説明

電磁アクチュエータ

【課題】コイルを巻回した固定子枠内に、回転子の着脱を極めて容易に行えるようにした電磁アクチュエータを提供すること。
【解決手段】固定子枠2の外側に、軸受け孔2d,受け孔2eを囲むようにしてコイル4が巻回されている。回転子1は、回転子軸1bを垂直にし、開口部2hから収容室内に挿入される。そのとき、回転子軸1bの上方の軸部は、切込み部2h−1を通ってから受け孔2eの端面2e−1.2e−2に案内されていくが、該軸部が端面2e−3に当接したところで、回転子1を下げると、回転子軸1bの下方の軸部が軸受け孔2dに嵌合する。その後、補助固定枠3の押さえ部3bを挿入すると、受け孔2eの端面2e−1,2e−2,2e−3と、押さえ部3bの端面3b−3とで、回転子軸1bの上方の軸部の軸受け部が構成される。その後、ヨーク5が上方から嵌装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を有する回転子が所定の角度範囲内でだけ往復回転可能であって、回転子と一体的に回転する出力部によって、被駆動部材を駆動するようにした電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、その基本構成が、下記の特許文献1にも従来品として記載されているような、古くから知られているタイプの電磁アクチュエータに関するものである。即ち、この種の電磁アクチュエータは、筒状部の一端を壁で閉鎖しているように形状された第1固定子枠と、その筒状部の他端を塞ぐようにする板状部や各種装置への取付け部も有している第2固定子枠との間に収容室を構成しており、永久磁石を有する回転子は、その収容室内において、回転軸部の一方を上記の壁に軸受けされ、他方を上記の板状部に軸受けされている。また、回転子には、略径方向へ張り出した腕部が一体的に形成されており、その腕部の先端に設けられた出力部が、収容室外で被駆動部材を駆動するようになっている。
【0003】
また、二つの固定子枠の外側には、二つの軸受け部の外側を通るようにしてコイルが巻回されており、それによって、二つの固定子枠同士が一体化されている。そして、上記の筒状部の外側には、そのコイルをも包むようにして略円筒形をしたヨークが嵌装されている。このような構成の電磁アクチュエータは、主としてカメラに内蔵されるシャッタ装置や絞り装置などの駆動源として用いられることが多いが、施錠装置のようなカメラ関係以外の小型装置の駆動源としても使用可能であることが知られており、回転子は、コイルに供給される電流の方向に対応した方向に回転力を付与され、所定の角度範囲(通常は40度前後)でだけ往復回転させられるようになっている。
【0004】
このような電磁アクチュエータを組み立てる場合には、先ず回転子を収容室内で軸受け状態にし、その状態を維持させておきながら、二つの固定子枠の外側に巻線機でコイルを巻回し、その後、ヨークを嵌装する。そのため、コイルを巻回するときには、複雑な構成の特殊な治具が必要になるほか、回転子を軸受けした状態を保ちながら二つの固定子枠を治具へ着脱する作業も面倒であった。また、組立後に、回転子の軸受け状態が不適切であると判明したときには、一旦コイルをほぐしておいてから再度巻き直す必要がある。そのため、作業が面倒であって多くの作業時間を要するほか、コイルの再利用も不可能であって、コスト上で極めて不利であった。そこで、そのような組立て作業や再組立て作業を容易に行えるようにすることの可能な構成をした電磁アクチュエータが、下記の特許文献2及び3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平07−014443号公報
【特許文献2】特開2009−247130号公報
【特許文献3】特開平11−183962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に記載の電磁アクチュエータは、二つの固定子枠に対して、コイルを巻線機で巻回するのではなく、予め熱処理加工などによって四角い筒状に成形された空芯コイルを用意しておき、その空芯コイルを、二つの固定子枠に対して、回転子の回転軸とは直交する方向から着脱するようにしたものであって、極めて有効な構成であるといえる。しかし、その着脱に際しては、作業を誤ると比較的高価な空芯コイルを傷付けてしまうことがあり、また、空芯コイルの着脱を可能にすることから、各種の装置への取付け部を有している第2固定子枠の形状に制約を受けてしまうということもある。
