説明

電磁波シールド材及びその製造方法並びにディスプレイ用フィルター

【課題】ルーバー状の突出パターンによって外光の影響を低減してコントラストを高めることができる、電磁波シールド材及びその製造方法並びにその電磁波シールド材を備えたディスプレイ用フィルターを提供する。
【解決手段】透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電層3を少なくとも含む突出パターン19とを有する電磁波シールド材1であって、プライマー層2のうち導電層3が形成されている部分Aの厚さTは、導電層3が形成されていない部分Bの厚さTよりも厚く、突出パターン19を構成する導電層3の、透明基材表面と平行な仮想面で切断した断面積が透明基材1からの距離xの減少関数S(x)になっており、且つ突出パターン19の少なくとも側面が黒化処理されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーバー状の突出パターンによって外光の影響を低減してコントラストを高めることができる、電磁波シールド材及びその製造方法、並びにディスプレイ用フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやパーソナルコンピュータのモニター等のディスプレイ装置(画像表示装置)として、例えば、陰極線管(CRT)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ装置等が知られている。これらのディスプレイ装置のうち、大画面ディスプレイ装置の分野で注目されているプラズマディスプレイ装置は、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、漏洩する電磁波をシールドするためのフィルム状の電磁波シールド材を設けるのが一般的である。
【0003】
電磁波シールド材は今までに種々検討されているが、例えば特許文献1には、透明基材上に無電解めっき触媒ペーストをメッシュパターンでシルクスクリーン印刷し、その上に金属層を無電解めっきして突出パターンを形成した電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献2には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで転写体に凹版オフセット印刷し、転写体上のメッシュパターンを透明基材上に転写し、透明基材上のメッシュパターンに金属層を電解めっきして突出パターンを形成した電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献3には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで透明基材に直接凹版印刷し、その透明基材上のメッシュパターンに金属層を電解めっきして突出パターンを形成した電磁波シールド材が提案されている。
【特許文献1】特開平11−170420号公報
【特許文献2】特開2001−102792号公報
【特許文献3】特開平11−174174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各文献に記載の手法で得られた従来の突出パターンは、線幅に対する断面高さ(断面高さ/線幅)を大きくできないため、外光の影響を低減するルーバー(Louver)としての効果が小さく、コントラストの改善効果はほとんど期待できなかった。
【0005】
具体的には、特許文献1に記載の電磁波シールド材は、微細パターンの形成が難しいシルクスクリーン印刷でメッシュパターンを形成するとともに、成膜速度が遅く流動による垂れ下がりの多い無電解めっきで金属層を設けて突出パターンを形成するので、[断面高さ/線幅]比を十分に大きくできない。また、特許文献2に記載の電磁波シールド材は、凹版印刷でメッシュパターンを形成するので微細パターンの形成は可能であるが、オフセット方式を採用するので、凹版から一旦転写体に転写した後に転写体から透明基材に2回目の転写を行う。そのため、原版である凹版のメッシュパターンが忠実に透明基材に転写されないことがあり、その結果、メッシュパターンに金属層を電解めっきしても、突出パターンの断面高さが一定せず、[断面高さ/線幅]比を均一且つ大きくできない。さらに、特許文献2,3に記載の電磁波シールド材は、凹版から転写体又は透明基材に転写(転移ともいう。)する際に、未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりすることがあり、[断面高さ/線幅]比を十分に大きくできないばかりか、そもそも突出パターンを安定して形成できない。より具体的には、図15に示すように、凹版101上に導電性インキ組成物103を塗布した後にドクターブレード102で掻き取って凹部104内に導電性インキ組成物103を充填する際、図15(B)に示すように、ドクターブレード102で掻き取った後の凹部104内の導電性インキ組成物103は、その上部に凹み105が生じる。この凹み105は、その後、凹版101上に透明基材106を圧着して透明基材106上に凹部104内の導電性インキ組成物103を転写する際に、図15(C)に示すように、透明基材106と導電性インキ組成物103との密着を妨げる要因となる。その結果、透明基材106上に、導電性インキ組成物の未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりして、突出パターンを安定して形成できない。
【0006】
また、これに加えて、導電性インキ組成物のように高粘度乃至は低流動性のインキ組成物を[断面高さ/線幅]比を大きくとった凹版で印刷する場合は、版の凹部内に充填されたインキ組成物が透明基材に転写せずに版の凹部内に残留する分が多くなる。すなわち、版の凹部内に充填されたインキの転移率([透明基材上に転移するインキ量/版の凹部内に充填したインキ量]の比)は低くなる。この現象も、凹版形状の再現性及び転移する導電性インキ組成物量の低減の原因となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、凹版印刷によって導電性組成物を透明基材上に転写し、導電性を有する突出パターンを形成してなる電磁波シールド材において、ルーバー状の突出パターンによって外光の影響を低減してコントラストを高めることができる、電磁波シールド材及びその電磁波シールド材を備えたディスプレイ用フィルターを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、ルーバー状の突出パターンを形状再現性よく形成でき、その突出パターンによって外光の影響を低減してコントラストを高めることができる電磁波シールド材を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
我々は最近、流動性プライマーを用いた凹版印刷法による電磁波シールド材及びその製造方法を開発し、既に出願(特願2007−299468等)した。この発明によれば、凹版表面の凹部に充填した導電性組成物を高い形状再現性及び転移率にて基材上に転移させることが可能である。これにより、所望形状からなるメッシュ状の突出パターンを安定して形成できるようになったことから、突出パターンの[断面高さ/線幅]比を大きくすることが可能となり、更にルーバーとしての機能を付与することが可能となった。本発明はこうした開発経過に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、上記課題を解決するための本発明の電磁波シールド材は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなる導電層を少なくとも含む突出パターンと、を有する電磁波シールド材であって、前記プライマー層のうち前記導電層が形成されている部分の厚さは前記導電層が形成されていない部分の厚さよりも厚く、前記突出パターンを構成する導電層の、前記透明基材表面と平行な仮想面で切断した断面積が該透明基材からの距離xの減少関数S(x)になっており、且つ該突出パターンの少なくとも側面の最表面が黒化処理されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、突出パターンは、透明基材表面と平行な仮想面で切断した断面積がその透明基材からの距離xの減少関数S(x)になっており、且つ該突出パターンの少なくとも側面の最表面が黒化処理されているので、その突出パターンを、外来光(以下、外光と略す。)を遮るルーバーとして機能させることができる。その結果、外光の影響を低減してコントラストを高めることができる。
【0012】
さらに、この発明によれば、透明基材上に設けられたプライマー層のうち導電層が形成されている部分の厚さが導電層が形成されていない部分の厚さよりも厚いので、上記課題で指摘した凹みを充填するようにプライマー層が設けられている。こうした形態からなるプライマー層は、電磁波シールド材の製造時に、ドクターブレードで掻き取った後の賦形版面の凹部内の導電性組成物上部の凹みに充填して形成されたものであり、その結果、プライマー層が導電性組成物に空隙なく密着し、導電性組成物の転移不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を提供できる。また、この発明によれば、導電層は導電性組成物の転移性が改善されて設けられるので、通常のグラビア印刷等の凹版を利用する方法に比べ、転移後の導電性組成物の厚さを厚くすることができ、その結果、導電層を厚くでき、電磁波シールド材に必要な導電性を確保することができる。こうしたことは、凹版表面の凹部に充填した導電性組成物を高い形状再現性にて基材上に導電層として転移させることが可能であるので、その導電層上に黒化処理等を施せば、所望形状からなるメッシュ状の突出パターンを安定して形成できるようになり、結果として、突出パターンの[断面高さ/線幅]比を大きくすることが可能となり、ルーバーとしての機能を付与することが可能となる。
【0013】
本発明の電磁波シールド材の好ましい態様として、前記突出パターンの線幅をW、前記突出パターンのピッチ(線間隔)をL、前記突出パターンの高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満であるように構成する。ここで、前記高さHは、突出パターン形成部と突出パターン非形成部との厚さの差で表す。この発明によれば、上記関係式で表されるθが87°未満であるので、突出パターンによって生じる影が開口部の半分を覆うので、コントラストを高めることができる。
【0014】
本発明の電磁波シールド材の好ましい態様として、前記突出パターンの線幅Wと前記突出パターンのピッチLとの比(W/L)が0.15未満であるように構成する。この発明によれば、突出パターンのピッチに対してその線幅が小さいので、一定以上の高い開口率を保持でき、透過率の低下を防いだ状態でコントラストを高めることができる。
【0015】
本発明の電磁波シールド材において、前記突出パターンが、前記導電層の表面に形成された金属層を含むように構成されていてもよい。
【0016】
また、本発明の電磁波シールド材において、前記プライマー層が、電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であることが好ましい。ここで、電離放射線硬化性樹脂とは、紫外線又は電子線等の電離放射線の照射により硬化する性質を持った樹脂のことである。
【0017】
また、本発明の電磁波シールド材において、前記導電層に含まれる樹脂が、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の電磁波シールド材は、好ましい第1形態として、前記プライマー層と前記導電層との界面が、該プライマー層を構成する樹脂と該導電層を構成する樹脂又は粉末との界面であって、交互に入り組んでいるように構成する。また、好ましい第2形態として、前記プライマー層と前記導電層との界面近傍には、該プライマー層に含まれるプライマー成分と該導電性組成物とが混合する領域が存在するように構成する。また、好ましい第3形態として、前記導電層を構成する導電性組成物中に、前記プライマー層に含まれるプライマー成分が存在するように構成する。また、好ましい第4形態として、前記突出パターンは、前記プライマー層からなる第1の山と、該第1の山の中腹より上に形成された、前記導電性組成物からなる第2の山とで構成されたパターンであるように構成する。
【0019】
上記第1〜第3形態に係る発明によれば、透明基材上のプライマー層とパターン状に形成された導電層との界面が単純な境界面構造になっていないので、両層の密着性が向上しているとともに、この電磁波シールド材の製造時において、版面内に充填された導電性組成物の透明基材への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。また、第4形態に係る発明によれば、導電層が、上記第1の山と、第1の山の中腹より上に形成された第2の山とで構成された突起状パターンからなるので、第2の山を構成する導電性組成物が第1の山を構成するプライマー層から脱落しにくいとともに、この電磁波シールド材の製造時において、版面内に充填された導電性組成物の透明基材への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。
【0020】
上記課題を解決するための本発明のディスプレイ用フィルターは、上記本発明に係る電磁波シールド材を有し、ディスプレイの前面側に設けられることを特徴とする。この発明によれば、外光を遮るルーバーとして機能する突出パターンが形成されてなる電磁波シールド材を備えるので、外光の影響を低減してコントラストを高めたディスプレイ用フィルターを提供できる。
【0021】
上記課題を解決するための本発明に係る電磁波シールド材の製造方法の第1態様は、透明基材の一方の面に所定のパターンで形成された導電層を少なくとも含む突出パターンを有する電磁波シールド材の製造方法であって、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、所定のパターンからなる凹部を有する版面が形成されているとともに、該版面の表面と平行な仮想面で切断した凹部の開口断面積が該表面からの距離xの減少関数S(x)になっている、板状又は円筒状の版を準備する凹版準備工程と、前記版面に、硬化後に導電層を形成できる導電性組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該導電性組成物を掻き取って該凹部内に該導電性組成物を充填する導電性組成物充填工程と、前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の導電性組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するが前記導電性組成物は完全には硬化させないプライマー層硬化工程と、前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材及び前記プライマー層を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を前記プライマー層上に転写する転写工程と、前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物を硬化させて導電層を形成する導電性組成物硬化工程と、を有し、前記突出パターンは、少なくとも側面の最表面が黒化処理されてなり、該突出パターンの線幅をW、前記突出パターンのピッチ(線間隔)をL、前記突出パターンの高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満であることを特徴とする。
