電磁波シールド包装袋
【課題】収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋を提供する。
【解決手段】電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられてなる、又は透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられてなる、透視性を有する電磁波シールドフィルムが用いられていることを特徴とする電磁波シールド包装袋20を提供する。
【解決手段】電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられてなる、又は透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられてなる、透視性を有する電磁波シールドフィルムが用いられていることを特徴とする電磁波シールド包装袋20を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋に関する。さらに詳細には、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性能に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの通信機器から発生する電磁波が人体に悪影響を与えたり、周囲の電子機器を誤動作させることが問題とされるようになり、また、非接触型ICカードのデータを盗み取るいわゆるスキミングからの防御対策が問題とされるなど、不用な電磁波から電子機器を遮蔽する対策が益々重要視されつつある。
特に、携帯電話は、日常生活に必要不可欠な道具となり大量に普及していることから社会生活に与える影響が増大している。携帯電話の使用人口が増加するにつれて、使用場所をわきまえずに電源をオンにした者が居る場合や、あるいは携帯電話に備わっている予約時刻になると自動的に電源が入る機能を働かせていることにより不注意に電源がオンになっている場合があり、突然に携帯電話の呼び出し音を鳴り出して周囲の者に不快感を与えるような状況も増加している。
そのため、病院、映画館、演奏ホール、ホテルの会議室などでは、建築物の全体や特定の部屋全体に電磁波シールド対策を施し、完全に電磁波遮蔽した施設として建設することが望まれるようになっている。
しかし、建築物の全体や部屋全体に電磁波シールド対策を施すのは高額な建設費用が発生することから、一般的に普及するのが困難な状況である。
【0003】
また、最近では、航空機内に持ち込んだ携帯電話などの特定の通信機能を有する電子機器が、航空機の通信制御機能に悪影響を与えることから、航空機内での使用を制限する携帯電子機器を早急に見直す必要に迫られ、2007年10月1日に施行された「航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれのある電子機器等を定める告示(平成19年国土交通省告示第1120号)」において、次の(1)から(3)の区分により航空機内での使用が法律(航空法)で制限されている。
【0004】
(1)自ら強い電波を発射する機能を持ったものは、常時使用禁止。
(2)自ら電波発射機能はないが、使用時に強い電磁波が発生するものは、離着陸時のみ使用禁止。
(3)発生電磁波が極めて微弱であり計器障害を与えないものは、常時使用可。
【0005】
上記(1)の常時使用禁止とされる電子機器には、携帯電話、無声機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などが含まれている。
【0006】
上記(1)の常時使用禁止とされる電子機器は、機内では全く使用できないのであるから、仮にこれらの電子機器を機内に持ち込んだ乗客の不注意により電源が入っていても、航空機の通信制御機能に対する悪影響を排除する根本的な安全対策が求められている。このため、便宜的ではあったとしても安価な方法により電磁波を遮蔽する手段が必要とされる。例えば、携帯電話の電源を入れていれば常に外部に発信している電磁波を遮蔽する方法が求められている。
【0007】
一方、電磁波遮蔽対象物を電磁波から遮蔽する簡単な方法が、古くから用いられている。例えば、海外旅行で銀塩写真フィルムの持ち運びに使用する市販のX線遮蔽袋は、空港の手荷物検査で行なわれるX線照射で銀塩写真のフィルムが感光してしまうのを防護するために、鉛の薄板で作製された遮蔽用の袋が用いられている。この商品は、航空機を使用しての海外旅行が広く普及し始めた、少なくとも昭和50年以前から用いられて来たことが知られている。
【0008】
ところで、携帯電話などの通信機器を収納して外部との通信を完全に遮断するための、電磁波シールド性を有する包装袋に関しては、既に多くの先行技術が開示されている。
例えば、従来技術においては、完全に電磁波シールドを行なうために透視性を犠牲にした方法であって、基材に金属箔を積層した積層フィルム(特許文献1、3、4、8を参照)、基材に対して不透明になるまで金属の蒸着膜を施した蒸着フィルム(特許文献3、4、5、11を参照)、導電性を持たせた繊維を編み込んだ布生地(特許文献4を参照)などが知られている。
また、電磁波シールド性は完全ではないが、透視性を有する方法としては、金属蒸着膜のエッチングパターンによるもの(特許文献6を参照)、導電性を持たせた繊維を編み込んだ網体(特許文献7を参照)などが知られている。
【特許文献1】特開昭59−201856号公報
【特許文献2】実公平4−030099号公報
【特許文献3】実開平6−019543号公報
【特許文献4】特開平7−245496号公報
【特許文献5】実用新案登録第3044327号公報
【特許文献6】特開平11−031896号公報
【特許文献7】特開2000−083719号公報
【特許文献8】特開2001−171683号公報
【特許文献9】特開2002−046790号公報
【特許文献10】特開2003−304917号公報
【特許文献11】特開2004−329818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、特許文献1には、金属箔の少なくとも片面に接着剤を用いて布帛を積層した、シート状の電磁波シールド材が開示されている。各種器物のカバー包装材料、カバン、袋物の素材としても有用であるとしている。
また、特許文献2には、支持体層及びその片面にラミネート又はコーティングされた導電性材料層からなる二重層のフィルム又はシートの導電性材料層を内側にして二つ折りにされ、更に両翼部がそれぞれ外面に二つ折りにされた状態にされ、且つ両側縁がシールされて袋状に構成された袋が開示されている。導電材料としては、例えば、金属フォイルの貼り付け、カーボンを含む塗料の塗布、各種金属錯体の塗布などの方法で支持体表面に付着させるとしている。導電性材料は、電磁波シールド材としても作用するとしている。
【0010】
また、特許文献3には、内側生地と外側生地との間にアルミ箔又はアルミ蒸着したシールド層を設けて袋状に形成した包装袋が開示されている。
また、特許文献4には、包装袋の素材として、外層となる絶縁体層、中間層となる導電体層、および内層となるヒートシール性絶縁体層からなる多層フィルムが開示されている。また、中間層となる導電体層としては、アルミニウム箔などの金属箔またはその金属箔とプラスチック層との積層フィルム、金属蒸着された繊維状の基材を織り込んだ袋素材についても開示されている。
また、特許文献5には、包装袋の素材として、基材に金属蒸着膜を設けたフィルム、基材に金属箔を接着した積層フィルム、さらに、金属蒸着された繊維状の基材を織り込んだ袋素材が開示されている。
【0011】
また、特許文献6には、袋内部に携帯型電話機を収納した状態で着送信よび通話が可能であると共に漏洩電磁波量を抑制しうる袋が開示されている。電磁波シールド材が透明な基材フィルムの少なくとも片面にパターン状の金属導電層が設けられており、パターンは、二次元線分パターンであり、例えば、0.8GHzの携帯電話の場合、線幅は100〜500μm、線分で囲まれる空隙の最大間隔が好ましくは3〜15mmとしている。
また、特許文献7には、靴下の編み機を使用して導電性繊維糸により、網体の電磁波シールド袋が開示されている。電磁波シールド繊維糸としては、例えば銀メッキ繊維「エックスエイジ」(商品名;カネボウ繊維製)が使用される。電磁波シールド用の携帯電話機収納用ケースの編み体もまた靴下の編み機で編成されるため編み目の粗さ、すなわちメッシュ間隔として200メッシュ以上が得られるために、電磁波減衰率は80%以上になるとしている。なお、携帯電話機収納用ケース全体が導電性繊維糸で編成してもよいが、携帯電話機から電波が出る個所のみを導電性繊維糸で編成してもよいとしている。
【0012】
また、特許文献8には、アルミ材層からなる電磁波遮蔽材層の片面に合成樹脂材層を貼着して成る電磁波遮蔽シートから構成された袋体が開示されている。周辺機器に電磁波による悪影響を及ぼす恐れのある携帯電話や電子玩具等の電子・電気機器を収納して、これら電子・電気機器から発生する電磁波を遮蔽する電磁遮蔽袋であって、線ファスナーで袋口部を封止するだけで、電磁波を遮蔽することが可能としている。
また、特許文献9には、基材に金属蒸着層を設け、又は基材に金属箔を接着して、袋状を成した電磁波シールド袋が開示されている。基材に蒸着するアルミ蒸着層の厚みは、20〜80nm(200〜800オングストローム)としている。あるいは、基材に接着する金属箔の厚みは7〜9μmとしている。
【0013】
また、特許文献10には、携帯電話機を収納すると共に、携帯電話機と基地局との間の電波による通信を遮蔽する携帯電話用通信遮蔽バッグであって、通信のための電波を遮蔽する導電性素材を入れた生地を袋状に形成したバッグ本体を有し、バッグ本体に一端開口部を閉鎖する開閉自在な閉鎖具を装着したことを特徴とする携帯電話用通信遮蔽バッグが開示されている。電磁波シールド材に関しては、通信のための電波を遮蔽する導電性素材を入れた生地を袋状に形成したバッグ本体を有すると記載されているのみで、具体的な説明が全く記載されていない。
特許文献11には、フィルム樹脂に金属蒸着膜を形成したフィルムを用いた携帯電話の包装袋が開示されている。
【0014】
ところで、これらの電磁波シールド材で作製された包装袋内の収納物を視認できるためには、一般的に、電磁波シールド材を構成する樹脂フィルムにおける可視光線の平均透過率は、40%以上を有するのが好ましいが、金属蒸着膜を形成したフィルム(特許文献5、11)では収納物を視認できないという不都合があった。
例えば、特許文献11によると、可視光線の平均透過率が0.4〜0.15%とであるとしており、太陽光下においては内容物を目視確認することができない。又、内容物を目視確認できるようにするためには、金属蒸着膜を薄くする必要があるが、金属蒸着膜の膜厚を薄くすれば導電性が低下してしまい電磁波遮蔽効果が低下するという問題がある。
また、特許文献5によると、電磁波シールド材として、基材に蒸着する膜厚みを20〜80nm(200〜800オングストローム)とした、アルミニウムなどの金属蒸着膜を施したフィルムや、基材に厚みが7〜9μmの金属箔を接着した積層フィルム、さらに、金属蒸着された繊維状の基材を織り込んだ袋素材が開示されているが、これらの電磁波シールド材を用いて作製された袋は、いずれも不透明であり、収納物を視認できないものであるか、又は電磁波遮蔽性能が低いものであった。
【0015】
しかし、これらの従来技術においては、航空機内でも使用できる電磁波シールド包装袋であって、包装袋の内外の圧力差に基づく膨張及び破壊を防止できると共に、包装袋を密閉した後の開口部の空隙から透過する電磁波を遮蔽する、電磁波シールド性能に優れていて、さらに収納物を目視できる透視性を有する電磁波シールド材を用いた電磁波シールド包装袋は知られていなかった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内外の気圧変動に追従でき、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋を提供する。
【0018】
また、本発明は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋を提供する。
【0019】
前記細線のメッシュパターンは、線幅が10〜120μmであり、かつメッシュパターンのピッチ間隔が80〜600μmであることが好ましい。
前記透視性を有する電磁波シールドフィルムの表面抵抗率が10Ω/□以下であることが好ましい。
【0020】
前記包装袋の天部の近傍には再封可能な開口部を有し、前記包装袋は前記開口部を密閉するための密閉機構を備えており、前記密閉機構は、電磁波の透過を遮蔽することが可能で、前記開口部を密閉した状態で電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下であり、前記最大空隙幅は、円形状の隙間形状では直径、楕円形状では短径、矩形状では短辺の長さであることが好ましい。
前記包装袋には、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下である通気孔が少なくとも1つ以上、配設されていることが好ましい。
【0021】
前記包装袋を成す電磁波シールド材として、前記透視性を有する電磁波シールドフィルム以外の、透視性を有しない電磁波シールド材が用いられており、前記透視性を有しない電磁波シールド材は、基材の片面に金属箔または導電性繊維糸からなる織布を積層された積層フィルムからなることが好ましい。
【0022】
前記包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が塗布されたフラップ部、開口部の封止を補強する粘着剤層が塗布された封緘片、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する粘着剤層が塗布された封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上が設けられていることが好ましい。
前記包装袋の内部には、電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグが、少なくとも1個以上、配設されていることが好ましい。
【0023】
前記導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンは、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンからなり、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法、又は、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法のどちらかの方法により生成された現像銀メッシュパターンであることが好ましい。
【0024】
前記導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターンは、金属の蒸着により生成された蒸着膜パターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷パターン、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷パターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンの中から選択されたいずれかであることが好ましい。
【0025】
前記電磁波遮蔽対象物が、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する電子機器群から選択された1種または複数種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の電磁波シールド包装袋によれば、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成する包装袋において、使用する電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透視性を有する電磁波シールドフィルムが用いられているため、収納物を目視で確認することができる。
【0027】
本発明の磁波シールド包装袋において、透視性を有する電磁波シールドフィルムは、細線のメッシュパターンが、線幅が10〜120μmであり、且つメッシュパターンのピッチ間隔が80〜600μmであり、且つ、前記透視性を有する電磁波シールドフィルムの表面抵抗率が10Ω/□以下であることから、優れた透視性(視認され難いこと)と共に、優れた電磁波シールド性を有している。
【0028】
また、本発明の電磁波シールド包装袋において、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下である通気孔が少なくとも1つ以上、設けられていることにより、包装袋の内外の気圧変動に追従することが可能であり、包装袋が膨張し破損することを回避できる。
また、本発明の電磁波シールド包装袋において、電磁波シールド材には、高価な透視性を有する電磁波シールドフィルムが用いられている部分以外は、透視性は有していないが比較的に安価である金属箔が積層された積層フィルムを用いることにより、電磁波シールド包装袋の材料費を抑えることができる。
【0029】
上記のことから、本発明によれば、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1(a)は、本発明に用いられる、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略平面図、図1(b)は、細線メッシュパターンの目開きを説明するための、部分詳細図である。図2は、本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。図3は、本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。図4は、本発明に用いられる、金属箔の積層フィルムからなる電磁波シールド材の部分概略断面図である。
【0031】
図5は、本発明に係る電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す斜視図である。図6は、図5におけるA−A矢視の概略断面図である。図7は、通気口の内部に金属メッシュパターンを有する電磁波シールド材の1実施形態を示す要部拡大斜視図である。図8(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、図8(b)は図8(a)におけるB−B矢視の概略断面図である。図9(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、図9(b)は図9(a)におけるC−C矢視の概略断面図である。図10は、本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図である。図11(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、図11(b)は図11(a)におけるD−D矢視の概略断面図である。
