説明

電源制御装置、画像形成装置、電源制御方法及びプログラム

【課題】電源プラグ挿入時や停電からの復旧時においてユーザの意図に沿った電源制御行うことができる電源制御装置、画像形成装置、電源制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】外部電源から電力供給を受けて、負荷への電力供給を行う電力供給手段と、前記外部電源からの電力供給状態を検出する検出手段と、電源スイッチのオン/オフ操作内容を記憶する記憶手段と、を有する電源制御装置であって、前記検出手段が、前記外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、前記記憶手段に記憶された直近の前記電源スイッチの操作内容に基づき、前記電力供給手段が前記負荷への電力供給を制御することにより解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源からの電力を負荷に供給する電源制御装置に関し、特に、電源プラグのプラグイン時等における負荷への電力供給を制御する電源制御装置、画像形成装置、電源制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
常時稼動が求められる固定電話やモデム等の通信機器や、FAX機能等を有する複写機といったOA機器等では、電源プラグの挿入等によって電力の供給が開始された時に、電源スイッチを操作しなくても自動的に起動する様に設計されているものがある。
【0003】
しかし、上記した機器において電源プラグが挿入されたことによって外部電源から電力の供給が行われた場合でも、電力の供給が開始された時に自動的な起動が必要な場合と、実際には起動が不要な場合とがある。
【0004】
例えば、ユーザが電源スイッチのオフ操作を行った後に電源プラグの脱着を行った場合と、電源スイッチの操作が無い状態において停電等から復旧した場合とでは、上記機器からはどちらの場合も同じ様に電力供給が開始された様に見える。しかし、ユーザからは、電源スイッチ操作の有無によっては、明らかに異なる状況であるといえる。
【0005】
電力供給と同時に不必要に起動すると、ユーザに違和感を与えると共に無駄に電力を消費することにもなるため、状況を判別した上で、ユーザの意図に沿った起動時の電源制御を行う必要がある。
【0006】
そこで、例えば特許文献1には、マスタ側の画像形成装置にスレーブ側の画像形成装置が接続された画像形成システムにおいて、前記マスタ側の画像形成装置のコントローラCPUが、当該画像形成装置の電源をOFFしたときの状態をCPU内部の記憶素子に保持する機能を有する不揮発CPUからなる画像形成システムが開示されている。
【0007】
特許文献1に係る画像形成システムによれば、電源をOFFしたときの状態を保持するため、次に電源をONにしたときに不要な立上げ処理を省略して起動することができるため、処理時間の短縮とコスト低減を達成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えば電源スイッチの操作を行わずに電源プラグを抜いた場合や、停電した場合等には上記画像形成システムの状態を記憶することができず、次回立上げ時に最適な起動を実行できない場合がある。
【0009】
そこで本発明では、電源プラグの挿入時や停電からの復旧時等、外部電源から電力の供給が開始された時に、ユーザによる電源スイッチの操作履歴に基づいて、ユーザの意図に沿った起動動作を実行し、消費電力を削減することができる電源制御装置、画像形成装置、電源制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、外部電源から電力供給を受けて、負荷への電力供給を行う電力供給手段と、前記外部電源からの電力供給状態を検出する検出手段と、電源スイッチのオン/オフ操作内容を記憶する記憶手段と、を有する電源制御装置であって、前記検出手段が、前記外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、前記記憶手段に記憶された直近の前記電源スイッチの操作内容に基づき、前記電力供給手段が前記負荷への電力供給を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、外部電源からの電力供給を検出した時に、記憶手段に記憶されたユーザの電源スイッチ操作履歴から起動条件を決定し、負荷への電力供給を最適に制御することができる。
【0012】
例えば、ユーザによる電源スイッチのオフ操作が無く、電源プラグの挿入や停電からの復旧により外部電源から電力供給が開始された場合には、負荷への電力供給を行うことで通常通り起動動作を行う。