【0022】
上記第1態様に係る電磁波シールド材の製造方法において、前記導電性組成物充填工程での前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電層を形成できる組成物であって、前記導電性組成物硬化工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された導電層上に金属層を電解めっきするめっき工程をさらに有するように構成してもよい。
【0023】
また、本発明の電磁波シールド材の製造方法の第2態様は、透明基材の一方の面に所定のパターンで形成された導電層を少なくとも含む突出パターンを有する電磁波シールド材の製造方法であって、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、所定のパターンからなる凹部を有する版面が形成されているとともに、該版面の表面と平行な仮想面で切断した凹部の開口断面積が該表面からの距離xの減少関数S(x)になっている、板状又は円筒状の版を準備する凹版準備工程と、前記版面に、硬化後に導電層を形成できる導電性組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該導電性組成物を掻き取って該凹部内に該導電性組成物を充填する導電性組成物充填工程と、前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の導電性組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、前記圧着工程後に前記プライマー層と導電性組成物を同時に硬化する同時硬化工程と、前記同時硬化工程後に前記透明基材及び前記プライマー層を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を導電層として前記プライマー層上に転写する転写工程と、を有し、前記突出パターンは、少なくとも側面の最表面が黒化処理されてなり、該突出パターンの線幅をW、前記突出パターンのピッチ(線間隔)をL、前記突出パターンの高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満であることを特徴とする。
【0024】
上記第2態様に係る電磁波シールド材の製造方法において、前記導電性組成物充填工程での前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電層を形成できる組成物であって、前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された導電層上に金属層を電解めっきするめっき工程をさらに有するように構成してもよい。
【0025】
これら第1及び第2態様に係る発明によれば、流動性を保持したプライマー層が形成された透明基材のプライマー層側と、導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着するので、凹部内の導電性組成物上部に生じやすい凹みに流動性のあるプライマー層が充填される。その結果、プライマー層が導電性組成物に空隙なく密着するので、凹部内の導電性組成物を透明基材側に未転写部のない状態で正確に転写させることができる。こうして、導電性組成物の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を製造することができる。さらに、凹版表面の凹部に充填した導電性組成物を高い形状再現性にて基材上に導電層として転移させることが可能であるので、その導電層上に黒化処理等を施せば、所望形状からなるメッシュ状の突出パターンを安定して形成できるようになり、結果として、突出パターンの[断面高さ/線幅]比を大きくすることが可能となり、コントラストを高めるためのルーバーとしての機能を付与することが可能となる。
【0026】
本発明の第1及び第2態様に係る電磁波シールド材の製造方法において、前記プライマー層が電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であり、該プライマー層の流動性の保持を電離放射線の未照射又は加熱によって行うことが好ましい。
【0027】
本発明の第1及び第2態様に係る電磁波シールド材の製造方法において、前記導電性組成物が、導電性粉末及び樹脂を含み、該樹脂が熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂であることが好ましい。前記導電性組成物は、必要に応じて樹脂を溶解する溶剤を含み、乾燥や電離放射線照射等の硬化手段により導電層を形成可能な組成物であって、前記導電性組成物充填工程において版面の凹部に充填可能な流動性を有していることが好ましい。
【0028】
本発明の第1及び第2態様に係る電磁波シールド材の製造方法は、前記転写工程後において、前記プライマー層のうち前記導電性組成物が転写された部分の厚さは、前記導電性組成物が転写されていない部分の厚さよりも厚いことが好ましい。本発明の製造方法によれば、流動性を保持したプライマー層が形成された透明基材のプライマー層側と、導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着することにより、凹部内の導電性組成物上部に生じやすい凹みに流動性のあるプライマー層が充填され、その後プライマー層を硬化させるので、最終的に得られた形態は、透明基材上に設けられたプライマー層のうち導電層が形成されている部分の厚さは導電層が形成されていない部分の厚さよりも厚い形態(すなわち、食い込んだ形態)になる。得られた電磁波シールド材はこうした形態を有するので、導電層の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない。
【発明の効果】
【0029】
本発明の電磁波シールド材によれば、突出パターンが外光を遮るルーバーとして機能するので、外光の影響を低減してコントラストを高めることができる。さらに、上記課題で指摘した凹みを充填するようにプライマー層が設けられているので、導電層の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を提供することができる。また、プライマー層と導電層との密着性が向上しているとともに、この電磁波シールド材の製造時において、版面内に充填された導電性組成物の透明基材への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。こうしたことは、凹版表面の凹部に充填した導電性組成物を高い形状再現性にて基材上に導電層として転移させることが可能であるので、その導電層上に黒化処理等を施せば、所望形状からなるメッシュ状の突出パターンを安定して形成できるようになり、結果として、突出パターンの[断面高さ/線幅]比を大きくすることが可能となり、ルーバーとしての機能を付与することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明の電磁波シールド材によれば、上記関係式で表される形状の突出パターンを備えるので、コントラストを高めることができ、また、透過率の低下を防いだ状態でコントラストを高めることができる。
【0031】
本発明のディスプレイ用フィルターによれば、外光を遮るルーバーとして機能する突出パターンが形成されてなる電磁波シールド材を備えるので、外光の影響を低減してコントラストを高めたディスプレイ用フィルターを提供できる。
【0032】
本発明の電磁波シールド材の製造方法によれば、先ず第1の効果としては、凹部内の導電性組成物を透明基材側に未転写部のない状態で正確に転写させることができるので、導電性組成物の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を製造することができる。さらに、第2の効果としては、上記第1の効果により、凹版表面の凹部に充填した導電性組成物を高い形状再現性にて基材上に導電層として転移させることが可能であるので、所望形状からなるメッシュ状の突出パターンを安定して形成できるようになり、結果として、突出パターンの[断面高さ/線幅]比を大きくすることが可能となり、コントラストを高めるためのルーバーとしての機能を付与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0034】
[電磁波シールド材]
図1は、本発明の電磁波シールド材の一例を示す模式的な平面図であり、図2は、図1におけるA−A’断面の拡大図である。また、図3は、図2の一部をさらに拡大して示す模式的な断面図であり、(A)は、導電層上に金属層を設けない例であり、(B)は導電層上に金属層を設けた例である。本発明の電磁波シールド材10は、透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電層3を少なくとも含む突出パターン19とを有する。そして、図3に示すように、プライマー層2のうち、導電層3が形成されている部分Aの厚さTは導電層3が形成されていない部分Bの厚さTよりも厚く、さらに図4に示すように、突出パターン19の、透明基材表面と平行な仮想面で切断した断面積がその透明基材1からの距離xの減少関数S(x)になっており、且つその突出パターン19の少なくとも側面の最表面が黒化処理されている。さらに、本発明の電磁波シールド材10の好ましい態様は、図7及び図8に示すように、突出パターン19の線幅をW、突出パターン19のピッチ(線間隔)をL、突出パターン19の高さをHとしたときに、開口部の任意点(例えば中央点Q)から突出パターン19の頂部に向けて延ばした仮想線がその突出パターン19に接する線S1と、電磁波シールド材10の法線S2との角度θが所定の値未満になっている。
【0035】
ここで、線幅Wとは、少なくとも側面の最表面が突出パターン19をその形状の長手方向に直交する断面(図4で示せばzx平面)で切断した断面形状において、高さH方向及び長手方向と直交する方向(図4で示せばz方向)の幅である。そして、本発明における突出パターン19は、前記の通り、突出パターンを前記透明基材表面と平行な仮想面で切断した断面積が該透明基材からの距離x(高さH方向の距離でもある)の減少関数S(x)になっている。そのため、突出パターン19自体の幅も距離x乃至は高さH方向の減少関数となる。本発明においては、突出パターン19の一番該透明基材1に近い部分の幅(突出パターンの最大幅とも言える)をもって線幅Wと定義するものとする。
【0036】
また、「導電層3を少なくとも含み」とは、図3(A)(B)に示すように、突出パターン19を構成する層として金属層4が形成されているか否かにかかわらず、導電層3が形成されていることを意味する。また、「所定のパターン」とは、電磁波シールド材10の電磁波遮蔽パターンとして一般的な、メッシュ(網乃至格子)状、ストライプ(平行線群乃至縞模様)状、あるいは線分群等のパターンである。また、図1中、符号7は、中央部に位置し、ディスプレイ装置の画像表示領域に対峙する電磁波遮蔽パターン部であり、符号8は、その電磁波遮蔽パターン部の周縁部の少なくとも一部に存在する接地部である。この接地部8において、接地能力上好ましくは、図1に示すように、電磁波遮蔽パターン部7の周縁部の全周を囲繞する形態が好ましい。また、その接地部8は、メッシュ等の開口部を有するパターン状に形成されていてもよいが、より好ましくは、図1に示すように、開口部非形成(ベタ状)の導電層(あるいは導電層及び金属層)からなる。なお、本発明においては、図1に示すような接地部8が周縁部に存在していなくてもよく、全体をシームレスのメッシュ形状とすることもできる。この場合には、ディスプレイのサイズにかかわらず連続形成が可能となる。また、必要に応じて図2に示すように保護層9(例えばアクリル系の光硬化性樹脂層など)が形成されていてもよい。
【0037】
以下、本発明の構成を詳しく説明する。
【0038】
(透明基材)
透明基材1は、電磁波シールド材10の基材であり、所望の透明性、機械的強度、プライマー層2との接着性等の要求適性を勘案の上、各種材料の各種厚さのものを選択すればよい。透明基材1の材料としては、樹脂基材であってもよいし、硝子基材等の無機基材であってもよい。また、厚さ形態としては、フィルム状でもシート状でも板状でもよい。通常は、樹脂製の透明フィルムが好ましく用いられる。そうした透明フィルムとしては、アクリル樹脂(ここでは、所謂、メタクリル樹脂も包含する概念として用いる)、ポリエステル樹脂等をベースとするフィルムが好ましいが、これに限定されない。フィルムに使用する樹脂材料として、具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリロニトリル等が使用できる。中でも、二軸延伸PETフィルムが透明性、耐久性に優れ、しかもその後の工程で紫外線照射処理や加熱処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有する点で好適である。なお、ここで(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0039】
また、板に使用する材料として、樹脂としては、前記の樹脂フィルムで例示した樹脂を利用でき、無機材としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子等の硝子を利用できる。
【0040】
透明基材1は、ロール・トウ・ロールの長尺フィルムであってもよいし、所定の大きさからなる枚葉フィルムであってもよい。なお、ここで「ロール・トウ・ロール」とは、長尺帯状の基材を巻取(ロール)の形態で供給し、その巻取から帯状シートを巻き出して所定の加工をし、しかる後に再度巻取の形態に巻き取って保管、搬送するフィルムの利用形態を意味する。透明基材1の厚さは、通常は8μm以上1000μm以下程度が好ましく、板の場合は500μm以上5000μm以下程度が好ましいが、これに限定されない。透明基材1の光透過率としては、ディスプレイ装置の前面設置用としては、100%のものが理想であるが、透過率80%以上のものを選択することが好ましい。透明基材1の表面には、必要に応じて、後述するプライマー層2と透明基材1との密着性を改善するために易接着層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理を行ったりしてもよい。易接着層としては、透明基材1とプライマー層2との両方に接着性のある樹脂から構成する。易接着層の樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂の中から適宜選択する。