【0032】
図12(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、フラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、図12(d)は、図12(b)のE部の部分拡大断面図である。図13(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、別のフラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、図13(d)は、図13(b)のF部の部分拡大断面図である。
図14は、本発明に係る、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片を備えた電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す平面図である。図15は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片の使用例を示す(a)斜視図、(b)封緘前の断面図、(c)封緘後の断面図である。
図16(a)〜(c)は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構の別の例であって、封緘片の使用例を示す斜視図である。
【0033】
本発明の電磁波シールド包装袋は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、図1から3に示すように、透明な基材1の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターン2、さらにその細線のメッシュパターン2とその上にメッキ層3とを有する金属メッシュパターン7が設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルム6、8が用いられている。
【0034】
細線のメッシュパターン2、又は金属メッシュパターン7の上には、必要に応じて、例えば、粘着材4を介して保護フィルム5が積層されている。あるいは、細線のメッシュパターン2、又は金属メッシュパターン7の上には、必要に応じて、文字や図柄を印刷した印刷層を積層し、その上に粘着剤を介して表面被覆フィルムを貼り合せても良い。印刷層は、包装袋などで必要とされる文字や図柄を表示するために用いるものであって、ウレタン系、アクリル系などのインキバインダー樹脂に各種顔料、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されたインキを塗布して形成される層である。印刷層は、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの公知の印刷方法にて形成される。印刷層の厚さは、通常、0.05〜2.0μm程度で良い。
【0035】
図1(b)は、細線メッシュパターンの目開きを説明するための、部分詳細図であって、メッシュパターンの細線は、縦横に、線幅w、ピッチ間隔pで配設されている。
この場合、メッシュパターンの目開き寸法dは、(p−w)となる。本発明では、前記細線のメッシュパターンは、線幅wが10〜120μmであり、且つメッシュパターンのピッチ間隔pが80〜600μmである。
【0036】
図4は、本発明に用いられる、透視性を有しない電磁波シールド材であって、基材9の片面に金属箔11が積層された積層フィルムからなる電磁波シールド材13の部分概略断面図を示している。必要に応じて、金属箔11の上に粘着材10を介して保護フィルム12が積層されている。
【0037】
本発明に使用される金属箔11としては、アルミ箔(アルミニウム箔)、銅箔、錫箔、鉛箔、ニッケル箔、銀箔などの導電性に優れている金属であれば特に制限は無い。金属箔としての材料価格が比較的に安価であり、軽くて柔らかいことからアルミ箔が好ましい。アルミ箔の厚みは、3〜60μm程度とすることができ、特に7〜20μm程度が好適に用いられる。
電磁波遮蔽効果の発現、アルミ箔の製造のし易さから、アルミ箔の厚みは少なくとも3μm以上の厚みとするのが好ましい。アルミ箔の厚みが60μmよりも厚い場合は、包装袋に成型したときに柔軟性に欠けるので好ましくない。
【0038】
本発明で使用される基材9としては、上質紙、グラシン紙、コート紙などの紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂などの合成樹脂などが挙げられるが、これらの1種以上を用いた積層フィルムであっても良い。特に、ポリオレフィン系樹脂をシーラント層に用いた金属箔との積層フィルムが好適に用いられる。シーラント層は、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンーポリプロピレン共重合体などを用いることができる。シーラント層の厚みは、20〜100μm程度であれば良く、40〜70μm程度が好ましい。
【0039】
図5,図6に示した本発明の実施形態の1つであるスタンディングパウチ形式の電磁波シールド包装袋20において、1つの胴部材21と底部材22には、金属箔の積層フィルムからなる透視性を有しない電磁波シールド材13が使用され、もう1つの胴部材21には透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)が使用されている。
金属箔の積層フィルムからなる電磁波シールド材13は、図4に示すように金属箔11を用いて電磁波シールド効果を果たすものであるが、不透明であって、収納物を確認することができない不都合を有しているため、包装袋の内部が目視確認できるように、図5及び図6では、一方の胴部材21には透明な電磁波シールドフィルム6(又は8)を配設することにより、本発明の電磁波シールド包装袋に透視性を持たせて収納部を確認することができるようにしている。
図5において、スタンディングパウチ形式の電磁波シールド包装袋20は、底部と両側縁部との3辺が、ヒートシール部23により密着に接着されている。ヒートシール部23の幅寸法は、包装袋の全体の寸法にも依るが、およそ3〜16mm程度である。
【0040】
透視性を有しない電磁波シールド材13が、アルミニウム箔などの比較的に安価な金属箔を積層したフィルムであるのに比べて、透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)は、透明基材の少なくとも片面に導電性の薄膜からなる細線メッシュパターン、又は導電性の薄膜からなる細線メッシュパターンの上にメッキした金属メッシュパターンが形成されたものであり、作製に手間が掛かるため高価である。
従って、本発明の電磁波シールド包装袋の材料コストを下げるためには、可能な限り、安価な透視性を有しない電磁波シールド材13の使用量を増やし、高価な透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)の使用量を減らすのが好ましい。
このため、さらに材料コストを下げるには、透視性を有しない電磁波シールド材13の一部を切り欠いて窓穴部を設け、その窓穴部に透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)を貼り合せて透視性を確保した電磁波シールド材を用いることもできる。
電磁波シールド包装袋に必要とされる機能及び許容される材料コストに応じて、透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)の使用量を調整することができる。許容される材料コストに余裕があれば、電磁波シールド材の全てに透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)を使用することも可能である。
【0041】
図5において、包装袋の天部には、電磁波遮蔽対象物を収納するための再封可能な開口部24が設けられている。一旦、電磁波遮蔽対象物を包装袋に収めた後は、開口部24を密閉する密閉機構を用いて、包装袋を密閉する。
天部の開口部を密閉する密閉機構は、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が塗布されたフラップ部、開口部の封止を補強する粘着剤層が塗布された封緘片、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する粘着剤層が塗布された封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上が設けられる。図5においては、線状ファスナー25が一対の胴部材21,21の互いに対向する位置に設けられ、さらに、一方の胴部材21には、粘着剤層26が塗布されたフラップ部27が、開口部24の上部に設けられている。
【0042】
密閉機構は、開口部24を密閉した状態で電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅を500μm以下とすることが重要である。天部の開口部を密閉した時、最大空隙幅が500μm以上の空隙が1箇所でもあると、この空隙から電磁波が漏洩して、電磁波遮蔽性能が得られないからである。
本発明において、最大空隙幅は、円形状の隙間形状では直径、楕円形状では短径、矩形状では短辺の長さである。
【0043】
本発明の包装袋を構成する透視性を有する電磁波シールドフィルムは、表面抵抗率が10Ω/□以下であり、且つ電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下の通気孔が少なくとも1つ以上、設けられていることが好ましい。表面抵抗率が10Ω/□を超える場合は、前記細線のメッシュパターンは、線幅が10〜120μmで、且つメッシュパターンのピッチ間隔を80〜600μmとしても、電磁波遮蔽性能を得ることが困難である。
【0044】
また、本発明の包装袋を成す電磁波シールド材には、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下の通気孔が少なくとも1つ以上、設けられていることにより、包装袋の天部を密閉した後、包装袋の内部の空気を排気して包装袋の外形を整えたり、包装袋の内外の気圧差が発生して袋が膨張し破損することを防止できる。
なお、全ての通気孔の最大空隙幅は、500μm以下で、且つ、通気孔が細線メッシュパターンの細線を断線させていないことが必要である。メッシュパターンの細線が断線し、結果としてメッシュのピッチ間隔が500μmを超える箇所が1つでもあると、この箇所から電磁波が漏洩する比率が増加してしまい、電磁波遮蔽性能が得られないからである。通気孔のサイズは、長径が20〜300μm程度が好ましい。通気孔の長径が20μm以下であると、配設する通気孔の個数が増加するからである。
【0045】
電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下の通気孔は、通気孔自体の長径が500μm以下のものを、例えばメッシュの格子目の位置に開孔するのでも良い。あるいは、図7に示すように、長径が500μmを超える通気孔14の内部に、電磁波シールド材のメッシュパターン15を設け、メッシュパターン15の空隙16を通じて内外に空気を流通できるようにした電磁波シールド材17を用いることもできる。
【0046】
配設する通気孔の個数には、特に制限は無いが、通気孔が近接して密集していると電磁波シールドフィルムの機械的な強度が低下するので好ましくない。例えば、複数の通気孔を設ける場合であれば、通気孔の間隔を数ミリ間隔とし、総数を2〜50個程度で配設すれば良い。通気孔の穴明け方法は、鋭利なニードル針を押付けて機械的な手段で行なうことができ、又、透明基材の樹脂フィルムが特定の電磁波の波長、例えば紫外線の波長領域に対して吸収能を持つ場合は、紫外線レーザなどを照射して穴明けを行なうこともできる。
【0047】
図5において、包装袋20の左上端のヒートシール部の一部には、貫通孔18が設けられて、吊り下げ用のひも19が通されている。電磁波遮蔽対象物が比較的に小さい場合、例えば携帯電話などを収納した包装袋では、首から吊り下げて置けば紛失を防止できて便利である。
【0048】
図6において、電磁波シールド包装袋20の内部には、電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグ28が、少なくとも1個以上、配設されている。このため、包装袋の天部の近傍にある開口部24を密閉して、電磁波の透過を遮蔽する密閉空間を形成するための密閉機構が正常に機能しているかどうかの判定を、アクティブ方式ICタグ28から送信される信号を包装袋の外部で測定して行なえるので、本発明による電磁波シールド包装袋の電磁波遮蔽性能の信頼性を高めることができる。
【0049】
電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグ28の仕様には特に制限が無いが、送信距離が数メートルから十数メートル程度の出力のものであれば良く、格別に高出力のものは必要ない。また、個別の電磁波シールド包装袋20に収納している電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグ28の識別番号と、個別の電磁波シールド包装袋20の保有者または配置場所を関連付ける統合管理システムを用意しておけば、アクティブ方式ICタグからの送受信から、統合管理システムで瞬時にICタグの識別番号を判定し、不具合のある特定の電磁波シールド包装袋20を迅速に確認することができる。この場合の不具合とは、包装袋の開口部を密閉していないか、あるいは、開口部を不完全に密閉していて、本発明に基づいた密閉機構が正常に機能していないことに依るものである。本発明に基づいた密閉機構が正常に機能していないことが判明した場合は、電磁波遮蔽対象物を別の電磁波シールド包装袋に移し変えるなどの対処を行い、解決を図る。
【0050】
図8、9において、包装袋30、31は、いずれも電磁波シールド部材からなる表裏2枚の胴部材32,33をシールしてなり、表裏2枚の胴部材32,33が、いずれも透視性を有しない電磁波シールド材13からなり、胴部材には、透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)で覆われた窓穴部34が設けられている。
図8の包装袋30は、表裏2枚の胴部材32,33が、両方とも窓穴部34を設けて窓穴部34にのみ透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を使用したものである。また、図9の包装袋31は、一方の胴部材32に窓穴部34を設け、この窓穴部34にのみ透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を使用し、他方の胴部材33には窓穴部を設けないで透視性を有しない電磁波シールド材13のみとしても良い。
包装袋30,31の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が設けられた折り返しの重ね代、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上の密閉機構群として例えば線状ファスナー35が、開口部36の近傍に設けられている。
【0051】
図10において、包装袋37は、1枚の前記透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を折り畳んで背貼りシール38と角底シール39してなり、ガゼットパウチの形状をしたものである。包装袋37の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が設けられた折り返しの重ね代、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上、例えば線状ファスナー35が設けられている。
【0052】
図11(a)(b)において、包装袋40は、1枚の前記透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を2つ折りにして折り目41を底部とし、両側縁部42をシールしてなり、筒袋の形状を有しているものである。
包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が設けられた折り返しの重ね代、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上、例えば線状ファスナー35が設けられている。
【0053】
図12(a)〜(c)は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、感圧性の粘着剤層が設けられたフラップ部の使用例を示す斜視図であり、図12(d)は、図12(b)のE部の部分拡大断面図である。図12(d)の部分詳細図において、フラップ部52を折り曲げて粘着材56により密閉したときに生じる空隙59は、開口部57を閉じたときの段差tによるものであって、その最大空隙幅は、楕円形状の短径sである。
本発明においては、包装袋の天部に残される空隙の最大空隙幅を500μm以下にすることが重要である。天部の開口部を密閉した時、最大空隙幅が500μm以上の空隙が1箇所でもあると、この空隙から電磁波が漏洩して、電磁波遮蔽性能が得られないからである。このため、包装袋の両側縁部に施されたヒートシール部51,51において、フラップ部52の重ね代は充分な折り返し代53を設け、またヒートシール部51の両先端54を越える位置まで重ね代55とする。ヒートシール部51の両先端54に生じた空隙59(図12(d)参照)を通じた電磁波の漏洩が生じないように、図12(b)に示すように、フラップ部52を折り返して貼り合せた後、粘着剤層の塗布された封緘片60(図12(c)参照)をさらに重ね貼りしても良い。
この場合、粘着剤層56は、フラップ部52の全面に塗布するのではなく、図12(a)に示すように開口部57の近傍を重点に粘着剤を塗布し、フラップ部52の先端は手で掴むときの領域58を残して置くことが好ましい。
【0054】
図13(a)〜(c)は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、感圧性の粘着剤層が塗布されたフラップ部の別の使用例を示す斜視図であり、図13(d)は、図13(b)のF部の部分拡大断面図である。フラップ部52を折り返すときに生じる、曲がり部61の隙間(図12(d)を参照)を回避するため、フラップ部52を開口部57の両側に設け、片方または両方のフラップ部52に粘着剤層56を形成して、包装袋の両側縁部に施されたヒートシール部51の延長線に於いて、両フラップ部52,52を貼り合せ、粘着剤にて密閉するものである。ヒートシール部51の両先端54に生じた空隙59(図13(d)参照)を通じた電磁波の漏洩が生じないように、図13(b)に示すように、フラップ部52を貼り合せた後、粘着剤層の塗布された封緘片60(図13(c)参照)をさらに重ね貼りしても良い。
