説明

電磁アクチュエータ及びカメラ用羽根駆動装置

【課題】電磁アクチュエータの簡素化を図りつつ、ロータが作動範囲の両端以外の途中位置で停止できるようにする。
【解決手段】所定の作動範囲を回動するロータ40、励磁用のコイル60、コイルへの通電により互いに異なる磁極を生じる第1磁極部51a及び第2磁極部52aを有するヨーク50を備えた電磁アクチュエータにおいて、ロータ40は、周方向に異なる磁極に着磁された着磁ロータ部41、外周面から径方向に突出すると共にその外周面と同一の磁極に着磁された突出部42を含み、ヨーク50は、ロータが作動範囲の途中位置に位置するときロータの径方向において突出部と対向するべく第1磁極部及び第2磁極部の一方から延出して形成された補助磁極部51bを含む。これによれば、構造の簡素化等を達成しつつ、ロータを作動範囲の両端位置及び途中位置の3箇所に停止させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁力により所定の作動範囲を回動して駆動力を発生する電磁アクチュエータに関し、特に、作動範囲の両端位置及び途中位置において停止できるロータを備え、カメラの絞り兼用シャッタ羽根、NDフィルタ羽根等の羽根部材を駆動する際に適用される電磁アクチュエータ及びこれを用いたカメラ用羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラのシャッタ装置等に搭載される従来の電磁アクチュエータとしては、2極(N極及びS極)に着磁されて所定の角度(作動範囲)を往復動自在なロータ、ロータの外周面に対向するように配置された2つの磁極部をもつ略U字状のヨーク、ヨークに巻回された励磁用のコイル等を備え、ロータが、非通電時に作動範囲の一方の回転端(初期位置)にて停止し、通電時に作動範囲の他方の回転端(最大回転位置)まで回転し、逆通電により一方の回転端まで復帰して停止する、すなわち、作動範囲の両端位置(2箇所の位置)において停止するように形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電磁アクチュエータにおいては、ロータに突出部を設けたことにより、両端位置からの回転起動力及び両端位置における保持力(ディテントトルク)を高めることはできても、ロータを作動範囲の途中の角度位置に停止させることができない。
そこで、この電磁アクチュエータをカメラの絞り羽根等の駆動源として適用する場合、例えば、絞り羽根を絞り位置に停止させるべくロータを作動範囲の途中の角度位置まで回転させて機械的に停止させようとすると、複雑な停止機構等が必要になり、部品点数の増加による高コスト化、装置の大型化等を招く。
【0003】
また、他の電磁アクチュエータとしては、4極(N極、S極、N極、S極)に着磁されたロータ、ロータの外周面に対向するように配置された両端の磁極部及び中間の磁極部からなる3つの磁極部をもつヨーク、一端の磁極部と中間の磁極部の間においてヨークに巻回された励磁用の第1コイル、他端の磁極部と中間の磁極部の間においてヨークに巻回された励磁用の第2コイル等を備え、第1コイル及び第2コイルに対して、二相励磁及び一相励磁を行うことにより、ロータを複数の角度位置に停止させ得るステップモータが知られている(例えば、特許文献2参照)。
この電磁アクチュエータにおいては、複数の角度位置においてロータを停止させることはできるものの、2つのコイルを必要とし、二相励磁及び一相励磁を行うため通電制御も複雑であり、電磁アクチュエータの大型化、高コスト化等を招く。
【0004】
【特許文献1】特開2006−288036号公報
【特許文献2】特開2005−24802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、複雑な停止機構等を採用せずに、構造の簡素化、低コスト化等を図りつつ、ロータを作動範囲の両端位置以外の途中位置においても停止させることができる電磁アクチュエータ及びこの電磁アクチュエータを用いたカメラ用羽根駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁アクチュエータは、円筒状の外周面を有し所定の作動範囲を回動するロータと、励磁用のコイルと、ロータの外周面に対向する円弧面を画定すると共にコイルへの通電により互いに異なる磁極を生じる第1磁極部及び第2磁極部を有するヨークとを備えた電磁アクチュエータであって、上記ロータは、外周面を画定すると共にその周方向に異なる磁極に着磁された着磁ロータ部と、外周面から径方向に突出すると共にその外周面と同一の磁極に着磁された突出部とを含み、上記ヨークは、ロータが作動範囲の途中位置に位置するときロータの径方向において突出部と対向するべく,第1磁極部及び第2磁極部の一方から延出して形成された補助磁極部を含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、ロータが作動範囲の一方の回転端に位置する状態で、コイルが通電されて、ロータが途中位置に移動してその突出部が補助磁極部と対向することで、コイルが非通電とされてもロータはその途中位置に停止し、又、コイルが通電されて、ロータがさらに回転して作動範囲の他方の回転端に至った時点でコイルが非通電とされると、ロータはその他方の回転端に停止する。すなわち、特別な部品を設けることなくロータ及びヨークの形状を変更するだけで、構造の簡素化、低コスト化等を達成しつつ、ロータを作動範囲の両端位置及び途中位置の少なくとも3箇所に停止させることができる。
【0007】
