説明

電界効果型センサ2線相互接続方法および装置

電界効果型センサは、2本の線を用いて電源および検出回路と連動する。検出回路は、所定の時間に数個の並列接続された電界効果型センサのどれが起動され、あるいは起動されないかを判定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は2003年4月22日に出願された米国仮特許出願第60/464,613号に基づく優先権を主張するものであり、その出願の内容をここに援用する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、2本の線のみを用いて電界効果型センサを制御システムおよび被制御装置と相互接続するための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
2.従来技術
機械的スィッチは、とりわけ機械部品の位置の変化あるいは流体のレベルの変化を検出するために時々使用されている。そのような用法は、特に自動車の分野において普及している。例えば、機械的スィッチは、スロットル位置およびウィンドウ・シールド・ウォッシャ液レベルなどのパラメータを検知するために、長い間使用されてきている。
【0004】
機械的スィッチは、何年にもわたって広範囲に改良がなされてきたが、可動部品を含んでいるため、本質的に故障しがちな面を持っている。さらに、そのようなスィッチは、度々、これもまた本質的に故障しがちであって、コスト、重量、そして複雑さをもつけ加えることになる機械的リンク機構と接続して用いられる。
【0005】
電界効果型センサは、数多くの用途において、機械的スィッチの交換部品として使用されてきた。実際に、電界効果型センサは、機械部品あるいは液体の近接を検知するために使用され得る。電界効果型センサは、機械的スィッチを凌ぐ多くの利点を有する。例えば、電界効果型センサは磨耗したり、あるいは壊れたりする可動部品を持たない。また、電界効果型センサは、安価に大量生産され、機械的スィッチを容易には収容することができない用途に対する使用に対してもカスタマイズして製作することができる。
【0006】
最も単純な形体の機械的スィッチは、電気回路を機械的に接続あるいは断路する二線式(入力および出力)装置である。機械的スィッチは機械力を用いて動作し、その動作に電力を必要としない。逆に、電界効果型センサは、その動作に電力を必要とする固体装置である。したがって、電界効果型センサは、典型的には、機械的スィッチが必要とする以上に、少なくとも1本多くの線を必要とする。そのように、公知の電界効果型センサは、典型的には、それが設置される装置に何らかの変形を加えることなく、機械的スィッチのドロップイン交換部品として使用することはできない。
【実施例】
【0007】
図示実施例の詳細な説明
図1は、本発明の第1の好適な実施例を示している。この実施例においては、第1、第2および第3の電界効果型センサS1、S2、S3が2本の線12、14によっていもずる構成(daisy chain configuration)で電源10に接続されている。好ましくは、センサS1、S2、S3は、イリノイ州ウィートン市のタッチセンサ・テクノロジーズ、LLC社(TouchSensor Technologies, LLC)から出されているTS100集積制御回路を用いて、電界効果型センサとして実現される。対応の負荷抵抗LR1、LR2、LR3は、それぞれ各センサS1、S2、S3の出力に接続されている。各負荷抵抗LR1、LR2、LR3は、独自の抵抗値を持つ。他の実施例では、3個のセンサおよび対応の負荷抵抗より多くのまたは少ないものを使用しても良い。検出回路18は、センサS1、S2、S3によって引き出される電流を検知する。図示の実施例では、検出回路18は、電源10とセンサS1、S2、S3の間に感知抵抗16を有する。検出回路18は、感知抵抗16にかかる電圧降下を検知し、出力ラインVoutを適切なデコーディング回路、例えば、当業者に知られているようなアナログ・ディジタル変換器に与える。検出回路18の設計は、本発明にとってクリティカルではない。図1に示された設計は、説明のためのものであり、設計変更でき、当業者にとって知られている、他の設計によって代替できる。
【0008】
センサS1、S2、S3のいずれもが作動されていないとき、センサS1、S2、S3は、電源10から基線電流(baseline current)を引き出す。この基線電流は、感知抵抗16にかかる電圧降下として、または当業者に知られている他の適切な方法で検出される。典型的には、この基線電流は無視でき、その結果、感知抵抗16に無視できる電圧降下を生成する。
【0009】
物体すなわち流体の接触または近接によって、センサS1、S2、S3のいずれかが作動させられると、センサ作動に応答して電源10から付加電流が引き出される。この付加電流は、作動したセンサ出力に接続された負荷抵抗値の関数である。各負荷抵抗は独自の抵抗値を持っているので、この付加電流は、センサS1、S2、S3のどれが作動させられたかによって変化する。この付加電流は、感知抵抗16にかかる付加電圧降下として、または当業者に知られているような他の適切な方法で、検出される。
