル状の配線10に電流が流れる。すなわち、プリント基板にカレントトランス機能を持たすことができる。換言すれば、電流検出用プリント基板1に、カレントトランスを形成することができる。
【0063】
なお、本明細書では、電力伝送用導電体66の周囲に絶縁体69がある状態であっても、図2に示すように電力伝送用導電体66および絶縁体69が配置されている場合は、電力伝送用導電体66が、切欠部101に隣接しているとみなす。また、後述する電圧検出用プリント基板2でも同様である。
【0064】
したがって、コイル状の配線10の部分は、図31に示した回路図のカレントトランス部81に相当する。
【0065】
このようにすると、コイル状の配線10の部分が、スルーホール及びパターン配線によって形成されるために、形状や位置のばらつきが殆どない。したがって、巻線間隔や巻き付け強さにばらつきが殆どないので、複数の電流検出用プリント基板1を製作した場合に、個々の電流検出用プリント基板1に起因する電流検出値のばらつきを低減させることができる。
【0066】
なお、後述するように、図31に示した電流用変換回路84に相当する電流用変換回路51を、図1の電流検出用プリント基板1上に構成してもよい。この場合、図1に示した出力端子23,24は不要となって、コイル状の配線10の出力配線21,22が、直接、電流用変換回路51に接続される。
【0067】
また、基板の絶縁体部110は、例えば、ガラスエポキシで作られる。このような、基板の絶縁体部110の比透磁率は、磁性体よりも小さい。そのために、従来のように、コアとして用いる磁性体に配線を巻き付けてカレントトランスを構成するよりも、自己共振周波数が高くすることができる。したがって、検出可能な周波数帯域の上限が従来よりも高くなるという効果もある。
【0068】
図3は、電流検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
図3において、同図(a)は、電流検出用プリント基板1の平面図であり、同図(b)は、同図(a)の一部(点線で囲んだB部分)を拡大した概略図(切欠部101の方向から見た図)であり、同図(c)は、同図(b)の図示を簡略化するために、直線的に展開した図であり、同図(d)は、同図(c)を側面から見た場合の電流検出用プリント基板1の配線を図示したものであり、同図(e)は、電流検出用プリント基板1の配線を、出力配線21等の部分を中心に、側面から図示したものである。なお、図3に図示した配線は、説明のために、通常は見えない部分を透過させて図示している。また、便宜上、電流検出用プリント基板1、スルーホール11、パターン配線12,13等は、図1と同符号を用いている。
【0069】
図3に示す電流検出用プリント基板1は、基本的には、図1に示した電流検出用プリント基板1と同様であるが、基板が多層構造になっていて、コイル状の配線10が内部の層間に形成されている。
【0070】
なお、本明細書では、多層構造の基板(以下、多層基板という)を構成する絶縁体部を、図面の上部から見て順に、第1絶縁体部、第2絶縁体部、第3絶縁体部、・・・という具合に呼ぶ。また、基板の各絶縁体部の間に形成される導体層を、図面の上部から見て順に、第1導体層、第2導体層、第3導体層、・・・という具合に呼ぶ。また、基板の表面に形成される導体層を表面層、基板の裏面に形成される導体層を裏面層と呼ぶ。
【0071】
なお、両面基板も表面層および裏面層の2つの層があるので、多層基板と言えるが、絶縁体部が1つしかないので、基板の各絶縁体部の間に形成される導体層がない形態である。
【0072】
図3の例では、基板の絶縁体部が、第1絶縁体部111、第2絶縁体部112、および第3絶縁体部113の3つの絶縁体部で構成されているために、第1絶縁体部111と第2絶縁体部112との間に第1導体層131が形成され、第2絶縁体部112と第3絶縁体部113との間に第2導体層132が形成されている。また、基板の表面121(第1絶縁体部の上の面)には表面層が形成可能である。また、基板の裏面122(第3絶縁体部の下の面)には裏面層が形成可能であるが、図3の例では、基板の裏面層を設けていない。
【0073】
そのために、図3の場合、コイル状の配線10は、第1導体層131と第2導体層132との層間に形成されていることになる。したがって、コイル状の配線10が、基板の外側からは見ることができない構造にすることもできる。また、このような場合も、コイル状の配線10の部分は、図31に示した回路図のカレントトランス部81に相当する。
【0074】
また、図3(e)に示すように、コイル状の配線10の出力配線21は、第1導体層131に形成されたコイル状の配線10の一端10aに接続されたパターン配線21aと、スルーホール21bと、基板の表面に形成されたパターン配線21cによって形成されて、出力端子23に接続される。コイル状の配線10の出力配線22については、同様であるために説明を省略する。
【0075】
なお、後述するように、図31に示した電流用変換回路84に相当する電流用変換回路51を、図3の電流検出用プリント基板1上に構成してもよい。この場合、図3に示した出力端子23,24は不要となって、コイル状の配線10の出力配線21,22が、直接、電流用変換回路51に接続される。また、図3(a)に示す出力配線21の長さと、図3(e)に示す出力配線21の長さとが異なるが、これは、図面を簡略化するために、このように図示したためである。
【0076】
図4は、コイル状の配線10の他の例を示す図である。例えば、図4(a)に示すように、コイル状の配線10が、基板の表面層と第2導体層132との層間に形成されていてもよい。なお、図4(a)の場合は、基板の裏面122に裏面層が設けられていないため、コイル状の配線10が、基板の最上層である表面層と最下層である第2導体層132とを交互に接続することによって形成されていることになる。
また、図4(b)に示すように、コイル状の配線10が、基板の表面層と裏面層との層間に形成されていてもよい。なお、図4(b)の場合は、図1と同様に、コイル状の配線10が、基板の最上層である表面層と最下層である裏面層とを交互に接続することによって形成されていることになる。
【0077】
また、一般的に、スルーホールとは、基板の層間に貫通穴を開け、その内側に導体層(例えば銅)を設けることによって、基板の層間の導通をさせるものである。なお、基板の層間とは、基板の表裏間にある全ての層間の場合もあるし、一部分の層間の場合もある。
【0078】
このようなスルーホールは、リード線を挿入するタイプのものもあるが、層間の導通のみを目的としたスルーホールは、特にバイアホール(Via Hole)と呼ばれる。そして、バイアホールには、基板の表面から裏面に亘って貫通穴を開ける貫通型のバイアホール(Via Hole)と、特定の層間だけで貫通穴を開けるインターステシャルバイアホール(Interstitial Via Hole)とがある。また、インターステシャルバイアホールには、図4(a)のように、基板の片面から穴が見えるブラインドバイア(Blind Via)と、図3のように、基板の両面から穴が見えないベリードバイア(Buried Via)とがある。
【0079】
