説明

電源制御装置、その電源制御装置を備えた画像形成装置、多機能装置の電源を制御する管理装置、コンピュータを管理装置として機能させるプログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】モジュール毎に電源制御(電力供給及び供給遮断)が可能な画像形成装置において、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図る。
【解決手段】CPUは、機器IDに基づいて使用権限を有するユーザーIDを取得するステップ(S1010)と、機器IDに基づいて現在のモジュールの起動状況を取得するステップ(S1020)と、ユーザーが接近している場合には(S1040にてYES)起動条件テーブルにしたがってモジュール毎に電力供給制御を行なうステップ(S1060)と、ユーザーが離れていく場合には(S1040にてNO)節電条件テーブルにしたがってモジュール毎に電力遮断制御を行なうステップ(S1070)とを含むプログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続され多くのユーザーに共用される多機能装置(例えば、複合機としての画像形成装置)の電源を制御する電源制御装置に関し、特に、ユーザーの利便性を向上しつつ消費電力を最大限に低減することができるように電源を制御する電源制御装置に関する。なお、本発明は、その電源制御装置を備えた画像形成装置、多機能装置の電源を制御する管理装置、コンピュータを管理装置として機能させるプログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体にも関係がある。
【背景技術】
【0002】
プリンタやコピー等の印刷装置をネットワークに接続し、これらを複数のユーザーで利用するケースが多くなっている。このように使用される印刷装置は、ユーザーの印刷要求タイミングが個人個人により異なるので、長時間にわたって電源が投入されていることが多く、消費電力の削減に対する対策が必要となっている。特に、複合機のように、コピー機能、ファクシミリ機能(以下、ファクシミリをFAXと記載する場合がある。)、ネットワーク対応のプリンタ機能、及びスキャナ機能を有するものも多いため、夜間等を含め終日にわたって電源を遮断しないこともあり、消費電力削減のニーズは一層高くなっている。なお、画像形成装置(複合機)は、多機能装置の一例である。
【0003】
このようなことから、複合機に電源が入っているが作動要求がない待機状態になると、電源をオフ状態又は使用しないユニット(モジュールともいう。)への電力供給を停止するパワーセーブ状態等の省エネルギーモード(以下、省エネモード)に、自動的に移行することが行なわれている。そして、この省エネモードは、通常、ユーザーがプリント又はコピー開始のためのキー操作、ネットワークを介した印刷要求等によって解除されて印刷動作が行なわれる。しかしながら、この場合において、複合機が印刷開始が可能となる状態に復帰するのに時間がかかる場合がある。
【0004】
また、複合機の多機能化及び高機能化により、情報のコピー等を容易に取得することも可能になっており、印刷に対するセキュリティを高める必要がある。複合機(印刷装置、画像形成装置)のセキュリティを高めたり省エネを図ったりする技術が、特開2008−023914号公報(特許文献1)及び特開2008−123352号公報(特許文献2)に開示されている。
【0005】
特許文献1は、入退場管理がされた空間に設置した1又は複数の画像形成装置への電源の投入又は遮断を制御する画像形成装置の電源制御方法を開示する。この電源制御方法は、入退場を示す入退場情報を取得し、取得された入退場情報に基づいて、画像形成装置への電源の投入又は遮断を制御することを特徴とする。
【0006】
この電源制御方法によると、入退場(例えば、入退室)を示す入退場情報を取得し、取得された入退場情報に基づいて、入退場管理がされた空間(例えば、室内)に設置した画像形成装置への電源の投入又は遮断を制御する。例えば、ユーザーが入場した場合には、速やかに画像形成装置の電源をオンし、ウォーミングアップが完了して使用可能状態になる時点を早くして、ユーザーの利便性を向上させる。また、ユーザーが退場した場合には、画像形成装置の電源をオフして画像形成装置で消費される電力を低減する。このため、多くのユーザーで共用する画像形成装置の省エネが図れるとともに、入室を許可されていない者は画像形成装置を使用できないようにするため、セキュリティを向上させることができる。
【0007】
特許文献2は、印刷装置の電源を省エネモードに設定可能な印刷装置の電源システムを開示する。この電源システムは、特定エリア内に事前登録されたユーザーがいることを監視するユーザー監視手段と、ユーザーが特定エリア内にいる人数により、電源オフ、省エネモード、通常モードを切換える電源制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この電源システムは、印刷装置の電源がオンされてから、また、使用が終えてから次に使用されるまでの待機状態が所定時間経過したときに、電源オフ状態又はパワーセーブ状態に切換えられるような省エネモードに設定することが可能な電源システムを対象とする。この場合、単に印刷装置が待機状態で一定時間経過したら自動的にパワーセーブ状態に切換えを行なうのではなく、事務室又は作業室内に印刷装置が設置されている場合、その室に在室する人の数や、また、在室者の内でも印刷装置の使用に関係のある人の数によって、現時点で、印刷装置の省エネモードの設定が適切か否かを見直す。すなわち、在室者が多い場合と少ない場合、さらには印刷操作に直接関与する人としない人の在室状態によって、印刷装置の使用頻度や使用要求が異なることを考慮して、効率的な省エネモードの設定を変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−023914号公報
【特許文献2】特開2008−123352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ユーザーの入室により複合機への電力を供給していたのでは、必ずユーザーが入室してから省エネモードからの復帰を開始させることになり、作動可能な状態になるまでに時間がかかり過ぎる場合がある。このため、ユーザーがすぐにコピーしたい場合であっても、画像形成部(例えば、定着ユニットの温度制御)が画像形成可能な状態にならないので、すぐにはコピーできない。
【0011】
また、複合機においては、FAX通信部、スキャナ部、画像形成部等のモジュールに分かれて構成されている。コピーする場合には、FAX通信部は使用しないが、スキャナ部で原稿を走査して画像形成部で紙に画像を形成する。FAXを送信する場合には、画像形成部は使用しないが、スキャナ部で原稿を走査してFAX通信部で送信する。コンピュータから画像データを送信して画像形成する場合には、FAX通信部及びスキャナ部は使用しないが、受信した画像データに基づいて画像形成部で紙に画像を形成する。このように、使用用途によって稼動させるモジュールが異なる。一律に複合機全体を省エネモードにしても元々電力供給が不要なモジュールを省エネモードにするのみであったり、省エネモードにすべきでないモジュールを省エネモードにしてしまったりする場合がある。
【0012】
さらに、これらのモジュールは、それぞれで復帰時間(ウォーミングアップ時間)が異なり、同じタイミングで電力を供給していたのでは、例えば、FAX送信機能はすぐに復帰しても、定着ユニットの温度上昇に時間がかかる画像形成機能はすぐには復帰できない。すなわち、FAX送信する場合に比べて画像形成する場合には、省エネモードからの復帰がユーザーの使用要求に対応しておらず、コピーしたいユーザーを待たせてしまう可能性がある。
【0013】
したがって、本発明の目的は、複合機を始めとする多機能装置であって、機能モジュール毎に電源制御(電力供給及び供給遮断)が可能な装置について、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる電源制御装置、その電源制御装置を備えた画像形成装置及び多機能装置の電源を制御する管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る電源制御装置は、複数のモジュールで構成され、対応するモジュールが作動することにより複数の機能を実現する多機能装置の電源を制御する。モジュールは個々に電源制御が可能である。この電源制御装置は、多機能装置の使用者とモジュールとの関連についての使用者情報を記憶するための記憶手段と、使用者の現在位置についての位置情報を取得するための取得手段と、使用者情報及び位置情報に基づいて、モジュールへの電力の供給及び遮断を制御するための制御手段とを含む。
【0015】
この電源制御装置によると、多機能装置の使用者がよく使用する(高い頻度で使用する)モジュールが記憶されたり、モジュールへの電力の供給を開始するタイミング(使用者との距離)が記憶されたりする。多機能装置の特定のモジュールをよく使用する使用者がこの多機能装置に接近すると、前もってモジュールに電力が供給され始める。このため、この使用者がこの多機能装置に到達すると、この多機能装置においてよく使用するモジュールのウォーミングアップが終了していて作動を開始できるようになっている。このように、使用者が必要するモジュールのみに電力を供給するので、最大限の省エネを実現できるとともに、そのモジュールには使用者が到達する前に電力を供給して到達したときにはウォーミングアップが終了しているので、使用者はすぐに使用することができる。その結果、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる電源制御装置を提供することができる。
【0016】
この記憶手段は、使用者の位置とモジュールを備えた多機能装置の位置との距離に対応させて起動又は停止するモジュールを記憶するための手段を含むように構成することができる。この場合において、取得手段は、使用者の現在位置に基づいて、距離についての位置情報を取得するための手段を含むように構成することができ、制御手段は、距離に基づいて、モジュールへの電力の供給及び遮断を制御するための手段を含むように構成することができる。
【0017】
使用者の位置とモジュールを備えた多機能装置の位置との距離が近いとモジュールへ電力を供給して、距離が遠いとモジュールへの電力を遮断する。ウォーミングアップするのに時間がかかる場合には距離に応じて前もってモジュールへ電力を供給する。このように、距離に基づいて使用者が必要するモジュールのみに電力を供給するので、最大限の省エネを実現できるとともに、距離に応じて前もってモジュールへ電力を供給するので、使用者が到達したときにはウォーミングアップが終了しているので、使用者はすぐに使用することができる。
【0018】
この制御手段は、距離の変化に基づいて、使用者が多機能装置へ接近してくる場合にはモジュールへ電力を供給するように、使用者が多機能装置から離れていく場合にはモジュールへ供給されている電力を遮断するように、制御するための手段を含むように構成することができる。
【0019】
使用者が多機能装置へ接近してくる場合には、この後においてこの使用者によりモジュールが使用される可能性が高いため、モジュールへ電力を供給する。距離が予め定められた距離であって使用者が離れていく場合には、この後においてこの使用者によりモジュールが使用される可能性が低いため、モジュールへ供給されている電力を遮断する。これにより、最大限の省エネを実現することができる。
【0020】
この制御手段は、使用者が多機能装置の位置に到着した場合にウォーミングアップが完了して所定のモジュールが作動するように、モジュールへの電力の供給を開始するための手段を含むように構成することができる。
【0021】
距離に応じて前もってモジュールへ電力を供給するので、使用者が到達したときにはウォーミングアップが終了しているので、使用者はすぐに所定のモジュールを使用することができる。
【0022】
この記憶手段は、使用者の位置とモジュールを備えた多機能装置の位置との距離に対応させて起動するモジュールを、使用者の使用態様に対応させて記憶するための手段を含むように構成することができる。この場合において、取得手段は、使用者の現在位置に基づいて、距離についての位置情報を取得するための手段を含むように構成することができ、制御手段は、距離に基づいて、使用者が多機能装置の位置に到着した場合に使用者の使用態様に対応させて起動するモジュールのウォーミングアップが完了して作動できるように、モジュールへの電力の供給を開始するための手段を含むように構成することができる。