上記構成をなす電磁アクチュエータにおいて、途中位置は、作動範囲の中間位置である、構成を採用することができる。
この構成によれば、ヨークの形状を簡素化しつつ、突出部と補助磁極部が対向する状態で、ロータを作動範囲の中間位置(作動角の中間角度位置)に停止させることができる。
【0008】
上記構成をなす電磁アクチュエータにおいて、突出部は、径方向の先端において円弧面を画定するように形成され、補助磁極部は、突出部の円弧面と対向する円弧面を画定するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、突出部及び補助磁極部の形状の簡素化を達成しつつ、突出部と補助磁極部との間に発生する磁気的吸引力及び磁気的反発力を効率良く作用させることができる。
【0009】
上記構成をなす電磁アクチュエータにおいて、着磁ロータ部は、周方向に二分されたN極外周面及びS極外周面を有し、突出部は、N極外周面及びS極外周面の一方において、周方向の略中央から突出するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、ロータを作動範囲の中間位置に停止させる構成となるように、(第1磁極部及び第2磁極部並びに補助磁極部をもつ)ヨークを簡単な輪郭形状に形成することができる。
【0010】
上記構成をなす電磁アクチュエータにおいて、ロータが中間位置に位置するとき、ロータの回転中心及び突出部を通る直線上において、N極外周面及びS極外周面の他方と対向するように配置された磁性部材をさらに含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、ロータが中間位置に位置するとき、突出部が補助磁極部と対向して磁気的吸引力を生じると共に磁性部材がロータの外周面と対向して磁気的吸引力を生じるため、強力な磁気的保持力によってロータを中間位置に確実に停止させることができる。
【0011】
上記構成をなす電磁アクチュエータにおいて、ロータは、外部に駆動力を出力するべく、樹脂材料により形成された出力ピンを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、磁力の影響を受けない出力ピンを、カメラの羽根部材等の駆動対象に連結することで、駆動対象を円滑に駆動することができる。
【0012】
上記構成をなす電磁アクチュエータにおいて、ヨークは、第1磁極部を有する第1腕部と、第2磁極部を有すると共にコイルを巻回するボビンに挿入される第2腕部とを一体的に有し、第2腕部は、第1腕部よりも薄い肉厚に形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、コイルが巻回されるボビンに挿入されるヨークの第2腕部が第1腕部より薄く形成されているため、第2腕部が第1腕部と同一の厚さに形成される場合に比べて、第2腕部が挿入されるボビンの挿入孔を小さすることができ、その分だけ、コイルの巻き数を増やすことができる。
【0013】
また、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、露光用の開口部を有する基板と、開口部を全開する全開位置,開口部を所定の口径に絞る絞り位置,及び開口部を全閉する全閉位置にそれぞれ位置付けられるべく基板に対して移動自在に支持された羽根部材と、羽根部材を駆動する駆動源とを備え、この駆動源は、上述の構成をなす電磁アクチュエータのいずれか一つの電磁アクチュエータである、ことを特徴としている。
この構成によれば、駆動源として上述の電磁アクチュエータを採用するが故に、構造の簡素化、低コスト化等を達成しつつ、羽根部材を、全開位置、絞り位置、全閉位置の3箇所の位置に移動させて位置決めすることができる。
【0014】
上記構成をなすカメラ用羽根駆動装置において、羽根部材は、互いに協働して、全開位置に位置するとき開口部を全開し、絞り位置に位置するとき開口部を所定の口径に絞り、全閉位置に位置するとき開口部を全閉するように形成された第1揺動羽根及び第2揺動羽根からなる、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1揺動羽根及び第2揺動羽根が、互いに協働して、全開状態,絞り状態,及び全閉状態を画定する絞り兼用シャッタ羽根を構成するため、開口部を開閉するだけの専用の2つのシャッタ羽根及び開口部を所定の口径に絞るだけの専用の絞り羽根を含む構成に比べて、構造を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記構成をなす電磁アクチュエータ及びカメラ用羽根駆動装置によれば、複雑な停止機構等を採用せずに、構造の簡略化、低コスト化等を達成しつつ、ロータを作動範囲の両端位置以外の途中位置においても停止させることができ、又、この電磁アクチュエータを用いて例えば絞り兼用の羽根部材を駆動することで、開口部を開閉するだけでなく所定の口径に絞ることも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図9は、本発明に係る電磁アクチュエータをカメラ用羽根駆動装置に適用した一実施形態を示すものであり、図1はカメラ用羽根駆動装置の平面図、図2はカメラ用羽根駆動装置の一部を示す展開断面図、図3は電磁アクチュエータの平面図、図4はカメラ用羽根駆動装置に含まれる羽根部材等を示す平面図、図5及び図6は電磁アクチュエータの動作を説明する平面図、図7羽根部材が開口部を全開する全開位置にある状態を示す平面図、図8は羽根部材が開口部を所定の口径に絞る絞り位置にある状態を示す平面図、図9は羽根部材が開口部を全閉する全閉位置にある状態を示す平面図である。