【0013】
また、電源スイッチのオフ操作の後に、外部電源から電力供給が開始された場合には、負荷への電力供給を行わず、電源オフ状態を維持する。
【0014】
この様な制御を行うことによって、ユーザの意図に沿った制御を実現でき、不必要な電力消費を防止するといった効果を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図
【図2】実施形態に係る画像形成装置の回路構成の概略を示す図
【図3】従来の画像形成装置の状態遷移を説明する図
【図4】実施形態に係る画像形成装置の状態遷移を説明する図
【図5】実施形態に係るDC電源起動回路の入出力信号の例を示す図
【図6】実施形態に係る電源プラグ及び電源状態と各電源のON/OFF状態の例を示す図
【図7】実施形態に係る電力供給検出後の処理例を示すフローチャート
【図8】実施形態に係る電OFF異常チェックの処理例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
<画像形成装置の概略構成について>
図1に、本実施形態に係る電源制御装置を有する画像形成装置の概略構成を示す。
【0017】
本実施形態においては、画像形成装置としてインクジェット方式の複合機を用いたが、これに限るものではなく、電子写真方式のレーザプリンタ、複写機等を用いることもできる。
【0018】
図1において、画像形成装置100は、原稿の画像を読み取るための画像読取部(スキャナ部)11を筐体の上部に有している。この画像読取部11は、照明光源13とミラー14とを含む光学系15と、ミラー16、17を含む光学系18とを移動させながら、コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像を読み取りのために光走査する。この光走査によって得られた原稿反射光が、レンズ19の後方に配置された画像読み取り素子20で画像信号として読み込まれて画像処理される。画像処理後の画像情報に基づいて、記録紙5に対する画像形成が行われる。
【0019】
なお、画像形成装置100は、画像読取部11によって読み取った原稿画像以外にも、外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読取装置、デジタルカメラなどの撮像装置等から送られる画像情報に基づいて画像を形成することもできる。
【0020】
筐体内の底部付近には、給紙部4が設けられており、給紙カセット41に内包している紙束から記録紙5を1枚ずつ取り出して給紙路に向けて送り出す。給紙カセット41は、筐体の前面側から抜き差し可能である。
【0021】
給紙路に送り込まれた記録紙5は、副走査搬送部3と画像形成部2との間に形成された走査搬送位置に搬送される。この走査搬送位置では、画像形成部2が記録紙5に向けて液滴を吐出して所望の画像形成を行う。
【0022】
画像形成部2は、キャリッジ23をガイドロッド21等によって主走査方向に移動可能に保持している。キャリッジ23は、タイミングベルトの張架部分に連結されており、ベルトの移動に伴って主走査方向に移動せしめられる。
【0023】
キャリッジ23には、上述の走査搬送位置で搬送される記録紙5にインクの液滴を吐出して画像を記録する液滴吐出手段たるプリンタヘッド24が搭載されている。このプリンタヘッド24は、互いに主走査方向に並びながらイエロー(y),マゼンタ(m),シアン(c),黒(k)それぞれインクを吐出するインクジェットヘッドを備えている。
【0024】
各色のインクジェットヘッドに対しては、キャリッジ23上に搭載されたサブタンク25からそれぞれ対応色のインクが供給される。このサブタンク25は、y,m,c,kのインクをそれぞれ独立させた状態で貯留することができる。
【0025】
給紙カセット41の上方には、y,m,c,kインクを収容するインクカートリッジ26y,26m,26c,26kが着脱可能に装着されている。第2貯留タンクであるこれらインクカートリッジ内に収容されたy,m,c,kインクは、それぞれ必要に応じてキャリッジ23上のサブタンク内に補給される。
【0026】
画像形成部2との間で走査搬送位置を形成する副走査搬送部3は、無端帯状の搬送ベルト31を移動させることができる。
【0027】
給紙路の末端から走査搬送位置に向けて送られてきた記録紙5は、搬送ベルト31と、これの表面に当接する押さえコロ36とによって形成される受入ニップに進入し、搬送ベルト31に静電吸着して副走査方向に搬送される。
【0028】
搬送ベルト31の無端移動に伴って走査搬送位置を通過した記録紙5は、分離爪37によってベルト表面から分離される。
【0029】