【0023】
どの機能をよく使用するのかを示す使用態様に対応させて起動するモジュールが、使用者が多機能装置の位置に到着した場合にウォーミングアップが完了して作動できるように、電力の供給が開始される。このため、その使用者がよく使用するモジュールを、多機能装置に到達したその使用者がすぐに使用することができる。
【0024】
この記憶手段は、使用者の位置とモジュールを備えた多機能装置の位置との距離に対応させて停止するモジュールを、使用者の使用態様に対応させて記憶するための手段を含むように構成することができる。この場合において、取得手段は、使用者の現在位置に基づいて、距離についての位置情報を取得するための手段を含むように構成することができ、制御手段は、距離に基づいて、使用者の使用態様に対応させて、モジュールへの電力の供給を停止するための手段を含むように構成することができる。
【0025】
どの機能をよく使用するのかを示す使用態様に対応させて起動しているモジュールについて、使用者が多機能装置の位置から離れていく場合に電力が遮断される。このため、その使用者がよく使用するモジュールであっても、その使用者が多機能装置から離れるとモジュールへの電力が遮断されるので、最大限の省エネを実現できる。
【0026】
この記憶手段は、使用者の使用履歴に対応させて起動するモジュールを、曜日及び時間帯の少なくともいずれかに対応させて記憶するための手段を含むように構成することができる。この場合において、電源制御装置は、現在の曜日及び時間帯の少なくともいずれかを取得するための手段をさらに含むように構成することができ、制御手段は、現在位置が多機能装置の設置部屋である場合には、現在の曜日及び時間帯の少なくともいずれかに基づいて、モジュールへの電力の供給及び遮断を制御するための手段を含むように構成することができる。
【0027】
特定の曜日又は特定の時間帯に、あるユーザが特定の機能を使用する頻度が高い場合には(特定のモジュールを使用する頻度が高い場合には)、その曜日又は特定の時間帯になるとモジュールへ電力を供給する。使用者の使用履歴に基づいて、その使用者が使用する頻度の高いモジュールのみを作動させることができる。
【0028】
この記憶手段は、使用者の使用履歴に基づいて、曜日及び時間帯の少なくともいずれかに対応させてモジュールの使用頻度を記憶するための手段を含むように構成することができる。この場合において、制御手段は、現在の曜日及び現在の時間帯の少なくともいずれかにおける使用頻度が高いと記憶されている場合にはモジュールへ電力を供給するように、使用頻度が低いと記憶されている場合にはモジュールへ供給されている電力を遮断するように、制御するための手段を含む含むように構成することができる。
【0029】
特定の曜日又は特定の時間帯に、あるユーザが特定の機能を使用する頻度が高い場合には(特定のモジュールを使用する頻度が高い場合には)、その曜日又は特定の時間帯になるとモジュールへ電力を供給し、特定の機能を使用する頻度が低い場合には(特定のモジュールを使用する頻度が低い場合には)、その曜日又は特定の時間帯になるとモジュールへ電力を供給しない。使用者の使用履歴に基づいて、その使用者が使用する頻度の高いモジュールを作動させたり、頻度の低いモジュールの作動を停止させたりすることができる。
【0030】
本発明の第2の局面に係る画像形成装置は、上述したいずれかの電源制御装置を備えた画像形成装置である。
【0031】
コピー機能、FAX通信機能、プリント機能及びスキャナ機能(これらの機能を実現するモジュールは個々に電源制御が可能)を備えた画像形成装置に対して、最大限の省エネを実現できるとともに、そのモジュールには使用者が到達する前に電力を供給して到達したときにはウォーミングアップが終了しているので、使用者はすぐに使用することができる。その結果、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる画像形成装置を提供することができる。
【0032】
本発明の第3の局面に係る管理装置は、複数のモジュールで構成され、対応するモジュールが作動することにより複数の機能を実現する多機能装置の電源を制御する。モジュールは個々に電源制御が可能である。この管理装置は、多機能装置と通信するための通信手段と、多機能装置の使用者とモジュールとの関連性についての使用者情報を記憶するための記憶手段と、使用者の現在位置についての位置情報を取得するための取得手段と、現在位置及び使用者情報に基づいてモジュールへの電力の供給及び遮断を制御する制御信号を生成して、生成された多機能装置へ送信するための処理手段とを含む。
【0033】
コピー機能、FAX通信機能、プリント機能及びスキャナ機能を備えた画像形成装置を始めとする多機能装置に対して、最大限の省エネを実現できるとともに、そのモジュールには使用者が到達する前に電力を供給して到達したときにはウォーミングアップが終了しているので、使用者はすぐに使用することができる。その結果、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる多機能装置の電源を管理する管理装置をを提供することができる。
【0034】
本発明の第4の局面に係るコンピュータプログラムは、通信部、記憶部及び演算部を備えたコンピュータにより実行されると、当該コンピュータを、上述したいずれかの管理装置として機能させる。
【0035】
本発明の第5の局面に係る記録媒体は、上述したコンピュータプログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る電源制御装置、画像通信装置及び管理装置によると、モジュール毎に電源制御(電力供給及び供給遮断)が可能な装置について、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる電源制御装置、その電源制御装置を備えた画像形成装置及び多機能装置の電源を制御する管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの全体構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置150の外観を示す斜視図である。
【図3】図1に示す画像形成装置150の内部構成を簡略化して示す図である。
【図4】図1に示す画像形成装置150のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図1に示す画像形成装置150においてモジュール毎に電源を管理するハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置において記憶される機器使用権限テーブルを示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置において記憶される機器起動状況テーブルを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置において記憶されるユーザー移動情報テーブルを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置において記憶される機器の起動条件テーブルを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置において記憶される機器の節電条件テーブルを示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置において実行される電源制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置において記憶されるエリア内情報テーブルを示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置において記憶されるユーザーの機器使用状況テーブルを示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置で実行される電源制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。なお、以下においては、電子写真方式の画像形成装置(複合機)について説明するが、本発明はこれに限定されず、機能モジュール毎に電源制御(各機能モジュールへの電力供給の開始及び遮断を制御)が可能な多機能装置であれば特に画像形成装置(複合機)に限定されず、画像形成装置(複合機)であっても印刷方式は限定されない。さらに、以下の実施の形態においては、ネットワークに接続された画像形成装置において自己の機能モジュールの電源制御を行なう場合について説明するが、ネットワーク上に電源制御サーバ装置(管理装置)を配置してこの電源制御サーバ装置からの指令によって各々の複合機が自己の機能モジュールの電源制御を行なうものであっても構わない。
【0039】
<第1の実施の形態>
以下に、本実施の形態に係る画像形成装置(複合機)について説明する。この画像形成装置は、上述したように機能モジュール毎に電源制御が可能な構成を備える。
【0040】
[全体システム構成]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの全体構成図である。図1(A)は、鉄道の○×駅、バス経路及び△△バス停から事業所までの経路の概要についての概念図、図1(B)は、事業所内の建屋の配置についての概念図、図1(C)はそれらの建屋の中の1つの□□建屋内(図面を用いた説明の都合上、この建屋は1フロアのみであると想定する。)の平面についての概念図である。これらの図1(A)〜図1(C)に対応させて、画像形成システムの構成を示す。
【0041】
この画像形成システムは、例えば、図1(A)に示すように、鉄道の○×駅からバスに乗車して、△△バス停で下車して徒歩で事業所内の□□建屋に通勤するユーザーを対象とする。図1(B)に示すように、この事業所は、少なくともXXX門を備え、複数の建屋が配置されている。図1(C)に示すように、複数の建屋の中の1つの建屋である□□建屋は、入口、その入口に通じる通路及びその通路に入口が設けられた複数の部屋から構成される。点線は、あるユーザーの移動経路を示す。
【0042】
図1に示すように、鉄道会社は改札機100の入出札情報を、鉄道の利用者毎に管理する鉄道乗降管理システムを備える。この鉄道乗降管理システムは、複数の駅における改札機100に接続されるとともに管理サーバ(図示しない)が設けられた鉄道会社ネットワーク102と、他のネットワークとの接続装置104とを含む。この接続装置104を介して、個人情報が厳格に管理される下で、他のネットワークに、この入出札情報が送信される。
【0043】
例えば、図1(A)の鉄道○×駅の改札機100をICカード型の定期券又は記名式のプリペイドカード(乗客ID記憶型)で入出札したユーザーの情報は、鉄道会社ネットワーク102及び接続装置104を介して、社内ネットワーク(画像形成システム)122に取り込むことができる。これにより、ユーザーごとに○×駅の改札機100を入出札したことを社内ネットワーク122で検出することができる。なお、社内ネットワーク122においては、社内のユーザーIDと鉄道会社の乗客IDとを関連付けることができるものとする。
【0044】
図1に示すように、バス会社はバスに備えられたバス料金箱110の料金収受情報(バス乗降車情報)を、バスの利用者毎に管理するバス乗降管理システムを備える。このバス乗降管理システムは、複数のバスに設置されたバス料金箱110に無線接続されるとともに管理サーバ(図示しない)が設けられたバス会社ネットワーク112と、他のネットワークとの接続装置114とを含む。この接続装置114を介して、個人情報が厳格に管理される下で、他のネットワークに、このバス乗降車情報が送信される。
【0045】
例えば、図1(A)の△△バス停でバスを下車するために料金箱200にICカード型の定期券又は記名式のプリペイドカード(乗客ID記憶型)でバス料金を後払いで支払ったユーザーの情報は、バス会社ネットワーク112及び接続装置114を介して、社内ネットワーク122に取り込むことができる。これにより、ユーザーごとに△△バス停でバスを降車したことを社内ネットワーク122で検出することができる。また、例えば、図1(A)の△△バス停でバスに乗車するためにバス料金箱110にICカード型の定期券又は記名式のプリペイドカード(乗客ID記憶型)でバス料金を前払いで支払ったユーザーの情報は、バス会社ネットワーク112及び接続装置114を介して、社内ネットワーク122に取り込むことができる。これにより、ユーザーごとに△△バス停でバスに乗車したことを社内ネットワーク122で検出することができる。なお、社内ネットワーク122においては、社内のユーザーIDとバス会社の乗客IDとを関連付けることができるものとする。
