説明

電源装置、電源装置を用いた画像形成装置

【課題】昇圧用チョークコイルの大型化を抑えつつ、入力電流の高調波を抑制し得る電源装置及び電源装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】交流電源PWから出力された電流を整流する整流回路11と、1対の昇圧用チョークコイルL1,L2を有し、該昇圧用チョークコイルL1,L2の動作を制御することによって、力率を改善するPFC回路12と、整流回路11の出力側とPFC回路12の入力側とを繋ぎ、昇圧用チョークコイルL1,L2同士の接続形態を変えるスイッチ13と、交流電源PWの電圧値に基づいて、スイッチ13を切り替える切替回路14と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、電源装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
力率改善回路を含む電源装置が知られている。力率改善回路は、自身に入力される入力電流の高調波を抑制して力率を改善する。例えば、特許文献1に示すように、力率改善回路によっては、1対の昇圧用チョークコイルを有し、これらの昇圧用チョークコイルを交互に動作させて入力電流の高調波を抑制して、力率を改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−195282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、昇圧用チョークコイルの大型化を抑えつつ、入力電流の高調波を抑制し得る電源装置及び電源装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、交流電源から出力された電流を整流する整流回路と、1対の昇圧用チョークコイルを有し、該昇圧用チョークコイルの動作を制御することによって、力率を改善する力率改善回路と、整流回路の出力側と力率改善回路の入力側とを繋ぎ、昇圧用チョークコイル同士の接続形態を変えるスイッチと、交流電源の電圧値に基づいて、スイッチを切り替える切替手段と、を有する電源装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、切替手段は、電圧値が200ボルト系である場合に、昇圧用チョークコイルが直列接続となるように切り替えることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、切替手段は、電圧値が100ボルト系である場合に、昇圧用チョークコイルが並列接続となるように切り替えることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、力率改善回路は、昇圧用チョークコイルのいずれか一方の動作を停止することによって、力率を改善することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、切替手段は、電圧値が100ボルト系である場合に、昇圧用チョークコイルが並列接続となるように切り替え、力率改善回路は、昇圧用チョークコイルが交互に動作することによって、力率を改善することを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、力率改善回路から出力された電圧を予め定められた電圧値の電圧に変換する変換手段を含むことを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の電源装置と、電源装置から供給された電力が入力される負荷と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、昇圧用チョークコイルの大型化を抑えつつ、入力電流の高調波を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、交流電源の電圧値が100V系である場合の入力電流と比べて小さな入力電流でも、高調波を抑制することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、ユニバーサル電源として使用しても、入力電流の高調波を抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、交流電源の電圧値が100V系であって、負荷が高い場合に必要とされる入力電流と比べて小さな入力電流でも、高調波を抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、交流電源の電圧値が100V系であって、負荷が高い場合に必要とされる入力電流であっても、高調波を抑制することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、電源装置から所望の電圧値を有する電圧を取り出すことができる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、高調波が抑えられた入力電流に基づく電力が負荷に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成装置の構成図の一例である。
