説明

電解質膜、その製造方法及び固体高分子型燃料電池

溶融成形可能なフッ素樹脂が成形されてなる多孔質体であって連続孔を有する多孔質体の、前記連続孔中にイオン交換樹脂が充填されていることを特徴とする電解質膜を提供する。前記多孔質体は、具体的には例えばエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOH]共重合体(ただし、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、aは0〜3の整数、bは0〜12の整数、cは0又は1であり、b=0の場合はc=0である。)等からなる。このような多孔質体で補強された電解質膜は、厚さが薄くても機械的強度が高く、含水時の寸法安定性に優れており、該電解質膜を有する膜電極接合体を備える固体高分子型燃料電池は、出力が高く耐久性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池等において有用な電解質膜に関する。
【背景技術】
水素・酸素燃料電池は、その反応生成物が原理的に水のみであり、地球環境への悪影響がほとんどない発電システムとして注目されている。これらの燃料電池のなかでも、特に固体高分子型燃料電池は近年の研究の急速な進展により出力密度が高められ、実用化が大いに期待されている。
固体高分子型燃料電池は、触媒を含む触媒層を備えるガス拡散性の電極をアノード及びカソードとし、アノード及びカソードの間に電解質膜を配置させて接合(又は接触)させて形成される膜電極接合体を含む。そして、膜電極接合体は、そのアノードに燃料ガス、カソードに酸素を含む酸化剤ガスを供給することにより、内部で電気化学反応が進行し電気エネルギーを出力する。
このような固体高分子型燃料電池の性能を向上させるために従来から様々な膜電極接合体の製造方法が検討されており、例えば以下の方法が知られている。
(1)電解質膜上に直接触媒を析出させる方法。(2)触媒能を有するガス拡散性の電極シートを作製し、該電極シートを電解質膜と接合する方法。(3)触媒層を電解質膜上に形成したもの(ハーフセル)2組を作製し、それぞれの電解質膜側の面を対向させ圧着して膜電極接合体を作製する方法。
上記の方法のなかでも、(2)の方法は少量の触媒を有効に利用できる利点があり、多く採用されている。(2)の具体的な方法としては、例えば、別途用意した基材フィルム上に触媒層を形成し、その後、触媒層上に電解質膜を積層してホットプレスすることにより触媒層を電解質膜上に転写する方法(以下、この方法を「転写法」という。)が提案されている。
しかし、上述の転写法では、例えば厚さ30μm以下程度の十分に薄い電解質膜を用いて膜電極合体の性能向上を図ろうとすると、膜の機械的強度及び引裂強さが低いため、膜の加工性及び取り扱い性が低下する。そのため、得られる膜電極接合体は、電解質膜の耐久性が不十分であるため、長期に渡って運転させる場合に特性の低下が著しくなる等の問題があった。
特に、塗工液をガス拡散層上に塗工することにより触媒層を形成する方法では、通常、ガス拡散層は多孔質なカーボンペーパー又はカーボンフェルトからなっているため、電極と電解質膜とをホットプレスで接合する際に、ガス拡散層の表面に突き出たカーボン繊維の凹凸部の一部が触媒層、さらには電解質膜にまで食い込むことでガスリークが生じやすくなる。その結果、膜電極接合体の開回路電圧が低下したり、アノードとカソードが短絡する等の問題が生じるおそれがあった。そのため、この方法では、例えば、厚さが30μm以下の薄い電解質膜を用いて膜電極接合体を作製することが困難であり、良好な耐久性を保ちつつさらなる出力特性の向上を図るには限界があった。
また、電解質膜の膜抵抗を低減させて膜電極接合体の性能を向上させる観点から、電解質膜のスルホン酸基濃度を増加させる試みも行われている。しかし、膜中のスルホン酸基濃度の著しい増加は、膜の機械的強度や引裂強さの低下を招くという問題や、膜を取り扱う際に雰囲気湿度により寸法変化が起きるという問題が生じていた。また、このような電解質膜を用いて作製した膜電極接合体は電解質膜がクリープしやすく耐久性が不十分で、長期に渡って運転させる場合に特性の低下が著しくなる等の問題が生じていた。
また、電解質膜は含水時に膜の長さ方向に寸法が増大しやすく、様々な弊害を生じやすい。例えば、膜電極接合体を燃料電池セルに組込んで運転を行うと、反応により生成した水や燃料ガスとともに供給される水蒸気等により膜が膨潤し、膜の寸法が増大する。通常、膜と電極は接合しているので電極も膜の寸法変化に追従する。そして、接合体はガスの流路として溝が形成されたセパレータ等で拘束されているため、膜の寸法増大分は「しわ」となる。そして、そのしわがセパレータの溝を埋めてガスの流れを阻害することがある。
上記の問題を解決する方法として、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)多孔膜にスルホン酸基を有するフッ素系イオン交換ポリマーを含浸する方法が提案されている(例えば特公平5−75835号公報(請求項1、2))。しかし、PTFEの多孔質体はその材質に由来して比較的軟質であるために補強効果が十分でなく、上記課題を解決するに至っていない。また、ポリオレフィンからなる多孔質体にイオン交換樹脂を充填する方法も提案されている(特公平7−69377号公報)が、燃料電池運転下ではイオン交換膜に化学的な耐久性が必要であり、炭化水素系の樹脂では長期的な安定性に問題がある。
【発明の開示】
そこで、本発明は、上記従来技術の有する課題を鑑み、ハンドリング性、耐久性、出力特性、及び含水時の寸法安定性に優れた電解質膜を提供し、当該電解質膜を使用することにより、安定した高出力が得られる固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、溶融成形可能なフッ素樹脂が成形されてなり、連続孔を有する多孔質体に、イオン交換樹脂が充填されていることを特徴とする電解質膜、及び当該電解質膜と、触媒とイオン交換樹脂を含み前記電解質膜の両面に配置される触媒層とさらにその両面に配置されるガス拡散層とからなる電極と、からなる膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池を提供する。
また、本発明は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド及びテトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOH]共重合体(ただし、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、aは0〜3の整数、sは0〜12の整数、tは0又は1であり、b=0の場合はc=0である。)からなる群から選ばれる1種以上からなり、連続孔を有する多孔質体の、前記連続孔中にイオン交換樹脂が充填されていることを特徴とする電解質膜、及び当該電解質膜と、触媒とイオン交換樹脂を含み前記電解質膜の両面に配置される触媒層とさらにその両面に配置されるガス拡散層とからなる電極と、からなる膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池を提供する。