【0041】
(プライマー層)
プライマー層2は、透明基材1上に密着性よく設けられる。そして、このプライマー層2上には導電層3が密着性よく設けられる。したがって、プライマー層2は、透明基材1と導電層3の両方に対して密着性がよい材料であることが好ましく、また、ディスプレイ装置の前面設置用としては、当然のことながら可視光線に対して透明であることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を塗工してなる層であることが好ましい。また、密着性、耐久性改善、各種物性付与のために各種添加剤や変性樹脂を使用してもよい。
【0042】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0043】
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー(単量体)、あるいはプレポリマーやオリゴマーが用いられる。モノマーとしては、例えば、ラジカル重合性モノマー、具体的には、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。また、プレポリマー(乃至はオリゴマー)としては、例えば、ラジカル重合性プレポリマー、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマー、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートという表記は、アクリレート又はメタクリレートという意味である。
【0044】
これらモノマー、あるいはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、あるいはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
【0045】
光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、また、カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100重量部に対して0.1重量部以上5重量部以下程度添加する。
【0046】
なお、電離放射線としては、紫外線又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、あるいはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。
【0047】
必要に応じて適宜添加剤を添加する。添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、光拡散剤等が挙げられる。
【0048】
特に本発明においては、プライマー層2が、流動状態と硬化状態の2つの状態を保持できることに特徴がある。具体的には、プライマー層2は、塗工後においては流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられており、その後、プライマー層2上に導電性組成物層3’(図10参照)が転写形成される際においては短時間で流動状態から硬化状態に変化させることができるものであることが必要である。こうしたプライマー層2を透明基材1上に形成することにより、プライマー層2上に導電性組成物層3’を転写する際に、その導電性組成物層3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができるので、従来生じるおそれがあった導電性組成物層3’とプライマー層2との間の隙間の発生をなくすことができ、その隙間の存在による転写不良、密着不良の問題が生じない。
【0049】
なお、本願で言う「流動性」又は「流動状態」とは、プライマー層2を導電性組成物が充填された版面に圧着する際の圧力によって流動(変形)する性質又は状態をいい、水のように低粘度である必要はない。また、必ずしもNewton粘性である必要もなく、ティキソトロピー性あるいはダイラタンシー性のような非Newton粘性を有していてもよい。塗工に適した粘度に調整され、透明基材1上に塗布した後、プライマー層2が熱可塑性樹脂である場合は、版面に圧着する際に流動(変形)すればよく、プライマー層2は圧着時において流動(変形)する温度になっていればよい。この場合、軟化状態と言い換えてもよい。
【0050】
流動状態になっているプライマー層2の粘度は、通常、1mPa・s以上100000mPa・s以下の範囲内であり、好ましくは、50mPa・s以上2000mPa・s以下の範囲内である。
【0051】
そうしたプライマー層2の流動性状態は、プライマー層用樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、電離放射線硬化性を持ったインキを透明基材1上に塗布するだけで得られる。電離放射線硬化型インキは、一般に前記のごとき電離放射線硬化性を持つモノマーやオリゴマーからなり、必要に応じて、更に、光重合開始剤(紫外線硬化、あるいは光硬化の場合)、各種添加剤等を含み、電離放射線で硬化させるまでは流動性を示す。このインキは溶剤を含んでもよいが、その場合、塗布後に乾燥工程が必要であるため、インキは溶剤を含まないタイプ(いわゆるノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
【0052】
また、プライマー層用樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、流動性状態になる程度(例えば、50℃以上200℃以下程度)に加熱して生じさせることができる。こうした流動性状態のプライマー層2を、後述するように導電性組成物が充填された版面に圧着した後、冷却することで硬化させて転写すれば、その導電性組成物層3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができる。ここで、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布する方法としては、熱可塑性樹脂組成物の溶液を塗布後乾燥する方法や、ホットメルト状態の樹脂を塗布する方法がある。また、透明基材1上に塗布された熱可塑性樹脂組成物の加熱は、導電性組成物が充填された版面に接触する前に行ってもよく、版面に圧着する際に加熱ロール等を用いて圧着と加熱を同時に行ってもよいが、いずれにしろ、導電性組成物層3’をプライマー層2に転移する際にはプライマー層の流動性がなくなる程度まで冷却されている必要がある。
【0053】
プライマー層2の厚さは特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm以上100μm以下程度(後述の厚さTで評価した数値)となるように形成される。また、プライマー層2の厚さ(T)は、通常は、導電層3とプライマー層2との合計値(総厚。図3で言うと導電層3の頂部と透明基材1の表面との高度差)の1%以上50%以下程度である。なお、後の製造方法の説明欄で詳述するが、導電性組成物層3’がプライマー層2上に転写され、さらにその導電性組成物層3’を硬化させて電磁波シールド材を製造した後におけるプライマー層2は、図3に示すように、導電層3が形成されている部分Aの厚さTが、導電層3が形成されていない部分Bの厚さTよりも厚い。そして、そのプライマー層2において、厚さの厚い部分Aのサイドエッジ5,5は、厚さの薄い部分Bの側に導電層3が回り込んだ形態になっている。
【0054】
図3に示す形態は、硬化させる前の流動状態のプライマー層2を、凹版内に設けられた導電性組成物に圧着した後、プライマー層2を硬化させ、そのプライマー層2と導電性組成物を充填した所定のパターンの賦形版面とを圧着して、プライマー層2と導電性組成物とを空隙なく密着(図15に示す様な凹み105、あるいは図13に示す凹み6がある場合は、これを充填)した後に、プライマー層2を硬化し、又はプライマー層2と導電性組成物とを同時硬化し、その後に転写したことよって生じたものである。具体的には、後述の図10の製造工程図に示すように、透明基材1上に形成したプライマー層2を流動状態とし、そのプライマー層2を、導電性組成物15を凹部内に充填した版面に圧着し、プライマー層2を硬化することにより生じる。版面は、ドクターブレードによって凹部内以外の余分な導電性組成物が掻き取られるが、その際に、凹部内の導電性組成物の上部には、図13の拡大図で示したように凹み6が生じやすく、その凹み6を有した状態で版面にプライマー層2を圧着することにより、図13(A)及び図13(B)のように、流動性のあるプライマー層2がその凹み6内に充填されて、その結果、図3に示すような形態になる。
【0055】
(導電層)
導電層3は、プライマー層2上に電磁遮蔽を行うことができるパターン、例えばメッシュ状又はストライプ状のパターンで設けられている。この導電層3を形成する導電性組成物は、導電性粉末とバインダー樹脂とで主に構成され、種々の工程を経た後に最終的に導電性の層になっているものであれば特に限定されない。導電層の形成パターンは、電磁波シールド材に通常採用されるメッシュ状であってもストライプ状であってもよく、その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5μm以上30μm以下とすることができ、線間ピッチは100μm以上500μm以下とすることができる。開口率(電磁波遮蔽パターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50%以上95%以下程度である。また、メッシュやストライプ形状のパターンとは別に、図1のように、それと導通を保ちつつ隣接した額縁状の全ベタ(開口部非形成)層等の接地パターンが設けられる場合もある。また、導電層3の厚さは、その導電層3の抵抗値によっても異なるが、電磁波遮蔽性能と該導電層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(突起パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。なお、導電層3の形成パターンの線幅や厚さは、突出パターン19の形態に密接に影響する要素であるので、後の突出パターン19の説明欄で詳しく説明する。
【0056】
導電性組成物は、版の凹部内に充填する時点では流動性を有し、所望のパターンに形成し、硬化せしめた以降の時点で所望の導電性を発現するものであれば特に限定はなく、各種材料、形態のものが使用可能である。代表的なものは、導電性粉末と樹脂とを含み、さらに必要に応じてその樹脂を溶解する溶剤を含んだ流動性を有するインキ又はペースト状の材料を挙げることができる。この導電性組成物からなる導電層3は、導電性組成物を乾燥ないし硬化、あるいは更に焼成させた後の固形物からなる塗膜のことである。
【0057】
導電性組成物の粘度は、例えば後述するように、プライマー層2中のプライマー成分が導電性組成物中に侵入して増粘させたり、プライマー層2と導電性組成物とを同時硬化させたりする場合等、その製造工程上との関係で好ましい粘度の大小を一概には言えないが、使用可能な範囲としては、通常、数百mPa・s〜百万mPa・sの範囲内であり、好ましくは、数千mPa・s〜数万mPa・sの範囲内である。
【0058】
導電性組成物を構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、熱硬化型ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマー層用の材料として前記したものを挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。光硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。
【0059】
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用できる。溶剤の含有量は通常、10重量%以上70重量%以下程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、光硬化性樹脂等の電離放射線硬化型性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
【0060】
また、導電性組成物を構成する導電性粉末としては、金、銀、白金、銅、錫、パラジウム、ニッケル、アルミニウム等の低抵抗率金属粉末、低抵抗率金属以外の材料からなる粉末(上記低抵抗率金属以外の金属粉末、アクリル樹脂、メラミン樹脂等の樹脂粉末、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、ゼオライト等の無機粉末)の表面に金や銀等の低抵抗率金属をめっきしてなる粉末、グラファイト、カーボンブラック等の導電性炭素の粉末を好ましく挙げることができる。また、導電性セラミックス、あるいは導電性有機高分子の粉末も使用できる。形状も球状、回転楕円体状、多面体状、鱗片状、円盤状、繊維状(乃至針状)等から選ぶことができる。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。導電性粉末の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、例えば、鱗片状の銀粉末の場合には粉末の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下程度のものを用いることができ、カーボンブラック粉末の場合には平均粒子径が0.01μm以上1μm以下程度のものを用いることができる。
【0061】
導電性組成物中の導電性粉末の含有量は、導電性粉末の導電性や粉末の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100重量部のうち、導電性粉末を40重量部以上99重量部以下の範囲で含有させることができる。なお、本願において、平均粒子径というときは、粒度分布測定によって得られた粒度分布径、又はTEM観察で測定した値を指している。また、多面体状、纖維状等の非球面形状の場合は、通常、外接球の直径、対角線長、あるいは最長辺の辺長をもって粒径を定義する。
【0062】