なお、包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、または面状ファスナーのいずれかと、図12、図13に示す粘着剤層が設けられたフラップ部を併用しても良い。
【0055】
図14は、本発明に係る、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片を備えた電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す平面図である。
図15は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片の使用例を示す(a)斜視図、(b)封緘前の断面図、(c)封緘後の断面図である。
感圧性の粘着材73が塗布された封緘片71には、粘着材の保護のために剥離フィルムが貼られており、包装袋70の天部にある開口部72を封止する時に、剥離フィルムを剥がして粘着材73を露出させた後、天部の開口部72を封緘片71で覆うことにより密閉される。特に、図14,15に示す封緘片の使用例は、天部の上端75がヒートシールされ、胴部材74の一部に開口部72が平面上に形成されているという特徴を有する。このため、開口部72を覆う封緘片71も平面形状のもので良く、封緘片71を折り曲げる必要がないため折り曲げ部に空隙の生じる恐れがない。したがって、図14,15に示す封緘片71を用いた密閉機構が、確実に包装袋の天部に残される空隙の最大空隙幅を500μm以下にできることから好適に使用できる。
【0056】
なお、封緘片71は、包装袋70の天部にある開口部72をすぐに封止することができるように、位置決めした状態で、粘着材を介して包装袋に一部分を貼り合わせて準備して置いても良いし、包装袋から切り離し別に用意して置いてものを取り出して貼り合せても良い。
本発明に使用される封緘片71は、他の密閉機構と同様、導電性を有する材料を用いて作製される。例えば、金属箔の積層したフィルムからなる透視性を有しない電磁波シールド材の片面に粘着材を塗布したものであっても良いし、または、本発明の透視性を有する電磁波シールドフィルムの片面に粘着材を塗布したものであっても良い。
また、包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された面状ファスナーと、図14,15に示す封緘片71を併用しても良い。
【0057】
図16(a)(b)(c)は、本発明に係る、天部の開口部57を密閉する密閉機構であって、感圧性の粘着剤層62が塗布された封緘片63の使用例を示す斜視図である。
封緘材63は、3つの折り返し部64,65,66を有し、各辺を順に折り込んでいくことにより、空隙をより低減でき、空隙から透過する電磁波を遮蔽する効果が高まる。なお、包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、または面状ファスナーのいずれかと、図16に示す粘着剤層が塗布された封緘片63とを併用しても良い。
【0058】
図1及び図2において、電磁波シールドフィルム6における細線のメッシュパターン2は、基材1の上に導電性金属の薄膜により形成されたものである。また、図3において、電磁波シールドフィルム8における金属メッシュパターン7は、基材1の上に導電性金属の薄膜により形成された細線のメッシュパターンと、その上にメッキ層3を積層して形成されたものである。
図1(b)において、前記細線のメッシュパターン2は、線幅(w)が10〜120μmであり、且つ細線のメッシュパターンのピッチ間隔(p)が80〜600μmである。細線のメッシュパターンの開口幅(d)は、(p−w)μmである。
【0059】
本発明は、電磁波シールド包装袋を提供するものであって、主として、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、その他、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの電磁波遮蔽対象物を収納し、包装袋内の電子機器から発生する電磁波が包装袋の外に漏洩するのを防止することを使用目的としている。
【0060】
ところで、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、その他、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、携帯情報端末には、およそ30MHzから10GHz帯域の電磁波(電波)が使用されている。
例えば、携帯電話の周波数帯域は、800MHz帯、1.5GHz帯、2.0GHz帯が使用されている。無線機能を使う電子ゲーム機には、各種の周波数が用いられているが、一例として、2.4GHz帯が使用されている。無線式マウスには、27MHz帯、2.4GHz帯などが使用されている。
無線式ヘッドホンには、例えば、2.4GHz帯が使用されている。アクティブ方式ICタグは、300MHz〜1000MHz帯域の例えば、430MHz帯が使用されている。無線式キーボードには、例えば、27MHzが使用されている。会話用のトランシーバーには、例えば、400MHz帯が使用されている。パソコンなどの通信には、2.4GHz帯や5GHz帯の無線LAN、あるいは周波数帯域3〜9GHzを利用するUWB(Ultra Wideband)の無線LANが使用されている。
【0061】
電磁波はその波長よりも小さい隙間が金属面に開いていても透過せず、反射される性質がある。周波数が30MHz〜10GHzにおける、電磁波の波長は10m〜3cmである。本発明で使用する電磁波シールド材においては、電磁波の遮蔽性能を高めるため、透視性を有する電磁波シールドフィルムの、細線メッシュパターン又は金属メッシュパターンのピッチ間隔を、電磁波の波長よりも充分に小さい80〜600μmとする必要がある。メッシュパターンのピッチ間隔を80μm以下にすると、全光線透過率を50%以上に確保するためには、細線メッシュパターンの細線幅を10μmよりも細くする必要があり、これは技術的に困難だからである。又、メッシュパターンのピッチ間隔を600μm以上にすると、電磁波がメッシュパターンで反射されないで透過する割合が増加し、電磁波の遮蔽性能が低下するからである。
【0062】
ここで細線のメッシュパターン2は、写真製法により生成された現像銀メッシュパターン、金属の蒸着により生成された蒸着膜メッシュパターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、及び無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンの中から選択されたいずれかの方法を用いて形成された導電性金属の薄膜からなるメッシュパターンであることが好ましい。
また、金属メッシュパターン7は、導電性の薄膜からなる細線メッシュパターン2の上に、無電解メッキ及び/又は電解メッキによるメッキ層3を施して作製したものである。
【0063】
(透視性を有する電磁波シールドフィルム)
本発明においては、電磁波シールド包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた透視性を有する電磁波シールドフィルム6、又は、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターン2とその上にメッキ層3とを有する金属メッシュパターン7が設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルム8が用いられる。
【0064】
金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルム8は、透明基材の一方の面の上に、導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターンを形成した透視性を有する電磁波シールドフィルム6を作製した後に、導電性金属の薄膜の細線メッシュパターン2の上に、無電解メッキ及び/又は電解メッキによるメッキ層3を施すことで、作製することができる。
本発明では、導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターン2の作製方法として、写真製法により生成された現像銀メッシュパターン、金属の蒸着により生成された蒸着膜メッシュパターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンが挙げられるが、以下にそれぞれの方法による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製方法と、併せて無電解メッキ及び電解メッキの方法を順に説明する。
【0065】
(写真製法により生成された現像銀メッシュパターン)
本発明に適用できる、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンの作製方法は、細線メッシュパターンを写真製法により現像された金属銀で形成するものである。
この写真製法に基づく露光現像法には、(a)露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、即ち、露光マスクと反対の形に現像銀が表れるいわゆるネガ型の露光現像方法と、(b)露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現する、即ち、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるいわゆるポジ型の露光現像方法の2通りがある。本発明には、(a)ネガ型の露光・現像方法と、(b)ポジ型の露光・現像方法のいずれでも適用できる。
【0066】
(写真製法)
以下、説明が重複するのを避けるため、ポジ型の露光・現像方法(DTR法)による現像銀メッシュパターンの作製方法について説明する。DTR法の場合、透明基材表面には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明基材上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
【0067】
透明基材は、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
物理現像核層には、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
【0068】
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの公知の塗布方式によって、連続した均一な層として設けることが好ましい。
物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、透明基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
前記ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
【0069】
物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて電磁波シールド材を作製する場合は、網目状パターンのような任意の細線パターンの露光マスクと上記感光材料を密着して露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下、アルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して細線パターンの物理現像銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、細線パターンの物理現像銀薄膜が表面に露出する。
【0070】
一方、物理現像核層が塗布された透明基材とは別の基材上に設けたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布された透明基材と、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の感光材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下、アルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出した細線パターンの物理現像銀薄膜が得られる。
【0071】
(現像方法)
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩などが挙げられる。
【0072】
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0073】
(露光方法及び露光装置)
前記ハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。電磁波シールド材を作製するための1つの方法として、例えば網目状などの細線パターンの物理現像銀の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は細線パターン状に露光される。
露光装置としては、枚葉式の露光マスクを用いる枚葉処理方式の露光装置と、連続したパターンが形成できる連続露光装置とがある。枚葉処理方式の露光装置は、ロールシートを間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間を無くしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので処理速度は遅くなる。これに対して連続露光装置を使用する場合には、生産性が高いので好ましい。
【0074】
(透明基材)
本発明に使用される透明基材1としては、可視領域で透視性を有し、一般に全光線透過率が90%以上のものが好ましい。中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で、好適に用いられる。透明基材1に使用される透明樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ20〜300μmの単層フィルム又は前記透明樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
【0075】
(金属メッシュパターン)
前述したように、細線メッシュパターンとしては、たとえば線幅10〜120μm程度の導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとして、細線を縦横に格子状に設けられたものがあるが、細線幅を小さくして格子の間隔を大きくすると透光性は上がるが導電性は低下し、逆に細線幅を大きくして格子の間隔を小さくすると透光性は低下して導電性は高くなる。本発明にかかる透明基材上に形成された任意の細線パターンは、全光線透過率50%以上の透光性と表面抵抗率10オーム/□以下の導電性とを同時に満足させることが好ましい。
このため、細線幅を小さくして、且つ全光線透過率50%以上の透光性を得る場合には、表面抵抗率を下げる必要があり、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンとすることが好ましい。
銅やニッケルなどの金属による鍍金(メッキ)、特に電解メッキを施すことにより、金属メッシュパターンが0.5〜15μmの厚み及び10〜50μmの線幅であるとき、全光線透過率50%以上、好ましくは60%以上の透光性の細線パターンであっても、表面抵抗率10Ω/□以下、好ましくは7Ω/□以下の導電性を保持することができる。
金属メッシュの全光線透過率を向上させるためには、細線が設けられた領域の面積に対して、細線間の光透過部の面積を十分に広くする必要がある。このため、細線の間隔は、80〜600μmであることが好ましく、より好ましくは120〜300μmである。
【0076】
金属メッキした金属メッシュパターンの厚みは、所望とする電磁波シールド性能に応じて任意に変えることができるが、0.5〜15μm、好ましくは2〜12μmの範囲である。また上述の方法によって作製された金属メッシュパターンは、30MHz〜10GHzのような広い周波数帯に亘って20dB以上のシールド効果を得ることができる。
導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンに施す金属メッキは、無電解メッキ法、電解メッキ法あるいは両者を組み合わせたメッキ法のいずれでも可能であるが、メッキ速度の観点から電解メッキによる方法が好ましい。
本発明において、金属メッキ法は公知の方法で行うことができるが、たとえば電解メッキ法は、銅、ニッケル、銀、金、半田、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「表面処理技術総覧;(株)技術資料センター、1987年12月21日初版、281〜422頁」等の文献を参照することができる。
本発明においては、メッキが容易で、かつ導電性に優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コスト等の理由により、銅またはニッケルを用いることが好ましい。
銅またはニッケルの電解メッキの表面には、ニッケル系黒化処理液を用いて黒化処理を行い、メッキ表面の金属光沢を抑えることで、ぎらつき感を低減させることができる。
【0077】
(金属の蒸着により生成された蒸着膜メッシュパターン)
金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられる。ここでは、重複した説明を避けるため、金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に用いられる蒸着の方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができるが、操作の簡便さから真空蒸着法が好適に使用される。
蒸着の膜厚みが0.01〜0.2μmである真空蒸着膜の上に、メッキ膜厚みが2〜15μmの電解メッキを積層する。
蒸着する金属の種類としては、銅または銀が好適に用いられる。蒸着の膜厚みが0.2μmよりも厚い場合は、処理時間が大幅に長くなりコスト高となる。
本発明では、透明基材の一方の面に蒸着膜を形成した後、公知のフォトリソグラフ法を用いてエッチング処理を行い、金属の蒸着膜によるメッシュパターンを作製する。
すなわち、金属の蒸着膜層上にフォトレジストを塗布し、当該フォトレジスト上にマスクフィルムを密着させながら露光し、露光部分を現像液にて溶解除去して洗浄乾燥後、エッチング液を塗布してエッチング処理を行う。さらに、有機溶剤を用いて残存するフォトレジストを除去し、金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンを作製する。
フォトレジストには、水溶性カゼインなどを用いることができる。エッチング液としては、塩化第二鉄、塩化第二銅などを用いることができる。
金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられ、薄膜の細線メッシュパターンが作製され、さらに、必要であればメッキが施された金属メッシュパターンが作製される。