本発明の電解質膜はフッ素樹脂の多孔質体により補強されているので、ハンドリング性、耐久性に優れ、含水時の寸法安定性にも優れる。さらに、該電解質膜は、多孔質体で補強しているため、補強により抵抗が高まらず、固体高分子型燃料電池の電解質膜として使用した場合、高出力が得られかつ高出力を長期間維持できる。また、この多孔質体は、溶融成形可能な樹脂を使用して作製しているため、簡便な成形方法を適用することが可能であり、さらにフッ素樹脂の選定により、多孔度、機械的強度、電解質膜として使用した場合の出力特性等の制御が可能である。
また、本発明は、溶融成形可能なフッ素樹脂と無機充填剤を混合し混練した後、製膜し、得られたフィルムを延伸することにより空孔率が20〜95%である多孔質体を作製し、該多孔質体にイオン交換樹脂を充填することを特徴とする電解質膜の製造方法を提供する。
さらに本発明は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリビニルフルオライドからなる群から選ばれる1種以上のフッ素樹脂と、テトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOF]共重合体(ただし、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、aは0〜3の整数、bは0〜12の整数、cは0又は1であり、b=0の場合はc=0である。)とを混合し、混練した後、製膜し、得られたフィルムを延伸することにより空孔率が20〜95%である多孔質体を作製し、該多孔質体にイオン交換樹脂を充填することを特徴とする電解質膜の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において多孔質体を構成するフッ素樹脂は、溶融成形可能なフッ素樹脂であり、具体的には、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEという。以下、同様)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)及びポリビニルフルオライド(PVF)からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。テトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOF]共重合体(ただし、Y、a、b、cは上述のとおり。以下、この共重合体をTFE−PSVEという。)も溶融成形可能であり好ましい。また、これらのポリマーのブレンドポリマーや、上記ポリマーを構成する重合単位を含む他の共重合体も使用できる。
ここでTFE−PSVEを使用する場合、多孔質体を作製した後又は成形してフィルムを得た後に、加水分解、酸型化処理することにより−SOF基を−SOH基(スルホン酸基)に変換すると、多孔質体の抵抗が低くなるので好ましい。なお、テトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOH]共重合体(以下、TFE−PSVE−Hという)自体は溶融成形可能ではない。
これらのフッ素樹脂の中では、特にFEP、ETFE、PVDFが好ましく、なかでもETFEは機械的強度、成形性に優れており好ましい。本発明における多孔質体としては、これらのフッ素樹脂が単独で成形されてなる多孔質体も好ましいが、他の溶融成形可能なフッ素樹脂とブレンドされて成形されてなる多孔質体も好ましく使用できる。
なお、ここでETFEとしては、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと略す)に基づく重合単位/エチレンに基づく重合単位のモル比が、70/30〜30/70であることが好ましくは、特に65/35〜40/60が好ましい。この範囲であると特に機械的強度及び成形性に優れる。
上述のETFE、PVDFは、少量のコモノマーに基づく重合単位を含んでいてもよい。該コモノマーとしては、例えば下記のものが挙げられる。
CF=CFCl等のTFEを除くフルオロエチレン類、
CF=CFCF、CF=CHCF等のフルオロプロピレン類、
CFCFCFCFCH=CH、CFCFCFCFCF=CH等の炭素数が4〜12のフルオロアルキル基を有する(パーフルオロアルキル)エチレン類、
(OCFXCFOCF=CF(式中、Rは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基、mは0〜5の整数である。)等のパーフルオロビニルエーテル類、
CHOC(=O)CFCFCFOCF=CFやFSOCFCFOCF(CF)CFOCF=CF等の、容易にカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有するパーフルオロビニルエーテル類、
プロピレン等のC3オレフィン、ブチレン、イソブチレン等のC4オレフィン等のエチレンを除くオレフィン類等。
上記コモノマーに基づく重合単位を含有する場合、その含有割合は、通常ETFE、PVDFの重合単位全体に対して、好ましくは30モル%以下、より好ましくは0.1〜15モル%、さらに好ましくは0.2〜10モル%である。上記コモノマーに基づく重合単位を多く含みすぎると溶融成形しにくくなるおそれがある。
また、TFE−PSVEは、特にETFE、PFA等他の溶融成形可能なフッ素樹脂とブレンドして多孔体を形成する際に好ましい。TFE−PSVEは容易に延伸でき、微細多孔化が可能なためである。該共重合体をより具体的に示すと、TFEと下記式1〜4のいずれかで表わされる化合物との共重合体であることが好ましい。ただし、式中dは1〜9の整数であり、eは1〜8の整数であり、fは0〜8の整数であり、gは2又は3である。

本発明における多孔質体は種々の方法で作製することができる。例えば、相転換法、微細孔形成材抽出法、延伸法、電子線照射・エッチング法等があり、特に延伸法が好ましい。具体的には、後述するように上記フッ素樹脂に無機充填剤を配合して原反となるフィルムを得た後、これを延伸する方法(方法1)、又はTFE−PSVEと他の溶融成形可能な1種以上のフッ素樹脂を溶融ブレンドして原反となるフィルムを得た後、これを延伸する方法(方法2)により得ることが好ましい。
方法1の場合、無機充填剤としては、延伸時に、配合されたフッ素樹脂との間で界面剥離を起こし、微細な透孔(ボイド)を多数形成しうるものであれば、従来公知のものがいずれも使用可能であり、特に限定されない。例えば、無水シリカ、タルク、クレー、カオリン、マイカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。これらのなかでも特に無水シリカが好ましい。
