説明

電磁弁

【課題】弁ボディと連結ボディとを連結してなるバルブケーシング上に電磁駆動部が設けられたとしても、電磁駆動部の防水性を確保することができる電磁弁を提供する。
【解決手段】弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の上面は略同一平面上に位置するとともに、弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の上面と弁部カバー41の開口縁部との間には、第1ガスケット42が配設されている。さらに、弁ボディ12と第1ピストン室形成体21との第1連結部位、及び弁ボディ12と第2ピストン室形成体26との第2連結部位には、張出シール部51bが第1ガスケット42に密着して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁弁の一種として、例えば特許文献1のパイロット式電磁弁が知られている。特許文献1のパイロット式電磁弁は、マニホールドベース上に設けられる第1及び第2パイロット弁を備えている。第1及び第2パイロット弁は、弁体と、該弁体を駆動するソレノイドと、ソレノイドへの通電に必要な各種電子部品とを備えている。ソレノイド及び各種電子部品は、第1及び第2パイロット弁の通電系(電磁駆動部)を構成している。
【0003】
また、マニホールドベース上には、第1及び第2パイロット弁によるパイロット流体の供給に基づいて駆動される弁体(主弁体)を備えた主弁(主弁部)が設けられている。マニホールドベースは、その長手方向に分離して、第1及び第2パイロット弁の設置面と、主弁の設置面とを備えている。また、主弁は弁体を収容するバルブケーシングを備えるとともに、バルブケーシングは、弁ボディと、該弁ボディの軸方向両側に設けられる第1ピストン箱(連結ボディ)及び第2ピストン箱(連結ボディ)とを備えている。弁ボディ、第1ピストン箱及び第2ピストン箱は、連結ねじにより一体に連結されている。
【0004】
また、マニホールドベース上には防水カバーが取り付けられている。防水カバーは、第1及び第2パイロット弁及び通電系を覆うとともに、防水カバーとマニホールドベース上面との間にパッキンを介した状態で、取付ねじによりマニホールドベースに対して気密に取り付けられている。これにより、パイロット式電磁弁が、水等の液体が飛び散ることがある作業環境や、高湿度の作業環境で使用されても、第1及び第2パイロット弁の通電系が防水されるため、水分によるトラブルを無くすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−273651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなパイロット式電磁弁においては、バルブケーシングの上面にパイロット弁を設置することがある。この場合、パイロット弁の通電系を防水するために、特許文献1のような防水カバーをバルブケーシング上に気密に取り付けて、パイロット弁を覆うことが考えられる。しかし、弁ボディとピストン箱との連結部位と、防水カバーとの重合部分においては、防水性が確保されておらず、パイロット弁の通電系が防水されなくなってしまう虞がある。
【0007】
なお、こうした問題は、パイロット流体の供給に基づいて主弁体を駆動させるパイロット式電磁弁に限らず、例えば、ソレノイドの励磁によるプランジャの往復動に伴い主弁体を駆動させる電磁弁においても、概ね共通した問題が起こり得る。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、弁ボディと連結ボディとを連結してなるバルブケーシング上に電磁駆動部が設けられたとしても、電磁駆動部の防水性を確保することができる電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、主弁体を往復動可能に収容するバルブケーシング上に電磁駆動部を備え、前記バルブケーシング上に取り付けられるとともに一面が開口した有蓋箱状のカバーにより、少なくとも前記電磁駆動部が覆われる電磁弁であって、前記バルブケーシングは、前記主弁体を収容する弁ボディと、前記弁ボディの両端のうちの少なくとも一方に連結される連結ボディとから構成されるとともに、前記弁ボディ及び前記連結ボディの上面は略同一平面上に位置するようになっており、前記弁ボディ及び前記連結ボディの上面と前記カバーの開口縁部との間には、前記弁ボディ及び前記連結ボディの上面と前記カバーの開口縁部との間をシールする第1のシール手段が設けられるとともに、前記弁ボディと前記連結ボディとの間には、前記弁ボディと前記連結ボディとの間をシールする第2のシール手段が設けられ、前記弁ボディと前記連結ボディとの連結部位には、前記第2のシール手段と一体化された張出シール部が前記第1のシール手段に密着して設けられていることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1のシール手段は、前記張出シール部に対して、前記カバーの外側から内側に向けて2列以上並んで密着するように形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第2のシール手段と前記張出シール部とは一体成形されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記電磁弁は、パイロット流体により前記主弁体を往復動させるパイロット形電磁弁であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、弁ボディと連結ボディとを連結してなるバルブケーシング上に電磁駆動部が設けられたとしても、電磁駆動部の防水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態におけるパイロット形電磁弁を示す部分破断縦断面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図1におけるB−B線部分破断断面図。
【図4】第1ガスケットと張出シール部とが密着した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をパイロット形電磁弁に具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、パイロット形電磁弁10は、主弁部Vと、この主弁部Vのバルブケーシング11上に設置されるパイロット弁部31と、バルブケーシング11に取り付けられるカバーとしての弁部カバー41とを備えている。
【0015】
まず、主弁部Vについて説明する。
主弁部Vのバルブケーシング11は、矩形箱状の弁ボディ12と、この弁ボディ12の両端に連結される連結ボディとしての矩形箱状の第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26とから構成されている。なお、バルブケーシング11において、弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の連設方向をバルブケーシング11の長手方向とし、この長手方向に直交する方向を短手方向とする。
【0016】
弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の外形は、各上面がそれぞれ略同一平面上に位置するように形成されている。弁ボディ12と第1ピストン室形成体21とは連結ねじB1により一体に固定されるとともに、弁ボディ12と第2ピストン室形成体26とは連結ねじB2により一体に固定されている。
【0017】
弁ボディ12の内部には、弁ボディの長手方向に延びる収容孔13が形成されるとともに、収容孔13内には圧縮エア(圧縮流体)の流路を切り換える主弁体としてのスプール弁14が往復移動可能に収容されている。スプール弁14は、スプール弁14の軸方向において互いに離間して配置された複数の弁14aを有するとともに、各弁14aの直径はスプール弁14の軸径よりも大きく設定されている。
【0018】
弁ボディ12には、給気ポート15、第1出力ポート16、第2出力ポート17、第1排気ポート18、及び第2排気ポート19が形成されている。そして、スプール弁14が第1切換位置に移動することにより、給気ポート15と第1出力ポート16、及び第2出力ポート17と第2排気ポート19が互いに連通されるようになっている。また、スプール弁14が第2切換位置に移動することにより、第1出力ポート16と第1排気ポート18、及び給気ポート15と第2出力ポート17が互いに連通されるようになっている。
【0019】
第1ピストン室形成体21には第1ピストン室22が形成されるとともに、第1ピストン室22は収容孔13の一端に連通している。第1ピストン室22には、第1ピストン23が移動可能に収容されている。第1ピストン23はスプール弁14の一端に装着されている。一方、第2ピストン室形成体26には第2ピストン室27が形成されるとともに、第2ピストン室27は収容孔13の他端に連通している。第2ピストン室27には、第2ピストン28が移動可能に収容されている。第2ピストン28はスプール弁14の他端に装着されている。第2ピストン28の外径は、第1ピストン23よりも小径(受圧面積が略1/2)になっている。
【0020】