【0078】
(導電性ペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン)
導電性ペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられ、さらに、必要に応じてメッキが施された金属メッシュパターンが作製される。ここでは、重複した説明を避けるため、導電性ペーストの印刷によるメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に適用できる、導電性ペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製は、例えば、グラビア輪転印刷機を用いて行なうことができる。
グラビア輪転印刷機による場合、グラビア胴のグラビア版に導電性ペーストが供給される。供給された導電性ペーストをグラビア版に形成された型溝に押し込んだ後、圧胴により押し当てられた透明基材に転写させることにより、透明基材の長手方向に繋ぎ目無く連続して設けられた細線メッシュパターンが印刷される。また、グラビア版の線幅、深さ、ピッチを所定の範囲で設定することにより、メッシュパターンの線幅、厚み、ピッチを調整し、電磁波シールド性、視認性、及び光透過性に優れたメッシュパターンを得ることができる。
導電性ペーストに用いられる樹脂成分としては、好ましくは、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。また、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化型であってもよい。
【0079】
導電性ペーストは、これらの樹脂成分に金属粉末、及び黒色顔料を混ぜ込んだ後にアルコールやエーテルなどの有機溶剤を加えて粘度調整を行なう。
前記の金属粉末としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉が用いられるが、導電性、価格の点から銅または銀の微粉末を用いるのが好ましい。
印刷で形成されるメッシュパターンの線幅は、10〜120μm程度であることから、金属粉末の粒子径は、0.1〜2μm程度が好ましい。細線の厚みが2〜15μmと薄い条件においては、金属粉末の粒子径が2μmよりも大きいと、導電性を高めるのが困難となる。一般的には、金属粉末の粒子径は、グラビア版に形成された型溝の線幅より、20分の1以下のサイズであることが望ましい。
印刷した薄膜のメッシュパターンの金属光沢を消して外光の反射を抑えるために、カーボンブラックなどの黒色顔料を混ぜ込むのが好ましい。黒色顔料は、導電性ペースト中に0.1〜10重量%で含有させるのが好ましい。
なお、導電性ペーストの中に無電解メッキの触媒核を含有させてメッシュパターンを印刷する場合は、電解メッキ加工に先立って無電解メッキ加工を施し、その上に電解メッキを施すことにより、さらに導電性に優れた金属メッキされたメッシュパターンとなる。
【0080】
(無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン)
無電解メッキ触媒を含有するペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材の細線メッシュパターンが用いられる。
ここでは、重複した説明を避けるため、無電解メッキ触媒を含有するペーストの印刷によるメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に適用できる、無電解メッキ触媒を含有するペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製は、例えば、輪転式凹版オフセット印刷機を用いて行なうことができる。
【0081】
輪転式凹版オフセット印刷機による場合、凹版胴に供給された塩化パラジウムなどの公知の無電解メッキ触媒を含有するペーストをシリコンゴム製のブランケットに写し、ブランケットと圧胴の間に通された透明基材フィルムにペーストを転写させることにより、透明基材の長手方向に繋ぎ目無く連続して設けられた細線メッシュパターンが印刷される。また、凹版の線幅、深さ、ピッチを所定の範囲で設定することにより、メッシュパターンの線幅、厚み、ピッチを調整し、電磁波シールド性、視認性、及び光透過性に優れたメッシュパターンを得ることができる。
本発明に用いる無電解メッキ触媒を含有するペーストは、メッシュパターンを印刷し、硬化させた後に無電解メッキ及び/又は電解メッキ加工を施すことから、通常は金属粉末をバインダーとなる樹脂成分に混ぜ込んだ導電性ペーストが用いられる。導電性ペーストの中に無電解メッキの触媒核を含有させてメッシュパターンを印刷する場合は、電解メッキ加工に先立って、無電解メッキ加工を施すことにより、電解メッキ加工を容易に行なえるようになる。
前記の金属粉末としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉が用いられるが、導電性、価格の点から銅または銀の微粉末を用いるのが好ましい。
【0082】
(金属箔のフォトリソグラフ法によりエッチングして生成されたエッチングパターン)
金属箔のエッチングによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられる。ここでは、重複した説明を避けるため、金属箔のエッチングによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に用いられるエッチングは、透明基材に金属箔を貼り合せた、金属箔積層フィルムを用いて、フォトリソグラフ法により行なわれる。金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔、錫箔、鉛箔、銀箔などの導電性に優れている金属であれば特に制限は無い。一般には、金属箔の材料価格が比較的に安価であり、エッチングの速度が速いことから銅箔が用いられる。
本発明で用いられる銅箔は、電解銅箔であっても、圧延銅箔であってもよい。
細線メッシュパターンの線幅に応じて、銅箔の厚みを考慮することができる。線幅が広い場合は、銅箔の厚みを薄くすることができる。
細線のメッシュパターンの線幅が10〜50μmの場合、全光線透過率50%以上、かつ表面抵抗率が10Ω/□以下にするには、銅箔の厚みを、3〜12μm程度とすることができる。電磁波遮蔽効果の発現、メッシュの防止のためには、銅箔の厚みは少なくとも3μm以上の厚みとするのが好ましい。銅箔の厚みが12μmよりも厚い場合は、エッチングの処理時間が長くなりコスト高となる。
【0083】
本発明では、透明基材の一方の面に銅箔を貼り合せて積層した後、公知のフォトリソグラフ法を用いてエッチング処理を行い、銅箔のエッチングによる導電性の薄膜のメッシュパターンを作製する。
すなわち、銅箔の上にフォトレジストを塗布し、当該フォトレジスト上にマスクフィルムを密着させながら露光し、露光部分を現像液にて溶解除去して洗浄乾燥後、エッチング液を塗布してエッチング処理を行う。さらに、有機溶剤を用いて残存するフォトレジストを除去し、銅箔による導電性金属の薄膜のメッシュパターンを作製する。
フォトレジストには、水溶性カゼインなどを用いることができる。エッチング液としては、塩化第二鉄、塩化第二銅などを用いることができる。
金属箔のエッチングによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においては、充分に厚い金属箔を使用すれば、表面抵抗率が10Ω/□以下の充分な導電性が得られることから、メッシュパターンの上にメッキを施す必要が無くなる。
【0084】
(導電性繊維を織り込んだ織物メッシュパターン)
織物パターンによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられる。ここでは、重複した説明を避けるため、織物メッシュパターンによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に使用する導電性繊維は、ポリエステルやポリアミドなどの合成繊維、または、絹などの天然繊維から成る長繊維糸の表面に、無電解メッキにより銅やニッケルの薄膜を形成したものである。この導電性繊維を使用し、紡績機械を用いて細線メッシュのパターンに織り込んで織物メッシュパターンを作製した後、接着性樹脂を用いて透明な樹脂基材の上に接着し、積層体とする。
本発明における導電性繊維の素材は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維や、6ナイロンや66ナイロンなどのポリアミド繊維等の合成繊維、或いは、絹などの天然繊維の長繊維を用いることが好ましい。加工性や、耐久性の点で、特にポリエステル繊維が好ましい。織物メッシュパターンの可視光透過率を50%以上とするには、メッシュパターンの糸密度は50〜300本/インチであることが好ましい。300本/インチより大きい場合、光透過性が低くなり過ぎ、50本/インチより小さい場合、光透過性は高くなるが、充分な電磁波遮蔽効果が得られない。
さらに、織物メッシュパターンの導電性を高めるためには、織物メッシュパターンの表面に、無電解メッキ法によりに銅などの金属被膜を形成する。また、酸化剤により該金属被膜を黒化処理することにより金属光沢を除去して反射防止させたものとすることができる。
なお、織物メッシュパターンによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製におい、導電性の高い導電性繊維の織糸を使用すれば、表面抵抗率が10Ω/□以下の充分な導電性が得られることから、織物メッシュパターンの上にメッキを施す必要が無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋を提供できるので、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する電子機器を、電磁波遮蔽対象物として収納するのに役立てることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)は、本発明に用いられる、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略平面図、(b)は、細線メッシュパターンの目開きを説明するための、部分詳細図である。
【図2】本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。
【図3】本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。
【図4】本発明に用いられる、金属箔の積層フィルムからなる電磁波シールド材の部分概略断面図である。
【図5】本発明に係る電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5におけるA−A矢視の概略断面図である。
【図7】通気口の内部に金属メッシュパターンを有する電磁波シールド材の1実施形態を示す要部拡大斜視図である。
【図8】(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、(b)は(a)におけるB−B矢視の概略断面図である。
【図9】(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、(b)は(a)におけるC−C矢視の概略断面図である。
【図10】本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図である。
【図11】(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、(b)は(a)におけるD−D矢視の概略断面図である。
【図12】(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、フラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、(d)は、(b)のE部の部分拡大断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、別のフラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、(d)は、(b)のF部の部分拡大断面図である。
【図14】本発明に係る、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片を備えた電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す平面図である。
【図15】本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片の使用例を示す(a)斜視図、(b)封緘前の断面図、(c)封緘後の断面図である。
【図16】(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構の別の例であって、封緘片の使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
1…透明な基材、2…細線のメッシュパターン、3…メッキ層、4…粘着材、5…保護フィルム、6…透視性を有する電磁波シールドフィルム、7…金属メッシュパターン、8…透視性を有する電磁波シールドフィルム、9…基材、10…粘着材、11…金属箔、12…保護フィルム、13…電磁波シールド材、14…通気孔、15…金属メッシュパターン、16…空隙、17…通気口付き電磁波シールド材、18…貫通孔、19…吊り下げ用のひも、20…スタンディングパウチ形式の電磁波シールド包装袋、21…胴部材、22…底部材、23…ヒートシール部、24…開口部、25…線状ファスナー、26…粘着剤層、27…フラップ部、28…ICタグ、30,31…電磁波シールド包装袋、32,33…胴部材、34…窓穴部、35…線状ファスナー、36…開口部、37…ガゼットパウチ形状の電磁波シールド包装袋、38…背貼りシール、39…角底シール、40…電磁波シールド包装袋、41…折り目、42…側縁部、51…両側縁部に施されたヒートシール部、52…フラップ部、53…折り返し代、54…ヒートシール部の先端、55…重ね代、56…粘着剤層、57…開口部、58…手で掴むときの領域、59…空隙、60…粘着剤層の塗布された封緘片、61…曲がり部、62…粘着剤層、63…封緘片、64,65,66…折り返し部、70…電磁波シールド包装袋、71…平面状の封緘片、72…胴部材の開口部、73…粘着材、74…胴部材、75…上端。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋に関する。さらに詳細には、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性能に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの通信機器から発生する電磁波が人体に悪影響を与えたり、周囲の電子機器を誤動作させることが問題とされるようになり、また、非接触型ICカードのデータを盗み取るいわゆるスキミングからの防御対策が問題とされるなど、不用な電磁波から電子機器を遮蔽する対策が益々重要視されつつある。
特に、携帯電話は、日常生活に必要不可欠な道具となり大量に普及していることから社会生活に与える影響が増大している。携帯電話の使用人口が増加するにつれて、使用場所をわきまえずに電源をオンにした者が居る場合や、あるいは携帯電話に備わっている予約時刻になると自動的に電源が入る機能を働かせていることにより不注意に電源がオンになっている場合があり、突然に携帯電話の呼び出し音を鳴り出して周囲の者に不快感を与えるような状況も増加している。
そのため、病院、映画館、演奏ホール、ホテルの会議室などでは、建築物の全体や特定の部屋全体に電磁波シールド対策を施し、完全に電磁波遮蔽した施設として建設することが望まれるようになっている。
しかし、建築物の全体や部屋全体に電磁波シールド対策を施すのは高額な建設費用が発生することから、一般的に普及するのが困難な状況である。
【0003】
また、最近では、航空機内に持ち込んだ携帯電話などの特定の通信機能を有する電子機器が、航空機の通信制御機能に悪影響を与えることから、航空機内での使用を制限する携帯電子機器を早急に見直す必要に迫られ、2007年10月1日に施行された「航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれのある電子機器等を定める告示(平成19年国土交通省告示第1120号)」において、次の(1)から(3)の区分により航空機内での使用が法律(航空法)で制限されている。
【0004】
(1)自ら強い電波を発射する機能を持ったものは、常時使用禁止。
(2)自ら電波発射機能はないが、使用時に強い電磁波が発生するものは、離着陸時のみ使用禁止。
(3)発生電磁波が極めて微弱であり計器障害を与えないものは、常時使用可。
【0005】
上記(1)の常時使用禁止とされる電子機器には、携帯電話、無声機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などが含まれている。
【0006】
上記(1)の常時使用禁止とされる電子機器は、機内では全く使用できないのであるから、仮にこれらの電子機器を機内に持ち込んだ乗客の不注意により電源が入っていても、航空機の通信制御機能に対する悪影響を排除する根本的な安全対策が求められている。このため、便宜的ではあったとしても安価な方法により電磁波を遮蔽する手段が必要とされる。例えば、携帯電話の電源を入れていれば常に外部に発信している電磁波を遮蔽する方法が求められている。
【0007】
一方、電磁波遮蔽対象物を電磁波から遮蔽する簡単な方法が、古くから用いられている。例えば、海外旅行で銀塩写真フィルムの持ち運びに使用する市販のX線遮蔽袋は、空港の手荷物検査で行なわれるX線照射で銀塩写真のフィルムが感光してしまうのを防護するために、鉛の薄板で作製された遮蔽用の袋が用いられている。この商品は、航空機を使用しての海外旅行が広く普及し始めた、少なくとも昭和50年以前から用いられて来たことが知られている。
【0008】
ところで、携帯電話などの通信機器を収納して外部との通信を完全に遮断するための、電磁波シールド性を有する包装袋に関しては、既に多くの先行技術が開示されている。
例えば、従来技術においては、完全に電磁波シールドを行なうために透視性を犠牲にした方法であって、基材に金属箔を積層した積層フィルム(特許文献1、3、4、8を参照)、基材に対して不透明になるまで金属の蒸着膜を施した蒸着フィルム(特許文献3、4、5、11を参照)、導電性を持たせた繊維を編み込んだ布生地(特許文献4を参照)などが知られている。
また、電磁波シールド性は完全ではないが、透視性を有する方法としては、金属蒸着膜のエッチングパターンによるもの(特許文献6を参照)、導電性を持たせた繊維を編み込んだ網体(特許文献7を参照)などが知られている。
【特許文献1】特開昭59−201856号公報
【特許文献2】実公平4−030099号公報