【0046】
図1に示すように、この事業所においては、機密情報の漏洩を防ぐために、許可されたユーザー(多くの場合において社員)のみが事業所内に入ることを許可する入退室管理システム(セキュリティシステム)が設けられている。例えば、ユーザーIDが記憶された社員カード(セキュリティカード)又はゲストカードをカードリーダに読ませることにより、その社員又はゲストに対して許可されたエリアにのみにしかその社員又はゲストが入ることができないように管理している。
【0047】
図1に示すように、この入退室管理システムは、事業所のXXX門(他の門も同様)に設けられたセキュリティゲート120、各建屋の入口に設けられたセキュリティカードリーダ126及び各ドアの入口に設けられたセキュリティカードリーダ128を接続する構内LAN(Local Area Network)130に接続されるとともに管理サーバ(図示しない)が設けられた社内ネットワーク(画像形成システム)122と、他のネットワークとの接続装置124とを含む。この社内ネットワーク122は、接続装置124を介して、鉄道会社ネットワーク102から入出札情報を、バス会社ネットワーク112から乗降車情報を受信する。
【0048】
なお、ユーザーの社外での位置情報の検出は、上述した鉄道会社ネットワーク102による入出札情報及びバス会社ネットワーク112に限定されるものではなく、使用可能なように整備されたインフラストラクチャに基づく位置情報であればよい。例えば自動車通勤者の位置情報を検出するインフラストラクチャに基づいて、ユーザーの社外での位置情報を検出することもできる。
【0049】
セキュリティゲート120で読込んだセキュリティカードに記憶されたユーザーIDに基づいて、この事業所に入ることが許可されていない社員であると判定された場合又はゲストユーザーとして登録されていないと判定された場合には、セキュリティゲート120のゲートが開かないようになっている。各建屋の入口に設けられたセキュリティカードリーダ126で読込んだセキュリティカードに記憶されたユーザーIDに基づいて、各建屋に入ることが許可されていない社員であると判定された場合又はゲストユーザーとして登録されていないと判定された場合には、建屋の入口ドアのロックが解除しないようになっている。部屋の入口ドア又は通路のドアに設けられたセキュリティカードリーダ128で読込んだセキュリティカードに記憶されたユーザーIDに基づいて、各部屋に入ることが許可されていない社員であると判定された場合又はゲストユーザーとして登録されていないと判定された場合には、部屋の入口ドア又は通路のドアのロックが解除しないようになっている。
【0050】
例えば、図1(A)の△△バス停でバスを下車して、図1(B)のXXX門でセキュリティゲート120にセキュリティカードを読込ませたユーザーの情報は、社内ネットワーク122に取り込むことができる。これにより、ユーザーごとにXXX門を通過したこと(通過情報)を社内ネットワーク122で検出することができる。
【0051】
図1(B)のXXX門でセキュリティゲート120を通過して、図1(C)の□□建屋の入口に設けられたセキュリティカードリーダ126にセキュリティカードを読込ませたユーザーの情報は、社内ネットワーク122に取り込むことができる。これにより、ユーザーごとに□□建屋に入ったこと(通過情報)を社内ネットワーク122で検出することができる。
【0052】
図1(C)の□□建屋に入って、各ドアに設けられたセキュリティカードリーダ128にセキュリティカードを読込ませたユーザーの情報は、社内ネットワーク122に取り込むことができる。これにより、ユーザーごとに□□建屋内の特定のエリアに入ったこと(通過情報)を社内ネットワーク122で検出することができる。
【0053】
本実施の形態に係る画像形成装置150は、例えばエリアIDがA−1000で識別される部屋に設置されている。この画像形成装置150は構内LAN130に接続され、画像データをコンピュータから受信してプリントアウトするとともに、構内LAN130から上述した入出札情報及びバス乗降車情報並びに通過情報に基づきユーザー移動情報を検出することができる。この画像形成装置150は、このようなユーザー移動情報等に基づいて、使用権限を有するユーザーと画像形成装置150との距離(接近度合い)に応じて、復帰時間が異なるモジュール毎に、電力の供給を開始したり、電力の供給を遮断したりする。
【0054】
この画像形成装置150は、このような電源制御機能に加えて、基本的機能である画像形成機能を備える。まず、以下において、この基本的な機能について説明する。
【0055】
[画像形成装置:機能]
図2は、画像形成装置150の外観構成を示す図である。図3は、画像形成装置150の内部構成を簡略化して示す図である。図4は、画像形成装置150の機能ブロック図である。
【0056】
図2及び図3を参照して、画像形成装置150は、原稿読取部152、画像形成部154、給紙部156、及び排紙処理装置158を備える。
【0057】
−コピーモード−
以下において、コピーモードでの動作説明を行なう。このコピーモードにおいては、主として、原稿読取部(以下、スキャナ部と記載する場合がある。)152及び画像形成部154が動作することによりコピー機能が実現される。
【0058】
画像形成装置150においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部152により画像データとして読取られ、読取られた画像データが図4に示すマイクロコンピュータ等から構成されるCPU(Central Processing Unit)300に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成部154へと出力される。
【0059】
画像形成部154は、画像データによって示される原稿の画像を記録媒体(多くの場合、記録用紙)に印刷するものであって、感光体ドラム222、帯電装置224、レーザスキャンユニット(以下、「LSU」と称する。)226、現像装置228、転写装置230、クリーニング装置232、定着装置234、及び図示しない除電装置等を備えている。
【0060】
画像形成部154には、主搬送路236及び反転搬送路238が設けられており、給紙部156から給紙されてきた記録用紙が主搬送路236に沿って搬送される。給紙部156は、用紙カセット240に収納された記録用紙、又は手差トレイ242に載置された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部154の主搬送路236へと送り出す。
【0061】
画像形成部154の主搬送路236に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラム222と転写装置230との間を通過し、更に定着装置234を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
【0062】
感光体ドラム222は、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置232と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置224により均一に帯電される。
【0063】
LSU226は、印刷対象の画像データに基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム222の表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラム222の表面に形成する。
【0064】
現像装置228は、トナーを感光体ドラム222の表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム222の表面に形成する。
【0065】
転写装置230は、当該転写装置230と感光体ドラム222との間を通過していく記録用紙に感光体ドラム222の表面のトナー像を転写する。
【0066】
定着装置234は、記録用紙を加熱するための加熱ローラ248と、記録用紙を加圧するための加圧ローラ250とを含む。記録用紙は、加熱ローラ248によって加熱され、かつ、加圧ローラ250によって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。この定着装置234へ供給される電力によりヒータを温めて加熱ローラ248の温度が定着に適した温度になるように制御されている。省エネモードに入ると(画像形成部154への電力供給が遮断されると)、ヒータへの電力が供給されず加熱ローラ248の温度が低下する。省エネモードから復帰すると(画像形成部154への電力供給が再開されると)、ヒータへ電力が供給されて加熱ローラ248の温度が上昇する。一旦低下した加熱ローラ248の温度が定着に適した温度まで上昇するためのウォーミングアップ時間を必要とする。なお、このウォーミングアップ時間は、各画像形成装置ごとに異なる。
【0067】
主搬送路236と反転搬送路238との接続位置には、分岐爪244が配設されている。記録用紙の片面のみに印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が位置決めされ、この分岐爪244により定着装置234からの記録用紙が排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれる。
【0068】
記録用紙の両面に印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が所定方向に回動されて記録用紙が反転搬送路238の方へと導かれる。記録用紙は、反転搬送路238を通過して、その表裏を反転されて主搬送路236へと再び搬送され、主搬送路236の再度の搬送途中で、その裏面への印刷が行なわれて排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれる。
【0069】
上述のようにして印刷された記録用紙は、排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれて排紙トレイ246に排出され、又は排紙処理装置158の各排紙トレイ168の何れかに排出される。
【0070】
排紙処理装置158では、複数の記録用紙を各排紙トレイ168に仕分けして排出する処理、各記録用紙にパンチングする処理、及び各記録用紙にステープルする処理を施す。例えば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ168に印刷物の一部ずつが割り当てられるように、各記録用紙を各排紙トレイ168に仕分けして排出し、排紙トレイ168毎に、排紙トレイ168上の各記録用紙にパンチング処理又はステープル処理を施して印刷物を作成する。
【0071】
−ファクシミリモード−
以下において、ファクシミリモードでの動作説明を行なう。このファクシミリモードにおいては、主として、送信動作は原稿読取部(スキャナ部)152及びFAX通信部155が動作することにより、受信動作はFAX通信部155及び画像形成部154が動作することにより、ファクシミリ機能が実現される。
【0072】
・送信動作
画像形成装置150においては、ファクシミリモードを指定して、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部152により画像データとして読取られ、読取られた画像データが図3に示すマイクロコンピュータ等から構成されるCPU300に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データがFAX通信部(図4のFAX通信部155)へと出力される。
【0073】
送信側の画像形成装置150のFAX通信部155は、指定された送信側の回線を指定された送信先に接続して、画像データをファクシミリ通信規格に合致した通信データへ変換して、受信側のファクシミリ装置(例えばファクシミリ機能を備えた画像形成装置150)へ送信する。
【0074】
・通信動作