【0017】
このカメラ用羽根駆動装置は、図1ないし図4に示すように、露光用の開口部10a,20aを有する基板としての地板10及び裏板20、地板10に揺動自在に支持された羽根部材30、羽根部材30を駆動する駆動源としての電磁アクチュエータM等を備えている。
【0018】
地板10は、図1、図2、図4に示すように、円形をなす露光用の開口部10a、後述するロータ40を回動自在に支持する支軸11、略扇状の貫通孔12、後述する押え板70を固定するネジBを螺合するネジ穴が形成された連結部13、羽根部材30を回動自在に支持する支軸14,15、裏板20を固定するネジBを螺合するネジ穴が形成された連結部16、羽根部材30を全開位置に停止させる全開ストッパ17、羽根部材30を全閉位置に停止させる全閉ストッパ18等を備えている。
裏板20は、図2及び図4に示すように、円形をなす露光用の開口部20a、後述するロータ40の出力ピン43を移動自在に露出させる円弧状の長孔21、円孔22等を備え、地板10の裏側端面と所定の間隔をおいてネジBにより連結され、羽根部材30を回動自在に収容する羽根室Wを画定している。
【0019】
羽根部材30は、図2及び図4に示すように、地板10の支軸14により揺動自在に支持された第1揺動羽根31、地板10の支軸15により揺動自在に支持された第2揺動羽根32により構成されている。
第1揺動羽根31は、図4に示すように、支軸14が通される円孔31a、後述するロータ40の出力ピン43が挿入される長孔31b、開口部10a,20aよりも大きい内径をなす円形状の大開口31c、大開口31cに連続して形成された開口部10a,20aよりも小さい所定の内径をなす半円開口31d等を備えている。
第2揺動羽根32は、図4に示すように、支軸15が通される円孔32a、後述するロータ40の出力ピン43が挿入される長孔32b、半円開口31dと協働して開口部10a,20aよりも小さい所定の口径をなす円形開口を画定するべく形成された所定の内径をなす半円開口32d等を備えている。
【0020】
そして、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32は、後述するロータ40が所定の作動範囲θを回動することにより、互いに協働して、開口部10a,20aから退避して全開する全開位置、開口部10a,20aに一部が臨んで所定の口径に絞る絞り位置、開口部10a,20aに臨んで全閉する全閉位置にそれぞれ位置付けられるようになっている。
すなわち、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32は、互いに協働して、全開位置に位置するとき開口部10a,20aを全開し、絞り位置に位置するとき開口部10a,20aを所定の口径に絞り、全閉位置に位置するとき開口部10a,20aを全閉するようになっている。
【0021】
電磁アクチュエータMは、図1ないし図3に示すように、地板10に回動自在に支持されるロータ40、略U字状に形成されたヨーク50、励磁用のコイル60、コイル60を巻回するボビン71を一体的に備えた押え板70等により形成されている。
【0022】
ロータ40は、図2及び図3に示すように、円筒状の外周面を画定すると共にその周方向に異なる磁極(N極、S極)に着磁された着磁ロータ部41、外周面から径方向に突出すると共にその外周面と同一の磁極に着磁された突出部42、着磁ロータ部41の下方に接合されて外部(すなわち、羽根部材30)に駆動力を出力する出力ピン43等を備えている。
着磁ロータ部41は、図2及び図3に示すように、支軸11が通される貫通孔41a、回転中心Lを通る境界面を境に周方向に二分されて異なる磁極に着磁されたN極外周面41b及びS極外周面41cを画定するように形成されている。
【0023】
突出部42は、図3に示すように、S極外周面41cにおいて、周方向の略中央から径方向外側に向かって突出するように形成され、S極外周面41cと同一の磁極(S極)に着磁されている。また、突出部42は、径方向の外向きに先細りにかつ径方向の先端において所定の曲率半径をなす円弧面42aを画定するように形成されている。
そして、突出部42の円弧面42aは、ロータ40が作動範囲θの中間位置P(途中位置)に位置するとき、ロータ40の径方向において後述するヨーク50の補助磁極部51b(の円弧面51b´)と対向するようになっている。
このように、突出部42の円弧面42aと後述する補助磁極部51bの円弧面51b´が対向するように形成されているため、突出部42及び補助磁極部51bの形状の簡素化を達成しつつ、突出部42と補助磁極部51bとの間に発生する磁気的吸引力及び磁気的反発力を効率良く作用させることができる。
【0024】
出力ピン43は、図2及び図3に示すように、樹脂材料等の非着磁材料を用いて、ロータ40の径方向に延出しかつ回転中心Lの方向に伸長するように屈曲して形成され、第1揺動羽根31の長孔31b及び第2揺動羽根32の長孔32bに挿入されるようになっている。このように、出力ピン43を磁力の影響を受けない樹脂材料により形成することで、駆動対象である羽根部材30を円滑に駆動することができる。
そして、ロータ40は、図3に示すように、作動範囲θの一端位置P及び他端位置Pの間を往復動するように、かつ、作動範囲θの途中位置である中間位置Pに停止し得るように、地板10の支軸11に支持されている。
【0025】