【特許文献3】実開平6−019543号公報
【特許文献4】特開平7−245496号公報
【特許文献5】実用新案登録第3044327号公報
【特許文献6】特開平11−031896号公報
【特許文献7】特開2000−083719号公報
【特許文献8】特開2001−171683号公報
【特許文献9】特開2002−046790号公報
【特許文献10】特開2003−304917号公報
【特許文献11】特開2004−329818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、特許文献1には、金属箔の少なくとも片面に接着剤を用いて布帛を積層した、シート状の電磁波シールド材が開示されている。各種器物のカバー包装材料、カバン、袋物の素材としても有用であるとしている。
また、特許文献2には、支持体層及びその片面にラミネート又はコーティングされた導電性材料層からなる二重層のフィルム又はシートの導電性材料層を内側にして二つ折りにされ、更に両翼部がそれぞれ外面に二つ折りにされた状態にされ、且つ両側縁がシールされて袋状に構成された袋が開示されている。導電材料としては、例えば、金属フォイルの貼り付け、カーボンを含む塗料の塗布、各種金属錯体の塗布などの方法で支持体表面に付着させるとしている。導電性材料は、電磁波シールド材としても作用するとしている。
【0010】
また、特許文献3には、内側生地と外側生地との間にアルミ箔又はアルミ蒸着したシールド層を設けて袋状に形成した包装袋が開示されている。
また、特許文献4には、包装袋の素材として、外層となる絶縁体層、中間層となる導電体層、および内層となるヒートシール性絶縁体層からなる多層フィルムが開示されている。また、中間層となる導電体層としては、アルミニウム箔などの金属箔またはその金属箔とプラスチック層との積層フィルム、金属蒸着された繊維状の基材を織り込んだ袋素材についても開示されている。
また、特許文献5には、包装袋の素材として、基材に金属蒸着膜を設けたフィルム、基材に金属箔を接着した積層フィルム、さらに、金属蒸着された繊維状の基材を織り込んだ袋素材が開示されている。
【0011】
また、特許文献6には、袋内部に携帯型電話機を収納した状態で着送信よび通話が可能であると共に漏洩電磁波量を抑制しうる袋が開示されている。電磁波シールド材が透明な基材フィルムの少なくとも片面にパターン状の金属導電層が設けられており、パターンは、二次元線分パターンであり、例えば、0.8GHzの携帯電話の場合、線幅は100〜500μm、線分で囲まれる空隙の最大間隔が好ましくは3〜15mmとしている。
また、特許文献7には、靴下の編み機を使用して導電性繊維糸により、網体の電磁波シールド袋が開示されている。電磁波シールド繊維糸としては、例えば銀メッキ繊維「エックスエイジ」(商品名;カネボウ繊維製)が使用される。電磁波シールド用の携帯電話機収納用ケースの編み体もまた靴下の編み機で編成されるため編み目の粗さ、すなわちメッシュ間隔として200メッシュ以上が得られるために、電磁波減衰率は80%以上になるとしている。なお、携帯電話機収納用ケース全体が導電性繊維糸で編成してもよいが、携帯電話機から電波が出る個所のみを導電性繊維糸で編成してもよいとしている。
【0012】
また、特許文献8には、アルミ材層からなる電磁波遮蔽材層の片面に合成樹脂材層を貼着して成る電磁波遮蔽シートから構成された袋体が開示されている。周辺機器に電磁波による悪影響を及ぼす恐れのある携帯電話や電子玩具等の電子・電気機器を収納して、これら電子・電気機器から発生する電磁波を遮蔽する電磁遮蔽袋であって、線ファスナーで袋口部を封止するだけで、電磁波を遮蔽することが可能としている。
また、特許文献9には、基材に金属蒸着層を設け、又は基材に金属箔を接着して、袋状を成した電磁波シールド袋が開示されている。基材に蒸着するアルミ蒸着層の厚みは、20〜80nm(200〜800オングストローム)としている。あるいは、基材に接着する金属箔の厚みは7〜9μmとしている。
【0013】
また、特許文献10には、携帯電話機を収納すると共に、携帯電話機と基地局との間の電波による通信を遮蔽する携帯電話用通信遮蔽バッグであって、通信のための電波を遮蔽する導電性素材を入れた生地を袋状に形成したバッグ本体を有し、バッグ本体に一端開口部を閉鎖する開閉自在な閉鎖具を装着したことを特徴とする携帯電話用通信遮蔽バッグが開示されている。電磁波シールド材に関しては、通信のための電波を遮蔽する導電性素材を入れた生地を袋状に形成したバッグ本体を有すると記載されているのみで、具体的な説明が全く記載されていない。
特許文献11には、フィルム樹脂に金属蒸着膜を形成したフィルムを用いた携帯電話の包装袋が開示されている。
【0014】
ところで、これらの電磁波シールド材で作製された包装袋内の収納物を視認できるためには、一般的に、電磁波シールド材を構成する樹脂フィルムにおける可視光線の平均透過率は、40%以上を有するのが好ましいが、金属蒸着膜を形成したフィルム(特許文献5、11)では収納物を視認できないという不都合があった。
例えば、特許文献11によると、可視光線の平均透過率が0.4〜0.15%とであるとしており、太陽光下においては内容物を目視確認することができない。又、内容物を目視確認できるようにするためには、金属蒸着膜を薄くする必要があるが、金属蒸着膜の膜厚を薄くすれば導電性が低下してしまい電磁波遮蔽効果が低下するという問題がある。
また、特許文献5によると、電磁波シールド材として、基材に蒸着する膜厚みを20〜80nm(200〜800オングストローム)とした、アルミニウムなどの金属蒸着膜を施したフィルムや、基材に厚みが7〜9μmの金属箔を接着した積層フィルム、さらに、金属蒸着された繊維状の基材を織り込んだ袋素材が開示されているが、これらの電磁波シールド材を用いて作製された袋は、いずれも不透明であり、収納物を視認できないものであるか、又は電磁波遮蔽性能が低いものであった。
【0015】
しかし、これらの従来技術においては、航空機内でも使用できる電磁波シールド包装袋であって、包装袋の内外の圧力差に基づく膨張及び破壊を防止できると共に、包装袋を密閉した後の開口部の空隙から透過する電磁波を遮蔽する、電磁波シールド性能に優れていて、さらに収納物を目視できる透視性を有する電磁波シールド材を用いた電磁波シールド包装袋は知られていなかった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内外の気圧変動に追従でき、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋を提供する。
【0018】
また、本発明は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋を提供する。
【0019】
前記細線のメッシュパターンは、線幅が10〜120μmであり、かつメッシュパターンのピッチ間隔が80〜600μmであることが好ましい。
前記透視性を有する電磁波シールドフィルムの表面抵抗率が10Ω/□以下であることが好ましい。
【0020】
前記包装袋の天部の近傍には再封可能な開口部を有し、前記包装袋は前記開口部を密閉するための密閉機構を備えており、前記密閉機構は、電磁波の透過を遮蔽することが可能で、前記開口部を密閉した状態で電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下であり、前記最大空隙幅は、円形状の隙間形状では直径、楕円形状では短径、矩形状では短辺の長さであることが好ましい。
前記包装袋には、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下である通気孔が少なくとも1つ以上、配設されていることが好ましい。
【0021】
前記包装袋を成す電磁波シールド材として、前記透視性を有する電磁波シールドフィルム以外の、透視性を有しない電磁波シールド材が用いられており、前記透視性を有しない電磁波シールド材は、基材の片面に金属箔または導電性繊維糸からなる織布を積層された積層フィルムからなることが好ましい。
【0022】
前記包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が塗布されたフラップ部、開口部の封止を補強する粘着剤層が塗布された封緘片、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する粘着剤層が塗布された封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上が設けられていることが好ましい。
前記包装袋の内部には、電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグが、少なくとも1個以上、配設されていることが好ましい。
【0023】
前記導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンは、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンからなり、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法、又は、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法のどちらかの方法により生成された現像銀メッシュパターンであることが好ましい。
【0024】
前記導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターンは、金属の蒸着により生成された蒸着膜パターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷パターン、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷パターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンの中から選択されたいずれかであることが好ましい。
【0025】
前記電磁波遮蔽対象物が、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する電子機器群から選択された1種または複数種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の電磁波シールド包装袋によれば、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成する包装袋において、使用する電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透視性を有する電磁波シールドフィルムが用いられているため、収納物を目視で確認することができる。
【0027】
本発明の磁波シールド包装袋において、透視性を有する電磁波シールドフィルムは、細線のメッシュパターンが、線幅が10〜120μmであり、且つメッシュパターンのピッチ間隔が80〜600μmであり、且つ、前記透視性を有する電磁波シールドフィルムの表面抵抗率が10Ω/□以下であることから、優れた透視性(視認され難いこと)と共に、優れた電磁波シールド性を有している。
【0028】
また、本発明の電磁波シールド包装袋において、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下である通気孔が少なくとも1つ以上、設けられていることにより、包装袋の内外の気圧変動に追従することが可能であり、包装袋が膨張し破損することを回避できる。
また、本発明の電磁波シールド包装袋において、電磁波シールド材には、高価な透視性を有する電磁波シールドフィルムが用いられている部分以外は、透視性は有していないが比較的に安価である金属箔が積層された積層フィルムを用いることにより、電磁波シールド包装袋の材料費を抑えることができる。
【0029】
上記のことから、本発明によれば、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1(a)は、本発明に用いられる、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略平面図、図1(b)は、細線メッシュパターンの目開きを説明するための、部分詳細図である。図2は、本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。図3は、本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。図4は、本発明に用いられる、金属箔の積層フィルムからなる電磁波シールド材の部分概略断面図である。
【0031】
図5は、本発明に係る電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す斜視図である。図6は、図5におけるA−A矢視の概略断面図である。図7は、通気口の内部に金属メッシュパターンを有する電磁波シールド材の1実施形態を示す要部拡大斜視図である。図8(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、図8(b)は図8(a)におけるB−B矢視の概略断面図である。図9(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、図9(b)は図9(a)におけるC−C矢視の概略断面図である。図10は、本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図である。図11(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、図11(b)は図11(a)におけるD−D矢視の概略断面図である。
【0032】
図12(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、フラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、図12(d)は、図12(b)のE部の部分拡大断面図である。図13(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、別のフラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、図13(d)は、図13(b)のF部の部分拡大断面図である。
図14は、本発明に係る、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片を備えた電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す平面図である。図15は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片の使用例を示す(a)斜視図、(b)封緘前の断面図、(c)封緘後の断面図である。
図16(a)〜(c)は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構の別の例であって、封緘片の使用例を示す斜視図である。
【0033】
本発明の電磁波シールド包装袋は、電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、図1から3に示すように、透明な基材1の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターン2、さらにその細線のメッシュパターン2とその上にメッキ層3とを有する金属メッシュパターン7が設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルム6、8が用いられている。
【0034】
細線のメッシュパターン2、又は金属メッシュパターン7の上には、必要に応じて、例えば、粘着材4を介して保護フィルム5が積層されている。あるいは、細線のメッシュパターン2、又は金属メッシュパターン7の上には、必要に応じて、文字や図柄を印刷した印刷層を積層し、その上に粘着剤を介して表面被覆フィルムを貼り合せても良い。印刷層は、包装袋などで必要とされる文字や図柄を表示するために用いるものであって、ウレタン系、アクリル系などのインキバインダー樹脂に各種顔料、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されたインキを塗布して形成される層である。印刷層は、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの公知の印刷方法にて形成される。印刷層の厚さは、通常、0.05〜2.0μm程度で良い。
【0035】
図1(b)は、細線メッシュパターンの目開きを説明するための、部分詳細図であって、メッシュパターンの細線は、縦横に、線幅w、ピッチ間隔pで配設されている。
この場合、メッシュパターンの目開き寸法dは、(p−w)となる。本発明では、前記細線のメッシュパターンは、線幅wが10〜120μmであり、且つメッシュパターンのピッチ間隔pが80〜600μmである。
【0036】
図4は、本発明に用いられる、透視性を有しない電磁波シールド材であって、基材9の片面に金属箔11が積層された積層フィルムからなる電磁波シールド材13の部分概略断面図を示している。必要に応じて、金属箔11の上に粘着材10を介して保護フィルム12が積層されている。
【0037】
本発明に使用される金属箔11としては、アルミ箔(アルミニウム箔)、銅箔、錫箔、鉛箔、ニッケル箔、銀箔などの導電性に優れている金属であれば特に制限は無い。金属箔としての材料価格が比較的に安価であり、軽くて柔らかいことからアルミ箔が好ましい。アルミ箔の厚みは、3〜60μm程度とすることができ、特に7〜20μm程度が好適に用いられる。
電磁波遮蔽効果の発現、アルミ箔の製造のし易さから、アルミ箔の厚みは少なくとも3μm以上の厚みとするのが好ましい。アルミ箔の厚みが60μmよりも厚い場合は、包装袋に成型したときに柔軟性に欠けるので好ましくない。
【0038】
本発明で使用される基材9としては、上質紙、グラシン紙、コート紙などの紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂などの合成樹脂などが挙げられるが、これらの1種以上を用いた積層フィルムであっても良い。特に、ポリオレフィン系樹脂をシーラント層に用いた金属箔との積層フィルムが好適に用いられる。シーラント層は、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンーポリプロピレン共重合体などを用いることができる。シーラント層の厚みは、20〜100μm程度であれば良く、40〜70μm程度が好ましい。
【0039】
図5,図6に示した本発明の実施形態の1つであるスタンディングパウチ形式の電磁波シールド包装袋20において、1つの胴部材21と底部材22には、金属箔の積層フィルムからなる透視性を有しない電磁波シールド材13が使用され、もう1つの胴部材21には透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)が使用されている。
