説明

電源システム

【課題】電源システムの部品点数の低減及びリレー装置を小型化する。
【解決手段】本発明の電源システムは、車両の走行用モータに電力を供給する蓄電装置と、駆動コイルへの通電によって蓄電装置及び走行用モータを電気的に接続する状態と、蓄電装置及び走行用モータの接続を遮断する状態との間で切り替わるシステムメインリレーと、蓄電装置及び駆動コイルを接続する接続ラインと、蓄電装置の電力を用いて駆動コイルを駆動させてシステムメインリレーの動作を制御するコントローラと、を有する。システムメインリレーの駆動コイルに電力を供給する別途の駆動電源を設ける必要がないとともに、システムメインリレーを高電圧で駆動することで、リレー装置(駆動コイル)を小型化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池等の高電圧電源及び負荷を電気的に接続するリレー装置を、高電圧電源の電力を用いて駆動する電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、組電池等の高電圧電源の電力を降圧してコンデンサに蓄えておき、コンデンサに蓄えた電力を用いて組電池(電源装置)及び負荷(モータ・ジェネレータ等)を電気的に接続するリレー装置を駆動することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−287242号公報
【特許文献2】特開2001−145275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、補機バッテリー等の別途の電源を駆動源としてリレー装置を駆動する必要がないが、コンデンサが必要となり、コストアップに繋がる。つまり、コンデンサは補機バッテリーと同様に蓄電体であり、高電圧電源とは個別の電源であることに変わりはない。このため、特許文献1は、補機バッテリーを用いる必要がないものの、リレー装置を駆動するのに高電圧電源とは別に電源としてのコンデンサを設ける必要があるので、部品点数の増加によりコストを低減することは難しい。
【0005】
一方、システムメインリレー等の組電池及び負荷を電気的に接続又は遮断するリレー装置は、電磁コイルに電流を流し、発生する磁力によって接点をON/OFFさせるが、電磁コイルによって発生する磁力は、電流に比例する。このため、特許文献1の降圧した低電圧のコンデンサや補機バッテリー等を用いた場合、電磁コイルのコイル径を大きくしてコイルの抵抗を低くする必要があり、リレー装置のサイズ(電磁コイルの体格)が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明である電源システムは、蓄電装置と走行用モータを電気的に接続する状態と遮断する状態との間で切り替わるシステムメインリレーの駆動コイルの駆動電源に、走行用モータに電力を供給する高電圧電源の蓄電装置を用いているので、システムメインリレーの駆動コイルに電力を供給する別途の駆動電源(コンデンサを含む)を設ける必要がなく部品点数を低減でき、システムメインリレーを高電圧で駆動するので、駆動コイルを小さくでき、リレー装置全体を小型化できる。
【0007】
蓄電装置と駆動コイルを接続する接続ラインに、蓄電装置の電力を駆動コイルに通電するオン状態と、駆動コイルへの通電を遮断するオフ状態とを切り替えるスイッチを設けている。コントローラは、スイッチの切り替え制御を通じてシステムメインリレーの動作を制御することができる。
【0008】
蓄電装置は、複数の蓄電素子が直列に接続されて構成される蓄電スタックを複数接続して構成することができ、接続ラインは、複数の蓄電スタックそれぞれと駆動コイルを接続する複数の駆動ラインを含むことができる。複数の蓄電スタックのうちの任意の蓄電スタックの電力を用いて駆動コイルを駆動させることができるとともに、複数の蓄電スタックのうち電圧が最も高い蓄電スタックの電力を用いて駆動コイルを駆動させるように制御することで、蓄電装置に接続されるシステムメインリレーが蓄電スタック間の電圧を均等する均等化回路として機能することができる。蓄電装置を構成する蓄電スタック間の電圧差を均等化する別途の均等化回路が不要となり、電源システムを簡素化できる。
【0009】
また、直列に接続された複数の蓄電素子で蓄電装置が構成されている場合、接続ラインは、蓄電素子単位又は所定数の蓄電素子群単位で駆動コイルと接続する複数の駆動ラインを含むことができる。任意の蓄電素子の電力を用いて、又は任意の蓄電素子群の電力を用いて駆動コイルを駆動させることができるとともに、複数の蓄電素子のうちで電圧が最も高い蓄電素子の電力、又は複数の蓄電素子群のうちで電圧が最も高い蓄電素子群の電力を用いて駆動コイルを駆動させるように制御することで、蓄電装置に接続されるシステムメインリレーが蓄電素子間又は蓄電素子群間の電圧を均等する均等化回路として機能することができる。蓄電装置を構成する蓄電素子間又は蓄電素子群間の電圧差を均等化する別途の均等化回路が不要となり、電源システムを簡素化できる。
【0010】
システムメインリレーは、蓄電装置の正極端子及び走行用モータの接続を許容する第1システムメインリレーと、蓄電装置の負極端子及び走行用モータの接続を許容する第2システムメインリレーと、を含んで構成することができる。第1システムメインリレー及び第2システムメインリレーそれぞれの各駆動コイルを、並列又は直列に接続することで、第1システムメインリレー及び第2システムメインリレーを共に蓄電装置の電力を用いて駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の電源システムの構成を示す図である。
【図2】実施例1のシステムメインリレー(リレー装置)を示す図であり、(a)は、システムメインリレーの構造を示す図、(b)は、電磁コイルのサイズとコイル径との関係を示す図である。
【図3】実施例1の変形例を示す図である。
【図4】実施例2の電源システムの構成を示す図である。
【図5】実施例2のシステムメインリレーを駆動するときの動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例2の変形例を示す図である。
【図7】実施例3の電源システムの構成を示す図である。
【図8】実施例3のシステムメインリレーを駆動するときの動作を示すフローチャートである。
【図9】実施例3の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0013】
(実施例1)
図1から図3を参照して、本発明の実施例1である電源システムについて説明する。図1は、本実施例の電源システムの構成を示す図である。
【0014】
組電池(蓄電装置に相当する)20は、直列に接続された複数の単電池(蓄電素子に相当する)10を有する。単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。組電池20を構成する単電池10の数は、要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。また、組電池20は、並列に接続された複数の単電池10を含んでいてもよい。
【0015】