回線が接続されると、受信側の画像形成装置150のFAX通信部155は、送信側の画像形成装置150のFAX通信部155からの通信要求信号を検出して、応答信号を送信する。その後、例えば、FAX通信部155は、送信側及び受信側で互いに実装されている能力情報の受渡しを行ない利用可能な最大能力での通信速度及び画像データの符号化・符号訂正方式などを決定してモデムの通信方式を設定する。この通信方式にあわせた画像信号形式を用いて、送信側の画像形成装置150のFAX通信部155から受信側の画像形成装置150のFAX通信部155へデータを送信する。送信が終了すると回線が切断される。
【0075】
・受信動作
受信側の画像形成装置150のFAX通信部155は、受信したデータを画像データに変換して、画像形成部154へ送る。なお、受信したデータを画像データへ変換するのは画像形成部154であっても構わない。画像形成部154は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、受信したデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0076】
−プリンタモード−
以下において、プリンタモードでの動作説明を行なう。このプリンタモードにおいては、主として、画像形成部154が動作することによりプリント機能が実現される。
【0077】
図示しないネットワークインターフェイスを介してコンピュータからプリントデータを受信すると、受信したプリントデータを画像データに変換して、画像形成部154へ送る。なお、プリントデータを画像データへ変換するのは画像形成部154であっても構わない。画像形成部154は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、プリントデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0078】
−スキャナモード−
以下において、スキャナモードでの動作説明を行なう。このスキャナモードにおいては、主として、原稿読取部(スキャナ部)152が動作することによりスキャナ機能が実現される。
【0079】
画像形成装置150においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部152により画像データとして読取られ、読取られた画像データがCPU300に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが記憶装置に記憶されたり、ネットワークに接続されたコンピュータへネットワークインターフェイスを介して送信されたりする。
【0080】
[画像形成装置:ハードウェア構成]
図4を参照して、画像形成装置150はさらに、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能及びスキャナ機能に関する設定が可能な操作装置166と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)306と、通電が遮断された場合であってもプログラム及びデータ等を記憶可能な不揮発性記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)302と、プログラムを実行する際の記憶領域を提供するためのRAM(Random Access Memory)308とを含む。
【0081】
画像形成装置150はさらに、原稿読取部152、画像形成部154、FAX通信部155、操作装置166、ROM306、HDD302、及びRAM308に接続されるバス310と、バス310に接続された、画像形成装置としての一般的機能を実現するためのCPU300とを含む。
【0082】
ROM306には、画像形成装置150の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。CPU300は、ROM306に格納されているプログラム及びデータに従って画像形成装置150の制御を行なうと共に画像形成装置150の各機能に関する制御を実行する。
【0083】
図4に示すように、この画像形成装置150のFAX通信部155には、画像データの送受信用に公衆回線が接続されている。
【0084】
RAM308は、CPU300による演算及び処理の結果を一時的に記憶するワーキングメモリとしての機能と、画像データを記憶するフレームメモリとしての機能とを提供する。
【0085】
原稿読取部152、画像形成部154、操作装置166の板状の操作パネル170及び表示パネル172、並びにROM306、HDD302、及びRAM308に対する制御は、CPU300が所定のプログラムを実行することにより行なわれる。
【0086】
操作装置166は、操作装置166の表面の右側の領域に配置された、テンキー、及びその他の種々の操作ボタンであるハードウェアキーが備えられている板状の操作パネル170と、操作装置166の中央部から左側の領域に配置された、小型のタッチパネル一体型液晶表示装置から構成されている表示パネル172とを含む。操作パネル170と表示パネル172とは一つの筐体に保持され、操作装置166は全体として一体となるように構成されている。
【0087】
この操作装置166においては、表示パネル172に、この画像形成装置150の状態、宛先指定状況、ジョブの処理状況等が表示される。表示パネル172の液晶表示装置の表示領域上には選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネルがその押された位置を検出する。プログラム上で選択ボタンの表示位置とタッチパネルが押された位置とを照合することにより、画像形成装置150の機能設定及び動作指示等が行なわれる。
【0088】
図5を参照して、画像形成装置150においてモジュール毎に電源を管理するハードウェア構成について説明する。図5に示すように、この画像形成装置150の電源制御は、主として3つのモジュール毎に実行される。例えば、第1モジュールはFAX通信部155、第2モジュールは原稿読取部152、第3モジュールは画像形成部154である。なお、3つのモジュールはこれらに限定されるものではなく、さらに別のモジュールを備えるものであっても構わない。このようなモジュールの他の例としては、ネットワークインターフェイス、USBインターフェイス、操作パネル、LED表示灯(遠くからでも認識可能な表示灯)等がある。
【0089】
図5に示すように、第1モジュールであるFAX通信部155にはFAX通信部電源ユニット155Aから電力が供給される。第2モジュールであるスキャナ部152にはスキャナ部電源ユニット152Aから電力が供給される。第3モジュールである画像形成部154には画像形成部電源ユニット154Aから電力が供給される。
【0090】
FAX通信部電源ユニット155A、スキャナ部電源ユニット152A及び画像形成部電源ユニット154Aは、スイッチングユニット300Aを介して、電源ユニット(安定化電源)300Bに電力ラインにより接続されており、スイッチングユニット300AはCPU300と制御ラインにより接続されている。なお、電源ユニット300Bの電源ラインは商用電源に接続されている。
【0091】
後述するように、CPU300は、所定の起動条件が満足されると、電源ユニット300BからFAX通信部電源ユニット155Aへ電力が供給されるように、スイッチングユニット300Aへ電力供給指令信号を出力する(結果としてFAX通信部155が作動)。CPU300は、別の起動条件が満足されると、電源ユニット300Bからからスキャナ部電源ユニット152Aへ電力が供給されるように、スイッチングユニット300Aへ電力供給指令信号を出力する(結果としてスキャナ部152が作動)。CPU300は、さらに別の起動条件が満足されると、電源ユニット300Bから画像形成部電源ユニット154Aへ電力が供給されるように、スイッチングユニット300Aへ電力供給指令信号を出力する(結果として画像形成部154が作動)。
【0092】
また、CPU300は、所定の節電条件が満足されると、電源ユニット300BからFAX通信部電源ユニット155Aへ供給されている電力が遮断されるように、スイッチングユニット300Aへ電力遮断指令信号を出力する(結果としてFAX通信部155が停止)。CPU300は、別の節電条件が満足されると、電源ユニット300Bからスキャナ部電源ユニット152Aへ供給されている電力が遮断されるように、スイッチングユニット300Aへ電力遮断指令信号を出力する(結果としてスキャナ部152が停止)。CPU300は、さらに別の節電条件が満足されると、電源ユニット300Bから画像形成部電源ユニット154Aへ供給されている電力が遮断されるように、スイッチングユニット300Aへ電力遮断指令信号を出力する(結果として画像形成部154が停止)。
【0093】
スイッチングユニット300Aは、CPU300からの指令信号(電力供給指令信号、電力遮断指令信号)に基づいて、電源ユニット300Bから、FAX通信部電源ユニット155A、スキャナ部電源ユニット152A又は画像形成部電源ユニット154Aへの電力の供給を開始したり遮断したりする。
【0094】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置150は、図5に示すように、モジュール毎に、電力を供給したり電力の供給を遮断したりできる構成を備える。なお、電力供給が遮断されている状態から電力を供給し始めて機能が作用するまでのウォーミングアップ時間は、第1モジュールであるFAX通信部155、第2モジュールであるスキャナ部152、第3モジュールである画像形成部154の順序で長くなる。なお、このウォーミングアップ時間は、画像形成装置150の種類により異なる。
【0095】
[記憶テーブル構造]
本実施の形態に係る画像形成装置150は、入出札情報及びバス乗降車情報並びに通過情報に基づきユーザー移動情報を検出して、このユーザー移動情報等に基づいて、使用権限を有するユーザーと画像形成装置150との距離(接近度合い)に応じて、復帰時間が異なるモジュール毎に、電力を供給する。このような機能を実現するために、画像形成装置150に記憶される各種のテーブルの構造について説明する。
【0096】
図6に、画像形成装置150において記憶される機器使用権限テーブルを示す。図6に示すように、この機器使用権限テーブルは、機器IDをキーとして、その機器(画像形成装置150)が設置されているエリアを識別するための機器設置エリアIDと、その機器に対しての使用権限を有するユーザーを識別するための権限持ちユーザーIDとを記憶している。
【0097】
例えば、機器IDがZZ123456で識別される画像形成装置150は、エリアIDがA−1000で識別される部屋に設置されており、この画像形成装置150には、ユーザーIDが100000、100001、100002・・・で識別されるユーザーに対して使用する権限が与えられていることを記憶している。なお、以下において、機器IDがZZ123456で識別される画像形成装置150を単に機器ZZ123456と記載したり、ユーザーIDが100000で識別されるユーザーを単にユーザー100000と記載したりする。
【0098】
図7に、画像形成装置150において記憶される機器起動状況テーブルを示す。図7に示すように、この機器起動状況テーブルは、機器IDをキーとして、モジュール毎に起動しているか否かを示す起動状況を記憶している。なお、起動状況が「1」が起動状態(モジュールに電力が供給されている状態)、起動状況が「0」が節電状態(モジュールへ電力が供給されていない状態)を示している。なお、図7においては、第4モジュール以降も存在することを想定している。
【0099】
例えば、機器IDがZZ123456で識別される画像形成装置150は、現在、第1モジュールであるFAX通信部155が起動しており、第2モジュールであるスキャナ部152及び第3モジュールである画像形成部154が起動していない節電状態である。
【0100】
ここで、
(1)第2モジュールであるスキャナ部152及び第3モジュールである画像形成部154が起動していて、第1モジュールであるFAX通信部155が起動していないと、コピー待機状態であって、
(2)第1モジュールであるFAX通信部155及び第2モジュールであるスキャナ部152が起動していて、第3モジュールである画像形成部154が起動していないと、FAX送信待機状態であって、
(3)第3モジュールである画像形成部154が起動していて、第1モジュールであるFAX通信部155及び第2モジュールであるスキャナ部152が起動していないと、プリント待機状態であって、
(4)第2モジュールであるスキャナ部152が起動していて、第1モジュールであるFAX通信部155及び第3モジュールである画像形成部154が起動していないと、スキャナ待機状態であるといえる。
