説明

電源装置

【課題】外部から電力の供給を受けて動作を行う電源装置に関し、通常の使用や通常のメンテナンスを行っていれば問題はないが、粉塵等が異常に多い環境で装置を使用したり、装置の清掃を長期間行わなかったり、正常使用ではない過負荷状態で長時間装置を動作させる等、種々の特殊な状態やそれら特殊な状態が複合されることにより、装置の発火等の異常状態が発生する可能性がある。
【解決手段】外部機器から受電して動作を行う電源装置であって、前記電源装置を構成する筐体と、前記筐体を構成する複数の面板のうち1つの面板に設けられ前記外部機器から受電するための受電部と、前記筐体の内部または外側表面に設けられた消火装置とを備え、電源装置内で発生した炎を検出して消火を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火装置を備えた電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産現場では、溶接装置やレーザ加工装置など、種々の装置が使用されている。これらの装置は、外部から電力の供給を受けて動作するものが多い。そして、これらの装置に対しては、安全性の要求が高まってきている。
【0003】
例えば、加工対象物であるワークを加工するレーザ加工装置として、ワーク近傍で火災が発生した場合に消火を行う機能を備えたレーザ加工機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−123581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、溶接機能を有する電源装置に関し、通常の使用や通常のメンテナンスを行っていれば問題はないが、粉塵等が異常に多い環境で装置を使用したり、装置の清掃を長期間行わなかったり、正常使用ではない過負荷状態で長時間装置を動作させる等、種々の特殊な状態やそれら特殊な状態が複合されることにより、装置の発火等の異常状態が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、発火等の異常状態が発生した場合に、装置の損傷を抑制できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電源装置は、外部機器から受電して動作を行う電源装置であって、前記電源装置を構成する筐体と、前記筐体を構成する複数の面板のうち1つの面板に設けられ前記外部機器から受電するための受電部と、前記筐体の内部または外側表面に設けられた消火装置とを備えたものである。
【0008】
また、本発明の電源装置は、外部機器から受電して動作を行う電源装置であって、前記電源装置を構成する筐体と、前記筐体の内部を第1の領域と第2の領域に分割する仕切り部材と、前記筐体を構成する複数の面板のうち1つの面板の前記第1の領域に面する位置に設けられ前記外部機器から受電するための受電部と、前記第1の領域内に設けられた消火装置とを備えたものである。
【0009】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、第1の領域は筐体の外部と空気の流通が可能な非防塵領域であり、第2の領域は前記筐体の外部との空気の流通が抑制された防塵領域としたものである。
【0010】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、筐体を構成する面板のうち受電部を取り付けた面板に消火装置を設けたものである。
【0011】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、筐体の内部または外側表面に設けられた温度あるいは煙を検出する検出部を備え、消火装置は前記検出部の検出結果が所定値を越えた場合に動作するものである。
【0012】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、消火装置と検出部とを一体構成としたものである。
【0013】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、電源装置は筐体内部に少なくともスイッチング素子や整流素子や変圧器を備えており、溶接電源装置としての機能を有するものである。
【0014】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、検出部の検出結果が所定値を越えた場合に、電源装置の外部に異常を報知する報知部を備えたものである。
【0015】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、検出部を複数設けたものである。
【0016】