無機充填剤の粒径は、好適な微細孔を形成するために、0.005〜30μmが好ましく、特に0.01〜20μm、さらには0.015〜10μmが好ましい。
また、無機充填剤の配合量は、所望の空孔率を確保し、かつ、延伸性や成形性を損なわない範囲で選択され、通常フッ素樹脂/無機充填剤の質量比として90/10〜40/60が好ましく、特に85/15〜50/50程度が好ましい。なお、これら無機充填剤は、フッ素樹脂中への分散性を向上させるため、常法に従いその粒子表面を適当なカップリング剤等の表面処理剤で処理して用いてもよい。
方法1の場合、通常、フッ素樹脂及び無機充填剤を適当な粉体混合機、例えばV型混合機、二重円錐混合機、リボン型混合機、短軸ローター型混合機、タービン型混合機、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等に投入して混合した後、混合物を一軸又は二軸押出機を用いて、混練し、ペレット化する(混合・混練工程)。また、フッ素樹脂と無機充填剤をあらかじめ混合せず、それぞれ独立したフィーダから定量的に一軸又は二軸押出機に投入し、押出機内で混合しながら混練してもよい。
次いで、得られたペレットを、少なくとも、構成材料であるフッ素樹脂の融点以上の温度、好ましくは当該融点+20℃以上の温度で、かつ、分解温度より低い温度において、フラットダイやTダイが装着された押出成形機により溶融、製膜することにより、無機充填剤含有フッ素樹脂フィルム(以下、「原反フィルム」という。)が得られる(成形工程)。ここで、原反フィルムの厚さは、通常3〜1000μm、好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは10〜250μm程度である。
次いで、原反フィルムを後述するとおり特定の条件下で延伸する(延伸工程)ことにより、本発明におけるフッ素樹脂からなる多孔質体としての多孔質フィルムが得られる。
方法2の場合は、溶融ブレンドするフッ素樹脂はいずれも分解温度以下で溶融混練混合ができ、ブレンドする含フッ素樹脂どうしが相溶せずに相分離し、延伸時に相分離したポリマー間で界面隔離又はフィブリル化が起こり、かつ微細な透孔(ボイド)、空孔を多数形成しうるものであることが必要である。このような観点から、本発明における方法2ではETFE、PFA、FEP、PCTFE、ECTFE、PVDF及びPVFからなる群から選ばれる1種以上のフッ素樹脂と、TFE−PSVEとを溶融ブレンドする。
ここで溶融ブレンドしたポリマー全質量中に、TFE−PSVEは、10〜90%含まれることが好ましく、30〜70%含まれるとさらに好ましい。ポリマー全質量中のTFE−PSVEの量が多すぎても少なすぎても、充分な多孔度を有する多孔質体は得にくい。
また、TFE−PSVEとしては、SOF基を加水分解、酸型化したときのイオン交換容量が0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂、特に0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂であるものが好ましい。イオン交換容量が低すぎると延伸性が悪くなり、イオン交換容量が高すぎると機械的強度が低くなる傾向にある。
方法2の場合も、方法1同様に混合・混練工程、成形工程、延伸工程を経て多孔体を作製できる。具体的には、ETFE、PFA、FEP、PCTFE、ECTFE、PVDF及びPVFからなる群から選ばれる1種以上のフッ素樹脂と、TFE−PSVEとを方法1同様に混合機で混合した後、方法1同様に混練、ペレット化する。次いで構成材料のTFE−PSVEと他のフッ素樹脂との融点以上の温度で方法1同様に溶融、製膜することにより、溶融ブレンドフィルム(以下、無機充填剤含有フッ素樹脂フィルム同様に「原反フィルム」という。)が得られる。次いで方法1同様に後述する延伸工程を行うことで多孔質体としての多孔質フィルムが得られる。
得られた多孔質フィルムは、そのまま使用することも可能であるが、加水分解、酸型化処理をしてTFE−PSVE−Hに変換することが好ましい。このの処理により、多孔質フィルム自体の抵抗が低くなるので、イオン交換樹脂を充填することにより得られる電解質膜の抵抗が低くなるためである。なお、この加水分解及び酸型化処理は、成形工程を終えてフィルムを形成した後、延伸工程を行う前に行ってもよい。同様に方法1の場合でもTFE−PSVEを使用した場合は、多孔質フィルムを得た後又は延伸工程の前に加水分解、酸型化処理することが好ましい。
なお、成形工程においては、方法1同様押出し成形機を用いて溶融、製膜を行うことが好ましいが、溶融ブレンドしたポリマーは相分離状態を呈し、押出しフィルム化することでポリマーが押出し方向に配向し、機械的強度等において異方性の大きなフィルムとなるおそれがある。したがって、成形された2枚のフィルムを、互いに押出し方向が直行するように重ねてロールプレス等を用いて積層し、その積層体に対して延伸処理を行ったものを本発明における多孔質体とすると、タテ方向とヨコ方向の強度が同等となり好ましい。
以下、方法1、方法2に共通する延伸工程を説明する。
この延伸工程の一例をモデル的に示すと、主として、原反フィルムとアシストフィルムの積層体を形成する第1工程と、当該積層体を延伸する第2工程と、及び延伸後アシストフィルムを剥離等で除去する第3工程からなる。
まず第1工程について説明する。
第1工程は、原反フィルムの少なくとも片面、好ましくは両面に、延伸を補助するアシストフィルムを積層し、原反フィルム/アシストフィルム積層体(以下、「原反フィルム積層体」という。)を形成する工程である。アシストフィルムを積層することにより、通常は延伸し難い溶融成形可能なETFE等のフッ素樹脂フィルムを無水シリカ等の無機充填剤を含有した状態でも、また2種以上のフッ素樹脂が溶融ブレンドされた状態でも、スムーズに延伸できるようになる。これが原反フィルムを多孔質化するためのポイントになる。
なお、上記積層体は、アシストフィルムが原反フィルムに強固に接着又は熱融着する必要はなく、アシストフィルムはある程度の界面接着力(又は、界面剪断強度)で原反フィルムと重なっていればよい。次の延伸工程において、外表面を形成するアシストフィルムが、延伸装置のロール、ガイドレール、クリップ等により把持されて延伸を受ける場合、アシストフィルムと原反フィルムの界面がすべってそれぞれのフィルムが独立に動くことがなく、原反フィルムをアシストフィルムの延伸に強制的に追随させられればよい。
上記原反フィルム積層体は、種々の方法により作製できる。例えば、(1)別々に調製した、原反フィルムの好ましくは両面にアシストフィルムを重ねて熱プレス機により、又は熱ロールを通して加熱圧着する熱ラミネーション法。(2)無機充填剤含有フッ素樹脂と、又は混練・混合工程を経た2種以上の溶融可能なフッ素樹脂からなるブレンドポリマーと、アシストフィルムを構成する樹脂とを多層ダイ内で溶融し、積層フィルムとして押し出す共押出ラミネーション法。(3)原反フィルムをあらかじめ調製し、当該フィルム上に、アシストフィルムを形成する樹脂を押出機によりフィルム状に押出して圧着させる押出ラミネーション法。