【0007】
また、特許文献3に記載の電磁アクチュエータは、予めコイルを巻回した固定子枠(コイルボビン)に、回転子(ロータ)の一方の軸部(下軸端)の軸受け孔を形成し、補助固定子枠(軸受け部材)には、回転子の他方の軸部(上軸端)の軸受け孔を形成しておき、組立てに際しては、上記の他方の軸部を補助固定子枠の軸受け孔に嵌合させた状態で、回転子を固定子枠の側面開口から固定子枠内に挿入し、上記の一方の軸部を固定子枠の軸受け孔に嵌合させている。しかしながら、この構成の場合には、回転子を固定子枠内に挿入するとき、回転子を、補助固定子枠に取り付けられた状態を維持したまま、且つ回転軸を斜めに倒した状態にしておいて固定子枠内に挿入しなければならず、しかも、固定子枠内においては、斜めの姿勢を垂直にしながら上記の一方の軸部を固定子枠の軸受け孔に嵌合させる必要があるので、その着脱作業に極めて熟練を要するという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、特許文献3に記載されている電磁アクチュエータを改良したものであって、コイルを巻回した固定子枠内に、側方から回転軸を垂直にしたまま回転子を挿入可能にすることによって、回転子の着脱が極めて容易に行えるようにした電磁アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の電磁アクチュエータは、永久磁石を有していて略円柱状をしており略径方向へ張り出して形成した少なくとも一つの腕部に出力部を設けていると共に回転中心には軸方向の少なくとも一方に円柱状の軸部を形成している回転子と、前記回転子の収容室を形成しておりその底部には前記回転子の一方の軸受け部を有し上部には前記軸部の周面が接触する受け部を有していて側方には前記回転子を回転軸を垂直にして挿入可能な開口部を有している固定子枠と、前記軸部の周面に接触する押さえ部と前記回転子の上面に接触する受け面とを有しており前記回転子を前記収容室へ挿入し前記底部に向けて移動させて前記軸受け部による軸受け状態が得られたあと前記開口部から該押え部を挿入し前記受け部とによって前記回転子の他方の軸受け部を構成し且つ該受け面によって前記回転子の軸方向の移動を規制する補助固定子枠と、前記二つの軸受け部を囲むようにして前記固定子枠の外側に巻回されているコイルと、前記補助固定子枠と前記コイルとを包むようにして前記固定子枠の外側に嵌装されている筒状のヨークと、を備えているようにする。
【0010】
その場合、前記他方の軸受け部は、前記軸部の周面に対して略等角度間隔の4箇所で接触しており、前記受け部と前記押さえ部は、いずれか一方が1箇所で接触し、他方が3箇所で接触しているようにすることが製作上は好ましいが、前記受け部と前記押さえ部は、少なくとも一方が、前記軸部に接触する円弧面を有しているようにしても差し支えない。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、コイルを巻回した固定子枠内に、側方の開口部から回転子を回転軸を垂直にしたまま挿入してから、固定子枠内の底部に設けられた軸受け部に回転子を軸受けさせた後、補助固定子枠に設けられた押さえ部を開口部から挿入し、固定子枠の上部に設けられた受け部とその押さえ部によって、回転子の軸部を軸受けするようにしたから、熟練を要さずとも固定子枠内への回転子の着脱作業が極めて容易に行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の斜視図である。
【図2】実施例の断面図である。
【図3】実施例の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を、図示した実施例によって説明するが、本発明の実施形態は、実施例の形態に限定されるものではない。そのため、その他の形態については、実施例の説明の中で随時説明することにする。尚、図1〜図3は、いずれも実施例を説明するためのものであって、図1は斜視図であり、図2は断面図であり、図3は分解斜視図である。
【実施例】
【0014】
本実施例の電磁アクチュエータは、図3の分解斜視図に示されている回転子1と、固定子枠2と、補助固定子枠3と、コイル4と、ヨーク5と、図示していない5本の磁性体棒(鉄ピンともいう)とで構成されている。
【0015】
