説明

電解質配合物

本発明は、式(I) Ma+[B(R)(CN)(F) (I)、式中、Ma+は、無機または有機カチオンであり、Rは、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、aは1または2であり、xは1、2または3であり、yは0、1または2であり、x+yは3である、で表される少なくとも1種の化合物を含む電解質配合物ならびに電気化学的デバイスおよび/または光電子デバイス、例えば光電池、コンデンサ、発光デバイス、エレクトロクロミックまたはフォトエレクトロクロミックデバイス、電気化学的センサーおよび/またはバイオセンサーにおけるそれらの使用、好ましくは色素または量子ドット増感太陽電池におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルキルシアノフルオロボレートアニオンまたはパーフルオロアルキルトリシアノボレートアニオン、((パー)フルオロ)フェニルシアノフルオロボレートアニオンまたは((パー)フルオロ)フェニルトリシアノボレートアニオンまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基で単置換もしくは二置換されているフェニルシアノフルオロボレートアニオンまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基で単置換もしくは二置換されているフェニルトリシアノボレートアニオンを有する式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含む電解質配合物、ならびに電気化学的および/または光電子デバイス、例えば光電池、コンデンサ、発光デバイス、エレクトロクロミックまたはフォトエレクトロクロミック(photo-electrochromic)デバイス、電気化学的センサーおよび/またはバイオセンサーにおけるそれらの使用、好ましくは色素または量子ドット増感太陽電池におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電解質配合物は、電気化学的デバイスおよび/または光電子デバイスの極めて重要な部分を形成し、デバイスの性能は、これらの電解質の様々な構成成分の物理的および化学的特性に大いに依存する。
電解質の用語を、本明細書中で以下に定義する電解質配合物の意味において使用し、同等に本開示内での電解質配合物に対して使用する。
【0003】
多くの電気化学的デバイスおよび/または光電子デバイスならびに特に色素または量子ドット増感太陽電池の技術的な適用を未だ妨げている要因は、有機溶媒に基づく電解質の揮発性によって引き起こされた信頼性の問題である。電解質の例えばDSCパネル中での漏出しない密封を維持することは、極めて困難であり、それは毎日の昼夜サイクルの温度差および付随する電解質の熱膨張に耐えなければならない。DSCの略号は、色素増感太陽電池を意味する。この問題を、原理的にはイオン性液体に基づく電解質の使用によって解決することができる。総括“Ionic liquid electrolytes for dye-sensitized solar cells”については:M. Gorlov and L. Kloo, Dalton Trans., 2008, p. 2655-2666を参照。
【0004】
イオン性液体または液体塩は、典型的には、有機カチオンおよび一般的には無機アニオンからなり、通常373Kより低い融点を有するイオン種である。様々な二成分系のイオン性液体電解質が、最近色素増感太陽電池に適用されている。WO 2007/093961およびWO 2009/083901には、テトラシアノボレート(TCB)アニオンを有する相当な量の有機塩を含むDSCのためのイオン性液体に基づく電解質における、現在のところ最良の電力変換効率が記載されている。
【0005】
しかし、室温より低く、液体凍結および沈殿が起こり得る温度(すなわち0℃〜20℃の範囲内)を十分上回る温度を含む広い温度範囲にわたって改善されたDSC効率を有するイオン性液体に基づく、新規であり改善された電解質についての需要が継続している。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、同等であるかまたは増大した電力変換効率を有する電気化学的デバイスおよび/または光電子デバイス、例えば光電池、コンデンサ、発光デバイス、エレクトロクロミックまたはフォトエレクトロクロミックデバイス、電気化学的センサーおよび/またはバイオセンサーのための、特に色素または量子ドット増感太陽電池のための、特に好ましくは広い温度範囲にわたる、特にさらに低温における色素増感太陽電池のための、電解質配合物を提供することにある。低温を、0℃〜20℃の温度範囲として定義する。
【0007】
驚くべきことに、以下に記載する式(I)で表される化合物、例えばパーフルオロアルキルシアノフルオロボレートアニオンまたはパーフルオロアルキルトリシアノボレートアニオンを含む電解質配合物が、そのような要求を満たすことが見出された。
【0008】
パーフルオロアルキルシアノフルオロボレートアニオンまたはパーフルオロアルキルトリシアノボレートアニオンを含む配合物は、上記で定義した低温における電荷移動およびレドックス対種(例えばIおよびI)のネルンスト拡散による抵抗を低減すると考えられている。
【0009】
したがって、本発明は、先ず式(I)
a+[B(R)(CN)(F) (I)
式中、Ma+は、無機または有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、
aは1、2、3または4であり、xは1、2または3であり、yは0、1または2であり、x+yは3である、
で表される少なくとも1種の化合物を含む電解質配合物に関する。
【0010】
[B(R4−x−y(CN)(F)アニオンを有する化合物は、WO 2006/045405に記載されており、式中xは1、2または3を示し、yは0または1を示し、x+y≦4であり、特にカリウムトリス(トリフルオロメチル)シアノボレート、グアニジニウムトリス(トリフルオロメチル)シアノボレートおよびトリチリウムトリス(トリフルオロメチル)シアノボレートである。しかし、WO 2006/045405には、上記で記載した式(I)で表される化合物を含む電解質配合物、式(I)で表される特定の化合物が記載されておらず、それには、所与の電気化学的および/または電気光学的デバイスのための、特にDSCのための電解質配合物の構成成分としてのこれらの化合物の特定の実用性が開示されていない。
【0011】
1〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状パーフルオロアルキル基は、例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロ−sec.−ブチルまたはノナフルオロ−tert.−ブチルである。
【0012】
1〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec.−ブチルまたはtert.−ブチルである。
【0013】
式(I)におけるRは、特に1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基またはC、特に好ましくはトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたはペンタフルオロフェニル、極めて特に好ましくはトリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルである。
【0014】
1つの態様において、本発明は、上記で記載した式(I)で表され、式中xが1であり、yが2である少なくとも1種の化合物を含む電解質配合物に関し、それはアニオン[B(R)(CN)(F)]に関し、式中Rは、上記で記載した意味または好ましい意味を有する。
【0015】
他の態様において、本発明は、上記で記載した式(I)で表され、式中xが2であり、yが1である少なくとも1種の化合物を含む電解質配合物に関し、それはアニオン[B(R)(CN)(F)]に関し、式中Rは、上記で記載した意味または好ましい意味を有する。
【0016】
他の態様において、本発明は、上記で記載した式(I)で表され、式中xが3であり、yが0である少なくとも1種の化合物を含む電解質配合物に関し、それはアニオン[B(R)(CN)]に関し、式中Rは、上記で記載した意味または好ましい意味を有する。
【0017】
以下に示す比較データは、これらのアニオン、好ましくはRが上記で記載した意味または好ましい意味を有するアニオン[B(R)(CN)(F)]および[B(R)(CN)(F)]を含む電解質配合物が、同一のカチオンを使用する条件で、アニオンとしてテトラシアノボレートを含む電解質配合物と比較して、色素増感太陽電池におけるよりも良好な全体的性能を示すことを実証する。
【0018】
本発明における式(I)で表される化合物のカチオンの選択に関しては、限定それ自体はない。したがって、Ma+は、無機カチオンまたは有機カチオンであり得る。しかし、電気光学的デバイス、例えば色素増感太陽電池における適用のために、Ma+は、好ましくはスルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、グアニジニウムカチオンまたは複素環式カチオンを含む群から選択された、特に好ましくは式(1)〜(8)で表されるカチオンから選択された有機カチオンである。値aを、相応に適合させなければならない。
【0019】