【0101】
図8に、画像形成装置150において記憶されるユーザー移動情報テーブルを示す。図8に示すように、このユーザー移動情報テーブルは、ユーザーIDをキーとして、管理フラグと、ユーザー移動状況とを記憶している。管理フラグは、例えば、社員であれば「1」であって、ゲストユーザーであれば「0」が記憶される。ユーザー移動状況として、現在そのユーザーがいるエリアを示す現在エリアIDと、1つ前にこのユーザーがいたエリアを示す前エリアID及びその前エリアを出た時刻と、さらに1つ前にこのユーザーがいたエリアを示す前々エリアID及びその前々エリアを出た時刻とを記憶している。
【0102】
このユーザー移動情報テーブルに記憶された前エリアID及び前々エリアIDを用いると、そのユーザーの移動方向を算出することができる。この移動方向が算出できるので、ユーザーが画像形成装置150へ接近しているのか、画像形成装置150から離れているのかを判定することができる。
【0103】
また、このユーザー移動情報テーブルに記憶された前エリアID及び前々エリアID並びにそれぞれのエリアを出た時刻とを用いると、そのユーザーの移動速度を算出することができる。この移動速度については、エリア間の距離が別途記憶されており、例えば、前エリアと前々エリアとの間の距離を、前エリアを出た時刻と前々エリアを出た時刻との差で除算することにより算出できる。移動速度に基づいて、画像形成装置150が設置された部屋まで到達するのに必要な時間を算出して、後述する起動条件テーブルを修正することも可能である。例えば、雨天時に事業所内を徒歩で移動している場合に、晴天の場合よりも移動速度が速かった場合、起動条件テーブルを修正して早めにモジュールを起動しておく。
【0104】
図9に、画像形成装置150において記憶される機器の起動条件テーブルを示す。この起動条件テーブルは、機器IDをキーとして、ユーザーID(このユーザーIDは権限のあるユーザーのIDである。)毎に、第1モジュールを起動する条件(第1モジュールに電力を供給する条件)、第2モジュールを起動する条件(第2モジュールに電力を供給する条件)及び第3モジュールを起動する条件(第3モジュールに電力を供給する条件)が、モジュール起動距離をパラメータとして記憶されている。モジュール起動距離は、機器IDで識別される画像形成装置150までの距離を示すものであって、図9においては、○×駅、△△バス停、XXX入門、□□建屋、30m、5m、・・・で規定している。
【0105】
○×駅で「1」と設定される場合には、このユーザーが○×駅で出札したタイミングで(画像形成装置150から○×駅までの距離で)そのモジュールを起動させることを示している。△△バス停で「1」と設定される場合には、このユーザーが△△バス停で下車したタイミングで(画像形成装置150から△△バス停までの距離で)そのモジュールを起動させることを示している。XXX門で「1」と設定される場合には、このユーザーがXXX門を通過したタイミングで(画像形成装置150からXXX門までの距離で)そのモジュールを起動させることを示している。□□建屋で「1」と設定される場合には、このユーザーが□□建屋に入ったタイミングで(画像形成装置150から□□建屋の入口までの距離で)そのモジュールを起動させることを示している。30mで「1」と設定される場合には、このユーザーが画像形成装置150から30mの距離にあるドアを開けたタイミングで(画像形成装置150から30mの距離で)そのモジュールを起動させることを示している。5mで「1」と設定される場合には、このユーザーが画像形成装置150から5mの距離にあるドアを開けたタイミングで(画像形成装置150から5mの距離で)そのモジュールを起動させることを示している。
【0106】
なお、上述したようにエリア間の距離が別途記憶されている。このため、エリア間の距離を積算することにより画像形成装置から所定の距離(30m又は5m)にあるドアを適宜設定することができるので、各画像形成装置150まで30m及び5mの距離までユーザーが接近しているのか否かを判別することができる。すなわち、画像形成装置150(機器ID)が異なると、30mだけ離れたドアは異なるドアになる可能性があり、5mだけ離れたドアは異なるドアになる可能性が高いことを示す。
【0107】
この起動条件テーブルにおいて、同じ機器であって同じユーザーであってもモジュール毎に起動条件が異なる理由は、例えば、機器IDがZZ123456である画像形成装置150については以下の通りである。ユーザー100000について、モジュール起動距離が□□建屋になると第2モジュール(スキャナ部152)に電力が供給されるが第1モジュール(FAX通信部155)に電力が供給されないで、さらに接近したモジュール起動距離が30mになると第1モジュールに電力が供給される。これは、第1モジュールの方が第2モジュールよりもウォーミングアップ時間が短いためである。なお、第3モジュール(画像形成部154)には、モジュール起動距離が5mになっても電力が供給されないのは、このユーザー100000がFAX主体のユーザーであるためである。ここで、このユーザー100000が機器IDがZZ123457である画像形成装置150を使用する場合には、同じユーザー100000であってFAX主体ユーザーであっても、機器ZZ123457においては、モジュール起動距離が5mまで接近しないと第1モジュール及び第2モジュールには電力が供給されない。これは、機器IDがZZ123456である画像形成装置150における第1モジュール及び第2モジュールのウォーミングアップ時間よりも機器IDがZZ123457である画像形成装置150における第1モジュール及び第2モジュールのウォーミングアップ時間の方が短いためである。
【0108】
この起動条件テーブルにおいて、同じ機器であっても異なるユーザーであると起動条件が異なる理由は、例えば、機器IDがZZ123457である画像形成装置150については以下の通りである。ユーザー100001は、モジュール起動距離がXXX入門で第3モジュール(画像形成部154)に電力を供給し始めている一方、モジュール起動距離が5mになっても第1モジュール(FAX通信部155)及び第2モジュール(スキャナ部152)に電力を供給していない。これは、このユーザー100001がプリント主体のユーザーであり、第3モジュールのウォーミングアップ時間が長いためである。このようなユーザーに対して、ユーザー100000は、モジュール起動距離が5mになるまで全てのモジュールに電力を供給しないで、モジュール起動距離が5mになると第3モジュールには電力を供給しないのに、第1モジュール及び第2モジュールに電力を供給している。これは、このユーザー100000がFAX主体のユーザーであり、第1モジュール及び第2モジュールのウォーミングアップ時間が短いためである。
【0109】
図10に、画像形成装置において記憶される機器の節電条件テーブルを示す。この節電条件テーブルは、図9に示した起動条件テーブルと同じように、機器IDをキーとして、ユーザーID(このユーザーIDは権限のあるユーザーのIDである。)毎に、第1モジュールを節電する条件(第1モジュールへ供給されている電力を遮断する条件)、第2モジュールを節電する条件(第2モジュールへ供給されている電力を遮断する条件)及び第3モジュールを節電する条件(第3モジュールへ供給されている電力を遮断する条件)がモジュール節電開始距離をパラメータとして記憶されている。モジュール節電開始距離は、機器IDで識別される画像形成装置150までの距離を示すものであって、図10においては図9と同様である。
【0110】
○×駅で「1」と設定される場合には、このユーザーが○×駅で入札したタイミングで(画像形成装置150から○×駅までの距離で)そのモジュールへの電力を遮断(節電を開始)させることを示している。△△バス停で「1」と設定される場合には、このユーザーが△△バス停で乗車したタイミングで(画像形成装置150から△△バス停までの距離で)そのモジュールの節電を開始させることを示している。XXX門で「1」と設定される場合には、このユーザーがXXX門を通過したタイミングで(画像形成装置150からXXX門までの距離で)そのモジュールの節電を開始させることを示している。□□建屋で「1」と設定される場合には、このユーザーが□□建屋から出たタイミングで(画像形成装置150から□□建屋の入口までの距離で)そのモジュールの節電を開始させることを示している。30mで「1」と設定される場合には、このユーザーが画像形成装置150から30mの距離にあるドアを開けたタイミングで(画像形成装置150から30mの距離で)そのモジュールの節電を開始させることを示している。5mで「1」と設定される場合には、このユーザーが画像形成装置150から5mの距離にあるドアを開けたタイミングで(画像形成装置150から5mの距離で)そのモジュールの節電を開始させることを示している。
【0111】
なお、節電条件の場合と起動条件の場合とで、同じようにモジュール起動距離を用いて条件を設定しているが、上述したように、ユーザー移動情報テーブルからユーザーの移動方向が判別できるので、ユーザーが画像形成装置150に接近しているときには起動条件に基づいてモジュールを起動させて、ユーザーが画像形成装置150から離れているときには節電条件に基づいてモジュールの節電を開始させることができる。
【0112】
この節電条件テーブルにおいて、同じ機器であっても異なるユーザーであると節電条件が異なる理由は、例えば、機器IDがZZ123457である画像形成装置150については以下の通りである。ユーザー100001は、画像形成装置150から30m離れるまで第3モジュール(画像形成部154)に電力を供給している。これは、このユーザー100001がプリント主体のユーザーであり、第3モジュールのウォーミングアップ時間が長いためである。このようなユーザーに対して、ユーザー100000は、5m離れただけで第3モジュールに電力を供給しなくなる。これは、このユーザー100000がプリント主体ユーザーではないためである。
【0113】
図6〜図10に示すテーブルを参照して、この画像形成装置150は、以下に示すソフトウェア構成を備えたプログラムを実行することにより、モジュール毎の電源制御を実現している。
【0114】
[ソフトウェア構成]
図11は、画像形成装置150で実行される電源制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、画像形成装置150のCPU300は、このようなプログラムと並行して、画像形成装置としての一般的機能を実現するプログラムを実行する。しかしながら、そのプログラムは、本発明の本質的部分とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
【0115】
図11を参照して、ステップ(以下、ステップをSと記載する。)1000にて、画像形成装置150のCPU300(以下、単にCPU300と記載する。)は、一定時間が経過したか否かを判定する。これは、ユーザーの移動速度がコンピュータの計算速度に対して遅いため、例えば5秒間隔で処理を行なうためである。前の処理から一定時間が経過したと判定されると(S1000にてYES)、処理はS1010へ移される。もしそうでないと(S1000にてNO)、この処理はS1000へ戻されて一定時間が経過するまで待つ。
【0116】
S1010にて、CPU300は、機器IDに基づいて、使用権限を有するユーザーIDを取得する。このとき、CPU300は、自己に与えられた機器IDに基づいて、図6に示す機器使用権限テーブルを参照して、自己に対して使用権限を有するユーザーIDを取得する。
【0117】
S1020にて、CPU300は、機器IDに基づいて、現在の機器の起動状況を取得する。このとき、CPU300は、自己に与えられた機器IDに基づいて、図7に示す機器起動状況テーブルを参照して、第1モジュール(FAX通信部155)、第2モジュール(スキャナ部152)、第3モジュール(画像形成部154)の起動状況を取得する。
【0118】
S1030にて、CPU300は、自己に使用権限が与えられているユーザーについてのユーザー移動情報を取得する。このとき、CPU300は、S1010にて取得した自己に使用権限が与えられているユーザーIDに基づいて、図8に示すユーザー移動情報テーブルを参照して、自己に関係がある(自己に使用権限が与えられている)ユーザーの移動情報を取得する。
【0119】