また、本発明の電源装置は、上記に加えて、消火装置を複数設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明は、電源装置が消火機能を有しており、電源装置で発火等の異常状態が発生してしまった場合でも、発火を抑制し、装置の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1における電源装置の概略構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における電源装置の別の例の概略構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における電源装置の別の例の概略構成を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における電源装置の別の例の概略構成を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における電源装置の別の例の概略構成を示す図
【図6】本発明の実施の形態1における電源装置の別の例の概略構成を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における電源装置の概略構成を示す図
【図8】本発明の実施の形態3における電源装置の概略構成を示す図
【図9】本発明の実施の形態4における電源装置の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
図1から図6を用いて、本実施の形態の電源装置について説明する。なお、本実施の形態では、電源装置の一例として、溶接機能を有する溶接電源装置について説明する。
【0020】
図1において、溶接電源装置10は筐体1を備えている。この筐体1は、6つの面板から構成され、面板5と面板6aと面板6bと面板6cおよび図示しない2つの面板を備えている。なお、図示しない2つの面板は、図1における紙面の手前側と紙面の奥側に設けられるものである。
【0021】
また、筐体1は、仕切り部材7により第1の領域8と第2の領域9に分けられている。なお、筐体1を構成する面板のうち第1の領域8に面する箇所には、筐体1内の冷却等を行うための穴が設けられている。故に、第1の領域8は、筐体1の外部と空気の流通が可能な非防塵領域である。一方、第2の領域9は、筐体1の外部と空気の流通がない防塵領域としている。そして、第2の領域9には、プリント基板等で構成される制御部17が配置される。
【0022】
第1の領域8には、ダイオード等で構成される整流素子11と、整流素子11の出力を平滑する平滑コンデンサ12と、平滑コンデンサ12の出力を交流に変換するインバータ部としてのスイッチング素子13と、スイッチング素子13の出力を変圧する変圧器14と、変圧器14の出力を整流する整流素子15と、整流素子15の出力から交流成分を減少させるリアクタ16が設けられている。
【0023】
なお、スイッチング素子13は、IGBTやMOSFETやサイリスタ等のパワー半導体にて構成される。そして、スイッチング方式には、PWM制御やフェーズシフト制御方式等が用いられる。また、変圧器14は、巻き数として、1次側を4ターンとし2次側を1ターンとしたものや、1次側を14ターンとし2次側を3ターンとしたものが用いられる。また、整流素子15は、ダイオード等で構成される。
【0024】
また、溶接電源装置10には、変圧器14の出力を整流素子15とリアクタ16を介して外部に出力するための出力端子20aと出力端子20bが設けられている。図1では、出力端子20aは溶接トーチ25に接続され、出力端子20bは溶接対象物であるワーク26に接続されている。
【0025】
また、筐体1の第1の領域8内には、冷却ファン18が設けられており、第1の領域8内に設けられた整流素子11や平滑コンデンサ12やスイッチング素子13や変圧器14や整流素子15やリアクタ16などを冷却する。
【0026】
また、溶接電源装置10には、配電盤等の外部機器19から電力を受電して整流素子11に出力するための受電部2が設けられている。電力は通常日本国内では商用電源200Vの3相入力で供給される。なお、受電部2の例としては、例えば端子台等が挙げられる。図1では、面板5に受電部2が設けられている。
【0027】
また、溶接電源装置10には、詳細は後述するが、温度あるいは光等により炎を検出する検出部4や、炎を消火するための消火装置3が設けられている。
【0028】
以上のように構成された溶接電源装置10について、その動作を説明する。
【0029】
