説明

電源回路

【課題】入力電圧を降圧した出力電圧が出力されるNMOSNH2が、制御回路からの誤信号によって誤動作することを防止する電源回路を提供する。
【解決手段】入力電圧がドレインに印加される第1のN型MOSFETと、第1のN型MOSFETと直列接続される第2のN型MOSFETと、ソースが第1のN型MOSFETのソースとコイルを介して接続され、出力電圧がドレインから出力される第3のN型MOSFETと、第1のN型MOSFETと第2のN型MOSFETをスイッチング動作させるとともに第3のN型MOSFETをオンさせて入力電圧を降圧した出力電圧を得るべく、第1および第2のN型MOSFETをスイッチング動作させる制御回路と、制御回路とは無関係に、第3のN型MOSFETをオンさせる状態設定回路と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電池やアダプタなどから入力される入力電圧を、一定の出力電圧に変換して出力する電源回路には、出力電圧より低い入力電圧を昇圧して出力電圧とする昇圧型、出力電圧より高い入力電圧を降圧して出力電圧とする降圧型、入力電圧の大きさに応じて昇圧または降圧を行い、出力電圧とする昇降圧型がある。
【0003】
この昇降圧型の電源回路として、Hブリッジを用いた電源回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
Hブリッジを用いた昇降圧電源回路では、Hブリッジとして接続された1次側または2次側のN型MOSFET(以下、NMOSとする)のスイッチングに基づいて降圧または昇圧を行う。なお、電源回路の効率を上げるため、このHブリッジに使用されるNMOSは、オン抵抗の低いことが要求される。そのため、これらのNMOSには、DMOS(Double Diffused MOS)構造のNMOSが用いられる。DMOS構造では、耐圧以下の範囲で出来るだけ高いゲート電圧を印加することでオン抵抗を非常に小さくすることが出来る。
【0004】
図10は、従来の電源回路の構成を示すブロック図である。従来の電源回路は、チャージポンプ回路202、204、プリ回路210、212、214、216、制御回路220、インバータ206、208、コイルLとHブリッジを形成するNMOSNH1、NH2、NL1、NL2、HブリッジにおけるコイルLより下側のNMOSNL1、NL2に対する駆動電圧を発生する下側駆動レギュレータ205、を備えている。また、出力電圧となる電圧VDDの端子にはコンデンサC20の非接地側の電極が接続される。なお、NMOSNH1、NH2、NL1、NL2はDMOS構造のNMOSである。
なお、図10に示す電源回路においてコイルL、コンデンサC20以外は、例えば集積化されている。
【0005】
チャージポンプ回路202は、NMOSNH1、NMOSNL1へのゲート電圧を発生するためのものであり、電圧VCC、電圧VDD、クロックCLKに基づいて電圧VG1(例えば、VCC+2VDD)を発生して出力する。
チャージポンプ回路204は、NMOSNH2、NMOSNL2へのゲート電圧を発生するためのものであり、電圧VDD、クロックCLKに基づいて電圧VG2(例えば、3VDD)を発生して出力する。
プリ回路210は、制御回路220の出力に応じて、電圧VG1をNMOSNH1のゲートに印加する。
プリ回路212は、制御回路220の出力に応じて、電圧VG2をNMOSNH2のゲートに印加する。
プリ回路214は、インバータ206の出力に応じて、電圧VGRをNMOSNL1のゲートに印加する。
プリ回路216は、インバータ208の出力に応じて、電圧VGRをNMOSNL2のゲートに印加する。
【0006】
制御回路220は、チャージポンプ回路202、204が各々電圧VG1および電圧VG2を発生するためのクロックCLKを、当該チャージポンプ回路202、204に出力するとともに、NMOSNH1、NL1のオン、オフするタイミングを電圧VDDの大きさに応じて変化させるS10信号、および、NMOSNH2、NL2のオン、オフするタイミングを電圧VDDの大きさに応じて変化させるS20信号を出力する。なお制御回路220は、電圧VDDに基づく電圧と所定の基準電圧との誤差信号を出力するエラーアンプ(不図示)と、昇圧用三角波を発生する昇圧用発振器(不図示)と、昇圧用三角波を発生する降圧用発振器(不図示)と、誤差信号と降圧用三角波との大小比較を行う降圧用コンパレータ(不図示)と、誤差信号と昇圧用三角波との大小比較を行う昇圧用コンパレータ(不図示)と、を備えている。S10信号は、降圧用コンパレータで誤差信号と降圧用三角波との大小の比較を行った結果の信号であり、S20信号は、昇圧用コンパレータで誤差信号と昇圧用三角波との大小の比較を行った結果の信号である。
【0007】
下側駆動レギュレータ204は、チャージポンプ回路202の出力電圧VG1を所定の電圧VGR(例えば、3.5V)に変更し、プリ回路214、216に出力する。
インバータ206は、制御回路220から出力されるS10信号を反転させ、プリ回路214に出力する。
インバータ208は、制御回路220から出力されるS20信号を反転させ、プリ回路216に出力する。
【0008】
また、NMOSNH1のドレインは電圧VCCが印加され、ソースはNMOSNL1のドレインと接続されている。NMOSNL1のソースは、接地(VSS)される。NMOSNH2のドレインは電圧VDDが印加され、NMOSNH2のソースはNMOSNL2のドレインと接続されている。NMOSNL2のソースは、接地(VSS)される。
コイルLは、SW1端子とSW2端子間に接続される。
【0009】
以上の構成の電源回路とすることで、外部から入力される電圧VCCよりも高い電圧VDDを発生しようとする場合は、電圧VCCを昇圧し、電圧VCCよりも低い電圧VDDを発生しようとする場合は、電圧VCCを降圧することができる。
【0010】
図11(a)、(b)は、電圧VCCを昇圧し、電圧VCCより高い電圧VDDを得る昇圧モードを説明するための図である。昇圧モードでは、電池などから入力される電圧VCC(例えば、1.5V)を昇圧して、電圧VCCより高い電圧VDD(例えば、2.5V)を発生する。このとき、Hブリッジの1次側のNMOSNH1は常にオンとなり、NMOSNL1は常にオフとなる。そして、2次側のNMOSNH2とNL2が適宜のタイミングでオン、オフのスイッチング動作を行う。
以下、図11(a)、(b)を用いて昇圧モードの動作について説明する。
【0011】
≪ta〜tb間≫
NMOSNH1とNMOSNH2がオンとなり、図11(a)のVCC端子→NMOSNH1→SW1端子→コイルL→SW2端子→NMOSNH2→VDD端子の経路で電流が流れ、コンデンサC20に電荷が蓄積される。よって電圧VDDは昇圧される。
【0012】
≪tb〜tc間≫
NMOSNH1とNMOSNL2がオンとなり、図11(a)のVCC端子→NMOSNH1→SW1端子→コイルL→SW2端子→NMOSNL2→接地端子(VSS)の経路で電流が流れる。電圧VDDは、コンデンサC20に蓄積された電荷が保持されている間では、一定の電圧となる。なお、コンデンサC20が電荷を保持出来る期間を経過した場合や、電圧VDDに負荷が接続されている場合には、電圧VDDは徐々に降圧される。
【0013】
≪tc〜td間≫
再度、NMOSNH1とNMOSNH2がオンとなる。このとき、電圧VDDが電圧VCC以上であっても、切り替わりからしばらくの間、コイルLはSW1端子側からSW2端子側に電流を流し続けようとする。そのため、SW1端子側からSW2端子側に電流が流れ、電圧VDDは昇圧される。
以下、同様にNMOSNH2とNMOSNL2とを適宜のタイミングでスイッチングを繰り返すことによって、電圧VCCより高い一定の電圧VDD(例えば2.5V)を得ることができる。
【0014】
図12(a)、(b)は、電圧VCCを降圧し、電圧VCCより低い電圧VDDを得る降圧モードを説明するための図である。降圧モードでは、アダプタなどから入力される電圧VCC(例えば10V)を降圧して、電圧VCCより低い電圧VDD(例えば、2.5V)を発生する。このとき、Hブリッジの2次側のNMOSNH2は常にオンとなり、NMOSNL2は常にオフとなる。そして、1次側のNMOSNH1とNL1が適宜のタイミングでオン、オフのスイッチング動作を行う。