金属箔の積層フィルムからなる電磁波シールド材13は、図4に示すように金属箔11を用いて電磁波シールド効果を果たすものであるが、不透明であって、収納物を確認することができない不都合を有しているため、包装袋の内部が目視確認できるように、図5及び図6では、一方の胴部材21には透明な電磁波シールドフィルム6(又は8)を配設することにより、本発明の電磁波シールド包装袋に透視性を持たせて収納部を確認することができるようにしている。
図5において、スタンディングパウチ形式の電磁波シールド包装袋20は、底部と両側縁部との3辺が、ヒートシール部23により密着に接着されている。ヒートシール部23の幅寸法は、包装袋の全体の寸法にも依るが、およそ3〜16mm程度である。
【0040】
透視性を有しない電磁波シールド材13が、アルミニウム箔などの比較的に安価な金属箔を積層したフィルムであるのに比べて、透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)は、透明基材の少なくとも片面に導電性の薄膜からなる細線メッシュパターン、又は導電性の薄膜からなる細線メッシュパターンの上にメッキした金属メッシュパターンが形成されたものであり、作製に手間が掛かるため高価である。
従って、本発明の電磁波シールド包装袋の材料コストを下げるためには、可能な限り、安価な透視性を有しない電磁波シールド材13の使用量を増やし、高価な透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)の使用量を減らすのが好ましい。
このため、さらに材料コストを下げるには、透視性を有しない電磁波シールド材13の一部を切り欠いて窓穴部を設け、その窓穴部に透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)を貼り合せて透視性を確保した電磁波シールド材を用いることもできる。
電磁波シールド包装袋に必要とされる機能及び許容される材料コストに応じて、透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)の使用量を調整することができる。許容される材料コストに余裕があれば、電磁波シールド材の全てに透視性を有する電磁波シールドフィルム6(又は8)を使用することも可能である。
【0041】
図5において、包装袋の天部には、電磁波遮蔽対象物を収納するための再封可能な開口部24が設けられている。一旦、電磁波遮蔽対象物を包装袋に収めた後は、開口部24を密閉する密閉機構を用いて、包装袋を密閉する。
天部の開口部を密閉する密閉機構は、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が塗布されたフラップ部、開口部の封止を補強する粘着剤層が塗布された封緘片、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する粘着剤層が塗布された封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上が設けられる。図5においては、線状ファスナー25が一対の胴部材21,21の互いに対向する位置に設けられ、さらに、一方の胴部材21には、粘着剤層26が塗布されたフラップ部27が、開口部24の上部に設けられている。
【0042】
密閉機構は、開口部24を密閉した状態で電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅を500μm以下とすることが重要である。天部の開口部を密閉した時、最大空隙幅が500μm以上の空隙が1箇所でもあると、この空隙から電磁波が漏洩して、電磁波遮蔽性能が得られないからである。
本発明において、最大空隙幅は、円形状の隙間形状では直径、楕円形状では短径、矩形状では短辺の長さである。
【0043】
本発明の包装袋を構成する透視性を有する電磁波シールドフィルムは、表面抵抗率が10Ω/□以下であり、且つ電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下の通気孔が少なくとも1つ以上、設けられていることが好ましい。表面抵抗率が10Ω/□を超える場合は、前記細線のメッシュパターンは、線幅が10〜120μmで、且つメッシュパターンのピッチ間隔を80〜600μmとしても、電磁波遮蔽性能を得ることが困難である。
【0044】
また、本発明の包装袋を成す電磁波シールド材には、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下の通気孔が少なくとも1つ以上、設けられていることにより、包装袋の天部を密閉した後、包装袋の内部の空気を排気して包装袋の外形を整えたり、包装袋の内外の気圧差が発生して袋が膨張し破損することを防止できる。
なお、全ての通気孔の最大空隙幅は、500μm以下で、且つ、通気孔が細線メッシュパターンの細線を断線させていないことが必要である。メッシュパターンの細線が断線し、結果としてメッシュのピッチ間隔が500μmを超える箇所が1つでもあると、この箇所から電磁波が漏洩する比率が増加してしまい、電磁波遮蔽性能が得られないからである。通気孔のサイズは、長径が20〜300μm程度が好ましい。通気孔の長径が20μm以下であると、配設する通気孔の個数が増加するからである。
【0045】
電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下の通気孔は、通気孔自体の長径が500μm以下のものを、例えばメッシュの格子目の位置に開孔するのでも良い。あるいは、図7に示すように、長径が500μmを超える通気孔14の内部に、電磁波シールド材のメッシュパターン15を設け、メッシュパターン15の空隙16を通じて内外に空気を流通できるようにした電磁波シールド材17を用いることもできる。
【0046】
配設する通気孔の個数には、特に制限は無いが、通気孔が近接して密集していると電磁波シールドフィルムの機械的な強度が低下するので好ましくない。例えば、複数の通気孔を設ける場合であれば、通気孔の間隔を数ミリ間隔とし、総数を2〜50個程度で配設すれば良い。通気孔の穴明け方法は、鋭利なニードル針を押付けて機械的な手段で行なうことができ、又、透明基材の樹脂フィルムが特定の電磁波の波長、例えば紫外線の波長領域に対して吸収能を持つ場合は、紫外線レーザなどを照射して穴明けを行なうこともできる。
【0047】
図5において、包装袋20の左上端のヒートシール部の一部には、貫通孔18が設けられて、吊り下げ用のひも19が通されている。電磁波遮蔽対象物が比較的に小さい場合、例えば携帯電話などを収納した包装袋では、首から吊り下げて置けば紛失を防止できて便利である。
【0048】
図6において、電磁波シールド包装袋20の内部には、電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグ28が、少なくとも1個以上、配設されている。このため、包装袋の天部の近傍にある開口部24を密閉して、電磁波の透過を遮蔽する密閉空間を形成するための密閉機構が正常に機能しているかどうかの判定を、アクティブ方式ICタグ28から送信される信号を包装袋の外部で測定して行なえるので、本発明による電磁波シールド包装袋の電磁波遮蔽性能の信頼性を高めることができる。
【0049】
電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグ28の仕様には特に制限が無いが、送信距離が数メートルから十数メートル程度の出力のものであれば良く、格別に高出力のものは必要ない。また、個別の電磁波シールド包装袋20に収納している電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグ28の識別番号と、個別の電磁波シールド包装袋20の保有者または配置場所を関連付ける統合管理システムを用意しておけば、アクティブ方式ICタグからの送受信から、統合管理システムで瞬時にICタグの識別番号を判定し、不具合のある特定の電磁波シールド包装袋20を迅速に確認することができる。この場合の不具合とは、包装袋の開口部を密閉していないか、あるいは、開口部を不完全に密閉していて、本発明に基づいた密閉機構が正常に機能していないことに依るものである。本発明に基づいた密閉機構が正常に機能していないことが判明した場合は、電磁波遮蔽対象物を別の電磁波シールド包装袋に移し変えるなどの対処を行い、解決を図る。
【0050】
図8、9において、包装袋30、31は、いずれも電磁波シールド部材からなる表裏2枚の胴部材32,33をシールしてなり、表裏2枚の胴部材32,33が、いずれも透視性を有しない電磁波シールド材13からなり、胴部材には、透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)で覆われた窓穴部34が設けられている。
図8の包装袋30は、表裏2枚の胴部材32,33が、両方とも窓穴部34を設けて窓穴部34にのみ透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を使用したものである。また、図9の包装袋31は、一方の胴部材32に窓穴部34を設け、この窓穴部34にのみ透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を使用し、他方の胴部材33には窓穴部を設けないで透視性を有しない電磁波シールド材13のみとしても良い。
包装袋30,31の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が設けられた折り返しの重ね代、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上の密閉機構群として例えば線状ファスナー35が、開口部36の近傍に設けられている。
【0051】
図10において、包装袋37は、1枚の前記透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を折り畳んで背貼りシール38と角底シール39してなり、ガゼットパウチの形状をしたものである。包装袋37の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が設けられた折り返しの重ね代、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上、例えば線状ファスナー35が設けられている。
【0052】
図11(a)(b)において、包装袋40は、1枚の前記透視性を有する電磁波シールドフィルム6(8)を2つ折りにして折り目41を底部とし、両側縁部42をシールしてなり、筒袋の形状を有しているものである。
包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が設けられた折り返しの重ね代、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上、例えば線状ファスナー35が設けられている。
【0053】
図12(a)〜(c)は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、感圧性の粘着剤層が設けられたフラップ部の使用例を示す斜視図であり、図12(d)は、図12(b)のE部の部分拡大断面図である。図12(d)の部分詳細図において、フラップ部52を折り曲げて粘着材56により密閉したときに生じる空隙59は、開口部57を閉じたときの段差tによるものであって、その最大空隙幅は、楕円形状の短径sである。
本発明においては、包装袋の天部に残される空隙の最大空隙幅を500μm以下にすることが重要である。天部の開口部を密閉した時、最大空隙幅が500μm以上の空隙が1箇所でもあると、この空隙から電磁波が漏洩して、電磁波遮蔽性能が得られないからである。このため、包装袋の両側縁部に施されたヒートシール部51,51において、フラップ部52の重ね代は充分な折り返し代53を設け、またヒートシール部51の両先端54を越える位置まで重ね代55とする。ヒートシール部51の両先端54に生じた空隙59(図12(d)参照)を通じた電磁波の漏洩が生じないように、図12(b)に示すように、フラップ部52を折り返して貼り合せた後、粘着剤層の塗布された封緘片60(図12(c)参照)をさらに重ね貼りしても良い。
この場合、粘着剤層56は、フラップ部52の全面に塗布するのではなく、図12(a)に示すように開口部57の近傍を重点に粘着剤を塗布し、フラップ部52の先端は手で掴むときの領域58を残して置くことが好ましい。
【0054】
図13(a)〜(c)は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、感圧性の粘着剤層が塗布されたフラップ部の別の使用例を示す斜視図であり、図13(d)は、図13(b)のF部の部分拡大断面図である。フラップ部52を折り返すときに生じる、曲がり部61の隙間(図12(d)を参照)を回避するため、フラップ部52を開口部57の両側に設け、片方または両方のフラップ部52に粘着剤層56を形成して、包装袋の両側縁部に施されたヒートシール部51の延長線に於いて、両フラップ部52,52を貼り合せ、粘着剤にて密閉するものである。ヒートシール部51の両先端54に生じた空隙59(図13(d)参照)を通じた電磁波の漏洩が生じないように、図13(b)に示すように、フラップ部52を貼り合せた後、粘着剤層の塗布された封緘片60(図13(c)参照)をさらに重ね貼りしても良い。
なお、包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、または面状ファスナーのいずれかと、図12、図13に示す粘着剤層が設けられたフラップ部を併用しても良い。
【0055】
図14は、本発明に係る、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片を備えた電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す平面図である。
図15は、本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片の使用例を示す(a)斜視図、(b)封緘前の断面図、(c)封緘後の断面図である。
感圧性の粘着材73が塗布された封緘片71には、粘着材の保護のために剥離フィルムが貼られており、包装袋70の天部にある開口部72を封止する時に、剥離フィルムを剥がして粘着材73を露出させた後、天部の開口部72を封緘片71で覆うことにより密閉される。特に、図14,15に示す封緘片の使用例は、天部の上端75がヒートシールされ、胴部材74の一部に開口部72が平面上に形成されているという特徴を有する。このため、開口部72を覆う封緘片71も平面形状のもので良く、封緘片71を折り曲げる必要がないため折り曲げ部に空隙の生じる恐れがない。したがって、図14,15に示す封緘片71を用いた密閉機構が、確実に包装袋の天部に残される空隙の最大空隙幅を500μm以下にできることから好適に使用できる。
【0056】
なお、封緘片71は、包装袋70の天部にある開口部72をすぐに封止することができるように、位置決めした状態で、粘着材を介して包装袋に一部分を貼り合わせて準備して置いても良いし、包装袋から切り離し別に用意して置いてものを取り出して貼り合せても良い。
本発明に使用される封緘片71は、他の密閉機構と同様、導電性を有する材料を用いて作製される。例えば、金属箔の積層したフィルムからなる透視性を有しない電磁波シールド材の片面に粘着材を塗布したものであっても良いし、または、本発明の透視性を有する電磁波シールドフィルムの片面に粘着材を塗布したものであっても良い。
また、包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された面状ファスナーと、図14,15に示す封緘片71を併用しても良い。
【0057】
図16(a)(b)(c)は、本発明に係る、天部の開口部57を密閉する密閉機構であって、感圧性の粘着剤層62が塗布された封緘片63の使用例を示す斜視図である。
封緘材63は、3つの折り返し部64,65,66を有し、各辺を順に折り込んでいくことにより、空隙をより低減でき、空隙から透過する電磁波を遮蔽する効果が高まる。なお、包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、または面状ファスナーのいずれかと、図16に示す粘着剤層が塗布された封緘片63とを併用しても良い。
【0058】
図1及び図2において、電磁波シールドフィルム6における細線のメッシュパターン2は、基材1の上に導電性金属の薄膜により形成されたものである。また、図3において、電磁波シールドフィルム8における金属メッシュパターン7は、基材1の上に導電性金属の薄膜により形成された細線のメッシュパターンと、その上にメッキ層3を積層して形成されたものである。
図1(b)において、前記細線のメッシュパターン2は、線幅(w)が10〜120μmであり、且つ細線のメッシュパターンのピッチ間隔(p)が80〜600μmである。細線のメッシュパターンの開口幅(d)は、(p−w)μmである。
【0059】
本発明は、電磁波シールド包装袋を提供するものであって、主として、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、その他、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの電磁波遮蔽対象物を収納し、包装袋内の電子機器から発生する電磁波が包装袋の外に漏洩するのを防止することを使用目的としている。
【0060】
ところで、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、その他、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、携帯情報端末には、およそ30MHzから10GHz帯域の電磁波(電波)が使用されている。
例えば、携帯電話の周波数帯域は、800MHz帯、1.5GHz帯、2.0GHz帯が使用されている。無線機能を使う電子ゲーム機には、各種の周波数が用いられているが、一例として、2.4GHz帯が使用されている。無線式マウスには、27MHz帯、2.4GHz帯などが使用されている。
無線式ヘッドホンには、例えば、2.4GHz帯が使用されている。アクティブ方式ICタグは、300MHz〜1000MHz帯域の例えば、430MHz帯が使用されている。無線式キーボードには、例えば、27MHzが使用されている。会話用のトランシーバーには、例えば、400MHz帯が使用されている。パソコンなどの通信には、2.4GHz帯や5GHz帯の無線LAN、あるいは周波数帯域3〜9GHzを利用するUWB(Ultra Wideband)の無線LANが使用されている。
【0061】