先ず、回転子1は、本体部が略円柱状をしているが、図2から分かるように、本実施例の場合は、円筒状をした永久磁石1aと、合成樹脂製の回転子軸1bとが一体成形されており、回転子軸1bの両端の軸部1b−1,1b−2は、永久磁石1aの上下の端面から円柱状に突き出ていて、後述する各々の軸受け手段によって回転可能に軸受けされるようになっている。そして、この回転子1には、径方向へ斜めに張り出した腕部1cと、その腕部1cの先端に設けられた出力部(出力ピン)1dとが、回転子軸1bと共に合成樹脂で形成されている。
【0016】
尚、本実施例の回転子1は、このように製作されているが、本発明の回転子は、全体を、合成樹脂材料と磁性体材料との混合材料で成形しておいてから着磁するようにした周知のプラスチックマグネット製としても構わない。また、本実施例の回転子1は、回転子軸1bの両端に軸部1b−1,1b−2を設けているが、周知の回転子の中には、本実施例の軸部1b−2の代りに円柱状の孔が所定の深さに形成されていて、固定の軸受け軸に対して回転可能に嵌合させるようにしたものが知られているが、本発明の回転子は、そのように構成されたものであっても構わない。
【0017】
更に、本実施例の場合には、腕部1cが径方向へ斜めに張り出していて、出力部(出力ピン)1dが、回転子軸1bと平行になるように形成されているが、本発明の回転子は、このような構成に限定されない。例えば、腕部1cを径方向へ真っ直ぐ張り出すようにしてもよく、その場合、出力部(出力ピン)1dは、回転子軸1bと平行になるように形成してもよいし、垂直となるように形成しても構わない。
【0018】
本実施例の固定子枠2は、合成樹脂製であって複雑な形状をしており、図2から分かるように、下面には、図示していない装置へ取り付けるときに必要な二つの位置決めピン2a,2bが形成され、その右方には、装置に取り付けるときにねじを挿通させるための孔2cが形成されている。
【0019】
また、この固定子枠2は、内部に、回転子1の収容室を形成しており、図3から分かるように、その底面2qには円形の軸受け孔2dが貫通孔として形成され、上部には長方形の受け孔2eが貫通孔として形成されている。それらのうち、円形をした軸受け孔2dは、回転子1の回転子軸1bの下方の軸部1b−2を回転可能に嵌合させるための孔である。また、長方形をしている受け孔2eの二つの長辺に形成されている端面2e−1,2e−2と、一方の短辺に形成されている端面2e−3には、回転子1の回転子軸1bの上方の軸部1b−1が接触するようになっている。つまり、短辺の長さ、即ち、端面2e−1と端面2e−2との間隔は、回転子軸1bの上方の軸部1b−1の直径と略同じになっている。尚、本実施例では、これらの軸受け孔2dと受け孔2eが貫通孔として形成されているが、本発明は貫通孔に限定されない。
【0020】
また、この収容室の側方には、三つの略四角い形状をした開口部2f,2g,2hが形成されている。それらのうち、互いに向き合って形成されている二つの開口部2f,2gは、周知のように、少しでも電磁アクチュエータの小型化を図るために不必要な肉を落とした結果として形成されているものであり、本発明にとっては必須のものではない。
【0021】
それに対して、開口部2hは、回転子1を収容室内に挿入するために形成されたものである。この開口部2hの上部には、切込み部2h−1が、上記の受け孔2eの短辺の長さにわたって形成されている。そのため、上記の受け孔2eは、図3に示されている二つの長辺と右上側に示されている短辺には、上記したように、回転子1の回転子軸1bの上方の軸部1b−1に接触する端面2e−1,2e−2,2e−3が存在しているが、左下側の短辺には、切込み部2h−1が形成されている関係で、それらのような端面は存在しない。
【0022】
更に、固定子枠2は、開口部2hを形成している外側の面に、二つの段部2i,2jを形成し、それらの上方部が、後述する補助固定子枠3の規制面2kとして平面状に形成されている。また、固定子枠2には、このほかにも、後述するヨーク5を嵌装するとき、ストッパの役目をする受け部2mと円弧状の溝部2nとが形成されており、さらに、図示していない周知の磁性体棒を圧入するために独特な形状をした三つの溝孔2pも形成されている。
【0023】
補助固定子枠3は、合成樹脂製であって、図示していない周知の磁性体棒を圧入するために、上記の溝孔2pと略同じ形状をした二つの溝孔3aを形成しているほか、固定子枠2の開口部2hから収容室内に挿入する板状の押さえ部3bを形成している。また、押さえ部3bは、コ字状をしていて、三つの端面3b−1,3b−2,3b−3を形成しており、その下側の面を、回転子1の上端面の受け面3b−4としている。そして、本実施例の場合、対向する二つの端面3b−1,3b−2の間隔は、固定子枠2に形成されている二つの端面2e−1,2e−2の間隔よりも若干大きくなっている。