以下、図12(a)、(b)に示す時刻te〜thの各期間の動作について説明する。
【0015】
≪te〜tf間≫
NMOSNH1とNMOSNH2がオンとなり、図12(a)のVCC端子→NMOSNH1→SW1端子→コイルL→SW2端子→NMOSNH2→VDD端子の実線で示す経路で電流が流れ、コンデンサC20に電圧が保持される。よって電圧VDDは昇圧される。
【0016】
≪tf〜tg間≫
NMOSNL1とNMOSNH2がオンとなる。切り替わりからしばらくの間、コイルLはSW1端子側からSW2端子側に電流を流し続けようとする。よって、図12(a)の破線で示すように接地端子(VSS)→SW1端子→コイルL→SW2端子→VDD端子という経路の電流が流れ、緩やかに電圧VDDは昇圧される。その後、コイルLの電流値は減少していき、やがてコイルLにSW2端子側からSW1端子側への電流が流れるようになる。つまり、図12(a)のVDD端子→NMOSNH2→SW2端子→コイルL→SW1端子→NMOSNL1→接地端子(VSS)の、破線と逆向きの経路で電流が流れるので、電圧VDDは降圧される。
【0017】
≪tg〜th間≫
再度、NMOSNH1がオン、NMOSNH2がオンとなる。切り替わりからしばらくの間、コイルLはSW2端子側からSW1端子側に電流を流し続けようとする。よって、実線と逆向きの経路、すなわち図12(a)のVDD端子→NMOSNH2→SW2端子→コイルL→SW1端子→NMOSNH1→VCC端子の経路の電流が流れ、電圧VDDは緩やかに降圧される。その後、コイルLの電流値は減少していき、やがてコイルLにSW1端子側からSW2端子側への実線で示す経路の電流が流れるようになり電圧VDDは昇圧される。
以下、同様にNMOSNH1とNMOSNL1とを適宜のタイミングでスイッチングを繰り返すことによって、電圧VCCより低い所定の電圧VDD(例えば2.5V)を得ることができる。
なお、この昇圧モードと降圧モードにおける、スイッチングのタイミングは、制御回路220で制御されている。
【0018】
ところで、これらのNMOSNH1、NH2、NL1、NL2は、前述のようにオン抵抗が非常に小さいDMOS構造のNMOSが使用されている。オン抵抗が無視できるとすると、NMOSNH1がオンした時のソース電圧は電圧VCCとなり、NMOSNH2がオンした時のソース電圧は電圧VDDとなる。したがって、これらのNMOSをオンさせるにはゲートに電圧VCC、電圧VDDよりも十分高い電圧(例えば、VCC、VDDより4V以上高いゲート電圧)を印加することが必要となる。そのため、従来の電源回路は、1次側にチャージポンプ回路202、2次側にチャージポンプ回路202とは独立したチャージポンプ回路204を備えている。このように独立したチャージポンプ回路202、204をHブリッジの1次側と、2次側に備えているのは、NMOSNH1、NH2がオンしたときのゲート・ソース間電圧が、電圧VCCに依存しないようにするためである。
【0019】
チャージポンプ回路202は、電圧VCCと電圧VDDから電圧VG1(例えば、VCC+2VDD)を発生する。よって、電圧VDDを2.5Vとすると、NMOSNH1がオンした時のゲート・ソース間電圧は、VCC+2VDD−VCC=2VDD=5Vとなる。
チャージポンプ回路204は、電圧VDDから電圧VG2(例えば、3VDD)を発生する。NMOSNH2がオンした時のゲート・ソース間電圧は、3VDD−VDD=2VDD=5Vとなる。
このように、チャージポンプ回路202、204で発生する電圧VG1および電圧VG2を、NMOSNH1、NH2のゲートにそれぞれ印加すると、NMOSNH1、NH2がオンしたときのゲート・ソース間の電圧は、常に5Vとなる。よって、チャージポンプ回路202、204を備えた電源回路は、入力電圧の大きさに関わらず、NMOSNH1、NH2を安定してオン、オフすることができる。
【0020】
以下、図面を利用して、チャージポンプ回路202およびチャージポンプ回路204の構成および動作を説明する。
図13は、チャージポンプ回路202の構成の一例を示すブロック図である。また、図14は、チャージポンプ回路202の動作を説明するためのタイムチャートである。
チャージポンプ回路202は、図13に示すように、PMOSP1、P2、P3、P4、P5と、NMOSN1、N2と、ダイオードD1、D2、D3と、コンデンサC1、C2、C3と、を備えている。
なお、PMOSP4とNMOSN1、および、PMOSP5とNMOSN2はインバータである。
【0021】
PMOSP1、P2、P3は、VCC端子とVG1端子の間に直列に接続され、PMOSP1、P2間にはCP1C端子、PMOSP2、P3間にはCP2C端子が接続されている。また、PMOSP1、P2、P3のソース−ドレイン間には、逆流防止用のダイオードD1、D2、D3がそれぞれ並列に接続されている。
PMOSP4、P5のソースはVDD端子と接続され、NMOSN1、N2のソースは接地(VSS)される。また、PMOSP4のドレインはNMOSN1のドレインと接続されるとともに、CP1端子と接続される。PMOSP5のドレインは、NMOSN2のドレインと接続されるとともに、CP2端子と接続される。
コンセンサC1は、CP1C端子とCP1端子の間に接続され、コンデンサC2は、CP2C端子とCP2端子の間に接続される。また、コンデンサC3は、VG1端子と接地(VSS)間に接続される。
なお、PMOSP1、P2、P3、P4、P5のゲートには、制御回路220からのCLKに応じて、ゲートをオンさせる電圧がそれぞれ印加される。
【0022】
次に、図14のタイムチャートを用いて、チャージポンプ回路202の昇圧の動作を説明する。
【0023】
≪t0〜t1間≫
クロックCLKが“HIGH”なので、PMOSP1、P3がオンとなり、PMOSP2がオフとなる。また、PMOSP4がオフ、NMOSN1がオンとなるのでCP1端子は“LOW”(VSS)となり、PMOSP5がオン、NMOSN2がオフとなるのでCP2端子は“HIGH”(VDD)となる。
従って、VCC端子→PMOSP1→CP1C端子→コンデンサC1→CP1端子→NMOSN1→接地端子(VSS)の経路の電流が流れ、コンデンサC1には電圧VCCの電荷が蓄えられる。よって、CP1C端子の電圧はVCCとなる。
【0024】
≪t1〜t2間≫
クロックCLKが“LOW”なので、PMOSP1、P3がオフ、PMOSP2がオンとなる。また、PMOSP4がオン、NMOSN1がオフとなるのでCP1端子は“HIGH”となり、PMOSP5がオフ、NMOSN2がオンとなるのでCP2端子は“LOW”となる。
従って、VDD端子→PMOSP4→CP1端子→コンデンサC1→CP1C端子→PMOSP2→CP2C端子→コンデンサC2→CP2端子→NMOSN2→接地端子(VSS)の経路の電流が流れる。また、CP1端子の電圧が“LOW”(VSS)から“HIGH”(VDD)に変化することによって、CP1C端子の電圧はVCC+VDDとなる。また、CP2C端子の電圧はCP1C端子と等しいのでVCC+VDDとなる。
【0025】
≪t2〜t3間≫
クロックCLKが“HIGH”となるので、PMOSP3がオン、PMOSP2がオフ、PMOSP5がオン、NMOSN2がオフとなり、VDD端子→PMOSP5→CP2端子→コンデンサC2→CP2C端子→PMOSP3→VG1端子→コンデンサC3→接地端子(VSS)の経路の電流が流れる。CP2端子の電圧が“LOW”から“HIGH”に変化することによって、CP2C端子の電圧はVCC+2VDDとなる。よってコンデンサC3にはVCC+2VDDの電荷が蓄えられる。
以下、同様にクロックCLKの“HIGH”と“LOW”が繰り返され、出力VG1の電圧はVCC+2VDDになる。
【0026】
図15は、チャージポンプ回路204の構成の一例を示すブロック図である。
チャージポンプ回路204は、図15に示すように、PMOSP6、P7、P8、P9、P10と、NMOSN3、N4と、ダイオードD4、D5、D6と、コンデンサC4、C5、C6と、を備えている。