また、図3、図4に示した例は、所謂、4層基板(表面層と裏面層の層を含めて導体層が4つ形成可能)であるが、これに限定されることはなく、例えば、3層基板、6層基板、8層基板等の多層基板であってもよい。
【0080】
図5は、電流検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。この図5に示す電流検出用プリント基板1は、図1と異なり、2つのコイル状の配線10が、1つの電流検出用プリント基板1に備わっているところに特徴がある。具体的には、第1のコイル状の配線10−1と、第1のコイル状の配線10−1よりも切欠部101に近い位置にある第2のコイル状の配線10−2とが、電流検出用プリント基板1に備わっている。また、これらの第1のコイル状の配線10−1および第2のコイル状の配線10−2は、図1(b)〜(d)で示したものと同様に、スルーホール(Through Hole)およびパターン配線によって形成されている。そのために、ここでは、その説明を省略する。また、もちろん、図3に示したような多層基板に適用することもできるが、ここでは、説明を省略する。
【0081】
上述したように、図5に示した電流検出用プリント基板1では、2つのコイル状の配線10が備わっているので、1つの電流検出用プリント基板1に、複数種類のカレントトランスを形成することが可能となる。この様子を図6を参照して説明する。
【0082】
図6は、図5に示した電流検出用プリント基板1の結線図である。
図5に図示したように、第1のコイル状の配線10−1の両端部10−1a,10−1bには、出力配線21−1,22−1を介して、出力端子23−1,24−1が接続されている。また、第2のコイル状の配線10−2の両端部10−2a,10−2bには、出力配線21−2,22−2を介して、出力端子23−2,24−2が接続されている。この場合、図6に示すように結線することによって、1つの電流検出用プリント基板1に、複数種類のカレントトランスを形成することが可能となる。なお、図6において、「×」は、他と接続しないという意味である。
【0083】
具体的には、図6(a)に示すように結線した場合、電流検出用プリント基板1には、第1のコイル状の配線10−1を用いたカレントトランスが形成される。
また、図6(b)に示すように結線した場合、電流検出用プリント基板1には、第2のコイル状の配線10−2を用いたカレントトランスが形成される。
また、図6(c)に示すように、出力端子23−2と出力端子24−1とを接続すると、第1のコイル状の配線10−1と第2のコイル状の配線10−2とが直列接続した場合のカレントトランスが形成される。したがって、この場合は、図6(a)、図6(b)に示した場合よりもインダクタンスの大きいカレントトランスを形成することができる。
また、図6(d)に示すように、出力端子23−1と出力端子23−2とを接続し、出力端子24−1と出力端子24−2とを接続すると、第1のコイル状の配線10−1と第2のコイル状の配線10−2とを並列接続した場合のカレントトランスを形成することができる。
【0084】
なお、図6(a)に示すように結線する場合は、出力配線21−2,22−2が不要である。また、図6(b)に示すように結線する場合は、出力配線21−1,22−1が不要である。そのために、不要な出力配線および出力端子は、設けないようにしてもよい。
【0085】
図7は、電流検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。この図7に示す電流検出用プリント基板1は、図5と同様に、第1のコイル状の配線10−1と第2のコイル状の配線10−2とが、1つの電流検出用プリント基板1に備わっているが、図5と異なり、第1のコイル状の配線10−1と第2のコイル状の配線10−2とが、あたかも2重螺旋構造のように配置されているところに特徴がある。また、この図7の場合でも、図5と同様に、1つの電流検出用プリント基板1に、複数種類のカレントトランスを形成することが可能となる。なお、図5及び図7では、配線の区別をし易くするために、出力端子の位置をずらして図示しているが、これに限定されるものではなく、他の位置関係にしてもよい。
【0086】
また、図7に示すように、2重螺旋構造のように第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2を配置することができるが、この図7に示す例以外にも、多くの配置例が考えられる。
【0087】
図8は、第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2の配置例を示す図である。この図8は、第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2の断面を概略的に示すものであって、様々な配置例があることを示している。なお、第1のコイル状の配線10−1と第2のコイル状の配線10−2とは、紙面で見て奥行き方向に対してずれているが、説明の都合上、通常は見えない部分を透過させて図示しているので、重なっているように見えている。
【0088】
例えば、図8(a)は、同一の導体層に第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2を形成しているが、第1のコイル状の配線10−1の方が第2のコイル状の配線10−2よりも、パターン配線が長い例である。もちろん、第1のコイル状の配線10−1の方よりも第2のコイル状の配線10−2のパターン配線を長くしてもよい。
図8(b)は、図8(a)と同様であるが、第1のコイル状の配線10−1と第2のコイル状の配線10−2とのパターン配線が同一長となっている例である。
図8(c)は、第1のコイル状の配線10−1よりも内側に第2のコイル状の配線10−2のスルーホールを形成し、且つ、第1のコイル状の配線10−1よりも内側の導体層に、第2のコイル状の配線10−2のパターン配線を形成した例である。
図8(d)は、第1のコイル状の配線10−1よりも内側に第2のコイル状の配線10−2のスルーホールを形成しているが、第1のコイル状の配線10−1よりも外側の導体層に、第2のコイル状の配線10−2のパターン配線を形成した例である。
図8(e)は、第1のコイル状の配線10−1よりも外側に第2のコイル状の配線10−2のスルーホールを形成しているが、第1のコイル状の配線10−1よりも内の導体層に、第2のコイル状の配線10−2のパターン配線を形成した例である。
【0089】
その他にも、様々な変形例が考えられるが、上記の例から容易に考えられるので、説明を省略する。なお、図8(a)及び(b)のように、第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2のパターン配線を同一の導体層に形成する場合は、両面基板を用いることができる。
【0090】
また、図8では、電流検出用プリント基板1の平面図で見たときに、第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2のスルーホール及びパターン配線がずれている例を示した。このようにすると、様々な配置例が可能となるが、図8(c)のように、第1のコイル状の配線10−1のスルーホールよりも内側に、第2のコイル状の配線10−2のスルーホールを形成し、且つ、第1のコイル状の配線10−1のパターン配線よりも内側に、第2のコイル状の配線10−2のパターン配線を形成すれば、平面図で見たときに、第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2のパターン配線が部分的に重なってもよい。もちろん、第1のコイル状の配線10−1及び第2のコイル状の配線10−2の関係を逆にすることも可能である。