有機カチオンの例はまた、z=4の荷電の程度を有するポリアンモニウムイオンまたはトリチリウムカチオンであり、ここでフェニル基は、1〜20個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基、2〜20個のC原子および1つもしくは2つ以上の二重結合を有する直鎖状もしくは分枝状アルケニル、または2〜20個のC原子および1つもしくは2つ以上の三重結合を有する直鎖状もしくは分枝状アルキニルによって置換されていてもよい。
【0020】
他の電気化学的デバイス、例えばコンデンサまたはリチウムイオン電池における適用のために、Ma+は、好ましくは金属カチオンである。
金属カチオンは、周期表の1〜12族からの金属を含んでもよい。
【0021】
好ましい金属カチオンは、アルカリ金属カチオン、例えばLi、Na、K、Rb、Cs、Ag、Mg2+、Cu、Cu2+、Zn2+、Ca2+、Y+3、Yb+3、La+3、Sc+3、Ce+3、Ce+4、Nd+3、Tb+3、Sm+3または希土類金属、遷移金属もしくは貴金属、例えばロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金、オスミウム、コバルト、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、トリウム、ウランもしくは金を含む錯体(配位子含有)金属カチオンである。
【0022】
スルホニウムカチオンを、例えば式(1)によって記載することができ、オキソニウムカチオンを、例えば式(2)によって記載することができる。
[(RS] (1)
[(RO] (2)
式中、Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基、R’’’N−または非置換フェニルまたはR’’’、OR’’’、N(R’’’、CNもしくはハロゲンによって置換されたフェニルを示し、R’’’は、互いに独立してHまたは直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルである。
【0023】
[(RO]カチオンまたは[(RS]カチオンのRは、好ましくは、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキルあるいは非置換フェニルまたはR’’’、OR’’’、N(R’’’、CNもしくはハロゲンによって置換されているフェニルであり、R’’’は、互いに独立してHまたは直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、特に好ましくは1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキル、特にメチルまたはエチル、極めて特に好ましくはエチルである。特に好ましいスルホニウムカチオンは、ジエチル−メチルスルホニウムである。
【0024】
アンモニウムカチオンを、例えば式(3)
[NR (3)
によって記載することができ、式中
Rは、各場合において互いに独立して
H、
OR’、NR’(ただし式(3)における最大1つの置換基Rが、OR’、NR’である)、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0025】
ここで1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/もしくは−Clによって部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−NR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOX、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−NOによって部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR中の1個または2個の隣接していない炭素原子は、基−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−または−P(O)R’−から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化された、またはパーフルオロ化されたC〜C18アルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルであり得、X=ハロゲンであり得る。
【0026】
ホスホニウムカチオンを、例えば式(4)
[PR (4)
によって記載することができ、
式中、
は、各場合において互いに独立して
H、OR’またはNR’
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0027】
ここで1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/もしくは−Clによって部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−NR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOX、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−NOによって部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR中の1個または2個の隣接していない炭素原子は、基−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−または−P(O)R’−から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化された、またはパーフルオロ化されたC〜C18アルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルであり、X=ハロゲンである。
【0028】
しかし、すべての4つまたは3つの置換基RおよびRがハロゲンによって完全に置換されている式(3)および(4)で表されるカチオン、例えばトリス(トリフルオロメチル)メチルアンモニウムカチオン、テトラキス(トリフルオロメチル)アンモニウムカチオンまたはテトラキス(ノナフルオロブチル)アンモニウムカチオンは、除外される。
【0029】
ウロニウムカチオンを、例えば式(5)
[C(NR)(OR)(NR)] (5)
によって記載することができ、
チオウロニウムカチオンを、式(6)
[C(NR)(SR)(NR)](6)
によって記載することができ、
式中、
〜Rは、各々、互いに独立して
H(ここでHは、Rについては除外される)、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0030】
ここで置換基R〜Rの1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/もしくは−Clによって部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−NR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOX、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−NOによって部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR〜R中の1個または2個の隣接していない炭素原子は、基−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−または−P(O)R’−から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化された、またはパーフルオロ化されたC〜C18アルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルであり、X=ハロゲンである。
【0031】
グアニジニウムカチオンを、式(7)
[C(NR)(NR1011)(NR1213)] (7)
によって記載することができ、
式中、
〜R13は、各々、互いに独立して
H、−CN、NR’、−OR’、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基によって置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
【0032】
ここで置換基R〜R13の1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/もしくは−Clによって部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−NR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOX、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−NOによって部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR〜R13中の1個または2個の隣接していない炭素原子は、基−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−または−P(O)R’−から選択された原子および/または原子団によって置き換えられていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化された、またはパーフルオロ化されたC〜C18アルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルであり、X=ハロゲンである。
【0033】
複素環式カチオンを、例えば式(8)
[HetN]z+ (8)
によって記載することができ、
式中、
HetNz+は、以下の群
【化1】

