説明

電着塗装用マスキング治具の着脱装置

【課題】カバー部材に多数のボルト孔が形成された場合においても、多数のボルト孔と同数の磁力式マスキング治具を一度に着脱することができる電着塗装用マスキング治具の着脱装置を提供する。
【解決手段】磁力式マスキング治具に対応する固定クランプと可動クランプとを有するパレット31と、パレット31を循環移送する第1、第2の移送コンベア50、55とを備える。第1の移送コンベア50側には、可動クランプをアンクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間の複数個のマスキング治具を解放するクランプ作動機構60が配置される。第2の移送コンベア55側には、可動クランプをクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間に複数個のマスキング治具を拘束するクランプ作動機構60が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電着塗装用マスキング治具の着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電着塗装(カチオン電着塗装又はアニオン電着塗装)によって表面に絶縁塗膜が施された金属製のカバー部材を有するインバータケースやコンバータケースにおいては、電気部品を収容し、内部において電圧の昇圧機能や電流の整流機能を果たすようになっている。このため、ケース内では常に発生しつづけている電流が充満し、ケース周辺で静電気が生じ易くなる。これを防止するためには充満した電流を逃がす必要があり、これをカバー部材のボデーアースによって対処している。
また、従来、金属製のカバー部材の表面のボルト孔の周囲に非塗装部を設けるために、耐熱シリコーンゴムからなるマスキング部材(治具)を使用することが知られている。
このマスキング部材は、ボルト孔に差し込むアンカー部と、ボルト孔の周囲に接触するシール部とを有する。そして、カバー部材の電着塗装に先立ってカバー部材を回転式の作業テーブルにセットし、この作業テーブルを回転させながらマスキング部材のアンカー部を個々のボルト孔に順次差し込み、反対側からアンカー部の端部をプライヤーなどの工具によって引っ張る。
これにより、シール部をボルト孔の周囲に密着させて装着した状態でカバー部材をハンガーに吊り下げて洗浄レーンに移送する。
洗浄レーン内には、洗浄液の噴出口を有する洗浄ノズルパイプが配置され、洗浄液貯留槽から洗浄液が洗浄ノズルパイプに供給される。そして、洗浄ノズルパイプの噴出口から洗浄液をカバー部材に吹き付けてカバー部材を洗浄する。
また、洗浄レーンの床面には洗浄液回収口が設けられ、この洗浄液回収口から洗浄液を回収して洗浄液貯留槽に戻すようにしているのが一般的である。
洗浄レーンにおいて洗浄されたカバー部材は、電着塗装ラインにおいて電着塗装された後、乾燥ライン(焼付ライン)で乾燥処理(焼付処理)される。
その後、カバー部材を再び作業テーブルにセットし、作業テーブルを回転させながら各マスキング部材を個々のボルト孔から順次取り外すようにしていた。
すなわち、従来においては、カバー部材の複数個のボルト孔に対し、プライヤーなどの工具を用いてマスキング部材を一つずつ着脱しなければならず、その着脱作業が厄介であり、多くの手間と時間が必要となる。
【0003】
カバー部材の複数個のボルト孔に対するマスキング部材の着脱を容易化するために、マスキング冶具を自身の磁力によってカバー部材の一側面に吸着するように構成した磁力式マスキング冶具が開発されている。
なお、カバー部材の表面に電着塗装によって絶縁塗膜を施す際に、カバー部材の一側面のボルト孔の周囲をマスキングし、このマスキング部に非塗装部を設ける点については、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−327991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自身の磁力によってカバー部材の一側面のボルト孔の周囲に吸着するように構成した磁力式マスキング冶具を用いることによって、従来と比べ、カバー部材の複数個のボルト孔に対するマスキング治具の着脱が容易となる。
しかしながら、カバー部材に数多くのボルト孔が形成され、これらボルト孔に対応する数の磁力式マスキング治具を着脱する場合には、多くの手間が必要となる。
【0006】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、カバー部材に多数のボルト孔が形成された場合においても、これら多数のボルト孔と同数の磁力式マスキング治具を一度に着脱することができる電着塗装用マスキング治具の着脱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明の請求項1に係る電着塗装用マスキング治具の着脱装置は、複数個のボルト孔を有する金属製のカバー部材を電着塗装する前に、前記カバー部材の一側面に前記ボルト孔の周囲に非塗装部を設けるための磁力式マスキング冶具を装着し、その後、カバー部材を電着塗装した後、前記カバー部材から前記磁力式マスキング冶具を取り外す電着塗装用マスキング治具の着脱装置であって、
前記カバー部材の複数個のボルト孔に対応する位置に磁力式マスキング治具をクランプ、アンクランプ動作可能に保持する固定クランプと可動クランプとを有するパレットと、
