説明

電源瞬断対策回路、スイッチング電源装置、及び、コンデンサ充電制御方法

【課題】コンデンサ実装面積を増加させることなく、瞬断耐力向上を図ることができる電源瞬断対策回路を提供する。
【解決手段】コンデンサC2は、スイッチング電源装置に含まれる昇圧回路12の高電位側及び低電位側の出力電源ラインの間に、トランジスタQ1を介して接続される。検出回路31は、トランジスタQ1がオンの状態で、昇圧回路12の出力電圧がオーバーシュート検出電圧に達したことを検出するとトランジスタQ1をオフする。トランジスタQ1がオフすることで、コンデンサへの充電が停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源瞬断対策回路及びスイッチング電源装置に関し、更に詳しくは、瞬断対策用のコンデンサを有する電源瞬断対策回路及びスイッチング電源装置に関する。また、本発明は、瞬断対策用のコンデンサの充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
瞬断対策のために、電源瞬断対策用コンデンサを備える電源装置がある(例えば、特許文献1、2を参照)。電源瞬断対策用コンデンサは、通常時、電源電圧で充電されている。電源瞬断対策用コンデンサは、電源部に対する電源入力が停止すると、充電した電荷を放出する。電源停止からしばらくの間、電源瞬断対策用コンデンサから電源供給を行うことで、後段の回路に対する電源供給を安定化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−30524号公報
【特許文献2】特開平9−74761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、システムの大型化に伴い、装置の電源容量が増加してきている。これに伴い、電源装置にも、高い瞬断耐力が要求される。瞬断耐力を向上させるためには、瞬断時にエネルギーを放出する瞬断対策用コンデンサを大容量化すればよい。しかしながら、瞬断対策用コンデンサを大容量化するために、コンデンサ自体の容量を増加させ、或いは、コンデンサの数を増やすと、瞬断対策用コンデンサの実装面積が増大することになる。実装面積の増加は、電源装置の小型化への障害になる。
【0005】
本発明は、コンデンサの実装面積の増大を招かずに、瞬断耐力の向上を図ることができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電源瞬断対策回路は、スイッチング電源装置に含まれる昇圧回路の高電位側及び低電位側の出力電源ラインの間に、スイッチング素子を介して接続されるコンデンサと、前記スイッチング素子がオンの状態で、前記昇圧回路の出力電圧がオーバーシュート検出電圧に達したことを検出すると前記スイッチング素子をオフし、前記コンデンサへの充電を停止させるオーバーシュート検出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のスイッチング電源装置は、昇圧回路と、前記昇圧回路の高電位側及び低電位側の出力電源ラインの間にスイッチング素子を介して接続されるコンデンサと、前記スイッチング素子がオンの状態で、前記昇圧回路の出力電圧がオーバーシュート検出電圧に達したことを検出すると前記スイッチング素子をオフし、前記コンデンサへの充電を停止させるオーバーシュート検出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のコンデンサ充電制御方法は、スイッチング電源装置に含まれる昇圧回路の出力電圧で充電されるコンデンサを、前記昇圧回路のオーバーシュート電圧で充電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電源瞬断対策回路、スイッチング電源装置、及び、コンデンサ充電制御方法では、コンデンサの実装面積の増大を招かずに、瞬断耐力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態の電源瞬断対策回路を含む電源装置を示すブロック図。
【図2】検出回路の具体的回路構成を示すブロック図。
【図3】動作波形を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態の電源瞬断対策回路を示すブロック図。