S1040にて、CPU300は、自己に使用権限が与えられているユーザーが接近しているか否かを判定する。このとき、CPU300は、S1030にて取得した自己に使用権限が与えられているユーザーの移動情報において、前々エリアID、前エリアID及び現在エリアIDに基づいて(これらのエリアIDの任意の2つでもよい)、自己に使用権限が与えられているユーザーが自己に接近しているか否かを判定する。自己に使用権限が与えられているユーザーが自己に接近していると判定されると(S1040にてYES)、処理はS1050へ移される。もしそうでないと(S1040にてNO)、この処理はS1070へ移される。なお、このS1040の処理においてNOと判定されるのは、自己に使用権限が与えられているユーザーが自己から離れている場合とする。
【0120】
S1050にて、CPU300は、全てのモジュール(第1モジュール、第2モジュール、第3モジュール)に対して、電力が供給されているか否かを判定する。このとき、CPU300は、S1020で取得した起動状況に基づいてモジュールの状態を判定する。全てのモジュールに対して電力が供給されていると判定されると(S1050にてYES)、処理は終了する。もしそうでないと(S1050にてNO),この処理はS1060へ移される。
【0121】
S1060にて、CPU300は、図9に示した機器の起動条件テーブルにしたがって、モジュール毎に電力供給制御(起動制御)を実行する。その後、この処理は終了する。
【0122】
S1070にて、CPU300は、全てのモジュール(第1モジュール、第2モジュール、第3モジュール)に対して、電力が遮断されているか否かを判定する。このとき、CPU300は、S1020で取得した起動状況に基づいてモジュールの状態を判定する。全てのモジュールに対して電力が遮断されていると判定されると(S1070にてYES)、処理は終了する。もしそうでないと(S1070にてNO),この処理はS1080へ移される。
【0123】
S1080にて、CPU300は、図10に示した機器の節電条件テーブルにしたがって、モジュール毎に電力遮断制御(節電制御)を実行する。その後、この処理は終了する。
【0124】
[動作]
以上のような構造及びフローチャートに基づく、本実施の形態に係る画像形成装置150の動作について説明する。
【0125】
−ユーザー100000が機器ZZ123456を使用する場合−
ユーザー100000が○×駅で下車してバスに乗車して、△△バス停でバスを下車して、XXX門のセキュリティゲート120を通過する。入出札情報及びバス乗降車情報並びに通過情報に基づき、ユーザー移動情報は更新される。
【0126】
構内を歩いて□□建屋の入口のセキュリティカードリーダ126でセキュリティカードを読取らせると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100000が機器ZZ123456に接近していると判定される(S1040にてYES)。このとき、全モジュールに電力が供給されていないとすると(S1050にてNO)、図9の起動条件テーブルにおける機器ZZ123456のユーザー100000のモジュール起動距離により規定された起動条件に基づいて電力供給制御が行なわれる(S1060)。
【0127】
この場合、第2モジュールに電力が供給し始められるように、CPU300がスイッチングユニット300Aに電力供給指令信号を出力する。これにより、第2モジュールに電力が供給されてスキャナ部152へ電力が供給される。この時点では第1モジュール及び第3モジュールには電力が供給されない。
【0128】
さらに、このユーザー100000が□□建屋内を移動して機器ZZ123456に接近して機器から30mにあるドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100000が機器ZZ123456に接近していると判定される(S1040にてYES)。このとき、第1モジュール及び第3モジュールに電力が供給されていないので(S1050にてNO)、図9の起動条件テーブルにおける機器ZZ123456のユーザー100000のモジュール起動距離により規定された起動条件に基づいて電力供給制御が行なわれる(S1060)。
【0129】
この場合、第2モジュールに加えて第1モジュールに電力が供給し始められるように、CPU300がスイッチングユニット300Aに電力供給指令信号を出力する。これにより、第1モジュールに電力が供給されてFAX通信部155へ電力が供給される。この時点でも第3モジュールには電力が供給されない。
【0130】
このユーザー100000が機器ZZ123456が設置された室内に入るタイミングで、先に電力が供給され始めた第2モジュールであるスキャナ部152のウォーミングアップ時間が経過して作動可能な状態であって、後で電力が供給され始めた第1モジュールであるFAX通信部155のウォーミングアップ時間が経過して作動可能な状態であって、その結果FAX送信機能が作動可能な状態となっている。第1モジュールであるFAX通信部155の方が第2モジュールであるスキャナ部152よりもウォーミングアップ時間が短いために、第1モジュールであるFAX通信部155には後で電力を供給し始めても、同じタイミング(ユーザー100000が機器ZZ123456が設置された室内に入ったタイミング)で、第1モジュールであるFAX通信部155及び第2モジュールであるスキャナ部152の作動を開始することができる。
【0131】
このユーザー100000はFAX主体ユーザーであるので、室内に入っても、第3モジュールである画像形成部154へ電力は供給されない。
【0132】
このように、ユーザーの使用態様(FAX主体)に合致させて(不要なモジュールには電力を供給しないで)、ウォーミングアップ時間が長いモジュールから電力の供給を開始して、ウォーミングアップ時間が短いモジュールへの電力供給をできるだけ遅らせる。これにより、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ、最大限の省エネを実現することができる。
【0133】
−ユーザー100000が機器ZZ123457を使用する場合−
このユーザー100000が□□建屋内を移動して機器ZZ123457に接近して機器から5mにあるドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100000が機器ZZ123457に接近していると判定される(S1040にてYES)。このとき、全モジュールに電力が供給されていないとすると(S1050にてNO)、図9の起動条件テーブルにおける機器ZZ123457のユーザー100000のモジュール起動距離により規定された起動条件に基づいて電力供給制御が行なわれる(S1060)。
【0134】
この場合、第1モジュール及び第2モジュールに電力が供給し始められるように、CPU300がスイッチングユニット300Aに電力供給指令信号を出力する。これにより、第1モジュール及び第2モジュールに電力が供給されてFAX通信部155及びスキャナ部152へ電力が供給される。この時点でも第3モジュールには電力が供給されない。
【0135】
このユーザー100000が機器ZZ123457が設置された室内に入ったタイミングで、電力が供給され始めた第1モジュールであるFAX通信部155及び第2モジュールであるスキャナ部152のウォーミングアップ時間が直ちに経過して、FAX送信機能が作動可能な状態となっている。第1モジュールであるFAX通信部155も、第2モジュールであるスキャナ部152もウォーミングアップ時間が短いので、ユーザー100000が室内に入ったタイミング(ユーザー100000が機器ZZ123456が設置された室内に入ったタイミング)で、第1モジュールであるFAX通信部155及び第2モジュールであるスキャナ部152の作動を開始することができる。
【0136】
このユーザー100000はFAX主体ユーザーであるので、室内に入っても、第3モジュールである画像形成部154へ電力は供給されない。
【0137】
このように、ユーザーの使用態様(FAX主体)に合致させて(不要なモジュールには電力を供給しないで)、ウォーミングアップ時間に合致させて電力の供給を開始して、ウォーミングアップ時間が短いモジュールへの電力供給をできるだけ遅らせる。これにより、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ、最大限の省エネを実現することができる。
【0138】
−ユーザー100001が機器ZZ123457を使用する場合−
ユーザー100000が○×駅で下車してバスに乗車して、△△バス停でバスを下車して、XXX門のセキュリティゲート120を通過すると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100001が機器ZZ123457に接近していると判定される(S1040にてYES)。このとき、全モジュールに電力が供給されていないとすると(S1050にてNO)、図9の起動条件テーブルにおける機器ZZ123457のユーザー100001のモジュール起動距離により規定された起動条件に基づいて電力供給制御が行なわれる(S1060)。
【0139】
この場合、第3モジュールに電力が供給し始められるように、CPU300がスイッチングユニット300Aに電力供給指令信号を出力する。これにより、第3モジュールに電力が供給されて画像形成部154へ電力が供給される。この時点では第1モジュール及び第2モジュールには電力が供給されない。
【0140】
さらに、このユーザー100001が構内を歩いて□□建屋の入口のセキュリティカードリーダ126でセキュリティカードを読取らせ、□□建屋内を移動して機器ZZ123457に接近して機器から30mにあるドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせるとユーザー移動情報が更新される。さらに、□□建屋内を移動して機器ZZ123457に接近して機器から5mにあるドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせるとユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100000が機器ZZ123457に接近していると判定される(S1040にてYES)。図9の起動条件テーブルにおける機器ZZ123457のユーザー100001のモジュール起動距離により規定された起動条件に基づいて電力供給制御が行なわれる(S1060)。
【0141】
この場合であっても、第1モジュール及び第2モジュールには電力が供給されない。すなわち、この時点でも第3モジュールにのみ電力が供給されている。
【0142】
このユーザー100001が機器ZZ123457が設置された室内に入るタイミングで、前もってXXX入門で電力が供給され始めた第3モジュールである画像形成部154のウォーミングアップ時間が経過して、画像形成部154の作動を開始することができる。この機器ZZ123457の第3モジュールである画像形成部154のウォーミングアップ時間が比較的長いために、第3モジュールである画像形成部154にXXX入門で電力を供給し始めている。このようにすると、ユーザー100001が機器ZZ123457が設置された室内に入ったタイミングで、画像形成部154の作動を開始することができる。
【0143】
このユーザー100001はプリンタ主体ユーザーであるので、室内に入っても、第1モジュールであるFAX通信部155及び第2モジュールであるスキャナ部152へ電力は供給されない。
【0144】
このように、ユーザーの使用態様(プリンタ主体)に合致させて(不要なモジュールには電力を供給しないで)、ウォーミングアップ時間が長いモジュールは早めに電力の供給を開始する。これにより、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ、最大限の省エネを実現することができる。
【0145】
−ユーザー100000が機器ZZ123456から離れる場合−
−ユーザー100000が機器ZZ123457から離れる場合−
−ユーザー100001が機器ZZ123456から離れる場合−
これらの3つの場合をまとめて説明する。なお、退室時にもセキュリティーカードをカードリーダに読取らせるものとする。
【0146】
