説明

電源制御装置、電源制御システム、電源制御方法、電源制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】省エネモード移行時間に係る消費電力を削減し省エネルギー化が図れる電源制御装置、電源制御システム、電源制御方法、電源制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】電源制御装置100は、ネットワークNを介して接続される1又は複数の機器200における電力モードを制御する装置であって、機器200の動作ログ41を基に単位時間あたりの機器200の使用頻度を示す機器使用率を算出する算出手段22と、算出された機器使用率を過去の機器使用率として前記単位時間ごとに所定の記憶領域23に記録する記録手段20と、記録された過去の機器使用率に基づき現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する判定手段321と、判定結果に基づき機器200に省エネモードへの移行を指示する指示手段322と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークなどのデータ伝送路を介して接続される1又は複数の機器における電力モードを制御する電源制御装置、電源制御システムに関し、特に、学習した機器の使用頻度を基に機器の電源を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス機器において、省エネルギー化(グリーン化とも言う)を推進する傾向が顕著になってきている。その背景には、環境対策におけるCO2削減やエネルギーコスト削減などが、企業内で積極的に取り組まれるようになったことが挙げられる。
【0003】
そのため、オフィス環境に設置される複合機(MFP:Multifunction Peripheral)やプリンタと言った画像形成装置は、エナジースター(Energy Star)などの消費電力基準を満たすように設計されている。
【0004】
このような画像形成装置には、例えば、一定時間以上機器が使用されなかった場合、省エネモード(低消費電力モード)に移行する電力制御機能が搭載されている(例えば「特許文献1」を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電力制御では、省エネモードへ移行するまでの間(移行時間の間)、余分な消費電力が生じてしまっていた。
【0006】
例えば特許文献1に示すような、省エネモードへの移行時間を最適化する画像形成装置であったとしても、設定された移行時間に従って電源制御を行う場合には、移行までの間に余分な電力を消費してしまう。
【0007】
このような移行時間に係る消費電力は、現在のオフィス環境において省エネルギー化を図る上で問題となる。なぜなら、オフィス環境には、複数の機器が導入されている場合が多く、企業規模によっては数百台又は数千台といった環境も存在することから、移行時間に係る消費電力が相当量になることが予想される。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、省エネモード移行時間に係る消費電力を削減し省エネルギー化を図ることができる電源制御装置、電源制御システム、電源制御方法、電源制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る電源制御装置は、所定のデータ伝送路を介して接続される1又は複数の機器における電力モードを制御する電源制御装置であって、前記機器の動作ログを基に、単位時間あたりの前記機器の使用頻度を示す機器使用率を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された機器使用率を、過去の機器使用率として、前記単位時間ごとに所定の記憶領域に記録する記録手段と、前記記録手段により記録された過去の機器使用率に基づき、現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づき、前記機器に省エネモードへの移行を指示する指示手段と、を有している。
【0010】
このような構成によって、本発明に係る電源制御装置は、機器から送信された動作ログを基に単位時間あたりの機器使用率(動作回数/単位時間)を算出し、機器の使用頻度について学習する。また、電源制御装置は、一定の時間間隔に従って、学習時に記録した単位時間あたりの機器使用率(学習データ)を基に、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯か否かを判定する。このとき、電源制御装置は、移行すべき時間帯であると判定した場合、機器に対して省エネモードへの移行を指示する。
【0011】
これによって、本発明に係る電源制御装置は、省エネモード移行時間に係る消費電力を削減し省エネルギー化を図ることができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る電源制御方法は、所定のデータ伝送路を介して接続される1又は複数の機器における電力モードを制御する電源制御装置における電源制御方法であって、前記機器の動作ログを基に、単位時間あたりの前記機器の使用頻度を示す機器使用率を算出する算出手順と、前記算出手順により算出された機器使用率を、過去の機器使用率として、前記単位時間ごとに所定の記憶領域に記録する記録手順と、前記記録手順により記録された過去の機器使用率に基づき、現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する判定手順と、前記判定手順による判定結果に基づき、前記機器に省エネモードへの移行を指示する指示手順と、を有している。
