説明

電源システム、電源電圧制御方法、半導体集積回路、放送受信装置および動画像記録再生装置

【課題】電源システムにおいて、回路規模を縮小することができ、スタンバイモードにおける動作効率を高く維持する。
【解決手段】電源電圧を受けて動作する主要動作部(3)に、電源電圧を供給する電源システムは、電源電圧を出力する電源供給部(1)と、電源電圧が与えられる電源供給ライン(5)と、電源供給ライン(5)に接続され、電荷を保持する電荷保持部(7)と、主要動作部(3)の動作が停止しているスタンバイモードにおいて、電源供給ライン(5)の電圧が第1の閾値以下になると、電源供給ライン(5)の電圧が、第1の閾値よりも大きい第2の閾値になるまで、電源電圧を出力するように電源供給部(1)を制御する一方、電源供給ライン(5)の電圧が第2の閾値以上になると、電源供給ライン(5)の電圧が、第1の閾値になるまで、電源電圧の出力を停止するように電源供給部(1)を制御する電源動作制御部(2)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常モードおよびスタンバイモードを有する電源システムに関し、特に、スタンバイモードにおいて、電源電圧を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来の電源装置を用いた電源システムの構成を示すブロック図である。図13の電源システムにおいて、通常モードでは、第1の電源供給部1aは、第1の電源供給ライン5aを介して電源動作制御部2に電源電圧を供給し、第2の電源供給部1bは、第2の電源供給ライン5bを介して主要動作部3に電源電圧を供給する。
【0003】
一方、スタンバイモードでは、電源動作制御部2は、電源動作制御信号6を用いて電源供給部1bの動作を停止して、主要動作部3への電源電圧の供給を停止することにより消費電流を削減している。
【0004】
また、電源動作制御機能を有する電源供給部において、出力電流および出力電圧を測定し、出力電流が少なくなると、スイッチング動作をOFFし、出力段の充電容量によって軽負荷状態の主要動作部を駆動し、出力電圧が低くなれば再びスイッチング動作をONしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−35357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図13に示す構成では、以下のような課題がある。まず、電源動作制御部2用の第1の電源供給部1aと主要動作部3用の第2の電源供給部1bとを個別に設ける必要がある。そのため、電源システムの回路規模が大きくなってしまう。また、第2の電源供給部1bは、電源動作制御部2によって動作制御がなされるが、第1の電源供給部1aの動作制御はなされていない。つまり、図13に示す電源システムにおいて、動作モードがスタンバイモードへ移行しても、電源供給部1aから供給される電源電圧は、しばらく高い状態を維持することになる。したがって、通常モードとスタンバイモードとで、電源動作制御部2の動作に必要な電流が大きく変動すると、一般的には、消費電流量が少ないスタンバイモードにおける、電源供給部1aの動作効率が落ちてしまう。
【0007】
かかる点に鑑みて、本発明は、電源システムにおいて、回路規模を縮小するとともに、動作モードがスタンバイモードに移行した場合における動作効率を高く維持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明によって次のような解決手段を講じた。例えば、電源電圧を受けて動作する主要動作部に、電源電圧を供給する電源システムは、電源電圧を出力する電源供給部と、電源電圧が与えられる電源供給ラインと、電源供給ラインに接続され、電荷を保持する電荷保持部と、主要動作部の動作が停止しているスタンバイモードにおいて、電源供給ラインの電圧が第1の閾値以下になると、電源供給ラインの電圧が、第1の閾値よりも大きい第2の閾値になるまで、電源電圧を出力するように電源供給部を制御する一方、電源供給ラインの電圧が第2の閾値以上になると、電源供給ラインの電圧が、第1の閾値になるまで、電源電圧の出力を停止するように電源供給部を制御する電源動作制御部とを備えている。
【0009】
これによると、電源供給部が1つで済む。また、スタンバイモードにおいて、電源動作制御部は、電源供給ラインの電圧に従って、電源供給部から出力される電源電圧をフィードバック制御しているため、動作モードがスタンバイモードになると、すぐに、スタンバイモードでの電圧制御が可能となる。したがって、通常モードとスタンバイモードとで、電源システムの各部の動作に必要な電流量が大きく異なる場合でも、電源電圧を、スタンバイモード用の電圧にすばやく切り替えることができるため、電源供給部の動作効率を高く維持することができる。
