説明

電話システムおよび電話制御方法

【課題】電話帳機能利用して発信する場合、相手応答不可による発信操作の無駄を軽減する。
【解決手段】相手先状態取得部15Cにより、任意の相手先電話番号と対応する相手先電話装置から相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得し、電話帳処理部15Bにより、電話端末20からの相手先検索要求に応じて、該当する相手先を電話帳情報14Bから検索し、得られた相手先に関する相手先電話番号と相手先状態取得部15Cで取得した当該相手先電話番号の相手先状態情報とを、当該電話端末20での画面表示に用いる検索結果として当該電話端末20へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話システム制御技術に関し、特に電話帳機能を用いた電話制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話システムやPBXシステムなどの電話システムには、相手先電話番号が登録されている電話帳情報を用いて発信する電話帳機能がある。この電話帳機能は、相手先ごとに相手先電話番号を電話帳情報として登録しておき、利用者操作により電話端末の表示画面に電話帳情報の一部をリスト表示し、このリストから所望の相手先を選択して発信する機能である。
【0003】
このような電話帳機能については、電話帳情報への登録数の増加に伴い、所望の相手先を検索する操作が煩わしくなるため、相手先ごとに通話回数を計数し、その通話回数順に相手先を並び替えてリスト表示する技術(例えば、特許文献1など参照)や、通話時刻を記録して、発信操作時刻に通話する可能性の高い相手先を選択してリスト表示する技術(例えば、特許文献2など参照)、さらには電話帳情報を見やすくするために電話端末の表示画面ではなくテレビなどの外部ディスプレイに表示する技術(例えば、特許文献3など参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−334726号公報
【特許文献2】特開2002−354105号公報
【特許文献3】特開2000−022799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、電話帳情報を用いて相手先を選択して呼び出すまでの作業負担を軽減するためのものであり、相手応答不可による発信操作の無駄については考慮されないという問題点があった。
すなわち、従来の電話帳機能によれば、相手先電話番号をダイヤル入力する場合と比較して、相手先を選択して呼び出すまでの呼び出し作業が軽減される。しかし、相手先が不在や話中などの事由により相手応答不可の場合には、利用者が呼び出し作業を実行することになり、このような発信操作の無駄を軽減させることはできない。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、電話帳機能利用して発信する場合、相手応答不可による発信操作の無駄を軽減できる電話制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、複数の電話端末と、これら電話端末を通信網に交換接続する電話制御装置とを含む電話システムであって、電話制御装置に、相手先ごとにそれぞれの相手先電話番号が登録されている電話帳情報を予め記憶する記憶部と、任意の相手先電話番号と対応する相手先電話装置から相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得する相手先状態取得部と、電話端末からの相手先検索要求に応じて、該当する相手先を電話帳情報から検索し、得られた相手先に関する相手先電話番号と相手先状態取得部で取得した当該相手先電話番号の相手先状態情報とを、当該電話端末での画面表示に用いる検索結果として当該電話端末へ通知する電話帳処理部と、電話端末からの発信要求に応じて、指定された相手先電話番号へ発信する呼制御部とを備えている。
【0008】