【0013】
このような手順によって、本発明に係る電源制御方法は、学習した使用頻度を基に判断された移行タイミングにより機器を省エネモードへと移行させると言う動作を実現する。
【0014】
これによって、本発明に係る電源制御方法は、省エネモード移行時間に係る消費電力を削減し省エネルギー化を図ることが可能な環境を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、学習した使用頻度を基に判断された移行タイミングにより機器を省エネモードへと移行させることで、省エネモード移行時間に係る消費電力を削減し省エネルギー化が図れる電源制御装置、電源制御システム、電源制御方法、電源制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電源制御システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電源制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電源制御装置が有する機能構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る使用頻度の学習を行う処理手順例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る動作ログのデータ例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るジョブログのデータ例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る使用頻度の学習データ例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る使用頻度の学習データ変換例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る省エネモード移行を行う処理手順例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る電源制御システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、「実施形態」と言う。)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
<システム構成>
本実施形態に係る電源制御システムの構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る電源制御システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、電源制御システム1は、MFPやLP(Laser Printer)と言った1又は複数の画像処理装置200(以下「機器」と言う)及び電源制御装置100が、LAN(Local Area Network)などのネットワークN(所定のデータ伝送路)で相互に接続されている。
【0020】
このようなシステム構成により、電源制御装置100は、機器200から送信される各種情報を取得できる。また、電源制御装置100は、機器200に対して省エネモードへの移行指示などを含む電源制御を行うことができる。
【0021】
<ハードウェア構成>
次に、上記電源制御装置100のハードウェア構成について説明する。
【0022】
図2は、本実施形態に係る電源制御装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、電源制御装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108を含むハードウェアを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0023】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、電源制御装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、電源制御装置100による処理結果(例えば「機器ごとの電源モード状態情報」)などを表示する。
【0024】
インタフェース装置107は、電源制御装置100をネットワークNに接続するインタフェースである。よって、電源制御装置100は、インタフェース装置107を介して、機器200とデータ通信を行うことができる。
【0025】
HDD108は、各種プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。上記各種プログラムやデータには、例えば、電源制御装置100全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(登録商標)」や「UNIX(登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))及び情報処理システム上において各種機能(例えば「電源制御機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD108は、上記各種プログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0026】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。よって、電源制御装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は記録媒体103aへの書き込みを行うことができる。