【0091】
なお、図5、図7では、2つのコイル状の配線10が、1つの電流検出用プリント基板1に備わっている例を示したが、この数に限定されるものではなく、3つ以上のコイル状の配線10を、1つの電流検出用プリント基板1に備えるようにしてもよい。もちろん、そうなると、1つの電流検出用プリント基板1に形成されるコイル状の配線10の組み合わせも増やすことができる。また、後述するように、電流検出用プリント基板1上に電流用変換回路51を備える場合でも、同じ考え方を適用できる。この場合は、上記と同様に、コイル状の配線10の両端部付近で、配線の結線をしてもよいし、電流用変換回路51の内部で結線するようにしてもよい。すなわち、各配線の両端部または電気的に同一箇所において、他の配線の両端部または電気的に同一箇所と、電気的に接続可能である。
【0092】
次に、図5、図7に示したような、電流検出用プリント基板1に複数のコイル状の配線10が設けられている場合の効果を説明する。
【0093】
一般にコイル(インダクタともいう)には、周波数特性があり、使用する周波数によって特性が変化する。具体的には、周波数の低い領域では、電流の検出レベルが低い。そのために、周波数の高い領域で使用することになるが、周波数が高くなりすぎても共振してしまう。共振するときの周波数を共振周波数と言うが、共振周波数付近では、電流の検出レベルの変化が大きすぎて、電流の検出には不向きである。そのために、概略的には、検出可能な周波数帯域が限定される。すなわち、使用できる周波数には、下限と上限とが生じる。
【0094】
また、検出可能な周波数帯域は、コイルのインダクタンスが大きくなると、周波数が低くなる方に移行し、コイルのインダクタンスが小さくなると、周波数が高くなる方に移行する傾向がある。そのために、電力伝送用導電体66に流れる交流電流の周波数によって、コイル状の配線10のインダクタンスを適切な値に選定する必要がある。
【0095】
さて、前述した高周波電源装置61は、用途に応じて出力する高周波電力の周波数が異なる。例えば、用途に応じて、2MHz、13.56MHz等の周波数が用いられる。そのために、これらの周波数に応じて、コイル状の配線10のインダクタンスを選定する必要が生じるので、1つの電流検出用プリント基板1に、複数種類のカレントトランスを形成できるようにしておくと、利便性が高まる。例えば、2MHz用のカレントトランスと13.56MHz用のカレントトランスの両方を形成できるようにしておくと、それぞれの周波数に応じた電流検出用プリント基板1を用意する必要がないので、製品の種類を削減することができる。
【0096】
また、図1、図3に示した例のように、コイル状の配線10が、1重巻きの配線であると、巻数を多くするにも限度があるので、インダクタンスを大きくするにも限度がある。そこで、図6(c)のような直列接続にすれば、コイル状の配線10のインダクタンスを大きくできるので、検出可能な周波数帯域をより低くすることができる。
【0097】
(2)電圧検出用プリント基板:
図9は、電圧検出用プリント基板2の一例を示す図である。
図9において、同図(a)は、電圧検出用プリント基板2の平面図であり、同図(b)は、同図(a)の一部(点線で囲んだC部分)を拡大した概略図(切欠部201の方向から見た図)であり、同図(c)は、同図(b)の図示を簡略化するために、直線的に展開した図であり、同図(d)は、同図(c)を側面から見た場合の電流検出用プリント基板1の配線を図示したものである。なお、同図(d)に図示した配線は、説明のために、通常は見えない部分を透過させて図示している。
【0098】
図9(a)〜(d)に示すように、電圧検出用プリント基板2は、基板に略半円形の切欠部201が設けられており、その周囲に略半リング状の配線30が設けられている。この略半リング状の配線30は、切欠部201の周囲に沿って、基板を貫通するスルーホール31を複数設け、かつ基板の表面221および裏面222にスルーホール部を繋げるようにパターン配線32,33を設けることによって形成されたものである。そのために、基板の表面および裏面にあるパターン配線32,33の間にスルーホールが設けられているので、基板の厚みと略同じ厚みを有するように形成されて、あたかも、略半リング状の配線30となる。
【0099】
なお、図9(b)〜(c)では、基板の表面および裏面にあるパターン配線32、33が重なっている。また、略半リング状の配線30には、出力配線40が接続されている。
【0100】
図9に示したような電圧検出用プリント基板2にすると、交流電圧が生じている電力伝送用導電体66が、切欠部201に隣接するように配置された場合に、略半リング状の配線30が、前記電力伝送用導電体66の内、略半リング状の配線30と対向する箇所と対となるコンデンサの電極として機能する。すなわち、プリント基板にコンデンサの電極としての機能を持たすことができる。したがって、略半リング状の配線30の部分は、図31に示した回路図のコンデンサ部の電極91bに相当する。
【0101】
このようにすると、略半リング状の配線30の部分が、スルーホール31及びパターン配線32,33によって形成されるために、形状や位置のばらつきが殆どないので、複数の電圧検出用プリント基板2を製作した場合に、個々の電圧検出用プリント基板2に起因する電圧検出値のばらつきを低減させることできる。
【0102】
なお、後述するように、図31に示した電圧用変換回路93に相当する電圧用変換回路53を、図9の電圧検出用プリント基板2上に構成してもよい。この場合、図9に示した出力端子41は不要となって、略半リング状の配線30の出力配線40が、直接、電圧用変換回路53に接続される。
【0103】
なお、略半リング状の配線30は、本発明の第3配線の一例であり、出力配線40は、本発明の第4配線の一例である。
【0104】
図10は、電圧検出用プリント基板2の他の一例を示す図である。
図10において、同図(a)は、電圧検出用プリント基板2の平面図であり、同図(b)は、同図(a)の一部(点線で囲んだD部分)を拡大した概略図(切欠部201の方向から見た図)であり、同図(c)は、同図(b)の図示を簡略化するために、直線的に展開した図であり、同図(d)は、同図(c)を側面から見た場合の電圧検出用プリント基板2の配線を図示したものであり、同図(e)は、電圧検出用プリント基板2の配線を、出力配線40等の部分を中心に、側面から図示したものである。なお、図10に図示した配線は、説明のために、通常は見えない部分を透過させて図示している。また、便宜上、電圧検出用プリント基板2、スルーホール31、パターン配線32,33等は、図9と同符号を用いている。
【0105】
図10に示す電圧検出用プリント基板2は、基本的には、図9に示した電圧検出用プリント基板2と同様であるが、基板が多層構造になっていて、略半リング状の配線30が内部の層間に形成されている。これについては、図3と同様であるので、説明は省略する。