【0034】
【化2】

から選択された複素環式カチオンを示し、
【0035】
ここで、置換基
1’〜R4’は、各々、互いに独立して、
1’およびR4’が同時にはHではないことを前提として、H、
1〜20個のC原子を有し、任意にフッ素化もしくはパーフルオロ化されていてもよい、直鎖状もしくは分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つもしくは2つ以上の二重結合を有し、任意にフッ素化もしくはパーフルオロ化されていてもよい、直鎖状もしくは分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つもしくは2つ以上の三重結合を有し、任意にフッ素化もしくはパーフルオロ化されていてもよい、直鎖状もしくは分枝状アルキニル、または
2〜8個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルコキシアルキル
を示す。
【0036】
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のC原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシルまたはエイコシルを示し、それは任意にフッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい。用語「パーフルオロ化」は、すべてのH原子が所与のアルキル基においてF原子によって置換されていることを意味する。用語「フッ素化されている」は、所与のアルキル基の少なくとも1個のH原子がF原子によって置換されていることを意味する。
【0037】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の二重結合がまた存在してもよい直鎖状または分枝状アルケニルは、例えばアリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039、好ましくはアリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに好ましくは4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルであり、それは任意にフッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい。
【0038】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の三重結合がまた存在してもよい直鎖状または分枝状アルキニルは、例えばエチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜−C2037、好ましくはエチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルであり、それは任意にフッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい。
【0039】
2〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルコキシアルキルは、例えばメトキシメチル、1−メトキシエチル、1−メトキシプロピル、1−メトキシ−2−メチル−エチル、2−メトキシ−プロピル、2−メトキシ−2−メチル−プロピル、1−メトキシブチル、1−メトキシ−2,2−ジメチル−エチル、1−メトキシ−ペンチル、1−メトキシヘキシル、1−メトキシ−ヘプチル、エトキシメチル、1−エトキシエチル、1−エトキシプロピル、1−エトキシ−2−メチル−エチル、1−エトキシブチル、1−エトキシ−2,2−ジメチル−エチル、1−エトキシペンチル、1−エトキシヘキシル、1−エトキシヘプチル、プロポキシメチル、1−プロポキシエチル、1−プロポキシプロピル、1−プロポキシ−2−メチル−エチル、1−プロポキシブチル、1−プロポキシ−2,2−ジメチル−エチル、1−プロポキシペンチル、ブトキシメチル、1−ブトキシエチル、1−ブトキシプロピルまたは1−ブトキシブチルである。特に好ましいのは、メトキシメチル、1−メトキシエチル、2−メトキシ−プロピル、1−メトキシプロピル、2−メトキシ−2−メチル−プロピルまたは1−メトキシブチルである。
【0040】
したがって、3〜7個のC原子を有する非置換の飽和の、または部分的に、もしくは完全に不飽和のシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、フェニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニルまたはシクロヘプタ−1,5−ジエニルであり、その各々は、C〜Cアルキル基によって置換されていてもよく、ここでシクロアルキル基またはC〜Cアルキル基によって置換されたシクロアルキル基は、同様にハロゲン原子、例えばF、Cl、BrもしくはI、特にFもしくはClによって、または−OH、−OR’、−NR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOX、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−NOによって置換されていてもよい。
【0041】
置換基R、R〜R13中で、ヘテロ原子に対してα位において結合していない1個または2個の隣接していない炭素原子はまた、基−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−または−P(O)R’−から選択された原子または原子団によって置き換えられていてもよく、ここでR’=フッ素化されていない、部分的にフッ素化された、またはパーフルオロ化されたC〜C18アルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換または置換フェニルである。
【0042】
一般性を限定せずに、このようにして修飾された置換基R、R〜R13の例は、以下のものである:
−OCH、−OCH(CH、−CHOCH、−CH−CH−O−CH、−COCH(CH、−CSC、−CSCH(CH、−S(O)CH、−SOCH、−SO、−SO、−SOCH(CH、−SOCHCF、−CHSOCH、−O−C−O−C、−CF、−C、−C、−C、−C(CF、−CFSOCF、−CN(C)C、−CHF、−CHCF、−C、−CFH、−CH、−C(CFH、−CHC(O)OH、−CH、−C(O)CまたはP(O)(C
【0043】
R’において、C〜Cシクロアルキルは、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
【0044】
R’において、置換フェニルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、−CN、−NO、F、Cl、Br、I、−OH、−C〜Cアルコキシ、NR’’、−COOH、−SOX’、−SR’’、−S(O)R’’、−SOR’’、SONR’’またはSOHによって置換されているフェニルを示し、式中、X’は、F、ClまたはBrを示し、R’’は、R’について定義したフッ素化されていない、部分的にフッ素化された、またはパーフルオロ化されたC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、例えばo−、m−またはp−メチルフェニル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−ヨードフェニル、
【0045】
さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジヒドロキシフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルを示す。
【0046】
本発明において、式(3)〜(7)で表される化合物の好適な置換基RおよびR〜R13は、H以外には、好ましくは以下のものである:C〜C20、特にC〜C14アルキル基、および飽和の、または不飽和の、すなわちまた芳香族のC〜Cシクロアルキル基、それはC〜Cアルキル基、特にフェニルによって置換されていてもよい。
【0047】
式(3)または(4)で表される化合物中の置換基RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、式(3)中の3つまたは4つの置換基Rは、同一である。好ましくは、式(4)中の3つまたは4つの置換基Rは、同一である。
置換基RおよびRは、特に好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシルまたはテトラデシルである。
【0048】
グアニジニウムカチオン[C(NR)(NR1011)(NR1213)]の4つまでの置換基はまた、単環式、二環式または多環式カチオンが生成するように対に結合していてもよい。
【0049】
一般性を限定せずに、そのようなグアニジニウムカチオンの例は、以下のものである:
【化3】

式中、置換基R〜R10およびR13は、上記で示した意味または特に好ましい意味を有し得る。
【0050】
所望により、上記で示したグアニジニウムカチオンの炭素環または複素環はまた、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、−CN、−NO、F、Cl、Br、I、−OH、−C〜Cアルコキシ、−NR’、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−COOH、−SONR’、−SOX’または−SOH(ここでXおよびR’は上記で示した意味を有する)、置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環によって置換されていてもよい。
【0051】
ウロニウムカチオン[C(NR)(OR)(NR)]またはチオウロニウムカチオン[C(NR)(SR)(NR)]の4つまでの置換基はまた、単環式、二環式または多環式カチオンが生成するように対に結合していてもよい。
【0052】
一般性を限定せずに、そのようなカチオンの例を、以下に示し、式中Y=OまたはSである:
【化4】

式中、置換基R、RおよびRは、上記で示した意味または特に好ましい意味を有し得る。
【0053】
所望により、上記で示したカチオンの炭素環または複素環はまた、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、−CN、−NO、F、Cl、Br、I、−OH、−C〜Cアルコキシ、−NR’、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−COOH、SONR’、SOXもしくはSOHまたは置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環によって置換されていてもよく、ここでXおよびR’は、上記で示した意味を有する。
【0054】
置換基R〜R13は、各々、互いに独立して、好ましくは1〜16個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基である。式(5)〜(7)で表される化合物中の置換基RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11ならびにR12およびR13は、同一であっても異なっていてもよい。R〜R13は、特に好ましくは各々、互いに独立してメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、フェニル、ヘキシルまたはシクロヘキシル、極めて特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルまたはヘキシルである。
【0055】
本発明において、式(8)で表される化合物の好適な置換基R1’およびR4’は、互いに独立して、好ましくは以下のものである:C〜C20、特にC〜Cアルキル基。
本発明において、式(8)で表される化合物の好適な置換基R2’およびR3’は、互いに独立して、好ましくは以下のものである:H、C〜C20、特にHまたはC〜Cアルキル基。
【0056】
HetNz+は、好ましくは
【化5】

であり、
式中、置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して、上記または以下に記載する意味を有する。
【0057】
HetNz+は、特に好ましくは
【化6】