また、導電性組成物には、品質向上等を目的に適当な添加物を加えてもよい。例えば、カーボンブラックはそれ自体が黒色であるので必要ないが、黒色顔料や黒色染料を必要に応じて所定量添加することで、電磁波シールドパネルを構成したときのコントラストを向上させ、視認性を向上させることができる。また、後述する金属めっき層の金属光沢による透明基板裏面の反射防止、色ムラ、金属色等の抑制のためには、こうした黒色顔料や黒色染料を含有させることが望ましい。黒色顔料としては、導電性粉末としても機能するカーボンブラック、Fe、CuO−Cr、CuO−Fe−Mn、CoO−Fe−Cr等が挙げられるが、その種類や形状は特に制限はなく、バインダー樹脂中に分散容易な平均粒子径0.1μm以下の着色力の大きな黒色顔料又は黒色染料が好ましい。なお、カーボンブラックを用いる場合には、チャンネルブラック、ファーネスブラック又はランプブラック等の色材用カーボンブラックや、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができ、中でも平均粒子径が20nm以下のものが好ましく用いられる。また、黒色染料としては、アニリンブラック等の染料を用いることができる。また、導電性組成物の流動性や安定性を改善するために、導電性や、プライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて、適宜粉末や増粘剤、界面活性剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0063】
導電層3の形成は、後述の図10の製造工程図に示すように、先ず、所定のメッシュ状又はストライプ状等のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に導電性組成物を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性組成物を掻き取って凹部内に導電性組成物を充填する。次に、流動性を保持したプライマー層2を一方の面に形成した透明基材1を準備する。さらに、所定のパターンからなる凹部を有する版面が形成されているとともに、その版面の表面と平行な仮想面で切断した凹部の開口断面積がその表面からの距離xの減少関数S(x)になっている、板状又は円筒状の版を準備する。次に、その版面に、硬化後に導電層を形成できる導電性組成物を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性組成物を掻き取ってその凹部内に導電性組成物を充填する。次に、その透明基材1のプライマー層2側と、導電性組成物を凹部内に充填した版面とを圧着することにより、導電性組成物とプライマー層2とを隙間なく密着させ、その状態でプライマー層2の流動性をなくした(硬化させた)後、プライマー層2を有する透明基材1を版面から剥がして、凹部内の導電性組成物をプライマー層2上に転写し、所定のメッシュ状又はストライプ状等のパターンからなる導電性組成物層3’を形成する。なお、導電性組成物層3’をプライマー層2上に転写した後においては、硬化処理(例えば、乾燥処理、紫外線・電子線照射処理、加熱処理、冷却処理等)を行って導電層3が形成される。
【0064】
本発明においては、上記したように、ドクターブレードによって凹部内以外の余分な導電性組成物が掻き取られる際に、凹部内の導電性組成物の上部に生じる凹み6内に、流動性を保持したプライマー層2が充填し、導電性組成物とプライマー層2とを隙間なく密着した状態でプライマー層2が硬化するので、プライマー層2上に導電性組成物を転写不良なく転写することができる。
【0065】
上記においては、導電性組成物として、主に導電性粉末と樹脂とで構成されたものについて説明した。こうした導電性組成物は、それ自体が導電層3になるものであるが、本発明においては他の導電性組成物を適用してもよい。例えば、有機金属化合物のゾル(分散液)を導電性組成物として用い、例えば転写工程の前後で加熱固化し、さらに必要に応じて焼成し、導電性の金属ないし金属化合物からなる導電層3としてもよい。なお、その場合には、透明基材としては、かかる焼成温度に耐え得る材料(硝子板等)を選ぶことが望ましい。また、例えば、ポリチオフェン等の公知の導電性樹脂を導電性組成物として用い、それ自体を導電層3としてもよい。
【0066】
図4は、透明基材と平行な仮想面で切断した導電層の断面積の説明図である。本発明において、転写後の導電層3は、透明基材1の表面と平行な仮想面P(yz平面)で切断した断面積がその透明基材1からの距離xの減少関数S(x)になっている。透明基材1からの距離xとは、図4(B)に示すように、プライマー層2の表面ではなく、プライマー層2を除いた透明基材1の表面から、該透明基材から遠ざかる方向(図4(B)でいうと上方、高さ方向でもある)に向かって測った距離をいう。その断面積は、導電層3のライン方向(y軸方向、長手方向)の所定長さyの範囲における断面積で比較する。実際には、例えば、図4(A)に示すように、電磁波シールド材10から所定長さy(例えば50μm)の範囲で切り出した測定試料片30を研磨用硬化樹脂に埋め込み、図4(B)に示すように、硬化後に透明基材1と平行になるように研磨し、その仮想面Pでの断面積を顕微鏡で測定して評価する。
【0067】
図5は、導電性組成物を充填する版面63の凹部64の空間形状を示す斜視図である。上述した導電層3の断面形状は、導電性組成物を充填する版面63の凹部64の空間形状と同じである(但し、逆凹凸)。すなわち、導電性組成物を充填する凹版62は、所定のパターンからなる凹部64を有する版面63を有するとともに、その版面63の表面と平行な仮想面Pで切断した凹部64の開口断面積がその表面からの距離x’の減少関数S’(x)になっている。表面からの距離x’とは、図5に示すように、版面63の表面から、該版の内部(図5でいうと下方)に向かって測った距離をいう。したがって、その版面63の凹部64に導電性組成物が充填され、その導電性組成物がプライマー層2上に導電層3として高い転写率で転写されることによって、導電層3は、凹部64の開口断面形状と同じ断面形状(且つ逆凹凸)でプライマー層2上に転写される。
【0068】
本発明では、導電層3は、版面63に形成された凹部64の形状を忠実に再現するので、その凹部64の形状を種々の形状とすることにより、各種の断面形状からなる導電層3を形成することができる。例えば、導電層3のライン方向に直交する断面形状としては、台形(4角形)、3角形、多角形(台形形態の5角形、6角形等)、半楕円形、放物線形、正弦曲線形、正規分布曲線及びそれらに類似する形状から選択されるいずれかを挙げることができる。これらの各形状は、いずれも、透明基材1と平行な仮想面Pで切断した断面積がその透明基材1からの距離xの減少関数S(x)になっている。
【0069】
(金属層)
金属層4は、導電層3のみでは所望の導電率に不足する場合に、導電率を更に向上させるために必要に応じて形成されるものである。通常、導電層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては、電解めっき、無電解めっき等の方法があるが、電解めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
【0070】
導電層3の抵抗が高く、電解めっきの電流を流しにくい場合は、まず無電解めっきを行ってある程度導電性を向上させ、続いて電解めっきを行ってもよい。また、無電解めっきで完結させてもよい。無電解めっきを行う場合、導電層3は必ずしもそれ自体で電解めっき可能な程度の導電性を有している必要はなく、無電解めっきによって金属被覆が可能な材料(例えば金属粒子、触媒粒子など)を含んでいればよい。
【0071】
電解めっきの場合、導電層3への給電は導電層3が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、導電層3(その上に更に無電解めっきによる金属層を形成した場合は、その金属層)が電解めっき可能な程度の導電性(例えば、100Ω/□以下)を有するので、電解めっきを問題なく行うことができる。金属層4を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル、錫を挙げることができる。金属層4は、上記のような導電性粉末と樹脂とからなる導電層3に比べ、一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、導電層単体で電磁波シールド性を確保する場合に比べて、必要な導電材料の量を減らせるという利点がある。
【0072】
(黒化処理)
黒化処理は、少なくとも、外来光を広い面積で受光する該突出パターン側面の最表面に対して行う。すなわち、金属層がない場合には直接導電層3上に、又は必要に応じて金属層4が形成された場合にはその金属層4上に、施される。この黒化処理とは、基本的に可視光線の反射率を下げるための処理のことであり、完全な黒色を狙うものではなく、導電層3の表面に独立した層(黒化層)を形成する処理、あるいは、導電層3の表面を粗面化したり化学変化(例えば、銅から亜酸化銅、銀から酸化銀)等により、少なくとも最表面を黒色化(低反射率化)したものを包含する。具体的には、導電層3上に、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示できる。なお、金属めっきによる黒化処理は、導電率を併せて向上させることができるので、上記の金属層を兼ねることができる。黒化処理表面の色調は、完全な黒色の他、灰色、褐色、紺色、臙脂色、深緑色、濃紫色等の低明度の有彩色又は無彩色であればよい。
【0073】
(突出パターンの形態)
本発明の特徴の一つに、突出パターン19をルーバーとして機能させる点がある。突出パターン19は、導電層3を少なくとも含む形態であり、図3(A)に示すように金属層4がなくてもよいし、図3(B)に示すように金属層4が導電層3上に設けられていてもよいが、いずれにしても、表面が黒化処理された突起状のパターンとして電磁波シールド材10を構成する。本発明においては、この突出パターン19がルーバーとして機能するので、突出パターン19は、外光が電磁波シールド材10に入射する側、詳しくは電磁波シールド材10がPDPパネル等に装着される場合においては視聴者側(マンサイド)、に突出するように設けられている。
【0074】
図6は、突出パターンが外光を遮る態様を例示する模式図であり、(A)に示す突出パターン19は突出高さが十分なため、斜上方から入射し、本来開口部の画面にて反射されるはずの外光14を十分に遮ってルーバーとして機能する例であり、(B)に示す突出パターン19’は突出高さが不十分なため、上方から入射する同様の外光14を十分に遮ることができない例である。図7は、外光14が突出パターン19で遮られて開口部全面に入射しない例を示す模式図であり、図8は、外光14が開口部の中央点Qまで突出パターン19で遮られる例を示す模式図である。これらの各図において、突出パターン19は平面視で少なくとも水平方向に延びるストライプ状又はメッシュ状で形成され、外光14はその突出パターン19に直交するように斜め上方から入射する。図中の符号Wは、突出パターン19の線幅であり、符号Lは突出パターン19のピッチ(線間隔)であり、符号Hは突出パターン19の高さである。また、符号θは、開口部の任意点(例えば中央点Q)から突出パターン19の頂部に向けて延ばした仮想線がその突出パターン19に接する線S1と、電磁波シールド材10の法線S2との角度である。言い換えると、電磁波シールド材10に対する外光14の入射角度を、法線に対する角度として表したものであり、面積率で半分以上遮蔽することが可能な外光は、入射角がθ以上(90度以下)の範囲のものになると言うことができる。
【0075】
ここでいう、線幅Wは、少なくとも側面の最表面が黒化処理された突出パターン19のz方向の幅のうち、最も透明基材1に近い部分の値ことである。前記のように、通常、図3に示す符号Aの幅となる。但し、もしも突出部19の側面が全て黒化処理されていない場合は、黒化処理されず、外光14を遮蔽しない部位を含まない。また、ピッチ(線間隔)Lは、電磁波シールド材10の突出部パターン19のピッチのことである。また、高さHは、図3にも示すように、突出パターン形成部の頂点と、突出パターン非形成部であるプライマー層2の平坦面との差(x方向の距離差)で表したものである。ここでの平坦面とは、図3に示すプライマー層2のうち、その厚さが最も薄い部分を基準とした面であり、通常は、開口部の中央点Q(図8参照)における面となる。
【0076】
なお、電磁波シールド材10を表示装置の前面に配置する場合、面内で電磁波シールド材10を回転させれば当然のことながら突出パターン10による外光14の遮蔽性も変化する。そこで、本発明のメッシュパターンは、最も外光14の遮蔽性が良くなる角度(具体的には突出パターン10の線が水平であるものを含む角度)での遮蔽性を規定する。
【0077】
本発明の電磁波シールド材10は、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)の式1で示される角度θが87°未満であるように突出パターン19を形成することが好ましい。この式1は、図8に対応するものであり、外光14が開口部の中央点Qまで遮蔽面積率50%遮ることができる、外光の入射角の最低値が87°以下である突出パターン19に対応している。例えば電磁波シールド材10をPDPパネル前面に装着する一般的な使用形態においては、角度θが87°未満となる突出パターン19を形成することにより、PDPのコントラストを高めて画像の視認性を向上させることができる。この場合において、角度θが小さいほど様々な角度で入射する外光14を遮蔽できるので好ましい。より好ましい角度θは86.2°未満であり、さらに好ましくは84.3°未満である。なお、角度θは、式1を構成するL,W,Hの各パラメータを変化させることにより調整できる。なお、角度θの下限は、突出パターン19の高さHの限界と、狭ピッチLにしたときの画像透過性の低下との関係から、68.2°程度とすることができ、73.3°程度がより好ましい。
【0078】
本発明の電磁波シールド材10において、導電層3は導電性組成物の転移性が改善されて設けられるので、通常のグラビア印刷等の凹版を利用する方法に比べ、転移後の導電性組成物の厚さを厚くすることができ、その結果、導電層3を厚くでき、電磁波シールド材10に必要な導電性を確保することができる。こうしたことは、凹版表面の凹部に充填した導電性組成物を従来では考えられないほどの高い形状再現性にて透明基材1上に導電層3として転移させることが可能であるので、その導電層3上に黒化処理等を施せば、所望形状からなるメッシュ状の突出パターン19を安定して形成できるようになり、結果として、突出パターン19の高さHを高くでき、また、突出パターン19の線幅Wを狭くでき、ルーバーとしての機能を付与することが可能となる。例えば、突出パターン19の高さHを2μm以上50μm以下の範囲で、且つその線幅Wを5μm以上30μm以下の範囲で再現性よく設けることができる。上記角度θをより小さくしてコントラストを高めるために、その高さを10μm以上50μm以下の高い範囲で、且つその線幅Wを5μm以上20μm以下の範囲で設けることが好ましい。
【0079】
式1の角度θを特定するための各パラメータについては、突出パターン19のピッチLを小さくして開口部間隔を小さくすると開口率が低下し、例えばPDPからの光の透過率が落ちる。そのため、望ましくは、突出パターン19の高さHを高くする方が望ましい。
【0080】