前記パレットを移送するために対向状に配置された第1、第2の移送コンベアとを備え、
前記第1、第2の移送コンベアの両端部寄り部分には、前記第1の移送コンベアの一端側から他端側まで移送されたパレットを前記第2の移送コンベアの他端側へ載せ替える載替機構と、前記第2の移送コンベアの他端側から一端側まで移送されたパレットを前記第1の移送コンベアの一端側へ載せ替える載替機構とが配置されることで、前記パレットを循環移送可能に構成し、
前記第1の移送コンベア側には、クランプ状態にある可動クランプをアンクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間の複数個のマスキング治具を解放するクランプ作動機構が配置され、
前記第2の移送コンベア側には、アンクランプ位置にある可動クランプをクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間に複数個のマスキング治具を拘束するクランプ作動機構が配置されていることを特徴とする。
【0008】
前記構成によると、第1の移送コンベアの移送面の一端側から他端側に移送されたパッキンは、載替機構によって第2の移送コンベアの他端側へ載せ替えられる。
また、第2の移送コンベアの他端側に載せ替えられたパレットは、第2の移送コンベアの他端側から一端側まで移送される。その後、パレットは、載替機構によって第1の移送コンベアの一端側へ載せ替えられる。このようにして、第1、第2の移送コンベアによってパレットが循環移送される。
さて、カバー部材に複数(多数)のボルト孔の周囲にマスキング治具を装着する場合、第1の移送コンベア上に配置されたパレットにおいて、固定クランプと可動クランプとの間に複数個のマスキング治具がクランプ状態で配置される。
この状態で、パレットの複数個のマスキング治具とカバー部材の複数のボルト孔とを合致させてカバー部材を載置する。
その後、クランプ作動機構によってクランプ状態にある可動クランプをアンクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間の複数個のマスキング治具を解放する。
ここで、パレットに対しカバー部材を上方へ離反させることで、このカバー部材と共に、各マスキング治具が自身の磁力によってカバー部材の一側面の複数(多数)のボルト孔の周囲に吸着された状態でパレットから離反される。
このようにして、カバー部材の一側の各ボルト孔の周囲にマスキング治具を装着することができるため、カバー部材に多数のボルト孔が形成された場合においても、これら多数のボルト孔と同数の磁力式マスキング治具を一度に容易に装着することができる。
その後、カバー部材が電着塗装される。
カバー部材が電着塗装された後、カバー部材に複数(多数)のボルト孔の周囲に装着されたマスキング治具を取り外す場合、第2の移送コンベア上に配置されたパレットにおいて、固定クランプとアンクランプ状態にある可動クランプとの間に、カバー部材の複数個のマスキング治具を挿入し、パレット上に塗装済みのカバー部材を載置する。
その後、クランプ作動機構によってアンクランプ状態にある可動クランプをクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間の複数個のマスキング治具を拘束する。
この状態で、パレットに対しカバー部材を上方へ離反させることで、各マスキング治具がパレットの固定クランプと可動クランプとの間に拘束されて保持され、これによって、カバー部材から各マスキング治具が取り外される。
前記したように、カバー部材の一側の各ボルト孔の周囲に対しマスキング治具を装着したり取り外すことができるため、カバー部材に多数のボルト孔が形成された場合においても、これら多数のボルト孔と同数の磁力式マスキング治具を一度に容易に着脱することができる。
【0009】
請求項2に係る電着塗装用マスキング治具の着脱装置は、請求項1に記載の電着塗装用マスキング治具の着脱装置であって、
第1の移送コンベアのパレット移送面の下方には、クランプ状態にある可動クランプをアンクランプ位置まで移動した後にカバー部材を所定高さの突上位置まで突き上げるワーク突上機構が配置され、
第2の移送コンベアのパレット移送面の下方には、アンクランプ位置にある可動クランプをクランプ位置まで移動した後にカバー部材を所定高さの突上位置まで突き上げるワーク突上機構が配置されていることを特徴とする。
【0010】
前記構成によると、第1の移送コンベアにおいて、パレットに対しカバー部材と共に、各マスキング治具を上方へ離反させる際、ワーク突上機構によって、カバー部材と共に、各マスキング治具を所定高さの突上位置まで突き上げることができる。
また、第2の移送コンベアにおいて、パレットに対し塗装済みのカバー部材を上方へ離反させる際、ワーク突上機構によって、塗装済みのカバー部材を所定高さの突上位置まで突き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施例1に係る電着塗装用マスキング治具の着脱装置に対応するカバー部材の複数個のボルト孔に磁力式マスキング治具を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図2】同じくカバー部材のボルト孔に磁力式マスキング治具を取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】同じくカバー部材を電着塗装した状態を示す断面図である。