組電池20は、正極ラインPL1および負極ラインNL1を介してインバータ25と接続されている。インバータ25は、組電池20から出力された直流電力を交流電力に変換して、交流電力をモータ・ジェネレータ26に出力する。モータ・ジェネレータ26としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。また、インバータ25は、モータ・ジェネレータ26から出力された交流電力を直流電力に変換して、直流電力を組電池20に供給することができる。
【0016】
なお、昇圧コンバータを用いて組電池20の出力電圧を昇圧して、昇圧後の電力をインバータ25に出力したり、インバータ25の出力電圧を降圧して、降圧後の電力を組電池20に出力するように構成することができる。昇圧コンバータは、例えば、チョッパ回路で構成することができる。昇圧コンバータは、コントローラ40からの制御信号を受けて動作する。
【0017】
組電池20を車両に搭載するときには、負荷としてモータ・ジェネレータ26を用いることができる。モータ・ジェネレータ26は、インバータ25からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ26は、車輪と接続されており、モータ・ジェネレータ26によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達される。
【0018】
一方、車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ26は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。モータ・ジェネレータ26によって生成された交流電力は、インバータ25に出力される。これにより、回生電力を組電池20に蓄えることができる。モータ・ジェネレータ26は、組電池20の電力によって駆動する走行用モータであり、また、車両の制動時に発生する運動エネルギによって回生電力を発生させる発電機である。
【0019】
コントローラ40は、組電池20の充放電を制御する。コントローラ40は、組電池20の放電を許容することにより、組電池20の出力を用いて、車両を走行させることができる。コントローラ40は、組電池20の充電を許容することにより、回生電力を組電池20に蓄えることができる。また、後述するシステムメインリレー31、32の動作を制御する。
【0020】
コントローラ40は、組電池20の電圧(電圧センサの検出電圧)、組電池20に流れる充放電電流、組電池20の温度などに基づいて充放電制御を行うことができる。例えば、組電池20の電圧が、予め設定された上限電圧および下限電圧の範囲内で変化するように、コントローラ40は、組電池20の充放電を制御することができる。
【0021】
本実施例の組電池20は、主に車両を走行させるための走行用モータであるモータ・ジェネレータ26に電力を供給する走行駆動電源として用いられ、例えば、240Vの高電圧電源である。高電圧電源は、モータ・ジェネレータ26等の高電圧電源が必要な高圧システムに電力を供給する。低圧システムは、エンジンやモータ等の制御装置や車両に搭載されたエアコン、AV機器、照明装置等を含み、例えば、12Vの補機バッテリー等の低電圧電源からの電力によって駆動する。なお、高電圧電源は、低圧システムの電源として用いることもでき、例えば、昇圧コンバータを介して降圧して低電圧システムに電力を供給することができる。
【0022】
本実施例の電源システムは、車両に搭載することができる。車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させるための動力源として、組電池20に加えて、エンジン又は燃料電池を備えている。電気自動車は、車両の動力源として、組電池20だけを備えている。
【0023】
高電圧電源の組電池20と動力系の高圧システムであるインバータ25は、正極ラインPL1及び負極ラインNL1を介して接続されている。組電池20の正極端子は、正極ラインPL1でインバータ25に接続され、正極ラインPL1には、システムメインリレー31(第1システムメインリレーに相当する)が設けられている。組電池20の負極端子は、負極ラインNL1でインバータ25に接続され、負極ラインNL1には、システムメインリレー32(第2システムメインリレーに相当する)が設けられている。
【0024】
システムメインリレー31、32は、コントローラ40の制御によって、オン(接続状態に相当する)およびオフ(遮断状態に相当する)の間で切り替わる。システムメインリレー31、32がオン状態であれば、組電池20の電力がモータ・ジェネレータ26に供給される。また、システムメインリレー31、32がオフ状態であれば、組電池20からモータ・ジェネレータ26に供給される電力が遮断される。
【0025】
図2(a)は、システムメインリレー31、32の構造を示す図である。本実施例では、システムメインリレー31、32として、ノーマルオープン型のリレーを用いているが、ノーマルクローズ型のリレーを用いることもできる。
【0026】
第1固定部材61は、固定接点62を有しており、第2固定部材63は、固定接点64を有している。固定接点62は、正極ラインPL1を介して組電池20と接続されており、固定接点64は、正極ラインPL1を介してインバータ25と接続されている。可動部材51は、第1可動接点52および第2可動接点53を有しており、第1可動接点52および第2可動接点53は、導通状態となっている。第1可動接点52は、固定接点62と対向しており、第2可動接点53は、固定接点64と対向している。
【0027】
可動部材51は、プランジャ71と接続されており、プランジャ71は、不図示のバネの力を受けて矢印D1の方向に付勢されている。プランジャ71の周囲には、電磁コイル(駆動コイルに相当する)72が配置されている。電磁コイル72に電流が流れていないとき、プランジャ71および可動部材51は、バネの付勢力を受けて矢印D1の方向に移動しており、可動接点52,53は、対応する固定接点62,64から離間している。このとき、システムメインリレー31,32は、オフとなる。
【0028】
電磁コイル72に電流が流れると、プランジャ71は、磁力の作用を受けることにより、バネの付勢力に抗して、矢印D2の方向に移動する。プランジャ71の移動に応じて、可動部材51も移動し、可動接点52,53は、対応する固定接点62,64と接触する。このとき、システムメインリレー31、32は、オンとなる。
【0029】
図1及び図2(a)に示すように、本実施例の電磁コイル72は、正極ラインPL2及び負極ラインNL2を介して組電池20に接続されている。本実施例のシステムメインリレー31、32は、組電池20の電力(高電圧電源の電力)を駆動電源として駆動する。
【0030】
電磁コイル72の一端は、正極ラインPL2を介して組電池20の正極端子と電気的に接続される。正極ラインPL2の一端は、組電池20とシステムメインリレー31を接続する接続ライン(正極ラインPL1)に接続され、正極ラインPL2の他端は、電磁コイル72に接続されている。
【0031】
電磁コイル72の他端は、負極ラインNL2を介して組電池20の負極端子と電気的に接続される。負極ラインNL2の一端は、組電池20とシステムメインリレー32を接続する接続ライン(負極ラインNL1)に接続され、負極ラインNL2の他端は、電磁コイル72に接続されている。
【0032】
図1の例では、組電池20の電力によって駆動する各システムメインリレー31、32を並列に接続し、システムメインリレー31、32それぞれの電磁コイル72a、72bは、正極ラインPL2及び負極ラインNL2で構成される駆動ラインを介して組電池20に接続している。各電磁コイル72a、72bは、スイッチS1,S2を介して正極ラインPL2と接続される。