電源装置の一例である溶接電源装置10は、ケーブル等で接続された外部機器19から受電部2を介して電力を受電する。溶接電源装置10は、受電した電力を整流素子11や平滑コンデンサ12やスイッチング素子13や変圧器14や整流素子15やリアクタ16により変換し、出力端子20aと出力端子20bから、電流あるいは電圧として出力する。出力端子20aは溶接トーチ25に接続されており、一方、出力端子20bは溶接対象物であるワーク26に接続されており、溶接電源装置10の出力により溶接トーチ25とワーク26との間にアークを発生させ、ワーク26の溶接を行う。
【0030】
次に、異常状態となり溶接電源装置10で炎が発生した場合の対応について説明する。なお、異常状態の原因としては、粉塵やオイルミスト等が異常に多い環境で装置を使用したり、装置の清掃を長期間行わなかったり、装置を改造する等して正常使用ではない過負荷状態で長時間動作させる等の種々の特殊な状態やそれら特殊な状態が複合されること等が考えられる。
【0031】
検出部4は、サーマルスイッチ等で構成される熱センサーにより筐体1内で発生した炎による温度上昇を検出し、所定値(例えば80℃)を超えた場合に異常状態が発生したことを出力する。なお、検出部4としては、煙センサーにより筐体1内の災による煙を検出して所定値を超えた場合に異常信号を出力するようにしてもよい。または、光センサーにより、筐体1内の災による光を検出して所定値を超えた場合に異常信号を出力するようにしても良い。あるいは、外部機器19と溶接電源装置10との間の電流を検出するセンサを設けて電流を監視し、溶接電源装置10が出力していない場合に、異常な電流を検出した場合に異常信号を出力するようにしても良い。
【0032】
消火装置3と検出部4は、非防塵領域である第1の領域8内に配置される。溶接電源装置10の内部で炎が発生した場合、検出部4は災を検出し、消火装置3を動作させて災を消火する。
【0033】
なお、消火装置3の消火方法としては、ハロン消火剤を拡散させる方法でもよく、炭酸ガスボンベから消火剤である炭酸ガスを充満させる方法でもよく、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガスを充満させる方法でもよい。このように、ガス系の消火剤を用いることで、溶接電源装置10の周りにある他の設備への影響を抑制することができる。例えば、水系の消火装置を使用すると、2次災害が発生する危険性があるため、ガス系の消火剤が望ましい。
【0034】
溶接電源装置10は、通常、数kVA〜50kVAの電力容量を必用とする大容量インバータである。そのため、各構成部材の発熱が大きく、冷却ファン18による強制冷却は通常必須である。そして、冷却ファン18で冷却を行うためには、筐体1の内外での空気の移動が必要であり、第1の領域8は非防塵領域にならざるを得ない。非防塵領域では、粉塵やオイルミスト等が堆積し易く、適正に清掃を行わないなど適正な使用がされない場合には、炎を生じる可能性が高まる。従って、消火装置3を非防塵領域である第1の領域8に配置することは、災の発生の可能性が高い場所の近くに消火装置3を配置することとなり、消火能力が向上すると考えられ、災の対策として有効である。
【0035】
しかしながら、装置の設計上の理由で、消火装置3を非防塵区域に配置できない場合もある。その場合、第2の領域9の内部など防塵区域等に配置されることとなり、災の対策として最適とはならないが、有効である。
【0036】
なお、溶接電源装置10が小容量のインバータで構成される場合、冷却ファン18を配置せず、筐体1の内部を防塵構造とすることができる。この場合、粉塵やオイルミスト等の堆積に起因する災の発生の可能性は低くなる。しかし、異常な過負荷状態で使用される場合、異常発熱により災が発生する可能性はある。従って、防塵構造の溶接電源装置10であっても、筐体1の内部に消火装置3を配置することは、災の対策として有効である。
【0037】
なお、図1では、仕切り部材7により筐体1内が仕切られた場合を例にして説明したが、図2に示すように、仕切り部材7がない構成においても同様に、消火装置3と検出部4を設けることで炎に対応することができる。そして、仕切り部材7が無い場合、第1の領域8と第2の領域9の区分けは存在せず、筐体1内は非防塵領域となる。
【0038】
また、検出部4や消火装置3は、通常、外部機器19から供給される電力を用いて動作させるが、溶接電源装置10の内部にバッテリーを持ち、外部機器19からの給電状態に関わらず動作するようにしても良いし、電源無しで動作させるものとしても良い。なお、電源無しで動作させる消火装置3とは、電源を必用とするセンサー類をもたず、バイメタルのような熱を検知し自動で動作するような構成の装置をいう。
【0039】
検出部4や消火装置3を動作させる電力を、外部機器19とは別に独立して確保することで、外部機器19からの電力の供給がオフされているような場合や、災による破損で検出部4や消火装置3に外部機器19から正常に動作電力が供給されない場合でも、検出部4と消火装置3を正常に作動させることが可能となる。