【図5】第2実施形態における動作波形を示す図。
【図6】第1実施形態の変形例の電源瞬断対策回路を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の電源装置を示している。電源装置は、整流部11、昇圧回路12、電源瞬断対策回路13、及び、D/D部(電圧変換部)14を有する。
【0012】
整流部11は、交流電源を整流し、直流電圧を出力する。昇圧回路12は、整流部11の出力電圧を昇圧する。電圧変換部14は、入力直流電圧を、出力直流電圧に変換する。コンデンサC1は、昇圧回路12の出力安定化用のコンデンサであり、プラス側が昇圧回路12の高電位側の出力電源線に接続され、マイナス側が低電位側の出力電源線に接続される。整流部11、昇圧回路12、及び、電圧変換部14は、通常のスイッチング電源に用いられるものと同じである。
【0013】
電源瞬断対策回路13は、検出回路31、コンデンサC2、及び、トランジスタQ1を有する。検出回路31は、昇圧回路12の出力電源線の間、つまり、高電位側の出力電源線と、低電位側の出力電源線との間に接続される。コンデンサC2は、瞬断対策用の電解コンデンサである。トランジスタQ1は、スイッチング素子である。トランジスタQ1のゲートは、検出回路31の出力に接続される。トランジスタQ1は、検出回路31の出力に基づいて、オン/オフが制御される。
【0014】
コンデンサC2は、トランジスタQ1を介して、昇圧回路12の高電位側の出力電源線と低電位側の出力電源線との間に接続される。すなわち、コンデンサC2のプラス側は、昇圧回路12の高電位側の出力電源線に接続され、マイナス側は、トランジスタQ1のソースに接続される。トランジスタQ1のドレインは、昇圧回路12の低電位側の出力電源線に接続される。
【0015】
検出回路31は、昇圧回路12の出力電圧が設定電圧を超えた電圧(オーバーシュート電圧)になったことを検出するオーバーシュート検出部と、昇圧回路12の出力停止を検出する瞬断検出部とを兼ねる。検出回路31は、昇圧回路12の出力電圧が瞬断電圧(停電電圧)以下となったとき、昇圧回路12の出力が停止したことを検出する。検出回路31は、トランジスタQ1がオンの状態では、オーバーシュート検出部として機能し、トランジスタQ1がオフの状態では瞬断電圧検出回路として機能する。
【0016】
検出回路31は、電源生成開始時、トランジスタQ1のゲートに出力する信号をHighにし、トランジスタQ1をオンにする。トランジスタQ1がオンすることで、コンデンサC2は、昇圧回路12の出力電圧で充電される。検出回路31は、トランジスタQ1がオンの状態で昇圧回路12の出力電圧がオーバーシュート検出電圧に達したことを検出すると、トランジスタQ1のゲートに出力する信号をLowに変化させる。トランジスタQ1は、ゲートに入力する信号がLowになることでオフする。コンデンサC2は、トランジスタQ1がオフすると充電を停止し、充電された電荷を保持する。
【0017】
検出回路31は、トランジスタQ1がオフの状態で瞬断電圧を検出すると、トランジスタQ1のゲートに出力する信号をHighにし、トランジスタQ1をオンにする。トランジスタQ1がオンすることで、コンデンサC2は、蓄えていた電荷を放電する。停電状態が解消し、昇圧回路12の出力の電圧が上昇すると、コンデンサC2は、オン状態のトランジスタQ1を介して、昇圧回路12の出力電圧で充電される。検出回路31は、昇圧回路12の出力電圧がオーバーシュート検出電圧になると、トランジスタQ1のゲートに入力する信号をLowにし、トランジスタQ1をオフする。
【0018】
図2に、検出回路31の具体的回路構成を示す。検出回路31は、抵抗R1〜R6と、コンパレータZ1とを有する。抵抗R5と抵抗R6は、互いに直列に接続された上で、昇圧回路12の出力電源線の間に挿入される。また、抵抗R1と抵抗R2は、互いに直列に接続された上で、Vcc電源と昇圧回路12の低電位側の出力電源線との間に挿入される。コンパレータZ1のマイナス側の入力端子は、抵抗R5と抵抗R6の接続ノードに接続され、プラス側の入力端子は、抵抗R1と抵抗R2の接続ノードに接続される。抵抗R3は、コンパレータZ1の出力端子と、Vcc電源との間に接続される。抵抗R4は、コンパレータZ1の出力端子と、抵抗R1と抵抗R2の接続ノードとの間に接続される。コンパレータZ1の出力端子は、トランジスタQ1のゲートに接続される。