【図2】電源装置の回路図の一例である。
【図3】電源装置の回路図の他の一例である。
【図4】電源装置の回路図の他の一例である。
【図5】比較例に係る入力電流の波形図である。
【図6】実施形態に係る入力電流の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、画像形成装置100の構成図の一例である。
画像形成装置100は、図1に示すように、電源装置10と、駆動系負荷20と、制御系負荷30とを含む。画像形成装置100は、例えば、複写機能、ファクシミリ機能、印刷機能、スキャナ機能の少なくとも1つの機能を有する装置である。
【0022】
電源装置10は、駆動系負荷20、制御系負荷30に電力を供給する。電源装置10は、駆動系負荷20に対して、例えば12V(ボルト)や24Vの電力を供給する。電源装置10は、制御系負荷30に対して、例えば5Vの電力を供給する。
【0023】
駆動系負荷20は、ドライブモータ、スキャナモータ、ファンなどを含む。駆動系負荷20における負荷電力は、例えば、画像形成装置100が画像を出力している場合に、画像を出力していない場合と比べて、大きくなる。
尚、画像を出力している場合とは、例えば、電源装置10が12Vや24Vの電力を駆動系負荷20に供給し、5Vの電力を制御系負荷30に供給している場合をいう。この場合を、電源モードがジョブモードである場合という。画像を出力していない場合とは、例えば、電源装置10が12Vの電力を駆動系負荷20の一部に供給し、5Vの電力を制御系負荷30に供給している場合、又は、電源装置10が5Vの電力を制御系負荷30のみに供給している場合をいう。前者の場合を、電源モードがスタンバイモードである場合という。後者の場合を、電源モードがスリープモードである場合という。
【0024】
制御系負荷30は、制御装置、画像処理装置、ファクシミリ装置などを含む。これらの各装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDRP(Dynamic Reconfigurable Processor)などで構成される。制御系負荷30における負荷電力は、電源モードがスタンバイモードとジョブモードとの間では大きな差はないが、電源モードがスリープモードに移行すると、小さくなる。
【0025】
図2は、電源装置10の回路図の一例である。
電源装置10は、整流回路11と、力率改善回路(以下、PFC(Power Factor Correction)回路という。)12と、スイッチ13と、切替回路14と、コンバータ回路15とを含む。
【0026】
整流回路11は、複数のダイオードで構成された全波整流回路である。整流回路11の一端は、交流電源PWと接続される。整流回路11は、交流電源PWから出力された電流を整流する。この結果、交流の電流は直流の電流となる。
【0027】
PFC回路12は、一対の昇圧用チョークコイルL1,L2と、ダイオード素子D1,D2と、トランジスタQ1,Q2と、コンデンサC1と、抵抗素子R1,R2と、PFC制御回路12aとを含む。PFC回路12は、出力電圧を入力電圧より高い電圧に昇圧するとともに、自身に入力された入力電流を自身に入力された入力電圧と相似の正弦波にすることによって力率を改善する。
【0028】
昇圧用チョークコイルL1,L2は、並列に接続されている。昇圧用チョークコイルL1,L2の一端は、スイッチ13の端子13aに接続されている。昇圧用チョークコイルL1の他端は、ダイオード素子D1のアノードと接続されている。昇圧用チョークコイルL2の他端は、ダイオード素子D2のアノードと接続されている。昇圧用チョークコイルL2の他端は、スイッチ13の端子13bとも接続されている。
【0029】
トランジスタQ1,Q2は、FET(Field effect Transistor:電界効果型トランジスタ)で構成される。トランジスタQ1のドレインは、昇圧用チョークコイルL1の他端と接続されている。トランジスタQ2のドレインは、昇圧用チョークコイルL2の他端と接続されている。トランジスタQ1,Q2のソースは、ともに出力端子Pと接続されている。トランジスタQ1,Q2のゲートは、ともにPFC制御回路12aと接続されている。
【0030】
ダイオード素子D1,D2のカソードは、ともにPFC回路12の出力端子Mと接続されている。
コンデンサC1の一端は、PFC回路12の出力端子Mと接続されている。コンデンサC1の他端は、出力端子Pと接続されている。
【0031】