【0106】
そのために、図10の場合、略半リング状の配線30は、第1導体層231と第2導体層232との層間に形成されていることになる。したがって、略半リング状の配線30が、基板の外側からは見ることができない構造にすることもできる。また、このような場合も、略半リング状の配線30の部分は、図31に示した回路図のコンデンサ部の電極91bに相当する。
【0107】
また、略半リング状の配線30の出力配線40は、例えば、図10(e)に示すように、第1導体層231に形成されたコイル状の配線10の一端10aに接続されたパターン配線40aと、スルーホール40bと、基板の表面に形成されたパターン配線40cとによって形成されて、出力端子41に接続される。
【0108】
なお、これまで説明した例とは異なり、図11のように略半リング状の配線30を形成してもよい。
【0109】
図11は、略半リング状の配線30の他の一例である。
図11(a)は、スルーホール31が貫通した部分の最上層から最下層の間に、スルーホール部を繋げるようための別のパターン配線を設けた例である。この例では、基板の上から順に、パターン配線34、パターン配線35、パターン配線36、およびパターン配線37の4つのパターン配線が設けられている。このように、3つ以上のパターン配線を設けてもよい。
また、図11(b)は、スルーホール31が貫通した部分の最上層から最下層の間の1層のみに、パターン配線38を設けた例である。このように、1つのパターン配線だけを設けてもよい。
したがって、スルーホールが貫通した部分の最上層から最下層の内の少なくとも1つの層に前記スルーホール部を繋げるようにパターン配線を設ければよい。また、この図11のような場合も、略半リング状の配線30の部分は、図31に示した回路図のコンデンサ部の電極91bに相当する。
【0110】
(3)電流・電圧検出器(その1):
図12は、電流・電圧検出器3の概略の外観図である。図12において、同図(a)は、電流・電圧検出器3を立体的に示した概略の外観図であり、同図(b)は、導電体製の筐体の側面から見た概略の外観図であり、同図(c)は、同図(b)の筐体を取り除いた場合の図である。
【0111】
この図12(a)に示すように、電流・電圧検出器3には、略半円柱形の凹部304が設けられていて、電力伝送用導電体66およびその周囲にある絶縁体69が、この略半円柱形の凹部304に隣接できる構造となっている。なお、電力伝送用導電体66およびその周囲にある絶縁体69は、電流・電圧検出器3の構成には含まれないが、説明に必要であるので図示している。また、絶縁体69は、電力伝送用導電体66と電流・電圧検出器3との絶縁を行うためのものである。そのために、絶縁体69の長さは、図示したよりも短くてよいが、図面の簡略化のために図12(a)のようにしている。これに関しては、他の図面も同様である(例えば図17)。
【0112】
また、図12(c)に示すように、筐体内に、電流検出用プリント基板1と電圧検出用プリント基板2とが収容された構造となっている。そのために、筐体に設けられた略半円柱形の凹部304に隣接する電力伝送用導電体66に流れる電流を電流検出用プリント基板1によって検出し、電力伝送用導電体66に生じている電圧を電圧検出用プリント基板2によって検出することが出来る構造になっている。
【0113】
すなわち、図12(b)に示した例で説明すると、電流・電圧検出器3の左側の部分が電流検出器310に相当し、右側の部分が、電圧検出器320に相当することになる。なお、筐体は、アルミニウム等の導電体で作られている。そして、この電流検出器310は、図31に示した電圧検出器80に相当し、電圧検出器320は、図31に示した電圧検出器90に相当する。
【0114】
図13は、図12に示した電流・電圧検出器3の概略構成図である。この図13において、同図(a)は、電流・電圧検出器3の概略の構成図であり、同図(b)は、同図(a)の構成要素を組み立てたときの概略図である。なお、この図13では、各構成要素の形状は概略を示すのみである。例えば、基板には略半円形の切欠部、筐体には略半円柱形の凹部304や磁束を通過させるための開口部が設けられているが、これらは図示していない。また、図13では、外側から見えない部分の概略を点線で示している。
【0115】
図13(a)に示すように、電流・電圧検出器3は、筐体本体300と、筐体本体300に固定される電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2、電流検出部用蓋301、および電圧検出部用蓋302によって構成されている。もちろん、それらを固定するための螺子やビス等の部品も含まれるが、これらの部品は構成要素の一部と見なすとともに、説明の簡略化のために図示を省略する。また、図13(a)に示した矢印で図示したように各構成部品を筐体本体300に固定すると、図13(b)に示したように、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2がそれぞれ筐体本体300の内部に固定されるとともに、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2をそれぞれ覆うように蓋がされる。
【0116】
すなわち、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2が筐体内に配置される点は従来と同様である。しかし、筐体本体300は、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2とで共通であるが、電流検出用プリント基板1が固定される側を表面とすると、電圧検出用プリント基板2が裏面に固定されるようになっているので、概略的には、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2とがそれぞれ独立した空間内に収容されることになる。したがって、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2との間での相互干渉がほとんどなく、検出精度が高まるという効果がある。
【0117】
次に、電流検出部用蓋301および電圧検出部用蓋302を除いた部分について、具体的に説明する。
図14は、筐体本体300の図である。図14において、同図(a)は、電流検出用プリント基板1が固定される側から見た図であり、同図(b)は、筐体本体300の側面の断面図であり、同図(c)は、電圧検出用プリント基板2が固定される側から見た図である。
【0118】
図15は、筐体本体300を立体的に図示した図であり、同図(a)は、電流検出用プリント基板1が固定される側から見た図であり、同図(b)は、電圧検出用プリント基板2が固定される側から見た図である。
【0119】
図16は、電流検出部用蓋301および電圧検出部用蓋302を取り付けない状態で、電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2を筐体本体300に取り付けたときの図である。また、図16において、同図(a)は、電流検出用プリント基板1側の図であり、同図(b)は、電圧検出用プリント基板2側の図である。
【0120】