【0019】
コンパレータZ1は、昇圧回路12の出力電圧を抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧と、プラス側の入力端子の電圧(リファレンス電圧)とを比較する。リファレンス電圧は、コンパレータZ1の出力がHighのとき、制御電圧Vccを抵抗R1、R3、R4、R2で分圧した電圧となる。この電圧を、リファレンス電圧VHとする。また、リファレンス電圧は、コンパレータZ1の出力がLowのとき、制御電圧Vccを抵抗R1、R4、R2で分圧した電圧になる。この電圧を、リファレンス電圧VLとする。
【0020】
リファレンス電圧VHは、オーバーシュート検出電圧を、抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧に対応する電圧である。リファレンス電圧VLは、停電検出電圧を抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧に対応する電圧である。オーバーシュート検出電圧は、定常時の昇圧回路12の出力電圧(定格電圧)よりも高い電圧である。また、停電検出電圧は、定常時の昇圧回路12の出力電圧よりも低い電圧である。リファレンス電圧VHとリファレンス電圧VLとの関係は、VH>VLである。
【0021】
トランジスタQ1は、コンパレータZ1の出力に同期して動作する。すなわち、トランジスタQ1は、コンパレータZ1の出力がHighのときオンし、コンパレータZ1の出力がLowのときオフする。
【0022】
図3に、動作波形を示す。整流部11に交流電源が入力されると、整流部11は整流を開始する。昇圧回路12は昇圧を開始し、昇圧回路12の出力電圧(コンデンサC1の両端の電圧VC1)は徐々に上昇していく(a)。それに伴い、昇圧回路12の出力電圧VC1を抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧Vdivも上昇していく(b)。コンパレータZ1の出力電圧Voutは、電圧Vdivが、リファレンス電圧VHよりも低い間、Highになる(c)。出力電圧VoutがHighなので、トランジスタQ1はオンし(d)、コンデンサC2は昇圧回路12の出力電圧VC1で充電される。
【0023】
時刻t1で、昇圧回路12の出力電圧VC1がオーバーシュート検出電圧に達すると、電圧VC1を抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧Vdivがリファレンス電圧VHよりも高くなり、コンパレータZ1の出力はLowに変化する。これに伴い、トランジスタQ1はオフし、コンデンサC2への充電が停止する。充電停止後、コンデンサC2は、充電された電荷を保持する。コンデンサC2への充電停止時の電圧は、オーバーシュート検出電圧であり、これは、昇圧回路12の定常時の出力電圧よりも高い電圧である。従って、コンデンサC2は、昇圧回路12の定常時の出力電圧で充電した場合よりも、より多くの電荷を保持している。
【0024】
昇圧回路12の出力電圧VC1は、オーバーシュートのあと、定常時の電圧(設定電圧)に落ち着く。コンパレータZ1のプラス側の入力端子の電圧は、コンパレータZ1の出力がLowに変化した後に、リファレンス電圧VHからリファレンス電圧VLに変化している。昇圧回路12の定常時の出力電圧VC1は、瞬断検出電圧よりも高いので、昇圧回路12の出力電圧VC1を抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧は、リファレンス電圧VLよりも高い。従って、コンパレータZ1の出力はLowのまま変化せず、トランジスタQ1はオフのままである。
【0025】
何らかの原因で整流部11に入力される交流電源が停止すると、電源入力がないことで、昇圧回路12の出力電圧VC1は低下していく。時刻t2で、昇圧回路12の出力電圧VC1が、瞬断検出の電圧まで低下すると、電圧VC1を抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧Vdivはリファレンス電圧VLよりも低くなる。電圧Vdivがリファレンス電圧VLよりも低くなると、コンパレータZ1は出力をHighに変化させ、トランジスタQ1がオンする。トランジスタQ1がオンすることで、コンデンサC2は、保持していた電荷を、電圧変換部14に放出する。