なお、図7に示すように、突出パターン19のルーバー機能によって、より小さい角度θに対して外光14が開口部の全面に入射しないようになっていることがコントラストを高める点からは望ましいが、そうしようとすると、突出パターン19の高さHを著しく高くするか、突出パターン19のピッチLを著しく狭くする必要がある。突出パターン19の高さHにはある程度の限界があり、ピッチLについても透過性の点からある程度以上のピッチである必要がある。本発明において、図7に示すような、θ=tan−1(L−(W/2)/H)の式2で示される角度を用いて電磁波シールド材10の形態を特定しても何ら構わないが、より工業的で現実的な上記式1を用いて電磁波シールド材10の形態を特定している。なお、上記式2で角度θを特定する場合には、その角度θが88.5°未満であるように各パラメータを調整することが好ましく、コントラストをより高めることができる。
【0081】
電磁波シールド材10を構成する各パラメータにおいて、その透過率の観点からは、突出パターン19の線幅Wと突出パターン19のピッチLとの比(W/L)が0.15未満であることが好ましい。W/Lを0.15未満とすることにより、突出パターン19のピッチLに対してその線幅Wが相対的に小さいので、電磁波シールド材10の開口率を一定以上の高い値に保持でき、透過率の低下を防いだ状態下でコントラストを高めることができる。
【0082】
透過率の観点から、W/Lのより好ましい範囲は0.10未満である。また、W/Lの下限は、電磁波シールドに必要な導電性及び突出パターンの強度の確保の理由から、0.01である。
【0083】
突出パターン19は上記黒化処理が施されているので、その表面は光吸収性を有している。そのため、突出パターン19は外光14等を効果的に吸収し、PDPに装着した場合における映像のコントラストを高めることができる。
【0084】
(導電層の形態)
ここで、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電層3の形態について説明する。以下、その形態を「導電層パターン16」という。図9は、導電層パターン16の2つの例を示す模式断面図である。導電層パターン16は、プライマー層2と、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電層3とで構成されている。この導電層パターン16は、導電層3が形成されている部分のプライマー層2の厚さTが、導電層3が形成されていない部分のプライマー層2の厚さTよりも厚くなっている。こうした形態は、平坦面からなるプライマー層2上に導電層3が形成されている場合に比べ、プライマー層2と導電層3との密着性に優れるという形態由来の効果がある。また、こうした形態は、後述する製法に起因するものであって、図10に示すように、版面63上でドクターブレードによって凹部64内以外の余分な導電性組成物15を掻き取った際に、その凹部64内の導電性組成物15の上部に凹み6が生じ易く、その凹み6を有した状態で版面63にプライマー層2を圧着することにより、流動性のあるプライマー層2がその凹み6内に充填され、硬化後に剥離することによって生じたものである。なお、図9に示す導電層パターン16の形状はいずれも釣鐘形状又は正弦曲線形状ということができるが、これは、導電層パターンを形成するための賦形型を釣鐘形状又は正弦曲線形状にしたためであり、こうした形状に限定されない。
【0085】
図9(A)に示す導電パターン16は、プライマー層2からなる第1の山17と、第1の山17の麓部分13の上端部乃至その近傍(第1の山17全体から言えばその中腹)より上に形成された導電層3からなる第2の山18とで構成された突起状パターンである。言い換えれば、この導電層パターン16は、その土台部分(麓部分13)がプライマー層2の突出部で構成され、その突出部の上に形成される導電層3は、その土台部分の上端部(第1の山17の中腹)より上側に設けられた態様で構成されている。したがって、この導電層パターン16は、導電層3が中腹より上に設けられているので、その中腹より下の麓部分13には導電層3が形成されていない。こうした形態からなる導電層パターン16は、平坦面でない山型のプライマー層2上に導電層3が形成されているために両者の密着性がよく、加えて、上記のような第1の山17と第2の山18とで構成されているために両者の密着性が著しく高くなっている。
【0086】
また、この形態において、第1の山17は、その中腹部に輪郭面の傾斜の不連続部(図9(A)中の矢印部分)を有するように構成されていてもよく、こうした不連続部の作用により、導電層3の脱落をさらに抑制できる。かかる輪郭面の傾斜の不連続部は、本発明の製造法(図13等を参照)の過程でプライマー層2が導電性組成物層3’内に流入する際に生じたものであり、プライマー層2の第1の山17の輪郭面(外表面)の傾斜が不連続的に変化する部分である。さらに、この形態(図9(B)の形態も同様)において、導電層3のサイドエッジ5が、斜めにせり上がる麓部分13の傾斜に近い角度になっているので、導電層3のサイドエッジ5の先端部がプライマー層2から剥がれ難くなっている。
【0087】
図9(B)に示す導電層パターン16は、プライマー層2と導電層3との界面が、プライマー層2を構成する樹脂と導電層3を構成する樹脂又は粉末との界面であって、その界面がプライマー層2側と導電層3側とに交互に入り組んでいる。この形態において、その界面12が、プライマー層2を構成する樹脂と導電層3を構成する樹脂又は粉末(導電性粉末又は非導電性粉末)との界面であるように構成されていてもよい。また、例えば、導電性組成物が粉末を含まず、導電性樹脂や導電性化合物を含有する場合には、プライマー層2を凹部内に圧着する際の圧力等によって、プライマー層2と導電層3との界面が入り組んだ形態になっていてもよい。なお、この形態の導電層パターン16において、入り組んだ界面12は、全体としては中央が高い山型の断面形態となっている。
【0088】
こうした形態からなる導電層パターン16は、平坦面でない山型のプライマー層2上に導電層3が形成されているために両者の密着性がよく、加えて、上記のような界面12が入り組んだ所謂投錨効果により、プライマー層2と導電層3との密着性が著しく高くなっている。
【0089】
図9(A)(B)以外の3つ目の形態としては、例えば導電層3を構成する導電性組成物中に、プライマー層2に含まれるプライマー成分が存在している形態(図示しない)を挙げることができる。この形態の一例を図9(A)の断面形態を用いて説明すれば、プライマー成分が導電層3内において界面12付近で多く、頂部に向かって少なくなる形態である。要するに、プライマー成分が導電層3内に存在している形態である。プライマー成分は、導電層3の頂部から検出される程度に導電層3内に侵入していてもよいし、界面12近傍で検出される程度であってもよい。
【0090】
こうした形態の導電層パターン16も上記した2つの形態の場合と同様、平坦面でない山型のプライマー層2上に導電層3が形成されているために両者の密着性がよく、加えて、プライマー成分が導電層3に存在する程度に侵入しているので両者の密着性が著しく高くなっている。
【0091】
さらに、図9(A)(B)以外の4つ目の形態としては、例えばプライマー層2と導電層3との界面12の近傍に、プライマー層2に含まれるプライマー成分と、導電性組成物層3’を構成する成分とが混合する領域が存在している形態(図示しない)を挙げることができる。この形態を図9(A)の断面形態を用いて説明すれば、図9(A)では界面12が明確に現れているが、実際の混合領域(図示しない)では、そうした界面12は明確には現れておらず、明瞭でない曖昧な界面が現れる。また、そうした混合領域は、界面12を上下に挟むように存在するが、これは、プライマー層2中のプライマー成分(例えば溶剤など)と導電層3中の任意の成分(例えばモノマー成分など)とが両層内に相互に侵入することによる。なお、混合領域は界面12の上側に存在しても下側に存在してもよい。混合領域が界面12の上側に存在する場合としては、プライマー層2中のプライマー成分が導電層3内に侵入し、導電層3中の任意の成分がプライマー層2内に侵入しない場合であり、一方、混合領域が界面12の下側に存在する場合としては、導電層3中の任意の成分がプライマー層2内に侵入し、プライマー層2中のプライマー成分が導電層3内に侵入しない場合である。なお、混合領域の厚さは特に限定されない。
【0092】
こうした形態の導電層パターン16も上記した2つの形態の場合と同様、平坦面でない山型のプライマー層2上に導電層3が形成されているために両者の密着性がよく、加えて、面12近傍に混合領域14を有するので、プライマー層2と導電層3との密着性が著しく高くなっている。
【0093】
なお、上記した3つ目及び4つ目の形態からなる導電層パターン16において、プライマー層2中のプライマー成分が導電層3中に侵入した場合、プライマー成分にもよるが、そのプライマー成分が導電性組成物をゲル化しもしくは半固化状態とし、又は硬化性分を侵入させることができる。その結果、プライマー層2のみを硬化した後の転写工程において、増粘され又は半硬化した導電性組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)することができる。また、プライマー層2と導電性組成物とを同時硬化した後の転写工程においては、両層の層間接着力が高まるので、導電性組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)することができる
【0094】
上記した4つの形態に係る導電層パターンは、透明基材1上のプライマー層2とパターン状に形成された導電層3との界面12が単純な境界面構造になっていないので、両層の密着性が向上しているとともに、この電磁波シールド材10の製造時において、版面内に充填された導電性組成物の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。本発明の電磁波シールド材10は、上記した4つの形態の導電層パターン16の特徴を少なくとも1つ有しているが、それらの特徴を2つ以上有していてもよく、4つの全てを有していてもよい。また、これら4つの形態に係る導電層パターン16は、導電性組成物(導電層3)の転移性を改善できるため、通常のグラビア印刷等の凹版を利用する方法に比べ、転移後の導電性組成物(導電層3)の厚さを厚くすることができる。従って、導電層パターン16を厚くして電磁波シールド材に必要な導電性を確保することができるとともに、突出パターン19の高さを高くしてルーバーとして機能させることができる。
【0095】
以上、本発明の電磁波シールド材10の構成について説明したが、本発明の電磁波シールド材10は、突出パターン19が外光14を遮るルーバーとして機能するので、外光14の影響を低減してコントラストを高めることができる。さらに、上記課題で指摘した凹み6を充填するようにプライマー層2が設けられているので、導電層3の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材10を提供することができる。また、プライマー層2と導電層3との密着性が向上しているとともに、この電磁波シールド材10の製造時において、版面63内に充填された導電性組成物の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。こうしたことは、凹版表面の凹部64に充填した導電性組成物を高い形状再現性にて基材上に導電層3として転移させることが可能であるので、その導電層3上に黒化処理等を施せば、所望形状からなるメッシュ状の突出パターン19を安定して形成できるようになり、結果として、突出パターン10の[断面高さH/線幅W]比を大きくすることが可能となり、ルーバーとしての機能を付与することが可能となる。
【0096】
さらに、本発明の電磁波シールド材10によれば、上記関係式で表される形状の突出パターン19を備えるので、外光存在下における画像のコントラストを高めることができ、また、透過率の低下を防いだ状態でコントラストを高めることができる。
【0097】
[電磁波シールド材の製造方法]
図10は、本発明の電磁波シールド材の製造方法の一例を示す工程図である。また、図11は、本発明の製造方法を実施する装置の概略構成図であり、図12は、導電性組成物をプライマー層上に転写する転写工程を実施する装置の概略構成図である。なお、本願では、「転写」と「転移」は同義で用いており、したがって、「転写」を「転移」と置き換え、また、「転写工程」を「転移工程」と置き換えることができる。
【0098】
本発明の電磁波シールド材の製造方法は、図10〜図12に示すように、透明基材1の一方の面に突出パターン19が形成された電磁波シールド材10(図2を参照)の製造方法である。
【0099】
第1態様に係る製造方法は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面に形成された透明基材1を準備する透明基材準備工程(図示しない)と、所定のパターンからなる凹部64を有する版面63が形成されているとともに、その版面63の表面と平行な仮想面Pで切断した凹部64の開口断面積がその表面からの距離xの減少関数S(x)になっている、板状又は円筒状の凹版62を準備する凹版準備工程(図5及び図10(a)参照)と、前記の版面63に、硬化後に導電層3を形成できる導電性組成物15(未硬化状態で流動性がある。)を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性組成物を掻き取って凹部64内に導電性組成物15を充填する導電性組成物充填工程(図10(b)参照。なお、この段階で、凹部64内に充填された導電性組成物15の上部には、凹み6が生じる。)と、透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側と導電性組成物充填工程後の版面63の凹部64側とを圧着して、プライマー層2と凹部64内の導電性組成物15とを空隙なく密着する圧着工程(図10(c)参照)と、圧着工程後にプライマー層2を硬化(非流動化又は固化)するが導電性組成物15は完全には硬化させないプライマー層硬化工程(図示しない)と、プライマー層硬化工程後に透明基材1及び硬化したプライマー層2を版面63から剥がして凹部内の導電性組成物15をプライマー層2上に転写する転写工程(図10(d)参照)と、転写工程後、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電性組成物層3’を硬化させて導電層3を形成する導電性組成物硬化工程(図示しない)と、を少なくとも有するものである。
【0100】
そして、この第1態様に係る製造方法は、形成した突出パターン19の少なくとも側面の最表面が黒化処理されてなり、突出パターン19の線幅をW、突出パターン19のピッチ(線間隔)をL、突出パターン19の高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満で製造される。
【0101】