そして、第1ピストン室22内へのパイロット流体の供給に基づいて第1ピストン23が移動し、その第1ピストン23と一体にスプール弁14が移動するようになっている。また、第2ピストン28の他端面と、この他端面に対向する第2ピストン室27の内面との間にはコイルスプリング29が配設されるとともに、コイルスプリング29の付勢力によりスプール弁14は第1ピストン室22側へ常に付勢されている。
【0021】
図3に示すように、第1ピストン室形成体21の一端面には嵌着溝21aが第1ピストン室22を取り囲むように形成されている。嵌着溝21aには、第2のシール手段としての第2ガスケット51が嵌着される。第2ガスケット51は、ゴム製であるとともに、その外形が嵌着溝21aに沿うように枠状に形成される第2ガスケット本体部51aを備えている。第2ガスケット51は、弁ボディ12と第1ピストン室形成体21との間に配設されるとともに、この第2ガスケット51により第1ピストン室22からのパイロット流体の漏れが防止される。
【0022】
また、図1に示すように、第2ピストン室形成体26の一端面には嵌着溝26aが第2ピストン室27を取り囲むように形成されている。嵌着溝26aには、第2ガスケット51が嵌着されている。第2ガスケット51は、弁ボディ12と第2ピストン室形成体26との間に配設されるとともに、この第2ガスケット51により第2ピストン室27からのパイロット流体の漏れが防止される。
【0023】
次に、パイロット弁部31について説明する。
パイロット弁部31は、パイロット流体を制御するためにパイロット弁部31を駆動する電磁駆動部30を備えている。電磁駆動部30は、ソレノイドコイル32及びソレノイドコイル32への通電に必要な各種電子部品30aが取り付けられた基板30b、端子30c等から構成される。ソレノイドコイル32内には、プランジャ33が往復動可能に支持されるとともに、プランジャ33はソレノイドコイル32のヨークを支点とするコイルスプリング34の付勢力により、ソレノイドコイル32外に向かって付勢されている。また、ソレノイドコイル32が通電され、ソレノイドコイル32が励磁されると、プランジャ33はコイルスプリング34の付勢力に抗してソレノイドコイル32内に向かって移動するようになっている。
【0024】
図1において拡大して示すように、パイロット弁部31には弁室35が設けられるとともに、弁室35内にはゴムで形成される弁体36が配設されている。弁室35において、弁体36の一端面側には第1弁座35aが設けられるとともに、弁体36の他端面側には第2弁座35bが設けられている。弁体36の一端面と、この一端面に対向するプランジャ33との間には、弁ガイド(図示せず)が設けられるとともに、弁体36の他端面と、この他端面に対向する弁室35の内面との間には、弁付勢バネ37が配設されている。
【0025】
また、弁室35において、第1弁座35aの内側には排気孔38が開口されるとともに、第2弁座35bの内側には給気孔39が開口され、さらに、弁体36の下方に出力孔40が開口されている。そして、第1ピストン室形成体21には、パイロット弁部31の給気孔39に一端が連通する給気通路39aが形成されるとともに、この給気通路39aの他端は弁ボディ12の下面に開口している。弁ボディ12の下面において、給気通路39aの他端には、正圧供給装置(図示せず)からパイロット流体として正圧空気が供給されるようになっている。
【0026】
また、第1ピストン室形成体21には、パイロット弁部31の出力孔40に一端が連通する出力通路40aが形成されるとともに、出力通路40aの他端は第1ピストン室22の内側面に開口されている。そして、出力孔40及び出力通路40aを介して第1ピストン室22内にパイロット流体が供給されると、第1ピストン23が移動してスプール弁14が移動するようになっている。また、第1ピストン室形成体21には、パイロット弁部31の排気孔38に一端が連通する排気通路38aが形成されるとともに、排気通路38aの他端は弁ボディ12の下面に開口し、排気通路38aの他端には排気管(図示せず)が接続される。上記構成のパイロット弁部31は、第1ピストン室形成体21の上面から弁ボディ12の上面に跨るようにバルブケーシング11上に設置されている。
【0027】
バルブケーシング11上には弁部カバー41が取り付けられている。弁部カバー41は一面が開口されるとともに、有蓋細長箱状に形成されている。弁部カバー41において、バルブケーシング11の長手方向に沿った方向を弁部カバー41の長手方向とし、バルブケーシング11の短手方向に沿った方向を弁部カバー41の短手方向とする。そして、弁部カバー41の開口縁部が、弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26上に跨るようにして取付ねじ(図示せず)によりバルブケーシング11上に取り付けられることで、パイロット弁部31及び電磁駆動部30が弁部カバー41により覆われる。