【0010】
基線電流(または感知抵抗16にかかる対応電圧降下)およびそれの変化を監視することによって、特定の時間にセンサS1、S2、S3のどのセンサが起動されたかを、容易に判定できる。実際、負荷抵抗LR1、LR2、LR3は、同時に起動されるセンサS1、S2、S3の各独自組み合わせに対して、独自の付加電流が引き出されるように選択される。したがって、もしあれば、特定の時間にセンサS1、S2、S3のどの組み合わせが起動されたかが、容易に判定され得る。
【0011】
例えば、図1は、定格5ボルトの電源10、125オームの感知抵抗16およびそれぞれ1.25キロオーム、2.5キロオーム、および5キロオームの負荷抵抗LR1、LR2、およびLR3を有する実施例を表わしている。これらの特定の値は、ここでの説明のために与えられたものであり、当業者にとって知られているようにして特定用途の要求に適合するように変更できる。上述の如く、センサS1、S2、S3のいずれも起動されていないとき、無視できる電流がそれらのセンサに電力を与えるために必要とされる。したがって、センサS1、S2、S3のいずれも起動されていないとき、感知抵抗16にかかる電圧降下は無視でき、検出回路18の出力Voutは、0ボルトである。センサS3が起動され、センサS1およびS2が起動されていない場合、感知抵抗16を流れる電流は、負荷抵抗LR3を流れる抵抗に実質的に等しく、対応する電圧降下を感知抵抗16に発生させる。この電圧降下に基づいて、検出回路18は0.714ボルトの信号Voutを出力する。この出力電圧に基づいて、デコーディング回路(図示せず)は、センサS1およびS2ではなく、センサS3が起動されたに違いないことを判定する。同様に、センサS1およびS2が起動され、センサS3が起動されていない場合、感知抵抗を流れる電流は、負荷抵抗LR1およびLR2を流れる電流の合計に実質的に等しく、対応する電圧降下を感知抵抗16に発生させる。この電圧降下に基づいて、検出回路18は4.28ボルトの信号Voutを出力する。この出力電圧に基づいて、デコーディング回路(図示せず)は、センサS3ではなく、センサS1およびS2が起動されたに違いないことを判定する。図1に示された表は、任意の時間に起動されたセンサの独自の組み合わせに対して、それぞれ独自の出力Voutが発生されることを表わしている。任意の特定の時間におけるVoutの値に基づいて、デコーディング回路は、どの個別のセンサあるいはどのセンサの組み合わせがその時間に起動されたかを判定する。
【0012】
図2Aおよび図2Bは、本発明の第2の実施例を示す。この実施例においては、電界効果型センサ用の一時的局所電源(local power supply:ローカル電源)としてコンデンサが用いられている。図2Aを参照する。電界効果型センサ100の電源入力102は、分離ダイオード(isolation diode)110を介して、線108によってパルス発生器および検出回路に接続されている。好適な実施例においては、それらパルス発生器および検出回路は、線108が接続される再構成可能ポート(reconfigurable port)104を有するマイクロコンピュータ106として実現される。電界効果型センサ100の出力112は、FET116および切換抵抗114を介してポート104と接続されている。ポート104は、以下に説明されるように、入力ポートおよび出力ポートとして選択的に機能する。コンデンサ117は、アース(ground)とノード結合ダイオード110およびセンサ100の電源入力102の間に接続されている。プルダウン抵抗118は、アースとノード結合センサ100の出力112とFET116のゲートの間に接続されている。プルアップ抵抗120の第1の端子は、この例では5ボルト電源である電位源に接続されている。プルアップ抵抗120の第2の端子は、線108に接続されている。プルアップ抵抗120はマイクロコンピュータ106から分離している個別部品として示されている。代替案として、当業者にとって知られているようにして、プルアップ抵抗120は、マイクロコンピュータ106と一体化しても良く、さもなければ、その機能をマイクロコンピュータ106によって与えても良い。
【0013】
ポート104が出力ポートとして構成された状態で、マイクロコンピュータ106は、ポート104を介して線108上に、さらに分離ダイオード110を介して、パルスを出力する。このパルスはセンサ100に給電し、コンデンサ117を充電する。続いて起きるパルスがない状態では、コンデンサ117に蓄えられたエネルギーがセンサ100を短時間給電する。この時間の間、ポート104が入力ポートとして構成された状態で、マイクロコンピュータ106は線108からのデータを読み取ることができる。
【0014】
センサ100が起動されていないとき、センサ100の出力112は低レベルであり、FET116は「オフ」状態にある。この状態では、FET116を介して電流が流れない。したがって、線108の電位は5Vにある。(ポート104が入力ポートとして構成されている間に)マイクロコンピュータ106はポート104を介してこの電圧を感知し、感知電圧に基づいて、センサ100が起動されていない状態にあることを判定する。