いずれかのユーザーが機器ZZ123456又は機器ZZ123457から5mにあるドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、いずれかのユーザーが機器ZZ123456又は機器ZZ123457から離れていると判定される(S1040にてNO)。このとき、全モジュールに電力が供給されているとすると(S1070にてNO)、図10の節電条件テーブルにおける、(1)機器ZZ123456のユーザー100000のモジュール節電開始距離により規定された節電条件、(2)機器ZZ123456のユーザー100001のモジュール節電開始距離により規定された節電条件、又は、(3)機器ZZ123457のユーザー100000のモジュール節電開始距離により規定された節電条件に基づいて電力遮断制御が行なわれる(S1080)。
【0147】
この場合、第1モジュール、第2モジュール及び第3モジュールに供給されていた電力を遮断するように、CPU300がスイッチングユニット300Aに電力遮断指令信号を出力する。これにより、第1モジュール、第2モジュール及び第3モジュールに供給されていた電力が遮断されてFAX通信部155、スキャナ部152及び画像形成部154へ供給されていた電力が遮断される。
【0148】
このように、できるだけ不要なモジュールには電力を供給しないようにして、最大限の省エネを実現することができる。
【0149】
−ユーザー100001が機器ZZ123457から離れる場合−
ユーザー100001が機器ZZ123457から5mにあるドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100001が機器ZZ123457から離れていると判定される(S1040にてNO)。このとき、全モジュールに電力が供給されているとすると(S1070にてNO)、図10の節電条件テーブルにおける、機器ZZ123457のユーザー100001のモジュール節電開始距離により規定された節電条件に基づいて電力遮断制御が行なわれる(S1080)。
【0150】
この場合、第1モジュール(FAX通信部155)及び第2モジュール(スキャナ部152)に供給されていた電力は遮断されるように、CPU300がスイッチングユニット300Aに電力遮断指令信号を出力する。これにより、第1モジュール及び第2モジュールに供給されていた電力が遮断されてFAX通信部155及びスキャナ部152へ供給されていた電力が遮断される。このとき、第3モジュール(画像形成部154)に供給されていた電力は遮断されない。
【0151】
さらに、このユーザー100001が機器ZZ123457から30mにあるドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100001が機器ZZ123457から離れていると判定される(S1040にてNO)。このとき、第3モジュールに電力が供給されているので(S1070にてNO)、図10の節電条件テーブルにおける、機器ZZ123457のユーザー100001のモジュール節電開始距離により規定された節電条件に基づいて電力遮断制御が行なわれる(S1080)。この場合、第3モジュールに供給されていた電力は遮断されない。
【0152】
さらに、このユーザー100001が建屋内を歩いて□□建屋の入口のセキュリティカードリーダ126でセキュリティカードを読取らせると、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、ユーザー移動情報が更新される。ユーザーの移動情報が取得され(S1030)、このユーザー100001が機器ZZ123457から離れていると判定される(S1040にてNO)。このとき、第3モジュールに電力が供給されているので(S1070にてNO)、図10の節電条件テーブルにおける、機器ZZ123457のユーザー100001のモジュール節電開始距離により規定された節電条件に基づいて電力遮断制御が行なわれる(S1080)。この場合、第3モジュールに供給されていた電力が遮断されるように、CPU300がスイッチングユニット300Aに電力遮断指令信号を出力する。これにより、第3モジュールに供給されていた電力が遮断されて画像形成部154へ供給されていた電力が遮断される。
【0153】
このユーザー100001がプリント主体のユーザーであり、第3モジュールのウォーミングアップ時間が長いために、このユーザー100001が機器ZZ123457から十分に離れて、戻ってくる可能性が極めて少ないと判定された場合に電力の供給を遮断しいる。これは、例えば、十分に離れていない場合に電力を遮断してしまって、戻ってきた場合の再度のウォーミングアップを回避しているためである。
【0154】
このように、ユーザーの使用態様に合致させて(不要なモジュールにはできるだけ早く電力を遮断して)、ウォーミングアップ時間が長くユーザーの使用する可能性が高いモジュールへの電力の遮断を遅らせている。これにより、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ、最大限の省エネを実現することができる。
【0155】
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置によると、使用権限があるユーザーが接近すると、ウォーミングアップ時間を考慮して、そのユーザーがその画像形成装置が設置された部屋に入ったタイミングでそのユーザーの主たる使用目的に沿う機能が動作できるように、最低限のモジュールにのみ電力を供給する。さらに、そのユーザーが離れると、ウォーミングアップ時間を考慮して、そのユーザーの主たる使用目的に沿わない機能又はウォーミングアップ時間が短いモジュールはできるだけ速やかに電力を遮断する。これにより、複合機のように多機能な画像形成装置であって、機能モジュール毎に電源管理が可能な画像形成装置において、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる画像形成装置を提供することができる。
【0156】
<第2の実施の形態>
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置(複合機)について説明する。なお、全体システム構成(図1)、画像形成装置(図2〜図5)については上述した第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0157】
本実施の形態に係る画像形成装置150は、記憶する一部のテーブル及びCPU300で実行されるプログラムの制御構造が上述した第1の実施の形態と異なる。それ以外については上述した第1の実施の形態と同じ参照符号を付してある。それらの構造及び作用は上述した第1の実施の形態と同じである。
【0158】
[記憶テーブル構造]
本実施の形態に係る画像形成装置150は、ユーザーの使用履歴及びユーザーのエリア内情報に基づいて、使用権限を有するユーザーがエリア内(室内)の存在している場合に、日時に応じて、復帰時間が異なるモジュール毎に、電力の供給及び遮断を制御する。このような機能を実現するために、画像形成装置150に記憶される各種テーブルの構造について説明する。
【0159】
図12に、画像形成装置150において記憶されるエリア内情報テーブルを示す。このエリア内情報テーブルは、エリアIDをキーとして、入門状況データ及び出門状況データ並びにそれらのデータから判定されるエリア内ユーザーIDを記憶する。
【0160】
この入門状況データ及び出門状況データは、このエリアA−1000のドアに設けられたセキュリティカードリーダ128により検出されるユーザーID及び時刻に基づいて作成される。
【0161】
図12に示すように、エリアIDがA−1000においては、ユーザー100000、ユーザー100001及びユーザー100002が入門(入室)のためにセキュリティカードリーダ128にセキュリティカードを読取らせており、ユーザー100001及びユーザー100002が出門(退室)のためにセキュリティカードリーダ128にセキュリティカードを読取らせている。その結果、このエリアIDがA−1000においては、少なくともユーザー100000が在室していることになる。この情報がエリア内ユーザーIDとして記憶される。
【0162】
図13に、画像形成装置150において記憶されるユーザーの機器使用状況テーブルを示す。この機器使用状況テーブルは、機器IDをキーとして、ユーザーID(このユーザーIDは権限のあるユーザーのIDである。)毎に、第1モジュール(FAX通信部155)を起動した履歴(第1モジュールに電力を供給した時間の割合)、第2モジュール(スキャナ部152)を起動した履歴(第2モジュールに電力を供給した時間の割合)及び第3モジュール(画像形成部154)を起動した履歴(第3モジュールに電力を供給した時間の割合)が、曜日及び時間帯をパラメータとして記憶されている。なお、パラメータは、変動が少ないのであれば、曜日及び時間帯のいずれかであっても構わない。
【0163】
モジュール起動履歴とは、1時間の間においてそのモジュールに電力を供給した時間の割合を示し、単位は%である。例えば、機器ZZ123456の第1モジュール及び第2モジュールがユーザー100000により起動されるのは、月曜日の13時台は80%であることが記憶されている。すなわち、過去の使用履歴に基づくと、ユーザー100000は月曜日の13時台の80%である48分間の間、機器ZZ123456の第1モジュール及び第2モジュールを起動させてFAX送信機能を使用している。
【0164】
すなわち、図13に示す機器使用状況テーブルにおける数値(0%〜100%)の意味は、過去の使用履歴頻度に基づき作成された、そのモジュールを使用する指標である。この機器使用状況テーブルは、各機器を使用するときにユーザーが、ユーザーIDによる認証を受けて、各機器のモジュールをどのユーザーが使用したのかを時間帯ごとに収集して集計することにより生成される。
【0165】
本実施の形態に係る画像形成装置150は、現在の機器の作動状態が妥当であるか否かに基づいて、各モジュールごとの電源制御を行なう。この場合において、機器の起動状態がユーザーにとって妥当か否かは、CPU300が、使用権限を有するユーザーIDがエリア内に存在しているときに、現在の曜日及び時間帯における機器使用状況テーブルの数値がしきい値(例えば70%)以上であると、そのモジュールに電力を供給して、しきい値(例えば70%)未満では電力を遮断する。このように、図12〜図13に示すテーブル及び上述した第1の実施の形態におけるテーブルを参照して、この画像形成装置150は、以下に示すソフトウェア構成を備えたプログラムを実行することにより、モジュール毎の電源制御を実現している。
【0166】
[ソフトウェア構成]
図14は、画像形成装置150で実行される電源制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、画像形成装置150のCPU300は、このようなプログラムと並行して、画像形成装置としての一般的機能を実現するプログラムを実行する。しかしながら、そのプログラムは、本発明の本質的部分とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
【0167】
図14を参照して、S2000にて、CPU300は、一定時間が経過したか否かを判定する。これは、S1000と同様の処理であるが、所定の時間が異なっている。前の処理から一定時間が経過したと判定されると(S2000にてYES)、処理はS2010へ移される。もしそうでないと(S2000にてNO)、この処理はS2000へ戻されて一定時間が経過するまで待つ。
【0168】
S2010にて、CPU300は、機器IDに基づいて、使用権限を有するユーザーIDを取得する。このとき、CPU300は、自己に与えられた機器IDに基づいて、図6に示す機器使用権限テーブルを参照して、自己に対して使用権限を有するユーザーIDを取得する。
【0169】
S2020にて、CPU300は、機器IDに基づいて、現在の機器の起動状況を取得する。このとき、CPU300は、自己に与えられた機器IDに基づいて、図7に示す機機器起動状況テーブルを参照して、第1モジュール、第2モジュール及び第3モジュールの起動状況を取得する。
【0170】
S2030にて、CPU300は、エリア内ユーザー情報を取得する。このとき、CPU300は、S1010にて取得した自己に使用権限が与えられているユーザーIDに基づいて、図12に示すエリア内情報テーブルを参照して、自己に関係がある(自己に使用権限が与えられている)ユーザーの在室情報を取得する。
【0171】
S2040にて、CPU300は、自己に使用権限が与えられているユーザーが存在しているか否かを判定する。このとき、CPU300は、S2030にて取得した自己に使用権限が与えられているユーザーが、エリア内情報テーブルのエリア内ユーザーIDに登録されているか否かを判定する。自己に使用権限が与えられているユーザーが在室していると判定されると(S2040にてYES)、処理はS2050へ移される。もしそうでないと(S2040にてNO)、この処理は終了する。