(2)の場合、フッ素樹脂とアシストフィルムとを積層する位置は、ダイ内であっても、ダイ外であってもよく、ダイ内の場合は、ダイの構造はシングルマニホールドであっても、マルチマニホールドであってもよい。また、(3)の方法において熱プレス等により加熱圧着させる場合は、ホットメルト接着剤等の適当な接着剤を2つのフィルムの間に介在させて接着力を調整することもできる。
通常、上記した方法で積層フィルムを形成する場合は、層間の接着力を強めるため、基材であるフィルムの表面をあらかじめコロナ放電処理等の表面処理することが行われるが、本発明における原反フィルム積層体においては、延伸後に、アシストフィルムは、容易に剥離できるものであることが好ましいので、通常これらの前処理は必要ではない。
本発明において、アシストフィルムを構成する樹脂は、基本的にそれ自身で容易に単体延伸(例えば単体二軸延伸)が可能である樹脂で、かつ、原反フィルムより、融点又はガラス転移点が低いものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリスチレン(PS)、ポリα−メチルスチレン(PαMS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリブテン(PB)、塩素化ポリエチレン(CPE)、エチレン塩化ビニル共重合体(EVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVAL)等が挙げられ、なかでもPET、PE、PP、PC及びPA6が好ましい。使用されるアシストフィルムは、未延伸フィルムであることが好ましく、アシストフィルムの厚さは50〜2000μmが好ましい。
次に第2工程を説明する。第2工程は、第1工程で形成された原反フィルム積層体を延伸する延伸工程である。当該延伸工程は、主として原反フィルム積層体の延伸温度への予熱、延伸、熱処理による熱固定(安定化)の各工程からなる。
原反フィルム積層体は、まず延伸温度に予熱される。延伸温度は一般的に、原反フィルム及びアシストフィルムを構成する樹脂のガラス転移点以上、融点以下の適当な温度が選択されるが、250℃以下、特に0〜200℃、さらには50〜200℃、さらには60〜160℃が好ましい。例えば、原反フィルムとしてETFEフィルムを使用し、アシストフィルムとしてPETフィルムを組み合わせた場合は、80〜120℃程度が好ましい。なお、予熱は、原反フィルム積層体の熱ロールへの接触、熱風、赤外線ヒータ等の照射等により行える。ここで延伸は、二軸延伸が好ましく、同時二軸延伸又は逐次二軸延伸によって行うことが好ましく、同時二軸延伸が最も好ましい。
同時二軸延伸は、タテ延伸(フィルムの進行方向(MD方向)の延伸)とヨコ延伸(MD方向と直角な方向(TD方向)の延伸)を同時に行うものである。通常、ガイドレールにより原反フィルム積層体を移動させながら、所定の形状に配置されたテンタで当該ガイドレールを開いてヨコ延伸を行うと同時に、タテ方向の間隔が開くパンタグラフ式機構のクリップによりタテ延伸を同時に行う。
一方、逐次二次延伸は、通常まずタテ延伸を行い、引き続いてヨコ延伸を行うものである。タテ延伸の典型的な手段は延伸ロールを使用し、低速度回転ロールを上流側に、高速度回転ロールを下流側に配置し、予熱された原反フィルム積層体を、このロールを通すことにより両ロールの周速度の差を利用して、原反フィルム積層体の進行方向に張力を印加し、タテ方向に延伸させるものである。引き続いてヨコ延伸では、基本的には、上述のテンタにより当該フィルム積層体をヨコ方向に延伸する。
延伸倍率は、原反フィルムやアシストフィルムの厚さ、種類、目的とする多孔化フィルムの厚み、空孔率、方法1の場合は無機充填剤の含有量、方法2の場合は2種以上のポリマーの混合比等によって変わりうるが、通常、タテ2〜15倍、ヨコ2〜15倍、好ましくはタテ2〜6倍、ヨコ2〜6倍程度である。
以上のようにして延伸された原反フィルム積層体は、そのまま冷却してもよいが、延伸温度より高い温度で熱処理して残留応力を緩和し、寸法安定性を向上させることもできる。通常熱処理温度は、原反フィルムを構成するフッ素樹脂の融点以下の温度から延伸温度までの範囲が好ましく、融点より10℃程度低い温度から延伸温度より20℃高い温度までの範囲がより好ましい。また、熱処理時間は、0.1〜60分程度が好ましい。例えば、ETFEフィルムの場合は、250〜140℃において、0.2〜10分間熱処理することが好ましい。
最後に第3工程において、アシストフィルムを原反から機械的に剥離して除去することにより、多孔質体が得られる。
なお、アシストフィルムが容易にフッ素樹脂フィルムから剥離することができない場合は、当該アシストフィルムを溶剤により溶解させて除去することもできる。
なお、方法1の場合、上述の方法で得られる多孔質体中には、基本的には、開繊核剤として使用した無機充填剤の粒子が残存している。通常は、このままで種々の用途に適用できるが、当該無機充填剤を多孔質体から除去し、空孔率をさらに向上させることもできる。例えば当該無機充填剤を溶解しうる溶剤によって、多孔質体を処理すればよい。例えば、無機充填剤が無水シリカ場合は、フッ化水素酸(フッ酸)中に、この多孔質体を浸漬することにより、シリカは容易に溶解除去される。
方法1、2のいずれの場合でも、得られる多孔質体は、連続孔を有することが必要である。イオン交換樹脂を充填してなる膜において、イオン交換樹脂が連続相を形成していないとプロトンが伝導する経路を確保できないからである。上述の方法で作製した場合、多孔質体は連続孔を有するようにすることができる。また、多孔質体の空孔率は20〜95%であることが好ましい。20%未満ではプロトン伝導が阻害され電解質膜の抵抗が高くなるおそれがあり、95%を超えると補強材としての強度を保つことが困難となりやすい。より好ましくは、40〜90%である。
多孔質体の厚さは、1〜50μmが好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。また、多孔質体の平均孔径は0.01〜5μmが好ましく、特に0.05〜1μm程度が好ましい。孔径が小さすぎると後工程でイオン交換樹脂を多孔質体に含浸させることが難しくなる。また、孔径が大きすぎると補強効果が低くなる。
本発明において多孔質体にイオン交換樹脂を充填する方法は特に限定されないが、例えばイオン交換樹脂が分散媒(溶媒)に分散又は溶解した液(以下、イオン交換樹脂含有塗工液という)を予め基材上に塗布した後、直ちに多孔質体をその塗布層中に浸漬、含浸し、乾燥する方法がある。また、逆に基材上にあらかじめ設置した多孔質体の上にイオン交換樹脂含有塗工液を塗布して含浸させ、乾燥する方法もある。いずれの場合も基材はイオン交換樹脂を充填した後に多孔質体からはく離する。また、イオン交換樹脂含有塗工液中に多孔質体を通し、含浸させ、乾燥する方法もある。