ヨーク50は、図2及び図3に示すように、第1腕部51及び第2腕部52を画定するように略U字状に屈曲しかつ屈曲領域に円孔53を画定するように形成されている。
そして、ヨーク50は、第1腕部51の先端側において円弧面51a´を画定する第1磁極部51a、第1腕部51の先端側において第1磁極部51aからさらに延出して形成され円弧面51b´を画定する補助磁極部51b、第2腕部52の先端側において円弧面52a´を画定する第2磁極部52aを備えている。
第1磁極部51a(円弧面51a´)と第2磁極部52a(円弧面52a´)は、ロータ40の回転中心Lに対して点対称に形成されている。また、第1磁極部51aの円弧面51a´と第2磁極部52aの円弧面52a´は、ロータ40のN極外周面41b及びS極外周面41cと所定隙間をおいて対向するように形成されて、ロータ40(着磁ロータ部41)との間に磁気的吸引力及び反発力を発生させるようになっている。
補助磁極部51bの円弧面51b´は、ロータ40の径方向において、突出部42の円弧面42aと所定隙間をおいて対向するように形成されて、突出部42との間に磁気的吸引力及び反発力を発生させるようになっている。
【0026】
コイル60は、図1ないし図3に示すように、押え板70のボビン71に巻回されている。
押え板70は、図1及び図2に示すように、ヨーク60を地板10に押え付けるように略扁平な板状に形成され、コイル60を巻回するボビン71、ネジBを通す円孔72等を備えている。ボビン71は、ヨーク50の第2腕部52を挿入する挿入孔71aを画定している。
そして、押え板70は、ボビン71に予めコイル60が巻回され、挿入孔71aにヨーク50(の第2腕部52)が挿入された状態で、地板10に接合されてネジBにより固定され、支軸11に装着されたロータ40の抜け落ちを規制すると共に、ヨーク60を所定位置に固定し、又、コイル60を所定位置に保持するようになっている。
【0027】
ここで、電磁アクチュエータMの動作について図5及び図6を参照しつつ説明する。
先ず、コイル60が非通電の状態において、ロータ40は、例えば、図5(a)に示すように、一端位置Pに位置している。このとき、第1磁極部51aがN極外周面41bを時計回りに引き付け、第2磁極部52aがS極外周面41cを時計回りに引き付け、ロータ40に対して共に時計回りの磁気的付勢力を及ぼす。したがって、ロータ40は、ストッパにより(ここでは、出力ピン43及び羽根部材30を介して全開ストッパ17により)時計回りの回転が規制されて、一端位置Pに位置決め保持される。
【0028】
この状態で、コイル60が所定向きに通電されると、図5(b)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51bにN極が発生し、第2磁極部52aにS極が発生する。これにより、第1磁極部51a及び第2磁極部52aは、ロータ40を反時計回りに回転させるように反発力を生じ、ロータ40は反時計回りに回転し始める。尚、補助磁極部51bと突出部42との間には磁気的吸引力が生じ、この磁気的吸引力は、ロータ40の反時計回りの回転を補助するように作用する。
【0029】
そして、図5(c)に示すように、ロータ40が作動範囲θの中間位置Pに達した時点で(あるいは直前に)コイル60の通電を断つと、図5(d)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51b並びに第2磁極部52aに発生していた磁極(N極、S極)が消滅し、ロータ40の突出部42と補助磁極部51bとは、互いに引き合うように磁気的吸引力を生じる。これにより、ロータ40は中間位置Pに停止して位置決め保持される。
【0030】
続いて、図6(a)に示すように、ロータ40が中間位置Pに停止した状態から、再びコイル60が同一の向きに通電されると、図6(b)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51bにN極が発生し、第2磁極部52aにS極が発生する。これにより、第1磁極部51aはS極外周面41cとの間に吸引力を生じかつN極外周面41bとの間に反発力を生じ、第2磁極部52aはN極外周面41bとの間に吸引力を生じかつS極外周面41cとの間に反発力を生じ、ロータ40は反時計回りにさらに回転し始める。尚、補助磁極部51bは突出部42との間に吸引力を生じるが、第1磁極部51a及び第2磁極部52aとロータ40の間に生じる磁気的吸引力に比べれば小さくロータ40の反時計回りの回転に影響を及ぼすものではない。
【0031】
そして、図6(c)に示すように、ロータ40が作動範囲θの他端位置Pに至った時点でコイル60の通電を断つと、図6(d)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51b並びに第2磁極部52aに発生していた磁極(N極、S極)が消滅する。そして、第1磁極部51aがS極外周面41cを反時計回りに引き付け、第2磁極部52aがN極外周面41bを反時計回りに引き付け、ロータ40に対して共に反時計回りの磁気的付勢力を及ぼす。したがって、ロータ40は、ストッパにより(ここでは、出力ピン43及び羽根部材30を介して全閉ストッパ18により)反時計回りの回転が規制されて、他端位置Pに位置決め保持される。
【0032】
一方、コイル60に逆向きの通電を行うと、第1磁極部51a及び補助磁極部51bにS極が発生しかつ第2磁極部52aにN極が発生して、ロータ40は時計回りに回転し、他端位置Pから中間位置Pを通過して一端位置Pまで移動し、コイル60の通電が断たれることで、一端位置Pに位置決め保持される。