この際、相手先状態取得部で、当該相手先電話番号を用いた通話の可否を示す通話可否状況、当該相手先電話番号に対応する利用者の在席/離席を示す在席状況、または当該相手先電話番号に対応する利用者の在社/不在社を示す在社状況を、相手先電話装置から相手先状態情報として取得するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明にかかる電話制御方法は、複数の電話端末と、これら電話端末を通信網に交換接続する電話制御装置とを含む電話システムで用いられる電話制御方法であって、電話制御装置の記憶部が、相手先ごとにそれぞれの相手先電話番号が登録されている電話帳情報を予め記憶する記憶ステップと、電話制御装置の相手先状態取得部が、任意の相手先電話番号と対応する相手先電話装置から相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得する相手先状態取得ステップと、電話制御装置の電話帳処理部が、電話端末からの相手先検索要求に応じて、該当する相手先を電話帳情報から検索し、得られた相手先に関する相手先電話番号と相手先状態取得部で取得した当該相手先電話番号の相手先状態情報とを、当該電話端末での画面表示に用いる検索結果として当該電話端末へ通知する電話帳処理ステップとを備えている。
【0010】
この際、相手先状態取得ステップで、少なくとも、当該相手先電話番号を用いた通話の可否を示す通話可否状況、当該相手先電話番号に対応する利用者の在席/離席を示す在席状況、または当該相手先電話番号に対応する利用者の在社/不在社を示す在社状況を、相手先電話装置から相手先状態情報として取得するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電話帳機能を利用して発信する場合、相手先利用者の応答可否を相手先検索の検索結果画面で確認することができる。したがって、相手先が不在や話中などの事由により相手応答不可の場合には、利用者が呼び出し作業を中止することができ、発信操作の無駄を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の本実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】利用者状態情報の構成例である。
【図3】本実施の形態にかかる電話端末の構成を示す説明図である。
【図4】出退勤操作確認動作を示すシーケンス図である。
【図5】在席確認動作を示すシーケンス図である。
【図6】話中確認動作を示すシーケンス図である。
【図7】利用者状態更新処理(出退勤イベント処理)を示すフローチャート図である。
【図8】利用者状態更新処理(在席・話中確認処理)を示すフローチャート図である。
【図9】本実施の形態にかかる電話システムの動作例を示すシーケンス図である。
【図10】検索結果の画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[本実施の形態の構成]
まず、図1を参照して、本発明の本実施の形態にかかる電話システムについて説明する。図1は、本発明の本実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
この電話システム1は、全体としてボタン電話システムやPBXシステムなどの電話システムからなり、複数の電話端末20と、これら電話端末20を通信網30へ交換接続する電話制御装置10とを含んでいる。通信網30は、インターネットやVoIP網のほか、ISDN網、PSTN、携帯通信網、無線LANなど、音声通話とデータ通信が可能な通信網からなる。この通信網30には、電話システム1と同様の構成を備える電話システム2のほか、単独電話装置、携帯電話などの電話装置が接続されているものとする。
【0015】
本実施の形態は、電話制御装置10で、電話帳機能で用いる電話帳情報に登録されている相手先電話番号と対応する相手先電話装置から相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得し、電話端末20からの相手先検索要求に応じて、該当する相手先を電話帳情報から検索し、得られた相手先に関する相手先電話番号と相手先状態情報とを、当該電話端末20での画面表示に用いる検索結果として当該電話端末20へ通知するようにしたものである。
【0016】
[電話制御装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置の構成について詳細に説明する。
電話制御装置10は、全体としてボタン電話システムの主装置やPBXシステムの構内交換機、さらには電話機能を持つPCの呼制御を行うサーバ装置などからなり、主な機能部として、網インターフェース部(以下、網I/F部という)11、端末インターフェース部(以下、端末I/F部という)12、機器インターフェース部(以下、機器I/F部という)13、記憶部14、および制御部15とが設けられている。
【0017】
網I/F部11は、専用の通信回路からなり、通信回線11Aを介して通信網30とデータ通信や音声通信を行う機能を有している。
端末I/F部12は、専用の通信回路からなり、内線伝送路12Aを介して電話端末20とデータ通信を行う機能を有している。