電磁波はその波長よりも小さい隙間が金属面に開いていても透過せず、反射される性質がある。周波数が30MHz〜10GHzにおける、電磁波の波長は10m〜3cmである。本発明で使用する電磁波シールド材においては、電磁波の遮蔽性能を高めるため、透視性を有する電磁波シールドフィルムの、細線メッシュパターン又は金属メッシュパターンのピッチ間隔を、電磁波の波長よりも充分に小さい80〜600μmとする必要がある。メッシュパターンのピッチ間隔を80μm以下にすると、全光線透過率を50%以上に確保するためには、細線メッシュパターンの細線幅を10μmよりも細くする必要があり、これは技術的に困難だからである。又、メッシュパターンのピッチ間隔を600μm以上にすると、電磁波がメッシュパターンで反射されないで透過する割合が増加し、電磁波の遮蔽性能が低下するからである。
【0062】
ここで細線のメッシュパターン2は、写真製法により生成された現像銀メッシュパターン、金属の蒸着により生成された蒸着膜メッシュパターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、及び無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンの中から選択されたいずれかの方法を用いて形成された導電性金属の薄膜からなるメッシュパターンであることが好ましい。
また、金属メッシュパターン7は、導電性の薄膜からなる細線メッシュパターン2の上に、無電解メッキ及び/又は電解メッキによるメッキ層3を施して作製したものである。
【0063】
(透視性を有する電磁波シールドフィルム)
本発明においては、電磁波シールド包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた透視性を有する電磁波シールドフィルム6、又は、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターン2とその上にメッキ層3とを有する金属メッシュパターン7が設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルム8が用いられる。
【0064】
金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルム8は、透明基材の一方の面の上に、導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターンを形成した透視性を有する電磁波シールドフィルム6を作製した後に、導電性金属の薄膜の細線メッシュパターン2の上に、無電解メッキ及び/又は電解メッキによるメッキ層3を施すことで、作製することができる。
本発明では、導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターン2の作製方法として、写真製法により生成された現像銀メッシュパターン、金属の蒸着により生成された蒸着膜メッシュパターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンが挙げられるが、以下にそれぞれの方法による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製方法と、併せて無電解メッキ及び電解メッキの方法を順に説明する。
【0065】
(写真製法により生成された現像銀メッシュパターン)
本発明に適用できる、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンの作製方法は、細線メッシュパターンを写真製法により現像された金属銀で形成するものである。
この写真製法に基づく露光現像法には、(a)露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、即ち、露光マスクと反対の形に現像銀が表れるいわゆるネガ型の露光現像方法と、(b)露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現する、即ち、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるいわゆるポジ型の露光現像方法の2通りがある。本発明には、(a)ネガ型の露光・現像方法と、(b)ポジ型の露光・現像方法のいずれでも適用できる。
【0066】
(写真製法)
以下、説明が重複するのを避けるため、ポジ型の露光・現像方法(DTR法)による現像銀メッシュパターンの作製方法について説明する。DTR法の場合、透明基材表面には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明基材上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
【0067】
透明基材は、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
物理現像核層には、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
【0068】
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの公知の塗布方式によって、連続した均一な層として設けることが好ましい。
物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、透明基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
前記ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
【0069】
物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて電磁波シールド材を作製する場合は、網目状パターンのような任意の細線パターンの露光マスクと上記感光材料を密着して露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下、アルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して細線パターンの物理現像銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、細線パターンの物理現像銀薄膜が表面に露出する。
【0070】
一方、物理現像核層が塗布された透明基材とは別の基材上に設けたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布された透明基材と、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の感光材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下、アルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出した細線パターンの物理現像銀薄膜が得られる。
【0071】
(現像方法)
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩などが挙げられる。
【0072】
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0073】
(露光方法及び露光装置)
前記ハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。電磁波シールド材を作製するための1つの方法として、例えば網目状などの細線パターンの物理現像銀の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は細線パターン状に露光される。
露光装置としては、枚葉式の露光マスクを用いる枚葉処理方式の露光装置と、連続したパターンが形成できる連続露光装置とがある。枚葉処理方式の露光装置は、ロールシートを間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間を無くしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので処理速度は遅くなる。これに対して連続露光装置を使用する場合には、生産性が高いので好ましい。
【0074】
(透明基材)
本発明に使用される透明基材1としては、可視領域で透視性を有し、一般に全光線透過率が90%以上のものが好ましい。中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で、好適に用いられる。透明基材1に使用される透明樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ20〜300μmの単層フィルム又は前記透明樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
【0075】
(金属メッシュパターン)
前述したように、細線メッシュパターンとしては、たとえば線幅10〜120μm程度の導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとして、細線を縦横に格子状に設けられたものがあるが、細線幅を小さくして格子の間隔を大きくすると透光性は上がるが導電性は低下し、逆に細線幅を大きくして格子の間隔を小さくすると透光性は低下して導電性は高くなる。本発明にかかる透明基材上に形成された任意の細線パターンは、全光線透過率50%以上の透光性と表面抵抗率10オーム/□以下の導電性とを同時に満足させることが好ましい。
このため、細線幅を小さくして、且つ全光線透過率50%以上の透光性を得る場合には、表面抵抗率を下げる必要があり、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンとすることが好ましい。
銅やニッケルなどの金属による鍍金(メッキ)、特に電解メッキを施すことにより、金属メッシュパターンが0.5〜15μmの厚み及び10〜50μmの線幅であるとき、全光線透過率50%以上、好ましくは60%以上の透光性の細線パターンであっても、表面抵抗率10Ω/□以下、好ましくは7Ω/□以下の導電性を保持することができる。
金属メッシュの全光線透過率を向上させるためには、細線が設けられた領域の面積に対して、細線間の光透過部の面積を十分に広くする必要がある。このため、細線の間隔は、80〜600μmであることが好ましく、より好ましくは120〜300μmである。
【0076】
金属メッキした金属メッシュパターンの厚みは、所望とする電磁波シールド性能に応じて任意に変えることができるが、0.5〜15μm、好ましくは2〜12μmの範囲である。また上述の方法によって作製された金属メッシュパターンは、30MHz〜10GHzのような広い周波数帯に亘って20dB以上のシールド効果を得ることができる。
導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンに施す金属メッキは、無電解メッキ法、電解メッキ法あるいは両者を組み合わせたメッキ法のいずれでも可能であるが、メッキ速度の観点から電解メッキによる方法が好ましい。
本発明において、金属メッキ法は公知の方法で行うことができるが、たとえば電解メッキ法は、銅、ニッケル、銀、金、半田、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「表面処理技術総覧;(株)技術資料センター、1987年12月21日初版、281〜422頁」等の文献を参照することができる。
本発明においては、メッキが容易で、かつ導電性に優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コスト等の理由により、銅またはニッケルを用いることが好ましい。
銅またはニッケルの電解メッキの表面には、ニッケル系黒化処理液を用いて黒化処理を行い、メッキ表面の金属光沢を抑えることで、ぎらつき感を低減させることができる。
【0077】
(金属の蒸着により生成された蒸着膜メッシュパターン)
金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられる。ここでは、重複した説明を避けるため、金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に用いられる蒸着の方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができるが、操作の簡便さから真空蒸着法が好適に使用される。
蒸着の膜厚みが0.01〜0.2μmである真空蒸着膜の上に、メッキ膜厚みが2〜15μmの電解メッキを積層する。
蒸着する金属の種類としては、銅または銀が好適に用いられる。蒸着の膜厚みが0.2μmよりも厚い場合は、処理時間が大幅に長くなりコスト高となる。
本発明では、透明基材の一方の面に蒸着膜を形成した後、公知のフォトリソグラフ法を用いてエッチング処理を行い、金属の蒸着膜によるメッシュパターンを作製する。
すなわち、金属の蒸着膜層上にフォトレジストを塗布し、当該フォトレジスト上にマスクフィルムを密着させながら露光し、露光部分を現像液にて溶解除去して洗浄乾燥後、エッチング液を塗布してエッチング処理を行う。さらに、有機溶剤を用いて残存するフォトレジストを除去し、金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンを作製する。
フォトレジストには、水溶性カゼインなどを用いることができる。エッチング液としては、塩化第二鉄、塩化第二銅などを用いることができる。
金属の蒸着膜による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられ、薄膜の細線メッシュパターンが作製され、さらに、必要であればメッキが施された金属メッシュパターンが作製される。
【0078】
(導電性ペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン)
導電性ペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられ、さらに、必要に応じてメッキが施された金属メッシュパターンが作製される。ここでは、重複した説明を避けるため、導電性ペーストの印刷によるメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に適用できる、導電性ペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製は、例えば、グラビア輪転印刷機を用いて行なうことができる。
グラビア輪転印刷機による場合、グラビア胴のグラビア版に導電性ペーストが供給される。供給された導電性ペーストをグラビア版に形成された型溝に押し込んだ後、圧胴により押し当てられた透明基材に転写させることにより、透明基材の長手方向に繋ぎ目無く連続して設けられた細線メッシュパターンが印刷される。また、グラビア版の線幅、深さ、ピッチを所定の範囲で設定することにより、メッシュパターンの線幅、厚み、ピッチを調整し、電磁波シールド性、視認性、及び光透過性に優れたメッシュパターンを得ることができる。
導電性ペーストに用いられる樹脂成分としては、好ましくは、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。また、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化型であってもよい。
【0079】
導電性ペーストは、これらの樹脂成分に金属粉末、及び黒色顔料を混ぜ込んだ後にアルコールやエーテルなどの有機溶剤を加えて粘度調整を行なう。
前記の金属粉末としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉が用いられるが、導電性、価格の点から銅または銀の微粉末を用いるのが好ましい。
印刷で形成されるメッシュパターンの線幅は、10〜120μm程度であることから、金属粉末の粒子径は、0.1〜2μm程度が好ましい。細線の厚みが2〜15μmと薄い条件においては、金属粉末の粒子径が2μmよりも大きいと、導電性を高めるのが困難となる。一般的には、金属粉末の粒子径は、グラビア版に形成された型溝の線幅より、20分の1以下のサイズであることが望ましい。
印刷した薄膜のメッシュパターンの金属光沢を消して外光の反射を抑えるために、カーボンブラックなどの黒色顔料を混ぜ込むのが好ましい。黒色顔料は、導電性ペースト中に0.1〜10重量%で含有させるのが好ましい。
なお、導電性ペーストの中に無電解メッキの触媒核を含有させてメッシュパターンを印刷する場合は、電解メッキ加工に先立って無電解メッキ加工を施し、その上に電解メッキを施すことにより、さらに導電性に優れた金属メッキされたメッシュパターンとなる。
【0080】
(無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷メッシュパターン)
無電解メッキ触媒を含有するペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材の細線メッシュパターンが用いられる。
ここでは、重複した説明を避けるため、無電解メッキ触媒を含有するペーストの印刷によるメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に適用できる、無電解メッキ触媒を含有するペーストの印刷による導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製は、例えば、輪転式凹版オフセット印刷機を用いて行なうことができる。
【0081】
輪転式凹版オフセット印刷機による場合、凹版胴に供給された塩化パラジウムなどの公知の無電解メッキ触媒を含有するペーストをシリコンゴム製のブランケットに写し、ブランケットと圧胴の間に通された透明基材フィルムにペーストを転写させることにより、透明基材の長手方向に繋ぎ目無く連続して設けられた細線メッシュパターンが印刷される。また、凹版の線幅、深さ、ピッチを所定の範囲で設定することにより、メッシュパターンの線幅、厚み、ピッチを調整し、電磁波シールド性、視認性、及び光透過性に優れたメッシュパターンを得ることができる。
本発明に用いる無電解メッキ触媒を含有するペーストは、メッシュパターンを印刷し、硬化させた後に無電解メッキ及び/又は電解メッキ加工を施すことから、通常は金属粉末をバインダーとなる樹脂成分に混ぜ込んだ導電性ペーストが用いられる。導電性ペーストの中に無電解メッキの触媒核を含有させてメッシュパターンを印刷する場合は、電解メッキ加工に先立って、無電解メッキ加工を施すことにより、電解メッキ加工を容易に行なえるようになる。
前記の金属粉末としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉が用いられるが、導電性、価格の点から銅または銀の微粉末を用いるのが好ましい。
【0082】
(金属箔のフォトリソグラフ法によりエッチングして生成されたエッチングパターン)
金属箔のエッチングによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられる。ここでは、重複した説明を避けるため、金属箔のエッチングによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に用いられるエッチングは、透明基材に金属箔を貼り合せた、金属箔積層フィルムを用いて、フォトリソグラフ法により行なわれる。金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔、錫箔、鉛箔、銀箔などの導電性に優れている金属であれば特に制限は無い。一般には、金属箔の材料価格が比較的に安価であり、エッチングの速度が速いことから銅箔が用いられる。