であり、
式中、置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して、上記または以下に記載する意味を有する。
【0058】
置換基R1’およびR4’は、各々、互いに独立して、特に好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。それらは、極めて特に好ましくはメチル、エチル、n−ブチルまたはn−ヘキシルである。ピロリジニウムまたはイミダゾリウムにおいて、2つの置換基R1’およびR4’は、好ましくは異なっている。
【0059】
置換基R2’およびR3’は、各場合において互いに独立して、特にH、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。イミダゾリウム環の2位におけるR2’は、特に好ましくはH、メチル、エチル、イソプロピル、プロピルまたはn−ブチル、特に好ましくはHまたはメチルである。イミダゾリウム環の4および5位におけるR2’は、好ましくはHである。ピロリジニウム環の置換基R2’およびR3’は、好ましくはHである。
【0060】
好ましい1,1−ジアルキルピロリジニウムカチオンは、例えば1,1−ジメチルピロリジニウム、1−メチル−1−エチルピロリジニウム、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1−メチル−1−ブチルピロリジニウム、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−メチル−1−オクチルピロリジニウム、1−メチル−1−ノニルピロリジニウム、1−メチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジエチルピロリジニウム、1−エチル−1−プロピルピロリジニウム、1−エチル−1−ブチルピロリジニウム、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−エチル−1−オクチルピロリジニウム、1−エチル−1−ノニルピロリジニウム、1−エチル−1−デシルピロリジニウム、
【0061】
1,1−ジプロピルピロリジニウム、1−プロピル−1−メチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ペンチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−プロピル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−プロピル−1−オクチルピロリジニウム、1−プロピル−1−ノニルピロリジニウム、1−プロピル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジブチルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−ブチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ブチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ブチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ブチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジペンチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ペンチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ペンチル−1−デシルピロリジニウム、
【0062】
1,1−ジヘキシルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジヘキシルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ヘプチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジヘプチルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−オクチルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−ノニルピロリジニウム、1−ヘプチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジオクチルピロリジニウム、1−オクチル−1−ノニルピロリジニウム、1−オクチル−1−デシルピロリジニウム、1,1−ジノニルピロリジニウム、1−ノニル−1−デシルピロリジニウムまたは1,1−ジデシルピロリジニウムである。極めて特に好ましいのは、1−ブチル‐1−メチルピロリジニウムまたは1−プロピル−1−メチルピロリジニウムである。
【0063】
好ましい1−アルキル−1−アルコキシアルキルピロリジニウムカチオンは、例えば1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム、1−(2−メトキシエチル)−1−エチルピロリジニウム、1−(2−メトキシエチル)−1−プロピルピロリジニウム、1−(2−メトキシエチル)−1−ブチルピロリジニウム、1−(2−エトキシエチル)−1−メチルピロリジニウム、1−エトキシメチル−1−メチルピロリジニウムである。極めて特に好ましいのは、1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピロリジニウムである。
【0064】
好ましい1,3−ジアルキルイミダゾリウムカチオンは、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−メチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1,3−ジペンチルイミダゾリウム、1,3−ジヘキシルイミダゾリウム、1,3−ジヘプチルイミダゾリウム、1,3−ジオクチルイミダゾリウム、1,3−ジノニルイミダゾリウム、1,3−ジデシルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチル−3−ノニルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウム、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ノニルイミダゾリウムまたは1−デシル−3−エチルイミダゾリウムである。特に好ましいカチオンは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムまたは1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムである。
【0065】
好ましい1−アルコキシアルキル−3−アルキルイミダゾリウムカチオンは、例えば1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(2−メトキシエチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(2−メトキシエチル)−3−プロピルイミダゾリウム、1−(2−メトキシエチル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(2−エトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−エトキシメチル−3−メチルイミダゾリウムである。
好ましい1−アルケニル−3−アルキルイミダゾリウムカチオンは、例えば1−アリル−3−メチル−イミダゾリウムまたは1−アリル−2,3−ジメチルイミダゾリウムである。
【0066】
化学において、電解質は、物質を電気的に伝導性にする遊離のイオンを含むあらゆる物質である。最も典型的な電解質は、イオン性溶液であるが、溶融した電解質および固体の電解質もまた、可能である。
したがって、本発明の電解質配合物は、基本的に、溶解したかまたは溶融した状態で存在する、すなわちイオン種の運動によって電気伝導性を支持する少なくとも1種の物質の存在により電気的に伝導性の媒体である。
【0067】
好ましくは、本発明の電解質配合物は、式(I)で表され、式中Ma+が、定義したかまたは好ましく記載した式(1)、(3)、(4)、(6)または(8)で表されるカチオンから選択されたカチオンである少なくとも1種の化合物を含む。
【0068】
特に好ましくは、本発明の電解質配合物は、式(I)で表され、式中Ma+が、定義したかまたは特に好ましく記載した式(1)または(8)で表されるカチオンから選択されたカチオンである少なくとも1種の化合物を含む。
極めて特に好ましくは、本発明の電解質配合物は、式(I)で表され、式中Ma+が、定義したかまたは特に好ましく記載した式(1)で表されるカチオンから選択されたカチオンである少なくとも1種の化合物を含む。
【0069】
極めて特に好ましくは、本発明の電解質配合物は、式(I)で表され、式中Ma+が、定義したかまたは特に好ましく記載した式(8)で表されるカチオンから選択されたカチオンである少なくとも1種の化合物を含む。
【0070】
したがって、本発明は、極めて特に好ましくは、上記で記載した式(I)で表され、式中式(I)で表される化合物のMa+
【化7】

であり、
式中、置換基R1’〜R4’が、各々、互いに独立して、上記もしくは以下に好ましく記載する意味もしくは好ましく記載した通りの意味を有するか、または式中、Ma+が、上記で記載した1,1−ジアルキルピロリジニウム、1−アルキル−1−アルコキシアルキルアルキルピロリジニウム、1,3−ジアルキルイミダゾリウム、1−アルケニル−3−アルキルイミダゾリウムもしくは1−アルコキシアルキル−3−アルキルイミダゾリウムの意味を有する、
少なくとも1種の化合物を含む電解質配合物に関する。
【0071】
とりわけ極めて特に好ましくは、本発明の電解質配合物は、式(I)で表され、式中Ma+
【化8】