機器I/F部13は、専用のインターフェース回路からなり、利用者が出退勤管理のための操作を行うカードリーダ13Aなどの出退勤操作機器との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0018】
記憶部14は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、制御部15での各種処理で用いる処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部14で記憶される主な処理情報として、呼制御情報14A、電話帳情報14B、および利用者状態情報14Cがある。
【0019】
呼制御情報14Aは、通信網30に対して電話端末20を交換接続する際に用いる制御情報であり、電話制御装置10と通信網30との間で形成した呼の状態を示す情報や、電話端末20の動作状態を示す情報が含まれている。
電話帳情報14Bは、相手先ごとにそれぞれの相手先電話番号が登録された情報であり、相手先利用者の名前、所属部署、電話番号などの情報が含まれている。
【0020】
利用者状態情報14Cは、電話制御装置10に接続されている各電話端末20と対応するそれぞれの利用者の、応答可否に関する状態を示す情報である。
図2は、利用者状態情報の構成例である。ここでは、利用者の名前ごとに、電話番号のほか、利用者の状態として、外出・退社、離席、待機、話中からなる4つの状態が登録されており、このうち外出・退社、離席、話中が着信への応答不可である事由を示し、待機が着信への応答可能である事由を示している。
【0021】
制御部15は、CPUとその周辺回路を有し、記憶部14からプログラムを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現する機能を有している。
制御部15で実現される主な処理部として、呼制御部15A、電話帳処理部15B、相手先状態取得部15C、および利用者状態管理部15Dが設けられている。
【0022】
呼制御部15Aは、網I/F部11を介して通信網30から受信した呼制御メッセージや、端末I/F部12を介して電話端末20から受信した制御メッセージに応じて、記憶部14の呼制御情報14Aを用いて、通信網30から電話端末20への着信、電話端末20から通信網30への発信、相手電話装置と電話端末20との間の通話および終話に関する処理を行う機能を有している。
【0023】
電話帳処理部15Bは、端末I/F部12を介して電話端末20から受信した検索要求に応じて、指定された相手先の相手先電話番号を記憶部14の電話帳情報14Bから検索する機能と、検索により得られた相手先電話番号と相手先状態取得部15Cで取得した当該相手先電話番号の相手先状態情報とを、当該電話端末での画面表示に用いる検索結果として要求元の電話端末20へ端末I/F部12を介して通知する機能と、端末I/F部12を介して電話端末20から受信した検索要求に応じて、記憶部14の電話帳情報14Bのうち指定された相手先に関する情報を更新・登録する機能とを有している。
【0024】
相手先状態取得部15Cは、指定された任意の相手先電話番号と対応する相手先電話装置から、相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得する機能を有している。この際、相手先電話番号が外線電話番号であれば、相手先状態取得部15Cは、網I/F部11を介して相手先電話装置とデータ通信を行うことにより相手先状態情報を取得する。また、相手先電話番号が内線電話番号であれば、相手先状態取得部15Cは、記憶部14の利用者状態情報14Cから相手先状態情報を取得する。
【0025】
利用者状態管理部15Dは、機器I/F部13を介してカードリーダ13Aから受信した出退勤操作情報と、端末I/F部12を介して電話端末20から取得した人感センサの検出結果およびフック状態とに基づいて、電話端末20と対応する利用者の応答可否を確認し、記憶部14の利用者状態情報14Cへ設定する機能を有している。
【0026】
[電話端末]
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかる電話端末20の構成について詳細に説明する。図3は、本実施の形態にかかる電話端末の構成を示す説明図である。
電話端末20は、全体としてボタン電話システムやPBXシステムで用いられる内線電話機からなり、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)21、音声処理部22、操作入力部23、表示部24、人感センサ25、記憶部26、および制御部27が設けられている。