搬送ベルト31から分離された記録紙5は、記録後搬送部7に受け渡され、機外に向けて排出される。記録紙5は、画像形成部2等を内包するプリント部の筐体の上面に設けられたスタック部に排出される。
<画像形成装置の回路構成について>
図2に、本実施形態に係る電源制御装置を有する画像形成装置100の回路構成の概略を示す。
【0030】
本実施形態に係る画像形成装置100は、外部電源としての商用電源54に、電源プラグ53を介して接続することで電力の供給を受けることができる。
【0031】
AC/DC電源50は、AC電源である商用電源54から画像形成装置100が動作するための37V又は5VのDC電源を生成する装置である。外部電源がDC電源である場合には、DC電源からDC電源を生成するDC/DC電源に置き換えることができる。
【0032】
AC/DC電源50におけるDC電源(37V)51は、商用電源54から37VのDC電源を生成し、DC電源(5V)52は5VのDC電源を生成し、各負荷に電力を供給する。
【0033】
DC電源(37V)は、後述するコントローラ85からのON/OFF信号に基づいて出力が制御されるが、DC電源(5V)52は、商用電源54と接続して電力供給を受けている間は常に5VのDC電源を出力している。
【0034】
DC電源起動回路57は、電力供給手段としてDC電源a58及びDC電源b68への電力供給を行うための回路である。また、DC電源(5V)52の出力を検出することで、商用電源54からの電力供給状態の検出手段としても機能する。
【0035】
例えば、電源プラグ53が外れている場合や停電している場合にはDC電源(5V)52からの出力が途絶え、電源プラグ53が商用電源54に接続又は停電から復旧した場合にはDC電源(5V)52からの出力が再開される。DC電源起動回路57は、この様なDC電源(5V)52の出力変化に基づいて、外部電源である商用電源54からの電力供給状態を検出することができる。
【0036】
DC電源a58は、画像形成装置100のコントローラ85のロジック回路を動作させる為に必要な電源生成回路である。また、DC電源b68は、画像形成装置100のプリンタエンジン86のロジック回路を動作させる為、DC電源c59は、画像形成装置100のI/F回路(操作部)64等を動作させる為にそれぞれ必要な電源生成回路である。
【0037】
電源SW63は、ユーザが画像形成装置100の電源操作を行うためのスイッチである。
【0038】
プリンタエンジン86は、プリンタ機能を用いた場合の画像形成時におけるプリンタヘッド24、主走査部82等の制御を行う。
【0039】
スキャナ部11は、光学系を有し、スキャナ/コピー機能用に画像読取が可能な回路部である。
【0040】
FAX部55は、FAXの送受信を行う回路部である。
【0041】
この他にも、コピー/スキャナ/FAX機能用に記録紙等の自動給紙搬送を行う搬送駆動部としてADF部を設ける構成としても良い。
【0042】
ASIC&CPU61は、プリンタとしての特定用途制御が可能なICと、中央演算装置である。
【0043】
メモリ62は、後述する画像形成装置100の電源モードや、ユーザによる電源SW63の操作履歴を記憶する不揮発性メモリである。商用電源54からの電力供給が遮断状態から供給状態に変化したことをDC電源起動回路57が検出した時に、ASIC&CPU61によってメモリ62に記憶された電源SW63の操作履歴等が読み出される。
【0044】
コントローラ85は、画像形成装置100のコピー/スキャナ/FAX/プリンタ機能及び電源といった各部の制御を行うことができる。また、コントローラ85は、画像形成装置100各部の制御を司ると共に、DC電源(37V)51及びDC電源起動回路57に電力供給のON/OFF信号を送ることで、電源制御装置としても機能する。
【0045】
I/F回路(操作部)64は、画像形成装置100を操作するための操作ボタン及び表示画面等を有し、ユーザからの操作を受け付けるユニットである。
【0046】
I/F回路(USB1)65は、PC等の端末や記憶媒体等と接続できるUSBインタフェースであり、端末からの画像形成装置100の制御や、端末及び記憶媒体等からプログラム等のダウンロードを可能にする。
【0047】
I/F回路(LAN)66は、ネットワーク接続によりPC等の端末と接続し、ネットワークを介して端末からの画像形成装置100の制御を可能にするインタフェースである。
【0048】
I/F回路(USB2)67は、コントローラ85とプリンタエンジン86を接続し、コントローラ85からプリンタの制御を可能にするUSBインタフェースである。
【0049】