【0010】
好ましくは、電源動作制御部は、スタンバイモードにおいて、主要動作部への電源電圧の供給を停止する。
【0011】
また、上記電源システムは、電源供給ラインの電圧と前記第1の閾値とを比較する電圧低下検出部を備えている。そして、電源動作制御部は、電圧低下検出部における比較結果に基づいて、電源供給部を制御する。
【0012】
また、上記電源システムは、電源供給ラインの電圧と第2の閾値とを比較する電圧上昇検出部を備えている。そして、電源動作制御部は、前記電圧上昇検出部における比較結果に基づいて、電源供給部を制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、電源システムにおいて、回路規模を縮小することができ、スタンバイモードにおける動作効率を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る電源システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る電圧低下検出部の構成を示す回路図である。
【図3】第1の実施形態に係る電圧上昇検出部の構成を示す回路図である。
【図4】第1の実施形態に係る電源動作制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る電源システムの動作の概略を示すフローチャートである。
【図6】図5のS20における処理を示すフローチャートである。
【図7】図5のS21における処理を示すフローチャートである。
【図8】図5のS21における別の処理を示すフローチャートである。
【図9】図5のS22における処理を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施形態に係る電源供給ラインの電圧波形を示すグラフである。
【図11】第2の実施形態に係る放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図12】第3の実施形態に係る動画像記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図13】従来の電源システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る電源システムの構成を示すブロック図である。電源システムは、電源供給部1と、電源動作制御部2と、主要動作部3と、電圧低下検出部4と、電源供給ライン5と、電荷保持部7と、電源供給制御スイッチ9と、電圧上昇検出部11とを備えている。電源システムは、主要動作部3が動作している通常モードと、主要動作部3の動作が停止しているスタンバイモードとのそれぞれで動作可能に構成されている。
【0016】
電源供給部1は、動作モードに応じた電源電圧を電源供給ライン5に出力する。電源供給部1は、通常モードにおいて、主要動作部3の動作に必要な電源電圧を電源供給ライン5に出力する。
【0017】
電源動作制御部2は、スタンバイモードにおいて、電源供給ライン5の電圧の大きさに応じて、電源供給部1を制御する。具体的に、電圧低下検出部4によって、電源供給ライン5の電圧が、第1の閾値以下になったことが検出されると、電源動作制御部2は、電源供給ライン5の電圧が第2の閾値になるまで、電源電圧を出力するように電源供給部1を制御する。また、電圧上昇検出部11によって、電源供給ライン5の電圧が、第2の閾値以上になったことが検出されると、電源動作制御部2は、電源供給ライン5の電圧が第1の閾値になるまで、電源電圧の出力を停止するように電源供給部1を制御する。ここで、第2の閾値は、第1の閾値よりも大きいものとする。
【0018】
電荷保持部7は、電源供給部1から電源電圧が出力されている間、電荷を蓄える一方、電源電圧の出力が停止されると、蓄えた電荷を徐々に放出しながら、電源供給部1の代わりに電源動作制御部2等に電源電圧を供給する。電荷保持部7は、例えばコンデンサで構成することができる。
【0019】
主要動作部3は、電源供給ライン5を介して供給された電源電圧を受けて動作する。主要動作部3は、電源供給制御スイッチ9がON状態のとき動作し、OFF状態のとき停止する。
【0020】
図1に示す構成において、電源動作制御部2は、半導体集積回路で構成されていてもよく、マイクロコンピュータで構成されていてもよい。また、主要動作部3は、半導体集積回路で構成されていてもよい。また、電源システムを半導体集積回路で構成してもよい。また、主要動作部3、電圧低下検出部4、電圧上昇検出部11、および電源供給制御スイッチ9は、電源システムの外部に設けられていてもよい。
【0021】
図2は、電圧低下検出部の構成例を示す回路図である。電圧低下検出部4は、電源供給ライン5の電圧が、第1の閾値である2.0V以上のとき、Hレベルの電圧低下検出信号10を出力し、2.0Vを下回ると、Lレベルの電圧低下検出信号10を出力する。