また、第2態様に係る製造方法は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面に形成された透明基材1を準備する透明基材準備工程(図示しない)と、所定のパターンからなる凹部64を有する版面63が形成されているとともに、その版面63の表面と平行な仮想面Pで切断した凹部64の開口断面積がその表面からの距離xの減少関数S(x)になっている、板状又は円筒状の凹版62を準備する凹版準備工程(図5及び図10(a)参照)と、前記版面63に、硬化後に導電層3を形成できる導電性組成物15を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性組成物を掻き取って凹部64内に導電性組成物15(未硬化状態で流動性がある。)を充填する導電性組成物充填工程(図10(b)参照)と、透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側と導電性組成物充填工程後の版面63の凹部64側とを圧着して、プライマー層2と凹部64内の導電性組成物15とを空隙なく密着する圧着工程(図10(c)参照)と(ここまでは、第1態様に同じ。)、圧着工程後にプライマー層2と導電性組成物15を同時に硬化する同時硬化工程(図10(c)参照)と、同時硬化工程後に透明基材1と硬化した後のプライマー層2とを版面64から剥がして凹部内の硬化した導電性組成物15を導電層3として硬化したプライマー層2上に転写する転写工程(図10(d)参照)と、を少なくとも有するものである。
【0102】
そして、この第2態様に係る製造方法も上記第1態様と同様、形成した突出パターン19の少なくとも側面が黒化処理されてなり、突出パターン19の線幅をW、突出パターン19のピッチ(線間隔)をL、突出パターン19の高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満で製造される。
【0103】
上記第1及び第2態様に係る電磁波シールド材の製造方法においては、導電性組成物15は、硬化後に電解めっきできる導電層を形成できる導電性組成物であってもよく、その場合、上記第1態様においては、導電性組成物硬化工程後、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電層3上に金属層4を電解めっきするめっき工程(図10(e)参照)をさらに有するように構成してもよい。また、上記第2態様においては、転写工程後、プライマー層2上に所定のパターンで形成された硬化済みの導電層3上に金属層4を電解めっきするめっき工程をさらに有するように構成してもよい。
【0104】
以下、各工程について図面を参照して説明する。
【0105】
(透明基材準備工程)
透明基材準備工程は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面に形成された透明基材1を準備する工程である。プライマー層2はプライマー層用樹脂組成物を透明基材1上に塗布して形成するが、こうしたプライマー層用樹脂組成物は上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。プライマー層2を有する透明基材1は購入品であってもよいし、図11に示すような塗布法(塗布装置)で形成したものであってもよいが、いずれの場合であっても、後述する圧着工程時に、プライマー層2が流動性を保持した状態であることが必要である。
【0106】
例えば、プライマー層用樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた場合には、電離放射線を照射しない未照射状態で、その電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤のみを乾燥除去し、透明基材1上に流動状態からなるプライマー層2を塗膜として形成しておき、その状態で後述する圧着工程に供給することが好ましい。もちろん、ここで用いる電離放射線硬化性の樹脂組成物が溶剤を含まない、いわゆるノンソルベントタイプの場合には、プライマー層2を形成する際の乾燥工程は不要である。
【0107】
また、プライマー層用樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、後述する圧着工程において加熱による流動状態となっていればよく、圧着工程の直前にプライマー層2の加熱処理を行ってもよく、熱ロール等でプライマー層2の加熱と版面63への圧着を同時に行ってもよい。
【0108】
なお、プライマー層を塗布する方法については各種コーティング方式が使用でき、例えばグラビアコート、コンマコート、ダイコート、ロールコート等の各種方式から適宜選ぶことができる。
【0109】
図11に示す塗布法はグラビアリバースコートの一例であり、ロール状に巻かれたフィルム状の透明基材1をグラビアロール51とバックアップロール52(厚胴ともいう。)との間に導入してプライマー層用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する方法である。この場合において、グラビアロール51は電離放射線硬化性樹脂組成物充填容器53に下方で接触し、電離放射線硬化性樹脂組成物を引き上げて透明基材1の一方の面に塗布する。このとき、余分な電離放射線硬化性樹脂組成物をドクターブレード54で掻き取る。透明基材1上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布した後においては、必要に応じて、乾燥ゾーンに通し、樹脂組成物に含まれる溶剤の乾燥処理を施す。この乾燥処理は、例えば、コーティング装置に適した粘度に調整された電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤のみを乾燥除去して、続く圧着工程に供する流動状態のプライマー層2を形成する処理である。コーティング装置に適した粘度を持つノンソルベントタイプの電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる場合は、乾燥装置は不要である。流動性を保持したプライマー層2を有する透明基材1は、その後に圧着工程に供給される。なお、透明基材1とプライマー層2の接着性を改善するための処理を連続して行う場合は、プライマー層2の塗布前に透明基材1に対して行う。
【0110】
(凹版準備工程)
凹版準備工程は、図5及び図10(a)に示すように、所定のパターンからなる凹部64を有する版面63が形成されているとともに、その版面63の表面と平行な仮想面Pで切断した凹部64の開口断面積がその表面からの距離xの減少関数S(x)になっている凹版62を準備する工程である。凹版62は、板状であっても円筒状であってもよく、板状の凹版62を用いる場合には、電磁波シールド材10を枚葉で製造でき、円筒状の凹版62を用いる場合には、電磁波シールド材10をロール・トウ・ロールで連続して製造できる。なお、「ロール・トウ・ロール」とは、帯状の基材をロールに巻取った形態で供給し、帯状に巻出して連続的に加工して、而かる後、ロール状に巻取る加工法のことをいう。
【0111】
凹版62は、図5で既述したが、本発明の製造方法では導電性組成物の転写率が極めて高い(95%〜100%)ので、凹部64の空間形状は、転写後の導電層3の断面形状と同じ又は略同じである。したがって、凹版62の凹部形状を、図6に示すような形状と同じにすれば、図6に示す断面形状からなる導電層3を再現性よく容易に得ることができる。
【0112】
凹版62は、板状又は円筒状の金属、あるいはセラミックスからなる版材を、フォトエッチングしたり、バイト等の加工治具で切削加工したり、レーザービームを用いて直接描画切削する、又は、電鋳等を行ったりして、所定形状の凹部64を形成することができる。特に、バイト等の加工治具での切削加工は、所定形状の凹部を精度よく加工できるとともに、高アスペクト比の凹部を得るのに有利である。
【0113】
(樹脂充填工程)
樹脂充填工程は、図10(a)(b)に示すように、メッシュ状又はストライプ状の所定のパターンで凹部64が形成された板状又は円筒状の版面63に、硬化後に導電層3を形成できる流動状態の導電性組成物15を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性組成物をドクターブレード等で掻き取って凹部内に導電性組成物15を充填する工程である。本工程において、本来望むものではないが、不可避的に凹部64内に充填された導電性組成物15上部には凹み6が生じる。その詳細な原因は不明であるが、ドクターブレード等で凹部以外の導電性組成物を掻取る際にその導電性組成物のレオロジカルな挙動によりその表面に凹み6を生じるため、導電性組成物が希釈溶剤を含む場合は希釈溶剤の揮発による体積収縮のため、あるいは両者の複合作用のためと推測される。導電性組成物15は上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。
【0114】
プライマー層用樹脂組成物に対する導電性組成物の組み合わせは特に限定されず、プライマー層用樹脂組成物の硬化処理と導電性組成物の硬化処理が異なっていてもよいが、導電性組成物15として導電性粉末を含む電離放射線硬化性樹脂を採用する場合には、プライマー層用樹脂組成物も電離放射線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。そうした組み合わせにすることにより、この樹脂充填工程後の圧着工程とそれに続くプライマー層の硬化工程時の電離放射線照射処理によって、上記第2態様の製造方法のように、プライマー層2の硬化と導電性組成物層3の硬化を同時に行うことができる。このとき、一般に導電性粉末は色がついているため、照射する電離放射線が光、あるいは紫外線の場合には、適切な光重合開始剤と光硬化性樹脂との組み合わせを選ぶことにより硬化させることができる。また、電子線を照射する場合には、特に導電性粉末の色は考慮する必要はない。
【0115】
なお、図11及び図12に示す塗布法は、プライマー層2を有する透明基材1を凹版ロール62に圧着する前に行われる工程の一例であり、具体的には、ピックアップロール61は導電性組成物充填容器68に下方で接触し、導電性組成物15を引き上げて凹版ロール62の版面63に塗布する。このとき、版面63上の凹部64以外の部分に導電性組成物15が乗らないように、ドクターブレード65で掻き落とす。
【0116】
(圧着工程)
圧着工程は、図10(c)及び図12に示すように、樹脂充填工程後の版面63の凹部64側と、透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側とを圧着して、凹部64内の導電性組成物15とプライマー層2とを空隙なく密着する工程である。プライマー層2はこの時点において流動性を有しているため、版面の凹部64内に充填された導電性組成物15上部の凹み6内にもプライマー層2は流入して、該凹みも充填し、透明基材1及び導電性組成物15の間は全てプライマー層で隙間なく満たされる。圧着はニップロール66で行われ、凹版ロール62に対して所定の圧力で付勢されている。そのニップロール66は付勢圧力の調整手段を備えており、その付勢圧力は、プライマー層2の流動性に応じて任意に調整される。
【0117】
なお、プライマー層2が熱可塑性樹脂である場合は、ニップロール66は加熱可能なロールにすることが好ましい。この場合、加熱圧着によってプライマー層2が軟化し流動可能となる。
【0118】
この圧着工程においては、版面の凹部64内に充填された導電性組成物15上部の凹み6内にプライマー層2が流入し、その凹み6が充填され、その後に硬化工程や転写工程を経て電磁波シールド材が製造される。この圧着工程において、第1には、プライマー層2に含まれるプライマー成分が導電層3を構成する導電性組成物中に侵入した後に後述の硬化工程や転写工程を経ることにより、版面内に充填された導電性組成物15の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。そして、得られた電磁波シールド材が有する導電層パターン16は、図9(A)を参照して説明したように、プライマー層2と導電層3との界面12が単純な界面構造にならず、両層の密着性が向上する。
【0119】
また、第2には、例えば導電性組成物中に導電性粉末が含まれる場合には、プライマー層2と導電性組成物との界面が入り組んだ態様で圧着されるので、その後に、後述の硬化工程や転写工程を経ることにより、版面内に充填された導電性組成物15の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。そして、得られた電磁波シールド材が有する導電層パターン16は、図9(B)を参照して説明したように、プライマー層2と導電層3との界面12が入り組んだ形態となり、両層の密着性が向上する。
【0120】
また、第3には、版面の凹部64内に充填された導電性組成物15上部の凹み6内にプライマー層2が流入し、その凹み6が充填され、その後に硬化工程や転写工程を経るので、得られた導電層パターン16Dは、図9(A)を参照して説明したように、プライマー層2からなる第1の山17と、第1の山17の中腹より上に形成された導電性組成物(導電層3)からなる第2の山18とで構成された突起状パターンとなる。
【0121】
(硬化工程)
硬化工程は、ニップロール66の付勢力による圧着工程後にプライマー層2を硬化する工程であり、圧着した後の状態で硬化処理することにより、プライマー層2と導電性組成物15とが密着した状態で硬化させることができる。具体的には、プライマー層用樹脂組成物が電離放射線硬化型樹脂組成物である場合には、照射ゾーン(図12の例ではUVゾーンと記載している。)で電離放射線が照射され、硬化処理される。この場合、プライマー層2は透明基材1と版面63に挟まれた態様になり、空気中の酸素による硬化阻害を受けないため、窒素パージ装置等は必ずしも必要ない。なお、硬化処理は、上記と同様、プライマー層用樹脂組成物と導電性組成物の種類に応じて選択され、例えば、電離放射線照射処理、冷却処理等の硬化処理が施される。
【0122】
なお、上記のように、プライマー層用樹脂組成物と導電性組成物の両方を電離放射線硬化性樹脂とした場合には、圧着工程に続く硬化工程時に電離放射線照射処理を施す、同時硬化工程とすることもできる。
【0123】
(転写工程)
転写工程は、図10(d)に示すように、硬化工程後に透明基材1及び硬化したプライマー層2を凹版ロール62の版面63から剥がして凹部64内の導電性組成物15をプライマー層2上に転写する工程である。プライマー層2は、この工程前のプライマー層硬化工程で硬化しているので、透明基材1とともに凹版ロール62の版面63から剥がすことにより、プライマー層2に密着した導電性組成物15は凹部内から離れてプライマー層2上にきれいに転写し、導電性組成物層3’となる。引き剥がしは、図11と図12に示すように、出口側に設けられたニップロール67により行われる。
【0124】