【0033】
このように、ロータ40に突出部42を設け、ヨーク50に補助磁極部51bを設けるだけで、特別な部品を設けることなく、構造の簡素化、低コスト化等を達成しつつ、ロータ40を作動範囲θの両端位置(一端位置P、他端位置P)及び途中位置としての中間位置Pの3箇所に停止させることができる。
【0034】
次に、この電磁アクチュエータMを駆動源として用いたカメラ用羽根駆動装置の動作について、図7ないし図9を参照しつつ説明する。
先ず、待機状態において、ロータ40は、初期位置(一端位置P)に停止している。このとき、図7に示すように、出力ピン43は、長孔31b,32bを介して、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32を全開位置に位置付けている。尚、この全開状態においては、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32は、全開ストッパ17に当接して全開位置に位置決めされている。
【0035】
この状態で、光量センサ等に基づいて制御部が絞りを行うと判断した場合、制御部はコイル60に対して通電時間が比較的短いパルス通電を行う。これにより、ロータ40は、反時計回りに回転して中間位置Pに至り停止する。このとき、出力ピン43が反時計回りに移動することで、図8に示すように、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32は、一部が開口部10a,20aに臨む絞り位置まで移動し、半円開口31d,32dが互いに協働して所定径の円形開口を画定し、開口部10a,20aを所定の口径に絞る状態に至る。この絞り状態は、コイル60への通電が断たれた後は、ロータ40の突出部42とヨーク50の補助磁極部51bとの間に生じる磁気的保持力(吸引力)のみで保持される。
【0036】
続いて、レリーズ動作が行われると、制御部がコイル60に対して同じ向きで通電時間が比較的長いパルス通電を行う。これにより、ロータ40は、さらに反時計回りに回転して最大回転位置(他端位置P)に至り停止する。このとき、出力ピン43が反時計回りに移動することで、図9に示すように、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32は、開口部10a,20aに臨む全閉位置まで移動し、開口部10a,20aを全閉する状態に至る。尚、この全閉状態においては、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32は、全閉ストッパ18に当接して全閉位置に位置決めされる。
上記ように、羽根部材30(第1揺動羽根31及び第2揺動羽根31)の閉じ動作により、撮像素子を備えたカメラにおける1回の撮影が完了する。
【0037】
その後、制御部がコイル60に対して逆向きで通電時間が比較的長いパルス通電を行うことにより、ロータ40は、図9に示す最大回転位置(他端位置P)から、中間位置Pを通過して、初期位置(一端位置P)まで戻り停止する。この動作に伴って、羽根部材30(第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32)は、図7に示すように全開位置まで移動し、次の撮影に向けて待機することになる。
【0038】
尚、制御部が絞りを行わないと判断した場合、コイル60に通電時間が比較的長いパルス通電を行うことで、ロータ40は、図7に示す初期位置(一端位置P)から図9に示す最大回転位置(他端位置P)まで素早く回転する。このとき、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32は、図7に示す全開位置から図9に示す全閉位置まで移動し、1回の撮影が完了する。
【0039】
上記のように、羽根部材30(第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32)を移動させて絞り動作を行わせるにあたり、磁気的付勢力だけでロータ40を中間位置Pに停止させることができるため、機械的な停止機構が不要になり、装置が簡略化される。その結果、装置の小型化、低コスト化、軽量化等を達成することができる。
【0040】
図10ないし図17は、本発明に係る電磁アクチュエータをカメラ用羽根駆動装置に適用した他の実施形態を示すものであり、図10はカメラ用羽根駆動装置の平面図、図11はカメラ用羽根駆動装置の一部を示す展開断面図、図12は電磁アクチュエータの平面図、図13及び図14は電磁アクチュエータの動作を説明する平面図、図15羽根部材が開口部を全開する全開位置にある状態を示す平面図、図16は羽根部材が開口部を所定の口径に絞る絞り位置にある状態を示す平面図、図17は羽根部材が開口部を全閉する全閉位置にある状態を示す平面図である。
尚、この実施形態においては、電磁アクチュエータM´に磁性部材80を含めた以外は、前述の実施形態と基本的に同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
この実施形態において、電磁アクチュエータM´は、図10ないし図12に示すように、地板10に回動自在に支持されるロータ40、略U字状に形成されたヨーク50、励磁用のコイル60、コイル60を巻回するボビン71を一体的に備えた押え板70、磁性部材80等により形成されている。