【0027】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、電源制御装置100が起動されるときに実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、電源制御装置100のシステム設定、及びネットワーク関連の設定などを含む各種プログラムやデータが格納されている。
【0028】
RAM104は、上記各種記憶装置から読み出されたプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記RAM104上に読み出したプログラムを実行することにより、電源制御装置100の全体制御や電源制御装置100が搭載する各種機能を動作させる。
【0029】
このようなハードウェア構成により、電源制御装置100は、例えば、HDD108からRAM104上に読み出したプログラム(電源制御プログラム)をCPU106により実行し、電源制御機能を実現することができる。
【0030】
<電源制御機能>
次に、本実施形態に係る電源制御機能について説明する。
【0031】
本実施形態に係る電源制御装置100では、機器200から送信された動作ログを基に単位時間あたりの機器使用率(動作回数/単位時間)を算出し、機器200の使用頻度について学習する。また、電源制御装置100は、学習時に記録しておいた過去の機器使用率を基に、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯か否かを判定する。このとき、電源制御装置100は、移行すべき時間帯であると判定された場合、機器200に対して省エネモードへの移行を指示する。電源制御装置100は、このような電源制御機能を有している。
【0032】
つまり、本実施形態に係る電源制御装置100は、移行時間に従って省エネモードに移行するのではなく、機器200の使用頻度を学習し、学習した使用頻度を基に判断された移行タイミングにより機器200を省エネモードに移行する。
【0033】
これによって、電源制御装置100では、省エネモード移行時間に係る消費電力を削減し省エネルギー化を図ることができる。
【0034】
以下に、機能構成とその動作について説明する。
【0035】
図3は、本実施形態に係る電源制御装置100が有する機能構成例を示す図である。
図3に示すように、電源制御装置100は、使用頻度学習部20及び電源制御部30を有している。
【0036】
《使用頻度学習部》
使用頻度学習部20は、機器200から送信された動作ログを基に単位時間あたりの機器使用率を算出し、機器200の使用頻度について学習する機能部である。そのため、使用頻度学習部20は、ログ取得部21及び機器使用率算出部22を有している。
【0037】
ログ取得部21は、機器200から送信される動作ログを取得する。また、機器使用率算出部22は、ログ取得部21により取得された動作ログ41を基に、一定時間における機器200の使用頻度を示す機器使用率、すなわち単位時間あたりの機器使用率を算出する。
【0038】
このように、本実施形態では、上記各機能部が連係動作することにより、機器200における単位時間あたりの使用頻度の学習が実現される。
【0039】
以下に、上記機能部の詳細及び連係動作について、図4のフローチャートを基に説明する。
【0040】
図4は、本実施形態に係る使用頻度の学習を行う処理手順例を示す図である。
図4に示すように、電源制御装置100は、まず、ログ取得部21により、機器200から送信される動作ログを取得する(ステップS101)。このとき機器200から送信される動作ログは、例えば図5に示すようなデータである。
【0041】
図5は、本実施形態に係る動作ログ41のデータ例を示す図である。
図5に示すように、動作ログ41には、機器200へのアクセス履歴であるアクセスログ411及び機器200で実行されたジョブ履歴であるジョブログ412などが含まれる。
【0042】
動作ログ41は、例えば、機器200がPC(Personal Computer)から受け付けたジョブ要求に従って所定の処理を行った場合に、機器200から送信される。なお、動作ログ41の送信タイミングは、必ずしも機器200におけるジョブ実行と同期していなくてもよい。
【0043】
図6は、本実施形態に係るジョブログ412のデータ例を示す図である。例えば、動作ログ41には、図6に示すようなジョブログ412が含まれていてもよい。図6には、機器200において所定時間内に処理された印刷ジョブに関する履歴データの例が示されている。このように、機器200が、所定時間内のアクセス履歴やジョブ履歴をまとめて記録しておき、これらの記録データを含む動作ログ41を定期的に送信するようにしてもよい。
【0044】
また、ログ取得部21は、ステップS101において上記動作ログ41を取得するときに、送信元の機器200に関する情報(以下「機器情報」と言う)も取得する。なお、機器情報は、ネットワークプロトコルに関する情報から取得できる。
【0045】
図4に戻り、ログ取得部21は、取得した動作ログを機器使用率算出部22に転送する(ステップS102)。
【0046】
機器使用率算出部22は、ログ取得部21から受け取った動作ログ41を解析する(ステップS103)。このとき、機器使用率算出部22は、動作ログ41に含まれるに日時データ及び動作履歴データの各データ項目について解析する。