【図4】この発明の実施例1に係る電着塗装用マスキング治具の着脱装置におけるパレットを示す平面図である。
【図5】同じくパレットの固定クランプに対し可動クランプがクランプ位置に配置された状態を示す図4のV−V線に基づく側断面図である。
【図6】同じくパレットの固定クランプに対し可動クランプがアンクランプ位置に配置された状態を示す側断面図である。
【図7】同じく電着塗装用マスキング治具の着脱装置における第1、第2の移送コンベアを示す平面図である。
【図8】同じく移送コンベアを示す図7のVIII−VIII線に基づく側断面図である。
【図9】同じくパレットの載替機構を示す図7のIX−IX線に基づく断面図である。
【図10】同じく載替機構によって第1の移送コンベアのパレットが第2の移送コンベア上に載せ替えられた状態を示す説明図である。
【図11】同じく第1の移送コンベアのパレット上にカバー部材が載置され固定クランプに対し可動クランプがアンクランプ位置まで移動された状態を示す図7のXI−XI線に基づく断面図である。
【図12】同じく固定クランプに対し可動クランプがアンクランプ位置に移動された状態でワーク突上機構によってカバー部材が所定高さの突き上げ位置まで突き上げられた状態を示す説明図である。
【図13】同じく突き上げ位置まで突き上げられたカバー部材が受け機構によって受けられた状態を示す説明図である。
【図14】同じく第2の移送コンベアのパレットの固定クランプに対し可動クランプがアンクランプ位置に配置された状態でパレット上に塗装済みのカバー部材が載置された後、クランプ作動機構によって可動クランプがクランプ位置に配置された状態を示す図7のXIV−XIV線に基づく断面図である。
【図15】同じく固定クランプに対し可動クランプがクランプ位置に移動された状態でワーク突上機構によって塗装済みのカバー部材が所定高さの突き上げ位置まで突き上げられた状態を示す説明図である。
【図16】同じく突き上げ位置まで突き上げられた塗装済みのカバー部材が受け機構によって受けられた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための最良の形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0013】
以下、この発明の実施例1に係る電着塗装用洗浄液循環装置を図面にしたがって説明する。
図1〜図3に示すように、インバータケースあるいはコンバータケースなどの金属製(主として鉄板製)のカバー部材1の表面に電着塗装(カチオン電着塗装又はアニオン電着塗装)によって絶縁塗膜を施す前に、カバー部材1のフランジ部2に形成された複数個(多数個)のボルト孔3の周囲の所定領域をマスキングし、このマスキング領域6aに非塗装部6を設けるためにカバー部材1の複数のボルト孔3に各磁力式マスキング治具10が自身の磁力によって吸着(装着)される。
【0014】
図2に示すように、磁力式マスキング治具10は、ホルダ11と、キャップ12と、永久磁石20と、ガイドピン25とを備えている。
ホルダ11は、耐熱性及び絶縁性を有する合成樹脂材(例えば、300℃前後の熱に耐え得る46ナイロン)により有底筒状に形成されている。
また、ホルダ11の底板部の外面(下面)には締付ねじ28の頭部が突出することなく収納される大きさ並びに深さをもつ凹部が形成され、この凹部の中心部には、ガイドピン25の軸部の先端部が嵌挿される貫通孔が形成されている。
【0015】
図2に示すように、ホルダ11内に収納される永久磁石20は、耐熱性の永久磁石によって形成され、中心部には中心孔21が貫設されている。例えば、永久磁石20としてサーマルコバルトマグネットと呼ばれている超強力永久磁石を用いることが望ましい。
また、永久磁石20は、その外径寸法がホルダ11の内径寸法と同じ又は若干小さく形成され、長さ寸法がホルダ11の収納部の深さ寸法と同等に設定されている。
キャップ12は、ホルダ11の筒状部の外周面に圧入されて嵌込まれてホルダ11の開口部を密閉状に覆蓋する。このキャップ12は、耐熱性、絶縁性及び弾性を有するシリコーン、発泡エプトシーラ(フッ素ゴムの発泡材)等の弾性体よりなり、マスキング用蓋板部30aとシール筒部30bとを一体に有して有蓋筒状に形成されている。
また、マスキング用蓋板部30aの表面には、カバー部材1のフランジ部2のボルト孔3の周囲のマスキング領域6aに非塗装部6を設ける大きさの円形状のマスキング面が形成されると共に、そのマスキング面の周縁部には、所定の傾斜角度をもって外周縁に向けて下傾する段差部が形成されている。
さらに、キャップ12の蓋板部の中心部にはガイドピン25の軸部が嵌挿される貫通孔が形成されている。
【0016】
図2に示すように、ガイドピン25は、耐熱性及び絶縁性を有する合成樹脂材、例えば、300℃前後の熱に耐え得る46ナイロンによって形成されると共に、永久磁石20の中心孔21に移動可能に挿通される軸部と、この軸部の先端に設けられ、かつカバー部材1のボルト孔3に嵌挿される大径の頭部26とを一体状に有している。
また、この実施例1において、ガイドピン25の頭部26は、カバー部材1のボルト孔3の内周面に当接可能な接触点を外周面の複数箇所に有して非円形されている。例えば、ガイドピン25の頭部26は略三角形(楕円形、長円形、四角形等でもよい)に形成され、頭部26とボルト孔3の内周面との間に隙間を設定するようになっている。
【0017】