なお、PMOSP9とNMOSN3、および、PMOSP10とNMOSN4はインバータである。
PMOSP6、P7、P8は、VCC端子とVG1端子の間に直列に接続され、PMOSP3、P4間にはCP3C端子、PMOSP7、P8間にはCP4C端子が接続されている。また、PMOSP6、P7、P8のソース−ドレイン間には、逆流防止用のダイオードD4、D5、D6がそれぞれ並列に接続されている。
PMOSP9、P10のソースはVDD端子と接続され、NMOSN3、N4のソースは接地(VSS)される。また、PMOSP9のドレインはNMOSN3のドレインと接続されるとともに、CP3端子と接続される。PMOSP10のドレインは、NMOSN4のドレインと接続されるとともに、CP4端子と接続される。
コンセンサC4は、CP3C端子とCP3端子の間に接続され、コンデンサC5は、CP4C端子とCP4端子の間に接続される。また、コンデンサC6は、VG2端子と接地(VSS)間に接続される。
なお、PMOSP6、P7、P8、P9、P10のゲートには、制御回路220からのクロックCLKに応じて、ゲートをオンさせる電圧がそれぞれ印加される。
この、チャージポンプ回路204は、チャージポンプ回路202の入力の電圧VCCを電圧VDDに変えただけである。よって、チャージポンプ回路202と同様の動作を行うことで、VDD+2VDD=3VDDが電圧VG2として出力される。
【0027】
このように、従来の電源回路は、NMOSNH1、NH2、NL1、NL2が制御回路220から出力されるS10信号およびS20信号に基づいてオン、オフすることで、昇圧モードまたは降圧モードを行っていた。
【特許文献1】特開2004−120940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
制御回路220では、常に昇圧用三角波と降圧用三角波を発生している。そして、昇圧用三角波と誤差信号の大小比較結果をHブリッジの1次側のNMOSを制御するS10信号として出力し、降圧用三角波と誤差信号の大小比較結果をHブリッジの2次側のNMOSを制御するS20信号として出力している。
【0029】
ところが、このような各三角波と誤差信号の大小の比較において、誤差信号の変動によって誤信号が出力されることがある。例えば、降圧モード時には、昇圧用三角波が誤差信号より常に大きくなることで、NMOSNH2を常にオンとし、NMOSHL2を常にオフとするS20信号が制御回路220から出力されるが、誤差信号が変動して昇圧用三角波と誤差信号が交わった場合、NMOSNH2をオフとし、NMOSNL2をオンとする誤信号が出力される。この誤信号によって電源回路が誤動作すると、NMOSNH2から出力される電圧VDDが変化してしまう。
【0030】
従って、従来の電源回路は、入力電圧を降圧して出力電圧を得る場合、常にオンに固定となるべきNMOSNH2が誤信号によって誤動作することがあるという問題点があった
本発明は、入力電圧を降圧した出力電圧が出力されるNMOSNH2が、制御回路からの誤信号によって誤動作することを防止する電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明に係る主たる発明は、入力電圧がドレインに印加される第1のN型MOSFETと、前記第1のN型MOSFETと直列接続される第2のN型MOSFETと、ソースが前記第1のN型MOSFETのソースとコイルを介して接続され、出力電圧がドレインから出力される第3のN型MOSFETと、前記第1のN型MOSFETと前記第2のN型MOSFETをスイッチング動作させるとともに前記第3のN型MOSFETをオンさせて前記入力電圧を降圧した前記出力電圧を得るべく、前記第1および第2のN型MOSFETをスイッチング動作させる制御回路と、前記制御回路とは無関係に、前記第3のN型MOSFETをオンさせる状態設定回路と、を備えたことを特徴とする。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、入力電圧を降圧した出力電圧が出力される第3のN型MOSFETが、制御回路からの誤信号によって誤動作することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
===全体構成===
図1は、本発明の電源回路の構成を示すブロック図である。本発明の電源回路は、チャージポンプ回路2(『昇圧電圧発生回路』)、プリ回路10、12、14、16、保護回路18、制御回路20、電圧検出回路22、誤動作防止回路24、26、インバータ6、コイルLとHブリッジを形成するNMOSNH1(『第1のN型MOSFET』)、NH2(『第3のN型MOSFET』)、NL1(『第2のN型MOSFET』)、NL2、HブリッジにおけるコイルLより下側のNMOSNL1、NL2に対する駆動電圧を発生する下側駆動レギュレータ5を備えている。また、出力電圧となる電圧VDDの端子にはコンデンサC10の非接地側の電極が接続される。なお、NMOSNH1、NH2、NL1、NL2は、DMOS構造のNMOSであり、耐圧以下の範囲で、出来るだけ高いゲート電圧を印加することでオン抵抗を非常に小さくすることができる。
なお、図1に示す電源回路においてコイルL、コンデンサC10以外は、例えば集積化されている。
【0034】
チャージポンプ回路2は、電圧VCC、電圧VDD、クロックCLKに基づいて電圧VG(例えば、VCC+2VDD)(『昇圧電圧』)を発生して出力する。
プリ回路10は、NMOSNH1を駆動するための回路であり、制御回路20から出力されるS1信号に応じて、電圧VGをNMOSNH1のゲートに印加する。
プリ回路12は、NMOSNH2を駆動するための回路であり、誤動作防止回路24から出力される信号、電圧検出回路22から出力される昇圧選択信号22bおよび降圧選択信号22cに応じて、チャージポンプ回路2の出力に基づいた電圧をNMOSNH2のゲートに印加する。
プリ回路14は、NMOSNL1を駆動するための回路であり、インバータ6の出力に応じて、電圧VGRをNMOSNL1のゲートに印加する。
プリ回路16は、NMOSNL2を駆動するための回路であり、誤動作防止回路26の出力に応じて、電圧VGRをNMOSNL2のゲートに印加する。
保護回路18は、NMOSNH2のゲートとソース間に接続され、NMOSNH2のゲート・ソース間電圧が素子耐圧を越えることによる当該NMOSNH2の破壊を防止するためのものである。
【0035】
制御回路20は、電圧VGを発生するためのクロックCLKをチャージポンプ回路2に出力するとともに、NMOSNH1、NL1のオン、オフするタイミングを電圧VDDの大きさに応じて変化させるS1信号、および、NMOSNH2、NL2のオン、オフするタイミングを電圧VDDの大きさに応じて変化させるS2信号を出力する。
電圧検出回路22は、印加される電圧VCCと所定の電圧(例えば3.5V)との大小を比較するとともに、その比較結果を示す検出信号22aと、検出信号22aに基づいた昇圧選択信号22bと、降圧選択信号22cと、を出力する。
誤動作防止回路24は、検出信号22aと制御回路20から出力されるS2信号とに基づいた信号をプリ回路12に出力する。
誤動作防止回路26は、検出信号22aと制御回路20から出力されるS2信号とに基づいた信号をプリ回路16に出力する。
【0036】
下側駆動レギュレータ5は、チャージポンプ回路2の出力電圧VGを所定の電圧VGR(例えば、3.5V)に変更し、プリ回路14、16に出力する。
インバータ6は、制御回路20から出力されるS2信号を反転させ、プリ回路14に出力する。
【0037】
また、NMOSNH1のドレインは電圧VCCが印加され、ソースはNMOSNL1のドレインと接続されている。NMOSNL1のソースは、接地(VSS)される。NMOSNH2のドレインは電圧VDDが印加され、NMOSNH2のソースはNMOSNL2のドレインと接続されている。NMOSNL2のソースは、接地(VSS)される。
コイルLは、SW1端子とSW2端子間に接続される。
【0038】