【0027】
通信I/F部21は、専用の通信回路からなり、内線伝送路12Aを介して電話制御装置10とデータ通信を行う機能を有している。
音声処理部22は、専用の音声処理回路からなり、通話時に通信I/F部21で受信した音声データから音声信号を復号してスピーカへ出力するとともに、マイクから入力された音声信号を符号化して得られた音声データを通信I/F部21へ出力する機能と、制御部27からの指示に応じて着信音などの各種音声信号をスピーカから出力する機能とを有している。
【0028】
操作入力部23は、ダイヤルボタン、回線ボタン、機能ボタンなどの各種操作ボタンと、フックスイッチとを有し、これら操作ボタンやフックスイッチで検出した利用者操作を制御部27へ出力する機能を有している。
表示部24は、LEDとLCDなどの画面表示装置とを有し、制御部27からの指示に応じて、着信表示や電話帳検索画面、電話帳検索結果画面などの各種状態や情報を表示する機能を有している。
人感センサ25は、赤外線センサからなり、電話端末20付近に利用者が存在するか否かを検出するセンサである。
【0029】
記憶部26は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、制御部27での各種処理に用いる処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
制御部27は、CPUとその周辺回路を有し、記憶部26からプログラムを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現する機能を有している。
制御部27で実現される主な処理部として、呼制御部27Aおよび人感センサ制御部27Bが設けられている。
【0030】
呼制御部27Aは、通信I/F部21を介して電話制御装置10から受信した制御メッセージに応じて、電話端末20の各部を制御することにより、通信網30から電話端末20への着信、電話端末20から通信網30への発信、相手電話装置と電話端末20との間の通話および終話の状態ごとに、電話端末20の動作状態を制御する機能と、操作入力部23で検出した操作ボタンやフックスイッチの操作情報を通信I/F部21を介して電話制御装置10へ通知する機能とを有している。
【0031】
人感センサ制御部27Bは、通信I/F部21を介して電話制御装置10から受信した在席確認要求メッセージに応じて、人感センサ25を制御することにより、電話端末20付近に利用者が存在するか否かを検出する機能と、この検出結果を当該利用者の在席有無を示す在席確認結果として、在席確認応答メッセージにより通信I/F部21を介して電話制御装置10へ返送する機能とを有している。
【0032】
[本実施の形態の動作]
次に、図4〜図7を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の動作について説明する。図4は、出退勤操作確認動作を示すシーケンス図である。図5は、在席確認動作を示すシーケンス図である。図6は、話中確認動作を示すシーケンス図である。図7は、利用者状態更新処理(出退勤イベント処理)を示すフローチャート図である。図8は、利用者状態更新処理(在席・話中確認処理)を示すフローチャート図である。
【0033】
[出退勤操作確認動作]
まず、図4を参照して、本実施の形態にかかる電話システムの出退勤操作確認動作について説明する。
利用者が、出社、退社、外出、および帰社の際、出退勤カードを用いてカードリーダ13Aで出退勤管理のための出退勤操作を行う。カードリーダ13Aは、この出退勤操作を検出し(ステップ100)、当該出退勤カードから読み取った利用者の識別情報を含む操作情報を電話制御装置10へ送信する(ステップ101)。
【0034】
電話制御装置10の利用者状態管理部15Dは、機器I/F部13を介してカードリーダ13Aからの操作情報を受信した場合、後述する利用者状態更新処理を実行して、記憶部14の利用者状態情報14Cのうち、操作情報で通知された利用者の識別情報に対応する状態情報を更新し(ステップ102)、一連の出退勤操作確認動作を終了する。
【0035】
[在席確認動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかる電話システムの在席確認動作について説明する。
電話制御装置10の利用者状態管理部15Dは、後述する利用者状態更新処理において、利用者の出社が確認されている場合、間欠的に当該利用者の在席確認を行う。
【0036】
まず、利用者状態管理部15Dは、端末I/F部12を介して当該利用者の内線電話番号と対応する電話端末20へ在席確認要求メッセージを送信する(ステップ110)。