【0026】
本実施形態の電源瞬断対策回路13は、最小構成として、検出回路31と瞬断対策用のコンデンサC2とを備える。コンデンサC2は、昇圧回路12の高電位側の出力電源線と低電位側の出力電源線との間にトランジスタQ1を介して挿入される。検出回路31は、トランジスタQ1がオンの状態で、昇圧回路12の出力電圧がオーバーシュート検出電圧に達したことを検出すると、トランジスタQ1をオフし、コンデンサC2への充電を停止させる。一般に、コンデンサが蓄える電荷の量Qは、コンデンサの容量Cと印加電圧Vとの積(Q=C・V)で表される。本実施形態では、充電電圧をオーバーシュート検出電圧としているので、昇圧回路12の定常時の電圧でコンデンサを充電する場合に比して、コンデンサC2に、より多くの電荷を充電できる。
【0027】
スイッチング電源装置で、瞬断耐力を向上させるためには、瞬断対策用のコンデンサにより多くの電荷を充電し、コンデンサが保存する電気的エネルギーを増やせばよい。しかしながら、充電電荷を増加させるために、コンデンサの容量を増加させると、コンデンサの実装面積が広くなり、電源装置の小型化を阻害することになる。本実施形態では、昇圧回路12にオーバーシュート検出電圧が発生することに着目し、そのオーバーシュート検出電圧を用いて、瞬断対策用のコンデンサを充電する。このようにすることで、容量はそのままでも、コンデンサが蓄える電荷の量を増加させる。従って、コンデンサの実装面積を増大させることなく、瞬断耐力を向上させることができる。
【0028】
図4に、本発明の第2実施形態の電源瞬断対策回路を示す。本実施形態の電源瞬断対策回路13aは、オーバーシュート検出部32、瞬断検出部33、瞬断対策用のコンデンサC2、及び、トランジスタQ1を有する。図1に示す第1実施形態の電源瞬断対策回路13では、検出回路31がオーバーシュート検出部と瞬断検出部とを兼ねていた。本実施形態の電源瞬断対策回路13aは、オーバーシュート検出部32と瞬断検出部33とが分離している。また、本実施形態では、瞬断検出部33は、昇圧回路12の出力電流に電流断が発生すると、昇圧回路の出力停止を検出する。
【0029】
オーバーシュート検出部32は、抵抗R7〜R9と、コンパレータZ2とを有する。抵抗R7及びR8は、互いに直列に接続された上で、昇圧回路12の高電位側の出力電源線と低電位側の出力電源線との間に接続される。コンパレータZ2のマイナス側の入力端子は、抵抗R7と抵抗R8の接続ノードに接続され、プラス側の入力端子は、所定のリファレンス電圧Vrefが入力される。コンパレータZ2の出力は、トランジスタQ1のゲートに接続される。抵抗R9は、制御電圧VccとコンパレータZ2の出力との間に接続される。
【0030】
コンパレータZ2は、昇圧回路12の出力電圧を抵抗R7と抵抗R8とで分圧した電圧と、リファレンス電圧Vrefとを比較する。リファレンス電圧Vrefは、オーバーシュート検出電圧を、抵抗R7と抵抗R8とで分圧した電圧に対応する電圧である。コンパレータZ2は、昇圧回路12の出力電圧がオーバーシュート検出電圧になると、出力をHighからLowに変化させる。コンパレータZ2の出力は、トランジスタQ1のゲートに入力される。トランジスタQ1は、コンパレータZ2の出力がLowになると、オフする。
【0031】
瞬断検出部33は、抵抗R10〜R14と、コンデンサC3、C4、及び、コンパレータZ3を有する。昇圧回路12は、高電位側の出力電源線に直列に挿入されたダイオードD1を有している。抵抗R10及びR11は、互いに直列に接続された上で、ダイオードの陽極側と低電位側の出力電源線とに接続される。抵抗R12及びR13は、互いに直列に接続された上で、ダイオードの陽極側と低電位側の出力電源線とに接続される。コンデンサC3は、抵抗R11に並列に接続される。コンデンサC4は、抵抗R13に並列に接続される。
【0032】
コンパレータZ3のマイナス側の入力端子は、抵抗R10と抵抗R11の接続ノード(ノードA)に接続され、プラス側の入力端子は、抵抗R12と抵抗R13の接続ノード(ノードB)に接続される。コンパレータZ3の出力端子は、ダイオードD2を介して、トランジスタQ1のゲートに接続される。抵抗R14は、制御電圧VccとコンパレータZ3の出力端子との間に接続される。
【0033】