抵抗素子R1,R2は、直列に接続されている。抵抗素子R1の一端は、PFC回路12の出力端子Mと接続されている。抵抗素子R1の他端は、抵抗素子R2の一端と接続されている。抵抗素子R2の他端は、出力端子Pと接続されている。抵抗素子R1,R2は、電圧検出回路として機能し、抵抗素子R1と抵抗素子R2とで分圧された電圧を出力する端子NがPFC制御回路12aに接続されている。
【0032】
PFC制御回路12aは、端子Nの電圧値を、内部で生成した三角波と比較して、トランジスタQ1,Q2のゲート電圧を個別に制御する。また、PFC制御回路12aは、切替回路14から出力された各種制御信号に基づいても、トランジスタQ1,Q2のゲート電圧を個別に制御する。
【0033】
スイッチ13は、整流回路11の出力側とPFC回路12の入力側とを繋ぎ、昇圧用チョークコイルL1,L2同士の接続形態を変える。図2に示すように、例えば、端子13bと端子13cとが接続されるようにスイッチ13が切り替えられると、昇圧用チョークコイルL1,L2は直列接続となる。逆に、端子13aと端子13cとが接続されるようにスイッチ13が切り替えられると、昇圧用チョークコイルL1,L2は並列接続となる。尚、スイッチ13は、リレーやFETなどの電気的なものであってもよいし、機械的なものであってもよい。
【0034】
切替回路14は、交流電源PWの電圧値に基づいて、スイッチ13を切り替える。例えば、図2に示すように、交流電源PWの電圧値が200V系である場合には、端子13bと端子13cとが接続されるようにスイッチ13を切り替える。逆に、交流電源PWの電圧値が、後述するように、100V系である場合には、端子13aと端子13cとが接続されるようにスイッチ13を切り替える。また、切替回路14は、交流電源PWの電圧値、及び上述した電源モードに関する制御信号をPFC制御回路13に出力する。
【0035】
コンバータ回路15は、PFC回路12の出力端子M及び出力端子Pと接続される。コンバータ回路15は、一又は複数のDC/DCコンバータで構成される。DC/DCコンバータは、フライバックコンバータ、フィードフォワードコンバータ、プッシュプルコンバータ、ハーフブリッジコンバータのいずれでもよい。コンバータ回路15は、PFC回路12から出力された電圧を、予め定められた電圧に絶縁して変換し、駆動系負荷20や制御系負荷30に電力として出力する。
【0036】
続いて、本実施形態に係る電源装置10の動作について説明する。
【0037】
まず、交流電源PWの電圧値が200V系である場合について、図2を参照して説明する。
尚、200V系は、200Vから280Vまでの範囲内の電圧を示し、例えば、200V、220V、230V、240Vなどが該当する。
【0038】
切替回路10は、画像形成装置100のコンセントが交流電源PWと接続され、交流電源PWの電圧値が200V系であると判断すると、端子13bと端子13cとが接続されるようにスイッチ13を切り替える。また、切替回路10は、交流電源PWの電圧値が200V系である旨の制御信号をPFC制御回路12aに出力する。
【0039】
PFC制御回路12aは、200V系である旨の制御信号を受信すると、トランジスタQ1にゲート電圧を供給したり、停止したりする。一方、PFC制御回路12aは、トランジスタQ2にゲート電源を供給しない。この結果、トランジスタQ1は、スイッチとしてオンされたりオフされたりする状態を繰り返す。一方、トランジスタQ2は、スイッチとしてオフされた状態を継続する。したがって、PFC回路12は、200V系であっても、いわゆる臨界モードのシングル方式で稼動する。
【0040】
昇圧用チョークコイルL1,L2は、端子13bと端子13cとが接続されるようにスイッチ13が切り替えられることによって、直列接続となる。このため、直列接続された昇圧用チョークコイルL1,L2の合計のインダクタンス値が、後述する100V系における昇圧用チョークコイルL1だけのインダクタンス値より大きくなる。特に、200V系では、100V系より必要な入力電流が小さいため、入力電流が高調波を含む歪んだ入力波形となってしまったり、スイッチング周波数が高くなって効率が落ちてしまったりするといった可能性が、直列接続によってインダクタンス値が大きくなり、抑えられる。
【0041】
交流電源PWから出力された電流は、整流回路11によって直流の入力電流I3となる。入力電流I3は、スイッチ13を通じて、昇圧用チョークコイルL2の他端から一端に流れる。尚、入力電流I3は、トランジスタQ2にゲート電圧が供給されていないため、出力端子P側には流れていかない。入力電流I3は、さらに、昇圧用チョークコイルL2の一端から昇圧用チョークコイルL1の一端に流れ、昇圧用チョークコイルL1の他端に流れる。
【0042】
ここで、トランジスタQ1にゲート電圧が供給されている場合には、トランジスタQ1は、スイッチオンとして機能する。このため、入力電流I3は、トランジスタQ1を流れ、昇圧用チョークコイルにエネルギーを蓄える。逆にトランジスタQ1にゲート電圧が供給されていない場合は、トランジスタQ1はスイッチオフとして機能する。このため、入力電流I3は、ダイオードD1を流れて、コンデンサC1を充電する。この時、トランジスタQ1がオン期間に昇圧用チョークコイルL1に発生する逆起電圧が、入力電圧に重畳されるため、入力電圧より高い電圧がコンデンサC1に充電される。
