説明

電話機および電話機を用いた給電方法

【課題】無駄な電圧の印加を避ける。
【解決手段】給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機にて、印加された電圧に基づいて、当該電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加し、外部装置へ流れる電流を検出し、電流を検出しない場合、外部装置への電圧の印加を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機および電話機を用いた給電方法に関し、特にIP(Internet Protocol)のプロトコルを使用する電話機および電話機を用いた給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非シールドより対線(UTP)でデータ伝送と同時に電源を供給する方式(規格:IEEE802.3af)が普及している。
【0003】
この規格を用いることにより、例えば、LAN(Local Area Network)ケーブルを用いて2つの装置間を接続するだけで、当該装置間にてデータの送受信と電源の供給とが同時に実現可能となる。
【0004】
図4は、IEEE802.3afを用いて給電を行う一般的な接続形態の一例を示す図である。
【0005】
図4に示した形態は、給電HUB(ハブ)1000と、IP(Internet Protocol)電話機1010−1〜1010−3と、外部接続機器1020−1〜1020−3とから構成されている。
【0006】
給電HUB1000は、複数のポート1001を有し、ポート1001からIP電話機1010−1〜1010−3および外部接続機器1020−1〜1020−3へ給電を行う給電装置である。ここでの給電方法は、IEEE802.3afの規格に基づくものであり、ポート1001とIP電話機1010−1〜1010−3、外部接続機器1020−1〜1020−3とを接続するケーブルに含まれる信号線のうち、1対の信号線に所定の電圧を印加することにより行われる。ポート1001は、LAN(Local Area Network)ケーブルが接続可能である。また、給電HUB1000は、IEEE803.3afの規格で動作可能であり、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、IP電話機1010−1〜1010−3へ電圧を印加することが可能である。
【0007】
IP電話機1010−1〜1010−3は、給電HUB1000と接続され、給電HUB1000のポート1001から所定の電圧が印加(給電)される電話機である。また、IP電話機1010−1〜1010−3は、IEEE803.3afの規格で動作可能であり、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、給電HUB1000から所定の電圧が印加される。
【0008】
外部接続機器1020−1〜1020−3は、給電HUB1000と接続され、給電HUB1000のポート1001から所定の電圧が印加(給電)される外部装置である。また、外部接続機器1020−1〜1020−3は、IEEE803.3afの規格で動作可能であり、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、給電HUB1000から所定の電圧が印加される。
【0009】
なお、IP電話機1010−1〜1010−3の台数、および外部接続機器1020−1〜1020−3の台数は、3台に限らず、任意で良い。
【0010】
しかしながら、図4に示した形態においては、同じ配置場所に給電HUB1000とIP電話機1010−1〜1010−3および外部接続機器1020−1〜1020−3とを接続する場合、給電HUB1000からケーブルの配線をIP電話機1010−1〜1010−3と外部接続機器1020−1〜1020−3との台数分、準備する必要がある。そのため、配置状況によっては、給電HUB1000のポート1001の数の不足が発生してしまう。
【0011】
そこで、給電HUB1000の使用するポート1001の数を削減するシステムが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0012】
図5は、給電HUBの使用するポートの数の削減対策を施した接続形態の一例を示す図である。
【0013】
図5に示した形態は、給電HUB1000と、IP電話機1011−1〜1011−3と、外部接続機器1020−1〜1020−3とから構成されている。
【0014】
給電HUB1000は、図4に示したものと同じものである。
【0015】
IP電話機1011−1〜1011−3は、給電HUB1000と接続され、給電HUB1000のポート1001から所定の電圧が印加(給電)される電話機である。また、IP電話機1011−1〜1011−3は、外部接続機器1020−1〜1020−3とそれぞれ接続され、給電HUB1000から印加された電圧を用いて外部接続機器1020−1〜1020−3へ所定の電圧を印加(給電)する。また、IP電話機1011−1〜1011−3は、IEEE803.3afの規格で動作可能であり、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、給電HUB1000から所定の電圧が印加される。また、IP電話機1011−1〜1011−3は、LANケーブル内の1対のペア線を用いて、外部接続機器1020−1〜1020−3へ所定の電圧を印加する。
【0016】
外部接続機器1020−1〜1020−3は、図4に示したものと同じものである。ただし、動作するための電圧は、IP電話機1011−1〜1011−3からそれぞれ印加(供給)される。このとき、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、IP電話機1011−1〜1011−3それぞれから所定の電圧が印加される。
【0017】
なお、IP電話機1011−1〜1011−3の台数、および外部接続機器1020−1〜1020−3の台数は、3台に限らず、任意で良い。
【0018】
図5に示したIP電話機1011−1〜1011−3を用いて外部接続機器1020−1〜1020−3を接続することにより、給電HUB1000の使用するポート1001の数を削減することができる。
【特許文献1】特開2005−269890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上述した形態においては、IP電話機1011−1〜1011−3において、外部接続機器1020−1〜1020−3が接続されているか否かにかかわらず、IP電話機1011−1〜1011−3から所定の電圧を印加し続ける。そのため、IP電話機1011−1〜1011−3に外部接続機器1020−1〜1020−3が接続されていない場合、無駄な電圧の印加が生じてしまうという問題点がある。
【0020】
本発明は、上述した課題を解決する電話機および電話機を用いた給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、
給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機であって、
前記印加された電圧に基づいて、当該電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加する接続ポートと、