また、ガイドピン25の軸部先端面の中心部には、ねじ孔が形成されている。そして、ホルダ11の内部に永久磁石20が収納され、ホルダ11にキャップ12が圧入された状態で、キャップ12の蓋板部の貫通孔を通してガイドピン25の軸部が挿通され、その軸部の先端部がホルダ11の底板部の貫通孔に嵌合される。この状態で、軸部の先端面のねじ孔に、耐熱性、絶縁性を有する硬質樹脂製の締付ねじ28が、パッキン29及び座板28aを挟んでねじ込まれることによって、ホルダ11、永久磁石20、ガイドピン25及びキャップ12が相互に組み付けられ、これによって磁力式マスキング治具10が構成される。
ホルダ11の底板部と締付ねじ28の座板28aとの間に介在されるパッキン29は、耐熱性、絶縁性及び弾性を有するシリコーン、発泡エプトシーラ(フッ素ゴムの発泡材)等の弾性体よりなり、締付ねじ28の座板28aは締付ねじ28の頭部61に一体に形成されてもよく、又締付ねじ28とは別体で耐熱性、絶縁性を有する硬質樹脂材によって形成されてもよい。
なお、磁力式マスキング治具10は、カバー部材1の面精度やボルト孔3の孔径等に対応した磁力や大きさをもつ多種類の磁力式マスキング治具10が構成(制作)される。
【0018】
前記したように構成される磁力式マスキング治具10は、図2に示すように、ガイドピン25の頭部26がカバー部材1の複数個のボルト孔3に嵌込まれることで。永久磁石20の磁力によって取り付けられる(セットされる)。
この際、カバー部材1のボルト孔3の周縁にバリ等があったとしても、永久磁石20の磁力による押圧力によってキャップ12の蓋板部を弾性圧縮させボルト孔3の周囲に密着させることができるようになっている。
そして、電着塗装の際、各磁力式マスキング治具10のキャップ12の蓋板部30aのマスキング面によってマスキングされたマスキング領域6aには絶縁塗膜5が付着されない非塗装部6が設けられるようになっている(図3参照)。
【0019】
次ぎに、カバー部材1の一側面のボルト孔3の周囲に磁力式マスキング冶具10を装着し、その後、カバー部材1を電着塗装した後、カバー部材1から磁力式マスキング冶具10を取り外す電着塗装用マスキング治具の着脱装置を図4〜図16にしたがって説明する。
図4〜図8に示すように、この実施例1に係る磁力式マスキング治具の着脱装置は、複数のパレット31と、これらパレット31を循環移送する第1、第2の移送コンベア50、55とを備えている。
【0020】
図4と図5に示すように、パレット31の本体部は、矩形板状の基盤32の四周縁に外枠33が形成されて構成され、基盤32の上面と外枠33の内周面には、カバー部材1の複数個(多数個)のボルト孔3に対応する位置に、複数の磁力式マスキング治具10をそれぞれ位置決めするV溝状のクランプ溝35を有する固定クランプ34が配設されている。
また、基盤32の上面には、固定クランプ34の各クランプ溝35に対応する数のV溝状のクランプ溝37がそれぞれ形成された一枚の板状をなす可動クランプ36がクランプ、アンクランプ動作可能に配設されている。
【0021】
図4と図5に示すように、パレット31の外枠33の上面には、可動クランプ36をクランプ位置とアンクランプ位置に配置切換するための一対のクランプレバー40が配設されている。すなわち、クランプレバー40の一端は、外枠33に固定されたブラケットに支軸41を支点として起倒可能に配置され、このクランプレバー40はくの字状をなす連動リンク42によって連動軸43の一端部に接続されている。
連動軸43は、外枠33に固定の軸受体44に軸方向(クランプ、アンクランプ方向)へ移動可能に組み付けられ、連動軸43の他端部はパレット31上に突設された連動体45に接続されている。
そして、図5に示すように、クランプレバー40が支軸41を支点として倒されると、可動クランプ36がクランプ位置に配置され、図6に示すように、クランプレバー40が支軸41を支点として起こされると可動クランプ36がアンクランプ位置に配置切換されるようになっている。
【0022】
図7に示すように、第1、第2の移送コンベア50、55は、パレット31を図7の矢印方向へ間欠的に循環移送するために対向状に配置されている。
また、この実施例1において、第1、第2の移送コンベア50、55は、パレット31の長さ寸法の四倍程度の長さをもつ一方向に長尺のコンベアフレーム51に多数のローラ53が長手方向に所定間隔を隔てて配設されたローラコンベアによって構成されている。
【0023】
第1の移送コンベア50のパレット移送面には、図7に向かって右側から左側へ向けて受取ステーション101、装着ステーション102、待機ステーション103、載替ステーション104が順に設けられ、これら各ステーションの長さに相当する分だけパレット31を間欠的に移送して各ステーションで設定時間停止するように、第1の移送コンベア50の多数のローラ53のうち、所要とするローラ(駆動ローラ)53が駆動制御されるようになっている。
また、第2の移送コンベア55のパレット移送面には、図7に向かって左側から右側へ向けて受取ステーション105、離脱ステーション106、待機ステーション107、載替ステーション108が順に設けられ、これら各ステーションの長さに相当する分だけパレット31を間欠的に移送して各ステーションで設定時間停止するように、第2の移送コンベア55の多数のローラ53のうち、所要とするローラ(駆動ローラ)53が駆動制御されるようになっている。
【0024】