磁性部材80は、円柱状に形成されており、図12に示すように、ロータ40が作動範囲θの中間位置Pに位置するとき、ロータ40の回転中心Lと突出部42を通る直線SL上において、ロータ40のN極外周面41bと対向するように配置されて、図11に示すように地板10に固定されている。
【0042】
ここで、電磁アクチュエータM´の動作について図13及び図14を参照しつつ説明する。
先ず、コイル60が非通電の状態において、ロータ40は、例えば、図13(a)に示すように、一端位置Pに位置している。このとき、第1磁極部51aがN極外周面41bを時計回りに引き付け、第2磁極部52aがS極外周面41cを時計回りに引き付け、ロータ40に対して共に時計回りの磁気的付勢力を及ぼす。尚、磁性部材80はN極外周面41bとの間に磁気的吸引力を生じるが、上記時計回りの磁気的付勢力に比べて小さい。したがって、ロータ40は、ストッパにより(ここでは、出力ピン43及び羽根部材30を介して全開ストッパ17により)時計回りの回転が規制されて、一端位置Pに位置決め保持される。
【0043】
この状態で、コイル60が所定向きに通電されると、図13(b)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51bにN極が発生し、第2磁極部52aにS極が発生する。これにより、第1磁極部51a及び第2磁極部52aは、ロータ40を反時計回りに回転させるように反発力を生じ、又、磁性部材80とN極外周面41bとの間の磁気的吸引力も加わって、ロータ40は反時計回りに回転し始める。尚、補助磁極部51bと突出部42との間には磁気的吸引力が生じ、この磁気的吸引力は、ロータ40の反時計回りの回転を補助するように作用する。
【0044】
そして、図13(c)に示すように、ロータ40が作動範囲θの中間位置Pに達した時点で(あるいは直前に)コイル60の通電を断つと、図13(d)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51b並びに第2磁極部52aに発生していた磁極(N極、S極)が消滅し、ロータ40の突出部42と補助磁極部51bとは、互いに引き合うように磁気的吸引力を生じる。また、磁性部材80とロータ40のN極外周面41bとは互いに引き合うように磁気的吸引力を生じる。これにより、ロータ40は、前述の実施形態に比べてより大きい磁気的保持力により、中間位置Pに停止して位置決め保持される。
【0045】
続いて、図14(a)に示すように、ロータ40が中間位置Pに停止した状態から、再びコイル60が同一の向きに通電されると、図14(b)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51bにN極が発生し、第2磁極部52aにS極が発生する。これにより、第1磁極部51aはS極外周面41cとの間に吸引力を生じかつN極外周面41bとの間に反発力を生じ、第2磁極部52aはN極外周面41bとの間に吸引力を生じかつS極外周面41cとの間に反発力を生じ、ロータ40は反時計回りにさらに回転し始める。尚、このとき、補助磁極部51bと突出部42との間に生じる磁気的吸引力及び磁性部材80とN極外周面41bとの間に生じる磁気的吸引力は、第1磁極部51a及び第2磁極部52aとロータ40との間に生じる磁気的吸引力に比べれば小さく、ロータ40の反時計回りの回転に影響を及ぼすものではない
【0046】
そして、図14(c)に示すように、ロータ40が作動範囲θの他端位置Pに至った時点でコイル60の通電を断つと、図14(d)に示すように、第1磁極部51a及び補助磁極部51b並びに第2磁極部52aに発生していた磁極(N極、S極)が消滅する。そして、第1磁極部51aがS極外周面41cを反時計回りに引き付け、第2磁極部52aがN極外周面41bを反時計回りに引き付け、ロータ40に対して共に反時計回りの磁気的付勢力を及ぼす。したがって、ロータ40は、ストッパにより(ここでは、出力ピン43及び羽根部材30を介して全閉ストッパ18により)反時計回りの回転が規制されて、他端位置Pに位置決め保持される。
【0047】
一方、コイル60に逆向きの通電を行うと、第1磁極部51a及び補助磁極部51bにS極が発生しかつ第2磁極部52aにN極が発生して、ロータ40は時計回りに回転し、他端位置Pから中間位置Pを通過して一端位置Pまで移動し、コイル60の通電が断たれることで、一端位置Pに位置決め保持される。
【0048】
このように、ロータ40に突出部42を設け、ヨーク50に補助磁極部51bを設け、さらに、ロータ40が中間位置Pに位置するときに磁気的保持力を有効に発生する磁性部材80を採用するだけで、特別な部品を設けることなく、構造の簡素化、低コスト化等を達成しつつ、ロータ40を作動範囲θの両端位置(一端位置P、他端位置P)及び途中位置としての中間位置Pの3箇所に停止させることができる。
【0049】
尚、この電磁アクチュエータM´を駆動源として用いたカメラ用羽根駆動装置の動作については、磁性部材80の磁気的作用力が加わる点を除いて前述の実施形態と同様であり、電磁アクチュエータM´により、羽根部材30(第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32)が、図15に示す全開位置から、図16に示す絞り位置、図17に示す全閉位置に、それぞれ移動させられて、それぞれの位置に停止して位置決めされ、絞り状態からの撮影動作、あるいは、絞りを行わない状態からの撮影動作が行われる。
【0050】