【0022】
具体的に、電圧低下検出部4は、第1の分圧抵抗R1,R2と、エミッタ接地接続された第1のnpnトランジスタTr1と、第1のnpnトランジスタTr1のコレクタに接続された第2の分圧抵抗R3,R4と、エミッタ接地接続された第1のpnpトランジスタTr2と、第1のpnpトランジスタTr2のコレクタに接続された抵抗素子R5とで構成することができる。
【0023】
電源供給ライン5に接続された第1の分圧抵抗R1,R2によって電源供給ライン5の電圧が分圧され、分圧された電圧が第1のnpnトランジスタTr1のベースに印加される。電源供給ライン5が2.0V以上のとき、第1のnpnトランジスタTr1のベース電圧に0.7Vが供給されるため、第1のnpnトランジスタTr1はONする。
【0024】
第1のnpnトランジスタTr1がONのとき、第2の分圧抵抗R3,R4に電流が流れるので、第1のpnpトランジスタTr2のベース電圧に0.7Vが供給される。これにより、第1のpnpトランジスタTr2はONする。
【0025】
一方、電源供給ラインが2.0Vを下回ると、第1のnpnトランジスタTr1のベース電圧が0.7Vを下回るため、第1のnpnトランジスタTr1はOFFする。このとき第2の分圧抵抗R3,R4に電流が流れず、第1のpnpトランジスタTr2のベース電圧は0.7Vを下回るため、第1のpnpトランジスタTr2はOFFする。
【0026】
ここで、第1のpnpトランジスタTr2がONして、抵抗素子R5に電流が流れる場合の電圧低下検出信号10をHレベルとし、第1のpnpトランジスタTr2がOFFして、抵抗素子R5に電流が流れない場合の電圧低下検出信号10をLレベルとする。
【0027】
以上のことから、電源供給ライン5の電圧が2.0V以上のとき、電圧低下検出信号10はHレベルとなり、電源供給ライン5の電圧が2.0Vを下回ると、電圧低下検出信号10はLレベルとなる。なお、電圧低下検出信号10の論理値は逆でもよい。例えば、第1のpnpトランジスタTr2がONしたときの、電圧低下検出信号10はLレベルでもよい。
【0028】
図3は、電圧上昇検出部の構成例を示す回路図である。電圧上昇検出部11は、電源供給ライン5の電圧が、第2の閾値である3.3V以上のとき、Hレベルの電圧上昇検出信号12を出力し、3.3Vを下回ると、Lレベルの電圧上昇検出信号12を出力する。
【0029】
具体的に、電圧上昇検出部11は、第1および第2のダイオードD1,D2と、第3の分圧抵抗R11,R12と、エミッタ接続された第2のnpnトランジスタTr11と、第2のnpnトランジスタTr11のコレクタに接続された第4の分圧抵抗R13,R14と、エミッタ接続された第2のpnpトランジスタTr12と、第2のpnpトランジスタTr12のコレクタに接続された抵抗素子R15とで構成することができる。
【0030】
電源供給ライン5に、ダイオードD1,D2を介して接続された第3の分圧抵抗R11,R12によって、電源供給ライン5の電圧が分圧され、分圧された電圧が第2のnpnトランジスタTr11のベースに印加される。電源供給ライン5の電圧が3.3V以上のとき、第2のnpnトランジスタTr11のベース電圧に0.7Vが供給されるため、第2のnpnトランジスタTr11はONする。
【0031】
第2のnpnトランジスタTr11がONのとき、第4の分圧抵抗R13,R14に電流が流れるので、第2のpnpトランジスタTr12のベース電圧に0.7Vが供給されるため、第2のpnpトランジスタTr12はONする。
【0032】
一方、電源供給ライン5の電圧が3.3Vを下回ると、第2のnpnトランジスタTr11のベース電圧が0.7Vを下回るため、第2のnpnトランジスタTr11はOFFする。このとき第4の分圧抵抗R13,R14に電流が流れず、第2のpnpトランジスタTr12のベース電圧は0.7Vを下回るため、第2のpnpトランジスタTr12はOFFする。
【0033】
ここで、第2のpnpトランジスタTr12がONして、抵抗素子R15に電流が流れる場合の電圧上昇検出信号12をHレベルとし、第2のpnpトランジスタTr12がOFFして、抵抗素子R15に電流が流れない場合の電圧上昇検出信号12をLレベルとする。
【0034】
以上のことから、電源供給ライン5の電圧が3.3V以上のとき、電圧上昇検出信号12はHレベルとなり、電源供給ライン5の電圧が3.3Vを下回ると、電圧上昇検出信号12はLレベルとなる。なお、電圧上昇検出信号12の論理値は逆でもよい。例えば、第2のpnpトランジスタTr12がONしたときの、電圧上昇検出信号12はLレベルでもよい。
【0035】
ここで、第1の閾値は、第1の分圧抵抗R1およびR2の抵抗値の比によって決定される。また、第2の閾値は、第3の分圧抵抗R11およびR12の抵抗値の比によって決定される。第1および第2の閾値を変更するために、これら分圧抵抗の抵抗値を、例えば外部からユーザが自由に設定できるようにしてもよい。