【0028】
図2に示すように、弁部カバー41の開口縁部全周には嵌着溝41aが開口縁部に沿って連続して延びるように形成されている。嵌着溝41aには、第1のシール手段としての第1ガスケット42が嵌着されている。第1ガスケット42は、ゴム製であるとともに、その外形が嵌着溝41aに沿うように枠状に形成される第1ガスケット本体部42aを備えている。そして、弁部カバー41がバルブケーシング11上に取り付けられると、第1ガスケット42は、弁部カバー41とバルブケーシング11との間に配設される。
【0029】
第1ガスケット本体部42aにおいて、弁ボディ12と第1ピストン室形成体21との連結部位(以下、「第1連結部位」とする)、及び弁ボディ12と第2ピストン室形成体26との連結部位(以下、「第2連結部位」とする)と重合する位置には、弁部カバー41の開口側へ膨出する膨出部43が形成されている。なお、第1連結部位において、弁ボディ12と第1ピストン室形成体21との連結面R1を図2における二点鎖線で示し、第2連結部位において、弁ボディ12と第2ピストン室形成体26との連結面R2を図2における二点鎖線で示す。
【0030】
図2において拡大して示すように、膨出部43は、第1ガスケット本体部42aから弁部カバー41の開口側に向かって互いに間隔をあけて延びる延在部43a,43bと、両延在部43a,43bを繋ぐとともに第1連結部位の連結面R1及び第2連結部位の連結面R2に対して交差する方向へ延びる交差部43cとからなる。そして、第1ガスケット本体部42a、延在部43a,43b及び交差部43cにより空間Kが区画形成される。また、交差部43cは、第1連結部位の連結面R1又は第2連結部位の連結面R2上を通過している。
【0031】
また、図3に示すように、第2ガスケット51は、第2ガスケット本体部51aと一体成形される張出シール部51bを備えている。張出シール部51bは、第2ガスケット本体部51aにおける第1ピストン室形成体21の上面側に一対設けられるとともに、張出シール部51bの上縁部511bは、第2ガスケット51が嵌着溝21aに嵌着されたときに、第1ピストン室形成体21の上面よりも上方へ僅かに張り出すように形成されている。
【0032】
この張出シール部51bの上縁部511bは、第1ガスケット本体部42aの第1ピストン室形成体21に位置する二つの膨出部43(交差部43c)と重合する。よって、第1ガスケット42には、張出シール部51bとの重合部位が、弁部カバー41の短手方向に沿って2箇所形成されている。すなわち、第1ガスケット42に膨出部43が形成されることにより、張出シール部51bに対し、第1ガスケット本体部42aと交差部43cとが弁部カバー41の外側から内側に向けて2列に並んで接触している。
【0033】
なお、第2ピストン室形成体26の一端面に嵌着された第2ガスケット51においても同様に張出シール部51bを備えており、この張出シール部51bの上縁部511bが、第1ガスケット本体部42aの第2ピストン室形成体26に位置する二つの膨出部43(交差部43c)と重合する。
【0034】
そして、図4に示すように、バルブケーシング11上にパイロット弁部31が設置された状態で、弁部カバー41をバルブケーシング11上に取り付ける。ここで、弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の上面がそれぞれ略同一平面上に位置しているため、第1ガスケット本体部42aが、弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の上面に跨るようにして密着する。この密着によりバルブケーシング11と弁部カバー41との間が全周に亘ってシールされる。
【0035】
また、図4において拡大して示すように、第1ガスケット本体部42a及び交差部43cと張出シール部51bとが重合する部位がそれぞれ密着する。よって、バルブケーシング11と弁部カバー41との間であって、第1連結部位及び第2連結部位と、第1ガスケット42とが重合する部位との間がシールされる。その結果、水が飛び散ることがある作業環境や、高湿度の作業環境でパイロット形電磁弁10が使用されても、第1連結部位及び第2連結部位と、第1ガスケット42とが重合する部位との間から水が浸入してしまうことが防止される。