【0033】
コントローラ40は、スイッチS1、S2の切り替え制御を通じてシステムメインリレーの動作を制御することができる。コントローラ40は、スイッチS1,S2をオンにすることで、組電池20の正極端子及び負極端子の電圧と同じ電圧でシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72に組電池20からの電力を流し、システムメインリレー31、32をオン状態に遷移させる。また、スイッチS1,S2をオフにすることで、組電池20からシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72に流れる電力を遮断し、システムメインリレー31、32をオフ状態に遷移させる。スイッチS1、S2は、コントローラ40からの制御信号を受けて、オン(接続状態に相当する)およびオフ(遮断状態に相当する)の間で切り替わる。
【0034】
コントローラ40は、組電池20とインバータ25とを接続するとき、スイッチS1及びS2をオンにして、システムメインリレー31、32の各電磁コイル72に組電池20の電力を流し、システムメインリレー31、32をオンにして、組電池20およびインバータ25の接続を行う。
【0035】
例えば、車両のイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わった場合、不図示の車両制御装置からイグニッションスイッチのオンおよびオフに関する情報が、コントローラ40に入力される。コントローラ40は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると、組電池20とインバータ25とを接続するため、つまり、システムメインリレー31、32をオフからオンに切り替えるために、スイッチS1、S2をオフ状態からオン状態に切り替えて、組電池20の電力をシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72に流す。
【0036】
電磁コイル72それぞれに組電池20の電力が流れると、システムメインリレー31,32は、オフからオンに切り替わり、組電池20およびインバータ25の接続が完了することができる。
【0037】
また、コントローラ40は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったときには、組電池20およびインバータ25の接続を遮断する。具体的には、コントローラ40は、スイッチS1、S2をオン状態からオフ状態に切り替えて、組電池20の電力がシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72に流れることを遮断する。電磁コイル72それぞれに対する組電池20からの電力が遮断されると、システムメインリレー31,32は、オンからオフに切り替わり、組電池20およびインバータ25の接続が遮断される。
【0038】
図2(b)は、本実施例のシステムメインリレー(リレー装置)の電磁コイル72のサイズとコイル径の関係を示す図である。
【0039】
電磁コイル72によって発生する磁力は、電磁コイル72を流れる電流の大きさに比例する。システムメインリレーは、磁力によって可動部材51を移動させ、可動接点52,53を、対応する固定接点62,64と接触させるので、電磁コイル72を構成する銅線に、一定の電流を流して所定の磁力を発生させる。
【0040】
このため、一定の電流が流れることでオン状態を維持するリレー装置は、電磁コイル72に印加される電圧が大きいほど、銅線の抵抗を大きくすることができるので、銅線の直径を小さくすることができる。
【0041】
例えば、補機バッテリー(例えば、12V)の電圧を電磁コイル72に印加して0.5Aの電流を流してリレー装置を駆動する場合、銅線の抵抗は、24Ωとなる。一方、組電池20の高電圧電源(例えば240V)の電圧を電磁コイル72に印加して同じ0.5Aの電流を流して駆動する場合、銅線の抵抗は480Ωとなる。
【0042】
すなわち、低電圧の場合、電磁コイル72に流す一定の電流に対して抵抗を小さくしなければならないので、銅線の直径D1を大きくする必要があるが、高電圧の場合には、電磁コイル72に流す一定の電流値に対して銅線の抵抗を大きくすることができるので、低電圧電源を駆動電源とする場合に比べて、銅線の直径D2を小さくすることができる。低電圧電源を駆動電源として用いた電磁コイルの高さh1、幅d1に対し、高電圧電源を駆動電源として用いた電磁コイルの高さh2、幅d2はそれぞれ小さくなり、高電圧電源を用いた電磁コイルのサイズが小さくてすむ。
【0043】
本実施例のシステムメインリレー31、32は、高電圧電源を駆動電源として用いるため、別途の駆動電源を設ける必要がなく部品点数を低減できるとともに、電磁コイル72のサイズを小さくすることができ、システムメインリレーに用いられるリレー装置を小型化することができる。
【0044】
図3は、本実施例の変形例を示す図であり、システムメインリレー31、32それぞれの電磁コイル72が直列に接続されている。
【0045】
図3に示すように、システムメインリレー31の電磁コイル72a及びシステムメインリレー32の電磁コイル72bは、接続ラインL1で直列に接続されるとともに、電磁コイル72aが、正極ラインPL2を介して組電池20の正極端子と電気的に接続され、電磁コイル72bが、負極ラインNL2を介して組電池20の負極端子と電気的に接続される。
【0046】
正極ラインPL2にはスイッチS3が設けられ、コントローラ40は、スイッチS3のオンとオフを切り替えて、組電池20に対して直列に接続された電磁コイル72a、72bに組電池20からの電力を流したり、遮断することができる。
【0047】
図3に示した電源システムは、システムメインリレー31、32それぞれの電磁コイル72a、72bが直列に接続されているので、図1に示したシステムメインリレー31、32それぞれの電磁コイル72a、72bが互いに並列に接続されている場合に比べて、電磁コイル72a、72bに印加される電圧が低くなるものの、低電圧電源を駆動電源とする場合に比べて、銅線の直径を小さくすることができ、システムメインリレーに用いられるリレー装置を小型化することができる。
【0048】
(実施例2)
図4から図6を参照して、本発明の実施例2である電源システムについて説明する。図4は、本実施例の電源システムの構成を示す図であり、組電池20が複数の電池スタック(蓄電スタックに相当する)20a,20bで構成されている。
【0049】
2つの電池スタック20a,20bは、接続ラインL2で直列に接続されている。電池スタック20aの正極端子は、正極ラインPL1を介してシステムメインリレー31と接続し、負極端子が接続ラインL2を介して電池スタック20bの正極端子と接続する。電池スタック20bの負極端子は、負極ラインNL1を介してシステムメインリレー32と接続している。
【0050】
電池スタック20a,20bそれぞれに、電圧監視IC21が接続されている。電圧監視IC21は、電池スタックの電圧(電池スタックの正極端子及び負極端子間の電圧)を検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。
【0051】