【0036】
また、npnトランジスタとpnpトランジスタとの組み合わせで電圧低下検出信号10と電圧上昇検出信号12とを生成しているが、これら信号を生成するための回路構成は、上述した構成に限られない。
【0037】
図4は、第1の実施形態に係る電源動作制御部の構成例を示す図である。電源動作制御部2において、CPU(Central Processing Unit)51は、内蔵されているROM(Read Only Memory)53に格納されたプログラムを実行する。CPU51は、プログラムを実行する上で、RAM(Random Access Memory)52をワーク領域として使用する。
【0038】
CPU51によってプログラムが実行されると、割り込みポートであるINT55に入力された、電圧低下検出信号10および電圧上昇検出信号12のうち少なくとも一方の値が変わったことが検出される。なお、GPIO(General Purpose Input/Output)54に入力された、電圧低下検出信号10および電圧上昇検出信号12のうち、少なくとも一方の変化を、タイマ割り込み機能を有するTIMER56によるポーリング処理を行うことで検出するようにしてもよい。
【0039】
以上の動作により、電源動作制御部2は、電圧低下検出信号10がHレベルからLレベルに変わったことを検出すると、GPIO54から出力される電源動作制御信号6をLレベルからHレベルに変更する。これにより、電源供給部1の動作がONする。
【0040】
一方、電源動作制御部2は、電圧上昇検出信号12がLレベルからHレベルに変わったことを検出すると、GPIO54から出力される電源動作制御信号6をHレベルからLレベルに変更する。これにより、電源供給部1の動作がOFFする。
【0041】
なお、TIMER56により、電圧上昇検出信号12がLレベルになってから一定時間経過後に、電圧上昇検出信号12がHレベルに変わったとみなすようにしてもよい。この場合、電圧上昇検出部11と、電圧上昇検出信号12とを、省略してもよい。
【0042】
また、電源動作制御信号6が、LレベルからHレベルに変わると、電源供給部1の動作がOFFし、HレベルからLレベルに変わると、電源供給部1の動作がONするようにしてもよい。
【0043】
第1の実施形態に係る電源システムにおいて、電源供給制御スイッチ9がONすると、主要動作部3が動作し、電源動作制御部2の動作クロックが最高速度となり、内部ブロックが全て動作している通常モードとなる。一方、電源供給制御スイッチ9がOFFすると、主要動作部3の動作が停止し、電源動作制御部2の動作クロックが低下し、動作に影響しない内部ブロックが停止するなどして、スタンバイモードとなり、電源供給部1からの出力電流は通常モードと比べ非常に少なくなる。
【0044】
次に、第1の実施形態に係る電源システムについて、スタンバイモードにおける動作を説明する。
【0045】
図5は、第1の実施形態に係る電源システムの動作の概略を示すフローチャートである。まず、電源供給部1において、電源動作制御信号6の状態が判定される(S20)。次に、電圧低下検出部4および電圧上昇検出部11において、電源供給ライン5の電圧が判定される(S21)。そして、電源動作制御部2において、電圧低下検出信号10および電圧上昇検出信号12の状態が判定される(S22)。
【0046】
図6は、図5に示すS20における動作を示すフローチャートである。電源供給部1によって、電源動作制御信号6がHレベルであるか否かが判定される(S23)。電源動作制御信号6がHレベルである場合(S23のYes肢)、電源供給部1は、電源供給をONする。すなわち、電源電圧が出力される。逆に、電源動作制御信号6がLレベルである場合(S23のNo肢)、電源供給部1は、電源供給をOFFする(S25)。すなわち、電源電圧の出力が停止される。
【0047】
図7は、図5に示すS21における電圧低下検出部4の動作を示すフローチャートである。電圧低下検出部4によって、電源供給ライン5の電圧が第1の閾値以上か否かが判定される(S26)。電源供給ライン5の電圧が第1の閾値以上である場合(S26のYes肢)、電圧低下検出部4から、Hレベルの電圧低下検出信号10が出力される(S27)。一方、電源供給ライン5の電圧が第1の閾値よりも低い場合(S26のNo肢)、電圧低下検出部4から、Lレベルの電圧低下検出信号10が出力される(S28)。
【0048】
図8は、図5に示すS21における電圧上昇検出部11の動作を示すフローチャートである。電圧上昇検出部11によって、電源供給ライン5の電圧が第2の閾値以上か否かがが判定される(S36)。電源供給ライン5の電圧が第2の閾値以上である場合(S36のYes肢)、電圧上昇検出部11から、Hレベルの電圧上昇検出信号12が出力される(S37)。一方、電源供給ライン5の電圧が第2の閾値よりも低い場合(S36のNo肢)、電圧上昇検出部11から、Lレベルの電圧上昇検出信号12が出力される(S38)。