【0043】
PFC制御回路12aは、端子Nの電圧値を、内部で生成した三角波と比較して、トランジスタQ1にゲート電圧を供給したり、停止したりする。この結果、200V系であっても、1つあたりの昇圧用チョークコイルを大型化せずに、高調波を抑えた入力電流I3がPFC回路12内に流れる。
【0044】
次に、交流電源PWの電圧値が100V系である場合について、図3を参照して説明する。
尚、100V系は、100Vから130Vまでの範囲内の電圧を示し、例えば、100V、110V、120Vなどが該当する。
【0045】
図3は、電源装置10の回路図の他の一例である。
電源装置10は、図2と対比して、以下の点が相違する。
切替回路10は、画像形成装置100のコンセントが交流電源PWと接続され、交流電源PWの電圧値が100V系であると判断すると、端子13aと端子13cとが接続されるようにスイッチ13を切り替える。この結果、昇圧用チョークコイルL1,L2は並列接続となる。
【0046】
また、切替回路10は、交流電源PWの電圧値が100V系である旨の制御信号をPFC制御回路12aに出力する。さらに、切替回路10は、電源モードに関する制御信号もPFC制御回路12aに出力する。例えば、この制御信号には、電源モードがスリープモードである旨が含まれる。この結果、制御系負荷30にのみ電力を供給すればよいため、PFC制御回路12は、必要な入力電流が小さくてよいということを判断する。
【0047】
PFC制御回路12aは、100V系である旨の制御信号及び上述した電源モードに関する制御信号を受信すると、図2に示した場合と同様に、トランジスタQ1にゲート電圧を供給したり、停止したりする。一方、PFC制御回路12aは、トランジスタQ2にゲート電源を供給しない。この結果、トランジスタQ1は、スイッチとしてオンされたりオフされたりする状態を繰り返す。一方、トランジスタQ2は、スイッチとしてオフされた状態を継続する。
【0048】
交流電源PWから出力された交流の電流は、整流回路11によって直流の入力電流I3となる。入力電流I3は、スイッチ13を通じて、昇圧用チョークコイルL1の一端から他端に流れる。尚、入力電流I3は、トランジスタQ2にゲート電圧が供給されていないため、昇圧用チョークコイルL2側には流れていかない。この結果、電圧値が100V系であって、スリープモードなど軽負荷の場合にも、いわゆる臨界モードのシングル方式でPFC回路12は稼動する。したがって、このような場合にも、入力電流I3の高調波が抑えられる。
【0049】
図4は、電源装置10の回路図の他の一例である。
電源装置10は、図3と対比して、以下の点が相違する。
切替回路10は、電源モードに関する制御信号をPFC制御回路12aに出力するが、図4に示す場合、この制御信号には、電源モードがジョブモードである旨が含まれる。この結果、制御系負荷30だけでなく駆動系負荷20にも電力を供給する必要があるため、PFC制御回路12は、必要な入力電流が大きいと判断する。
【0050】
PFC制御回路12aは、100V系である旨及び上述した電源モードに関する制御信号を受信すると、トランジスタQ1にゲート電圧を供給したり、停止したりする。また、トランジスタQ2にもゲート電圧を供給したり、停止したりもする。ゲート電圧の供給は、スイッチングの位相を例えば180度ずらして交互に行われる。トランジスタQ1は、スイッチとしてオンされたりオフされたりする状態を繰り返す。また、トランジスタQ2も、スイッチとしてオンされたりオフされたりする状態を繰り返す。
【0051】
交流電源PWから出力された交流の電流は、整流回路11によって直流の入力電流I3となる。入力電流I3は、スイッチ13を通じて、昇圧用チョークコイルL1,L2の一端から他端に流れる。ゲート電圧は、トランジスタQ1だけでなく、トランジスタQ2にも供給されている。このため、入力電流I3のうち、入力電流I1が昇圧用チョークコイルL1に流れる。入力電流I3のうち、入力電流I2が昇圧用チョークコイルL2に流れる。すなわち、電圧値が100V系であって、ジョブモードなどの重負荷の場合には、PFC回路12は、いわゆる臨界モードのインターリーブ方式で稼動する。トランジスタQ1,Q2に流れる入力電流は分散されるため、トランジスタQ1,Q2のスイッチングによる入力電流I1,I2の高調波が抑えられる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る電源装置10は、交流電源PWの電圧値が200V系であっても100V系であっても、入力電流の高調波を抑制して稼動する。特に、電圧値が200V系である場合には、昇圧用チョークコイルL1,L2の直列接続によってインダクタンス値を増加させるため、昇圧用チョークコイルL1,L2の大型化を回避して高調波を抑制する。このため、本実施形態に係る電源装置10は、電圧値が200V系であっても100V系でも使用される、いわゆるユニバーサル電源としても機能する。