本発明におけるイオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換樹脂が好ましいが、陽イオン交換膜であれば、炭化水素系重合体や部分フッ素化された炭化水素系重合体からなる陽イオン交換膜等も使用できる。上記陽イオン交換膜は単一のイオン交換樹脂からなってもよいし、2種以上のイオン交換樹脂を混合したものであってもよい。
スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体としては、従来より公知の重合体が広く採用される。なかでも、一般式CF=CF(OCFCFX)−O−(CFSOH(ここでXはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは0〜12の整数であり、pは0又は1であり、n=0のときにはp=0である。)で表されるパーフルオロビニル化合物とパーフルオロオレフィン又はパーフルオロアルキルビニルエーテル等との共重合体が好ましい。パーフルオロビニル化合物の具体例としては式5〜8のいずれかで表される化合物が挙げられる。ただし、下式において、qは1〜9の整数であり、rは1〜8の整数であり、sは0〜8の整数であり、zは2又は3である。

スルホン酸基を有するパーフルオロビニル化合物に基づく重合単位を含む重合体は、通常−SOF基を有するパーフルオロビニル化合物を用いて重合され、重合後に−SOF基が−SOH基に変換される。−SOF基を有するパーフルオロビニル化合物は、単独重合も可能であるが、ラジカル重合反応性が小さいため、通常は上記のようにパーフルオロオレフィン又はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のコモノマーと共重合して用いられる。コモノマーとなるパーフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられるが、通常はテトラフルオロエチレンが好ましく採用される。
コモノマーとなるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、CF=CF−(OCFCFY)−O−Rで表される化合物が好ましい。ただし、ここで、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、tは0〜3の整数であり、Rは直鎖又は分岐鎖のC2u+1で表されるパーフルオロアルキル基(1≦u≦12)である。さらに具体的には、式9〜11のいずれかで表される化合物が挙げられる。ただし、下式中、vは1〜8の整数であり、wは1〜8の整数であり、xは2又は3である。

また、パーフルオロオレフィンやパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)以外に、1,1,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロ−4−[(トリフルオロエテニル)オキシ]−1−ブテン等の含フッ素モノマーもコモノマーとして−SOF基を有するパーフルオロビニル化合物と共重合させてもよい。
また、パーフルオロカーボン重合体以外の重合体で電解質膜を構成しうるイオン交換樹脂としては、例えば式12で表される重合単位と式13で表される重合単位とを含む重合体が挙げられる。ここで、Pはフェニルトリール基、ビフェニルトリール基、ナフタレントリール基、フェナントレントリール基、アントラセントリール基であり、Pはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基、アントラシレン基であり、Aは−SOM基(Mは水素原子又はアルカリ金属原子、以下同じ)、−COOM基又は加水分解によりこれらの基に転換する基であり、B、Bはそれぞれ独立に酸素原子、イオウ原子、スルホニル基又はイソプロピリデン基である。P及びPの構造異性は特に限定されず、P及びPの水素原子の1個以上がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜3のアルキル基に置換されていてもよい。

本発明において、イオン交換樹脂のイオン交換容量としては、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂、特に0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。イオン交換容量が低すぎると抵抗が大きくなる。一方、イオン交換容量が高すぎると水に対する親和性が強すぎるため、発電時に電解質膜が溶解するおそれがある。
本発明により得られる電解質膜は機械的強度に優れ、含水時の寸法変化率も少ないので膜を扱う際のハンドリング性に優れている。特に膜を扱う雰囲気湿度による膜の寸法変化がほとんどないので取り扱いやすい。また、本発明の電解質膜を用いて電池の運転を行う場合、反応により生成した水や燃料ガスとともに供給される水蒸気等による電解質膜の膨潤が抑制できるので、セパレータのガスの流路となる溝をふさぐことも無い。更に長期的な運転に対しても高い安定性を有している。
本発明の固体高分子型燃料電池は、上述の多孔質体にイオン交換樹脂が充填されてなる膜を電解質膜とし、その両面に触媒とイオン交換樹脂とを含む触媒層が配置され、好ましくはさらにその両外側にカーボンクロスやカーボンペーパー等からなるガス拡散層が配置されたものであるが、通常の手法に従い、例えば以下のようにして得られる。まず、白金触媒又は白金合金触媒微粒子を担持させた導電性のカーボンブラック粉末とスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の溶液を混合し均一な分散液を得て、以下のいずれかの方法でガス拡散電極を形成して膜電極接合体を得る。膜は本多孔質体にイオン交換樹脂が充填されてなるイオン交換膜を用いる。
第1の方法は、上記イオン交換膜の両面に上記分散液を塗布し乾燥後、両面を2枚のカーボンクロス又はカーボンペーパーで密着する方法である。第2の方法は、上記分散液を2枚のカーボンクロス又はカーボンペーパー上に塗布乾燥後、分散液が塗布された面が上記イオン交換膜と密着するように、上記イオン交換膜の両面から挟みこむ方法である。なお、ここでカーボンクロス又はカーボンペーパーは触媒を含む層により均一にガスを拡散させるためのガス拡散層としての機能と集電体としての機能を有するものである。
得られた膜電極接合体は、燃料ガス又は酸化剤ガスの通路となる溝が形成されセパレータの間に挟まれ、セルに組み込まれて固体高分子型燃料電池が得られる。ここでセパレータとしては、例えば導電性カーボン板からなるものが使用できる。