本実施例のシステムメインリレー31、32は、電池スタック20a又は電池スタック20bの電力を駆動電源として駆動する。
【0052】
システムメインリレー31の電磁コイル72a及びシステムメインリレー32の電磁コイル72bは、接続ラインL1で直列に接続されている。電磁コイル72aは、正極ラインPL2aを介して電池スタック20aの正極端子と電気的に接続される。正極ラインPL2aは、電池スタック20aの正極端子(組電池20の正極端子)とシステムメインリレー31を接続する正極ラインPL1に接続される。電磁コイル72aは、スイッチS4を介して正極ラインPL2aと接続されている。
【0053】
電磁コイル72bは、負極ラインNL2aを介して電池スタック20aの負極端子と電気的に接続される。負極ラインNL2aは、電池スタック20aと電池スタック20bを接続する接続ラインL2に接続される。電磁コイル72bは、スイッチS5を介して負極ラインNL2aと接続されている。
【0054】
直列に接続された電磁コイル72a、72bに対して、正極ラインPL2a、負極ラインNL2a及び接続ラインL1は、電池スタック20aを駆動電源とする第1駆動ライン(電流経路)を構成する。
【0055】
一方、システムメインリレー31、32は、電池スタック20bの電力を駆動電源とする第2駆動ラインと接続されている。電磁コイル72aは、正極ラインPL2bを介して電池スタック20bの正極端子と電気的に接続される。正極ラインPL2bは、電池スタック20a及び20bの接続ラインL2に接続される。電磁コイル72aは、スイッチS6を介して正極ラインPL2bと接続されている。
【0056】
電磁コイル72bは、負極ラインNL2bを介して電池スタック20bの負極端子と電気的に接続される。負極ラインNL2bは、電池スタック20bの負極端子(組電池20の負極端子)とシステムメインリレー32を接続する負極ラインNL1に接続される。電磁コイル72bは、スイッチS5を介して負極ラインNL2bと接続されている。
【0057】
直列に接続された電磁コイル72a、72bに対して、正極ラインPL2b、負極ラインNL2b及び接続ラインL1は、電池スタック20bを駆動電源とする第2駆動ライン(電流経路)を構成する。
【0058】
本実施例では、2つの直列に接続されたシステムメインリレー31の電磁コイル72aとシステムメインリレー32の電磁コイル72bそれぞれが、第1駆動ラインを介して電池スタック20aと接続するとともに、第2駆動ラインを介して電池スタック20bと接続し、組電池20を構成する少なくとも1つの電池スタックを駆動電源として、システムメインリレー31、32の動作を制御することができる。
【0059】
スイッチS4からS7は、コントローラ40からの制御信号を受けて、オン(接続状態に相当する)およびオフ(遮断状態に相当する)の間で切り替わる。コントローラ40は、スイッチS4,S5をオンにし、スイッチS6,S7をオフにすることで、電池スタック20aの正極端子及び負極端子と電磁コイル72a,72bを接続し、電池スタック20aからの電力を用いてシステムメインリレー31、32をオン状態に遷移させることができる。一方、コントローラ40は、スイッチS6,S7をオンにし、スイッチS4,S5をオフにすることで、電池スタック20bの正極端子及び負極端子と電磁コイル72a,72bを接続し、電池スタック20bからの電力を用いてシステムメインリレー31、32をオン状態に遷移させることができる。
【0060】
本実施例では、組電池20が複数の電池スタックで構成されている場合、各電池スタック毎にシステムメインリレー31、32の駆動ラインをそれぞれ設けているので、組電池20に接続されるシステムメインリレーが電池スタック間の電圧を均等する均等化回路として機能することができる。
【0061】
図5は、本実施例のシステムメインリレー31、32の動作を示すフローチャートである。
【0062】
コントローラ40は、車両のイグニッションスイッチがオンになったときからオフになるまでの間、組電池20及び各電池スタックの電圧を、電圧監視ICから出力される検出結果に基づいて監視及び不図示のメモリに記憶する。車両のイグニッションスイッチがオフ状態では、各駆動ラインのスイッチS4からS7はオフである。
【0063】
コントローラ40は、車両のイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わった場合、不図示の車両制御装置からイグニッションスイッチのオンおよびオフに関する情報が、コントローラ40に入力される。コントローラ40は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると(S101)、前回のイグニッションスイッチがオフになった際の電池スタック20a,20bそれぞれの電圧間で電圧差があるか否かを判別する(S102)。
【0064】
ステップS102において電池スタック間に電圧差があると判別された場合、ステップS103に進み、電圧が最も高い(最大電圧)電池スタックを駆動電源としてシステムメインリレー31,32を動作させる。
【0065】
コントローラ40は、電圧が最も高い電池スタックを選択し、例えば、電池スタック20aが駆動電源として選択された場合、第1駆動ラインのスイッチS4,S5をオフからオンに切り替える。電池スタック20aの電力をシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72a、72bに流す。電磁コイル72a,72bそれぞれに電池スタック20aの電力が流れると、システムメインリレー31,32は、オフからオンに切り替わり、組電池20およびインバータ25の接続が完了することができる。
【0066】
一方、ステップS102において電池スタック間に電圧差がないと判別された場合、ステップS104に進み、組電池20を構成する複数の電池スタックのいずれか1つの電池スタックではなく、複数の電池スタック全体、つまり、組電池20の電力を駆動電源としてシステムメインリレー31,32を動作させる。
【0067】
図4に示すように、例えば、第1駆動ラインのスイッチS5が設けられた負極ラインNL2aと第2駆動ラインのスイッチS7が設けられた負極ラインNL2bを接続し、さらに、第2駆動ラインのスイッチS6が設けられた正極ラインPL2bと第1駆動ラインのスイッチS4が設けられた正極ラインPL2aを接続する。接続ラインL1で直列に接続されたシステムメインリレー31、32は、組電池20の正極端子(電池スタック20aの正極端子)と正極ラインPL2aを介して接続され、また、組電池20の負極端子(電池スタック20bの負極端子)と負極ラインNL2bを介して接続される。
【0068】
コントローラ40は、ステップS102において電池スタック間に電圧差がないと判別された場合、第1駆動ラインのスイッチS4及び第2駆動ラインのスイッチS7をオフからオンに切り替え、第1駆動ラインのスイッチS5及び第2駆動ラインのスイッチS6をオフのままとする。電池スタック20a,20bが直列に接続された組電池20の電力がシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72a、72bに流れ、電磁コイル72a,72bそれぞれに電池スタック20aの電力が流れることで、システムメインリレー31,32が、オフからオンに切り替わり、組電池20およびインバータ25の接続が完了する。
【0069】