電話端末20の人感センサ制御部27Bは、通信I/F部21を介して電話制御装置10からの在席確認要求メッセージを受信した場合、人感センサ25に対して検出指示を出力する(ステップ111)。
人感センサ25は、この検出指示に応じて動作して利用者の存在有無を検出し(ステップ112)、この検出結果を出力する(ステップ113)。
【0037】
電話端末20の人感センサ制御部27Bは、人感センサ25から検出結果を受け取って、その内容に応じて利用者の在席状態を在席確認応答メッセージとして通信I/F部21を介して電話制御装置10へ返送する(ステップ114)。
電話制御装置10の利用者状態管理部15Dは、端末I/F部12を介して電話端末20からの在席確認応答メッセージを受信し、後述する利用者状態更新処理により、記憶部14の利用者状態情報14Cのうち、当該電話端末20に対応する状態情報を更新し(ステップ115)、一連の在席確認動作を終了する。
【0038】
[話中確認動作]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかる電話システムの話中確認動作について説明する。
電話制御装置10の利用者状態管理部15Dは、後述する利用者状態更新処理において、利用者の在席が確認されている場合、間欠的に当該利用者の話中確認を行う。
【0039】
まず、利用者状態管理部15Dは、端末I/F部12を介して当該利用者の内線電話番号と対応する電話端末20へ話中確認要求メッセージを送信する(ステップ120)。
電話端末20の呼制御部27Aは、通信I/F部21を介して電話制御装置10からの話中確認要求メッセージを受信した場合、操作入力部23のフックスイッチの出力を検出する(ステップ121)。
【0040】
この後、呼制御部27Aは、その検出内容に応じて当該利用者の話中状態を話中確認応答メッセージとして通信I/F部21を介して電話制御装置10へ返送する(ステップ122)。
電話制御装置10の利用者状態管理部15Dは、端末I/F部12を介して電話端末20からの話中確認応答メッセージを受信し、後述する利用者状態更新処理により、記憶部14の利用者状態情報14Cのうち、当該利用者に対応する状態情報を更新し(ステップ123)、一連の在席確認動作を終了する。
【0041】
[利用者状態更新処理(出退勤イベント処理)]
次に、図7を参照して、本実施の形態にかかる電話システムの利用者状態更新処理(出退勤イベント処理)について説明する。
電話制御装置10の利用者状態管理部15Dは、カードリーダ13Aから操作情報を受信する出退勤イベントが発生した場合、図7の利用者状態更新処理(出退勤イベント処理)を実行する。
【0042】
まず、利用者状態管理部15Dは、カードリーダ13Aから受信した操作情報の内容を確認し(ステップ130)、当該操作情報が利用者の出社・帰社を示す場合(ステップ130:出社・帰社)、当該利用者に関する後述の利用者状態更新処理(在席・話中確認処理)を起動して、一連の処理を終了する。
【0043】
一方、当該操作情報が利用者の退社・外出を示す場合(ステップ130:退社・外出)、利用者状態管理部15Dは、当該利用者に関する後述の利用者状態更新処理(在席・話中確認処理)を停止して(ステップ132)、記憶部14の利用者状態情報のうち当該利用者の利用者状態を「退社・外出」に設定し(ステップ133)、一連の処理を終了する。
これにより、利用者の出社・帰社が確認された場合にのみ、当該利用者の在席・話中確認処理が実行されるため、制御部15の処理負担が軽減される。
【0044】
[利用者状態更新処理(在席・話中確認処理)]
次に、図8を参照して、本実施の形態にかかる電話システムの利用者状態更新処理(在席・話中確認処理)について説明する。
電話制御装置10の利用者状態管理部15Dは、図7のステップ131での処理起動に応じて、図8の利用者状態更新処理(在席・話中確認処理)を実行する。
【0045】
まず、利用者状態管理部15Dは、制御部15に設けられているタイマ機能を利用して、所定間隔でポーリング処理を行うため、確認タイミングが到来するまで待機し(ステップ140)、確認タイミングの到来に応じて、図5の在席確認動作を実行する(ステップ141)。
ここで、当該在席確認結果が、利用者の在席を確認していない状態を示す場合(ステップ141:在席確認なし)、利用者状態管理部15Dは、記憶部14の利用者状態情報のうち当該利用者の利用者状態を「離席」に設定し(ステップ142)、ステップ140へ戻る。
【0046】