【0053】
次に、PFC回路12に入力される入力電流の波形を図5及び図6を参照して説明する。
【0054】
図5は、比較例に係る入力電流の波形図である。図6は、実施形態に係る入力電流の波形図である。図5及び図6において、PFC回路12を動作させる各種条件は、以下の通りである。(1)交流電源PWの電圧値が230Vである。(2)出力が73W(ワット)である。(3)昇圧用チョークコイルL1,L2のインダクタンス値が共に85μH(マイクロヘンリー)である。(4)PFC回路12の動作方式は、臨界モードのシングル方式である。
【0055】
以上の条件において、図5に示す比較例に係る波形図では、切替回路14は、端子13aと端子13cとを接続するようにスイッチ13を切り替えた。PFC回路12は、臨界モードのシングル方式であるため、トランジスタQ2へのゲート電圧の供給は常時停止されており、トランジスタQ1へのゲート電圧の供給がなされている。このため、PFC回路12に入力される入力電流は、昇圧用チョークコイルL1にのみ流れる。
この比較例では、図5に示すように、入力電流の随所に高調波が生じる。このため、力率は77.0%、効率は71.2%となった。
【0056】
一方、図6に示す実施形態に係る波形図では、切替回路14は、端子13bと端子13cとを接続するようにスイッチ13を切り替えた。PFC回路12は、臨界モードのシングル方式であるため、トランジスタQ2へのゲート電圧の供給は常時停止されており、トランジスタQ1へのゲート電圧の供給がなされている。このため、PFC回路12に入力される入力電流は、直列接続となった昇圧用チョークコイルL1,L2の双方に流れる。
この実施形態では、図6に示すように、入力電流の高調波が抑制された。このため、力率は83.6%、効率は73.3%となった。したがって、図5に示す場合と比べて、力率及び効率の双方が改善された。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 電源装置
11 整流回路
12 PFC回路
13 スイッチ
14 切替回路
15 コンバータ回路
20 駆動系負荷
30 制御系負荷
100 画像形成装置
PW 交流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から出力された電流を整流する整流回路と、
1対の昇圧用チョークコイルを有し、該昇圧用チョークコイルの動作を制御することによって、力率を改善する力率改善回路と、
前記整流回路の出力側と前記力率改善回路の入力側とを繋ぎ、前記昇圧用チョークコイル同士の接続形態を変えるスイッチと、
前記交流電源の電圧値に基づいて、前記スイッチを切り替える切替手段と、
を有する電源装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記電圧値が200ボルト系である場合に、前記昇圧用チョークコイルが直列接続となるように切り替えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記切替手段は、前記電圧値が100ボルト系である場合に、前記昇圧用チョークコイルが並列接続となるように切り替えることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記力率改善回路は、前記昇圧用チョークコイルのいずれか一方の動作を停止することによって、力率を改善することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記電圧値が100ボルト系である場合に、前記昇圧用チョークコイルが並列接続となるように切り替え、
前記力率改善回路は、前記昇圧用チョークコイルが交互に動作することによって、力率を改善することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記力率改善回路から出力された電圧を予め定められた電圧値の電圧に変換する変換手段を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電源装置と、
前記電源装置から供給された電力が入力される負荷と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−16164(P2012−16164A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149899(P2010−149899)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】