上記のようにして得られる固体高分子型燃料電池では、アノード側には水素ガスが供給され、カソード側には酸素又は空気が供給される。アノードにおいてはH→2H+2eの反応が起こり、カソードにおいては1/2O+2H+2e→HOの反応が起こり、化学エネルギーが電気エネルギに変換される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらによって限定されない。
[多孔質体の作製例1]
(1)300℃におけるメルトインデックス値(MI)が3.8であるエチレン/テトラフルオロエチレン/C4オレフィン3元系共重合体(商品名:アフロンCOPC−88AX、旭硝子社製)と、無機充填剤として無水シリカ(商品名:AEROSIL OX50、日本エアロジル社製、1次粒子平均粒子径40nm)を質量比で85:15となるようにして粉体混合機により充分混合した。
この混合物を二軸押出機(東芝機械社製、TEM−35)を用い、300℃で混練した後、直径2.5mmのストランドを押出し、これを長さ2.5mmに切断してペレットを得た。
このペレットを口径40mmの単軸押出機(池貝社製、VS40)に供給し、700mmの口金幅を有するフラットダイを用い、ダイス温度333℃、押出速度4.3kg/時間で押し出した。当該吐出物を、表面温度が130℃になるように調整したロールに沿わせて0.59m/分の速度で引き取ることにより、厚さ109μmの無水シリカ含有ETFEフィルムを得た。
(2)得られたフィルム(以下、ETFE原反フィルムという。)を以下の方法で二軸延伸を行い、多孔質体を得た。すなわち、まず、ETFE原反フィルムを、アシストフィルムとして210μmの未延伸ポリエステルフィルム(A−PET FR−1、帝人社製)2枚ではさみ、3枚重ねのフィルムを得た。次いで、金属ロールと厚さ10mmのゴムを被覆したロールとの一対からなるロールを用いて、表面温度が85℃になるように調整した後、前記3枚重ねのフィルムを、当該フィルムの幅で換算した線圧力が40kg/cmとなるように加圧し、速度10cm/分で積層し、3層積層フィルムを得た。これを90mm角に切断して延伸用の試料を得た。
この3層積層フィルムの試料を、二軸延伸試験装置(二軸延伸試験装置、東洋精機製作所社製)を用い、温度95℃、予熱3分、延伸速度2m/分の条件で、延伸前の試料の寸法に対してタテ、ヨコ共2.2倍となるように、同時二軸延伸し、二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムを、表面温度が40℃以下になるまで緊張下で風冷した後取り出した。
次いで、アシストフィルムを剥離した後、これをフッ化水素酸で処理して無水シリカを溶解除去し、厚さ21μmのETFE多孔質体を得た。この多孔質体を走査型顕微鏡で観察したところ、表面はスポンジ状で無数の微小孔で多孔化されていることが認められた。
(3)このETEF多孔質体試料について、以下の測定を実施した。
[引張弾性率(単位幅、単位質量)]
JIS K7127に基づき、上記試料を幅10mm、長さ150mmの短冊状サンプルに切り抜き、標線間距離50mm、チャック間距離100mm、試験速度50mm/分で引っ張り、得られた変位と荷重のチャートにおける初期の10%の歪みの傾きから引張弾性率を求めた。測定された引張弾性率を、短冊状サンプルの幅(cm)及び坪量(g/m)で除し、多孔質体の単位幅、単位質量当たりの弾性率として算出した。測定は5つのサンプルについて行い、その平均値を求めた。
JIS P8117に基づき、ガーレー式デンソメータを用い、空気100ccが透過する時間を透気度(ガーレー値)として計測し、連続孔の有無を判断した。測定は5つのサンプルについて行い、その平均値を求めた。
[空孔率]
多孔質体の体積と質量を測定し、空孔率は下式を用いて算出した。
(多孔質体体積−多孔質体質量/多孔質体を形成するポリマーの真比重)/多孔質体体積×100(%)
各測定の結果を表1に示す。
[多孔質体の作製例2]
延伸倍率をタテ、ヨコ共3.0倍にした以外は例1と同様にして多孔質体を得た。例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[多孔質体の作製例3]
ジメチルホルムアミド溶媒180gにポリフッ化ビニリデンを20g加え、80℃で16時間撹拌しポリフッ化ビニリデンを溶解し、得られる溶液をガラス板上にバーコータを用いてキャストすることにより厚さが50μmの膜が得られる。その後、直ちに貧溶媒である水に15分間浸漬し、ポリフッ化ビニリデンを析出させることにより膜は多孔質化する。さらにこの多孔質体の四辺を固定し、120℃のオーブン中で16時間乾燥させると、ポリフッ化ビニリデンの多孔質体が得られる。この多孔質体について例1と同様の方法で評価を行うと、表1に示すとおりの結果となる。
[多孔質体の作製例4(比較例)]
市販されている代表的なフッ素樹脂の多孔質体であるPTFE多孔質体(商品名:ポアフロンFP−010、住友電工ファインポリマー社製)を用いて、例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[多孔質体の作製例5(実施例)]
テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF=CF−OCFCF(CF)O(CFSOFに基づく重合単位とからなる共重合体粉末(加水分解、酸型化した場合のイオン交換容量:1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂、以下樹脂Aという)とFEP(372℃におけるメルトインデックス7)を質量比で50:50(容量比で52:48)になるようにして粉体混合機により十分混合した。この混合物を二軸押出し機(商品名:PCM30、池貝社製)を用いて300℃で混練した後、直径2.5mmのストランドを押出し、これを長さ2.5mmに切断してペレットを得た。このペレットを口径30mmの単軸押出し機(田辺プラスチックス社製、VS30)に供給し、350mmの口金幅を有するフラットダイを用い、ダイス温度300℃、押出し量1.3kg/hrにて押出した。得られた押出し物を、表面温度が30〜50℃になるように調整したロールに沿わせて1.71m/分の速度で引き取ることにより、厚さ20μmのブレンドフィルムを得た。
次いで、金属ロールと厚さ10mmのゴムを被覆したロールとの一対からなるロールに対し、金属ロール温度200℃、ゴム被覆ロール温度135℃に調整した。このロールを用いて、フィルム幅で換算した線圧力が40kg/cmとなるように加圧し、速度0.4m/分で上記ブレンドフィルム2枚をその押出し方向(以下MD)が直交するように重ねてロールを通すことにより積層した。