図14〜図16に示したように、筐体本体300には、略半円柱形の凹部304および凹部311、312、321、322が設けられているので、電力伝送用導電体66および電力伝送用導電体66を覆う絶縁体69を略半円柱形の凹部304に隣接させるとともに、電流検出用プリント基板1と電圧検出用プリント基板2とを筐体内部に収容できるようになっている。なお、電流検出用プリント基板1は、凹部311、312が設けられている方に収容され、電圧検出用プリント基板2は、凹部321、322が設けられている方に収容される。
【0121】
また、凹部311の四隅に4つの基板固定部315を設けて、この部分に電流検出用プリント基板1を固定するようになっている。これは、電流検出用プリント基板1に設けるコイル状の配線が筐体に接触しないようにするために、凹部311の底面に対して、電流検出用プリント基板1を浮かせるためである。
【0122】
同様に、凹部321の底面に対して、電圧検出用プリント基板2を浮かせるために、凹部321の四隅に4つの基板固定部324を設けている。
【0123】
なお、例えば、図3のように電流検出用プリント基板1のコイル状の配線10が、基板の裏面層に形成されない場合は、凹部311の四隅に設けた基板固定部315を不要にでき、凹部311と凹部312との底面の高さを同一とすることができる。そのために、筐体本体300の構造を簡略化することが可能である。同様に、例えば、図10のように電圧検出用プリント基板2の略半リング状の配線30が、基板の裏面層に形成されない場合は、凹部321の四隅に設けた基板固定部324を不要にでき、凹部321と凹部322との底面の高さを同一とすることができる。そのために、筐体本体300の構造を簡略化することが可能である。
【0124】
また、筐体本体300の電流検出用プリント基板1側には、略半円柱形の凹部304の周囲に磁束を遮蔽する第1遮蔽部313が設けられている。
【0125】
次に、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2について、それぞれ説明する。
【0126】
(電流検出用プリント基板1の説明)
電流検出用プリント基板1のコイル状の配線10は、図1で説明した電流検出用プリント基板1と同様であるが、出力配線21,22がパターン配線のまま、電流用変換回路51に接続されている。この電流用変換回路51は、図31に示した電流用変換回路84に相当するものである。
【0127】
したがって、図1で説明した電流検出用プリント基板1と異なり、同一基板上にコイル状の配線10と電流用変換回路51とが備わっている。また、この電流用変換回路51に接続された出力配線52が、配線用の開口部316を通って筐体の外部に伸びている。なお、電流用変換回路51には、出力配線52を接続するための出力端子が備わっているものとする。また、出力配線52は、途中までをパターン配線としてもよいし、全てをパターン配線以外の配線にしてもよい。
【0128】
また、筐体本体には、電流検出用プリント基板1のコイル状の配線10と電流用変換回路51との間に相当する位置に第2遮蔽部314が設けられている。そのため、電流検出用プリント基板1は、この第2遮蔽部314に応じて、基板の途中で基板幅が狭くなった形状をしている。
【0129】
(電圧検出用プリント基板2の説明)
電圧検出用プリント基板2の略半リング状の配線30は、図9で説明した電圧検出用プリント基板2と同様であるが、出力配線40がパターン配線のまま、電圧用変換回路53に接続されている。この電圧用変換回路53は、図31に示した電圧用変換回路93に相当するものである。
【0130】
したがって、図1で説明した電圧検出用プリント基板2と異なり、同一基板上に略半リング状の配線30と電圧用変換回路53とが備わっている。また、この電圧用変換回路53に接続された出力配線54が、配線用の開口部325を通って筐体の外部に伸びている。なお、電圧用変換回路53には、出力配線54を接続するための出力端子が備わっているものとする。また、出力配線54は、途中までをパターン配線としてもよいし、全てをパターン配線以外の配線にしてもよい。
【0131】
また、筐体本体には、電圧検出用プリント基板2の略半リング状の配線30と電圧用変換回路53との間に相当する位置に第3遮蔽部323が設けられている。そのため、電圧検出用プリント基板2は、この第3遮蔽部323に応じて、基板の途中で基板幅が狭くなった形状をしている。
【0132】
(筐体の効果)
次に筐体の効果について説明する。
(i)電流検出用の開口部317の効果:
図17は、電流・電圧検出器3に設けられた略半円柱形の凹部304に電力伝送用導電体66および電力伝送用導電体66を覆う絶縁体69を隣接させた場合の断面図である。
このように配置することで、電力伝送用導電体66が、電流・電圧検出器3の内部にある電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2に隣接することになる。なお、この図17では、電流検出部用蓋301および電圧検出部用蓋302を取り付けた状態を示している。なお、図14等で示した基板固定部315,324の図示は省略している。また、電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2の一部の図示を省略している。
【0133】
電力伝送用導電体66に電流が流れると、導体の周りには磁束が発生する。この磁束が電流検出用プリント基板1に設けたコイル状の配線10に作用することによって、コイル状の配線10に電流が流れる。そして、このコイル状の配線10に流れる電流を検出することによって、電力伝送用導電体66に流れる電流が分かる仕組みとなっている。そのために、電力伝送用導電体66と電流検出用プリント基板1との間を導電体製の筐体によって遮蔽してしまうと、磁束が電流検出用プリント基板1に作用しないために、電流を検出できなくなる。したがって、筐体には、導体の周りに生じる磁束を筐体内に取り入れるための開口部317が設けられている。この開口部317は、第1遮蔽部313と電流検出部用蓋301との間の隙間によって形成される。
【0134】
(ii)第2遮蔽部314の効果:
電力伝送用導電体66に流れる交流電流によって電磁波が生じる。この電磁波は、回路特性に影響を与えるために、可能な限り、電流用変換回路51への電磁波の浸入を防止する必要がある。そのために、筐体に第2遮蔽部314を設けて、電磁遮蔽効果を持たせて、電流用変換回路51の回路特性を良好に保っている。
【0135】
なお、基板幅を狭めて第2遮蔽部314を設けているのは、基板の内部を通過する電磁波を遮蔽するためである。すなわち、基板幅を狭めずに、基板の上部を覆うように第2遮蔽部314を設けているだけでは、基板の部分を電磁波が通り抜けてしまい遮蔽効果が弱くなってしまうからである。
【0136】
図18は、第2遮蔽部314の応用例の一例である。
図14〜図16に示すように、筐体本体300の第2遮蔽部314だけではコイル状の配線10の出力配線21,22の部分に隙間が生じるため、電磁遮蔽が十分できない場合がある。その場合は、この図18(a)に示すように、電流検出部用蓋301に隙間を埋めるような遮蔽部317を設けてもよい。このようにすることによって、出力配線21,22の部分の隙間が殆ど無くなるので、電磁遮蔽効果が高まる。