【0172】
S2050にて、CPU300は、現在日時(曜日情報を含む。)を取得する。S2060にて、CPU300は、図13に示すユーザーの機器使用状況テーブルからモジュール起動履歴情報を取得する。このとき、現在日時に合致した使用履歴が取得される。
【0173】
S2070にて、CPU300は、モジュール起動履歴情報に対して、現在の機器(モジュール)の起動状況は妥当であるか否かを判定する。このとき、CPU300は、モジュール起動履歴が70%以上であるにもかかわらずそのモジュールが起動していないと、起動状況は妥当であると判定しない。また、CPU300は、モジュール起動履歴が70%未満であるにもかかわらずそのモジュールが節電されていないと、起動状況は妥当であると判定しない。モジュール起動履歴情報に対して、現在の機器(モジュール)の起動状況は妥当であると判定されると(S2070にてYES)、処理は終了する。もしそうでないと(S2070にてNO)、この処理はS2080へ移される。
【0174】
S2080にて、CPU300は、モジュール起動履歴にしたがってモジュール毎に電源制御を行なう。このとき、CPU300は、電力供給制御(起動制御)及び電力遮断制御(節電制御)を実行する。
【0175】
[動作]
以上のような構造及びフローチャートに基づく、本実施の形態に係る画像形成装置150の動作について説明する。
【0176】
ユーザーがドアに設けられたセキュリティカードリーダ128でセキュリティカードを読取らせると、エリア内情報テーブル(図12)が更新される。更新されたエリア内ユーザー情報が取得されて(S2030)、エリア内ユーザーIDに権限のあるユーザーが登録されていると(S2040にてYES),現在日時(曜日を含む)が取得される(S2050)。
【0177】
図13に示すモジュール起動履歴が取得され(S2060)、起動履歴が70%以上であるにもかかわらずモジュールが起動していないと(S2070にてNO)、そのモジュールに電力が供給されたり、起動履歴が70%未満であるにもかかわらずモジュールが起動していると(S2070にてNO)、そのモジュールへの電力の供給が遮断されたりする(S2080)。
【0178】
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置によると、使用権限があるユーザーがその画像形成装置が設置された部屋にいるときであって、過去の起動履歴が高く現在起動していないとそのモジュールを起動させ、過去の起動履歴が低いのに現在起動しているとそのモジュールを停止させるように、過去の起動履歴に従って必要な最低限のモジュールにのみ電力を供給する。これにより、複合機のように多機能な画像形成装置であって、機能モジュール毎に電源管理が可能な画像形成装置において、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる画像形成装置を提供することができる。
【0179】
<変形例>
上述した実施の形態について、以下のように変形させることもできる。実施の形態の最初に記載したように、社内ネットワーク上に電源制御サーバ装置(管理装置)を配置してこの電源制御サーバ装置からの指令によって各々の複合機が自己の機能モジュールの電源制御を行なうようにしてもよい。
【0180】
この場合、電源制御サーバ装置(管理装置)は、図示したテーブルを記憶するとともに、入出札情報及びバス乗降車情報並びに通過情報に基づきユーザー移動情報を検出して、テーブルの内容を更新する。電源制御サーバ装置は、図11又は図14に示したフローチャートにしたがってCPUでプログラムを実行して、電源制御(電力供給制御及び電力遮断制御)処理として、電力供給指令信号又は電力遮断指令信号を、制御対象のモジュールを識別する情報とともに画像形成装置へ送信する。電力供給指令信号又は電力遮断指令信号を受信した画像形成装置のCPU300は、指定されたモジュールへ電力が供給されるように、又は、指定されたモジュールへの電力供給が遮断されるように、スイッチングユニット300Aを制御する。
【0181】
コンピュータ(電源制御サーバ装置)に上述したような処理を行なわせるためのコンピュータプログラムは、光ディスクドライブに挿入される光ディスクに記憶され、さらにハードディスクに転送される。または、プログラムはネットワーク回線を通じてコンピュータに送信されハードディスクに記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAMにロードされる。光ディスクから、またはネットワーク回線を介して、直接にRAMにプログラムをロードしてもよい。
【0182】
これらのプログラムは、コンピュータ(電源制御サーバ装置)に所定の処理を行なわせる複数の命令を含む。この動作を行なわせるのに必要な基本的機能のいくつかはコンピュータ(電源制御サーバ装置)上で動作するオペレーティングシステム(OS)もしくはサードパーティのプログラム、またはコンピュータ(電源制御サーバ装置)にインストールされる各種ツールキットのモジュールにより提供される。従って、このプログラムはこの実施の形態の電源制御サーバ装置を実現するのに必要な機能全てを必ずしも含まなくてよい。このプログラムは、命令のうち、所望の結果が得られるように制御されたやり方で適切な機能または「ツール」を呼出すことにより、上述したコンピュータ(電源制御サーバ装置)として所定の処理を実行する命令のみを含んでいればよい。コンピュータ(電源制御サーバ装置)の実体であるコンピュータの一般的動作は周知であるので、ここでは繰返して説明しない。
【0183】
このように、画像形成装置ではなく、電源制御サーバ装置により画像形成装置のモジュールの電源制御を行なうようにしても、電源制御サーバ装置を用いない場合と同じように、複合機のように多機能な画像形成装置であって、機能モジュール毎に電源管理が可能な画像形成装置において、ユーザーの使用要求に的確に応えつつ最大限の省エネを図ることができる。
【0184】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0185】
100 改札機
102 鉄道会社ネットワーク
110 バス料金箱
112 バス会社ネットワーク
120 セキュリティゲート
122 社内ネットワーク
126、128 セキュリティカードリーダ
130 構内LAN
150 画像形成装置
166 操作装置
170 操作パネル
172 表示パネル
300 CPU
302 HDD
306 ROM
308 RAM
310 バス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールで構成され、対応するモジュールが作動することにより複数の機能を実現する多機能装置の電源を制御する電源制御装置であって、前記モジュールは個々に電源制御が可能であって、前記電源制御装置は、
前記多機能装置の使用者と前記モジュールとの関連についての使用者情報を記憶するための記憶手段と、
前記使用者の現在位置についての位置情報を取得するための取得手段と、
前記使用者情報及び前記位置情報に基づいて、前記モジュールへの電力の供給及び遮断を制御するための制御手段とを含む、電源制御装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記使用者の位置と前記モジュールを備えた多機能装置の位置との距離に対応させて起動又は停止するモジュールを記憶するための手段を含み、
前記取得手段は、前記使用者の現在位置に基づいて、前記距離についての位置情報を取得するための手段を含み、
前記制御手段は、前記距離に基づいて、前記モジュールへの電力の供給及び遮断を制御するための手段を含む、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記距離の変化に基づいて、前記使用者が前記多機能装置へ接近してくる場合には前記モジュールへ電力を供給するように、前記使用者が前記多機能装置から離れていく場合には前記モジュールへ供給されている電力を遮断するように、制御するための手段を含む、請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記使用者が前記多機能装置の位置に到着した場合にウォーミングアップが完了して所定のモジュールが作動するように、前記モジュールへの電力の供給を開始するための手段を含む、請求項3に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記使用者の位置と前記モジュールを備えた多機能装置の位置との距離に対応させて起動するモジュールを、前記使用者の使用態様に対応させて記憶するための手段を含み、
前記取得手段は、前記使用者の現在位置に基づいて、前記距離についての位置情報を取得するための手段を含み、
前記制御手段は、前記距離に基づいて、前記使用者が前記多機能装置の位置に到着した場合に前記使用者の使用態様に対応させて起動するモジュールのウォーミングアップが完了して作動できるように、前記モジュールへの電力の供給を開始するための手段を含む、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記使用者の位置と前記モジュールを備えた多機能装置の位置との距離に対応させて停止するモジュールを、前記使用者の使用態様に対応させて記憶するための手段を含み、
前記取得手段は、前記使用者の現在位置に基づいて、前記距離についての位置情報を取得するための手段を含み、
前記制御手段は、前記距離に基づいて、前記使用者の使用態様に対応させて、前記モジュールへの電力の供給を停止するための手段を含む、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、前記使用者の使用履歴に対応させて起動するモジュールを、曜日及び時間帯の少なくともいずれかに対応させて記憶するための手段を含み、
前記電源制御装置は、現在の曜日及び時間帯の少なくともいずれかを取得するための手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記現在位置が前記多機能装置の設置部屋である場合には、現在の曜日及び時間帯の少なくともいずれかに基づいて、前記モジュールへの電力の供給及び遮断を制御するための手段を含む、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、前記使用者の使用履歴に基づいて、曜日及び時間帯の少なくともいずれかに対応させて前記モジュールの使用頻度を記憶するための手段を含み、
前記制御手段は、現在の曜日及び現在の時間帯の少なくともいずれかにおける使用頻度が高いと記憶されている場合には前記モジュールへ電力を供給するように、前記使用頻度が低いと記憶されている場合には前記モジュールへ供給されている電力を遮断するように、制御するための手段を含む、請求項7に記載の電源制御装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の電源制御装置を備えた画像形成装置。
【請求項10】
複数のモジュールで構成され、対応するモジュールが作動することにより複数の機能を実現する多機能装置の電源を制御する管理装置であって、前記モジュールは個々に電源制御が可能であって、前記管理装置は、
前記多機能装置と通信するための通信手段と、
前記多機能装置の使用者と前記モジュールとの関連性についての使用者情報を記憶するための記憶手段と、
前記使用者の現在位置についての位置情報を取得するための取得手段と、
前記現在位置及び使用者情報に基づいて前記モジュールへの電力の供給及び遮断を制御する制御信号を生成して、生成された前記多機能装置へ送信するための処理手段とを含む、管理装置。
【請求項11】
前記多機能装置は画像形成装置である、請求項10に記載の管理装置。
【請求項12】
通信部、記憶部及び演算部を備えたコンピュータにより実行されると、当該コンピュータを、請求項10又は請求項11に記載の管理装置として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−244310(P2010−244310A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92550(P2009−92550)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】