であり、
式中、置換基R1’〜R4’が、各々、互いに独立して、上記もしくは以下に記載する通りの、もしくは好ましく記載した通りの意味を有するか、または式中、Ma+が、上記で記載した1,3−ジアルキルイミダゾリウム、1−アルケニル−3−アルキルイミダゾリウムもしくは1−アルコキシアルキル−3−アルキルイミダゾリウムの意味を有する、
少なくとも1種の化合物を含む。
【0072】
上記で記載した式(I)で表される化合物の電解質配合物中での典型的なモル濃度は、0.1〜5.5M、好ましくは0.8〜3Mの範囲内である。電解質中のこのモル濃度は、有機カチオンを有する式(I)で表される1種もしくは2種以上の化合物で、または有機カチオンを有する式(I)で表される少なくとも1種の化合物および無機カチオンを有する式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含む混合物で達成され得る。
【0073】
式(I)で表される好ましい無機塩は、式(I)で表され、式中カチオンが金属カチオン、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、銀、マグネシウム、カルシウムまたは亜鉛である化合物である。
本発明の目的のために、モル濃度は、25℃における濃度を指す。
【0074】
電解質配合物の他の構成成分は、以下にさらに示すように1種または数種の他の塩、溶媒、ヨウ素および他のものである。
【0075】
電解質配合物が二成分系である場合には、それは、上記で記載した2種の塩、1種のさらなる塩および式(I)で表される化合物を含む。電解質配合物が三成分系である場合には、それは、上記で記載した2種のさらなる塩および式(I)で表される化合物を含む。
【0076】
二成分系は、90〜20重量%、好ましくは80〜55重量%、より好ましくは70〜60重量%のさらなる塩および10〜80重量%、好ましくは20〜45重量%またはより好ましくは30〜40重量%の上記で記載した式(I)で表される化合物を含む。このパラグラフ中でのパーセンテージを、本発明の電解質配合物中に存在する塩の合計(=100重量%)に関して表現する。以下に示す他の一般的には任意の構成成分(添加剤)、例えば非共有電子対を有するN含有化合物、ヨウ素、溶媒、ポリマーおよびナノ粒子の量は、ここでは考慮しない。同一のパーセンテージが三成分系または四成分系に該当し、それは、他の塩の合計を所与の範囲内で使用しなければならず、例えば2種の他のイオン性液体が、本発明の電解質配合物中で、例えば90〜20重量%において含まれることを意味する。
【0077】
本発明の他の態様において、電解質配合物は、式(1)〜(8)で表されるカチオンとして上記で定義した四級窒素を含む有機カチオンおよびハロゲン化物イオン、例えばF、Cl、I、ポリハロゲン化物イオン、フルオロアルカンスルホネート、フルオロアルカンカルボキシレート、トリ(フルオロアルキルスルホニル)メチド、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、硝酸、ヘキサフルオロホスフェート、トリス、ビスおよびモノ−(フルオロアルキル)フルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ジシアナミド、トリシアノメチド、テトラシアノボレート、チオシアン酸、1〜20個のC原子を有し、好ましくはパーフルオロ化されているフルオロアルカン、1〜20個のC原子を有するフルオロアルキルおよび1〜20個のC原子を有するアルキルを有するアルキルスルホネートまたはアルキルスルフェートから選択されたアニオンを有する少なくとも1種の他の塩を含む。フルオロアルカンまたはフルオロアルキルは、好ましくはパーフルオロ化されている。
【0078】
好ましくは、他の塩は、アニオン、例えばヨウ化物、チオシアン酸またはテトラシアノボレートを含む塩から選択され、特に好ましい他の塩は、ヨウ化物である。
【0079】
しかし、種々のカチオンの、特にDSCのための、電解質配合物中での量を限定するために、有機カチオンを、式(I)で表される化合物のカチオンについての定義から選択してもよい。したがって、本発明の他の好ましい態様において、電解質配合物は、上記で記載した式(I)で表される少なくとも1種の化合物および、有機カチオンが好ましくは上記で記載した通りである少なくとも1種のさらなるヨウ化物を含む。
【0080】
少なくとも1種の他の塩の特に好ましい例は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムヨージド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1,3−ジメチル−イミダゾリウムヨージド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、N−ブチル−N−メチル−ピロリジニウムヨージドまたはN,N−ジメチル−ピロリジニウムヨージドである。
【0081】
本発明の他の態様において、グアニジニウムチオシアネートを、本発明の電解質配合物に加えてもよい。
本発明の電解質配合物は、好ましくはヨウ素(I)を含む。好ましくは、それは、0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜20重量%および最も好ましくは1〜10重量%のIを含む。
【0082】
好ましい態様において、本発明の電解質配合物はさらに、非共有電子対を有する窒素原子を含む少なくとも1種の化合物を含む。かかる化合物の例は、EP 0 986 079 A2中に見出され、2頁から開始して40〜55行、および再び3頁14行から7頁54行にわたり、それは参照によって明確に本明細書中に組込まれる。非共有電子対を有する化合物の好ましい例は、イミダゾールおよびその誘導体、特にベンズイミダゾールおよびその誘導体を含む。
【0083】
本発明の電解質配合物は、50vol%未満の有機溶媒を含む。好ましくは、電解質配合物は、40%未満、より好ましくは30%未満、尚より好ましくは20%未満およびさらに10%未満を含む。最も好ましくは、電解質配合物は、5%未満の有機溶媒を含む。例えば、それは、有機溶媒を実質的に含まない。パーセンテージを、重量%を基準として示す。
【0084】
有機溶媒は、上記に示した量において存在する場合には、文献中に開示したものから選択され得る。好ましくは、溶媒は、存在する場合には摂氏160度より高い、より好ましくは190度より高い沸点を有し、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、テトラグライムおよびメトキシ置換ニトリルまたはスルホンであり、それは、好ましくは非対称的に置換されており、例えば2−エタンスルホニル−プロパン、1−エタンスルホニル−2−メチル−プロパンまたは2−(プロパン−2−スルホニル)−ブタンである。
【0085】
溶媒が電解質配合物中に存在する場合には、さらにゲル化剤としてのポリマーが含まれていてもよく、ここでポリマーは、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ナフィオン(nafion)、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンである。これらのポリマーを電解質配合物に加える目的は、液体電解質を疑似固体または固体電解質にし、それにより、特に経年劣化の間の溶剤残留を改善することである。
【0086】
本発明の電解質配合物はさらに、例えば、また固体性およびしたがって溶剤残留を増大させることができる金属酸化物ナノ粒子、例えばSiO、TiO、Al、MgOまたはZnOを含んでもよい。
【0087】
本発明の電解質配合物は、多くの用途を有する。例えば、それを、光電子デバイスおよび/または電気化学的デバイス、例えば光電池、コンデンサ、発光デバイス、エレクトロクロミックまたはフォトエレクトロクロミックデバイス、電気化学的センサーおよび/またはバイオセンサーにおいて使用してもよい。また、電気化学的電池、例えばリチウムイオン電池または二重層コンデンサにおける使用が、可能である。
【0088】
したがって、本発明はさらに、上記で詳細に記載した電解質配合物の、光電池、コンデンサ、発光デバイス、エレクトロクロミックまたはフォトエレクトロクロミックデバイス、電気化学的センサーおよび/またはバイオセンサーにおいて好まれる電気化学的デバイスおよび/または光電子デバイスにおける使用に関する。好ましくは、電解質配合物を、色素増感太陽電池において使用してもよい。
【0089】
したがって、本発明はさらに、電解質配合物を含む電気化学的および/または光電子デバイス、好ましくは光電池、コンデンサ、発光デバイス、エレクトロクロミックまたはフォトエレクトロクロミックデバイス、電気化学的センサーおよび/またはバイオセンサーであって、式(I)
a+[B(R)(CN)(F)(I)
【0090】
式中、Ma+は、無機または有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、
aは1、2、3または4であり、
xは1、2または3であり、
yは0、1または2であり、x+yは3である、
で表される少なくとも1種の化合物を含む、前記デバイスに関する。
【0091】
好ましい態様において、本発明のデバイスは、色素または量子ドット増感太陽電池、特に好ましくは色素増感太陽電池である。
量子ドット増感太陽電池は、例えばUS 6,861,722に開示されている。色素増感太陽電池において、色素を使用して、太陽光を吸収して、電気的エネルギーに変換する。色素の例は、EP 0 986 079 A2、EP 1 180 774 A2またはEP 1 507 307 A1に開示されている。
【0092】
好ましい色素は、共に両親媒性ルテニウム感光剤であるZ907またはZ907Naである。
好ましい態様において、色素をホスフィン酸で共吸着する。ホスフィン酸の好ましい例は、M. Wang et al, Dalton Trans., 2009, 10015-10020に開示されているビス(3,3−ジメチル−ブチル)−ホスフィン酸(DINHOP)である。
色素Z907Naは、NaRu(2,2’−ビピリジン−4−カルボン酸−4’−カルボキシレート)(4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン)(NCS)を意味する。
【0093】
例えば、色素増感太陽電池は、光電極、対電極および、光電極と対電極との間に電解質配合物または電荷輸送材料を含み、またここで増感色素は、対電極に面する側において光電極の表面上に吸収される。
【0094】
本発明のデバイスの好ましい態様において、それは、半導体、上記で記載した電解質配合物および対電極を含む。
本発明の好ましい態様において、半導体は、Si、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、GaP、InP、GaAs、CdTe、CuInSおよび/またはCuInSeの群から選択された材料に基づく。好ましくは、半導体は、メソ多孔性表面を含み、したがって任意に色素によって覆われ、電解質に接触している表面を増大させる。好ましくは、半導体は、ガラス支持体またはプラスチックもしくは金属箔上に存在する。好ましくは、支持体は伝導性である。
【0095】
本発明のデバイスは、好ましくは対電極を含む。例えば、Ptで被覆したガラス上のフッ素をドープした酸化スズまたはスズをドープした酸化インジウム(それぞれFTOまたはITOガラス)、好ましくは伝導性の同素体の炭素、ポリアニリンまたはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。金属基板、例えばステンレス鋼またはチタンシートは、ガラス以外の可能な基板であり得る。
【0096】