一方、当該在席確認結果が、利用者の在席を確認している状態を示す場合(ステップ141:在席確認あり)、利用者状態管理部15Dは、図6の話中確認動作を実行する(ステップ150)。
ここで、当該話中確認結果が、オンフック状態を示す場合(ステップ150:オンフック)、利用者状態管理部15Dは、記憶部14の利用者状態情報のうち当該利用者の利用者状態を「待機」に設定し(ステップ151)、ステップ140へ戻る。
【0047】
一方、当該話中確認結果が、オフフック状態を示す場合(ステップ150:オフフック)、利用者状態管理部15Dは、記憶部14の利用者状態情報のうち当該利用者の利用者状態を「話中」に設定し(ステップ152)、ステップ150へ戻る。
これにより、利用者の在席が確認された場合にのみ、当該利用者の話中確認処理が実行されるため、制御部15の処理負担が軽減される。
【0048】
[本実施の形態の動作例]
次に、図9を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の動作例について説明する。図9は、本実施の形態にかかる電話システムの動作例を示すシーケンス図である。
ここでは、図1に示したように、通信網30に電話システム1と同様の構成を有する電話システム2が接続されており、電話システム1,2との間で通信網30を介して状態情報のやり取りが可能であるものとし、電話システム1の電話端末20Aから電話システム2の電話端末20Bを電話帳機能で検索して呼び出す場合を例として説明する。
【0049】
電話システム1の電話端末20Aで、電話端末20Bの利用者を指定した電話帳検索操作が行われた場合(ステップ200)、電話端末20Aから電話システム1の電話制御装置10Aに対して電話帳検索要求メッセージが送信される(ステップ201)。
電話制御装置10Aでは、この電話帳検索要求メッセージに応じて記憶部14の電話帳情報14Bが検索され、当該利用者に対応する相手先電話番号が特定され(ステップ202)、通信網30を介して電話システム2の電話制御装置10Bへ状態情報取得要求メッセージが送信される(ステップ203)。
【0050】
電話制御装置10Bでは、この状態情報取得要求メッセージに応じて、記憶部14の利用者状態情報14Cから当該相手先電話番号に対応する電話端末20Bの状態情報が取得され(ステップ204)、状態情報通知メッセージにより通信網30を介して電話制御装置10Aへ返送される(ステップ205)。
電話制御装置10Aでは、この状態情報通知メッセージに応じて、当該利用者の相手先電話番号と相手先状態情報とが検索結果として電話端末20Aへ通知される(ステップ206)。
【0051】
電話端末20Aでは、この検索結果が画面表示される(ステップ207)。図10は、検索結果の画面表示例である。この例では、指定した相手先の相手先電話番号とともに、相手先の状態情報、すなわち応答可否が画面表示されている。
【0052】
ここで、この検索結果画面の相手先状態情報で、相手先が応答可能である状態を示す「待機」の状態が確認され、利用者がこの検索結果画面が表示されている状態で、発信操作を行った場合(ステップ210)、電話端末20Aから電話制御装置10Aに対して、検索結果画面で表示された相手先電話番号を発信先とする発信要求メッセージが送信される(ステップ211)。
電話制御装置10Aでは、この発信要求メッセージに応じて、検索結果画面で表示された相手先電話番号を発信先とする呼出メッセージが通信網30へ送信される(ステップ212)。
【0053】
電話制御装置10Bでは、通信網30を介して電話制御装置10Aからの呼出メッセージが受信され、その相手先電話番号と対応する電話端末20Bへ着信メッセージが送信される(ステップ213)。
電話端末20Bでは、電話制御装置10Bからの着信メッセージに応じて、着信表示が行われる(ステップ214)。
これにより、利用者は、この検索結果画面の相手先状態情報で、相手先が応答可能である状態を示す「待機」の状態を確認した後、相手先への発信操作を行うことができる。
【0054】
一方、この検索結果画面の相手先状態情報で、相手先が応答不可である状態を示す「外出・退社」、「離席」、「話中」のうちのいずれかの状態が確認され、利用者がこの検索結果画面が表示されている状態で、例えば連絡要求の旨の電文の送信操作を行った場合(ステップ220)、電話端末20Aから電話制御装置10Aに対して、当該電文を含み、検索結果画面で表示された相手先電話番号を発信先とする電文送信要求メッセージが送信される(ステップ221)。
【0055】