得られたフィルム(以下、積層ブレンド原反フィルムという。)に対し、以下の方法で二軸延伸を行い、多孔質体を得た。すなわち、まず、積層ブレンド原反フィルムを、アシストフィルムとしての210μmの未延伸ポリエステルフィルム(商品名:A−PET FR−1、帝人社製)2枚ではさみ、3枚重ねのフィルムを得た。次いで、金属ロールと厚さ10mmのゴムを被覆したロールとの一対からなるロールを用いて、表面温度が85℃になるように調整した後、前記3枚重ねのフィルムを、当該フィルムの幅で換算した線圧力が40kg/cmとなるように加圧し、速度10cm/分で積層し、3層積層フィルムを得た。これを90mm角に切断して延伸用の試料を得た。この試料を、二軸延伸試験装置(二軸延伸試験装置、東洋精機製作所社製)を用い、温度95℃、予熱3分、延伸速度2m/分の条件で、延伸前の試料の寸法に対してタテ、ヨコ共2.5倍となるように、同時二軸延伸し、二軸延伸フィルムを得た。
得られたフィルムを、表面温度が40℃以下になるまで緊張下で風冷した後、取り出し、次いで、アシストフィルムを剥離し、厚さ12μmのポリマーブレンド多孔質体を得た。次にこの多孔質体を加水分解、酸型化処理し、−SOF基を−SOH基に変換した。この多孔質体を走査型顕微鏡で観察したところ、相分離したポリマー界面に微小亀裂が形成され、その亀裂が無数のフィブリルで結束された、繊維質構造状に多孔化されていることが認められた。
この多孔体について例1と同様に引張弾性率、空孔率を測定したところ表1に示すとおりの結果となった。また、例1と同様に透気度について測定すると表1に示すとおりの結果となる。
[多孔質体の作製例6(実施例)]
樹脂AとETFE(フルオンETFE、LM−730AP、旭硝子社登録商標)を質量比で55:45(容量比で52:48)になるように混合した以外は、例5と同様にしてフィルム化、積層し、厚さ40μmの積層ブレンドフィルムを得た。得られた積層ブレンド原反フィルムに対して、例5と同様の方法で二軸延伸を行い、厚さ15μmの多孔質体を得た。
この多孔体について例1と同様に引張弾性率、空孔率を測定したところ表1に示すとおりの結果となった。また、例1と同様に透気度について測定すると表1に示すとおりの結果となる。
[多孔質体の作製例7(比較例)]
PFA(商品名:フルオンPFA、P−62XP、旭硝子社製)とETFE(商品名:フルオンETFE、旭硝子社製)を質量比で50:50(容量比で55:45)になるようにして、混練温度、フィルム化温度を360℃にした以外は、例5と同様にしてフィルム化し、厚さ40μmの膜を得た。得られたブレンド原反フィルムは、例5と同様の方法で二軸延伸を行ったが、ポリマー間の海面剥離部位からフィルムが破断し、連続した多孔化フィルムが得られなかった。

[例1]
[電解質膜の作製]
テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF=CF−OCFCF(CF)O(CFSOHに基づく重合単位とからなる共重合体粉末(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂、以下、樹脂Bという)をエタノールと混合した液(固形分濃度9質量%)を、シリコーン系離型材で表面を処理したPETフィルム上にダイコータ法で塗工した。その後、直ちに作製例1で得られた多孔質体をその塗工層に重ねることにより多孔質体中に液を含浸させ、80℃のオーブン中で10分間乾燥後、さらに120℃オーブン中で30分間熱処理を行い厚さ50μmの電解質膜を得た。
[引裂き強度の測定]
上記電解質膜から、幅100mm、長さ100mmの正方形の強度測定用サンプルを作製した。サンプルの一方の端部から膜の中心部まで、50mmの切り込みをナイフでいれ、切り込み先端が引き裂かれるように上下にわかれさせて、それぞれを引張り試験機の上下のチャッキングで掴み、毎分500mmの速度で引き裂いた。引き裂きに要する力を電解質膜の厚みで除した値を引裂き強度(タテ方向、ヨコ方向への引裂き強度の平均値)とした。結果を表2に示す。
[含水時の寸法変化率の測定]
上記電解質膜を切り出して200mm角のサンプルを作製し、温度25℃、湿度50%の雰囲気に16時間曝し、サンプルの縦と横の長さを測定した。次に、25℃のイオン交換水にサンプルを1時間浸漬した後、同様にして長さを測定した。このときのサンプルの伸び(縦方向の伸びと横方向の伸びの平均)から寸法変化率を算出した。
[膜抵抗測定]
上記電解質膜から5mm幅の短冊状サンプルを切り出し、その表面に白金線(直径:0.2mm)を幅方向と平行になるように5mm間隔で5本押し当て、80℃、相対湿度95%の恒温・恒湿装置中にサンプルを保持し、交流10kHzにおける白金線間の交流インピーダンスを測定することにより交流比抵抗を求めた。5mm間隔に白金線を5本押し当てているため、極間距離を5、10、15、20mmに変化させることができるので、各極間距離における交流抵抗を測定し、極間距離と抵抗の勾配から膜の比抵抗を算出することで白金線と膜との間の接触抵抗の影響を除外した。極間距離と抵抗測定値との間には良い直線関係が得られ、勾配と厚さから実行抵抗を算出した。
[燃料電池の作製及び評価]
燃料電池セルは以下のようにして組み立てることができる。樹脂Bと白金担持カーボン(白金:カーボンが質量比で55:45)とを1:3の質量比で混合し、さらにエタノールと混合することにより塗工液が得られる。この塗工液を、電解質膜の両面にそれぞれダイコータ法で塗工し、乾燥することにより厚さ10μm、白金担持量0.5mg/cmの電極層が膜の両面に形成される。さらにその両外側にカーボンクロスをガス拡散層として配置することにより、膜電極接合体が得られる。この膜電極接合体の両外側にガス通路用の細溝をジグザグ状に切削加工したカーボン板製のセパレータ、さらにその外側にヒータを配置することにより、有効膜面積25cmの固体高分子型燃料電池を組み立てられる。
燃料電池の温度を80℃に保ち、カソードに空気、アノードに水素をそれぞれ0.15MPaで供給し、電流密度0.1A/cm、及び1A/cmのときのセル電圧をそれぞれ測定すると、表2に示すとおりの結果となる。
[例2]
作製例2により得られた多孔質体を用いた以外は例1と同様にして厚さ30μmの電解質膜を得た。この電解質膜について例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。また、この電解質膜を用いて例1と同様に燃料電池を組み立て、例1と同様に評価すると表2に示すとおりの結果となる。
[例3]
作製例3により得られる多孔質体を用いる以外は例1と同様の処理を行うことにより厚さ30μmの電解質膜が得られる。この電解質膜について例1と同様に評価を行うと、表2に示すとおりの結果となる。また、この電解質膜を用いて例1と同様に燃料電池を組み立て、例1と同様に評価すると表2に示すとおりの結果となる。
[例4(比較例)]
作製例4により得られた多孔質体を用いた以外は例1と同様にして厚さ30μmの電解質膜を得た。この電解質膜について例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。また、この電解質膜を用いて例1と同様に燃料電池を組み立て、例1と同様に評価すると表2に示すとおりの結果となる。
[例5]