【0040】
検出部4と消火装置3とは、ハーネス等の信号線により接続される。しかし、発生した災により信号線がダメージをうけた場合や、検出部4がダメージを受けて正常に動作できなくなった場合の対策として、フェールセーフの機構を設けることは有効である。具体的には、消火装置3が、信号線の断線や検出部4の破損や検出部4を駆動するバッテリー消耗等といった検出部4を動作させることに対する異常を検出した場合、消火装置3は独立して消火動作を行うようにする。
【0041】
なお、上記実施の形態1について、電源装置の例として溶接電源装置10を用いた例を説明したが、これにかぎるものではなく、電源装置は、抵抗溶接装置、プラズマ加工装置、レーザ加工装置、電子ビーム加工装置、サブマージ加工装置等の種々の産業用の装置であってもよい。
【0042】
以上のように、溶接電源装置10の内部に炎を検出する検出部4と炎を消火する消火装置3を備えることにより、特殊な異常状態により発生した炎を消火することができ、災による被害を抑制することができる。
【0043】
また、消火装置3を筐体1内の非防塵区域に配置することで、より確実に災を消火することができる。
【0044】
また、検出部4と消火装置3の駆動電源を独立した電源とすることで、より確実に災を消火することができる。
【0045】
また、消火装置3が検出部4の異常を検出した場合に独立して消火動作するようにすることで、より確実に災を消火することができる。
【0046】
なお、図2に示すように、整流素子11と平滑コンデンサ12を設けず、また、スイッチング素子13としてサイリスタを用いた単純な構成の溶接電源装置10においても、溶接電源装置10の内部に消火装置3を備える構成とすることにより、溶接電源装置10の内部で炎が発生した場合でも、炎を消火することができる。
【0047】
また、図1では、消火装置3を溶接電源装置10の内部に設ける例を示したが、図3に示すように、消火装置3を筐体1の外側表面に設けるようにしても良い。
【0048】
溶接電源装置10の内部ではないが、筐体1の外側表面であることで、筐体1の内部の近くに消火装置3が備えられることとなり、筐体1内で炎が発生してしまった場合でも、十分な消火効果を期待することができる。
【0049】
図3のように構成された消火装置付電源装置について、その動作を説明する。
【0050】
本実施の形態において実施の形態1と同様の構成については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
図3は、消火装置3を筐体1の外側表面に取り付けた例である。溶接電源装置10の内部ではないが、外側表面であることで、溶接電源装置10とは直近の位置関係にある。よって、溶接電源装置10の内部で火災が発生した場合でも十分な消火効果を期待できる。
【0052】
なお、消火装置3を筐体1の外側表面に配置することで、消火装置3のメンテナンスが安易になる。また、消火装置3を内部に組み込むことが困難な場合にも、設置が可能となる。また、当初、溶接電源装置10に消火装置3を組み込むことを想定していなかった場合にも、後付けで、消火装置3を取り付けて炎の対策を実施することが可能となる。
【0053】
なお、図4に示すように、消火装置3と検出部4をリアクタ16の近傍に設けるようにしても良い。溶接電源装置10が異常な過負荷で使用され、かつ、サーマル等で構成される安全装置が破損してしまったような場合、リアクタ16が異常に発熱し(例えば200度)、リアクタ16の周辺のオイルミスト等により災が発生してしまう場合も考えられる。また、溶接電源装置10の構成によっては、リタクタ16は最も発熱が大きくなる場合も考えられる。
【0054】
従って、リアクタ16の近傍に消火装置3や検出部4を設ける構成とすることにより、リアクタ16あるいはリアクタ16の近傍から炎が発生してしまった場合に、効果的に炎を消火することが可能となる。
【0055】
なお、図5に示すように、受電部2が設けられている面板5に、消火装置3と検出部4を設けるようにしても良い。
【0056】
粉塵やオイルミスト等が異常に多い環境で使用され、さらに、長期間清掃が行われないといった異常使用状態において、受電部2を構成する入力端子台に大量の粉塵やオイルミストが堆積したままとなってしまい、トラッキング現象により炎が発生することも考えられる。
【0057】
しかし、受電部2を取り付けた面板5に消火装置3と検出部4を取り付けたことで、受電部2と消火装置3とは直近の配置となり、仮に受電部2から災が発生した場合でも、消火装置3により効果的に炎を消火することができる。
【0058】
なお、上記では、消火装置3と検出部4とは別体として溶接電源装置10に設ける例を示したが、消火装置3と検出部4とを一体した検出部付の消火装置を用いるようにしても良い。