【0024】
本実施例のコイル4は、固定子枠2に形成された上記の軸受け孔2d,受け孔2e,開口部2f,開口部2gを囲むようにして、固定子枠2の外側に形成された環状凹部内に巻回されている。
【0025】
尚、本実施例の場合には、図示していない磁性体棒を備えていることからも自明のように、固定子枠2にコイル4を一つだけ巻回していて、電流の供給方向に対応した方向へ、ストッパによって停止させられるまで回転子1を回転させるようにした電磁アクチュエータとして構成されているが、本発明の電磁アクチュエータは、このような構成に限定されるものではなく、コイルを二つ巻回しておき、相互に逆向きの電流を供給することによって、回転子を任意の回転角度位置で停止させることを可能にした電磁アクチュエータとしても、また、特許文献3に記載されているように、ホール素子を備えることによって、回転子を任意の回転角度位置で停止させることを可能にした電磁アクチュエータとしても、構成することが可能である。
【0026】
本実施例のヨーク5は、比較的単純な円筒形をしている。そして、後述するように、このヨーク5は、本来のヨークの役目のほかに、固定子枠2に対する補助固定子枠3の取り付け状態を維持する役目もしている。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されず、固定子枠2に対する補助固定子枠3の取り付け状態の維持構成は、例えば、固定子枠2の開口部2hの外側に形成した可撓性のフック部が、補助固定子枠3を引っ掛けて止めるようにしても構わない。
【0027】
尚、本実施例のヨーク5は、このような形状をしているが、本発明のヨークは、このような単純な円筒形をしたものに限定されない。周知のように、ヨークには、種々の形状が知られていて、電磁アクチュエータを装置に取り付ける場合には、本実施例のように、固定子枠2をねじによって取り付けるのではなく、特殊な形状をしたヨークによって取り付けるようにしたものも知られている。従って、本発明のヨークは、筒状をしていて、固定子枠2に対する補助固定子枠3の取り付け状態を維持することができれば、どのような形状をしていても構わない。
【0028】
次に、本実施例の組み立て方を、主に図3を用いて説明する。先ず、本実施例の場合には、回転子1を組み付ける前に、固定子枠2にコイル4を巻回しておく。そのため、コイルの巻回作業は極めて容易に行えるが、コイル4を巻回したことによって、軸受け孔2d,受け孔2e,開口部2f,開口部2gが塞がれるので、収容室内は開口部2hからだけしか見ることができない。
【0029】
そこで次に、回転子1を開口部2hから収容室内に挿入していくが、このとき、回転子軸1bは垂直状態を保たせたまま、回転子軸1bの上方の軸部1b−1が切込み部2h−1内を通るようにして挿入していく。そのため、回転子軸1bの上方の軸部1b−1は、受け孔2eの二つの端面2e−1,2e−2の間を進行していくことになる。他方、回転子軸1bの下方の軸部1b−2は、その先端面が、固定子枠2の収容室内の底面2qすれすれに進行していくことになる。そして、回転子軸1bの上方の軸部1b−1が、受け孔2eの端面2e−3に当接したとき、回転子1を垂直に下げると、回転子軸1bの下方の軸部1b−2が、軸受け孔2dに嵌合する。
【0030】
このように、本実施例は、回転子1の挿入に際して、受け孔2eの二つの端面2e−1,2e−2をガイドとして利用し、三つの端面2e−1,2e−2,2e−3を位置決めとして利用することが可能になるので、収容室内を目視することができなくても、回転子軸1bの下方の軸部1b−2を軸受け孔2dに容易に嵌合させることが可能である。
【0031】
このようにして回転子1を収容室内に納めた後、補助固定子枠3が、開口部2hの縁に形成されている規制面2kに当接するまで、押さえ部3bを、開口部2hから収容室内へ挿入する。その結果、補助固定子枠3は、固定子枠2の規制面2kと段部2i,2jとで姿勢を規制されることになって、押さえ部3bの端面3b−3と、固定子枠2の受け孔2eの三つの端面2e−1,2e−2,2e−3とで、回転子軸1bの上方の軸部1b−1の軸受け部を構成することになる。更に、押さえ部3bの受け面3b−4が、回転子1の上端面に接触し得るようになって、固定子枠2の底面2qとによって、回転子1の軸方向の移動を好適に規制し得るようになる。