【0049】
図9は、図5に示すS22の動作を示すフローチャートである。なお、スタート時点において、電源動作制御信号6は、Lレベルであるとする。電源動作制御部2によって、電圧低下検出信号10がHレベルからLレベルに変化したか否かが判定される(S29)。電圧低下検出信号10がHレベルからLレベルに変化した場合(S29のYes肢)、電源動作制御部2から、Hレベルの電源動作制御信号6が出力される(S30)。一方、電圧低下検出信号10がHレベルのままである場合(S29のNo肢)、電源動作制御信号6はLレベルのまま維持され(S31)、フローを抜ける。
【0050】
また、電源動作制御部2によって、電圧上昇検出信号12がLレベルからHレベルに変化したか否かが判定される(S32)。電圧上昇検出信号12がLレベルからHレベルに変化した場合(S32のYes肢)、電源動作制御部2から、Lレベルの電源動作制御信号6が出力される(S33)。一方、電圧上昇検出信号12がLレベルのままである場合(S32のNo肢)、電源動作制御信号6はHのまま維持され(S34)、S32に戻る。
【0051】
以上のような動作が繰り返されることで、電源動作制御部2による電源供給部1の電圧制御が間欠的に行われるため、電源供給部1の出力電圧波形は図10のようになる。
【0052】
図10において、横軸(X軸)は時間、縦軸(Y軸)は電源供給ライン5の電圧を表す。電源供給部1が電源供給をONすると、電源供給ライン5の電圧は徐々に上昇し、3.3Vで安定する。時刻t1で電源供給部1が電源供給をOFFすると電源供給ライン5の電圧は徐々に降下する。
【0053】
時刻t2で、電源供給ライン5の電圧が2.0Vに達すると、電源動作制御信号6がHレベルになり、電源供給部1は電源供給を開始するため、電源供給ライン5の電圧は上昇に転じる。
【0054】
以上、本実施形態によると、電源供給部1が1つで済むため、電源システムの回路規模を縮小することができる。また、スタンバイモードにおいて、電源電圧をフィードバック制御しているため、動作モードがスタンバイモードに切り替わったときに、すぐに、スタンバイモードでの電圧制御が可能となる。つまり、電源供給ライン5の電圧を、スタンバイモード用の電圧にすばやく切り替えることができるため、スタンバイモードにおいて、電源供給部1から出力される電流量を少なく抑えることができる。したがって、通常モードとスタンバイモードとで、電源システムにおける消費電流量が大きく変わる場合でも、、電源供給部1の動作効率を高く維持することができる。
【0055】
なお、電源動作制御部2は、上述したタイマによる動作制御機能のほかに、時刻表示機能、受信したリモコン信号による動作制御機能、これらの動作状況の内部レジスタへの格納、および主要動作部と通信する機能を有していてもよく、これら機能のうち少なくとも1つの機能を動作させてもよい。例えば、電源動作制御部2は、スタンバイモードであることを示すリモコン信号を受けたとき、スイッチ制御信号8によって、電源供給制御スイッチ9をOFFしてもよい。この場合、電源動作制御部2は、電源供給部1に対して、スタンバイモードにおける電圧制御を行う。このように制御することによるメリットを、特許文献1の技術と比較しながら以下に説明する。
【0056】
特許文献1の技術は、主要動作部の電流負荷自体が勝手に大小する場合における電圧制御を前提としたものである。したがって、特許文献1の図1に示す構成では、例えば、システム動作を管理するマイコンが自らスタンバイモードへ移行することで、主要動作部への電源供給がOFFされるような場合、電源電圧の制御を行うことができない。
【0057】
これに対して、本実施形態によると、リモコン信号によって、電源供給制御スイッチ9がOFFされて、主要動作部3への電源供給がOFFされるような場合でも、スタンバイモードにおける電圧制御が可能となる。
【0058】
また、特許文献1の図1に示す構成では、電圧検出、または電流検出が電源供給部で閉じている。したがって、電源動作制御部を構成する部品の動作可能電圧の下限値に合わせて、電源供給部の設計ができないため、設計時に、電源電圧の閾値を最適な値に設定することができない。
【0059】
これに対して、本実施形態によると、特許文献1の図1に示す構成とは異なり、電圧検出が電源供給部1で閉じていない。したがって、電源動作制御部2の動作可能電圧の下限値に合わせた、電源供給部1の設計が可能となる。
【0060】
<第2の実施形態>
図11は、第2の実施形態に係る放送受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1および図11における共通の符号は、同一の構成要素を示す。