電話制御装置10Aでは、この電文送信要求メッセージに応じて、検索結果画面で表示された相手先電話番号を発信先とする電文通知メッセージが通信網30へ送信される(ステップ222)。なお、この電文については、利用者が電話端末20Aで電子メールのように、連絡を要求する内容の文を入力してもよく、電話制御装置10Aに予め登録されている定型文を指定してもよい。また、電文のやり取りについては、電子メールのほか、特定の電話制御装置間でやり取りするデータ通信や、携帯電話で用いられるSMS(Short Messaging Service)などの周知の技術を利用すればよい。
【0056】
電話制御装置10Bでは、通信網30を介して電話制御装置10Aからの電文通知メッセージが受信され、その相手先電話番号と対応する電話端末20Bへ電文通知メッセージが送信される(ステップ223)。
電話端末20Bでは、電話制御装置10Bからの電文通知メッセージに応じて、メッセージ受信表示が行われる(ステップ224)。
【0057】
これにより、利用者は、この検索結果画面の相手先状態情報で、相手先が応答不可である状態を示す「外出・退社」、「離席」、「話中」のうちのいずれかの状態を確認した場合、相手先への発信操作を中止することができる。また、電文送信機能を用いて、任意の内容を相手先へ通知することもできる。
【0058】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電話制御装置10において、相手先状態取得部15Cにより、任意の相手先電話番号と対応する相手先電話装置から相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得し、電話帳処理部15Bにより、電話端末20からの相手先検索要求に応じて、該当する相手先を電話帳情報14Bから検索し、得られた相手先に関する相手先電話番号と相手先状態取得部15Cで取得した当該相手先電話番号の相手先状態情報とを、当該電話端末20での画面表示に用いる検索結果として当該電話端末20へ通知するようにしたので、電話帳機能利用して発信する場合、相手先利用者の応答可否を相手先検索の検索結果画面で確認することができる。
したがって、相手先が不在や話中などの事由により相手応答不可の場合には、利用者が呼び出し作業を中止することができ、発信操作の無駄を軽減させることが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態では、相手先状態取得部15Cにより、少なくとも、当該相手先電話番号を用いた通話の可否を示す通話可否状況、当該相手先電話番号に対応する利用者の在席/離席を示す在席状況、または当該相手先電話番号に対応する利用者の在社/不在社を示す在社状況のいずれか1つを、相手先電話装置から相手先状態情報として取得するようにしたので、相手先の応答可否状態を示す的確な情報を検索結果とともに画面表示することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、相手先利用者の在席/離席を確認する際、人感センサを用いて電話端末20付近に利用者が存在するか否かを検出する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電話端末20と対応するPCが配置されており、そのPCと電話制御装置10とがLANを介して接続されているようなシステム構成の場合には、当該PCでスクリーンセーバーが起動されているか否かなど、PCの使用状態を確認できる。このような場合には、PCの使用状態に応じて在席/離席を確認するようにしてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、電話システム1と同等な機能を持つ電話システム2が相手電話装置である場合を例として説明したが、相手電話装置についてこれに限定されるものではなく、利用者状態管理部15Dと同等の機能を有している電話装置であればよい。
【0062】
また、本実施の形態では、電話帳検索を行った相手先の電話番号が、通信網30に接続されている相手電話装置である場合を例として説明したが、内線電話番号を検索した場合には、相手先状態取得部15Cにより、同一電話制御装置10内の利用者状態管理部15Dから相手先状態情報を取得すればよい。特に、通信網30を介して電話システム1,2がシステム間接続されている場合には、内線電話番号に対応する電話システム2の電話端末20Bの応答可否状態を、システム間通信により取得することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1,2…電話システム、10,10A,10B…電話制御装置、11…網I/F部、11A…通信回線、12…端末I/F部、12A…内線伝送路、13…機器I/F部、13A…カードリーダ、14…記憶部、14A…呼制御情報、14B…電話帳情報、14C…利用者状態情報、15…制御部、15A…呼制御部、15B…電話帳処理部、15C…相手先状態取得部、15D…利用者状態管理部、20,20A,20B…電話端末、21…通信I/F部、22…音声処理部、23…操作入力部、24…表示部、25…人感センサ、26…記憶部、27…制御部、27A…呼制御部、27B…人感センサ制御部、30…通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話端末と、これら電話端末を通信網に交換接続する電話制御装置とを含む電話システムであって、