このように、羽根部材30(第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32)を移動させて絞り動作を行わせるにあたり、磁気的付勢力だけでロータ40を中間位置Pに停止させることができるため、前述の実施形態と同様に、機械的な停止機構が不要になり、装置が簡略化される。その結果、装置の小型化、低コスト化、軽量化等を達成することができる。
【0051】
図18は、本発明に係る電磁アクチュエータのさらに他の実施形態を示すものであり、この実施形態においては、ヨーク及び押え板を一部変更した以外は、前述の実施形態と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、この実施形態において、ヨーク50´は、第1磁極部51a及び補助磁極部51bをもつ第1腕部51、第2磁極部52aをもつ第2腕部52´、円孔53、段差部54´を備えている。
そして、第2腕部52´は、段差部54´を境にして、第1腕部51よりも薄い肉厚に形成されている。
したがって、この第2腕部52´が挿入される押え板70におけるボビン71´の挿入孔71a´は、前述の実施形態の挿入孔71aに比べて小さく形成されている。
これによれば、第2腕部52´が挿入されるボビン71´の挿入孔71a´を小さすることができる分だけ、コイル60の巻き数を増やすことができる。
また、コイル60の巻き数が同じ場合、ボビン71´はロータ40の回転軸(回転中心L)方向に薄くできるので、電磁アクチュエータの薄型化が可能となる。
【0052】
上記実施形態においては、ロータ40の突出部42と対向する補助磁極部51bを、第1磁極部51aと同じ磁極を発生し得る第1腕部51に設けた場合を示したが、これに限定さるものではなく、ボビン71への挿入が可能である限り、第2腕部52,52´に補助磁極部を設けてもよい。
上記実施形態においては、羽根部材30として、第1揺動羽根31及び第2揺動羽根32からなるものを示したが、これに限定されるものではなく、羽根部材として、2つ又は3つの絞り開口を画定する一つの絞り羽根を採用してもよく、又、二段階又は三段階に濃度の異なるNDフィルタ羽根を採用してもよい。
上記実施形態においては、ロータ40が作動範囲θの両端位置以外に停止する位置として中間位置Pを採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、その他の途中位置を採用してもよい。
上記実施形態においては、羽根部材30を全開位置及び全閉位置に停止させるべく、地板10に全開ストッパ17及び全閉ストッパ18を設けた場合を示したが、これに限定されるものではなく、地板10の貫通孔12の内縁の両端部に出力ピン43を当接させることで全開ストッパ及び全閉ストッパの機能を得ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上述べたように、本発明の電磁アクチュエータによれば、複雑な停止機構等を採用せずに、構造の簡略化、低コスト化等を達成しつつ、ロータを作動範囲の両端位置以外の途中位置においても停止させることができるため、カメラの絞り兼用の羽根部材を駆動する駆動源として適用できるのは勿論のこと、その他の駆動対象を駆動する駆動源としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る電磁アクチュエータを備えたカメラ用羽根駆動装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すカメラ用羽根駆動装置の一部を示す展開断面図である。
【図3】図1に示すカメラ用羽根駆動装置に含まれる電磁アクチュエータを示す平面図である。
【図4】図1に示すカメラ用羽根駆動装置に含まれる羽根部材及び地板等を示す平面図である。
【図5】図1に示すカメラ用羽根駆動装置に含まれる電磁アクチュエータの動作を説明するものであり、(a)ないし(d)は、コイルへの通電及び非通電におけるロータの位置及びヨークの磁極状態を示す状態図である。
【図6】図1に示すカメラ用羽根駆動装置に含まれる電磁アクチュエータの動作を説明するものであり、(a)ないし(d)は、コイルへの通電及び非通電におけるロータの位置及びヨークの磁極状態を示す状態図である。
【図7】図1に示すカメラ用羽根駆動装置において、羽根部材が開口部を全開した全開位置にある状態を示す平面図である。
【図8】図1に示すカメラ用羽根駆動装置において、羽根部材が開口部を所定の口径に絞る絞り位置にある状態を示す平面図である。
【図9】図1に示すカメラ用羽根駆動装置において、羽根部材が開口部を全閉した全閉位置にある状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係る電磁アクチュエータを備えたカメラ用羽根駆動装置の他の実施形態を示す平面図である。
【図11】図10に示すカメラ用羽根駆動装置の一部を示す展開断面図である。
【図12】図10に示すカメラ用羽根駆動装置に含まれる電磁アクチュエータを示す平面図である。
【図13】図10に示すカメラ用羽根駆動装置に含まれる電磁アクチュエータの動作を説明するものであり、(a)ないし(d)は、コイルへの通電及び非通電におけるロータの位置及びヨークの磁極状態を示す状態図である。
【図14】図10に示すカメラ用羽根駆動装置に含まれる電磁アクチュエータの動作を説明するものであり、(a)ないし(d)は、コイルへの通電及び非通電におけるロータの位置及びヨークの磁極状態を示す状態図である。
【図15】図10に示すカメラ用羽根駆動装置において、羽根部材が開口部を全開した全開位置にある状態を示す平面図である。