【0032】
尚、本実施例の場合には、このように、固定子枠2の受け孔2eの三つの端面2e−1,2e−2,2e−3と、補助固定子枠3の押さえ部3bの端面3b−3とで、回転子軸1bの上方の軸部1b−1の軸受け部を構成しているが、本発明は、このような構成に限定されない。受け孔2eの二つの端面2e−1,2e−2の間隔を変えたり、押さえ部3bの二つの端面3b−1,3b−2の間隔を変えたりすることによって、回転子軸1bの上方の軸部1b−1の軸受け部を、例えば、受け孔2eの端面2e−3と押さえ部3bの三つの端面3b−1,3b−2,3b−3とで構成しても構わないし、受け孔2eの二つの端面2e−1,2e−3と押さえ部3bの二つの端面3b−2,3b−3とで構成したりしても構わない。また、受け孔2eの三つの端面2e−1,2e−2,2e−3と、押さえ部3bの三つの端面3b−1,3b−2,3b−3との少なくとも一方を半円状の円弧面に形成しても構わない。
【0033】
このようにして、固定子枠2の開口部2hから、補助固定子枠3の押さえ部3bを挿入した後、ヨーク5を、補助固定子枠3とコイル4を囲み込むようにして、受け部2m,溝部2nに当接するまで嵌装する。以上のように、本実施例の電磁アクチュエータは、組立作業が極めて容易であり、また、必要に応じて、回転子1を簡単に取り出すことが可能であり、再度の組立も容易となる。
【0034】
尚、本実施例は、回転子1が、下方へ斜めに張り出した一つの腕部1cを有している電磁アクチュエータであるが、腕部1cを回転子軸1bに対して垂直に張り出させれば、出力部1dの形状しだいで、二つの腕部を有する電磁アクチュエータとすることも可能である。その場合には、回転子を収容室へ挿入する開口部と対向するところに、二つ目の腕部を外部へ突き出させる開口部を形成すればよいことになる。
【符号の説明】
【0035】
1 回転子
1a 永久磁石
1b 回転子軸
1b−1,1b−2 軸部
1c 腕部
1d 出力部
2 固定子枠
2a,2b 位置決めピン
2c 孔
2d 軸受け孔
2e 受け孔
2e−1〜2e−3,3b−1〜3b−3 端面
2f,2g,2h 開口部
2h−1 切込み部
2i,2j 段部
2k 規制面
2m 受け部
2n 溝部
2p,3a 溝孔
2q 底面
3 補助固定子枠
3b 押さえ部
3b−4 受け面
4 コイル
5 ヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を有していて略円柱状をしており略径方向へ張り出して形成した少なくとも一つの腕部に出力部を設けていると共に回転中心には軸方向の少なくとも一方に円柱状の軸部を形成している回転子と、前記回転子の収容室を形成しておりその底部には前記回転子の一方の軸受け部を有し上部には前記軸部の周面が接触する受け部を有していて側方には前記回転子を回転軸を垂直にして挿入可能な開口部を有している固定子枠と、前記軸部の周面に接触する押さえ部と前記回転子の上面に接触する受け面とを有しており前記回転子を前記収容室へ挿入し前記底部に向けて移動させて前記軸受け部による軸受け状態が得られたあと前記開口部から該押え部を挿入し前記受け部とによって前記回転子の他方の軸受け部を構成し且つ該受け面によって前記回転子の軸方向の移動を規制する補助固定子枠と、前記二つの軸受け部を囲むようにして前記固定子枠の外側に巻回されているコイルと、前記補助固定子枠と前記コイルとを包むようにして前記固定子枠の外側に嵌装されている筒状のヨークと、を備えていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記他方の軸受け部は、前記軸部の周面に対して略等角度間隔の4箇所で接触しており、前記受け部と前記押さえ部は、いずれか一方が1箇所で接触し、他方が3箇所で接触しているようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記受け部と前記押さえ部は、少なくとも一方が、前記軸部に接触する円弧面を有していることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−235601(P2012−235601A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101988(P2011−101988)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】