以上の構成の電源回路において、まず、チャージポンプ2で電圧VCCと電圧VDDから発生された電圧VGは、プリ回路10、12に印加され、下側駆動レギュレータ5から出力される電圧VGRは、プリ回路14、16に印加される。
【0039】
プリ回路10は、制御回路20から出力されるS1信号に応じて、NMOSNH1のゲートに電圧を印加し、プリ回路14は、インバータ6の出力に応じて、NMOSNL1のゲートに電圧を印加する。電圧VCCが電圧VDDより低く、昇圧を行うことで電圧VDDを得る昇圧モードではNMOSNH1が常にオン、NMOSNL1が常にオフとなり、電圧VCCが電圧VDDより高く、降圧を行うことで電圧VDDを得る降圧モードでは、NMOSNH1とNMOSNL1が適宜のタイミングで交互にオン、オフする。
プリ回路12、16は、制御回路20から出力されるS2信号と電圧検出回路22の出力に応じてNMOSNH2、NL2のゲートに電圧を印加する。昇圧モードではNMOSNH2とNMOSNL2が適宜のタイミングで交互にオン、オフし、降圧モードではNMOSNH2が常にオン、NMOSNL2が常にオフとなる。
【0040】
つまり、昇圧モードでは、NMOSNH1が常にオン、NMOSNL1が常にオフとなりNMOSNH2、NL2が適宜のタイミングで交互にオン、オフする。一方、降圧モードでは、NMOSNH2が常にオン、NMOSNL2が常にオフとなり、NMOSNH1とNMOSNL1が適宜のタイミングで交互にオン、オフする。
このように、本発明の電源回路は、制御回路20の出力と、電圧検出回路22の出力に応じて、NMOSNH1、NH2、NL1、NL2の各ゲート電圧が制御されることで、昇圧モードと降圧モードを実行する。
【0041】
以上説明したように、本発明の電源回路は、コイルLとHブリッジを形成するNMOS(NH1、NH2、NL1、NL2)のためのゲート電圧を発生するチャージポンプ回路2を、Hブリッジの1次側と2次側で共用している。そして、電圧VCCと電圧VDDに基づいてチャージポンプ回路2で発生された電圧VGは、Hブリッジの1次側と2次側のハイサイドのNMOSゲート電圧として出力される。
【0042】
図8は、チャージポンプ回路2で発生される電圧VGと、電圧VCCと、電圧VDDとの関係の一例を示す図である。チャージポンプ回路2は、NMOSNH1、NH2が小さいオン抵抗で駆動できる高い電圧VG(例えばVG=VCC+2VDD)を電圧VCCと電圧VDDから発生する。本発明の電源回路では、電圧VDDは一定電圧(例えば2.5V)になるように制御が行われている。なお、前述のように本発明の電源回路のNMOSNH1、NH2、NL1、NL2はDMOSを用いているため、オン抵抗を無視することができる。したがって、このチャージポンプ回路2を用いた電源回路で、1次側のNMOSNH1にゲート電圧としてVGが印加されたときのゲート・ソース間電圧は、NMOSNH1がオンしたときのドレイン電圧とソース電圧が等しい(VCC)とすると図8中のaで示すVG−VCC=VCC+2VDD−VCC=2VDD=5(V)となり、電圧VCCの値にかかわらず一定となる。
【0043】
一方、2次側のNMOSNH2にゲート電圧としてVGが印加されたときのゲート・ソース間電圧は、NMOSNH2がオンしたときのドレイン電圧とソース電圧が等しい(VDD)とすると図8のbで示すVG−VDD=VCC+2VDD−VDD=VCC+VDDとなり、電圧VCCの値に応じて変化する。すなわち、電圧VCCが大きい場合NMOSNH2には高いゲート電圧が印加されることになる。このとき、NMOSNH2の素子耐圧を、例えば6Vとすると、図8のbの値が6Vを越える場合、すなわち電圧VCCが6−2.5=3.5(V)を越える電圧である場合、NMOSNH2が破壊する。
その破壊を防止するため、本発明の電源回路は、NMOSNH2のゲート・ソース間に保護回路18を設けている。
【0044】
図6は、本発明の電源回路の保護回路18の一例を示す図である。保護回路18として図6に示すツェナーダイオード19を用いることができる。ツェナーダイオード19は、NMOSNH2のゲート・ソース間に逆方向に接続され、ゲート・ソース間の電圧が所定の値(例えば5V以上)の電圧となると電流を流し、NMOSNH2の破壊を防止する。
【0045】
なお、NMOSNH2のゲート・ソース間に接続されるツェナーダイオード19は、1つであってもよいし、電圧VCCに応じて複数設けてもよい。
【0046】
図7は、ツェナーダイオード19の特性の一例を示す図である。
横軸はツェナーダイオード19に印加される電圧VDであり、順方向に電圧が印加される場合を正としている。縦軸は電圧VDが印加されたときの電流値IDである。ツェナーダイオード19は、順方向に電圧が印加された場合、低電圧(例えば0.7V)でも電流を流すが、逆方向に電圧が印加された場合、高電圧(例えば−5V)となるまで電流を流さない。そして、ツェナーダイオード19は、電圧VDが−5Vになると急激に電流を流す。このような特性のツェナーダイオード19をNMOSNH2のゲート・ソース間に逆方向に接続すると、NMOSNH2のゲートに高電圧、例えば5V以上の電圧が印加される場合に、ツェナーダイオード19が電流を流すので、NMOSNH2の破壊を防止することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では電圧VGをVCC+2VDDとしたが、チャージポンプ回路2で発生する電圧VGは、VCC+n×VDD(n>0)としてもよい。その場合、NMOSNH1がオンしたときのゲート・ソース間電圧はn×VDDとなり、NMOSNH2がオンしたときのゲート・ソース間電圧はVCC+(n−1)×VDDとなる。
【0048】
===制御回路20の構成===
図2は、本発明の電源回路の制御回路20の構成を示すブロック図である。制御回路20は、エラーアンプ42、コンパレータ44、46、昇圧用発振器48、降圧用発振器50、コンデンサC12、抵抗R2、R3、R4を備えている。
抵抗R2および抵抗R3は、電圧VDDと接地(VSS)間に直列に接続され、電圧VDDを抵抗分割する。例えば、電圧VDDが2.5Vで抵抗R2、R3が等しい抵抗値である場合、抵抗R2および抵抗R3の接続点に現れる電圧は1.25Vとなる。
【0049】
エラーアンプ42の−(反転入力)端子には、抵抗R2と抵抗R3の接続部の電圧が印加されるとともに、エラーアンプ42の出力が、直列接続された抵抗R4と積分用コンデンサC12を介して帰還される。エラーアンプ42の+(非反転入力)端子には、基準電圧Vref1として、例えば1.25Vが印加される。そして、エラーアンプ42は、基準電圧Vref1と、出力段から抵抗R4と積分用コンデンサC12を介して帰還された帰還電圧と、を比較し、その誤差を増幅した誤差信号を出力する。
コンパレータ44の−(反転入力)端子には、誤差信号が入力され、+(非反転入力)端子には、降圧用発振器50から出力される降圧用三角波が入力される。そして、コンパレータ44は、誤差信号と降圧用三角波との大小比較を行い、その結果をS1信号として出力する。
コンパレータ46の−(反転入力)端子には、昇圧用発振器48から出力される昇圧用三角波が入力され、+(非反転入力)端子には誤差信号が入力される。そして、コンパレータ46は、誤差信号と昇圧用三角波との大小比較を行い、その結果をS2信号として出力する
図5は、昇圧用発振器48から出力される昇圧用三角波と、降圧用発振器50から出力される降圧用三角波と、誤差信号と、の関係の一例を説明するための図である。図5に示すように昇圧用発振器48で発生される昇圧用三角波と降圧用発振器50で発生される降圧用三角波は電圧レベルが異なる。
【0050】
次に、制御回路20の動作について説明する。まず、エラーアンプ42から、帰還電圧と基準電圧Vref1との差に基づく誤差信号が出力される。そして、コンパレータ44で降圧用三角波と誤差信号との大小が比較され、コンパレータ46で昇圧用三角波と誤差信号との大小が比較される。
【0051】
≪誤差信号が降圧用三角波と交差する値の場合:降圧モード≫