作製例5により得られた多孔質体を用いた以外は例1と同様にして厚さ45μmの電解質膜を得た。この電解質膜について例1と同様に寸法変化率及び膜抵抗を測定した。結果を表2に示す。この電解質膜について例1と同様に引裂き強度を測定すると表2に示すとおりの結果となる。また、この電解質膜を用いて例1と同様に燃料電池を組み立て、例1と同様に評価すると表2に示すとおりの結果となる。
[例6]
作製例6により得られた多孔質体を用いた以外は例1と同様にして厚さ45μmの電解質膜を得た。この電解質膜について例1と同様に寸法変化率及び膜抵抗を測定した。結果を表2に示す。この電解質膜について例1と同様に引裂き強度を測定すると表2に示すとおりの結果となる。また、この電解質膜を用いて例1と同様に燃料電池を組み立て、例1と同様に評価すると表2に示すとおりの結果となる。

【産業上の利用の可能性】
本発明によれば厚さが薄くても機械的強度が高く、含水時の寸法安定性に優れた電解質膜を得ることができる。そして得られた電解質膜を有する膜電極接合体はハンドリング性、安定性に優れており、該膜電極接合体を備える固体高分子型燃料電池は、出力が高く耐久性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融成形可能なフッ素樹脂が成形されてなる多孔質体であって連続孔を有する多孔質体の、前記連続孔中にイオン交換樹脂が充填されていることを特徴とする電解質膜。
【請求項2】
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド及びテトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOH]共重合体(ただし、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、aは0〜3の整数、bは0〜12の整数、cは0又は1であり、b=0の場合はc=0である。)からなる群から選ばれる1種以上からなり、連続孔を有する多孔質体の、前記連続孔中にイオン交換樹脂が充填されていることを特徴とする電解質膜。
【請求項3】
前記イオン交換樹脂が、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる請求の範囲1又は2に記載の電解質膜。
【請求項4】
前記パーフルオロカーボン重合体は、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF=CF−(OCFCFX)−O−(CF−SOHに基づく重合単位(ただし、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数、nは0〜12の整数、pは0又は1であり、n=0の場合はp=0である。)とを含む共重合体である請求の範囲3に記載の電解質膜。
【請求項5】
溶融成形可能なフッ素樹脂と無機充填剤を混合し混練した後、製膜し、得られたフィルムを延伸することにより空孔率が20〜95%である多孔質体を作製し、該多孔質体にイオン交換樹脂を充填することを特徴とする電解質膜の製造方法。
【請求項6】
前記フッ素樹脂は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド及びテトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOF]共重合体(ただし、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、aは0〜3の整数、bは0〜12の整数、cは0又は1であり、b=0の場合はc=0である。)からなる群から選ばれる1種以上からなる請求の範囲5に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項7】
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリビニルフルオライドからなる群から選ばれる1種以上のフッ素樹脂と、テトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOF]共重合体(ただし、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、aは0〜3の整数、bは0〜12の整数、cは0又は1であり、b=0の場合はc=0である。)とを混合し、混練した後、製膜し、得られたフィルムを延伸することにより空孔率が20〜95%である多孔質体を作製し、該多孔質体にイオン交換樹脂を充填することを特徴とする電解質膜の製造方法。
【請求項8】
前記フィルムは、アシストフィルムを積層して延伸する請求の範囲5〜7のいずれかに記載の電解質膜の製造方法。
【請求項9】
延伸して前記多孔質体を作製した後、又は製膜してフィルムを得た後延伸する前に、加水分解、酸型化処理を行う請求の範囲7又は8に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項10】
溶融成形可能なフッ素樹脂が成形されてなる多孔質体であって連続孔を有する多孔質体の、前記連続孔中にイオン交換樹脂が充填されている電解質膜と、
触媒とイオン交換樹脂とを含み前記電解質膜の両面に配置される触媒層と、その両面に配置されるガス拡散層とからなる電極と、
からなる膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
【請求項11】
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド及びテトラフルオロエチレン−[CF=CF−(OCFCFX)−O−(CF−SOH]共重合体(ただし、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、rは0〜3の整数、sは0〜12の整数、tは0又は1であり、s=0の場合はt=0である。)からなる群から選ばれる1種以上からなり、連続孔を有する多孔質体の、前記連続孔中にイオン交換樹脂が充填されている電解質膜と、
触媒とイオン交換樹脂とを含み前記電解質膜の両面に配置される触媒層と、その両面に配置されるガス拡散層とからなる電極と、
からなる膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池。

【国際公開番号】WO2004/030132
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【発行日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539588(P2004−539588)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012512
【国際出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】