【0015】
センサ100が起動されると、センサ100の出力112は、高レベルになり、FET116を「オン」状態に切り換える(switching)。この状態では、電流が5V電源からFET116を介してアースへ流れる。プルアップ抵抗120および切換抵抗(switched resistor)114は分圧器として機能する。ここでは、これら2つの抵抗間のノードにおける電圧は、0Vから5Vの間にある。(ポート104が入力ポートとして構成されている間に)マイクロコンピュータ106はポート104を介してこの電圧を感知し、その感知電圧に基づいて、センサ100が起動状態にあることを判定する。
【0016】
図2Bを参照する。本発明のこの実施例の原理は、1つのパルス発生器および検出回路を用いて、多重センサ100を動作させ、読み出すために適用される。図2Bは第2のセンサ100’と、線108およびポート104を介してマイクロコンピュータ106に接続された対応の回路網(すなわち、センサ入力102’、センサ出力112’、コンデンサ117’、ダイオード110’、FET116’、切換抵抗114’、およびプルダウン抵抗118’)を表わしているという点において、図2Bは図2Aと異なっている。センサ100’に対応する回路網は、切換抵抗114および114’が異なる抵抗値を持つということを除いて、一般的にセンサ100に対応する回路網と同一である。したがって、センサ100が起動され、センサ100’が起動されていないとき、第1の電圧が、プルアップ抵抗120と切換抵抗114および114’の間のノードに現れる。この第1の電圧の値に基づいて、マイクロコンピュータ106はセンサ100が起動された状態にあって、センサ100’が起動されていない状態にあることを判定する。同様に、センサ100’が起動され、センサ100が起動されていないとき、第2の電圧が、プルアップ抵抗120と切換抵抗114および114’の間のノードに現れる。この第2の電圧の値に基づいて、マイクロコンピュータ106はセンサ100’が起動された状態にあって、センサ100が起動されていない状態にあることを判定する。同様に、センサ100およびセンサ100’の両方が起動されると、第3の電圧が、プルアップ抵抗120と切換抵抗114および114’の間のノードに現れる。この第3の電圧の値に基づいて、マイクロコンピュータ106はセンサ100およびセンサ100’の両方が起動された状態にあることを判定する。当業者にとって知られているようにして、さらなるセンサおよび対応する回路網が線108に接続され、この方法で作動され、読み出される。
【0017】
図3は本発明の第3の実施例を示す。この実施例では、センサ200の電源入力202が、パルス発生器および検出回路に、例えば、線208を介してマイクロコンピュータ206に接続されている。また、センサ200の出力212は、FET216および負荷抵抗214を介して線208に接続されている。プルダウン抵抗218は、アースとノード結合センサの出力212とFET216のゲートの間に接続されている。プルアップ抵抗220の第1の端子は、電圧源、例えば5V電源に接続され、プルアップ抵抗220の第2の端子は線208に接続されている。負荷抵抗214およびプルアップ抵抗220は、それぞれ好ましくは、約100オームの値を有する。図2Aおよび図2Bにおけるように、プルアップ抵抗220は、マイクロコンピュータ206と分離されている個別部品として示されている。代替案として、当業者にとって知られているようにして、プルアップ抵抗220は、マイクロコンピュータ206と一体化しても良く、さもなければ、その機能をマイクロコンピュータ206によって与えても良い。
【0018】
センサ200が起動されないとき、出力212は低レベルにある。したがって、FET216は「オフ」状態にある。この状態では、マイクロコンピュータ206から与えられる全電圧がセンサ200に印加される。センサ200が起動されると、出力212は高レベルになり、トランジスタ216を「オン」状態に切り換える。この状態では、プルアップ抵抗220および負荷抵抗214が分圧器を形成し、センサ200に印加される電圧は、負荷抵抗214にかかる電圧降下と実質的に等しい。マイクロコンピュータ206は、センサ200に印加される電圧を検知し、センサ200が起動されているか否かを判定する。
【0019】
代替実施例として、センサ200が起動されているか否かを検出するために、プルアップ抵抗220を取り除き、および/若しくは電流検知技術を使用することができる。上述の如く、センサ200が起動されていないとき、FET216は「オフ」状態にあり、線208を流れる電流のみが、センサ200を給電するために必要な無視できる電流である。マイクロコンピュータ206はこの状態を、開接点を持つ機械的スィッチと同じように、開路として認識する。センサ200が起動されると、トランジスタ216は「オン」状態になり、負荷抵抗214を介する電流を与える。マイクロコンピュータ206は、その増大電流を検出し、センサ200が起動されたことを判定する。実際に、負荷抵抗が、例えば100オームのように十分に低い抵抗値を持つように選択される場合、マイクロコンピュータ206は負荷抵抗214を流れる電流を、閉接点を持つ機械的スィッチと同じように、完全短絡として認識する。