【0036】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の上面を略同一平面上に位置させた。このため、弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の上面と弁部カバー41の開口縁部との間を、一つの第1ガスケット42で一括してシールすることができる。さらに、弁ボディ12と第1ピストン室形成体21との第1連結部位、及び弁ボディ12と第2ピストン室形成体26との第2連結部位それぞれに第2ガスケット51を設け、各第2ガスケット51及び第1ガスケット42同士を第2ガスケット51の張出シール部51bで密着させた。よって、第1ガスケット42と張出シール部51bとの密着により、第1連結部位及び第2連結部位と第1ガスケット42とが重合する位置をシールすることができる。したがって、バルブケーシング11と弁部カバー41との間、第1連結部位及び第2連結部位といった全ての部位が第1ガスケット42及び第2ガスケット51でシールされ、パイロット弁部31における電磁駆動部30の防水性を確保することができる。
【0037】
(2)第1ガスケット本体部42aと張出シール部51bとの重なり合いにおいて、応力の強弱が発生する。このため、第1ガスケット本体部42aと張出シール部51bとが重合する部位において、応力の低い部分で隙間ができ、水が浸入してしまう場合がある。しかし、本実施形態では、第1ガスケット42において、第1連結部位の連結面R1及び第2連結部位の連結面R2と重合する位置には、第1ガスケット本体部42aから膨出する膨出部43が形成されている。このため、第1ガスケット42は張出シール部51bに対し、連結面R1,R2に交差するように2列に並んで密着している。よって、膨出部43と張出シール部51bとが重合する部位の密着により、第1ガスケット本体部42aと膨出部43とで区画される空間Kでオリフィス効果が生じて水圧が減圧され、弁部カバー41の内側へ向かおうとする水が膨出部43によりシールされ、水がそれ以上弁部カバー41内側へ浸入してしまうことを防止することができる。
【0038】
(3)弁ボディ12と第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26との間には第2ガスケット51が配設されるとともに、張出シール部51bは、第2ガスケット本体部51aに一体成形されている。よって、第2ガスケット本体部51aと張出シール部51bとをそれぞれ別部品として成形する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0039】
(4)例えば、第1ガスケット本体部42aにおいて、第1連結部位及び第2連結部位と重合する位置以外の部分にも膨出部43を形成すると、第1ガスケット42とバルブケーシング11との間の密着部位が増えて、第1ガスケット42とバルブケーシング11との間で発生する反力が増大する。しかし、本実施形態では、第1ガスケット本体部42aにおいて、第1連結部位及び第2連結部位と重合する位置のみに膨出部43を形成しているため、第1ガスケット42とバルブケーシング11との間で発生する反力を必要最低限に抑えることができる。その結果、第1ガスケット42とバルブケーシング11との間で発生する反力に打ち勝つために、バルブケーシング11上に弁部カバー41を取り付けるための取付ねじの本数を多くする必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、第1ガスケット本体部42aにおいて、第1連結部位及び第2連結部位と重合する位置に膨出部43が形成され、第1ガスケット42は張出シール部51bに対し2列に並んで密着するように形成されていたが、これに限らない。例えば、膨出部43に対して弁部カバー41の開口側へ膨出する膨出部をさらに設けて、第1ガスケット42が張出シール部51bに対し、3列以上並んで密着するように第1ガスケット42を形成してもよい。
【0041】
○ 実施形態において、第1ガスケット本体部42aに膨出部43を設けたが、これに限らず、膨出部43を削除してもよい。
○ 実施形態において、張出シール部51bは、第2ガスケット本体部51aに一体成形されていたが、これに限らず、第2ガスケット本体部51aと張出シール部51bとをそれぞれ別部品として成形してもよい。これによれば、張出シール部51bと第2ガスケット本体部51aとを一体成形する場合に比べて、個々の部材を小型化することができる。
【0042】
○ 実施形態において、第1ガスケット42は、弁部カバー41の嵌着溝41aに嵌着されていたが、これに限らず、例えば、弁ボディ12、第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26の上面に跨るように嵌着溝を形成し、この嵌着溝に第1ガスケット42を嵌着させてもよい。