コンパレータ44は、誤差信号が降圧用三角波より大である期間に“LOW”に相当する電圧を、また誤差信号が降圧用三角波より小である期間に“HIGH”に相当する電圧を、S1信号として出力する。このコンパレータ44の出力の“HIGH”と“LOW”の期間の比に応じてNMOSNH1、NL1は交互にオン、オフするスイッチング動作を行う。このスイッチング動作において、電圧VDDが高くなると誤差信号の電圧レベルが低くなり、コンパレータ44の出力の“HIGH”の期間が長くなる。したがって、NMOSNL1のオンする期間が長くなり電圧VDDは低くなる。一方、電圧VDDが低くなると誤差信号の電圧レベルが高くなり、コンパレータ44の出力の“HIGH”の期間が短くなる。したがって、NMOSNL1のオンする期間が短くなり電圧VDDは高くなる。
一方、誤差信号は、常に昇圧用三角波より小となる。よってコンパレータ46は“LOW”に相当する電圧をS2信号として出力する。
【0052】
≪誤差信号が昇圧用三角波と交差する値の場合:昇圧モード≫
コンパレータ46は、誤差信号が昇圧用三角波より大である期間に“HIGH”に相当する電圧を出力し、誤差信号が昇圧用三角波より小である期間に“LOW”に相当する電圧をS2信号として出力する。
一方、誤差信号は、常に降圧用三角波より大となる。よってコンパレータ44は“LOW”に相当する電圧をS1信号として出力する。
【0053】
===NH2ゲート電圧制御部===
図3は、本発明の電源回路におけるNMOSNH2のゲート電圧制御部の構成を示すブロック図である。同図に示すように本発明のNMOSNH2ゲート電圧制御部は、電圧検出回路22、誤動作防止回路24およびプリ回路12を備えている。
【0054】
電圧検出回路22は、電圧VCCと基準電圧Vref2との大小を比較し、その比較結果を検出信号22aとして出力するコンパレータ34と、検出信号22aを電圧VGの電圧レベルに応じた大きさに変更した昇圧選択信号22bを出力するレベルシフト回路36と、昇圧選択信号22bを反転した降圧選択信号22cを出力するインバータ38と、を備えている。なお、コンパレータ34の−(反転入力)端子には、基準電圧Vref2(例えば3.5V)が印加され、コンパレータ34の+(非反転入力)端子には電圧VCCが印加される。
誤動作防止回路24は、電圧検出回路22の出力である検出信号22aを反転するインバータ32と、インバータ32の出力と制御回路20の出力の論理積を出力するAND回路30と、を備えている。
【0055】
プリ回路12は、誤動作防止回路24の出力を電圧VGの大きさに変更して出力するレベルシフト回路28と、PMOSMP1、MP2、MP3、MP4と、NMOSMN1と、抵抗R1(『抵抗素子』)と、を備えている。なお、PMOSMP4とNMOSMN1、また、PMOSMP2とNMOSMN1はNMOSMN1を共通とするインバータであり、PMOSMP1、MP3は、何れかがオンすることでインバータの選択の切り替えを行う。具体的には、PMOSMP1がオン、PMOSMP3がオフの場合には、PMOSMP2とNMOSMN1のインバータが動作し、PMOSMP1がオフ、PMOSMP3がオンの場合には、PMOSMP4とNMOSMN1のインバータが動作する。
【0056】
PMOSMP1のソースはチャージポンプ回路2の出力と接続され、ドレインはPMOSMP2のソースと接続されている。PMOSMP2のドレインは抵抗R1を介してNMOSMN1のドレインと接続されている。NMOSMN1のソースは、接地(VSS)される。なお、PMOSMP1のゲートには降圧選択信号22cによる電圧が印加され、PMOSMP2およびNMOSMN1のゲートにはレベルシフト回路28から出力される電圧が印加される。
【0057】
また、PMOSMP3のソースはチャージポンプ回路2の出力と接続され、ドレインはPMOSMP4のソースと接続されている。PMOSMP4のドレインはNMOSMN1のドレインと接続される。また、NMOSMN1のドレイン電圧はプリ回路12の出力となり、NMOSNH2のゲートに印加される。なお、PMOSMP3のゲートには昇圧選択信号22bによる電圧が印加され、PMOSMP4のゲートにはレベルシフト回路28から出力される電圧が印加される。
【0058】
次に、NMOSNH2のゲート制御部の動作について説明する。
コンパレータ34は電圧VCCと基準電圧Vref2(例えば3.5V)との大小比較を行い、電圧VCCの方が基準電圧Vref2より大きい場合は、検出信号22aとして“HIGH”を示す電圧VCCを出力する。一方、電圧VCCの方が基準電圧より小さい場合は検出信号22aとして“LOW”を示す接地電圧VSSを出力する。レベルシフト回路36は、検出信号22aが“HIGH”を示す電圧VCCの場合、電圧VCCを電圧VGに変更し、“HIGH”の昇圧選択信号22bを出力する。また、検出信号22aが“LOW”の場合、“LOW”の昇圧選択信号22bとして接地電圧VSSを出力する。インバータ38は、昇圧選択信号22bを反転し降圧選択信号22cを出力する。すなわちインバータ38は昇圧選択信号22bが“HIGH”の場合、降圧選択信号22cに“LOW”を示す接地電圧VSSを出力し、昇圧選択信号22bが“LOW”の場合、降圧選択信号22cに“HIGH”を示す電圧VGを出力する。
【0059】
以上のように、検出信号22aが“HIGH”の場合は、昇圧選択信号22bが“HIGH”となり、降圧選択信号22cが“LOW”となる。一方、検出信号22aが“LOW”の場合は、昇圧選択信号22bが“LOW”となり、降圧選択信号22cが“HIGH”となる。
【0060】
≪検出信号22aが“HIGH”の場合:昇降圧動作を降圧動作に限定する≫
検出信号22aが““HIGH”の場合、インバータ32の出力は“LOW”となる。そのため、AND回路30の出力、すなわち誤動作防止回路24の出力は、制御回路20の出力にかかわらず常に“LOW”となる。レベルシフト回路28は“LOW”を示す接地電圧VSSを出力する。したがって、NMOSMN1はオフとなり、PMOSMP2、MP4はともにオンとなる。このとき、昇圧選択信号22bが“HIGH”、降圧選択信号22cが“LOW”なのでPMOSMP1がオンし、PMOSMP3がオフとなる。プリ回路12はPMOSMP1、MP2、抵抗R1を介して“HIGH”を示す電圧をNMOSNH2に出力する。
【0061】
≪検出信号22aが“LOW”の場合≫
検出信号22aが“LOW”、制御回路20の出力が“LOW”の場合は、インバータ32の出力が“HIGH”、制御回路20の出力が“LOW”なので、AND回路30の出力、すなわち誤動作防止回路24の出力が“LOW”となり、レベルシフト回路28は“LOW”を示す接地電圧VSSを出力する。したがって、NMOSMN1はオフとなり、PMOSMP2、MP4はともにオンとなる。このとき、昇圧選択信号22bが“LOW”、降圧選択信号22cが“HIGH”なのでPMOSMP1がオフし、PMOSMP3がオンとなる。プリ回路12はPMOSMP3、MP4を介して“HIGH”を示す電圧をNMOSNH2に出力する。
【0062】
一方、検出信号22aが“LOW”で制御回路20の出力が “HIGH”の場合は、インバータ32の出力と制御回路20の出力がともに“HIGH”となり、AND回路30の出力、すなわち誤動作防止回路24の出力が“HIGH”となる。レベルシフト回路28は誤動作防止回路24から出力される信号を“HIGH”を示す電圧VGに変換して出力する。したがって、NMOSMN1はオンとなり、PMOSMP2、MP4はともにオフとなる。よって、プリ回路12の出力はNMOSMN1によって接地(VSS)に引かれるため“LOW”となる。
以上説明したように、プリ回路12は昇圧モードと降圧モードで経路を変更する。
【0063】
降圧モードの経路に備えられた抵抗R1は、電圧VGの電圧を低下させるとともに、ツェナーダイオード19に流れる電流を制限する。例えば、電圧VGが10Vとなる場合、NMOSNH2のゲート・ソース電圧は、ツェナーダイオード19の降伏電圧に制御されるので、例えば5Vとなる。電圧VDDは、2.5Vに制御され、NMOSNH2のオン抵抗を十分低くする電圧がゲートにかかっているのでNMOSNH2のソース電圧は2.5Vとなる。したがって、抵抗R1の両端にかかる電圧は、10−5−2.5=2.5Vとなる。よって、この2.5Vを抵抗R1の抵抗値で除算した電流値に、ツェナーダイオード19に流れる電流を制限することが出来る。