【0061】
放送受信装置は、電源供給部1と、電源動作制御部2と、電圧低下検出部4と、電源供給ライン5と、電荷保持部7と、電圧上昇検出部11と、図1の主要動作部3に相当する画像音声復調再生部103と、画像音声出力部104,105と、メモリ106と、アンテナ107と、チューナー108と、から構成される。
【0062】
画像音声出力部104,105は、ディスプレイ104およびスピーカ105で構成することができる。また、画像音声出力部104,105は、スピーカ105のほかに、ヘッドフォン、ライン出力を備えていてもよい。
【0063】
また、画像音声復調再生部103への入力として、チューナー108入力のほか、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)入力やD端子入力、コンポーネント入力、コンポジット入力等の構成があってもよい。
【0064】
図11に示す放送受信装置において、電源供給制御スイッチ9がONされると、画像音声復調再生部103に電源電圧が供給される。そして、画像音声復調再生部103は、メモリ106からプログラムをロードして、実行する。また、画像音声復調再生部103は、アンテナ107で受けた放送波を、チューナーを介して受信して処理し、映像信号をディスプレイ104に、音声信号をスピーカ105に出力する。ディスプレイ104は、映像を表示し、スピーカ105は、音声を出力する。
【0065】
図11に示す放送受信装置において、リモコンからスタンバイモードに移行するよう命令が入ると、電源動作制御部2は、スイッチ制御信号8を介して電源供給制御スイッチ9をOFFし、画像音声復調再生部103は動作を停止する。
【0066】
スタンバイモードにおける、電源供給部1、電源動作制御部2、電圧低下検出部4、電源供給ライン5、電荷保持部7、および電圧上昇検出部11の動作については第1の実施形態と同様である。
【0067】
また、スタンバイモード時にリモコンから通常モードに移行するよう命令が入ると、電源動作制御部2は、スイッチ制御信号8を介して電源供給制御スイッチ9をONし、画像音声復調再生部103は動作を開始する。
【0068】
以上、本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を奏する放送受信装置を構成することができる。
【0069】
<第3の実施形態>
図12は、第3の実施形態に係る放送受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1および図12における共通の符号は、同一の構成要素を示す。
【0070】
動画像記録再生装置は、電源供給部1と、電源動作制御部2と、電圧低下検出部4と、電源供給ライン5と、電荷保持部7と、電圧上昇検出部11と、図1の主要動作部に相当する画像音声記録再生部113と、画像音声出力部104,105と、メモリ106と、アンテナ107と、チューナー108と、光ディスクドライブ109と、ハードディスクドライブ110と、から構成される。
【0071】
画像音声出力部104,105は、ディスプレイ104およびスピーカ105で構成することができる。また、画像音声出力部104,105は、スピーカ105のほかに、ヘッドフォン、ライン出力を備えていてもよい。また、画像音声出力部104,105は、ディスプレイ104のほかに、HDMI出力などを備えていてもよい。
【0072】
また、画像音声記録再生部113への入力として、図示した構成以外に、HDMI入力やD端子入力、コンポーネント入力、コンポジット入力の構成があってもよい。また、光ディスクドライブ109、およびハードディスクドライブ110のほかに、SDカードなどのメモリカードやネットワークストレージを備えていてもよい。
【0073】
図12に示す動画像記録再生装置において、電源供給制御スイッチ9がONされ、画像音声記録再生部113に電源が供給される。そして、画像音声記録再生部113は、メモリ106からプログラムをロードして、実行する。また、画像音声記録再生部113は、光ディスクドライブ109やハードディスクドライブ110に記録された情報を処理して、映像信号をディスプレイ104に、音声信号をスピーカ105に出力する。これにより、ディスプレイ104に映像が表示され、スピーカ105から音声が出力される。
【0074】
また、画像音声記録再生部113は、アンテナ107で受けた放送波をチューナーを介して受信し、光ディスクドライブ109やハードディスクドライブ110に画像や音声を記録してもよい。
【0075】
また、画像音声記録再生部113は、HDMI入力やD端子入力、コンポーネント入力、コンポジット入力から入力された情報を、光ディスクドライブ109やハードディスクドライブ110に記録してもよい。
【0076】