コントローラ40は、組電池20及びインバータ25の接続が完了した後、車両のイグニッションスイッチがオフになるまで、組電池20及び各電池スタックの電圧を電圧監視ICから出力される検出結果に基づいて監視及び不図示のメモリに記憶する(S105)。
【0070】
コントローラ40は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったときには(S106)、スイッチS4からS7の全てのスイッチをオン状態からオフ状態に切り替えて、電池スタック20a、20bそれぞれの電力又は組電池20の電力がシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72に流れることを遮断する。電磁コイル72それぞれに対する組電池20からの電力が遮断されると、システムメインリレー31,32は、オンからオフに切り替わり、組電池20およびインバータ25の接続が遮断される。
【0071】
本実施例では、上記実施例1同様に、システムメインリレー31、32の駆動電源が高電圧電源であるため、別途の駆動電源を設ける必要がないとともに、電磁コイル72のサイズを小さくすることができ、システムメインリレーに用いられるリレー装置を小型化することができる。さらに、組電池20を構成する複数の電池スタックのうちいずれか1つの電池スタックの電力を用いて電磁コイル72を駆動させつつ、複数の電池スタックのうち電圧が最も高い電池スタックの電力を用いて電磁コイル72を駆動させるので、組電池20に接続されるシステムメインリレーが電池スタック間の電圧を均等する均等化回路として機能する。組電池20を構成する電池スタック間の電圧差を均等化する別途の均等化回路が不要となり、電源システムを簡素化できる。
【0072】
特に、システムメインリレーの電磁コイルを電力消費要素として均等化を行うことができるので、従来の均等化回路に流すことができる許容電流を大きくすることができ、電池スタック間の電圧均等化に要する時間を短縮することができる。
【0073】
なお、本実施例において、ステップS103で電圧が最も高い(最大電圧)電池スタックを駆動電源としてシステムメインリレー31,32を動作させている場合に、イグニッションスイッチがオフになるまでの間に検出される各電池スタックの電圧を監視し、電池スタック間の電圧差の有無をチェックすることができる。
【0074】
コントローラ40は、電池スタック間で電圧差がないと判別された場合、ステップS1−4の組電池20の電力を駆動電源としてシステムメインリレー31,32を動作させるモードに切り替えて、システムメインリレー31,32の動作を制御することができる。
【0075】
なお、本実施例では、2つの電池スタックで構成される組電池20を駆動電源としてシステムメインリレー31、32を動作させているが、3つ以上の電池スタックで構成される組電池にも適用できる。また、電池スタックが3つ以上である場合、2つ以上の電池スタックに対して1つの駆動ラインを設けることもでき、組電池20を構成する複数の電池スタックに対して任意の駆動ラインを設け、駆動ラインを介して1つ又は2つ以上の電池スタックの電力を用いてシステムメインリレー31、32を動作させるようにしてもよい。
【0076】
図6は、本実施例の変形例を示す図であり、組電池20を構成する電池スタック20a、20bが並列に接続されている。
【0077】
図6に示すように、並列に接続された電池スタック20a,20bそれぞれの正極端子は、システムメインリレー31a、31bを介して正極ラインPL1でインバータ25と接続されている。電池スタック20a,20bそれぞれの負極端子は、システムメインリレー32を介して負極ラインNL1でインバータ25に接続されている。
【0078】
電池スタック20aと接続するシステムメインリレー31aの電磁コイル72aは、電池スタック20aの正極端子及び負極端子に接続され、電池スタック20aを駆動電源としてシステムメインリレー31aが動作する。電磁コイル72aと電池スタック20aの正極端子及び負極端子を接続する接続ライン(駆動ライン)には、スイッチS8が設けられている。同様に、電池スタック20bと接続するシステムメインリレー31bの電磁コイル72bは、電池スタック20bの正極端子及び負極端子に接続され、電池スタック20bを駆動電源としてシステムメインリレー31bが動作する。電磁コイル72bと電池スタック20bの正極端子及び負極端子を接続する接続ライン(駆動ライン)には、スイッチS9が設けられている。
【0079】
システムメインリレー31a、31bは、図4に示した組電池20の正極端子とインバータ25の接続を許容するシステムメインリレー31に相当する。本実施例では、システムメインリレー31a、31bの駆動電源が、対応する各電池スタック20a、20bであり、システムメインリレー32の駆動電源は、不図示の補機バッテリー等の低電圧電源を用いることができる。
【0080】
コントローラ40は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わった場合に、前回のイグニッションスイッチがオフになった際の電池スタック20a,20bそれぞれの電圧に電圧差があるか否かを判別し、電池スタック間に電圧差があると判別された場合、電圧が最も高い(最大電圧)電池スタックを選択する。コントローラ40は、例えば、電池スタック20aが駆動電源として選択された場合、スイッチS8をオフからオンに切り替えて電池スタック20aの電力をシステムメインリレー31aの電磁コイル72aに流すとともに、システムメインリレー32をオフからオンに切り替え、電池スタック20aおよびインバータ25の接続が行う。
【0081】
コントローラ40は、システムメインリレー31aをオンにして組電池20とインバータ25の接続をしている間、電圧監視IC21を通じて検出される電池スタック20aの電圧を監視し、電池スタック20a,20b間の電圧差がなくなった時点で、スイッチS9をオフからオンにすることができる。コントローラ40は、対応する電池スタック20a、20bそれぞれを駆動電源としてシステムメインリレー31a,31bを共に動作させて、並列に接続された電池スタック20a、20bの両者をインバータ25と接続するように遷移させることができる。イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わった際に、電池スタック20bが駆動電源として選択された場合も同様である。また、電池スタック間に電圧差がないと判別された場合、スイッチS8、S9をともにオンにしつつ、システムメインリレー32をオフからオンに切り替え、電池スタック20a,20bを共にインバータ25に接続するように制御する。
【0082】
図6に示した変形例では、並列に接続された電池スタックのうち、電圧が最も高い電池スタックをインバータ25に接続するとともに、システムメインリレーの電磁コイル72を電力消費要素として均等化を行うことができるので、従来の均等化回路に流すことができる許容電力を大きくすることができ、電池スタック間の電圧均等化を短い時間で行うことができる。
【0083】
(実施例3)
図7から図9を参照して、本発明の実施例3である電源システムについて説明する。図7は、本実施例の電源システムの構成を示す図であり、電池スタックを構成する複数の単電池10を所定数で区分けした単電池群単位(ブロック単位)毎に、システムメインリレーの電磁コイル72と接続したものである。また、図9は、電池スタックを構成する複数の単電池10毎に、システムメインリレーの電磁コイル72と接続したものである。