前記外部装置へ流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が前記電流を検出しない場合、前記接続ポートからの電圧の印加を遮断する給電制御部とを有する。
【0022】
また、給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機における給電方法であって、
前記印加された電圧に基づいて、前記電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加する処理と、
前記外部装置へ流れる電流を検出する処理と、
前記電流を検出しない場合、前記外部装置への電圧の印加を遮断する処理とを有する。
【0023】
また、給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機に実行させるプログラムであって、
前記印加された電圧に基づいて、前記電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加する手順と、
前記外部装置へ流れる電流を検出する手順と、
前記電流を検出しない場合、前記外部装置への電圧の印加を遮断する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明においては、給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機にて、印加された電圧に基づいて、当該電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加し、外部装置へ流れる電流を検出し、電流を検出しない場合、外部装置への電圧の印加を遮断する構成としたため、無駄な電圧の印加を避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の電話機が接続されたシステムの実施の一形態を示す図である。
【0027】
本形態は図1に示すように、給電HUB(ハブ)100と、IP(Internet Protocol)電話機110−1〜110−3と、外部接続機器120−1〜120−3とから構成されている。
【0028】
給電HUB100は、複数のポート101を有し、ポート101からIP電話機110−1〜110−3へ給電を行う給電装置である。ここでの給電方法は、IEEE802.3afの規格に基づくものであり、ポート101とIP電話機110−1〜110−3とを接続するケーブルに含まれる信号線のうち、1対の信号線に所定の電圧を印加することにより行われる。ポート101は、LAN(Local Area Network)ケーブルが接続可能である。また、給電HUB100は、IEEE803.3afの規格で動作可能であり、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、IP電話機110−1〜110−3へ電圧を印加することが可能である。
【0029】
IP電話機110−1〜110−3は、給電HUB100と接続され、給電HUB100のポート101から所定の電圧が印加(給電)される電話機である。また、IP電話機110−1〜110−3は、外部接続機器120−1〜120−3とそれぞれ接続され、外部接続機器120−1〜120−3へ所定の電圧を印加(給電)する。また、IP電話機110−1〜110−3は、IEEE803.3afの規格で動作可能であり、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、給電HUB100から所定の電圧が印加される。また、IP電話機110−1〜110−3は、LANケーブル内の1対のペア線を用いて、外部接続機器120−1〜120−3へ所定の電圧を印加する。
【0030】
外部接続機器120−1〜120−3は、IP電話機110−1〜110−3からそれぞれ印加(供給)された電圧を用いて動作する外部装置である。また、外部接続機器120−1〜120−3は、IEEE803.3afの規格で動作可能であり、データの送受信を行うLANケーブル内の1対のペア線を用いて、IP電話機110−1〜110−3それぞれから所定の電圧が印加される。
【0031】
なお、IP電話機110−1〜110−3の台数、および外部接続機器120−1〜120−3の台数は、3台に限らず、任意で良い。
【0032】
図2は、図1に示したIP電話機110−1の内部構成の一例を示す図である。
【0033】
図1に示したIP電話機110−1には図2に示すように、給電対応LANポート200と、LANトランス201と、外部機器接続LANポート202と、ダイオードブリッジ203と、電流検出部204と、給電制御部205と、電源回路206とが設けられている。
【0034】
給電対応LANポート200は、給電HUB100とIP電話機110−1とを接続するケーブルが接続される給電ポートである。ここでは、LANケーブルが接続される。
【0035】
LANトランス201は、給電対応LANポート200に印加された電圧を、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1へ印加する所定の電圧へ変圧する変圧器である。ここで、所定の電圧とは、外部接続機器120−1の動作電圧に応じてあらかじめ設定されたものである。
【0036】
外部機器接続LANポート202は、IP電話機110−1と外部接続機器120−1とを接続するケーブルが接続される接続ポートである。また、外部機器接続LANポート202は、LANトランス201にて変圧された電圧を外部接続機器120−1に印加する。
【0037】
ダイオードブリッジ203は、給電対応LANポート200に印加された電圧を整流する一般的なダイオードから構成されるブリッジ回路である。
【0038】
電流検出部204は、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1へ電流が流れているかどうかを検出(判断)する。この電流の検出方法は、一般的なものであれば良い。
【0039】
給電制御部205は、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1への電圧の印加を制御する。具体的には、電流検出部204が電流を検出した(電流が流れていると判断した)場合、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1への電圧の印加を継続する。一方、電流検出部204が電流を検出しない(電流が流れていないと判断した)場合、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1への電圧の印加を遮断する。
【0040】
電源回路206は、IP電話機110−1を動作させる電源回路である。
【0041】
なお、図2には、図1に示したIP電話機110−1の構成要素のうち、本発明に関わる要素のみを示した。また、図1に示したIP電話機110−2〜110−3の内部構成についても、図2に示したIP電話機110−1の内部構成と同じである。
【0042】
以下に、図1に示した形態における給電方法について説明する。ここでは、IP電話機110−1における給電方法について説明する。
【0043】
図3は、図1および図2に示した形態における給電方法を説明するためのフローチャートである。ここで、給電供給部205は、「接続」の状態がデフォルトである。
【0044】
まず、給電対応LANポート200に給電HUB100から所定の電圧が印加される(受電)と(ステップS1)、当該電圧がLANトランス201にて所定の電圧へ変圧される。