本発明のデバイスを、単に電解質を本発明の電解質配合物によって交換することにより、従来技術の対応するデバイスとして製造してもよい。例えば、色素増感太陽電池の場合において、デバイスアセンブリは、多数の特許文献、例えばWO 91/16719(例34および35)、しかしまた科学文献、例えばBarbe, C.J., Arendse, F., Comte, P., Jirousek, M., Lenzmann, F., Shklover, V., Graetzel, M. J. Am. Ceram. Soc. 1997, 80, 3157;およびWang, P., Zakeeruddin, S. M., Comte, P., Charvet, R., Humphry-Baker, R., Graetzel, M. J. Phys. Chem. B 2003, 107, 14336中に開示されている。
【0097】
好ましくは、増感された半導体材料は、フォトアノード(photoanode)としての役割を果たす。好ましくは、対電極はカソードである。
【0098】
本発明は、光電池を製造する方法であって、本発明の電解質配合物を半導体の表面と接触させ、前記表面が任意に増感剤で覆われているステップを含む、前記方法を提供する。好ましくは、半導体を、上記に示した材料から選択し、増感剤を、好ましくは上記で開示した量子ドットおよび/または色素から選択し、特に好ましくは色素から選択する。
【0099】
好ましくは、電解質配合物を、半導体上に単純に注いでもよい。好ましくは、それを、Wang et al., J. Phys. Chem. B 2003, 107, 14336の参照において開示されているように、既に対電極を含む他の方法で完成したデバイスに、対電極中の穴部を貫通してセルの内腔中に真空を作成し、電解質配合物を加えることにより適用する。
【0100】
本発明はさらに、式(I−a)
a+[B(R)(CN)(F)(I−a)
式中、
a+は、スルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、グアニジニウムカチオンまたは上記で記載した複素環式カチオンを含む群から選択された有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基またはCを示し、aは1を示す、
で表される化合物に関する。
【0101】
式(I−a)で表される化合物の特定の例は、以下の群から選択された化合物である。1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(C)CNF]、
トリブチル−メチルアンモニウム[B(C)CNF]、
テトラ−n−ブチルアンモニウム[B(C)CNF]、
【0102】
トリブチル−メチルホスホニウム[B(C)CNF]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(C)CNF]、
ジエチル−メチルスルホニウム[B(C)CNF]、
S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウム[B(C)CNF]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
【0103】
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(CF)CNF]、
トリブチル−メチルアンモニウム[B(CF)CNF]、
テトラ−n−ブチルアンモニウム[B(CF)CNF]、
トリブチル−メチルホスホニウム[B(CF)CNF]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(CF)CNF]、
ジエチル−メチルスルホニウム[B(CF)CNF]、
エチル−テトラメチルイソチオウロニウム[B(CF)CNF]。
【0104】
本発明はさらに、式(I−b)
a+[B(R)(CN)(F)](I−b)
式中、
a+は、スルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、グアニジニウムカチオンまたは上記で記載した複素環式カチオンを含む群から選択された有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基またはCを示し、aは1を示す、
で表される化合物に関する。
【0105】
式(I−b)で表される化合物の特定の例は、以下の群から選択された化合物である。
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)F]、
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)F]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)F]、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(C)(CN)F]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(C)(CN)F]、
テトラ−n−ブチルアンモニウム[B(C)(CN)F]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)F]、
【0106】
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)F]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(CF)(CN)F]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)F]、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(CF)(CN)F]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[B(C)(CN)]、
テトラ−フェニルホスホニウム[CBF(CN)]、
【0107】
本発明はさらに、式(I−c)
a+[B(R)(CN)(I−c)
式中、
a+は、スルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、グアニジニウムカチオンまたは上記で記載した複素環式カチオンを含む群から選択された有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基またはCを示し、aは1を示す、
で表される化合物に関する。
【0108】
式(I−c)で表される化合物の特定の例は、以下の群から選択された化合物である。
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)]。
【0109】
式(I)で表される化合物を、アルカリ金属[B(R)F]、例えばRがパーフルオロアルキル基である場合にはパーフルオロアルキルトリフルオロボレートの、トリアルキルシリルシアニドとの反応、続いて式(I)で表され、式中Ma+がアルカリ金属である化合物を、式(I)で表され、式中Ma+が上記で定義した他のカチオンであり、Rが上記で記載した意味を有する化合物に変換するためのカチオン交換反応によって合成してもよい。
【0110】
そのようなカチオン交換反応またはメタセシス反応を、式MAで表される化合物を使用して行ってもよく、
式中、
Mは、上記で定義したが、アルカリ金属トリフルオロパーフルオロアルキルボレートの出発物質のアルカリ金属を含まないMa+を示し、
【0111】
Aは、アニオン
、Cl、Br、I、OH、[HF、[CN]、[SCN]、[RCOO]、[RSO、[RCOO]、[RSO、[ROSO、[SiF2−、[BF、[SO2−、[HSO1−、[NO、[(RP(O)O]、[RP(O)O2−、[(RO)P(O)O]、[(RO)P(O)O2−、[(RP(O)O]、[RP(O)O2−、トシル酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸、スベリン酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸の群から選択され、マロン酸は、任意に1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基または[CO2−で置換されており、
【0112】
ここでRは、互いに独立してHおよび/または1〜12個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示し、
は、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するフッ素化されたかもしくはパーフルオロ化された直鎖状もしくは分枝状アルキル基またはペンタフルオロフェニルを示し、またここで塩MAは電気的に中性である。
【0113】
このプロセスを、空気上で、好ましくは乾燥雰囲気中で、例えば乾燥空気、窒素またはアルゴンの下で行うことができる。
【0114】
アルカリ金属パーフルオロアルキルトリフルオロボレートまたはRが上記で記載した意味を有するアルカリ金属化合物[B(R)F]は、いくつかの場合において商業的に入手できるか、または既知のプロセスによって合成することができる。アルカリ金属パーフルオロアルキルトリフルオロボレートの化合物の製造のための既知の方法は、例えばUS 7,208,626 B2;WO 2003/087020 (A1)およびWO 2003/087113 (A1)に、またはR.D. Chambers et al., J. Am. Chem. Soc. 82 (1960), p. 5296-5301;H.-J- FrohnおよびV.V. Bardin, Z. fuer Anorg.und Allg.Chemie, 627 (2001), S. 15-16;G.A. MolanderおよびG.P. Hoag, Organometallics, 22 (2003), p. 3313-3315もしくはZhi-Bin Zhou et al., J. of Fluorine Chem., 123 (2003), p. 127-131]に記載されている。
【0115】
アルキル基が独立して1〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を示すトリアルキルシリルシアニドは、いくつかの場合において商業的に入手可能であるかまたは既知のプロセスによって合成することができる。例えば、トリアルキルシリルシアニドを、アルカリ金属シアニドのトリアルキルシリルクロリドとの、アルカリ金属ヨージドおよび任意に元素状ヨウ素の存在下での反応によって生成することが可能である。
【0116】
トリアルキルシリルシアニドのアルキル基は、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、それらは同一である。トリアルキルシリルシアニドの例は、例えばトリメチルシリルシアニド、トリエチルシリルシアニド、ジメチルエチルシリルシアニド、トリイソプロピルシリルシアニド、トリプロピルシリルシアニドまたはトリブチルシリルシアニドである。特に好ましいのは、トリメチルシリルシアニドの使用である。
【0117】
a+がアルカリ金属カチオンである式(I)で表される化合物の製造のためのプロセスを、1種の出発物質が反応温度で、例えば10℃〜200℃の温度で液体である場合には、有機溶媒中で、もしくは有機溶媒の不在下で、またはマイクロ波照射の存在下で行ってもよい。マイクロ波照射を使用するのが好ましい。
【0118】
有用な有機溶媒は、例えばアセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランである。式(I)で表され、式中Ma+がアルカリ金属カチオンである化合物の製造のためのプロセスを、好ましくは溶媒を使用せずに行う。
【0119】
式(I)で表され、式中カチオンが有機カチオンまたはアルカリ金属カチオン以外の無機カチオンである化合物の製造のためのプロセスは、カチオンが一般的に知られているように交換されるメタセシス反応(塩交換反応)である。
本発明を、ここでその範囲を限定せずに、以下の例によって例示する:
【0120】
例1:K[CFBF(CN)]
【化9】