【0059】
図6において、検出部付消火装置21は、消火装置3と検出部4とを一体にしたものであり、溶接電源装置10に設けられている。
【0060】
このように、消火装置3と検出部4とを一体とした検出部付消火装置21を用いることにより、筐体1の内部での配置や配線が簡潔となり、また、組立作業性も良くなる。
【0061】
また、検出部4と消火装置3の間の信号線(ハーネス等)が存在しないことで、溶接電源装置10の内部で炎が発生してしまったとしても、信号線が破損することがなく、消火装置3が働かなくなることを防ぐことができ、より確実に炎を消火することができる。
【0062】
(実施の形態2)
本実施の形態において実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なる主な点は、検出部4が異常を検出した際に外部に異常が発生したことを報知するようにした点である。
【0063】
図7において、配電盤等の外部機器19と溶接電源装置10との間には、外部機器19から溶接電源装置10への電力の供給や遮断を行う遮断器22が設けられている。
【0064】
また、溶接電源装置10には、検出部4からの信号を受けて、有線あるいは無線で遮断器22と通信を行う通信部27が設けられている。なお、図示していないが、遮断器22にも、通信部27と通信を行うための通信部が設けられている。
【0065】
遮断器22を介して外部機器19から溶接電源装置10に電力が供給されている際に、検出部4が炎を検出すると、消火装置3を動作させる共に、通信部27を介して遮断器22へ例えば赤外線無線信号を送る。この信号を受信した遮断器22は、外部機器19から受電部2への電力供給を遮断する。
【0066】
このように、炎が発生した場合、検出部4から信号に基づいて遮断器22が外部機器19から溶接電源装置10への電力の供給を遮断することで、より即急かつ確実に災を消火することができる。
【0067】
なお、上記では、外部へ異常を報知する報知部として通信部27を設けた例を示したが、これに限るものではない。例えば、溶接電源装置10に検出部4からの信号に基づいて音を発する図示しない音発生部を設け、異常が発生したことを外部へ報知するようにしても良い。あるいは、溶接電源装置10に検出部4からの信号に基づいて発光する図示しない発光部を設け、異常が発生したことを外部へ報知するようにしても良い。
【0068】
このように、異常が発生したことを音や発光で外部に報知することにより、異常が発生したことを周辺の作業者に報知することができ、作業者による消火活動を促すことができ、より火災の被害を小さくすることができる。特に、消火装置3が破損している場合や、消火装置3が設置されていない場合でも、災の被害を最小限に食い止めることができる。
【0069】
(実施の形態3)
本実施の形態において実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なる主な点は、溶接電源装置10に検出部を複数設けた点である。
【0070】
図8において、溶接電源装置10の内部に検出部4と検出部24aと検出部24bを設けており、異常使用の場合等に災の発生する可能性が高いと考えられる受電部2の近傍と、リアクタ16の近傍と、変圧器14の近傍に、検出部4,検出部24a,検出部24bを配置した例を示している。
【0071】
このように、災が発生する可能性が高いと考えられる複数の箇所に検出部4,検出部24a,検出部24bを配置することで、より即急に、災の発生を検出できる可能性が高くなる。そして、検出部の近傍で災が発生した場合、即急に災の消火を行うことで、被害を最小限にとどめることができる。
【0072】
また、複数の検出部を配置することで、いずれかの検出部が破損したような場合でも、他の検出部が災の検出を行うことで、正常に災を検出することができる。
【0073】
また、複数の検出部を配置し、複数の検出信号を合成することで、災の誤検出を防ぐことができる。例えば、図8において、検出部4は災の検出無し、検出部24aは災の検出有あり、検出部24bは災の有り、と検出した場合に、検出部4の故障の可能性を疑うことができる。この場合、複数の検出部のうち、1つの検出部が災を検出すれば、災が発生していると判定してもよいし、複数の検出部の検出結果の多数決を採択して判定するようにしてもよい。
【0074】
ただし、充分な数の検出部が配置されないかぎりは、多数決方式を採択するよりも、複数の検出部のうち1つでも災を検出したら、災を検出したと判定する方が望ましい。
【0075】
(実施の形態4)
本実施の形態において実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なる主な点は、溶接電源装置10に消火装置を複数設けた点である。