【0064】
しかし、この抵抗R1を設けることによって、例えば昇圧用発振器48と降圧用発振器50の発振に基づくノイズによる誤信号が入力されると、電流能力が制限されているため正しいスイッチング動作が出来ず、出力電圧VDDが一定電圧からずれてしまう。
【0065】
図9は、抵抗R1を介したNH2ゲート駆動による降圧動作中の誤動作の一例を説明するための図である。なお、図9において、SW1端子はSW1端子の電圧、SW2はSW2端子の電圧を示している。正常動作の場合、SW1端子は、NMOSNH1とNMOSNL1が適宜のタイミングで交互にオン、オフすることで、“HIGH”と“LOW”を繰り返し、SW2は、NMOSNH2がオン、NMOSNL2がオフとなるため、電圧VDDとなる。このように、NMOSNH1とNMOSNL1が適宜のタイミングで交互にオン、オフすることで、コンデンサC10が接続されたVDD端子に電流供給と電流引き込みのバランスを取って、一定の電圧VDDに制御している。
【0066】
そこに、図9に示すように一瞬(期間t1)でもNMOSNL2がオンする誤信号が制御回路20から入力されると、NMOSNL2がオン、NMOSNH2がオフとなり、NMOSNH2のゲート電圧は、低下してしまう。このNMOSNH2が復旧するまで、すなわち、NMOSNH2のゲート電圧が、正常動作であるオン抵抗を十分低くできる電圧となるまで、には時間がかかる。これは、降圧モード時のNMOSNH2をオンさせる経路に、省電力および高効率のため、ツェナーダイオード19に流れる電流を抑制する抵抗R1を備えているためである。このNMOSNH2のゲート電圧の復旧に要する時間は、抵抗R1の値と、NMOSNH2のゲート・ソース寄生容量値と、NMOSNL2のドレイン−基板間容量と、によって決まる。
【0067】
なお、誤信号が入力されてから所定の期間では、NMOSNH2がオフのハイインピーダンスの状態となる。このようにNMOSNH2がハイインピーダンスの状態となる場合、1次側ではNMOSNH1、NL1によるスイッチングが行われ、2次側ではNMOSNH2の寄生ダイオード(バックゲート−ドレイン間ダイオード)をコイル電流が通過し、降圧モードが引き続き行われる。したがって、コイルLからVDD端子側に電流が流れるので、SW2の電圧は、寄生ダイオードの立ち上がり電圧分、電圧VDDより高い電圧となる。その後、NMOSNH2のゲート電圧の回復に伴い、徐々にNMOSNH2がオンするようになる。
【0068】
また、寄生ダイオードによってコイルLに逆方向(コイル電流のマイナスとなる部分)の電流は流れなくなる。すなわち、図9のtαでは、VCC端子→NMOSNH1→SW1端子→コイルL→SW2端子→寄生ダイオード→電圧VDDの経路で電流が流れ、tβでは、接地端子(VSS)→NMOSNL1→SW1端子→コイルL→SW2端子→寄生ダイオード→VDD端子の経路で電流が流れることになる。コイル電流が0となる場合のSW2の電圧は、図9に示すように不安定になる。
この寄生ダイオードによる損失は、NMOSNH2のオン抵抗による損失より大きいため、一定電圧VDDとするためには、SW1端子が“HIGH”となる期間を、正常動作に比べて、多くすることが必要になる。
しかし、この現象が起きている期間に比べて制御回路20のエラーアンプ42の追従が遅いので、SW1端子の“HIGH”と“LOW”の比は、正常動作とほとんど変わらない。その結果、電圧VDDは、誤動作の発生から復旧するまでの期間において、設定電流からずれて低い電圧となってしまう。
【0069】
以上、説明したように、本来NMOSNH2が常にオン、NMOSNL2が常にオフである降圧モードにおいて、制御回路20から一瞬でも誤信号が入力されると、NMOSNH2のゲート電圧が低下してしまい、その復旧まで時間がかかるため電圧VDDが設定値からずれてしまう。
この誤動作を防ぐため、本発明のNMOSNH2ゲート電圧制御部は誤動作防止回路24を備え、降圧モードとなる場合にNMOSNH2が常にオンとなるようにしている。降圧モードでは、SW2端子側のNMOSNH2はスイッチング動作の必要がないので、制御回路20の出力にかかわらず、常にオンとすることで、誤信号の入力による誤動作を無くすことができる。
【0070】
===NL2ゲート電圧制御部===
図4は、本発明の電源回路におけるNMOSNL2のゲート電圧制御部の構成を示すブロック図である。同図に示すように本発明のNMOSNL2のゲート電圧制御部は、誤動作防止回路26、プリ回路16を備えている。
誤動作防止回路26は、制御回路20の出力を反転するインバータ54と、インバータ54の出力と電圧検出回路22の出力である検出信号22aを入力し、論理和を出力するOR回路52と、を備えている。
プリ回路16は、誤動作防止回路26の出力を電圧VGの電圧レベルに応じた大きさに変更して出力するレベルシフト回路40と、PMOSMP5と、NMOSMN2と、を備えている。なお、PMOSMP5と、NMOSMN2はインバータである。
PMOSMP5のソースは下側駆動レギュレータ5の出力と接続され、ドレインはNMOSMN1のドレインと接続されるとともにプリ回路16の出力となっている。NMOSMN1のソースは接地(VSS)される。なお、PMOSMP5およびNMOSMN2のゲートにはレベルシフト回路40から出力される電圧が印加される。
次に、NMOSNL2のゲート制御部の動作について説明する。
【0071】
≪検出信号22aが“HIGH”の場合≫
OR回路52の出力、すなわち誤動作防止回路26の出力は制御回路20の出力に関係なく“HIGH”となる。誤動作防止回路26の出力はレベルシフト回路40で“HIGH”を示す電圧VGRに変更される。そしてレベルシフト回路40の出力が“HIGH”なので、NMOSMN2がオンとなり、PMOSMP5がオフとなる。したがって、この場合、プリ回路16の出力はNMOSMN2がオンすることによって“LOW”となる。
【0072】
≪検出信号22aが“LOW”の場合≫
制御回路20の出力が“LOW”の場合は、インバータ54の出力が“HIGH”となる。この場合OR回路52の出力、すなわち誤動作防止回路26の出力は“HIGH”となり、検出信号22aが“HIGH”の場合と同様にプリ回路16の出力は“LOW”となる。
一方、制御回路20の出力が“HIGH”の場合は、インバータ54の出力が“LOW”となる。この場合OR回路52の出力は“LOW”となる。OR回路52の出力はレベルシフト回路40で“LOW”を示す接地電圧VSSが出力される。そしてレベルシフト回路40の出力が“LOW”なので、NMOSMN2がオフとなり、PMOSMP5がオンとなる。したがってこの場合プリ回路16の出力は“HIGH”となる。
このように、降圧モードを行う場合、常にプリ回路16の出力を“LOW”とすることで、NH2ゲート電圧制御部と同様に、誤動作を防止することができる。
【0073】
なお、NMOSNH1、NL1のゲート電圧制御部にはプリ回路10、14が設けられている。プリ回路10、14は、プリ回路16と同じ構成とすることができる。
なお、本発明の電源回路においてコイルL、コンデンサC10以外の部分は集積化することが可能である。また、本発明の実施の形態では、保護回路18としてツェナーダイオード19、ツェナーダイオード19に流れる電流を制限する回路として抵抗R1、誤動作防止回路24としてAND回路30およびインバータ32、誤動作防止回路26としてインバータ54およびOR回路52を使用したが、これらはすべて集積化に適している。集積化する場合、1チップに集積化してもよいし複数チップに集積化してもよい。
【0074】
===電源回路の動作===
≪昇圧モード≫
入力される電圧VCCより高い電圧VDD(2.5V)を出力する場合、電源回路は制御回路20の出力に基づいて昇圧モードとなる。このとき、制御回路20から出力されるS1信号によってNMOSNH1は常にオン、NMOSNL1は常にオフとなる。