図8〜図10に示すように、第1の移送コンベア50の載替ステーション104と、第2の移送コンベア55の受取ステーション105との間には、載替ステーション104のパレット31を受取ステーション105に載せ替える載替機構90が配置されている。
載替機構90は、第1、第2の移送コンベア50、55の各パレット移送面よりも下方に位置し、かつコンベアフレーム51の間に跨って配置されたロッドレスシリンダよりなる載替シリンダ91と、この載替シリンダ91内のピストン(図示しない)と一体状をなして往復移動するスライダー92と、このスライダー92の下面に水平状に取り付けられた可動板93と、この可動板93の両端から垂直状に立設され、先端(上端)が第1の移送コンベア50の載替ステーション104におけるローラ53間に所定長さだけ突出する横向きZ字状をなす一対の連動アーム94とを備えている。
そして、載替シリンダ91の作動に伴ってスライダー92が図10に向かって左端から右端に移動されることでスライダー92と一体となって可動板93及び連動アーム94が同方向へ移動し、これによって第1の移送コンベア50の載替ステーション104のパレット31が第2の移送コンベア55の受取ステーション105に載せ替えられるようになっている。
【0025】
また、第2の移送コンベア55の載替ステーション108と、第1の移送コンベア50の受取ステーション101との間には、載替ステーション108のパレット31を受取ステーション101に載せ替える載替機構90が配置されている。この載替機構90も前記した載替機構90と同様に構成される。
そして、載替シリンダ91の作動に伴ってスライダー92が移動されることでスライダー92と一体となって可動板93及び連動アーム94が同方向へ移動し、これによって第2の移送コンベア55の載替ステーション108のパレット31が第1の移送コンベア50の受取ステーション101に載せ替えられるようになっている。
【0026】
図7と図11に示すように、第1の移送コンベア50の装着ステーション102には、この装着ステーション102に配置されたパレット31のクランプ状態(位置)にある可動クランプ36をアンクランプ位置まで移動して固定クランプ34と可動クランプ36との両クランプ溝35、37間の複数個の磁力式マスキング治具10を解放するクランプ作動機構60が配置されている。
クランプ作動機構60は、第1の移送コンベア50の装着ステーション102上のパレット31の一対のクランプレバー40にそれぞれ対向してコンベアフレーム51上に配置された一対のクランプシリンダ61と、これらクランプシリンダ61のシリンダロッド62の先端に取り付けられて一対のクランプレバー40をアンクランプ位置に起立させる作動子63とを備えている。
【0027】
図7と図11に示すように、第1の移送コンベア50の装着ステーション102のパレット移送面の下方には、可動クランプ36がアンクランプ位置まで移動された後、カバー部材1を所定高さの突上位置まで突き上げるワーク突上機構70が配置されている。
ワーク突上機構70は、コンベアフレーム51のシリンダブラケット71に上向きに取り付けられた突上シリンダ72と、この突上シリンダ72のシリンダロッド72aの先端に水平状に固定された突上板73と、この突上板73の上面に立設された複数の突上棒74とを備えている。
そして、カバー部材1の突き上げ時には、突上シリンダ72のシリンダロッド72aによって突上板73と共に複数の突上棒74が、装着ステーション102のパレット31の中央部に貫設された孔を通して上昇端位置まで上昇されることで、パレット31の上面に載置されたカバー部材1を所定高さの突上位置まで突き上げるようになっている(図12参照)。
【0028】
図7と図11に示すように、第1の移送コンベア50の装着ステーション102には、所定高さの突上位置まで突き上げられたカバー部材1を突上位置で受け止める受け機構80が配設されている。
この受け機構80は、カバー部材1のフランジ部2下面の四箇所を受承可能に横向きに配置された受けシリンダ81と、これら四つの受けシリンダ81の各シリンダロッド82の先端に取り付けられた受板83とを備えている。
そして、図12に示すように、カバー部材1の突き上げ時には、受板83が妨害物とならないように受板83が待避位置に配置され、カバー部材1が所定高さの突上位置まで突き上げられたところで、四つの受けシリンダ81の各シリンダロッド82によって、図13に示すように、受板83がカバー部材1のフランジ部2下面の四箇所を受ける受け位置に配置されるようになっている。
【0029】
図7と図14に示すように、第2の移送コンベア55の離脱ステーション106には、離脱ステーション106に配置されたパレット31のアンクランプ状態(位置)にある可動クランプ36をクランプ位置まで移動して固定クランプ34と可動クランプ36との両クランプ溝35、37間の複数個の磁力式マスキング治具10を拘束するクランプ作動機構60が配置されている。このクランプ作動機構60は、第1の移送コンベア50の装着ステーション102に配置されたクランプ作動機構60と同様に構成されている。
そして、クランプ作動機構60のクランプシリンダ61のシリンダロッド62の先端に取り付けられた作動子63によって、第2の移送コンベア55の離脱ステーション106上のパレット31の一対のクランプレバー40をアンクランプ位置からクランプ位置まで傾動させるようになっている。
【0030】