【0084】
つまり、上記実施例2は、組電池20を構成する電池スタック単位で電圧を監視しながら、電圧が高い方の電池スタックを駆動電源として電磁コイル72に電力を流して対応するシステムメインリレーを動作させていたが、本実施例では、組電池20を構成する複数の単電池10を所定数で区分けした単電池群単位又は単電池10毎に電圧を監視し、電圧監視単位間での電圧差を均等化するように、システムメインリレー31、32の動作を制御する。
【0085】
図7の例では、図4に示した組電池20に対し、各電池スタックを構成する直列に接続された複数の単電池10を所定数の単電池群単位で電圧を監視し、電池スタックの単電池10の各ブロック毎に、システムメインリレーの電磁コイル72に電力を供給する複数の駆動ラインを設けている。
【0086】
電池スタック20aは、2つのブロックに区分けされた第1ブロック(単電池群)21a及び第2ブロック21bそれぞれに、システムメインリレー31の電磁コイル72aと接続する第3駆動ライン及び第4駆動ラインが設けられている。
【0087】
第3駆動ラインは、1つの電池スタック20aのうち第1ブロック21aの単電池群の正極端子及び負極端子に接続され、電池スタック20aの正極端子とシステムメインリレー31を接続する正極ラインPL1に接続する接続ラインPL2a及び第1ブロック21aの負極端子に接続される接続ラインL3で構成される。電磁コイル72aの一端は、スイッチS10を介して接続ラインPL2aと接続され、他端は、スイッチS11を介して接続ラインL3と接続されている。
【0088】
第4駆動ラインは、第2ブロック21bの単電池群の正極端子及び負極端子に接続され、第2ブロック21bの正極端子に接続される接続ラインL3及び電池スタック20aの負極端子に接続する接続ラインNL2aで構成される。電磁コイル72aの一端は、スイッチS11,S12を介して接続ラインL3と接続され、他端は、スイッチS13を介して接続ラインNL2aと接続されている。
【0089】
電池スタック20bも同様に、第1ブロック21a及び第2ブロック21bそれぞれに、システムメインリレー32の電磁コイル72bと接続する第5駆動ライン及び第6駆動ラインが設けられている。
【0090】
第5駆動ラインは、第1ブロック21aの単電池群の正極端子及び負極端子に接続され、第2電池スタック20bの正極端子に接続される接続ラインPL2b及び第1ブロック21aの負極端子に接続される接続ラインL4で構成される。電磁コイル72bの一端は、スイッチS17を介して接続ラインPL2bと接続され、他端は、スイッチS15、S16を介して接続ラインL4と接続されている。
【0091】
第6駆動ラインは、電池スタック20bの第2ブロック21aの単電池群の正極端子及び負極端子に接続され、第2ブロック21bの正極端子に接続される接続ラインL4及び電池スタック20bの正極端子とシステムメインリレー32を接続する負極ラインNL1に接続する接続ラインNL2bで構成される。電磁コイル72bの一端は、スイッチS14を介して接続ラインNL2bと接続され、他端は、スイッチS15を介して接続ラインL4と接続されている。
【0092】
本実施例の駆動ラインは、各電池スタック別に設けられ、一方の対応するシステムメインリレーの電磁コイル72のみに単電池群からの電力が供給されるように構成している。つまり、システムメインリレー31の駆動電源には、電池スタック20bは含まれず、電池スタック20aのみが駆動電源として用いられる。各駆動ラインに設けられたスイッチは、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。
【0093】
電磁コイル72aは、電池スタック20aの正極端子と接続する正極ラインPL2a、及び電池スタック20aの負極端子と接続する負極ラインNL2aに接続している。システムメインリレー31は、電池スタック20a全体を駆動電源として動作するように制御できる。システムメインリレー32についても同様である。
【0094】
図8は、図7に示した所定数の単電池群を駆動電源と用いたシステムメインリレー31、32の動作を示すフローチャートである。
【0095】
コントローラ40は、車両のイグニッションスイッチがオンになったときからオフになるまでの間、電圧監視IC21を通じて所定数の単電池群(ブロック)単位で電圧を監視し、不図示のメモリに検出結果を記憶する。車両のイグニッションスイッチがオフ状態では、各駆動ラインのスイッチはオフである。なお、組電池20及び電池スタック単位での電圧検出も行うようにしてもよい。
【0096】
コントローラ40は、車両のイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わった場合、不図示の車両制御装置からイグニッションスイッチのオンおよびオフに関する情報が、コントローラ40に入力される。コントローラ40は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると(S301)、前回のイグニッションスイッチがオフになった際の電池スタック内の単電池群単位間で、電圧差があるか否かを判別する(S302)。
【0097】
ステップS302では、電池スタック毎に各電池スタック内の所定数の単電池群(ブロック)単位間で電圧差があるか否かが判別される。単電池群間で電圧差があると判別された電池スタックを対象にステップS304の処理を遂行する。組電池20を構成する複数の電池スタックそれぞれに、単電池群間に電圧差があると判別された場合には(S303のYES)、電池スタックそれぞれに対してステップS304の処理を遂行する。
【0098】
コントローラ40は、単電池群間で電圧差があると判別された電池スタックを対象に、電池スタック内の電圧が最も高い(最大電圧)ブロックを駆動電源としてシステムメインリレーを動作させる。例えば、電池スタック20aの第1ブロックが第2ブロックよりも電圧が大きい場合、第1ブロックがシステムメインリレー31の駆動電源として選択される(S304)。
【0099】
次に、コントローラ40は、電池スタック20bの単電池群間で電圧差があると判別される場合には、電池スタック20b内の電圧が最も高い(最大電圧)ブロックを駆動電源としてシステムメインリレー32を動作させる。例えば、電池スタック20bの第1ブロックが第2ブロックよりも電圧が大きい場合、第1ブロックがシステムメインリレー32の駆動電源として選択される(S304)。
【0100】
コントローラ40は、電池スタック20a,20bそれぞれで、単電池群間に電圧差があると判別した場合、各電池スタックに対応するシステムメインリレー31,32の駆動電源として電圧が高い方の単電池群を選択することができる。
【0101】
コントローラ40は、システムメインリレー31の駆動電源として電池スタック20aの第1ブロックの単電池群が選択され、またシステムメインリレー32の駆動電源として電池スタック20bの第1ブロックの単電池群が選択された場合、第5駆動ラインのスイッチS10,S14をオフからオンに切り替えて電池スタック20aの第1ブロックの単電池群の電力をシステムメインリレー31の電磁コイル72aに流すとともに、第6駆動ラインのS17,S15,S16をオフからオンに切り替えて電池スタック20bの第1ブロックの単電池群の電力をシステムメインリレー32の電磁コイル72bに流す。