図12に示す動画像記録再生装置において、リモコンからスタンバイモードに移行するよう命令が入ると、電源動作制御部2はスイッチ制御信号8を介して電源供給制御スイッチ9をOFFし、画像音声記録再生部113は動作を停止する。
【0077】
スタンバイモードにおける、電源供給部1、電源動作制御部2、電圧低下検出部4、電源供給ライン5、電荷保持部7、および電圧上昇検出部11の動作については、第1の実施形態と同様である。
【0078】
また、スタンバイモード時にリモコンから通常モードに移行するよう命令が入ると、電源動作制御部2はスイッチ制御信号8を介して電源供給制御スイッチ9をONし、画像音声記録再生部113は動作を開始する。
【0079】
以上、本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を奏する動画像記録再生装置を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る電源システムは、回路規模の縮小、およびスタンバイモードにおける動作効率の向上が求められる各種電子機器等に有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 電源供給部
2 電源動作制御部
3 主要動作部
4 電圧低下検出部
5 電源供給ライン
7 電荷保持部
11 電圧上昇検出部
103 画像音声復調再生部
104,105 画像音声出力部
108 チューナー
109 光ディスクドライブ(光ディスク装置)
113 画像音声記録再生部
Tr1 第1のnpnトランジスタ
Tr2 第1のpnpトランジスタ
Tr11 第2のnpnトランジスタ
Tr12 第2のpnpトランジスタ
R1,R2 第1の分圧抵抗
R3,R4 第2の分圧抵抗
R5,R15 抵抗素子
R11,R12 第3の分圧抵抗
R13,R14 第4の分圧抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を受けて動作する主要動作部に、前記電源電圧を供給する電源システムであって、
前記電源電圧を出力する電源供給部と、
前記電源電圧が与えられる電源供給ラインと、
前記電源供給ラインに接続され、電荷を保持する電荷保持部と、
前記主要動作部の動作が停止しているスタンバイモードにおいて、前記電源供給ラインの電圧が第1の閾値以下になると、前記電源供給ラインの電圧が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値になるまで、前記電源電圧を出力するように前記電源供給部を制御する一方、前記電源供給ラインの電圧が前記第2の閾値以上になると、前記電源供給ラインの電圧が、前記第1の閾値になるまで、前記電源電圧の出力を停止するように前記電源供給部を制御する電源動作制御部とを備えている
ことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
請求項1の電源システムにおいて、
前記主要動作部を備えている
ことを特徴とする電源システム。
【請求項3】
請求項2の電源システムにおいて、
前記電源動作制御部は、前記スタンバイモードにおいて、前記主要動作部への前記電源電圧の供給を停止する
ことを特徴とする電源システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1つの電源システムにおいて、
前記電源動作制御部は、時刻表示機能、タイマによる動作制御機能、受信したリモコン信号による動作制御機能、これらの機能の動作結果を内部レジスタに格納する機能、および前記主要動作部と通信する機能を有するものであり、これら機能のうち、少なくとも1つの機能を動作させる
ことを特徴とする電源システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のうちいずれか1つの電源システムにおいて、
前記電源供給ラインの電圧と前記第1の閾値とを比較する電圧低下検出部を備え、
前記電源動作制御部は、前記電圧低下検出部における比較結果に基づいて、前記電源供給部を制御する
ことを特徴とする電源システム。
【請求項6】
請求項5の電源システムにおいて、
前記電圧低下検出部は、
前記電源供給ラインの電圧を分圧する第1の分圧抵抗と、
エミッタ接地接続され、前記第1の分圧抵抗によって分圧された電圧がベースに印加される第1のnpnトランジスタと、
前記第1のnpnトランジスタのコレクタに接続され、前記電源供給ラインの電圧を分圧する第2の分圧抵抗と、
エミッタ接地接続され、前記第2の分圧抵抗によって分圧された電圧がベースに印加される第1のpnpトランジスタと、
前記第1のpnpトランジスタのコレクタに接続された抵抗素子とを備え、
前記電源動作制御部は、前記比較結果として、前記第1のpnpトランジスタのコレクタの電圧を用いる