【0047】
続いて、機器使用率算出部22は、上記解析結果を基に、単位時間あたりの機器200の動作回数などを含む機器使用率算出用のデータ(以下単に「算出用データ」と言う)を、動作ログ41から抽出し取得する(ステップS104)。
【0048】
これにより、機器使用率算出部22は、取得した上記算出用データを基に所定の計算式に従って機器使用率を算出する(ステップS105)。
【0049】
ここで、機器使用率の具体的な算出例について説明する。なお、以下の算出例は、例えば、取得した動作ログ41に、図6に示すような印刷に関するジョブログ412が含まれる場合である。
【0050】
機器使用率算出部22は、上記ジョブログ412を含む動作ログ41を解析した場合、10:00から11:00までの1時間[60分]における機器200の動作回数(印刷回数)[5回]を算出用データとして取得する。
【0051】
機器使用率算出部22は、取得した算出用データ[60分]及び[5回]を基に、動作回数を単位時間で除算する計算式[動作回数/単位時間]を用いて、機器使用率(単位時間あたりの動作回数)を算出する。つまり、上記算出用データの例では、[5/60]が機器使用率の算出結果となる。
【0052】
上記方法により算出された機器使用率は、機器使用率算出部22により、情報保持部23に記録される(ステップS106)。なお、上記情報保持部23は、例えば、電源制御装置100が備えるHDD108の記憶領域にあたる。つまり、機器使用率は、算出後に記録データとして所定の記憶領域に格納され保存される。
【0053】
このように、使用頻度学習部20は、機器使用率算出部22により算出した機器使用率を情報保持部23に記録することで、機器200の使用頻度について学習する。
【0054】
以下に、使用頻度の具体的な学習例について説明する。なお、以下の学習例は、例えば、機器200の使用頻度を3日間学習した場合である。
【0055】
使用頻度学習部20は、機器使用率算出部22により3日間にわたって同じ時間帯の機器使用率を算出し、算出した機器使用率を3日分累積し、情報保持部23に記録する。
【0056】
例えば、機器使用率算出部22が、3日間において、同じ時間帯である10:00から11:00までの機器使用率[3/60]、[7/60]、及び[5/60]を算出したとする。この場合、1日目には、使用頻度学習部20により、情報保持部23に機器使用率[3/60]が記録される。続いて、2日目には、算出された機器使用率[7/60]が1日目の機器使用率[3/60]に累積されて記録される。具体的には、動作回数及び単位時間を2日分累積した値が2日間における使用頻度の学習データとして記録される。この例では、2日目の学習データとして[10(=3+7)/120(=60+60)]が記録される。同様に3日目には、算出された機器使用率[5/60]が2日間の機器使用率[10/120]に累積されて記録される。この例では、3日目の学習データとして[15/180]が記録される。
【0057】
その結果、情報保持部23には、例えば図7に示すような使用頻度の学習データ23Dが生成される。
【0058】
図7は、本実施形態に係る使用頻度の学習データ例を示す図である。図7には、機器200の使用頻度について、月曜日から金曜日までの1日の時間帯を1時間単位で3日間学習した場合の例が示されている。例えば、月曜日の8:00から9:00までの時間帯は、機器200が3日間にわたって使用されていないことがわかる。一方で、金曜日の16:00から17:00までの時間帯は、1週間のうち、機器200が最も頻繁に使用されていることがわかる。
【0059】
よって、使用頻度学習部20は、使用頻度の学習データ23Dを参照し、前日までの同じ時間帯に該当する学習データ23Dを取得し、機器使用率算出部22により算出された最新の機器使用率を、取得した学習データ23D(過去の機器使用率)に累積し、学習データ23Dを更新する。
【0060】
また、上記単位時間は、ユーザによって設定・変更可能な値である。よって、使用頻度学習部20は、使用頻度の学習データ23Dを、機器使用率における単位時間の時間幅に応じたデータに変換できる。
【0061】
図8は、本実施形態に係る使用頻度の学習データ変換例を示す図である。図8には、機器200の利用頻度について、月曜日から金曜日の8:00から9:00までの1時間を15分単位で3日間学習した場合の学習データ23Dを、60分単位のデータに変換する例が示されている。例えば月曜日の学習データ23Dを例にすると、まず、8:00から9:00までの60分間に該当する学習データ23Dは、[0/45]、[2/45]、[3/45]、及び[0/45]である。このような場合、使用頻度学習部20は、該当する上記4つの学習データ23Dを1つの学習データ23Dにまとめ、60分単位の学習データ[5(=0+2+3+0)/180(45+45+45+45)]へと変換できる。つまり、使用頻度学習部20は、過去の機器使用率を変更後の単位時間ごとにまとめることで、変更後の単位時間あたりの機器使用率へと変換できる。なお、上記データ変換は、機器使用率算出部22が動作ログ41を基に変更後の単位時間あたりの機器使用率を再計算する方法であってもよい。
【0062】
これにより、電源制御装置100では、機器使用率における時間幅を変更(再設定)することができ、変更後の時間幅に応じて機器200の使用頻度を学習することができる。
【0063】
なお、上記学習方法の説明では、使用頻度を曜日ごとに学習した場合を例に説明を行ったが、この限りでない。例えば、機器使用率を1週間累積し、使用頻度を週ごとに学習してもよい。
【0064】