【0102】
電磁コイル72a,72bそれぞれに対して選択された各単電池群の電力が流れると、システムメインリレー31、32は、オフからオンに切り替わり、組電池20およびインバータ25の接続が完了することができる。
【0103】
一方、ステップS302において電池スタック内の単電池群間に電圧差がないと判別された場合(S303)、ステップS305に進み、電池スタック全体の電力を駆動電源として選択する。
【0104】
例えば、ステップS303において電池スタック20a内の単電池群間に電圧差がないと判別され、電池スタック20b内の単電池群間に電圧差があると判別された場合、コントローラ40は、電池スタック20aに対してはステップS305に進んで電池スタック20a全体をシステムメインリレー31の駆動電源として選択し、電池スタック20bに対してはステップS304に進んで最大電圧の単電池群(第1ブロック)をシステムメインリレー32の駆動電源として選択する。
【0105】
コントローラ40は、ステップ306において電池スタック20aの正極端子と接続する正極ラインPL2a及び電池スタック20aの負極端子と接続する負極ラインNL2aそれぞれのスイッチS10、スイッチS13をオフからオンに切り替えて、電池スタック20aの電力を電磁コイル72aに電力を流す。一方、電池スタック20bの第6駆動ラインのS17,S15,S16をオフからオンに切り替えて電池スタック20bの第1ブロックの単電池群の電力を電磁コイル72bに流す。
【0106】
なお、電池スタック20b内の単電池群間に電圧差がないと判別された場合、つまり、電池スタック20a、20bともに、単電池群間に電圧差がないと判別された場合には、コントローラ40は、ステップS305に進んでシステムメインリレー32の駆動電源として電池スタック20b全体を選択する。この場合、ステップ306では、電池スタック20bの正極端子と接続する正極ラインPL2b及び電池スタック20bの負極端子と接続する負極ラインNL2bそれぞれのスイッチS17、スイッチS14をオフからオンに切り替えて、電池スタック20b全体を駆動電源としてシステムメインリレー32の電磁コイル72aに電力を流す。
【0107】
このように、電池スタック内の単電池群間に電圧差があると判別された場合、対応するシステムメインリレーは、電圧差があると判別された単電池群間で最も高い電圧の単電池群を駆動電源として動作が制御され、電池スタック内の単電池群間に電圧差がないと判別された場合には、電池スタック全体を駆動電源として動作が制御される。組電池20を構成する複数の電池スタックそれぞれで独立して単電池群又はスタック全体を対応するシステムメインリレーの駆動電源として選択し、システムメインリレー31,32の動作を制御する。
【0108】
コントローラ40は、組電池20及びインバータ25の接続が完了した後、車両のイグニッションスイッチがオフになるまで、各電池スタックの単電池群単位で電圧を監視及び不図示のメモリに記憶する(S307)。
【0109】
コントローラ40は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったときには(S308)、第3駆動ラインから第6駆動ラインまでの全ての駆動ラインの全スイッチをオフにし、電池スタック単位又は単電池群単位の電力が対応するそれぞれのシステムメインリレー31、32の各電磁コイル72に流れることを遮断する(S309)。システムメインリレー31,32は、オンからオフに切り替わり、組電池20およびインバータ25の接続が遮断される。
【0110】
なお、本実施例においても上記実施例2に記載のように、コントローラ40は、組電池20とインバータ25の接続をしている間、電圧監視ICを通じて検出される電池スタックの各単電池群の電圧を監視し、駆動電源として選択された単電池群と他の単電池群との間の電圧差がなくなった時点で、電池スタック全体を駆動電源に切り替えてシステムメインリレーの動作を制御することができる。後述する図9の例についても同様である。
【0111】
本実施例では、上記実施例1同様に、システムメインリレー31、32の駆動電源が高電圧電源であるため、別途の駆動電源を設ける必要がないとともに、電磁コイル72のサイズを小さくすることができ、システムメインリレーに用いられるリレー装置を小型化することができる。さらに、組電池20を構成する複数の電池スタックにおいて各電池スタック内の単電池群単位の電力を用いて電磁コイル72を駆動させつつ、電圧が最も高い単電池群の電力を用いて電磁コイル72を駆動させることができるので、システムメインリレーが電池スタック内の単電池群間の電圧を均等する均等化回路として機能する。電池スタック内の単電池群間の電圧差を均等化する別途の均等化回路が不要となり、電源システムを簡素化できる。
【0112】
また、上記実施例2と同様に、システムメインリレーの電磁コイルを電力消費要素として均等化を行うことができるので、従来の均等化回路に流すことができる許容電流を大きくすることができ、電池スタック内の単電池群間の電圧均等化に要する時間を短縮することができる。
【0113】
次に図9の例は、図7に示した組電池20に対し、各電池スタックを構成する直列に接続された複数の単電池10単位で電圧を監視し、電池スタックの単電池10毎に、システムメインリレーの電磁コイル72に電力を供給する複数の駆動ラインを設けている。
【0114】
電池スタック20aは、4つの単電池10それぞれに、システムメインリレー31の電磁コイル72aと接続する複数の第7駆動ライン、第8駆動ライン、第9駆動ライン及び第10駆動ラインが設けられている。
【0115】
第7駆動ラインは、電池スタック20aの正極端子から第1番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、電池スタック20aの正極端子とシステムメインリレー31を接続する正極ラインPL1に接続する接続ラインPL2a及び第1番目の単電池10の負極端子に接続される接続ラインL5で構成される。電磁コイル72aの一端は、スイッチS10を介して接続ラインPL2aと接続され、他端は、スイッチS18を介して接続ラインL5と接続されている。
【0116】
第8駆動ラインは、電池スタック20aの正極端子から第2番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、第2番目の単電池10の正極端子に接続される接続ラインL5及び負極端子に接続される接続ラインL3で構成される。電磁コイル72aの一端は、スイッチS18,S20を介して接続ラインL5と接続され、他端は、スイッチS11を介して接続ラインL43接続されている。
【0117】
第9駆動ラインは、電池スタック20aの正極端子から第3番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、第3番目の単電池10の正極端子に接続される接続ラインL3及び負極端子に接続される接続ラインL6で構成される。電磁コイル72aの一端は、スイッチS11,S12を介して接続ラインL3と接続され、他端は、スイッチS19を介して接続ラインL6と接続されている。
【0118】