【0076】
図9において、溶接電源装置10の内部に消火装置3と消火装置23aと消火装置23bを設けており、異常使用の場合等に災の発生する可能性が高いと考えられる受電部2の近傍と、リアクタ16の近傍と、変圧器14の近傍に、消火装置3と消火装置23aと消火装置23bを配置した例を示している。
【0077】
このように、災が発生する可能性が高いと考えられる複数の箇所に消火装置3と消火装置23aと消火装置23aを配置することで、より即急に、災の消火を行う可能性が高くなる。そして、消火装置の近傍で災が発生した場合、即急に災の消火を行うことで、被害を最小限にとどめることができる。
【0078】
また、複数の消火装置を配置することで、いずれかの消火装置が破損したような場合でも、他の消火装置が災の消火を行うことで、より確実に消火することができる。
【0079】
なお、上記の実施の形態1に実施の形態2から4を各々組み合わせた構成としてもよいし、実施の形態1に実施の形態2から4を複数組み合わせた構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の電源装置は、異常使用等により電源装置内で炎が発生していまった場合でも、炎の検出と消火を行って被害を抑制することができ、工場等で使用される電源装置として産業上有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 筐体
2 受電部
3 消火装置
4 検出部
5 面板
6a,6b,6c 面板
7 仕切り部材
8 第1の領域
9 第2の領域
10 溶接電源装置
11 整流素子
12 平滑コンデンサ
13 スイッチング素子
14 変圧器
15 整流素子
16 リアクタ
17 制御部
18 冷却ファン
19 外部機器
20a,20b 出力端子
21 検出部付消火装置
22 遮断器
23a,23b 消火装置
24a,24b 検出部
25 溶接トーチ
26 ワーク
27 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から受電して動作を行う電源装置であって、
前記電源装置を構成する筐体と、
前記筐体を構成する複数の面板のうち1つの面板に設けられ前記外部機器から受電するための受電部と、
前記筐体の内部または外側表面に設けられた消火装置と
を備えた電源装置。
【請求項2】
外部機器から受電して動作を行う電源装置であって、
前記電源装置を構成する筐体と、
前記筐体の内部を第1の領域と第2の領域に分割する仕切り部材と、
前記筐体を構成する複数の面板のうち1つの面板の前記第1の領域に面する位置に設けられ前記外部機器から受電するための受電部と、
前記第1の領域内に設けられた消火装置と
を備えた電源装置。
【請求項3】
第1の領域は筐体の外部と空気の流通が可能な非防塵領域であり、
第2の領域は前記筐体の外部との空気の流通が抑制された防塵領域である
請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
筐体を構成する面板のうち受電部を取り付けた面板に消火装置を設けた請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
筐体の内部または外側表面に設けられた温度あるいは煙を検出する検出部を備え、
消火装置は前記検出部の検出結果が所定値を越えた場合に動作する請求項1から4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
消火装置と検出部とを一体構成とした請求項5記載の電源装置。
【請求項7】
電源装置は筐体内部に少なくともスイッチング素子や整流素子や変圧器を備えており、溶接電源装置としての機能を有する請求項1から6のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
検出部の検出結果が所定値を越えた場合に、電源装置の外部に異常を報知する報知部を備えた請求項5から7のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項9】
検出部を複数設けた請求項5から8のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項10】
消火装置を複数設けた請求項1から9のいずれか1項に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−16134(P2011−16134A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160346(P2009−160346)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】