カリウムトリフルオロトリフルオロメチルボレート、K[CFBF](3.0g、17.0mmol)を、ガラス弁およびPTFE軸(Young, London)および磁気的撹拌棒を有する円筒状反応容器中に秤量する。トリメチルシリルシアニド(6.0mL、45.0mmol)を、アルゴン雰囲気の存在下で加える。反応混合物を室温で20時間撹拌する。すべての揮発性構成成分を、真空において除去する。未反応のトリメチルシリルシアニド(3.0mL、22.5mmol)を、分別蒸留によって回収する。固体の残留物を、テトラヒドロフランに溶解する。ジクロロメタンの添加によって、K[CFBFCN]の沈殿が生じ、それを濾別し、真空において乾燥する。カリウムトリフルオロトリフルオロメチルボレートを基準とする収量は、3.0g(16.4mmol、96%)である。
【0121】
【化10】

【0122】
同様に、K[CBF(CN)]、K[CFBF(CN)]およびK[CBF(CN)]を、製造することができる。ペンタフルオロエチル基を有する式(I)で表される化合物のために、出発物質は、カリウムトリフルオロペンタフルオロボレートである。アルカリ金属カチオンおよび[CFBF(CN)]または[CBF(CN)]アニオンを有する式(I)で表される化合物を、110℃〜200℃の反応温度で、またはマイクロ波照射(200W)、続いて例えば例2に記載する塩交換反応を使用して製造してもよい。
【0123】
同様に、アルカリ金属カチオンおよび[CFB(CN)]または[CB(CN)]を有する式(I)で表される化合物を、200Wを上回るマイクロ波放射、続いて例えば例2に記載する塩交換反応を使用して製造してもよい。
【0124】
例2:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボレート−[C11][CFBF(CN)]
【化11】

例1に記載したように製造したK[CFBF(CN)](5.9g、32.5mmol)を、脱イオン水(20mL)に溶解し、脱イオン水(20mL)に溶解した1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、[emim]Cl(5.0g、34.1mmol)を、反応混合物の磁気的撹拌棒での混合によって加える。イオン性液体を分離し、脱イオン水で洗浄し、真空において50℃で乾燥する。液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボレートの収量は、5.7g(22.4mmol)、使用したカリウムシアノジフルオロトリフルオロメチルボレートを基準として、69%である。
【0125】
融点:13℃。
水含量(Karl-Fischer滴定)は、40ppmである。
動的粘度(20℃):16.5mPa・s。
【化12】

【0126】
以下の電解質配合物を構成するすべての他の化合物を、同様にして合成する。
【0127】
例3:配合物およびデバイス
以下の電解質配合物を合成して、本発明の電解質配合物の、同一のカチオンを使用した場合であってテトラシアノボレートアニオンを含む従来技術の電解質配合物に相対する予期されない利点を例証する。
【0128】
【表1】

【0129】
電解質配合物を、1,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド(mmimI)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド(emimI)およびイオン性液体1〜5の1種または2種以上をヨウ素、N−ブチルベンズイミダゾール(NBB)およびグアニジニウムチオシアネート(guaSCN)と一緒に、以下に列挙したモル比において混合することによって製造する。熱を120℃まで加えて、電解質配合物を均質にすることが、必要であり得る。
【0130】
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、48 emimTCB、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物1;
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、48 emim[B(CF)CNF]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物2;
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、48 emim[B(CF)(CN)F]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物3;
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、48 emim[B(C)(CN)F]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物4;
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、48 emim[B(C)(CN)F]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物5。
【0131】
【表2】

【0132】
表1は、示したアニオンを含む電解質が、同一のカチオンを使用した場合であってTCBをアニオンとして含む電解質より良好な性能を発揮することを実証する。
化合物mmimI、emimI、I、NBBおよびguaSCNは、商業的に入手できるか、または既知の文献、例えばBonhote, P et al. Inorg. Chem. 1996, 35, 1168-1178に従って合成される。
色素増感太陽電池を、US 5,728,487またはWO 2007/093961に開示されているように製作する:
【0133】
二重層のメソ多孔性TiO電極を、Wang P et al., J. Phys. Chem. B 2003, 107, 14336、特に14337頁に開示されているように製造して、二重層構造からなるフォトアノードを得た。透明なナノ多孔性TiO電極を製造するために、テルピネオール溶媒を含むスクリーン印刷ペーストおよび20nmの直径を有するアナターゼ相のナノ粒子TiOを、透明な伝導性基板上に5mm×5mmの正方形形状に、ハンドプリンター(hand printer)を使用することにより堆積させた。ペーストを、摂氏120度で10分間乾燥した。次に、400nmの直径を有するTiOを含む他のスクリーン印刷ペーストを、ナノ多孔性層の最上部上に堆積させて、不透明な層を製造した。
【0134】
次に、二重層フィルムを、摂氏500度で1時間焼結し、その結果下層の透明な層(厚さ7ミクロン)および最上部の不透明な層(厚さ4ミクロン)が得られた。焼結後に、電極を、TiClの40mM水溶液(Merck)に摂氏70度で30分間浸漬し、次に純水で十分洗浄した。このようにして、TiClで処理した電極を、色素増感の直前に摂氏500度で30分間乾燥した。電極を、アセトニトリル(Merck HPLC等級)およびtert−ブチルアルコール(Merck)、v:v=1:1の0.3mMのZ907色素溶液中に、摂氏19度で60時間浸漬した。対電極を、上記の参考文献中に開示されている熱的な熱分解方法で製造した。白金酸の5mM溶液(Merck)の小滴を、8μl/cmで流し込み、伝導性基板上で乾燥した。色素増感太陽電池を、厚さ30ミクロンのBynel(DuPont, USA)ホットメルトフィルムを使用することにより組み立てて、加熱により密封した。内部空間を、上記で記載した電解質配合物の各々で満たして、対応するデバイスを製造した。
【0135】
色素Z907は、両親媒性ルテニウム増感剤Ru(2,2’−ビピリジン4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン)(NCS)または[Ru(H2dcbpy)(dnbpy)(NCS)]である。
【0136】
【表3】