本発明で用いられる銅箔は、電解銅箔であっても、圧延銅箔であってもよい。
細線メッシュパターンの線幅に応じて、銅箔の厚みを考慮することができる。線幅が広い場合は、銅箔の厚みを薄くすることができる。
細線のメッシュパターンの線幅が10〜50μmの場合、全光線透過率50%以上、かつ表面抵抗率が10Ω/□以下にするには、銅箔の厚みを、3〜12μm程度とすることができる。電磁波遮蔽効果の発現、メッシュの防止のためには、銅箔の厚みは少なくとも3μm以上の厚みとするのが好ましい。銅箔の厚みが12μmよりも厚い場合は、エッチングの処理時間が長くなりコスト高となる。
【0083】
本発明では、透明基材の一方の面に銅箔を貼り合せて積層した後、公知のフォトリソグラフ法を用いてエッチング処理を行い、銅箔のエッチングによる導電性の薄膜のメッシュパターンを作製する。
すなわち、銅箔の上にフォトレジストを塗布し、当該フォトレジスト上にマスクフィルムを密着させながら露光し、露光部分を現像液にて溶解除去して洗浄乾燥後、エッチング液を塗布してエッチング処理を行う。さらに、有機溶剤を用いて残存するフォトレジストを除去し、銅箔による導電性金属の薄膜のメッシュパターンを作製する。
フォトレジストには、水溶性カゼインなどを用いることができる。エッチング液としては、塩化第二鉄、塩化第二銅などを用いることができる。
金属箔のエッチングによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においては、充分に厚い金属箔を使用すれば、表面抵抗率が10Ω/□以下の充分な導電性が得られることから、メッシュパターンの上にメッキを施す必要が無くなる。
【0084】
(導電性繊維を織り込んだ織物メッシュパターン)
織物パターンによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製においても、上記の写真製法によるメッシュパターンの形成と同様な、透明基材、細線メッシュパターンが用いられる。ここでは、重複した説明を避けるため、織物メッシュパターンによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンに特有の項目についてのみ、以下に説明する。
本発明に使用する導電性繊維は、ポリエステルやポリアミドなどの合成繊維、または、絹などの天然繊維から成る長繊維糸の表面に、無電解メッキにより銅やニッケルの薄膜を形成したものである。この導電性繊維を使用し、紡績機械を用いて細線メッシュのパターンに織り込んで織物メッシュパターンを作製した後、接着性樹脂を用いて透明な樹脂基材の上に接着し、積層体とする。
本発明における導電性繊維の素材は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維や、6ナイロンや66ナイロンなどのポリアミド繊維等の合成繊維、或いは、絹などの天然繊維の長繊維を用いることが好ましい。加工性や、耐久性の点で、特にポリエステル繊維が好ましい。織物メッシュパターンの可視光透過率を50%以上とするには、メッシュパターンの糸密度は50〜300本/インチであることが好ましい。300本/インチより大きい場合、光透過性が低くなり過ぎ、50本/インチより小さい場合、光透過性は高くなるが、充分な電磁波遮蔽効果が得られない。
さらに、織物メッシュパターンの導電性を高めるためには、織物メッシュパターンの表面に、無電解メッキ法によりに銅などの金属被膜を形成する。また、酸化剤により該金属被膜を黒化処理することにより金属光沢を除去して反射防止させたものとすることができる。
なお、織物メッシュパターンによる導電性金属の薄膜のメッシュパターンの作製におい、導電性の高い導電性繊維の織糸を使用すれば、表面抵抗率が10Ω/□以下の充分な導電性が得られることから、織物メッシュパターンの上にメッキを施す必要が無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、収納された電磁波遮蔽対象物を目視できると共に、電磁波シールド性に優れており、軽量で且つ安価に製造され携行して使用するのに適した電磁波シールド包装袋を提供できるので、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する電子機器を、電磁波遮蔽対象物として収納するのに役立てることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)は、本発明に用いられる、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略平面図、(b)は、細線メッシュパターンの目開きを説明するための、部分詳細図である。
【図2】本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。
【図3】本発明に用いられる、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムの部分概略断面図である。
【図4】本発明に用いられる、金属箔の積層フィルムからなる電磁波シールド材の部分概略断面図である。
【図5】本発明に係る電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5におけるA−A矢視の概略断面図である。
【図7】通気口の内部に金属メッシュパターンを有する電磁波シールド材の1実施形態を示す要部拡大斜視図である。
【図8】(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、(b)は(a)におけるB−B矢視の概略断面図である。
【図9】(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、(b)は(a)におけるC−C矢視の概略断面図である。
【図10】本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図である。
【図11】(a)は本発明に係る電磁波シールド包装袋の別の実施形態を示す斜視図、(b)は(a)におけるD−D矢視の概略断面図である。
【図12】(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、フラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、(d)は、(b)のE部の部分拡大断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構であって、別のフラップ部及び封緘片の使用例を示す斜視図であり、(d)は、(b)のF部の部分拡大断面図である。
【図14】本発明に係る、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片を備えた電磁波シールド包装袋の1実施形態を示す平面図である。
【図15】本発明に係る、天部の開口部を密閉する密閉機構であって、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する封緘片の使用例を示す(a)斜視図、(b)封緘前の断面図、(c)封緘後の断面図である。
【図16】(a)〜(c)は、本発明に係る天部の開口部を密閉する密閉機構の別の例であって、封緘片の使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
1…透明な基材、2…細線のメッシュパターン、3…メッキ層、4…粘着材、5…保護フィルム、6…透視性を有する電磁波シールドフィルム、7…金属メッシュパターン、8…透視性を有する電磁波シールドフィルム、9…基材、10…粘着材、11…金属箔、12…保護フィルム、13…電磁波シールド材、14…通気孔、15…金属メッシュパターン、16…空隙、17…通気口付き電磁波シールド材、18…貫通孔、19…吊り下げ用のひも、20…スタンディングパウチ形式の電磁波シールド包装袋、21…胴部材、22…底部材、23…ヒートシール部、24…開口部、25…線状ファスナー、26…粘着剤層、27…フラップ部、28…ICタグ、30,31…電磁波シールド包装袋、32,33…胴部材、34…窓穴部、35…線状ファスナー、36…開口部、37…ガゼットパウチ形状の電磁波シールド包装袋、38…背貼りシール、39…角底シール、40…電磁波シールド包装袋、41…折り目、42…側縁部、51…両側縁部に施されたヒートシール部、52…フラップ部、53…折り返し代、54…ヒートシール部の先端、55…重ね代、56…粘着剤層、57…開口部、58…手で掴むときの領域、59…空隙、60…粘着剤層の塗布された封緘片、61…曲がり部、62…粘着剤層、63…封緘片、64,65,66…折り返し部、70…電磁波シールド包装袋、71…平面状の封緘片、72…胴部材の開口部、73…粘着材、74…胴部材、75…上端。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋。
【請求項2】
電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋。
【請求項3】
前記細線のメッシュパターンは、線幅が10〜120μmであり、かつメッシュパターンのピッチ間隔が80〜600μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項4】
前記透視性を有する電磁波シールドフィルムの表面抵抗率が10Ω/□以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項5】
前記包装袋の天部の近傍には再封可能な開口部を有し、前記包装袋は前記開口部を密閉するための密閉機構を備えており、前記密閉機構は、電磁波の透過を遮蔽することが可能で、前記開口部を密閉した状態で電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下であり、前記最大空隙幅は、円形状の隙間形状では直径、楕円形状では短径、矩形状では短辺の長さであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項6】
前記包装袋には、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下である通気孔が少なくとも1つ以上、配設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項7】
前記包装袋を成す電磁波シールド材として、前記透視性を有する電磁波シールドフィルム以外の、透視性を有しない電磁波シールド材が用いられており、前記透視性を有しない電磁波シールド材は、基材の片面に金属箔または導電性繊維糸からなる織布を積層された積層フィルムからなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項8】
前記包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が塗布されたフラップ部、開口部の封止を補強する粘着剤層が塗布された封緘片、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する粘着剤層が塗布された封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項9】
前記包装袋の内部には、電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグが、少なくとも1個以上、配設されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項10】
前記導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンは、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンからなり、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法、又は、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法のどちらかの方法により生成された現像銀メッシュパターンであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項11】
前記導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターンは、金属の蒸着により生成された蒸着膜パターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷パターン、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷パターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンの中から選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項12】
前記電磁波遮蔽対象物が、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する電子機器群から選択された1種または複数種であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項1】
電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋。
【請求項2】
電磁波遮蔽対象物が収納される空間を形成するための包装袋であって、前記包装袋を成す電磁波シールド材の少なくとも一部分には、透明な基材の一方の面に導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンとその上にメッキ層とを有する金属メッシュパターンが設けられた、透視性を有する電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とする電磁波シールド包装袋。
【請求項3】
前記細線のメッシュパターンは、線幅が10〜120μmであり、かつメッシュパターンのピッチ間隔が80〜600μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項4】
前記透視性を有する電磁波シールドフィルムの表面抵抗率が10Ω/□以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項5】
前記包装袋の天部の近傍には再封可能な開口部を有し、前記包装袋は前記開口部を密閉するための密閉機構を備えており、前記密閉機構は、電磁波の透過を遮蔽することが可能で、前記開口部を密閉した状態で電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下であり、前記最大空隙幅は、円形状の隙間形状では直径、楕円形状では短径、矩形状では短辺の長さであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項6】
前記包装袋には、電磁波の透過できる空隙の最大空隙幅が500μm以下である通気孔が少なくとも1つ以上、配設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項7】
前記包装袋を成す電磁波シールド材として、前記透視性を有する電磁波シールドフィルム以外の、透視性を有しない電磁波シールド材が用いられており、前記透視性を有しない電磁波シールド材は、基材の片面に金属箔または導電性繊維糸からなる織布を積層された積層フィルムからなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項8】
前記包装袋の天部には、導電性を有する材料を用いて作製された、線状ファスナー、面状ファスナーなどの咬合具、粘着剤層が塗布されたフラップ部、開口部の封止を補強する粘着剤層が塗布された封緘片、開口部の全周囲に重ね代を持たせて封止する粘着剤層が塗布された封緘片などの、天部の開口部を密閉する密閉機構群の中から選択された1つ以上が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項9】
前記包装袋の内部には、電磁波遮蔽機能の検査用のアクティブ方式ICタグが、少なくとも1個以上、配設されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項10】
前記導電性金属の薄膜からなる細線のメッシュパターンは、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンからなり、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法、又は、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法のどちらかの方法により生成された現像銀メッシュパターンであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項11】
前記導電性金属の薄膜からなる細線メッシュパターンは、金属の蒸着により生成された蒸着膜パターン、導電性ペーストを印刷して生成された印刷パターン、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して生成された印刷パターン、金属箔をフォトリソグラフ法にてエッチングして生成されたエッチングパターン、導電性繊維を織り込んだ織物パターンの中から選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【請求項12】
前記電磁波遮蔽対象物が、携帯電話、無線機能を使う電子ゲーム機、無線式マウス、無線式ヘッドホン、パソコン同士の無線通信、アクティブ方式ICタグ、無線式キー、無線操縦玩具、トランシーバー、無線式イヤホン・マイク、無線機能を使う携帯情報端末などの、航空機内では常時使用禁止とされる通信機能を有する電子機器群から選択された1種または複数種であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の電磁波シールド包装袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−135143(P2009−135143A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307818(P2007−307818)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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