図7と図14に示すように、第2の移送コンベア55の離脱ステーション106のパレット移送面の下方には、可動クランプ36がクランプ位置まで移動された後、塗装済みのカバー部材1を所定高さの突上位置まで突き上げるワーク突上機構70が配置されている。このワーク突上機構70は、装着ステーション102のワーク突上機構70と同様に構成されている。
そして、カバー部材1の突き上げ時には、突上シリンダ72のシリンダロッド72aによって突上板73と共に複数の突上棒74が、離脱ステーション106のパレット31の中央部に貫設された孔を通して上昇端位置まで上昇されることで、パレット31の上面に載置された塗装済みのカバー部材1を所定高さの突上位置まで突き上げるようになっている(図15参照)。
【0031】
図7と図14に示すように、第2の移送コンベア55の離脱ステーション106には、所定高さの突上位置まで突き上げられた塗装済みのカバー部材1を突上位置で受け止める受け機構80が配設されている。この受け機構80は、装着ステーション102の受け機構80と同様に構成されている。
そして、図15に示すように、塗装済みのカバー部材1の突き上げ時には、受板83が妨害物とならないように受板83が待避位置に配置され、カバー部材1が所定高さの突上位置まで突き上げられたところで、四つの受けシリンダ81の各シリンダロッド82によって、図16に示すように、受板83が塗装済みのカバー部材1のフランジ部2下面の四箇所を受ける受け位置に配置されるようになっている。
【0032】
この実施例1に係る電着塗装用マスキング治具の着脱装置は上述したように構成される。
したがって、図7に示すように、第1の移送コンベア50の装着ステーション102、待機ステーション103及び載替ステーション104と、第2の移送コンベア55の離脱ステーション106、待機ステーション107及び載替ステーション108の計六つのステーション上にパレット31がそれぞれ配置された状態で、各パレット31が図において反時計回り方向へ間欠的に循環移送される。
また、第1の移送コンベア50の装着ステーション102の近傍には洗浄レーン、塗装レーン、乾燥レーンの順に塗装用ハンガーを移送するハンガー移送ケーブルが配置され、このハンガー移送ケーブルは、乾燥レーンから第2の移送コンベア55の離脱ステーション106の近傍まで延びている。
そして、第1の移送コンベア50の装着ステーション102側において複数のボルト孔3の周囲に磁力式マスキング冶具10が装着されたカバー部材1が、塗装用ハンガーの吊下フックに吊り下げられて洗浄レーン、塗装レーン、乾燥レーンの順に移送される。そして、塗装済みとなったカバー部材1が第2の移送コンベア55の離脱ステーション106側まで移送される。
【0033】
洗浄レーン、塗装レーン、乾燥レーンの順に移送されて塗装済みとなったカバー部材1が第2の移送コンベア55の離脱ステーション106側まで移送される塗装ラインの始動初期におては、カバー部材1の複数のボルト孔3の周囲に磁力式マスキング冶具10が手作業によって装着されて第1の移送コンベア50の装着ステーション102の近傍の塗装用ハンガーの吊下フックに吊り下げられる。
【0034】
第2の移送コンベア55の離脱ステーション106側まで移送された塗装用ハンガーの吊下フックから塗装済みのカバー部材1が取り外された後、塗装済みのカバー部材1が、第2の移送コンベア55の離脱ステーション106上に配置されたパレット31上にセットされる。
この際、離脱ステーション106上のパレット31の固定クランプ34とアンクランプ状態にある可動クランプ36との間に、塗装済みのカバー部材1の複数個の磁力式マスキング治具10が挿入されて、パレット31上に塗装済みのカバー部材1が載置される。
【0035】
ここで、起動スイッチの押しボタン(図示しない)が押され、クランプ作動機構60の一対のクランプシリンダ61が作動される。
すると、図14に示すように、一対のクランプシリンダ61のシリンダロッド62によって作動子63が前進し、離脱ステーション106上のパレット31の一対のクランプレバー40がアンクランプ位置からクランプ位置まで傾動され、塗装済みのカバー部材1の複数個の磁力式マスキング治具10がクランプ状態に拘束される。
なお、クランプレバー40がアンクランプ位置からクランプ位置まで傾動された後、クランプシリンダ61のシリンダロッド62と共に作動子63が元の後退位置まで戻される(15参照)。
【0036】
図15に示すように、磁力式マスキング治具10の拘束とほぼ同時に、ワーク突上機構70の突上シリンダ72が作動される。
すると、突上シリンダ72のシリンダロッド72aによって突上板73と共に突上棒74が上昇端位置まで上昇され、これによって塗装済みのカバー部材1が所定高さの突上位置まで突き上げられる。
すなわち、離脱ステーション106のパレット31の固定クランプ34と可動クランプ36との間に複数個の磁力式マスキング治具10が拘束された状態で塗装済みのカバー部材1が上方へ離反されることで、塗装済みのカバー部材1から複数個の磁力式マスキング治具10が同時に取り外される。
【0037】
一方、塗装済みのカバー部材1が所定高さの突上位置まで突き上げられるとほぼ同時に、受け機構80の四つの受けシリンダ81が作動される。
すると、図16に示すように、受けシリンダ81の各シリンダロッド82によって受板83が塗装済みのカバー部材1のフランジ部2下面の四箇所を受ける受け位置に配置される。