プリンタヘッド24は、ノズルからインクを吐出することで記録媒体上に画像形成を行い、主走査部82は、プリンタヘッド24の画像形成時における主走査方向の位置制御を行う。
【0050】
維持部・供給部83は、プリンタヘッド24の状態維持を行い、インクの供給を行う装置であり、副走査部・給紙部・搬送部・排紙部84は、プリンタヘッド24による画像形成時における記録媒体の副走査方向の位置制御及び記録媒体の給紙、搬送、排紙等を行う。
<従来例に係る画像形成装置の状態遷移について>
図3に、従来例に係る画像形成装置の状態遷移を説明する図を示す。後述する電源モードも、各状態ごとに併せて記載している。
【0051】
「電源プラグプラグアウト」状態は、電源プラグ53が商用電源54と接続していない状態であり、電源プラグ53が商用電源54に接続すると、「電源プラグプラグイン」状態に移行する。
【0052】
ここで、電源プラグ53が商用電源54と接続することで電力供給が検出されると、「初期化」状態に移行し、プリンタヘッド24、主走査部82等が画像形成可能な状態になった後に、「待機」状態に移行する。「待機」状態は、画像形成装置の回路及びDC電源の全てをON制御し、プリント等の動作要求に応じてすぐに動作が可能な状態である。
【0053】
待機時間が予め設定された省エネ移行時間を過ぎると、「省エネ」状態に移行する。「省エネ」状態は、画像形成装置の回路及びDC電源の一部をOFF制御し、消費電力を極力削減した状態である。
【0054】
「省エネ」状態からは、I/F回路(操作部)64、I/F回路(USB1)65、I/F回路(LAN)66からの要求を受け付けた時に、再び「待機」状態に移行する。
【0055】
「待機」状態からは、スキャン、FAX、コピー、プリントといった動作要求に基づいて「動作」状態に移行し、動作が完了すると再び「待機」状態に移行する。
【0056】
「待機」状態又は「省エネ」状態において、電源スイッチ63のオフ操作が行われると、「メモリ書き込み」状態で記憶手段であるメモリに後述する電源モードを書き込んだ後、電源OFF状態である「電源プラグプラグイン」状態に移行する。
<実施形態に係る画像形成装置の状態遷移について>
図4に、本実施形態に係る画像形成装置100の状態遷移を説明する図を示す。図3に示した従来例とは、「メモリ読み出し」という状態が加わっている点で異なっている。
【0057】
本実施形態では、電源プラグ53が商用電源54に接続されると、「電源プラグプラグイン」状態に移行し、外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出すると、「メモリ読み出し」状態に移行する。
【0058】
「メモリ読み出し」状態では、記憶手段であるメモリ62に記憶された電源SW63の操作履歴の読み出しを行う。読み出した操作履歴のうち、直近の電源SW63の操作内容に基づき、再度「電源プラグプラグイン」状態に移行するか、「初期化」状態に移行するかが選択される。また、「初期化」状態における処理内容も、後述する様にメモリ62に記憶された電源モードの履歴に基づいて制御される。
【0059】
電源プラグ53が商用電源54と接続する場合について図示しているが、停電時には外部電源からの電力が遮断された「電源プラグプラグアウト」状態にあり、停電から復旧した時に電源プラグ53が商用電源54と接続している場合には、「電源プラグプラグイン」状態に移行することになる。
【0060】
停電からの復旧時においても、電源プラグ53が商用電源54に接続された場合と同様に、外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した上でその後の制御を行う。
【0061】
また、メモリ62には電源SW62の操作履歴に加えて、画像形成装置100の電源モードが逐次記憶され、電源モードが変化する度に現在どのモードであるかが履歴として保存される。
【0062】
ここで、図5に、本実施形態に係るDC電源起動回路57の入出力信号の例を示す。
【0063】
図中の「INPUT」における「電源出力5V」は、DC電源(5V)52からの出力であり、商用電源54が停電等により使用不能状態でない限り、電源プラグ53が商用電源54に接続していれば常に「H(High)」の信号が出力されている。電源プラグ53が商用電源54にプラグインされた時や、電源プラグ53が商用電源54にプラグインした状態で停電から復旧した時には、「電源出力5V」の信号は「L(Low)」から「H」への変化を生じる。この様な信号の変化を検出することによって、DC電源起動回路57は外部電源である商用電源54からの電力供給状態を検出することができる。
【0064】