【0137】
また、図18(b)に示すように、第2遮蔽部314の代わりに、電流検出部用蓋301に遮蔽部318を設けてもよい。
【0138】
なお、電圧検出用プリント基板2側の第3遮蔽部323に関しても、電流検出部用蓋301に設けた遮蔽部317又は遮蔽部318と同様のものを電圧検出部用蓋302に設けることによって、電磁遮蔽効果を高めることができる。これについては、図18と同様なので、説明を省略する。
【0139】
これまで説明したように、筐体本体300は電流検出側と電圧検出側とが一体形成されている。そのために、上述したように、それぞれが独立した空間内で電流検出および電圧検出を行え、その出力をそれぞれの変換回路で電圧レベル変換できるので、お互いの相互干渉が殆どなく、検出精度を向上させることができる。
【0140】
(iii)電流・電圧検出器3を取り付ける際の効果:
図19は、電流・電圧検出器3を取り付ける際の説明図である。この図19において、電力伝送用導電体66およびその周囲にある絶縁体69は、例えば、インピーダンス整合装置63内に取り付けられた状態になっているものとする。また、図面を簡略化するために、電力伝送用導電体66等の周辺にある他の構成部品の図示を省略している。
【0141】
さて、上記のように電力伝送用導電体66等が、筐体に設けられた略半円柱形の凹部304に隣接するように配置することができると、従来のように、電流・電圧検出器3と電力伝送用導電体66等とを同時に取り付ける必要がない。すなわち、図19(a)のように、既に電力伝送用導電体66等が装置内に取り付けられている場合でも、図19(b)のように、後から電流・電圧検出器3を取り付けることができる。また、図19(b)のように、電流・電圧検出器3が、電力伝送用導電体66等に取り付けられた状態から、図19(a)のように、電力伝送用導電体66等を取り外すことなく、電流・電圧検出器3を取り外すことができる。
【0142】
(電流・電圧検出器3の変形例)
図20は、電流・電圧検出器3の変形例である電流・電圧検出器3aを示すものである。ただし、電流検出部用蓋301aおよび電圧検出部用蓋302aは図示を省略している。この図20では、電流検出用プリント基板1が、図1で示したものであり、電圧検出用プリント基板2が、図9で示したものである場合を図示している。すなわち、電流検出用プリント基板1に電流用変換回路51が備わっておらず、電圧検出用プリント基板2に電圧用変換回路53が備わっていない。そして、電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2に合わせた形状の筐体本体300aを用いている。そのために、電流検出用プリント基板1の出力は、パターン配線ではない出力配線25,26によって筐体外部に出力される。また、電圧検出用プリント基板2の出力は、パターン配線ではない出力配線42によって筐体外部に出力される。なお、出力配線25,26は、別途設けられた電流用変換回路51に接続され、出力配線42は、別途設けられた電圧用変換回路53に接続される。
【0143】
(4)電流検出器、電圧検出器:
上記では電流検出器310と電圧検出器320とが、一体となっていたが、これに限定されるものではなく、電流検出器310と電圧検出器320とを別にしてもよい。なお、ここでは、便宜上、図12と同符号を用いている。
【0144】
図21は、電流検出用プリント基板1と電圧検出用プリント基板2とを別の筐体に収容するようにして、それぞれ独立した電流検出器310および電圧検出器320にした一例を示す図である。この図21に示すように、電流検出器310および電圧検出器320を独立させて、それを表裏重ね合わせると、上述した一体形成したものと同様の効果が得られる。なお、それぞれ独立した電流検出器310および電圧検出器320となるので、略半円柱形の凹部304は、2つに分かれることになるが、便宜上、それぞれの略半円柱形の凹部も同符号とする。
【0145】
図22は、電流検出器310および電圧検出器320を独立させた場合の応用例を示す図である。この図22に示すように、電流検出器310と電圧検出器320とを同方向に重ね合わせるのではなく、異なる方向に重ね合わせてもよい。なお、図22に示すように、それぞれの検出器に設けた略半円柱形の凹部304は同軸上に位置するようにした方が、電力伝送用導電体66を直線的なものにして、構造を簡略化できる。また、組み立て易くなる等の効果があるので望ましい。
【0146】
なお、これまでの説明では、インピーダンス整合装置の入力端63aに設ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、高周波電源装置61の出力端に用いても良いし、インピーダンス整合装置の出力端63bに設けても良い。なお、上述したように、インピーダンス整合装置の入力端63aと出力端63b(負荷65の入力端も同様)とでは、電流、電圧に違いがある。そのために、インピーダンス整合装置の出力端63bや負荷65の入力端に設ける場合、その違いを考慮して、電力伝送用導電体68を太い径の導電体にしたり、電力伝送用導電体68の外周を覆う絶縁体69の肉厚を厚くして、絶縁距離を長くすればよい。また、高周波電力供給システム以外の用途で使用してもよい。
【0147】
また、これまでの説明では、入力側に近い方に電流検出器310を配置し、その後段に電圧検出器320を配置するような構成で説明をしたが、図23に示すように、入力側に近い方に電圧検出器320を配置するような構成にしてもよい。
【0148】
また、これまでの説明では、電流検出器310と電圧検出器320の2つを合わせて用いる例を示したが、もちろん、電流検出器310のみ、または電圧検出器320のみで用いてもよい。
【0149】
(5)電流検出用プリント基板・電圧検出用プリント基板の応用例:
図24は、電流検出用プリント基板1、電圧検出用プリント基板2の応用例を示す図である。
この図24(a)に示すように、電流検出用プリント基板1の切欠部101と電圧検出用プリント基板2の切欠部201とが対向するように合わせて用いることができる。切欠部101と切欠部201とは、ともに略半円形であるので、2つの切欠部が略同一の大きさであれば、図24のように、合わせた部分が略円形となる。もちろん、図24(b)に示すように、電流検出用プリント基板1と電圧検出用プリント基板2との間に隙間を設けてもよい。
【0150】
このような場合、電力伝送用導電体66が、2つの切欠部を合わせた略円形の部分の中を通るようにすることで、上記の実施形態と同様に、電流検出と電圧検出を行うことができる。
【0151】
なお、電力伝送用導電体66が円柱形状(断面が円形)の場合、電流検出用プリント基板1と電圧検出用プリント基板2との間の隙間が大きくなると、配線と電力伝送用導電体66との間隔を一定にすることができないので、検出精度が低下するおそれがある。そのために、可能な限り隙間を少なくすることが望ましい。
【0152】
さらに、このような配置にすることで、電力伝送用導電体の軸方向に対して、略同一地点における電流と電圧とを検出することができるので、位相差の検出精度を向上させることができる。
【0153】