【図16】図10に示すカメラ用羽根駆動装置において、羽根部材が開口部を所定の口径に絞る絞り位置にある状態を示す平面図である。
【図17】図10に示すカメラ用羽根駆動装置において、羽根部材が開口部を全閉した全閉位置にある状態を示す平面図である。
【図18】本発明に係る電磁アクチュエータのさらに他の実施形態を示すものであり、(a)はその一部を示す平面図、(b)その一部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 地板(基板)
10a 露光用の開口部
11 支軸
12 貫通孔
13 連結部
14,15 支軸
16 連結部
17 全開ストッパ
18 全閉ストッパ
20 裏板(基板)
20a 露光用の開口部
21 長孔
22 円孔
30 羽根部材
31 第1揺動羽根
31a 円孔
31b 長孔
31c 大開口
31d 半円開口
32 第2揺動羽根
32a 円孔
32b 長孔
32d 半円開口
M,M´ 電磁アクチュエータ
40 ロータ
41 着磁ロータ部
41a 貫通孔
41b N極外周面
41c S極外周面
42 突出部
42a 円弧面
43 出力ピン
50,50´ ヨーク
51 第1腕部
51a 第1磁極部
51a´ 円弧面
51b 補助磁極部
51b´ 円弧面
52,52´ 第2腕部
52a 第2磁極部
52a´ 円弧面
53 円孔
54´ 段差部
60 コイル
B ネジ
70 押え板
71,71´ ボビン
71a,71a´ 挿入孔
72 円孔
80 磁性部材
L 回転中心
SL ロータの回転中心と突出部を通る直線
θ ロータの作動範囲
一端位置(初期回転位置)
中間位置(途中位置)
他端位置(最大回転位置)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外周面を有し所定の作動範囲を回動するロータと、励磁用のコイルと、前記ロータの外周面に対向する円弧面を画定すると共に前記コイルへの通電により互いに異なる磁極を生じる第1磁極部及び第2磁極部を有するヨークと、を備えた電磁アクチュエータであって、
前記ロータは、前記外周面を画定すると共にその周方向に異なる磁極に着磁された着磁ロータ部と、前記外周面から径方向に突出すると共にその外周面と同一の磁極に着磁された突出部とを含み、
前記ヨークは、前記ロータが前記作動範囲の途中位置に位置するとき前記ロータの径方向において前記突出部と対向するべく、前記第1磁極部及び第2磁極部の一方から延出して形成された補助磁極部を含む、
ことを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記途中位置は、前記作動範囲の中間位置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記突出部は、径方向の先端において円弧面を画定するように形成され、
前記補助磁極部は、前記突出部の円弧面と対向する円弧面を画定するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記着磁ロータ部は、周方向において二分されたN極外周面及びS極外周面を有し、
前記突出部は、前記N極外周面及びS極外周面の一方において、周方向の略中央から突出するように形成されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記ロータが前記中間位置に位置するとき、前記ロータの回転中心及び前記突出部を通る直線上において、前記N極外周面及びS極外周面の他方と対向するように配置された磁性部材をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記ロータは、外部に駆動力を出力するべく、樹脂材料により形成された出力ピンを含む、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記ヨークは、前記第1磁極部を有する第1腕部と、前記第2磁極部を有すると共に前記コイルを巻回するボビンに挿入される第2腕部とを一体的に有し、
前記第2腕部は、前記第1腕部よりも薄い肉厚に形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずいれか一つに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
露光用の開口部を有する基板と、前記開口部を全開する全開位置,前記開口部を所定の口径に絞る絞り位置,及び前記開口部を全閉する全閉位置にそれぞれ位置付けられるべく前記基板に対して移動自在に支持された羽根部材と、前記羽根部材を駆動する駆動源とを備え、
前記駆動源は、請求項1ないし7いずれか一つに記載の電磁アクチュエータである、
ことを特徴とするカメラ用羽根駆動装置。
【請求項9】
前記羽根部材は、互いに協働して、前記全開位置に位置するとき前記開口部を全開し、前記絞り位置に位置するとき前記開口部を所定の口径に絞り、前記全閉位置に位置するとき前記開口部を全閉するように形成された第1揺動羽根及び第2揺動羽根からなる、
ことを特徴とする請求項8に記載のカメラ用羽根駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−8633(P2010−8633A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166908(P2008−166908)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】