前記電話制御装置は、
相手先ごとにそれぞれの相手先電話番号が登録されている電話帳情報を予め記憶する記憶部と、
任意の相手先電話番号と対応する相手先電話装置から相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得する相手先状態取得部と、
前記電話端末からの相手先検索要求に応じて、該当する相手先を前記電話帳情報から検索し、得られた相手先に関する前記相手先電話番号と前記相手先状態取得部で取得した当該相手先電話番号の相手先状態情報とを、当該電話端末での画面表示に用いる検索結果として当該電話端末へ通知する電話帳処理部と、
前記電話端末からの発信要求に応じて、指定された相手先電話番号へ発信する呼制御部と
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記相手先状態取得部は、当該相手先電話番号を用いた通話の可否を示す通話可否状況を、前記相手先電話装置から前記相手先状態情報として取得することを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記相手先状態取得部は、当該相手先電話番号に対応する利用者の在席/離席を示す在席状況を、前記相手先電話装置から前記相手先状態情報として取得することを特徴とする電話システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記相手先状態取得部は、当該相手先電話番号に対応する利用者の在社/不在社を示す在社状況を、前記相手先電話装置から前記相手先状態情報として取得することを特徴とする電話システム。
【請求項5】
複数の電話端末と、これら電話端末を通信網に交換接続する電話制御装置とを含む電話システムで用いられる電話制御方法であって、
前記電話制御装置の記憶部が、相手先ごとにそれぞれの相手先電話番号が登録されている電話帳情報を予め記憶する記憶ステップと、
前記電話制御装置の相手先状態取得部が、任意の相手先電話番号と対応する相手先電話装置から相手先応答可否を示す相手先状態情報を取得する相手先状態取得ステップと、
前記電話制御装置の電話帳処理部が、前記電話端末からの相手先検索要求に応じて、該当する相手先を前記電話帳情報から検索し、得られた相手先に関する前記相手先電話番号と前記相手先状態取得部で取得した当該相手先電話番号の相手先状態情報とを、当該電話端末での画面表示に用いる検索結果として当該電話端末へ通知する電話帳処理ステップと
を備えることを特徴とする電話制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電話制御方法において、
前記相手先状態取得ステップは、当該相手先電話番号を用いた通話の可否を示す通話可否状況を、前記相手先電話装置から前記相手先状態情報として取得することを特徴とする電話制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の電話制御方法において、
前記相手先状態取得ステップは、当該相手先電話番号に対応する利用者の在席/離席を示す在席状況を、前記相手先電話装置から前記相手先状態情報として取得することを特徴とする電話制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載の電話制御方法において、
前記相手先状態取得ステップは、当該相手先電話番号に対応する利用者の在社/不在社を示す在社状況を、前記相手先電話装置から前記相手先状態情報として取得することを特徴とする電話制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−232997(P2010−232997A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78979(P2009−78979)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】