また、上記学習データ23Dの説明では、情報保持部23が機器200ごとに保持する場合を例に説明を行ったが、この限りでない。例えば、機器200が配置されるフロアーや機器200を所有する部署(グループ)ごとに学習データ23Dを保持してもよい。この場合、使用頻度学習部20は、複数の機器200から送信された動作ログ41から得られる動作回数の総和を基に、共通した機器使用率を算出し、1つの学習データ23Dとして記録する。
【0065】
また、上記動作回数取得の説明では、印刷の動作回数を取得する例を説明したが、この限りでない。例えば、文書蓄積などを含む動作回数を取得してもよい。
【0066】
以上のように、電源制御装置100では、上記使用頻度学習部20により、単位時間あたりの機器200の使用頻度を学習する。また、上記使用頻度学習部20では、機器200の搭載ハード・ソフトウェアに依存しないデータを基に機器使用率を算出する。これにより、電源制御システム1において、新製品や他社製品の機器200も、電源制御対象として対応することができる。
【0067】
《電源制御部》
電源制御部30は、学習時に記録しておいた過去の機器使用率を基に、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯か否かを判定し、判定結果を基に機器200に対して省エネモードへの移行を指示する機能部である。そのため、電源制御部30は、タイミング制御部31及び省エネ移行部32を有している。
【0068】
タイミング制御部31は、省エネモードへの移行タイミングを制御する。また、省エネ移行部32は、機器200に対して省エネモードへの移行を指示する。また、省エネ移行部32は、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯か否かを判定し、判定結果を基に省エネモードへの移行を指示する。そのため、省エネ移行部32は、移行判定部321及び移行指示部322を有している。
【0069】
移行判定部321は、現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する。また、移行指示部322は、上記判定結果を基に機器200に対して省エネモードへの移行を指示する。
【0070】
このように、本実施形態では、上記各機能部が連係動作することにより、学習した使用頻度に応じた機器200における省エネモード移行の制御が実現される。
【0071】
以下に、上記機能部の詳細及び連係動作について、図9のフローチャートを基に説明する。
【0072】
図9は、本実施形態に係る省エネモード移行を行う処理手順例を示す図である。
図9に示すように、電源制御装置100は、タイミング制御部31により、予め設定しておいた所定時間が経過するまで待つ(ステップS201)。これにより、タイミング制御部31は、省エネモードへの移行タイミングを制御する。タイミング制御部31は、例えば、タイマー機能により時間経過を判断する。
【0073】
タイミング制御部31は、一定時間経過したと判断した場合、省エネ移行部32が有する移行判定部321に対して、省エネモード移行の要否判定を要求する(ステップS202)。
【0074】
移行判定部321は、上記要求に従い、情報保持部23で保持する利用頻度の学習データ23Dにアクセスし、過去の機器使用率から、現在時刻により特定された時間帯の機器使用率(以下便宜上「該当時間帯の機器使用率」と言う)を参照する(ステップS203)。
【0075】
続いて、移行判定部321は、該当時間帯の機器使用率と、予め設定しておいた判定基準である機器使用率(以下「判定基準値」と言う)とを比較する(ステップS204)。
【0076】
これにより、移行判定部321は、ステップS204における上記比較結果を基に、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯か否かを判定する(ステップS205)。
【0077】
ステップS205において、該当時間帯の機器使用率が判定基準値より低い値であった場合には、省エネモードに移行すべき時間帯であると判定する(ステップS205:YES)。
【0078】
これにより、移行指示部322には、上記判定結果を基に移行判定部321から機器200に対して省エネモードへの移行が指示される(ステップS207)。
【0079】
その結果、機器200は、電源制御装置100からの移行指示に従って、即座に省エネモードへと移行する。
【0080】
一方、ステップS205において、該当時間帯の機器使用率が判定基準値と同じ又はそれより高い値であった場合には、省エネモードに移行すべき時間帯でないと判定する(ステップS205:NO)。
【0081】
このようにして判定された省エネモード移行の要否判定結果は、移行判定部321から判定要求元のタイミング制御部31へと応答される。
【0082】
タイミング制御部31は、上記応答を受け付けると、再び上記ステップS201の処理手順へと戻り、上記各処理手順を繰り返して行う。つまり、電源制御部30では、定期的に機器200における省エネモード移行の制御が行われる。
【0083】
なお、上記判定基準値は、学習データ23Dから判断できる曜日ごとや週ごとの使用頻度に応じて可変する値であってもよい。例えば、月曜日より金曜日の方が機器200の使用頻度が高い場合、金曜日には、月曜日の判定基準値より低い判定基準値を用いて省エネモード移行の要否判定を行う。
【0084】
以上のように、電源制御装置100では、上記電源制御部30により、学習した使用頻度を基に判断された移行タイミングにより機器200を省エネモードに移行する。これにより、電源制御装置100は、省エネモードへの移行を移行時間に従って行わないため、移行時間に係る余分な消費電力を削減することができる。