また、INPUTの「DC電源起動回路OFF信号」は、ASIC&CPU61から条件に応じて電源OFF状態に移行する場合に送られてくる信号を表しており、「電源SW要求ON/OFF信号」は、電源SW63が操作された時に送られる信号である。
【0065】
DC電源起動回路57は、これらのINPUT信号に基づき、OUTPUTとしてDC電源a58及びDC電源b68にON/OFF信号を送ることで電源制御の一部を行う。
【0066】
図中上段において、電源プラグ53が商用電源54に接続したこと等により電源出力5Vの信号が「L」から「H」に変化したことが検出されると、他のINPUT信号には関係なく(Don't Care)、DC電源a58及びDC電源b68に「ON」信号を出力する。
【0067】
次に、電源出力5Vが「H」の状態で、電源SW63から「ON」信号が入力されると、同様にDC電源a58及びDC電源b68に「ON」信号を出力する。
【0068】
電源出力5Vが「H」の状態で、電源SW63からOFF信号が入力されると、DC電源a58及びDC電源b68に「OFF」信号を出力する。この場合には、電源SW63の操作に基づいて信号出力を行うが、実際にはASIC&CPU61が所定の動作を完了するまでは電源OFFには出来ない。そこで、ASIC&CPU61が一旦「電源SW要求OFF信号」を取り込んでから、新たにDC電源起動回路OFF信号をASIC&CPU出力信号として生成し、DC電源a58及びDC電源b68に「OFF」信号を出力する。
【0069】
図中最下段において、電源プラグ53が外されたこと等によって電源出力5Vの出力が「L」になった場合には、他のINPUTに関わらず、DC電源a58及びDC電源b68に「OFF」信号を出力する。
【0070】
本実施形態に係るDC電源起動回路57は、上記した様な入力信号に基づいて、DC電源a58及びDC電源b68にON/OFF信号を出力して電源制御を行う。
<電源モードと各電源のON/OFF状態について>
図3,4に示した状態遷移図には、各状態における画像形成装置100の電源モードを併記している。図示した様に、従来例に係る画像形成装置では、「OFF」、「Sleep」、「Stanby」、「Active」という4つの電源モードを有する場合が多いが、本実施形態に係る画像形成装置100では、これらに加えて「DeepSleep」モードを備えている。
【0071】
図6に、INPUTとしての電源プラグ状態及び電源モードと、OUTPUTとして各電源のON/OFF状態の例を示す。
【0072】
本実施形態に係る画像形成装置において、電力供給が制御される負荷である電源は、DC電源a58、DC電源b68、DC電源c59、DC電源(37V)51である。
【0073】
図6において、電源プラグ53がプラグアウト状態の場合は、電源モードは「OFF」モードであり、各電源もOFF状態である。電源プラグ53がプラグイン状態で、電源モードが「OFF」モードの場合は、DC電源(5V)52のみがON状態になる。
【0074】
次に「DeepSleep」モードは、商用電源54からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出し、メモリ62に記憶された電源SW63の操作履歴等を読み出す時の電源モードである。「DeepSleep」モードは、DC電源(5V)52以外に、DC電源a58及びDC電源b68に電力が供給された状態である。
【0075】
本実施形態に係る画像形成装置では、電力負荷としてI/F回路64が有する操作部、プリンタヘッド24等の動作部、これらを制御するASIC&CPU61,69の制御部を有している。このうち、「DeepSleep」モードでは、DC電源c59及びDC電源(37V)51への電力供給を遮断することで、前記した操作部及び動作部には電力の供給を行わない。
【0076】
外部電源54からの電力状態が変化したことを検出した場合でも、後述する処理により「状態チェック読み出し」結果によって起動状態に移行するか電源OFF状態に移行するかが決定される。従って、例えば電源OFF状態に移行する前段階に、操作部及び動作部に電力が供給されて起動すると、ユーザの意図に反する動作を行うこととなる。しかし、この様に「DeepSleep」モードを設けることにより、メモリ62の読み出し状態において操作部等をOFF状態にしておくことで、ユーザに違和感を与えることを防ぐ効果がある。
【0077】
この他、「Sleep」モードはDC電源(37V)のみ電力供給を遮断した状態であり、「Stanby」モード及び「Active」モードはプリント機能等を発揮できる状態にするために全ての電源に電力を供給した状態である。
<電力供給検出後の処理について>