なお、転写工程において、導電性組成物15は必ずしも硬化させる必要はなく、導電性組成物15に溶剤が含まれた状態でも転移させることができる。この理由は今のところ不明であるが、プライマー層2と導電性組成物15とは空隙なく密着しているのみでは無く、プライマー層の一部は導電性組成物層中にも浸透し、両者が相互に混ざり合った領域ができるため、両者は相互に絡み合った状態で硬化させたプライマー層2と導電性組成物15との間の密着力が、ロール状凹版の凹部64の内壁と導電性組成物15との間の密着力よりも大きくなっているためと推測される。これに加えて、特に導電性組成物15が未硬化状態の場合には、プライマー層の一部が導電性組成物層中に浸透して、その流動性を変化せしめ、凹部64内から抜け出し易くするためとも推測される。
【0125】
図13は、凹部64内の導電性組成物15の凹み6にプライマー層2を充填し、その導電性組成物15が転写する形態を示す模式図である。図13(C)に示すように、転写工程後のプライマー層2の形態と導電性組成物層3’の形態を観察すると、プライマー層2のうち導電性組成物層3’が転写された部分Aの厚さTは、導電性組成物層3’が転写されていない部分Bの厚さTよりも厚い。そして、厚さの厚い部分Aのサイドエッジ5,5は、厚さの薄い部分Bの側に導電性組成物層3’が回り込んでいる。こうした形態は、流動性を保持したプライマー層2が形成された透明基材1のプライマー層2側と、樹脂充填工程後の版面63の凹部64側とを図13(A)(B)に示すように圧着することにより、凹部64内の導電性組成物上部に生じやすい凹み6に流動性のあるプライマー層2が流入し充填するので、転写後の形態は、図13(C)に示すように、透明基材1上に設けられたプライマー層2のうち導電性組成物層3’が形成されている部分Aの厚さTは導電性組成物層3’が形成されていない部分Bの厚さTよりも厚くなり、さらに、厚さの厚い部分Aのサイドエッジ5,5は厚さの薄い部分Bの側に導電性組成物層3’が回り込んだ形態になる。
【0126】
通常、導電性組成物層3’が形成されている部分Aにおけるプライマー層2の厚さTは、図3に示すように、その部分の中央部に行く程厚さが厚くなる。すなわち、電磁波遮蔽用パターン部の横断面(例えば図3を参照)において、プライマー層2の断面形状は、透明基材1から遠ざかる方向に向かって凸になった、半円、半楕円等のいわゆる釣鐘型形状、3角形、台形、5角形等のいわゆる山形形状、あるいはこれらに類似の形状をなす。
【0127】
また、プライマー層2と導電性組成物層3’乃至導電層3との界面12は、図9を参照して説明したように、単に物理的又は化学的に接着しているのみの形態の他、界面12の近傍において、両層の材料が相互に溶解、浸透、乃至は拡散し合っている形態であってもよい。この溶解、浸透、乃至拡散は、導電性組成物やプライマー層2の硬化前に行われるので、そうした状態になった後に導電性組成物やプライマー層2が硬化することにより、層間接着力の高い界面となる。なお、これらの形態は、両層の材料の選定、製造条件の選定いかんにより、何れの形態も実現できる。
【0128】
本発明の製造方法で製造された電磁波シールド材は、上記の界面形態からなる導電層パターン16が形成されるので、プライマー層2と導電性組成物層3’乃至導電層3との層間接着力が高く、版凹部内に充填された導電性組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)させることができる。さらに、アスペクト比(深さ/開口幅)が2/10以上と大きい版凹部を用いた場合においても、凹部内に充填した導電性組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)させることができる。その結果、導電層3を形成する導電性組成物の転写不良に基づく断線や形状不良、密着性等の不具合が生じないという効果がある。
【0129】
なお、転写工程後においては、必要に応じて乾燥処理、硬化処理等が施される。また、さらに抵抗を下げる必要があれば、その後のめっき工程に供される。めっき工程には、そのままインラインで供されてもよいし、一旦巻き取られた後に、別個のめっきラインに供給されてもよい。
【0130】
(めっき工程)
めっき工程は、図10(e)及び図11に示すように、転写工程後、プライマー層2上に所定のパターン(プライマー層2の形成パターンと同じ。)で形成された導電層3上に金属層4を電解めっきする工程である。めっきする金属としては、銅、銀、金、ニッケル、白金、錫等が挙げられ、特に価格が安く導電性も高い銅めっきが好ましい。銅めっき液は、硫酸銅浴、青化銅浴、ピロ燐酸銅浴、硼弗化銅浴等の市販のめっき液を利用できるが、中でも均一めっき性を向上させた銅めっき液が好ましく採用される。なお、めっき工程に供される際には、通常の前処理(例えば、脱脂処理、洗浄処理等)が施されるが、上記のように転写工程からそのままインラインで供給されてもよいし、別個のめっきラインに供されてもよい。電流密度、浴温度等のめっき条件、及び各種添加剤の添加については、公知慣用の範囲の中から、所望の金属層の厚さ、めっきの析出状態等を勘案の上で適宜設定する。めっき工程後には、必要に応じてさらに他の工程(例えば、金属層4の黒化処理工程や防錆工程、図2に示すような保護層9の形成工程)を経た後にそのまま巻き取られてもよいし、所定の寸法に切断されて枚葉シートとしてもよい。
【0131】
こうしてロール状又はシート状の電磁波シールド材10が製造されるが、本発明の電磁波シールド材の製造方法によれば、先ず第1の効果としては、プライマー層2と導電層3とをその間に空隙なく転写することができるので、導電層3の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を製造することができる。また、高い転移率で転移可能になるため、導電層3の厚さを厚くすることができ、電磁波シールド性を向上させることができる。
【0132】
例えば、深さが20μmの凹部を持つ版を用いれば、その版の形状とほぼ同じ約20μmの厚さからなる導電層パターンを形成することができる。こうしたことは、特に導電性粉末を多量に含む導電性組成物を凹版(グラビア)印刷する場合には考えられないことである。また、本発明の電磁波シールド材の製造方法においては、導電性組成物が溶剤を含み、短時間で固化する結着材料でなく、別途乾燥が必要である場合でも高い転移率で転移させることができる。また、導電性組成物がUV硬化型である場合、導電性組成物に顔料が含まれ、その顔料が高濃度の金属系の導電性粉末であって、その導電性粉末が紫外線を遮蔽し、凹版の孔内に紫外線が到達しないような場合であっても、高い転移率で転移させることができる。
【0133】
さらに、第2の効果としては、上記第1の効果により、凹版表面の凹部に充填した導電性組成物を高い形状再現性及び転移率にて基材上に導電層として転移させることが可能であるので、所望形状からなるメッシュ状の突出パターンを安定して形成できるようになり、結果として、突出パターンの[断面高さ/線幅]比を大きくすることが可能となり、外光存在下における画像コントラストを高めるためのルーバーとしての機能を付与することが可能となる。
【0134】
なお、以上においては、本発明の導電層の突出パターンの構成及びその製造方法として、導電性組成物上に電解めっきによる金属層を積層する形態について説明した。しかし、本発明においては、これ以外の形態により導電層の突出パターンを構成することも可能である。すなわち、上記した導電性組成物に代えて、無電解めっきにより金属層を析出可能な触媒物質を含有する触媒組成物にてその突出パターンを形成し、その表面に無電解めっきで金属層を析出し、積層せしめることもできる。そうした触媒組成物は後工程で無電解めっきが可能であればよく、導電性は必須でない。具体的には、触媒物質としては、パラジウム、錫、金、銀、銅等の金属の微粒子乃至粉末が好ましい。これら金属微粒子乃至粉末の粒径は1nm以上100nm(0.1μm)以下程度のコロイド粒子、あるいは前記導電性粉末と同程度の0.1μm(100nm)以上10μm以下程度のものが用いられる。もちろん、当然ながら、導電性粉末と同様の金属と粒径のものを用いれば、高導電性(低抵抗率)のため、これを含む触媒組成物を導電性組成物として用いることも可能である。
【0135】
[ディスプレイ用フィルター]
図14は、本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す模式的な断面図である。本発明のディスプレイ用フィルター71は、図14に示すように、上述した本発明の電磁波シールド材10を少なくとも有し、プラズマディスプレイ装置70の前面側(視聴者側)に設けられる。すなわち、電磁波シールド材10は、ディスプレイ用フィルター71の一部又は全部として設けられ、それ単独でディスプレイ用フィルター71として用いてもよいし、図14に示すように、電磁波シールド材10と他の機能部材を複合させて用いてもよい。
【0136】
機能部材としては、従来公知のものを適用でき、例えばネオン光吸収材、紫外線吸収材、近赤外線吸収材、反射防止材、防眩材、ハードコート材、防汚材、調色材、耐衝撃材、及び帯電防止材等を挙げることができる。これらの機能部材は、電磁波シールド材10上に、例えばネオン光吸収材料、紫外線吸収材料、反射防止材料、ハードコート材料、防汚材料、防眩材料等から選ばれる1種又は2種以上の材料を塗布組成物として層状に塗布形成したものであってもよいし、また、透明基材内に、それらの材料を含有させて構成したものであってもよい。
【0137】
図14に示す一例は、電磁波シールド材10の導電層3側の表面に、接着剤層72又は粘着剤層を介して、例えばAR層(反射防止層)74を塗布形成してなる透明基材73を被着体として貼り合わせたディスプレイ用フィルター71を例示している。このディスプレイ用フィルター71は、プラズマディスプレイパネル76の前面側(視聴者側)に接着剤層75又は粘着剤層を介して貼り合わされている。本発明のディスプレイ用フィルターは、図14に示す構成に限らず、電磁波シールド材10を一部又は全部に有するものであれば、他の種々の形態であってもよい。こうしたディスプレイ用フィルター71をプラズマディスプレイパネルに装着することにより、プラズマディスプレイ装置とすることができる。
【実施例】
【0138】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0139】
(実施例1)
図11及び図12に示す装置により電磁波シールド材を製造した。先ず、透明基材1として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物を厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバースコート法を採用し、光硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレートプレポリマー35重量部、ウレタンアクリレートプレポリマー12重量部、フェノキシエチルアクリレートからなる親水性で無い単官能アクリレートモノマー44重量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能アクリレートモノマー9重量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)3重量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300mPa・s(25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層2は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。
【0140】
次に、ロール状の凹版62を準備した。準備した凹版62は、線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深10μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部64を版面63に有するものである。この凹版62の凹部64は、鉄製の中空ロール(円筒)表面に銅メッキ層を積層して成る版素材の表面の銅層に、旋盤を用い、バイトを切削治具として切削することにより加工した。その加工は、凹部64内の空間形状を、版面63の表面と平行な仮想面Pで切断した凹部64の開口断面積がその表面からの距離xの減少関数S(x)になるように行った。具体的には、転写後の導電層3の形状が図4に示す釣鐘形状となるようにした。また、加工後の凹版62の全面に電解クロムめっきを施し、ドクターブレード102を用いて版表面の余分な部分のインキを掻き取る際に凹部64の形状が変化しないようにした。
【0141】
次に、未硬化のプライマー層2が形成されたPETフィルムを転写工程を行う凹版ロール62に供するが、それに先だって、準備された凹版ロール62の版面63に、導電性組成物15をピックアップロール61で塗布し、ドクターブレード65で凹部64内以外の導電性組成物を掻き取って凹部64内のみに導電性組成物15を充填させた。導電性組成物15を凹部64内に充填させた状態の凹版ロール62と、ニップロール66との間に、プライマー層2が形成されたPETフィルムを供給し、凹版ロール62に対するニップロール66の押圧力(付勢力)によって、プライマー層2を凹部64内に存在する導電性組成物15の凹み6に流入させ、導電性組成物15とプライマー層2とを隙間なく密着させると共に、該プライマーの一部を凹部64内の該導電性組成物15内に浸透せしめた。なお、用いた導電性組成物は、以下の組成の銀ペーストを用いた。
【0142】
<導電性組成物(銀ペースト)の作製>
導電性粉末として平均粒径約2μmの鱗片状銀粉末93重量部、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂7重量部、溶剤としてブチルカルビトールアセテート25重量部を配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物を作製した。
【0143】
次いで行われる転写工程は以下の通りである。先ず、プライマー層2が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層2が凹版ロール62の版面63側に対向した状態で、凹版ロール62とニップロール66との間に挟む。その凹版ロール62とニップロール66との間でPETフィルムのプライマー層2は版面63に押し付けられる。プライマー層2は流動性を有しているので、版面63に押し付けられたプライマー層2は、導電性組成物15が充填した凹部64内にも流入し、凹部64内で生じた導電性組成物15の凹み6を充填する(図13を参照)。こうしてプライマー層2は導電性組成物15に対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロール62が回転して高圧水銀燈からなるUVランプによって紫外線が照射され、光硬化性樹脂組成物からなるプライマー層2が硬化する。プライマー層2の硬化により、凹版ロール62の凹部64内の導電性組成物はプライマー層2と密着し、その後、出口側のニップロール67によってフィルムが凹版ロール62から剥離され、プライマー層2上には導電性組成物層3’(図10参照)が転写形成される。このようにして得られた転写フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させて固化させ、プライマー層2上にメッシュパターンからなる導電層3を形成した。このときの導電層3が存在するパターン部分の厚さ(導電層3が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は9μmで、版の深さとほぼ同等の厚さで転移しており、版の凹部64内の銀ペーストが高い転移率(90%)で転移していた。転移後の凹部64内を観察したところ、ペーストの版残りは見られず、また、メッシュパターンの断線や形状不良も見られなかった。