また、図24では、図1に示した電流検出用プリント基板1および図9に示した電圧検出用プリント基板2のように両面構造のプリント基板を用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、どちらか一方または両方を多層構造のプリント基板にしてもよい。また、電流用変換回路51や電圧用変換回路53を用いる構成にしてもよい。
【0154】
図25は、電流検出器310および電圧検出器320を、それぞれの筐体に設けられた略半円柱形の凹部304が対向するように配置した状態を示した図である。その結果、電流検出器310内の電流検出用プリント基板1および電圧検出器320内の電圧検出用プリント基板2は、電流検出用プリント基板1の切欠部101と電圧検出用プリント基板2の切欠部201とが対向するようになる。すなわち、図24に示したような配置になるので、図24で説明したように、位相差の検出精度を向上させることができる。さらに、電流検出器310および電圧検出器320が、それぞれ独立しているので、図19で説明したような効果もある。
【0155】
(6)電流・電圧検出器(その2):
図26は、1つの筐体内に電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2を設けた場合の筐体断面図である。
図25では、それぞれ独立した電流検出器310および電圧検出器320を用いていたが、これを発展させて、図26のように、1つの筐体本体305内に電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2を設けるようにしてもよい。このようにしても、図25の場合と同様の効果を得ることができる。ただし、電流検出側と電圧検出側とが、独立していないので、図19で説明したような効果はない。また、この場合、筐体本体305には、貫通穴303が設けられることになり、電力伝送用導電体66およびその周囲にある絶縁体69が、貫通穴303の内側を通るように配置されることになる。なお、電流検出部用蓋301および電圧検出部用蓋302は、図26に示すように、それぞれ別にしてもよいし、一体化させてもよい。
【0156】
(7)電流・電圧検出器(その3):
図27は、1つのプリント基板上に電流検出機能と電圧検出機能とを有する電流・電圧検出用プリント基板4を示す図である。この電流・電圧検出用プリント基板4は、図24(a)に示した電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2を一体化させたものである。これにより、1つのプリント基板上に電流検出機能と電圧検出機能とを実現させることができる。また、この場合、図27に示すように、電流・電圧検出用プリント基板4には、略円形の貫通穴401が設けられることになる。なお、便宜上、上記以外の電流・電圧検出用プリント基板4の構成に対する符号は、電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2で用いていた符号と同じものを用いている。
【0157】
もちろん、この電流・電圧検出用プリント基板4を用いて電流・電圧検出器を構成することもできる。この場合、図26に示した電流・電圧検出器内の電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2の代わりに、図27の電流・電圧検出用プリント基板4を備えた構成にすればよい。なお、この場合は、図26と殆ど同じなので、図示を省略する。
【0158】
(8)固定方法
図26、図27の場合において、絶縁体69の外径を筐体本体305に設けられた貫通穴303の内径と略同じにすることによって、実質上、絶縁体69と電流・電圧検出器3とを固定状態にすることができる。しかし、実際には、絶縁体69の外径を貫通穴の内径よりも小さくして用いることもある。この場合、絶縁体69と筐体本体305との間には、隙間が生じることになる。このように、隙間があると、電力伝送用導電体66等と電流・電圧検出器3とを、インピーダンス整合装置63に取り付ける際に、取り付ける装置毎に、両者の相対位置が一定ではなくなる可能性がある。すなわち、電力伝送用導電体66等と電流検出用プリント基板1または電圧検出用プリント基板2との相対位置が一定ではなくなる可能性がある。そうなると、複数の装置を製作した場合に、各装置の検出値にばらつきが生じる要因となり得る。そのために、隙間が大きい場合は、電力伝送用導電体66等と電流・電圧検出器3との相対位置を一定にさせることが望ましい。
【0159】
図28は、絶縁体69の固定方法を示す図である。なお、この図では、図27で示した電流・電圧検出用プリント基板4を用いている。この図28に示すように、絶縁体69に凹部を設け、その凹部に嵌合するような電流検出部用蓋301および電圧検出部用蓋302にすると、電流検出部用蓋301および電圧検出部用蓋302によって、絶縁体69を固定することができる。また、これだけでは、安定して絶縁体69を固定できない場合は、より安定させるために、(紙面で見て)筐体本体305の下部に絶縁体69を固定させる取付け部品306を取り付けてもよい。この取付け部品306は、絶縁体69に設けた凹部に嵌合するようになっており、図略のビス等で筐体本体305に取り付けられる。このようにすることによって、絶縁体69の外径が貫通穴303の内径よりも小さい場合であっても、電力伝送用導電体66等と電流検出用プリント基板1および電圧検出用プリント基板2との相対位置を略一定にすることができる。
【0160】
なお、図28では、筐体本体305に貫通穴303が設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、取付け部品306の形状を変更することによって、図12で説明した電流・電圧検出器3にも、絶縁体69を固定させることが可能である。また、図21等で説明したように、電流検出器310と電圧検出器320とが独立した場合にも適用できる。
【0161】
図29は、図28に示した電流・電圧検出器3において、電力伝送用導電体66および絶縁体69を、電流・電圧検出器3の大きさに合わせた大きさにした場合の図である。
【0162】
図28のように、電流・電圧検出器3に絶縁体69を固定させた場合に、メンテナンス性を向上させるために、図29に示すように、電力伝送用導電体66および絶縁体69を、電流・電圧検出器3の大きさに合わせた大きさにして、電力伝送用導電体66および絶縁体69を、電流・電圧検出器3ごと取り外しできるようにしてもよい。このようにすることによって、メンテナンス性を向上させることができる。なお、図29では、図示を省略しているが、電力伝送用導電体66には、他の導電体と接続するための接続部が設けられている。
【0163】
これまでの説明では、無線周波数帯域の周波数(例えば、数百kHz以上の周波数)を有する高周波電力を用いる例を示したが、無線周波数帯域の周波数よりも低い周波数の交流電力を用いてもよい。ただし、筐体に第2遮蔽部314、第3遮蔽部323のような電磁波を遮蔽するものが必要であるのは、無線周波数帯域の周波数のような高い周波数の場合である。したがって、交流電力の周波数が低くて電磁波の影響を考慮しなくてもよい場合は、第2遮蔽部314、第3遮蔽部323を設けなくてもよい。その他、用いる周波数によって特性が異なるので、その特性に合わせた筐体にすればよい。