【0043】
○ 実施形態において、第1ガスケット42、第2ガスケット及び張出シール部51bが一体成形されていてもよい。
○ 実施形態では、バルブケーシング11上にパイロット弁部31が設置された状態で、弁部カバー41をバルブケーシング11上に取り付けたが、これに限らない。例えば、パイロット弁部31がバルブケーシング11上に設置されておらず、電磁駆動部30のみがバルブケーシング11上方に配設され、この電磁駆動部30を覆うように弁部カバー41をバルブケーシング11上に取り付けてもよい。
【0044】
○ 実施形態では、パイロット弁部31を、第1ピストン室形成体21の上面から弁ボディ12の上面に跨るように設けて、バルブケーシング11上に1つ設置したが、これに限らず、パイロット弁部31を、第2ピストン室形成体26の上面から弁ボディ12の上面に跨るようにさらに設けて、バルブケーシング11上に2つ設置するようにしてもよい。
【0045】
○ 実施形態では、バルブケーシング11は、弁ボディ12と、この弁ボディ12の両端に連結される第1ピストン室形成体21及び第2ピストン室形成体26とから構成されていたが、これに限らず、バルブケーシング11は、第1ピストン室形成体21又は第2ピストン室形成体26のうちのどちらか一方を削除した構成であってもよい。
【0046】
○ 本発明は、パイロット流体の供給に基づいてスプール弁14を駆動させるパイロット形電磁弁10に限らず、例えば、ソレノイドコイルの励磁によるプランジャの往復動に伴い主弁体を駆動させる電磁弁に適用することもできる。
【0047】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記カバーの開口縁部全周には嵌着溝が開口縁部に沿って連続して延びるように形成されるとともに、前記嵌着溝に前記第1のシール手段が嵌着されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電磁弁。
【符号の説明】
【0048】
10…電磁弁としてのパイロット形電磁弁、11…バルブケーシング、12…弁ボディ、14…主弁体としてのスプール弁、21…連結ボディとしての第1ピストン室形成体、26…連結ボディとしての第2ピストン室形成体、30…電磁駆動部、41…カバーとしての弁部カバー、41a…嵌着溝、42…第1のシール手段としての第1ガスケット、51…第2のシール手段としての第2ガスケット、51b…張出シール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主弁体を往復動可能に収容するバルブケーシング上に電磁駆動部を備え、前記バルブケーシング上に取り付けられるとともに一面が開口した有蓋箱状のカバーにより、少なくとも前記電磁駆動部が覆われる電磁弁であって、
前記バルブケーシングは、前記主弁体を収容する弁ボディと、前記弁ボディの両端のうちの少なくとも一方に連結される連結ボディとから構成されるとともに、前記弁ボディ及び前記連結ボディの上面は略同一平面上に位置するようになっており、前記弁ボディ及び前記連結ボディの上面と前記カバーの開口縁部との間には、前記弁ボディ及び前記連結ボディの上面と前記カバーの開口縁部との間をシールする第1のシール手段が設けられるとともに、前記弁ボディと前記連結ボディとの間には、前記弁ボディと前記連結ボディとの間をシールする第2のシール手段が設けられ、前記弁ボディと前記連結ボディとの連結部位には、前記第2のシール手段と一体化された張出シール部が前記第1のシール手段に密着して設けられていることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記第1のシール手段は、前記張出シール部に対して、前記カバーの外側から内側に向けて2列以上並んで密着するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記第2のシール手段と前記張出シール部とは一体成形されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記電磁弁は、パイロット流体により前記主弁体を往復動させるパイロット形電磁弁であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−31968(P2012−31968A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173638(P2010−173638)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】