ノードAの電圧は、ダイオードD1の陽極の電圧を、抵抗R10と抵抗R11とで分圧した電圧になる。また、ノードBの電圧は、ダイオードD1の陰極の電圧を、抵抗R12と抵抗R13とで分圧した電圧になる。ダイオードD1に電流が流れている場合、R10=R12、R11=R13とすれば、ノードAとノードBとの電位差は、ダイオードD1の順方向電圧に対応した電圧になる。抵抗R10〜R14の抵抗値は、ダイオードD1に電流が流れている状態で、ノードAの電圧が、ノードBの電圧よりも高くなるような抵抗値に設定されている。
【0034】
コンパレータZ3は、ノードAの電圧とノードBの電圧とを比較する。ダイオードD1に電流が流れているとき、つまり、昇圧回路12が電流出力を行っているとき、ノードAの電圧は、ノードBの電圧よりも高くなる。昇圧回路12に出力電流が停止すると、ノードAの電圧は、ノードBの電圧よりも低くなる。コンパレータZ3は、ノードBの電圧がノードAの電圧よりも高くなると、出力をLowからHighに変化させる。つまり、昇圧回路12の出力に電流断が発生すると、コンパレータZ3の出力は、Highに変化する。コンパレータZ3の出力がHighになると、トランジスタQ1はオンする。
【0035】
なお、昇圧回路12内のトランジスタQ2がオンすると、ダイオードD1の陽極の電圧が瞬間的に0Vに近くなることがある。抵抗R11に並列に接続されたコンデンサC3は、そのようなときにノードAの電圧が低下するのを防ぐ役割がある。また、抵抗R13に並列に接続されたコンデンサC4は、ノイズを除去するために設けられている。
【0036】
図5に、動作波形を示す。時刻t1で、昇圧回路12の出力電圧(コンデンサC1の両端の電圧VC1)がオーバーシュート検出電圧に達すると(a)、電圧VC1を抵抗R7と抵抗R8とで分圧した電圧は、基準電圧Vrefに達し(b)、コンパレータZ2の出力Vout2は、HighからLowに変化する(d)。これに伴って、トランジスタQ1がオンからオフに変化し、コンデンサC2への充電が停止する(f)。このとき、昇圧回路12は電流出力を行っているので、ノードAの電圧は、ノードBの電圧よりも高く(c)、コンパレータZ3の出力Vout3はLowである(e)。
【0037】
時刻t2で、何らかの原因で昇圧回路12の出力が停止すると、ダイオードD1を流れる電流が停止し、ノードAの電圧がノードBの電圧よりも低くなる。このため、コンパレータZ3の出力Vout3はHighに変化する。コンパレータZ3の出力Vout3がHighになることで、トランジスタQ1がオンする。トランジスタQ1がオンになると、コンデンサC2は、蓄えていた電荷を、電圧変換部14に放電する。
【0038】
本実施形態では、瞬断検出部33は、昇圧回路12の出力電流断に基づいて、昇圧回路12の出力停止を検出する。この場合も、昇圧回路12からの出力停止時に、コンデンサC2に蓄えていた電気的エネルギーを、後段の電圧変換部14に供給することができる。その他の効果、つまり、コンデンサC2により多くの電荷を蓄積でき、コンデンサの実装面積を増大させることなく瞬断耐力の向上を図ることができるという効果は、第1実施形態と同様である。
【0039】
なお、上記各実施形態では、スイッチング素子としてトランジスタQ1を用いたが、スイッチング素子は、トランジスタには限定されない。図6に、第1実施形態の変形例の電源瞬断対策回路を示す。図6では、トランジスタQ1に代えて、リレーRE1を用いている。リレーRE1のオン/オフを、コンパレータZ1の出力に基づいて制御することでも、第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0040】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の電源瞬断対策用回路、スイッチング電源装置、及び、コンデンサ充電制御方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
11:整流部
12:昇圧回路
13:電源瞬断対策回路
14:電圧変換部(D/D部)
31:検出回路
32:オーバーシュート検出部
33:瞬断検出部
C1〜C4:コンデンサ
D1、D2:ダイオード
Q1、Q2:トランジスタ
R1〜R14:抵抗
RE1:リレー