ことを特徴とする電源システム。
【請求項7】
請求項1乃至3のうちいずれか1つの電源システムにおいて、
前記電源供給ラインの電圧と前記第2の閾値とを比較する電圧上昇検出部を備え、
前記電源動作制御部は、前記電圧上昇検出部における比較結果に基づいて、前記電源供給部を制御する
ことを特徴とする電源システム。
【請求項8】
請求項7の電源システムにおいて、
前記電圧上昇検出部は、
電源供給ラインから第1および第2のダイオードを介して与えられる電圧を分圧する第3の分圧抵抗と、
エミッタ接地接続され、前記第3の分圧抵抗によって分圧された電圧がベースに印加される第2のnpnトランジスタと、
前記第2のnpnトランジスタのコレクタに接続され、前記電源供給ラインの電圧を分圧する第4の分圧抵抗と、
エミッタ接地接続され、前記第4の分圧抵抗によって分圧された電圧がベースに印加される第2のpnpトランジスタと、
前記第2のpnpトランジスタのコレクタに接続された抵抗素子とを備え、
前記電源動作制御部は、前記比較結果として、前記第2のpnpトランジスタのコレクタの電圧を用いる
ことを特徴とする電源システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つの電源システムにおいて、
前記電源動作制御部は、マイクロコンピュータで構成されている
ことを特徴とする電源システム。
【請求項10】
請求項1の電源システムにおいて、
前記電源動作制御部は、半導体集積回路で構成されている
ことを特徴とする電源システム。
【請求項11】
請求項2の電源システムにおいて、
前記電源動作制御部および前記主要動作部は、半導体集積回路で構成されている
ことを特徴とする電源システム。
【請求項12】
電源供給部から主要動作部に供給される電源電圧を制御する電源電圧制御方法であって、
前記主要動作部の動作が停止しているスタンバイモードにおいて、
前記電源電圧が第1の閾値以下になると、前記電源電圧が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値になるまで、前記電源電圧を出力するように前記電源供給部を制御するステップと、
前記電源電圧が前記第2の閾値以上になると、前記電源電圧が、前記第1の閾値になるまで、前記電源電圧の出力を停止するように前記電源供給部を制御するステップとを備えている
ことを特徴とする電源電圧制御方法。
【請求項13】
請求項12の電源電圧制御方法において、
前記スタンバイモードにおいて、前記主要動作部への前記電源電圧の供給を停止するステップを備えている
ことを特徴とする電源電圧制御方法。
【請求項14】
請求項12または13のうちいずれか1つの電源電圧制御方法において、
前記第1および第2の閾値のうち少なくとも一方を変更するステップを備えている
ことを特徴とする電源電圧制御方法。
【請求項15】
請求項1の電源システムを備えている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項16】
請求項15の半導体集積回路において、
前記主要動作部を備えている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項17】
請求項1の電源システムと、
画像音声復調再生部と、
アンテナで受信した信号を前記画像音声復調再生部に入力するチューナーと、
前記画像音声復調再生部で処理された信号を出力する画像音声出力部とを備えている
ことを特徴とする放送受信装置。
【請求項18】
請求項2または3のうちいずれか1つの電源システムと、
アンテナで受信した信号を前記主要動作部に入力するチューナーと、
前記主要動作部で処理された信号を出力する画像音声出力部とを備え、
前記主要動作部は、画像音声復調再生部である
ことを特徴とする放送受信装置。
【請求項19】
請求項1の電源システムと、
画像音声記録再生部と、
前記画像音声記録再生部にデータを入力する光ディスク装置と、
前記画像音声記録再生部で処理されたデータを出力する画像音声出力部とを備えている
ことを特徴とする動画像記録再生装置。
【請求項20】
請求項2または3のうちいずれか1つの電源システムと、
前記主要動作部にデータを入力する光ディスク装置と、
前記主要動作部で処理されたデータを出力する画像音声出力部とを備え、
前記主要動作部は、画像音声記録再生部である
ことを特徴とする動画像記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−228061(P2012−228061A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93196(P2011−93196)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】