【0137】
【表4】

【0138】
【表5】

【0139】
電解質配合物を、以下に示す所与のモル比および化合物を使用して、3Aにおいて開示したように同様にして製造する。デバイスの製作を、上記で記載したように行った−しかし、結果は、予測されたよりも低く、それは、emimTCBについての比較データから明らかであり、それは、電解質配合物1および電解質配合物6の4.1%の効率を示すに過ぎず、それは、現在まで行われているすべての測定よりも低く−それは、イオン液体のこの研究を、TCBに対するこの比較の観点から解釈する必要があることを意味する。
【0140】
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、48 emimTCB、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物1;
モル比:60 emimI、5 I、60 emimTCB、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物1*
モル比:60 emimI、5 I、60 bmplTCB、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物7;
モル比:60 emimI、5 I、60 emmim[B(CF)(CN)F](イオン性液体8)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物8;
【0141】
モル比:60 emimI、5 I、60 emmim[B(C)(CN)F](イオン性液体9)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物9;
モル比:60 emimI、5 I、60 moemim[B(C)(CN)F](イオン性液体10)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物10;
モル比:60 emimI、5 I、60 bmim[B(C)(CN)F](イオン性液体11)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物11;
モル比:60 emimI、5 I、60 bmpl[B(C)(CN)F](イオン性液体12)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物12;
【0142】
モル比:60 emimI、5 I、60 トリブチルメチルアンモニウム[B(C)(CN)F](イオン性液体13)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物13;
モル比:60 emimI、5 I、60 トリブチルメチルホスホニウム[B(C)(CN)F](イオン性液体14)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物14;
モル比:60 emimI、5 I、60 ジエチルメチルスルホニウム[B(C)(CN)F](イオン性液体15)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物15;
モル比:60 emimI、5 I、60 S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウム[B(C)(CN)F](イオン性液体16)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物16;
【0143】
モル比:60 emimI、5 I、60 moemim[B(C)(CN)F](イオン性液体17)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物17;
モル比:60 emimI、5 I、60 bmim[B(C)(CN)F](イオン性液体18)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物18;
モル比:60 emimI、5 I、60 bmpl[B(C)(CN)F](イオン性液体19)、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物19;
モル比:60 1−アリル−3−メチルイミダゾリウムI、5 I、60 emim[B(C)(CN)F]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物20;
モル比:60 1−アリル−2,3−ジメチルイミダゾリウムI、5 I、60 emim[B(C)(CN)F]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物21;
モル比:60 1−メチル−3−プロピニルイミダゾリウムI、5 I、60 emim[B(C)(CN)F]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物22;
【0144】
【表6】

表2は、示したアニオンを含む電解質が、同一のカチオンを使用した場合であってTCBをアニオンとして含む電解質より良好であるか、または同様の性能を発揮することを実証する。
【0145】
例4:例3Aによる色素増感太陽電池の特徴
光電流−電圧曲線の測定を、温度制御を伴ったAir Mass 1.5模擬太陽光(AM 1.5)の下で行う。4mm×4mmのフォトマスクを、例3に従って製作したデバイスの最上部上に配置して、光投影域を規定する。セルギャップは、25〜30ミクロンの範囲内である。
【0146】
エネルギー変換効率は、一般的に、エネルギー用語において、電気出力を最適化するために調整可能な抵抗性負荷を使用して決定した、エネルギー変換機の有効出力と光放射の入力との間の比率である。
【0147】
例5:電気化学的インピーダンス分光法(EIS)
例3Aに従って製作したデバイス1、4および5のインピーダンスを、12℃および25℃で、AM1.5の下で、Gamry R600インピーダンスアナライザーを使用することによって測定して、太陽光発電性能の差異の原因である要因を識別する。
【0148】
図1は、比較例としての電解質配合物1を含むデバイス1のインピーダンススペクトルを示す。
図2は、電解質配合物4を含むデバイス4のインピーダンススペクトルを示す。
図3は、電解質配合物5を含むデバイス5のインピーダンススペクトルを示す。
【0149】
表3は、摂氏12および25度でAM1.5の下で測定したデバイス1、4および5についてのインピーダンスおよびそれらの特性周波数を示す。
【表7】

【0150】
TCBの本発明のアニオンでの交換によって、電荷移動抵抗が顕著に低減し、DSCのためのパーフルオロアルキルシアノフルオロボレートに基づいた電解質配合物が摂氏12度で作動するようになることが明らかである。
【0151】
例6:
以下の電解質配合物を例3Aに従って合成し、例3Aに従って製造したDSSC試験セル中で電解質として使用する:
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、72 bmplTCB、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物23;
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、72 bmpl[B(C)(CN)F]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物24;
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、72 bmpl[B(C)(F)CN]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物25;
モル比:36 mmimI、36 emimI、5 I、72 ジエチルメチルスルホニウム[B(C)(F)CN]、2 guaSCN、10 NBBにおいて得た電解質配合物26。
【0152】
表4は、例4による上記で引用した電解質配合物の測定の結果を要約する:η=DSC効率
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】図1は、例3Aに従って製造した比較例としての電解質配合物1を含むデバイス1のインピーダンススペクトルを示す。
【図2】図2は、例3Aに従って製造した電解質配合物4を含むデバイス4のインピーダンススペクトルを示す。
【図3】図3は、例3Aに従って製造した電解質配合物5を含むデバイス5のインピーダンススペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
a+[B(R)(CN)(F) (I)
式中、Ma+は、無機または有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、
aは1、2、3または4であり、
xは1、2または3であり、
yは0、1または2であり、
x+yは3である、
で表される少なくとも1種の化合物を含む、電解質配合物。
【請求項2】
式(I)におけるxが1であり、yが2であることを特徴とする、請求項1に記載の電解質配合物。
【請求項3】
式(I)におけるxが2であり、yが1であることを特徴とする、請求項1に記載の電解質配合物。
【請求項4】
式(I)におけるxが3であり、yが0であることを特徴とする、請求項1に記載の電解質配合物。
【請求項5】
式(I)におけるMa+が金属カチオンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解質配合物。
【請求項6】
a+が、スルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、グアニジニウムカチオンまたは複素環式カチオンを含む群から選択された有機カチオンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解質配合物。
【請求項7】
式(I)で表される化合物を0.1〜5.5Mのモル濃度において含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電解質配合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解質配合物を含む、電気化学的デバイスおよび/または光電子デバイス。
【請求項9】
光電池、コンデンサ、発光デバイス、エレクトロクロミックまたはフォトエレクトロクロミックデバイス、電気化学的センサーおよび/またはバイオセンサーであることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
色素増感太陽電池である、請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項11】
半導体、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解質配合物および対電極を含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解質配合物の、電気化学的デバイスおよび/または光電子デバイスにおける使用。
【請求項13】
式(I−a)
a+[B(R)(CN)(F)(I−a)
式中、
a+は、スルホニウム、オキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、グアニジニウムカチオンまたは複素環式カチオンを含む群から選択された有機カチオンであり、
は、1〜4個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状パーフルオロアルキル基、C、C、部分的にフッ素化されたフェニルまたは1〜4個のC原子を有するパーフルオロアルキル基によって単置換もしくは二置換されているフェニルを示し、aは1を示す、
で表される化合物。
【請求項14】
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(C)CNF]、
トリブチル−メチルアンモニウム[B(C)CNF]、
テトラ−n−ブチルアンモニウム[B(C)CNF]、
トリブチル−メチルホスホニウム[B(C)CNF]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(C)CNF]、
ジエチル−メチルスルホニウム[B(C)CNF]、
S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウム[B(C)CNF]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)CNF]、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(CF)CNF]、
トリブチル−メチルアンモニウム[B(CF)CNF]、
テトラ−n−ブチルアンモニウム[B(CF)CNF]、
トリブチル−メチルホスホニウム[B(CF)CNF]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(CF)CNF]、
ジエチル−メチルスルホニウム[B(CF)CNF]、
エチル−テトラメチルイソチオウロニウム[B(CF)CNF
である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
以下の群
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)F]、
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)F]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)F]、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(C)(CN)F]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(C)(CN)F]、
テトラ−n−ブチルアンモニウム[B(C)(CN)F]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)F]、
1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)F]、
テトラ−フェニルホスホニウム[B(CF)(CN)F]、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)F]、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム[B(CF)(CN)F]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)CNF]、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム[B(C)(CN)]、
テトラ−フェニルホスホニウム[CBF(CN)]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(CF)(CN)]、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[B(C)(CN)
から選択される化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−517230(P2013−517230A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548372(P2012−548372)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000089
【国際公開番号】WO2011/085965
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】