図7に、本実施形態に係る電源制御装置を有する画像形成装置100において、外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した後の処理例のフローチャートを示す。
【0078】
まず、ステップS1にて外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことが検出されると、ステップS2にて電源状態を「DeepSleep」モードに制御する。
【0079】
次に、ステップS3にてメモリ62から電源スイッチ操作履歴の読み出しを行う。ステップS4では、メモリ62から読み出した直近の電源スイッチ操作がOFF操作であるか否かを判断し、直近の操作がOFF操作であった場合には、ステップS5にて電源状態を「OFF」モードに制御して処理を終了する。
【0080】
ステップS4にて直近の電源スイッチ操作がOFF操作以外であった場合には、ステップS6にて後述する電源OFF異常チェックによるメンテナンス処理を行う。
【0081】
ステップS7にてメンテナンスが正常終了したか否かを判断し、正常終了した場合にはステップS8にて電源状態を「Stanby」モードに制御して処理を終了する。メンテナンスが正常に終了しなかった場合には、ステップS9にてサービスマンコールを表示して処理を終了する。
【0082】
以上の処理により、ユーザによる電源OFF操作があった後に電源プラグ53の脱着等があった場合には、各負荷への電力供給を遮断し、電源を「OFF」モードに制御する。また、ユーザによる電源OFF操作がなかった場合には、各負荷への電力供給を行い、メンテナンス処理を行った後に通常通りの起動処理を行う。
【0083】
この様に、ユーザの意図に沿った起動動作を行うことにより、ユーザにとって違和感の無い電源制御を実現することができる。また、メモリ62から電源SW63の操作履歴を読み出す間は操作部や動作部には電力を供給しないため、電源を「OFF」モードに移行する場合にもユーザに気付かれることなく実行することが可能となる。さらに、電力供給を検出した場合において不必要に起動することが無いため、電力消費量を削減することもできる。
【0084】
図8に、本実施形態に係る電源OFF異常チェックの処理例のフローチャートを示す。
【0085】
電源OFF異常チェックは、ユーザによる電源SW63のオフ操作が無く、電源プラグ53が脱着されること等によって商用電源54からの電力供給状態が変化したことを検出した場合の起動時に行う処理である。
【0086】
まず、外部電源からの電力供給が検出され、「DeepSleep」モードにてメモリ62から電源SW63の操作履歴を読み出す際に、併せてメモリ62に記憶された電源モードの履歴も読み出しておくものとする。
【0087】
電源OFF異常チェックでは、まずステップS11にて、メモリ62から読み出した電源モード履歴のうち最後に記憶された電源モードが「Active」モードであるか否かの判定を行う。
【0088】
「Active」モードであった場合には、次にステップS12にて電源モードを「Active」モードに制御し、電力が遮断された際にプリント動作等を行っていたことが考えられるため、ステップS13にて紙詰まりメンテナンスを実行する。
【0089】
紙詰まりメンテナンスは実際に装置内に詰まった紙を取り除く作業を要するため、メンテナンスが必要であることを表示し、紙を取り除く手順を操作部の表示画面に表示する。
【0090】
次に、ステップS14にて、最後の電源モードが「Stanby」モードであった場合には、ステップS15にて電源モードを「Stanby」モードに制御し、ステップS16にて維持部・供給部83のメンテナンスを行う。
【0091】
維持部のメンテナンスは、プリンタヘッド24のノズルを吐出に適した状態を保つようにするクリーニング等であり、供給部のメンテナンスとしてはプリンタヘッド24にインクを供給する流路の圧力が最適になるように供給圧を調整する動作等である。
【0092】
続いてステップS17にてメモリ情報のメンテナンスを行って処理を終了する。メモリ情報のメンテナンスは、過去の電源モード履歴を消去して現在の最新データへの更新を行うものである。
【0093】
この様に、電源OFF時における電源モードに基づいて、紙詰まりや維持部・供給部等のメンテナンスを行うことで、起動時における不具合の発生を抑止することができる。
<まとめ>
以上説明した様に、本発明の実施形態によれば、外部電源である商用電源54からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、メモリ62に記憶されたユーザの電源SW63の操作履歴に基づき、各負荷への電力供給を最適に制御することができる。
【0094】