第10駆動ラインは、電池スタック20aの正極端子から第4番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、第4番目の単電池10の正極端子に接続される接続ラインL6及び電池スタック20aの負極端子(電池スタック20aと電池スタック20aとを接続する接続ラインL3)に接続する接続ラインNL2aで構成される。電磁コイル72aの一端は、スイッチS19,S21を介して接続ラインL6と接続され、他端は、スイッチS13を介して負極ラインNL2aと接続されている。
【0119】
図9の例において電池スタック20bも同様に、電池スタック20bの4つの単電池10それぞれに、システムメインリレー32の電磁コイル72bと接続する複数の第11駆動ライン、第12駆動ライン、第13駆動ライン及び第14駆動ラインが設けられている。
【0120】
第11駆動ラインは、電池スタック20bの正極端子から第1番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、電池スタック20bの正極端子と電池スタック20aとの接続ラインL2に接続する正極ラインPL2b及び第1番目の単電池10の負極端子に接続される接続ラインL7で構成される。電磁コイル72bの一端は、スイッチS17を介して接続ラインPL2bと接続され、他端は、スイッチS23,S25を介して接続ラインL7と接続されている。
【0121】
第12駆動ラインは、電池スタック20bの正極端子から第2番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、第2番目の単電池10の正極端子に接続される接続ラインL7及び負極端子に接続される接続ラインL4で構成される。電磁コイル72bの一端は、スイッチS23を介して接続ラインL7と接続され、他端は、スイッチS15,S16を介して接続ラインL4と接続されている。
【0122】
第13駆動ラインは、電池スタック20bの正極端子から第3番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、第3番目の単電池10の正極端子に接続される接続ラインL4及び負極端子に接続される接続ラインL8で構成される。電磁コイル72bの一端は、スイッチS15を介して接続ラインL4と接続され、他端は、スイッチS22,S24介して接続ラインL8と接続されている。
【0123】
第14駆動ラインは、電池スタック20bの正極端子から第4番目の単電池10の正極端子及び負極端子に接続され、第4番目の単電池10の正極端子に接続される接続ラインL8及び電池スタック20bの負極端子(電池スタック20bの負極端子とシステムメインリレー32を接続する負極ラインNL1)に接続する接続ラインNL2bで構成される。電磁コイル72bの一端は、スイッチS22を介して接続ラインL8と接続され、他端は、スイッチS14を介して負極ラインNL2bと接続されている。
【0124】
図9の例では、図7の単電池群間よりもより細分化された単電池毎の複数の駆動ラインを含んで構成され、各電池スタック別に単電池間に電圧差がある場合、最大電圧の単電池をシステムメインリレーの駆動電源として選択し、対応するシステムメインリレーを動作させることができる。上述した図8の説明と同様に、各単電池を駆動電源と用いたシステムメインリレー31、32の動作は、単電池群を各単電池として単電池間の電圧差を検出し、組電池又は電池スタックを構成する直列に接続された単電池間で最も電圧の高い単電池を駆動電源として選択することで、対応するシステムメインリレーの動作させることができる。
【0125】
図9の例では、組電池20又は電池スタック20a、20bを構成する単電池単位で、システムメインリレーの駆動電源を選択することができ、図7の例よりも細やかな単電池間の電圧を均等する均等化回路として機能することができる。
【符号の説明】
【0126】
10 単電池(蓄電素子)
20 組電池(蓄電装置)
20a,20b 電池スタック(蓄電スタック)
21 電圧監視IC
25 インバータ
26 モータ・ジェネレータ
31,32 システムメインリレー
40 コントローラ
72 電磁コイル(駆動コイル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行用モータに電力を供給する蓄電装置と、
駆動コイルを備え、前記駆動コイルへの通電によって前記蓄電装置及び走行用モータを電気的に接続する状態と、前記蓄電装置及び走行用モータの接続を遮断する状態との間で切り替わるシステムメインリレーと、
前記蓄電装置及び駆動コイルを接続する接続ラインと、
前記蓄電装置の電力を用いて前記駆動コイルを駆動させて前記システムメインリレーの動作を制御するコントローラと、
を有することを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記接続ラインに設けられ、前記蓄電装置の電力を前記駆動コイルに通電するオン状態と、前記駆動コイルへの通電を遮断するオフ状態とを切り替えるスイッチ、を有し、
前記コントローラは、前記スイッチの切り替え制御を通じて前記システムメインリレーの動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記蓄電装置は、複数の蓄電スタックで構成され、
前記接続ラインは、前記複数の蓄電スタックそれぞれと前記駆動コイルを接続する複数の駆動ラインを含み、
前記コントローラは、前記蓄電スタックのうちの任意の前記蓄電スタックの電力を用いて前記駆動コイルを駆動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記蓄電スタックのうち電圧が最も高い蓄電スタックの電力を用いて前記駆動コイルを駆動させることを特徴とする請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記蓄電装置は、直列に接続された複数の蓄電素子で構成され、
前記接続ラインは、前記蓄電素子単位又は所定数の蓄電素子群単位で前記駆動コイルと接続する複数の駆動ラインを含み、
前記コントローラは、前記蓄電素子のうち任意の前記蓄電素子の電力を用いて、又は前記蓄電素子群のうち任意の前記蓄電素子群の電力を用いて前記駆動コイルを駆動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電源システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記蓄電素子単位で前記駆動ラインが接続された各蓄電素子のうち電圧が最も高い蓄電素子の電力、又は前記蓄電素子群単位で前記駆動ラインが接続された各蓄電素子群のうち電圧が最も高い蓄電素子群の電力を用いて前記駆動コイルを駆動させることを特徴とする請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記システムメインリレーは、前記蓄電装置の正極端子及び前記走行用モータの接続を許容する第1システムメインリレーと、前記蓄電装置の負極端子及び前記走行用モータの接続を許容する第2システムメインリレーと、を含み、
前記第1システムメインリレー及び第2システムメインリレーそれぞれの前記駆動コイルは、並列又は直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−81344(P2013−81344A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221293(P2011−221293)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】