Z1〜Z3:コンパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング電源装置に含まれる昇圧回路の高電位側及び低電位側の出力電源ラインの間に、スイッチング素子を介して接続されるコンデンサと、
前記スイッチング素子がオンの状態で、前記昇圧回路の出力電圧がオーバーシュート検出電圧に達したことを検出すると前記スイッチング素子をオフし、前記コンデンサへの充電を停止させるオーバーシュート検出部とを備える電源瞬断対策回路。
【請求項2】
前記オーバーシュート検出部が、前記昇圧回路の出力電圧を所定の抵抗比で分圧した電圧と、前記オーバーシュート検出電圧に対応した電圧とを比較し、前記分圧した電圧が前記オーバーシュート検出電圧に対応した電圧以上になると出力を変化させ、前記スイッチング素子をオフにするコンパレータを含む、請求項1に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項3】
前記スイッチング素子がオフの状態で前記昇圧回路の出力停止を検出すると前記スイッチング素子をオンし、前記コンデンサに充電された電荷を放電させる瞬断検出部を更に備える、請求項1又は2に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項4】
前記瞬断検出部は、前記スイッチング素子がオフの状態で前記昇圧回路の出力電圧が停電検出電圧まで低下すると前記出力停止を検出し、前記スイッチング素子をオンにする、請求項3に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項5】
前記瞬断検出部が、前記スイッチング素子がオフの状態のときに、前記昇圧回路の出力電圧を所定の抵抗比で分割した電圧と前記停電検出電圧に対応する電圧とを比較し、前記分圧した電圧が前記停電検出電圧に対応した電圧以下になると出力を変化させ、前記スイッチング素子をオンにするコンパレータを含む、請求項4に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項6】
前記オーバーシュート検出部が、前記瞬断検出部を兼ねる、請求項4又は5に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項7】
前記瞬断検出部は、前記スイッチング素子がオフの状態で前記昇圧回路の出力電流に電流断が発生すると前記出力停止を検出し、前記スイッチング素子をオンにする、請求項3に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項8】
前記瞬断検出部は、前記昇圧回路内で出力電源ラインに直列に挿入されたダイオードの陰極側の電圧と陽極側の電圧とを比較し、陽極側の電圧が陰極側の電圧よりも低くなると出力停止を検出する、請求項7に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項9】
前記瞬断検出部は、前記ダイオードの陰極側の電圧を所定の抵抗比で分圧した電圧と、前記ダイオードの陽極側の電圧を所定の抵抗比で分圧した電圧とを比較し、前記陽極側の電圧を所定の抵抗比で分圧した電圧が、前記陰極側の電圧を所定の抵抗比で分圧した電圧よりも低くなると出力を変化させ、前記コンデンサからの放電を開始させるコンパレータを含む、請求項8に記載の電源瞬断対策回路。
【請求項10】
昇圧回路と、
前記昇圧回路の高電位側及び低電位側の出力電源ラインの間にスイッチング素子を介して接続されるコンデンサと、
前記スイッチング素子がオンの状態で、前記昇圧回路の出力電圧がオーバーシュート検出電圧に達したことを検出すると前記スイッチング素子をオフし、前記コンデンサへの充電を停止させるオーバーシュート検出部とを備えるスイッチング電源装置。
【請求項11】
スイッチング電源装置に含まれる昇圧回路の出力電圧で充電されるコンデンサを、前記昇圧回路のオーバーシュート電圧で充電するコンデンサ充電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−193590(P2010−193590A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34056(P2009−34056)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】