ここで、突上シリンダ72のシリンダロッド72aによって突上板73と共に突上棒74が元の下降端位置まで下降され、塗装済みのカバー部材1が搬出される。
なお、塗装済みのカバー部材1が搬出された後、受けシリンダ81のシリンダロッド82と共に受板83が元の待避位置に戻される。
【0038】
第2の移送コンベア55の離脱ステーション106の塗装済みのカバー部材1が搬出されると、第2の移送コンベア55のローラ53が駆動され、待機ステーション107のパレット31が載替ステーション108まで移送され、離脱ステーション106のパレット31が待機ステーション107まで移送され、受取ステーション105のパレット31が離脱ステーション106まで移送されて停止される。
【0039】
ここで、再び、第2の移送コンベア55の離脱ステーション106近傍の塗装用ハンガーの吊下フックから塗装済みのカバー部材1が取り外されて第2の移送コンベア55の離脱ステーション106上に配置されたパレット31上にセットされる。
前記したような工程順を経て塗装済みのカバー部材1から複数個の磁力式マスキング治具10が離脱されて塗装済みのカバー部材1が搬出される。
【0040】
第2の移送コンベア55の離脱ステーション106の塗装済みのカバー部材1が搬出され、第2の移送コンベア55のローラ53が駆動される前において、載替機構90の載替シリンダ91が作動される。
すると、スライダー92と共に可動板93及び連動アーム94が第2の移送コンベア55の載替ステーション108の一側から第1の移送コンベア50の受取ステーション101まで移動され、これによって、第2の移送コンベア55の載替ステーション108のパレット31が、第1の移送コンベア50の受取ステーション101まで移送されて載せ替えられる。
【0041】
第1の移送コンベア50において、ローラ53が駆動され、待機ステーション103のパレット31が載替ステーション104まで移送され、装着ステーション102のパレット31が待機ステーション103まで移送され、受取ステーション101のパレット31が装着ステーション102まで移送されて停止される。
そして、前記したように、第2の移送コンベア55の載替ステーション108から第1の移送コンベア50の受取ステーション101に載せ替えられたパレット31が第1の移送コンベア50の装着ステーション102まで送られ、装着ステーション102において塗装前のカバー部材1の複数(多数)のボルト孔3の周囲に磁力式マスキング治具10が装着される。
【0042】
すなわち、装着ステーション102において、パレット31の固定クランプ34と可動クランプ36との間に複数個の磁力式マスキング治具10が、各ガイドピン25の頭部26を上向きしてクランプ状態で配置される。
そして、複数個の磁力式マスキング治具10の各ガイドピン25の頭部26にカバー部材1の複数のボルト孔3が嵌挿されてパレット31上にカバー部材1が載置される。
【0043】
ここで、起動スイッチの押しボタン(図示しない)が押され、クランプ作動機構60の一対のクランプシリンダ61が作動される。
すると、図11に示すように、一対のクランプシリンダ61のシリンダロッド62によって作動子63が前進し、装着ステーション102上のパレット31の一対のクランプレバー40がクランプ位置からアンクランプ位置まで起立され、複数個の磁力式マスキング治具10がアンクランプ状態に解放される。
なお、クランプレバー40がアンクランプ位置からクランプ位置まで傾動された後、クランプシリンダ61のシリンダロッド62と共に作動子63が元の後退位置まで戻される。
【0044】
磁力式マスキング治具10の解放とほぼ同時に、ワーク突上機構70の突上シリンダ72が作動される。
すると、図12に示すように、突上シリンダ72のシリンダロッド72aによって突上板73と共に突上棒74が上昇端位置まで上昇され、これによって塗装前のカバー部材1が所定高さの突上位置まで突き上げられると共に、カバー部材1の複数(多数)のボルト孔3の周囲に磁力式マスキング治具10が自身の磁力によって吸着された状態でカバー部材1に装着される。

すなわち、装着ステーション102のパレット31の固定クランプ34と可動クランプ36との間に複数個の磁力式マスキング治具10が解放された状態で塗装前のカバー部材1が上方へ離反されることで、塗装前のカバー部材1に複数個の磁力式マスキング治具10が同時に装着される。
【0045】
一方、塗装前のカバー部材1が所定高さの突上位置まで突き上げられるとほぼ同時に、受け機構80の四つの受けシリンダ81が作動される。
すると、受けシリンダ81の各シリンダロッド82によって受板83が、図13に示すように、塗装前のカバー部材1のフランジ部2下面の四箇所を受ける受け位置に配置される。
ここで、突上シリンダ72のシリンダロッド72aによって突上板73と共に突上棒74が元の下降端位置まで下降され、塗装前のカバー部材1がハンガーの吊下フックに吊り下げられる。
なお、塗装前のカバー部材1がハンガーの吊下フックに吊り下げられた後、受けシリンダ81のシリンダロッド82と共に受板83が元の待避位置に戻される。
【0046】
第1の移送コンベア50の装着ステーション102の塗装前のカバー部材1がハンガーの吊下フックに吊り下げられると、第1の移送コンベア50のローラ53が駆動され、待機ステーション103のパレット31が載替ステーション104まで移送され、装着ステーション102のパレット31が待機ステーション103まで移送され、受取ステーション101のパレット31が装着ステーション102まで移送されて停止される。