【0164】
また、これまでの説明では、電力伝送用導電体66、68が、例えば、円筒形状の銅製の棒、すなわち、断面が円形のものとして説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、断面が楕円形や長方形のものであってもよい。また、電流検出用プリント基板1の切欠部101、電圧検出用プリント基板2の切欠部201が、円形のものとして説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、楕円形や長方形であってもよい。
【0165】
また、これまでの説明では、電流検出用プリント基板1の切欠部101および電圧検出用プリント基板2の切欠部201は、略半円形であるとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、半円形よりも円形に近い形状にしてもよい。また切欠部101および切欠部201の形状に伴って、コイル状の配線10、略半リング状の配線30の形状を変化させればよい。このように、切欠部101および切欠部201の形状は、略半円形に限定されるものではないが、略半円形にすると、図24で説明したようなことが可能になるので好ましい。
【0166】
また、これまでの説明したように、電流検出用プリント基板、電圧検出用プリント基板、これらを用いた検出器には、様々な種類があるので、説明した以外の組み合わせにしてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1 電流検出用プリント基板
2 電圧検出用プリント基板
3 電流・電圧検出器
3a 電流・電圧検出器
10 コイル状の配線
10−1 第1のコイル状の配線
10−2 第2のコイル状の配線
11 スルーホール
12 パターン配線
13 パターン配線
21 出力配線
22 出力配線
23 出力端子
24 出力端子
25 出力配線
26 出力配線
30 略半リング状の配線
31 基板を貫通するスルーホール
32 パターン配線
33 パターン配線
34 パターン配線
35 パターン配線
36 パターン配線
37 パターン配線
38 パターン配線
40 出力配線
41 出力端子
42 出力配線
51 電流用変換回路
52 出力配線
53 電圧用変換回路
54 出力配線
66 電力伝送用導電体
69 電力伝送用導電体66を覆う絶縁体
80 電圧検出器
81 カレントトランス部
84 電流用変換回路
90 電圧検出器
91 コンデンサ部
91b コンデンサ部の電極
93 電圧用変換回路
101 切欠部
110 絶縁体部
111 第1絶縁体部
112 第2絶縁体部
113 第3絶縁体部
121 基板の表面
121 基板の表面
122 基板の裏面
122 基板の裏面
131 第1導体層
132 第2導体層
201 切欠部
211 第1絶縁体部
212 第2絶縁体部
213 第3絶縁体部
221 基板の表面
222 基板の裏面
231 第1導体層
232 第2導体層
300 筐体本体
301 電流検出部用蓋
302 電圧検出部用蓋
303 貫通穴
304 半円柱形の凹部
305 筐体本体
306 取付け部品
310 電流検出器
311 凹部
312 凹部
313 第1遮蔽部
314 第2遮蔽部
315 基板固定部
316 配線用の開口部
317 電流検出用の開口部
318 遮蔽部
320 電圧検出器
321 凹部
322 凹部
323 第3遮蔽部
324 基板固定部
325 配線用の開口部
401 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を貫通する貫通穴と、
前記貫通穴の周囲にスルーホール及びパターン配線によって形成されたコイル状の第1配線と、前記第1配線の両端部に接続される第2配線とを有し、交流電流が流れると共に交流電圧が生じる電力伝送用導電体が前記貫通穴の内側を通るように配置された場合に、電磁誘導によって前記第1配線に流れる電流を前記第2配線から出力する機能を有する電流検出部と、
前記貫通穴の周囲にスルーホール及びパターン配線によって形成された第3配線と、前記第3配線の一部に接続される第4配線とを有し、前記電力伝送用導電体が前記貫通穴の内側を通るように配置された場合に、前記第3配線が、前記電力伝送用導電体の内、前記第3配線と対向する箇所と対となるコンデンサの電極として機能し、前記第3配線に生じる電圧を前記第4配線から出力する機能を有する電圧検出部と、
を備えた電流・電圧検出用プリント基板。
【請求項2】
前記第3配線は、前記貫通穴の周囲に基板を貫通するスルーホールを複数設け、かつ基板の表面層および裏面層に前記スルーホール部を繋げるようにパターン配線を設けたものである請求項1に記載の電流・電圧検出用プリント基板。
【請求項3】
前記第3配線は、前記貫通穴の周囲に基板の最上層と最下層との間を貫通するスルーホールを複数設け、かつ基板の最上層と最下層との間の少なくとも1つの層に前記スルーホール部を繋げるようにパターン配線を設けたものである請求項1に記載の電流・電圧検出用プリント基板。
【請求項4】
前記第3配線は、前記貫通穴の周囲に基板の一部分の層間を貫通するスルーホールを複数設け、かつ貫通した部分の最上層から最下層の内の少なくとも1つの層に前記スルーホール部を繋げるようにパターン配線を設けたものである請求項1に記載の電流・電圧検出用プリント基板。
【請求項5】
前記第1配線と前記第3配線とが、前記貫通穴の径方向に重ならないように形成されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電流・電圧検出用プリント基板。
【請求項6】
前記第2配線及び前記第4配線は、パターン配線によって形成されるか、パターン配線及びスルーホールによって形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電流・電圧検出用プリント基板。
【請求項7】
前記交流電流及び前記交流電圧が、無線周波数帯域の周波数を有する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電流・電圧検出用プリント基板。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電流・電圧検出用プリント基板と、
前記電流・電圧検出用プリント基板を内部に固定するとともに、前記第1配線に作用する磁束を通過させるための開口部及び前記第3配線と前記電力伝送用導電体との間を遮蔽させないための開口部を有する導電体製の筐体と、
を備えた電流・電圧検出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2012−8140(P2012−8140A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180822(P2011−180822)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【分割の表示】特願2006−234514(P2006−234514)の分割
【原出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】