一方、昇圧モードなので電圧検出回路22から出力される検出信号22aは“LOW”となり、制御回路20から出力されるS2信号は、誤動作防止回路24ではそのまま通過し、誤動作防止回路26では反転して通過する。また、このとき電圧検出回路22から出力される昇圧選択信号22bが“LOW”となるので、プリ回路12の抵抗R1の無い方のインバータ(NMOSMN1、PMOSMP4)が選択される。そしてNMOSNH2、NL2は、制御回路20から出力されるS2信号に応じて交互にオン、オフのスイッチングを行い電圧VDDは昇圧される。
【0075】
≪降圧モード≫
入力される電圧VCCより低い電圧VDD(2.5V)を出力する場合、電源回路は制御回路20の出力に基づいて降圧モードとなる。このとき、NMOSNH1、NMOSNL1は制御回路20ら出力されるS1信号によって交互にオン、オフのスイッチングを行う。NMOSNH1のゲートに電圧VG(=VCC+2VDD)が印加されたときのゲート・ソース間電圧は2×VDD=5Vの一定の値になる。
【0076】
一方、降圧モードなので、検出信号22aは“HIGH”となる。このとき制御回路20の出力に関係無く、誤動作防止回路24の出力は“HIGH”となり、誤動作防止回路26の出力は“LOW”となる。従って、降圧モードでは、制御回路20の出力に関係なくNMOSNH2がオン、NMOSNL2がオフとなる。
【0077】
また、このとき電圧検出回路22から出力される降圧選択信号22cが“LOW”となるので、プリ回路12の抵抗R1の有る方のインバータ(NMOSMN1、PMOSMP2)が選択される。そして、チャージポンプ回路2から出力される電圧VGは抵抗R1で降圧され、NMOSNH2のゲートに印加される。NMOSNH2のゲート・ソース間電圧が、保護回路18として設けられたツェナーダイオード19のツェナー降伏電圧以下の場合には、プリ回路12の出力がそのままNMOSNH2のゲートに印加される。MOSNH2のゲート・ソース間電圧が、ツェナーダイオード19のツェナー降伏電圧より大きい場合にはツェナーダイオード19に電流が流れ、NMOSNH2のゲート・ソース電圧がツェナー降伏電圧に保たれるためNMOSNH2の破壊を防止することができる。
【0078】
このように、入力電圧を降圧した出力電圧を得る降圧モード時に制御回路20の出力に関係なくNMOSNH2がオン、NMOSNL2がオフとなるので、ツェナー電流の制限をしているNMOSNH2が誤動作することが無く、出力電圧VDDが低下することが無い。
【0079】
以上、説明したように、本発明の電源回路は、誤動作防止回路24を設けているので、入力電圧を降圧した出力電圧が出力されるNMOSNH2が、制御回路20からの誤信号によって誤動作することを防止できる。また、NMOSNH2は、制御回路20の出力にかかわらずオンとなるので、制御回路20の昇圧用発振器48や、誤差信号との比較を行うコンパレータ46を止めることができ、電源回路の効率を改善することが可能である。
【0080】
また、NMOSNH1とNMOSNH2がチャージポンプ回路2を兼用し、さらに、NMOSNH2に、例えばツェナーダイオード19などの保護回路18を設けて、NMOSNH2が破壊しないように保護を行う場合に、誤動作防止回路24を設けることでNMOSNH2が誤動作しないので、MOSNH2を安定してオンするとともにNMOSNH2の保護を行うことができる。
【0081】
そして、省電力、高効率のためツェナーダイオード19に流れる電流を制限する回路、例えば簡素な構成で電流を制限できる抵抗R1を設けると、NMOSNH2が誤動作した場合、電流を制限していることでNMOSNH2のゲート電圧の復旧までに時間がかかり、その結果出力電圧VDDが低下する。本発明では誤動作防止回路24によってNMOSNH2が誤動作しないので、出力電圧VDDの低下を防止することができる。
【0082】
さらに、チャージポンプ回路2で発生する電圧VGが“入力電圧+n×出力電圧(n>0)”例えばVCC+2VDDの場合、NMOSNH1がオンしたときのゲート・ソース間電圧は一定の電圧(2VDD)となる。NMOSNH2の誤動作によって電圧VDDが低下しないので、NMOSNH1を安定してオンさせることができる。一方、電圧VDDが低下しないので、NMOSNH2のゲート・ソース間電圧は、入力電圧VCCに応じて変化することになり、NMOSNH2の保護および保護回路に流れる電流の制限を効果的に行うことができる。
【0083】
また、NMOSNH2の誤動作を防止することで、電圧VDDの低下を防止することができるので、チャージポンプ回路2で発生する電圧VGの低下も防止できる。従ってNMOSNH1、NL1、NH2を、DMOS構造とした場合、オン抵抗を非常に小さくすることができる。
【0084】
誤動作防止回路24はAND回路30とインバータ32で実現できるので集積化に適している。また、NMOSNH2の誤動作を防止することで、電圧VDDが低下しないので、チャージポンプ回路2で発生する電圧VGをNMOSNH1、NMOSNH2で兼用することができる。よって、集積化する場合、チップ面積を小さくすることができる。
【0085】
また、Hブリッジを用いて昇圧モードと降圧モードが実行できる昇降圧型の電源回路においても、NMOSNH2に誤動作防止回路24を設け、NMOSNL2に誤動作防止回路26を設けることで、NMOSNH2、NL2が、降圧モード時に制御回路20からの誤信号によって誤動作することを防止できる。さらに、降圧モード時には制御回路20から出力されるS2信号にかかわらず、NMOSNH2はオン、NMOSNL2はオフとなるので、制御回路20の昇圧用発振器48や、誤差信号との比較を行うコンパレータ46を止めることができ、電源回路の効率を改善することが可能である。
【0086】
昇降圧型の電源回路で、NMOSNH1とNMOSNH2がチャージポンプ回路2を兼用し、さらに、NMOSNH2に、例えばツェナーダイオード19などの保護回路18を設けて、降圧モード時にNMOSNH2が破壊しないように保護を行う場合において、誤動作防止回路24、26を設けることでNMOSNH2、NL2が誤動作しないので、降圧モード時にNMOSNH2を安定してオンとするとともにNMOSNH2の保護を行うことができる。
【0087】
また、昇降圧型の電源回路で、省電力、高効率のためツェナーダイオード19に流れる電流を制限する回路、例えば簡素な構成で電流を制限できる抵抗R1を降圧モードの経路に設けていると、降圧モードでNMOSNH2が誤動作した場合、電流を制限していることでNMOSNH2のゲート電圧の復旧までに時間がかかり、その結果、出力電圧VDDが低下する。本発明では、降圧モード時にNMOSNH2およびNMOSNL2が誤動作しないので、出力電圧VDDの低下を防止することができる。
【0088】
さらに、チャージポンプ回路2で発生する電圧VGが“入力電圧+n×出力電圧(n>0)”例えばVCC+2VDDの場合、NMOSNH1がオンしたときのゲート・ソース間電圧は一定の電圧(2VDD)となる。降圧モード時にNMOSNH2の誤動作によって電圧VDDが低下しないので、NMOSNH1を安定してオンさせることができる。一方、電圧VDDが一定なので、NMOSNH2のゲート・ソース間電圧は、入力電圧VCCに応じて変化することになり、NMOSNH2の保護および保護回路に流れる電流の制限を効果的に行うことができる。
【0089】
また、NMOSNH2の誤動作を防止することで、電圧VDDの低下を防止することができるので、チャージポンプ回路2で発生する電圧VGの低下も防止できる。従ってHブリッジを構成するNMOSNH1、NH2、NL1、NL2を、DMOS構造とした場合、オン抵抗を非常に小さくすることができる。
【0090】
誤動作防止回路24はAND回路30とインバータ32で実現でき、さらに誤動作防止回路26はOR回路52とインバータ54で実現できるので集積化に適している。また、NMOSNH2、NL2の誤動作を防止することで電圧VDDが低下しないので、チャージポンプ回路2で発生する電圧VGをNMOSNH1、NMOSNH2で兼用することができる。よって、集積化する場合、チップ面積を小さくすることができる。
【0091】