【0020】
図4は、本発明の第4の実施例を示す。この実施例では、バッテリ320がセンサ300に給電している。センサ300の出力312は、FET316のゲートおよびプルダウン抵抗318に接続される。センサ300が起動されていないとき、出力312は低レベルにあり、FET316は、開接点を持つ機械的スィッチのように、「オフ」状態にある。センサ300が起動されると、出力312が高レベル状態になり、閉接点を持つ機械的スィッチのように、FET316を「オン」状態に切り換える。バッテリ320を備えたセンサ300は、機械的スィッチに設けられる配線より多くの配線を必要としないので、機械的スィッチに換えてドロップ(drop)として使用できる。センサ入出力は、以前機械的スィッチが接続されていたものと同じ線に簡単に接続することができる。
【0021】
本発明の幾つかの実施例について図示して説明してきたが、本発明の精神から逸脱しない限り、幾多の変形が成され得ることは、当業者にとって自明である。本発明の範囲は以下の請求項によって画定される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例を概略的に示している。
【図2】図2は、本発明の第2の実施例を概略的に示している。
【図3】図3は、本発明の第3の実施例を概略的に示している。
【図4】図4は、本発明の第4の実施例を概略的に示している。
【図5】図5は、本発明の一応用例を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の線で複数個の電界効果型センサに給電するとともにそれらからデータを読み出すための装置であって、
電源と、
前記電源の第1の端子に接続された第1の電力端子、および前記電源の第2の端子に接続された第2の電力端子を有する第1の電界効果型センサと、
前記第1の電界効果型センサの出力端子に接続された第1の端子、および前記電源の前記第2の端子に接続された第2の端子を有する1の負荷抵抗と、
前記電源の第1の端子に接続された第1の電力端子、および前記電源の第2の端子に接続された第2の電力端子を有する第2の電界効果型センサと
前記第2の電界効果型センサの出力端子に接続された第1の端子、および前記電源の前記第2の端子に接続された第2の端子を有する第2の負荷抵抗と、
前記第1および第2の電界効果型センサの状態を判定するための手段、
を備えていることを特徴とする前記装置。
【請求項2】
2本の線で電界効果型センサに給電するとともにそれからデータを読み出すための装置であって、
入力ポートおよび出力ポートとして選択的に構成できるポートを有するマイクロコンピュータと、
第1の電力端子および出力端子を有する電界効果型センサと、
前記ポートに接続された前記電界効果型センサの前記第1の電力端子と、
前記電界効果型センサの前記第1の電力端子および前記ポートの間に接続されたダイオードと、
前記電界効果型センサの前記第1の電力端子に接続されたコンデンサと、
前記ポートに接続された電力端子を有するトランジスタと、
前記トランジスタの制御端子に接続された前記電界効果型センサの前記出力端子、
から構成されることを特徴とする前記装置。
【請求項3】
2本の線で電界効果型センサに給電するとともにそれからデータを読み出すための装置であって、
出力ポートを有するマイクロコンピュータと、
第1の電力端子および出力端子を有する電界効果型センサと、
前記出力ポートに接続された前記電界効果型センサの前記第1の電力端子と、
前記ポートに接続された電力端子を有するトランジスタと、
前記トランジスタの前記電力端子および前記ポートの間に接続された負荷抵抗と、
前記トランジスタの制御端子に接続された前記電界効果型センサの前記出力端子、
から構成されることを特徴とする前記装置。
【請求項4】
2本の線で電界効果型センサに給電するとともにそれからデータを読み出すための装置であって、
第1の電力端子および出力端子を有する電界効果型センサと、
前記電界効果型センサの前記第1の電力端子に接続されたバッテリ、
から構成されることを特徴とする前記装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−524423(P2006−524423A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513219(P2006−513219)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/012426
【国際公開番号】WO2004/095388
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505287047)タッチセンサー テクノロジーズ,エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】