【0144】
次いで、得られた転写フィルムに対し、銅めっきを行った。銅めっき法としては、得られた転写フィルムを硫酸銅めっき液に浸漬し、その表面に形成されたメッシュ状の導電層パターンを陰極として、銅板を陽極として、2A/dmの電流を流して電解銅めっきを行った。銅めっき膜は、その導電層3上に選択的に、厚さ2μmで形成した。次いで黒化処理を行った。黒化処理は、無電解ニッケルめっきで行い、突出パターン19の反射率を低減させた。こうして本発明に係る実施例1の電磁波シールド材を作製した。なお、最終的な突出パターン19の高さHは、11μm、線幅20μm、ピッチ300μmであった。
【0145】
(実施例2〜7)
実施例1において、突出パターン19の線幅W、ピッチL及び高さHが表1に示す寸法になるように凹版ロール62の賦形版面63を準備し、実施例1と同様にして実施例2〜7の電磁波シールド材10をそれぞれ作製した。
【0146】
(比較例1)
実施例1において、PETフィルムの易接着処理面にプライマー層を塗布しない以外は実施例1と同様にして導電性組成物を転写させた。しかしながら、その際、PETフィルム上への導電性組成物の転写は十分でなく、断線やパターン抜けが多発した。また、乾燥後のパターン厚さも1μm程度であり、転移率が著しく悪かった。その後の電気銅めっきも均一にめっきすることはできず、最終的な突出パターン19の高さは約2μmであった。
【0147】
(比較例2〜4)
実施例1において、突出パターン19の線幅W、ピッチL及び高さHが表1に示す寸法になるように凹版ロール62の賦形版面63を準備し、実施例1と同様にして比較例2〜4の電磁波シールド材10をそれぞれ作製した。
【0148】
(コントラスト評価)
作製した電磁波シールド材10を50インチのプラズマディスプレイパネルの前面に設置して行った。明室コントラストについては、外光を遮断した暗室にてディスプレイの上部1.5mの位置に32W蛍光灯2本を点灯させ、画面から5mの位置で黒と白のストライプパターンを表示画像とし、黒パターンと白パターンのコントラスト評価を目視で行った。その結果を表1に示した。一方、暗室コントラストについては、蛍光灯を消灯する以外は、明室コントラストの評価と同一の条件で白の輝きを評価した。その結果を表1に示した。
【0149】
表1には、コントラストの結果と併せて電磁波シールド材のパラメータを示した。総合コントラストの評価は、暗室コントラストと明室コントラストの結果を総合的に判断し、低い方の評価を採用した結果である。このとき、評価は7名で良否評価を行い、「◎」は良が4/7以上の場合であり、「○」は否が0/7の場合であり、「△」は否が3/7以下の場合であり、「×」は否が4/7以上の場合である。
【0150】
(結果)
比較例1〜4の電磁波シールド材は、蛍光灯を点灯させた明室でのコントラストは不十分であったが、実施例1〜7の電磁波シールド材は明室コントラストの低下が目視でほとんど見られなかった。
【0151】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の電磁波シールド材の一例を示す模式的な平面図である。
【図2】図1におけるA−A’断面の拡大図である。
【図3】図2の一部をさらに拡大して示す模式的な断面図である。
【図4】透明基材と平行な仮想面で切断した導電層の断面積の説明図である。
【図5】導電性組成物を充填する版面の凹部の空間形状を示す斜視図である。
【図6】突出パターンが外光を遮る態様を例示する模式図である。
【図7】外光が突出パターンで遮られて開口部全面に入射しない例を示す模式図である。
【図8】外光が開口部の中央点まで突出パターンで遮られる例を示す模式図である。
【図9】突出パターンの断面形態を示す模式図である。
【図10】本発明の電磁波シールド材の製造方法の一例を示す工程図である。
【図11】本発明の製造方法を実施する装置の概略構成図である。
【図12】導電性組成物をプライマー層上に転写する転写工程を実施する装置の概略構成図である。
【図13】凹部内の導電性組成物の凹みにプライマー層を充填し、その導電性組成物が転写する形態を示す模式図である。
【図14】本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す模式的な断面図である。
【図15】透明基材上に導電性インキ組成物の未転写部が発生する従来の現象の説明図である。
【符号の説明】
【0153】
1 透明基材
2 プライマー層
3 導電層
3’ 導電性組成物層
4 金属層
5 サイドエッジ
6 凹み
7 電磁波遮蔽パターン部
8 接地部
9 保護層
10 電磁波シールド材
12 プライマー層と導電層との界面
13 麓部分
14 外光
15 導電性組成物
16 導電層パターン
17 第1の山
18 第2の山
19,19’ 突出パターン
20 一方の面
30 測定試料片
51 グラビアロール
52 バックアップロール
53 樹脂組成物充填容器
54 ドクターブレード
61 ピックアップロール
62 凹版ロール
63 版面
64 凹部
65 ドクターブレード
66 ニップロール
67 ニップロール
68 充填容器
A 導電層が形成されている部分
Aの厚さ
B 導電層が形成されていない部分
Bの厚さ
H 突出パターンの高さ
W 突出パターンの幅
L 突出パターンのピッチ長
P 仮想面
Q 中央点
S1 開口部の任意点(例えば中央点)から突出パターンの頂部に向けて延ばした仮想線がその突出パターンに接する線
S2 電磁波シールド材の法線
θ S1線とS2線との角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなる導電層を少なくとも含む突出パターンと、を有する電磁波シールド材であって、
前記プライマー層のうち前記導電層が形成されている部分の厚さは前記導電層が形成されていない部分の厚さよりも厚く、
前記突出パターンを構成する導電層の、前記透明基材表面と平行な仮想面で切断した断面積が該透明基材からの距離xの減少関数S(x)になっており、且つ該突出パターンの少なくとも側面の最表面が黒化処理されていることを特徴とする電磁波シールド材。
【請求項2】
前記突出パターンの線幅をW、前記突出パターンのピッチ(線間隔)をL、前記突出パターンの高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満である、請求項1に記載の電磁波シールド材(前記高さは、突出パターン形成部と突出パターン非形成部との厚さの差で表す)。
【請求項3】
前記突出パターンの線幅Wと前記突出パターンのピッチLとの比(W/L)が0.15未満である、請求項1又は2に記載の電磁波シールド材。
【請求項4】
前記突出パターンが、前記導電層の表面に形成された金属層を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
【請求項5】
前記プライマー層が、電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
【請求項6】
前記導電層に含まれる樹脂が、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
【請求項7】
前記プライマー層と前記導電層との界面が、該プライマー層を構成する樹脂と該導電層を構成する樹脂又は粉末との界面であって、交互に入り組んでいる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
【請求項8】
前記プライマー層と前記導電層との界面近傍には、該プライマー層に含まれるプライマー成分と該導電性組成物とが混合する領域が存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
【請求項9】
前記導電層を構成する導電性組成物中に、前記プライマー層に含まれるプライマー成分が存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
【請求項10】
前記突出パターンは、前記プライマー層からなる第1の山と、該第1の山の中腹より上に形成された、前記導電性組成物からなる第2の山とで構成されたパターンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の電磁波シールド材を有し、ディスプレイの前面側に設けられることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
【請求項12】
透明基材の一方の面に所定のパターンで形成された導電層を少なくとも含む突出パターンを有する電磁波シールド材の製造方法であって、
硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、
所定のパターンからなる凹部を有する版面が形成されているとともに、該版面の表面と平行な仮想面で切断した凹部の開口断面積が該表面からの距離xの減少関数S(x)になっている、板状又は円筒状の版を準備する凹版準備工程と、
前記版面に、硬化後に導電層を形成できる導電性組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該導電性組成物を掻き取って該凹部内に該導電性組成物を充填する導電性組成物充填工程と、
前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の導電性組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、
前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するが前記導電性組成物は完全には硬化させないプライマー層硬化工程と、
前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材及び前記プライマー層を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を前記プライマー層上に転写する転写工程と、
前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物を硬化させて導電層を形成する導電性組成物硬化工程と、を有し、
前記突出パターンは、少なくとも側面の最表面が黒化処理されてなり、該突出パターンの線幅をW、前記突出パターンのピッチ(線間隔)をL、前記突出パターンの高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満である、電磁波シールド材の製造方法。
【請求項13】
前記導電性組成物充填工程において、前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電層を形成できる組成物であり、
前記導電性組成物硬化工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された導電層上に金属層を電解めっきするめっき工程を有する、請求項12に記載の電磁波シールド材の製造方法。
【請求項14】
透明基材の一方の面に所定のパターンで形成された導電層を少なくとも含む突出パターンを有する電磁波シールド材の製造方法であって、
硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、
所定のパターンからなる凹部を有する版面が形成されているとともに、該版面の表面と平行な仮想面で切断した凹部の開口断面積が該表面からの距離xの減少関数S(x)になっている、板状又は円筒状の版を準備する凹版準備工程と、
前記版面に、硬化後に導電層を形成できる導電性組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該導電性組成物を掻き取って該凹部内に該導電性組成物を充填する導電性組成物充填工程と、
前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の導電性組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、
前記圧着工程後に前記プライマー層と導電性組成物を同時に硬化する同時硬化工程と、
前記同時硬化工程後に前記透明基材及び前記プライマー層を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を導電層として前記プライマー層上に転写する転写工程と、を有し、
前記突出パターンは、少なくとも側面の最表面が黒化処理されてなり、該突出パターンの線幅をW、前記突出パターンのピッチ(線間隔)をL、前記突出パターンの高さをHとしたときに、θ=tan−1(((L−W)/2+(W/2))/H)で示される角度θが87°未満である、電磁波シールド材の製造方法。
【請求項15】
前記導電性組成物充填工程において、前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電層を形成できる組成物であり、
前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された導電層上に金属層を電解めっきするめっき工程を有する、請求項14に記載の電磁波シールド材の製造方法。
【請求項16】
前記プライマー層が電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であり、該プライマー層の流動性の保持を電離放射線の未照射又は加熱によって行う、請求項12〜15のいずれか1項に記載の電磁波シールド材の製造方法。
【請求項17】
前記導電性組成物が、導電性粉末及び樹脂を含み、該樹脂が熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項12〜16のいずれか1項に記載の電磁波シールド材の製造方法。
【請求項18】
前記転写工程後において、前記プライマー層のうち前記導電性組成物が転写された部分の厚さは前記導電性組成物が転写されていない部分の厚さよりも厚い、請求項12〜17のいずれか1項に記載の電磁波シールド材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−200312(P2009−200312A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41425(P2008−41425)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】