この様な制御を行うことによって、ユーザの意図に沿った電源制御を実現することができ、且つ、不必要な電力消費を抑えるといった効果を得ることもできる。
【0095】
また、本発明に係る電源制御装置及び電源制御方法は、コンピュータにより実行可能なプログラムにより実現することができ、プログラムを記録した記録媒体をコンピュータにより読み取らせて実現することも可能である。
【0096】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0097】
11 スキャナ部(動作部)
24 プリンタヘッド(動作部)
51 DC電源(37V)(電力供給手段)
52 DC電源(5V)(電力供給手段)
54 商用電源(外部電源)
55 FAX部(動作部)
57 DC電源起動回路(検出手段、電力供給手段)
62 メモリ(記憶手段)
63 電源SW(電源スイッチ)
64 I/F回路(操作部)
83 維持部・供給部(動作部)
85 コントローラ(電源制御装置)
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開2009−302648号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から電力供給を受けて、負荷への電力供給を行う電力供給手段と、
前記外部電源からの電力供給状態を検出する検出手段と、
電源スイッチのオン/オフ操作内容を記憶する記憶手段と、
を有する電源制御装置であって、
前記検出手段が、前記外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、
前記記憶手段に記憶された直近の前記電源スイッチの操作内容に基づき、前記電力供給手段が前記負荷への電力供給を制御する
ことを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記検出手段が、前記外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、
前記記憶手段が記憶する直近の前記電源スイッチ操作がオフ操作以外の場合には、前記電力供給手段は前記負荷に電力を供給し、
前記記憶手段が記憶する直近の前記電源スイッチ操作がオフ操作である場合には、前記電力供給手段は前記負荷への電力を遮断する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記負荷が、
ユーザが操作を行うための操作ボタン等を有する操作部と、
前記操作部等からの指示に基づいて所定の動作を行う動作部と、
を有し、
前記検出手段が、前記外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、
前記記憶手段から前記電源スイッチの操作内容を読み出す間は、
前記電力供給手段は、前記操作部及び前記動作部には電力を供給しない
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電源制御装置を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
外部電源から電力供給を受けて、負荷への電力供給を行う電力供給工程と、
前記外部電源からの電力供給状態を検出する検出工程と、
電源スイッチのオン/オフ操作内容を記憶する記憶工程と、
を有する電源制御方法であって、
前記検出工程において、前記外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、
前記記憶工程で記憶された直近の前記電源スイッチの操作内容に基づき、前記電力供給工程における前記負荷への電力供給を制御する
ことを特徴とする電源制御方法。
【請求項6】
外部電源から電力供給を受けて、負荷への電力供給を行う電力供給手段と、
前記外部電源からの電力状態を検出する検出手段と、
電源スイッチのオン/オフ操作内容を記憶する記憶手段と、
を有する電源制御装置のコンピュータに、
前記検出手段が、前記外部電源からの電力が遮断状態から供給状態に変化したことを検出した時に、
前記記憶手段に記憶された直近の前記電源スイッチの操作内容に基づき、前記電力供給手段に前記負荷への電力供給の制御を
実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−252512(P2012−252512A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124537(P2011−124537)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】