【0045】
また、給電対応LANポート200に印加された電圧がダイオードブリッジ203を介して電源回路206へ出力される。電源回路206へ出力されてきた電圧を用いてIP電話機110−1が動作する。
【0046】
また、LANトランス201にて変圧された電圧により外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1へ電流が流れているかどうかが、電流検出部204にて判断(検出)される(ステップS2)。
【0047】
電流検出部204にて電流が検出された(電流が流れていると判断された)場合、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1への電圧の印加を継続するために、給電制御部205にて「接続」の状態が維持される(ステップS3)。この「接続」の状態は、給電制御部205に単に接続スイッチを設け、このスイッチをONとしたままとすることによるものであっても良い。これにより、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1への電圧の印加が継続される。
【0048】
一方、電流検出部204にて電流が検出されない(電流が流れていないと判断された)場合、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1への電圧の印加を遮断するために、給電制御部205が「遮断」の状態となる(ステップS4)。この「遮断」の状態は、給電制御部205に単に接続スイッチを設け、このスイッチをOFFとすることによるものであっても良い。これにより、外部機器接続LANポート202から外部接続機器120−1への電圧の印加が遮断される。
【0049】
なお、上述したIP電話機110−1における給電方法は、IP電話機110−2〜110−3においても実現可能であることは言うまでもない。
【0050】
また、上述したIP電話機110−1〜110−3の処理は、目的に応じて作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したプログラムをIP電話機110−1〜110−3にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをIP電話機110−1〜110−3に読み込ませ、実行するものであっても良い。IP電話機110−1〜110−3にて読取可能な記録媒体とは、フロッピーディスク(登録商標)、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、IP電話機110−1〜110−3に内蔵されたROM、RAM等のメモリやHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、IP電話機110−1〜110−3内のCPU(不図示)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【0051】
このように、外部接続機器120−1〜120−3へ流れる電流が検出されない場合、外部接続機器120−1〜120−3と接続される外部機器接続LANポート202への電圧の印加を遮断することにより、無駄な電圧の印加を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の電話機が接続されたシステムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示したIP電話機の内部構成の一例を示す図である。
【図3】図1および図2に示した形態における給電方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】IEEE802.3afを用いて給電を行う一般的な接続形態の一例を示す図である。
【図5】給電HUBの使用するポートの数の削減対策を施した接続形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
100 給電HUB
101 ポート
110−1〜110−3 IP電話機
120−1〜120−3 外部接続機器
200 給電対応LANポート
201 LANトランス
202 外部機器接続LANポート
203 ダイオードブリッジ
204 電流検出部
205 給電制御部
206 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機であって、
前記印加された電圧に基づいて、当該電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加する接続ポートと、
前記外部装置へ流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が前記電流を検出しない場合、前記接続ポートからの電圧の印加を遮断する給電制御部とを有する電話機。
【請求項2】
請求項1に記載の電話機において、
前記給電装置から印加された電圧を、前記外部装置へ印加する電圧へ変圧する変圧器を有することを特徴とする電話機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話機において、
前記接続ポートは、該接続ポート内の1対の信号線を用いて、前記外部装置へ前記電圧を印加することを特徴とする電話機。
【請求項4】
請求項3に記載の電話機において、
前記給電装置から前記電圧が印加される給電ポートを有し、
前記給電ポートは、LAN(Local Area Network)と接続可能なポートであることを特徴とする電話機。
【請求項5】
請求項4に記載の電話機において、
前記接続ポートは、LANと接続可能なポートであることを特徴とする電話機。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電話機において、
IEEE803.3afの規格で動作することを特徴とする電話機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電話機において、
IP(Internet Protocol)電話機であることを特徴とする電話機。
【請求項8】
給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機における給電方法であって、
前記印加された電圧に基づいて、前記電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加する処理と、
前記外部装置へ流れる電流を検出する処理と、
前記電流を検出しない場合、前記外部装置への電圧の印加を遮断する処理とを有する給電方法。
【請求項9】
給電装置から印加された電圧を用いて動作する電話機に、
前記印加された電圧に基づいて、前記電話機と接続された外部装置へ所定の電圧を印加する手順と、
前記外部装置へ流れる電流を検出する手順と、
前記電流を検出しない場合、前記外部装置への電圧の印加を遮断する手順とを実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−50519(P2010−50519A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210552(P2008−210552)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】