【0085】
なお、上記電源制御機能は、上記各処理手順を動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化した電源制御プログラムが、CPU106により実行されることで実現される。
【0086】
また、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。例えば、記録媒体103aには、フロッピー(登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(SD Memory Card)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリなどがある。
【0087】
よって、上記プログラムは、これらの記録媒体103aに記憶させることで、記録媒体103aを読み取り可能なドライブ装置103や外部記憶I/F(非図示)などを介して電源制御装置100にインストールすることができる。また、電源制御装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を介して上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0088】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、本実施形態に係る電源制御システム1の構成については、この限りでない。例えば、図10に示すようなシステム構成でもよい。
【0089】
<システム構成の変形例>
図10は、電源制御システム1の変形例を示す図である。
本実施形態に係る電源制御システム1は、上述のとおり電源制御装置100が使用頻度学習部20及び電源制御部30を有する構成であった。
【0090】
これに対して、図10に示す電源制御システム1では、使用頻度学習部20と電源制御部30とが異なる装置に搭載されている。具体的には、電源制御対象である1又は複数の機器200、使用頻度学習部20を有する動作ログ収集装置300、及び電源制御部30のみを有する電源制御装置100が、ネットワークNにより相互に接続されている。
【0091】
このような構成の場合、電源制御装置100は、定期的に動作ログ収集装置300へアクセスし、動作ログ収集装置300が保持する使用頻度の学習データ23Dを基に、学習した使用頻度に応じた機器200における省エネモード移行の制御を行う。具体的には、図9に示すステップS203の処理手順において、動作ログ収集装置300が保持する使用頻度の学習データ23Dを参照する。
【0092】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る電源制御装置100によれば、学習した使用頻度を基に判断された移行タイミングにより機器200を省エネモードへと移行させる。
【0093】
これによって、電源制御装置100は、省エネモード移行時間に係る消費電力を削減することができる。その結果、省エネルギー化を図ることができる。
【0094】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 電源制御システム
20 使用頻度学習部
21 ログ取得部
22 機器使用率算出部
23 情報保持部
30 電源制御部
31 タイミング制御部
32 省エネ移行部
321 移行判定部
322 移行指示部
100 電源制御装置(電源制御サーバ)
101 入力装置
102 表示装置
103 ドライブ装置(a:記録媒体)
104 RAM(揮発性の半導体メモリ)
105 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
106 CPU(中央処理装置)
107 インタフェース装置(NIC:Network I/F Card)
108 HDD(不揮発性の記憶装置)
200 機器(画像処理装置:管理対象機器)
300 動作ログ収集装置(情報処理装置)
N ネットワーク(データ伝送路)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2008−72391号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータ伝送路を介して接続される1又は複数の機器における電力モードを制御する電源制御装置であって、
前記機器の動作ログを基に、単位時間あたりの前記機器の使用頻度を示す機器使用率を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された機器使用率を、過去の機器使用率として、前記単位時間ごとに所定の記憶領域に記録する記録手段と、
前記記録手段により記録された過去の機器使用率に基づき、現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づき、前記機器に省エネモードへの移行を指示する指示手段と、を有することを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記記録手段により記録された過去の機器使用率のうち、現在時刻から特定された時間帯に該当する過去の機器使用率に基づき、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯か否か判定することを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記指示手段は、