【0047】
ここで、再び、塗装前のカバー部材1が第1の移送コンベア50の装着ステーション102上に配置されたパレット31上にセットされる。
前記したような工程順を経て塗装前のカバー部材1に複数個の磁力式マスキング治具10が同時に装着される。
【0048】
第1の移送コンベア50の装着ステーション102の塗装前のカバー部材1がハンガーの吊下フックに吊り下げられ、第1の移送コンベア50のローラ53が駆動される前において、載替機構90の載替シリンダ91が作動される。
すると、スライダー92と共に可動板93及び連動アーム94が第1の移送コンベア50の載替ステーション104の一側から第2の移送コンベア55の受取ステーション104まで移動され、これによって、第1の移送コンベア50の載替ステーション104のパレット31が、第2の移送コンベア55の受取ステーション108まで移送されて載せ替えられる。
【0049】
前記したように、カバー部材1の一側の各ボルト孔3の周囲に対し磁力式マスキング治具10を装着したり、あるいは取り外すことができるため、カバー部材1に多数のボルト孔3が形成された場合においても、これら多数のボルト孔3と同数の磁力式マスキング治具10を一度に容易に着脱することができる。
【0050】
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。
例えば、前記実施例1においては、第1の移送コンベア50のパレット移送面には、受取ステーション101、装着ステーション102、待機ステーション103、載替ステーション104が順に設けられ、第2の移送コンベア55のパレット移送面には、受取ステーション105、離脱ステーション106、待機ステーション107、載替ステーション108が順に設けられる場合を例示したが、待機ステーション103、107を必ずしも設定しなくてもこの発明を実施することができる。
また、ワーク突上機構70、受け機構80においても必ずしも設定しなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 カバー部材
2 フランジ部
3 ボルト孔
10 磁力式マスキング治具
31 パレット
34 固定クランプ
36 可動クランプ
40 クランプレバー
50 第1の移送コンベア
53 ローラ
55 第2の移送コンベア
60 クランプ作動機構
70 ワーク突上機構
80 受け機構
90 載替機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のボルト孔を有する金属製のカバー部材を電着塗装する前に、前記カバー部材の一側面に前記ボルト孔の周囲に非塗装部を設けるための磁力式マスキング冶具を装着し、その後、カバー部材を電着塗装した後、前記カバー部材から前記磁力式マスキング冶具を取り外す電着塗装用マスキング治具の着脱装置であって、
前記カバー部材の複数個のボルト孔に対応する位置に磁力式マスキング治具をクランプ、アンクランプ動作可能に保持する固定クランプと可動クランプとを有するパレットと、
前記パレットを移送するために対向状に配置された第1、第2の移送コンベアとを備え、
前記第1、第2の移送コンベアの両端部寄り部分には、前記第1の移送コンベアの一端側から他端側まで移送されたパレットを前記第2の移送コンベアの他端側へ載せ替える載替機構と、前記第2の移送コンベアの他端側から一端側まで移送されたパレットを前記第1の移送コンベアの一端側へ載せ替える載替機構とが配置されることで、前記パレットを循環移送可能に構成し、
前記第1の移送コンベア側には、クランプ状態にある可動クランプをアンクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間の複数個のマスキング治具を開放するクランプ作動機構が配置され、
前記第2の移送コンベア側には、アンクランプ位置にある可動クランプをクランプ位置まで移動して固定クランプと可動クランプとの間に複数個のマスキング治具を拘束するクランプ作動機構が配置されていることを特徴とする電着塗装用マスキング治具の着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電着塗装用マスキング治具の着脱装置であって、
第1の移送コンベアのパレット移送面の下方には、クランプ状態にある可動クランプをアンクランプ位置まで移動した後にカバー部材を所定高さの突上位置まで突き上げるワーク突上機構が配置され、
第2の移送コンベアのパレット移送面の下方には、アンクランプ位置にある可動クランプをクランプ位置まで移動した後にカバー部材を所定高さの突上位置まで突き上げるワーク突上機構が配置されていることを特徴とする電着塗装用マスキング治具の着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−248538(P2010−248538A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96135(P2009−96135)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(308014639)真和工業株式会社 (6)
【出願人】(594027878)明和工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】