以上、本実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の電源回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電源回路の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の電源回路におけるNMOSNH2のゲート電圧制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の電源回路におけるNMOSNL2のゲート電圧制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】昇圧用三角波と、降圧用三角波と、誤差信号と、の関係の一例を説明するための図である。
【図6】本発明の電源回路の保護回路の一例を示す図である。
【図7】ツェナーダイオードの特性の一例を示す図である。
【図8】チャージポンプ回路2で発生される電圧VGと、電圧VCCと、電圧VDDとの関係の一例を示す図である。
【図9】降圧動作中の誤動作の一例を説明するための図である。
【図10】従来の電源回路の構成を示すブロック図である。
【図11】昇圧モードを説明するための図である。
【図12】降圧モードを説明するための図である。
【図13】チャージポンプ回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】チャージポンプ回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図15】チャージポンプ回路の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0093】
2 チャージポンプ回路
5 下側駆動レギュレータ
6 インバータ
10、12、14、16 プリ回路
18 保護回路
19 ツェナーダイオード
20 制御回路
22 電圧検出回路
24、26 誤動作防止回路
28、36、40、60 レベルシフト回路
30 AND回路
32、38、54 インバータ
34、44、46 コンパレータ
42 エラーアンプ
48 昇圧用発振器
50 降圧用発振器
52 OR回路
62 電流源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧がドレインに印加される第1のN型MOSFETと、
前記第1のN型MOSFETと直列接続される第2のN型MOSFETと、
ソースが前記第1のN型MOSFETのソースとコイルを介して接続され、出力電圧がドレインから出力される第3のN型MOSFETと、
前記第1のN型MOSFETと前記第2のN型MOSFETをスイッチング動作させるとともに前記第3のN型MOSFETをオンさせて前記入力電圧を降圧した前記出力電圧を得るべく、前記第1および第2のN型MOSFETをスイッチング動作させる制御回路と、
前記制御回路とは無関係に、前記第3のN型MOSFETをオンさせる状態設定回路と、
を備えたことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記入力電圧および前記出力電圧を用いて、前記第1のN型MOSFETおよび前記第3のN型MOSFETのゲート電圧を得るための共用電圧として、前記入力電圧および前記出力電圧より高い昇圧電圧を発生する昇圧電圧発生回路と、
前記第3のN型MOSFETのゲート・ソース間電圧が前記入力電圧の大きさに応じて所定電圧以上となるときに動作して、前記第3のN型MOSFETを保護する保護回路と、
を、備えたことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記ツェナーダイオードに流れる電流を所定値に制限する電流制限回路を備えることを特徴とする請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記昇圧電圧発生回路は、
前記第1のN型MOSFETがオンしたときのゲート・ソース間電圧が前記入力電圧に関わらず一定の値となり、前記第3のN型MOSFETがオンしたときのゲート・ソース間電圧が前記入力電圧に応じて変化する値となる、前記昇圧電圧を発生することを特徴とする請求項2または3に記載の電源回路。
【請求項5】
集積化してなることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の電源回路。
【請求項6】
入力電圧がドレインに印加される第1のN型MOSFETと、
前記第1のN型MOSFETと直列接続される第2のN型MOSFETと、
ソースが前記第1のN型MOSFETのソースとコイルを介して接続され、出力電圧がドレインから出力される第3のN型MOSFETと、
前記第3のN型MOSFETと直列接続される第4のN型MOSFETと、
を備え、
前記入力電圧を昇圧した前記出力電圧を得る昇圧モードでは、前記第3のN型MOSFETと前記第4のN型MOSFETがスイッチング動作し、前記第1のN型MOSFETがオンし、前記第2のN型MOSFETがオフし、
前記入力電圧を降下した前記出力電圧を得る降圧モードでは、前記第1のN型MOSFETと前記第2のN型MOSFETがスイッチング動作し、前記第3のN型MOSFETがオンし、前記第4のN型MOSFETがオフする電源回路であって、
前記降圧モード時に、前記第1および第2のN型MOSFETをスイッチング動作させる制御回路と、
前記降圧モード時に、前記制御回路とは無関係に前記第3のN型MOSFETをオンし、前記第4のN型MOSFETをオフする状態設定回路と、
を備えたことを特徴とする電源回路。
【請求項7】
前記入力電圧および前記出力電圧を用いて、前記第1のN型MOSFETおよび前記第3のN型MOSFETのゲート電圧を得るための共用電圧として、前記入力電圧および前記出力電圧より高い昇圧電圧を発生する昇圧電圧発生回路と、
前記第3のN型MOSFETのゲート・ソース間電圧が前記入力電圧の大きさに応じて所定電圧以上となるときに動作して、前記第3のN型MOSFETを保護する保護回路と、
を、備えたことを特徴とする請求項6に記載の電源回路。
【請求項8】
前記降圧モード時に前記第3のN型MOSFETのゲート電圧を印加する経路である降圧モード用経路と、前記昇圧モード時に前記第3のN型MOSFETのゲート電圧を印加する経路である昇圧モード用経路と、を前記入力電圧の大きさに応じて選択する選択回路と、
前記降圧モード時に前記保護回路に流れる電流を所定値に制限する電流制限回路と、
を備え、
前記電流制限回路は、前記降圧モード用経路に設けられ、前記選択回路が前記降圧モード用経路を選択した場合、前記昇圧電圧が前記電流制限回路を介して前記第3のN型MOSFETのゲートに印加されることを特徴とする請求項7に記載の電源回路。
【請求項9】
前記昇圧電圧発生回路は、
前記第1のN型MOSFETがオンしたときのゲート・ソース間電圧が前記入力電圧に関わらず一定の値となり、前記第3のN型MOSFETがオンしたときのゲート・ソース間電圧が前記入力電圧に応じて変化する値となる、前記昇圧電圧を発生することを特徴とする請求項7または8に記載の電源回路。
【請求項10】
前記昇圧電圧は、
“前記入力電圧+n×前記出力電圧(n>0)”であることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の電源回路。
【請求項11】
前記第1のN型MOSFET、前記第2のN型MOSFET、前記第3のN型MOSFETおよび前記第4のN型MOSFETは、
DMOS構造であることを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記載の電源回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−33973(P2006−33973A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207676(P2004−207676)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】