前記判定手段により、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯であると判定された場合、
前記機器に省エネモードへの移行を指示することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記算出手段は、
前記動作ログに含まれる日時データ及び動作履歴データに基づき、前記機器における単位時間あたりの動作回数を前記機器使用率として算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記記録手段は、
算出された前記機器使用率を記録するときに、
前記単位時間と前記単位時間あたりの動作回数とのそれぞれの値を累積して記録することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
一定時間間隔に従って、
現在時刻における省エネモード移行の要否を判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項7】
1又は複数の機器と、前記機器における電力モードを制御する電源制御装置とが、所定のデータ伝送路を介して接続される電源制御システムであって、
前記機器から送信される動作ログを前記電源制御装置により取得し、取得した前記動作ログ基に、単位時間あたりの前記機器の使用頻度を示す機器使用率を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された機器使用率を、過去の機器使用率として、前記単位時間ごとに所定の記憶領域に記録する記録手段と、
前記記録手段により記録された過去の機器使用率に基づき、現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づき、前記電源制御装置から前記機器に対して省エネモードへの移行を指示する指示手段と、を有することを特徴とする電源制御システム。
【請求項8】
所定のデータ伝送路を介して接続される1又は複数の機器における電力モードを制御する電源制御装置における電源制御方法であって、
前記機器の動作ログを基に、単位時間あたりの前記機器の使用頻度を示す機器使用率を算出する算出手順と、
前記算出手順により算出された機器使用率を、過去の機器使用率として、前記単位時間ごとに所定の記憶領域に記録する記録手順と、
前記記録手順により記録された過去の機器使用率に基づき、現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する判定手順と、
前記判定手順による判定結果に基づき、前記機器に省エネモードへの移行を指示する指示手順と、を有することを特徴とする電源制御方法。
【請求項9】
前記判定手順は、
前記記録手順により記録された過去の機器使用率のうち、現在時刻から特定された時間帯に該当する過去の機器使用率に基づき、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯か否か判定することを特徴とする請求項8に記載の電源制御方法。
【請求項10】
前記指示手順は、
前記判定手順により、現在時刻が省エネモードに移行すべき時間帯であると判定された場合、
前記機器に省エネモードへの移行を指示することを特徴とする請求項8又は9に記載の電源制御方法。
【請求項11】
前記算出手順は、
前記動作ログに含まれる日時データ及び動作履歴データに基づき、前記機器における単位時間あたりの動作回数を前記機器使用率として算出することを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一項に記載の電源制御方法。
【請求項12】
前記記録手順は、
算出された前記機器使用率を記録するときに、
前記単位時間と前記単位時間あたりの動作回数とのそれぞれの値を累積して記録することを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一項に記載の電源制御方法。
【請求項13】
前記判定手順は、
一定時間間隔に従って、
現在時刻における省エネモード移行の要否を判定することを特徴とする請求項8ないし12のいずれか一項に記載の電源制御方法。
【請求項14】
所定のデータ伝送路を介して接続される1又は複数の機器における電力モードを制御する電源制御装置における電源制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記機器の動作ログを基に、単位時間あたりの前記機器の使用頻度を示す機器使用率を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された機器使用率を、過去の機器使用率として、前記単位時間ごとに所定の記憶領域に記録する記録手段と、
前記記録手段により記録された過去の機器使用率に基づき、現在時刻における省エネモード移行の要否を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づき、前記機器に省エネモードへの移行を指示する指示手段として機能させる電源制御プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−218239(P2010−218239A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64571(P2009−64571)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】